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判決 平成14年1月31日判決言渡 神戸地方裁判所尼崎支部 平成9年(ワ)第
212号 損害賠償請求事件
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
 被告は,原告に対し,金7億5000万円及びこれに対する平成9年4月1
日(本訴状送達の日の翌日)から完済に至るまで年5分の割合による金員を支払
え。
第2 事案の概要
 本件は,兵庫県尼崎市潮江地区及び浜地区の各一部を施行区域とする第一種
市街地再開発事業(以下「本件再開発事業」という。)のうちの阪神間都市計画事
業JR尼崎駅北第一地区第一種市街地再開発事業の施行に伴い,同地区(以下単に
「第一地区」ということもある。)内に従前広大な貸地を所有していた原告が,施
行者である承継前被告住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)から別紙物件
目録1ないし8記載の各物件(以下「本件各物件」という。)を賃貸用の業務床と
する予定の下に権利変換を受けて引渡しを受けたが,本件各物件につき賃借需要が
ないのは賃貸用物件として企画・設計上あるいは構造上の欠陥等があるためであっ
て,施行者として権利変換処分及びこれに付随する企画,設計,施工などの事実上
の行為を行うに当たり,従前の権利者等に損害を被らせないようにすべき高度の注
意義務(抽象的注意義務。その具体的注意義務としては,引渡後相当期間内に借り
手が付くように配慮するなどの義務。)を負っている公団がこの義務を尽くさなか
ったために恒常的に高い空室率を招くに至ったとの理由で,公団の権利・義務を包
括的に承継した被告に対し,民法709条及び国家賠償法1条1項に基づき,得べ
かりし賃料収入の一部につき損害賠償を求めた事案である。
1 前提事実(証拠等を掲記していない事実はいずれも当事者間に争いがない
か,弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1) 当事者
ア(ア) 公団は,住宅・都市整備公団法に基づいて設立された公法人であ
り,本件再開発事業につき,平成3年7月11日,施行規定及び権利変換計画の認
可を受け(権利変換期日は同年8月2日),同事業計画を施行した。
(イ) 公団は,住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域その他の都市
地域において健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有
する集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに,当該地域において健全な市
街地に造成し,又は再開発するために市街地開発事業等を行うことなどを目的とし
ていた(住宅・都市整備公団法1条)。
(ウ) 被告は平成11年10月1日公団の一切の権利義務を承継して,発
足し,これに伴い,公団は同日解散した。
イ 原告は,上記権利変換計画認可当時,本件再開発事業の施行区域内の第
一地区においてその総面積の7割相当に当たる土地を所有していた者である(甲2
2,原告本人)。
(2) 本件再開発事業の事業計画の内容及び事業の推移
ア(ア) 本件再開発事業は,昭和55年ころ,尼崎市の立案に係る市街地再
開発基本計画(6.5ha)に基づき開始された(甲11)。
 (イ) 本件再開発事業の施行区域は4地区からなり,原告が土地を有して
いた第一地区は,日常生活に必要な商品を生活密着で提供するというコンセプト
(生活密着型)を理念として計画された(甲11,証人A)。
 (ウ) そして,本件再開発事業の内容として,第一地区には,次の各建築
物が建築されることとなった(甲3,6,11,31,32)。
  a A1棟  8階建(うち,1階及び2階の一部分が業務床,その余
が住宅床)
  b A2棟  8階建(うち,1ないし4階が業務床,その余が住宅
床)
  c A3棟1 地下1階付14階建(うち,地下1階並びに1階及び2
階の各一部分が駐車場,3階及び4階の各一部分が体育館,1階及び2階の各一部
分が業務床,その余が住宅床)
  d A3棟2 14階建(うち,1階及び2階の一部分が業務床,その
余が住宅床)
  e A3棟3 6階建(うち,1階が業務床,その余が住宅床)
イ(ア) 公団は,昭和62年3月,尼崎市及び地元の「潮江地区まちづくり
協議会」(以下「協議会」という。その後,「まちづくり計画研究会」に改組)と
の間で覚書を交わし,本件再開発事業の施行者となった。
 (イ) なお,原告は,協議会の委員として本件再開発事業に関与していた
(「まちづくり計画研究会」に改組後も引き続き委員に就任した。甲22)。
ウ(ア) その後,公団は,尼崎市や協議会の意見を聴取し,尼崎市都市計画
審議会及び兵庫県都市計画地方審議会の議決を経て,昭和62年8月14日,本件
再開発地区の都市計画(本件再開発事業計画)決定を告示した。
 (イ) その結果,同年9月には,第一地区促進協議会が発足した。
エ 公団は,権利変換計画を策定するに当たり,「権利変換基準」を定め
た。 同基準は,権利床の配置について,施設建築物の合理的利用に適合すること
を前提として,次の各号を総合的に判断して定めると規定し(6条本文),まず,1
号において,当該施設建築物の立地条件にかんがみ,総合的かつ長期的視点から施
設利用計画,用途構成計画を決定し,その計画に従った権利床配置計画を行う,ま
た,3号において,個々の権利床の配置は従前土地,建物の利用状況,位置等を考
慮して調整する,とそれぞれ規定されていた(甲11)。
オ 公団は,原告を含む権利者らと個別に権利変換調整を行い(なお,原告
との個別折衝の経緯,内容については後記第3の1(4)参照。),原告との間では,
平成3年1月26日,原告が所有する,第一地区内の土地及び建物を下記③のとお
り評価し,上記ア(ウ)aないしeの各建築物のうち,次の①及び②の各建物の所有
権(これらに付帯する敷地権を含む)を原告に権利変換するという案につき,原告
の同意を得た。
① 業務床 A1棟  2階     22.37㎡
     A2棟  2~4階 2262.66㎡
     A3棟1 1~2階  822.83㎡
     A3棟2 2階    285.61㎡
     A3棟3 1階     37.05㎡
② 住宅床 A1棟  2~6階       8戸
     A2棟  5~8階      32戸
     A3棟1 3~9階      40戸
     A3棟3 2~6階     13戸
(以下,上記①及び②の各建物を総称し,「本件権利変換物件」とい
う。)
③ 従前資産額(概算額) 45億5991万6000円
④ 権利変換後の権利(本件権利変換物件)の価格
  上記①業務床の価格  17億5910万4000円
 上記②住宅床の価格  27億9507万5000円
⑤ 従前資産残額         573万7000円
カ 上記オの内容を含む権利変換計画案(床配置設計図を含む。)は,平成
3年2月9日から同月22日まで縦覧に供された後,同年7月11日付で,権利変
換期日を平成3年8月11日とする内容で建設大臣の認可を受けた(甲1,検乙1
の1ないし7)。
キ(ア) これを受け,第一地区内において,上記ア(ウ)の各建築物の建築工
事が同年10月に開始された(甲11)。
(イ) 上記各建築物の内装工事については,次のとおり区分されていた
(乙3)。
 a A工事として,公団の費用負担で,公団が設計施工する工事(内装
工事に取り掛かる前の状態までの工事)
 b B工事として,入店者の費用負担で,入店者の設計によりA工事部
分をやむを得ず変更せねばならない場合の工事で,A工事施工業者が施工する工事
(例えば,当初配置した設備の変更や内装設計により必要とされる防災設備[自動
火災報知器・スプリンクラー等]の増設工事)
 c C工事として,入店者の費用負担で,入店者が設計施工する工事
(内装の下地,仕上げ工事,天井工事,冷暖房・給排気工事,配電盤取り付け・配
線・照明工事,給排水工事,ガス工事等)
ク(ア) 原告は,平成6年3月18日,上記キ(イ)aのA工事をした状態
(いわゆる「スケルトン渡し」と呼ばれる,内装工事に取り掛かる前の状態)であ
った本件各物件を含む本件権利変換物件の引渡しを受けた。
 (イ) なお,上記引渡しの際に作成された引渡書には,公団が瑕疵担保責
任を負わないこと,瑕疵補修期間として施設の専有部分については引渡日から2年
間とすること等の記載がされていた(甲7)。
(3) 本件各物件の賃貸状況
原告が公団から引渡しを受けた後の,本件各物件の賃貸状況は,次のとお
りである(甲22,26ないし29,38,43,弁論の全趣旨)。
ア A2棟202号室(別紙物件目録1記載の建物。以下省略。)
  平成12年5月25日からB株式会社に賃貸中。
イ A2棟301号室(別紙物件目録2記載の建物。以下省略。)
  平成10年3月1日からC株式会社に賃貸中。
ウ A2棟302号室(別紙物件目録3記載の建物。以下省略。)
  入居者なし。
エ A2棟401号室(別紙物件目録4記載の建物。以下省略。)
(ア) 一部(全体約253坪のうち56.24坪)について,平成9年6
月11日から同11年1月末まで,株式会社Dに賃貸。
  現在空室状態。
(イ) 一部(全体約253坪のうち34.43坪)について,平成10年
4月1日から同13年4月末日(予定)までE相互会社に賃貸。
(ウ) 一部(全体約253坪のうち19.76坪)について,平成10年
5月1日から株式会社Fに賃貸中。
(エ) 一部(全体約253坪のうち24.11坪)について,平成11年
6月1日から同年11月30日まで株式会社Gに賃貸。その後,同年12月10日
から同12年2月末までH株式会社に賃貸。
  現在空室状態。
(オ) 一部(全体約253坪のうち11.03坪)について,平成11年
11月1日からI株式会社に賃貸中。
(カ) 一部(全体約253坪のうち40.42坪)について,平成12年
3月6日から株式会社Jに賃貸中。
(キ) 一部(全体約253坪のうち80.35坪及び14.42坪)につ
いて,平成12年8月1日から株式会社Kに賃貸中。
(ク) 一部(全体約253坪のうち22.70坪)について,平成12年
9月1日からLに賃貸中。
(ケ) 一部(全体約253坪のうち14.535坪)について,平成13
年2月14日からM株式会社に賃貸中。
オ A3棟204号室(別紙物件目録5記載の建物。以下省略。)
  平成6年10月25日から同9年10月31日まで,医療法人Nに賃貸
(看護婦の更衣室として利用)。
  現在空室状態。
カ A3棟207号室(別紙物件目録6記載の建物。以下省略。)
(ア) 一部(全体約206坪のうち175.1坪)について,平成11年
7月16日から被告に賃貸中。
(イ) 一部(全体約206坪のうち25.10坪)について,平成11年
11月15日から同13年4月20日(予定)までOに賃貸中。
キ A3棟214号室(別紙物件目録7記載の建物。以下省略。)
(ア) 一部(全体約63.72坪のうち9.64坪)について,平成9年
4月1日からPに賃貸中。
(イ) 一部(全体約63.72坪のうち9.64坪)について,平成9年
7月7日から有限会社Q(ビジテックに商号変更)に賃貸中。
ク A3棟215号室(別紙物件目録8記載の建物。以下省略。)
 平成6年9月1日から同9年9月30日まで,株式会社Rに賃貸(ただ
し,平成8年9月1日からは全体55.63坪のうち22.36坪の範囲に賃貸部
分が減少)。
 現在空室状態。
2 争点
(1) 権利変換についての,施行者の注意義務の内容・程度
(2) 本件各物件の賃貸用物件としての商品性(賃貸用物件としての「欠陥」の
有無)
(3) 損害の有無及び額
(4) 消滅時効の成否(被告の抗弁)
3 争点に対する当事者の主張
(1) 権利変換についての,施行者の注意義務の内容・程度
(原告の主張)
ア 公団は,本件再開発事業手続全般の主宰者であり,また,再開発事業を
目的のひとつとして設立された公法人であるから,事業遂行に当たり,原告を含む
従前の権利者らに損害を被らせないよう高度な注意義務が課されていると解すべき
である。
イ そして,上記義務の内容として,公団は,原告に対し,本件権利変換物
件を権利者に引き渡すに当たり,本件再開発地区の持つ身近で親しみやすい,いわ
ば大衆的なイメージを強調するというコンセプトや,大阪と神戸という大都市の中
間に位置する尼崎という中都市という地域性,立地条件等の周辺環境から導かれる
現実の賃借需要を十分調査し,これに合致したものを設計,建築した上,原告が本
件権利変換物件の引渡を受けた後,相当な期間内には,第三者に賃貸できるように
配慮すべき注意義務がある。
ウ しかしながら,公団は,現実の賃借需要(大規模事務所又は店舗用物件
に対する賃借需要は少ない。)や周辺環境にも合致せず,かつ,基本設計上の問題
点がある(そもそも,大規模事務所又は店舗用物件としての構造や機能を備えてい
ない上,小規模に区割りをして賃貸し得るような構造でもない。)。本件各物件を
原告に権利変換により引き渡したため,適切な価格での借り入れ希望者がほとんど
現れない状況を生じさせ,もって,上記注意義務を怠った。
(被告の主張)
ア 再開発事業の施行者は,権利変換すべき施設建築物を権利者側と協議し
て建て,その利便性についても各床の権利者側の要望を聞き,これを配慮して施設
の建築をしているが,引渡後の賃貸を配慮することまでは事業の内容としていな
い。
イ 引渡後の施設建築物をどのように利用するのかは,所有者(権利者)の
意向によるものであり,また,賃貸借することを希望していても,賃貸借の条件や
テナントの有無など経済状況の変化に対応すべきは,当然所有者であり,施行者に
ゆだねられているものではない。
ウ 原告と被告の10年以上にわたる本件再開発事業への関わりをみても,
権利床の範囲,内容はその実体が出来上がるまでの間,終始原告の意向に沿ってな
されてきた経過があり,それにもかかわらず,賃貸配慮義務なるものが主張できる
となると,賃貸用の業務床についてはテナント付けが施行者に義務づけられること
になる。再開発事業の権利変換は行政処分であり,事業自体都市再開発法の規定に
より実施されるもので,原告の主張を裏付ける具体的規定はない。しかも,同法
は,権利変換を受けるか,これを受けず補償金を取得して地区外に出るか,権利者
の判断にゆだねている(同法71条1項)。原告が権利変換を受けるについて業務
床を取得するか,そのほか,住宅床を取得するかも任意で決めたことであって,取
得した物件の将来の収益まで保証することが施行者にできないことは自明である。
エ 原告は,権利変換について不服があれば,都市再開発法128条によ
り,建設大臣に対して審査請求すべきであったが,これをしなかった以上,権利変
換は確定している。
オ さらに,原告は,建物の建築工事の進行中,建物の完成前の時点で,建
築等の専門家に依頼して,テナント付けや内装関係について相談しているが,その
際,公団に対して,是正工事について若干交渉の申入れをしたものの,区割りなど
について何ら申出をしていないし,かつ,本件権利変換物件の引渡後も,公団に対
して,瑕疵補修の具体的交渉はなく,その期間も経過している。
カ したがって,原告主張の注意義務違反は存在しない。
(2) 本件各物件の賃貸用物件としての商品性(賃貸用物件としての「欠陥」の
有無)
(原告の主張)
 公団は,原告に対して,権利変換により本件各物件を引き渡す旨の申入れ
をした段階で,賃貸用店舗及び事務所としての本件各物件を引き渡す旨約したので
あるから,本件各物件は,「賃貸用店舗」「賃貸用事務所」として,建物構造上は
もちろん,地域適応性や利便性等からみて賃貸用の「商品」として適当な配慮がな
された物件でなければならず,これを著しく欠く場合は「欠陥」を有すると言わざ
るを得ない。
 しかるに,本件各物件には,上記観点からみて,次のとおり「欠陥」が認
められる。
ア A2棟(別紙物件目録1ないし4記載の建物を専有部分として含む建築
物)について
(ア) 来訪者に対する配慮について
a A2棟は,1階部分が店舗用,2階から4階部分が事務所用,5階
から8階部分が居住用となっている複合住宅であるが,このような複合住宅を建築
する場合,上記事務所部分への来訪者が一見して判別できるように,他の店舗用部
分及び居住用部分との間で色彩を分けるといった配慮や,事務所の場所が分かりや
すいように告知スペースを分かりやすい場所に設けるといったサインアップ計画が
必要であるのに,現実には,同棟の各部分は,すべて類似した色彩で,かつ,上記
告知スペースもなく,何ら配慮がなされていないため,窓を看板代わりとして使用
している状態で,建物の美観を損ねている。
b A2棟の東側道路(長洲線)は,従来からの幹線用道路であり,日
常的な動線が発生することは当然予想されるから,企画設計段階において,上記道
路に面した部分を表玄関として位置付けるべきであったが,現実には,同道路沿い
の位置には,非常階段しかなく,何らの配慮もなされていない。
  また,上層階の事務所については,その入口の設定場所や設定状況
は極めて重要な問題であり,人の動線(日常の人の流れ)を十分に考慮して,抵抗
なく,事務所のある上層階に導くように企画,設計する必要があるのに,現状で
は,建物の奥まったところに,わざわざ入口のエレベーターや階段を隠すようにし
て設置し,極めて来訪者に分かりにくいものにしている。
c 事務所空間のエントランスは,その会社の「顔」として機能するも
のであり,これに応じた位置に配置するといった配慮がなされる必要があるのに,
現実には,同エントランスは,来訪者に分かりにくいところに設置されているとと
もに,通り抜け通路と一体となっており,かつ,自転車置場や安売り会場の広場
(タイムセール)としても利用される場所となっており,上記配慮がなされていな
い。
(イ) 事務所賃貸における配慮について
a 事務所用物件の空間は,テナントの要求や事務内容の変化に対応で
きるように融通性をもち,単純明快な空間とするため,大きな空間としながらも,
必要に応じて軽量間仕切壁などで小部屋に区切ることができるようにする計画が一
般的である。
b そして,特に,本件各物件が位置する尼崎という地域は,もとも
と,事務所や店舗が多く集まるオフィス街という地域ではなく,いわば工業地帯と
いえる地域であるため,事務所需要自体が少なく,現実にも,同地域で営業する事
務所や店舗は,一般的に10坪からせいぜい20坪前後の規模であるから,このよ
うな需要状況を事前に十分調査した上,事務所用物件の空間は,10坪から20坪
の区画にできるような対応(構造,空間,電気設備,窓等)にしておく必要があ
る。
c しかし,現実に出来上がったものは,いたずらに面積を拡大すべ
く,事務所用物件であれば,通常,共用廊下を内部に設計すべき配慮が必要である
にもかかわらず,共用廊下が内部になく,一度,エレベーターやロビーで内部空間
を経由しながら,外部廊下に出た上,各事務所に入る設計となっている。
d また,一区画50坪から100坪という大きな区画設定をしている
ことから,小さな区画割りへの対応が困難である。
e そして,大きな区画を想定するならば,同区画で執務するであろう
人数に対応できる便所及び給湯室等の設備を備えるべきであるにもかかわらず,こ
れらの対応がなされていない。
f 加えて,大きな区画を想定するならば,その需用者は,大手企業と
考えるのが一般的であるが,その場合,必ず,インテリジェント仕様の対応が求め
られるが,そのような設計になっていない。
g さらに,大企業の入居を考えるならば,建物の「顔」というべきエ
ントランスはそれ相応の高級感を備えることが要求されるのに,前述したとおり,
エントランスが通り抜けになっており,自転車置き場,安売り会場として利用され
る広場になっていて,全くこれとはそぐわないものとなっている。
(ウ) 各部屋について
a 202号室について
 現時点では借主がいるが,今後現借主が退去した後は,分割して賃
貸せざるを得ない。その場合には,以下の不都合が生じる。
(a) 入口が1つで,共有部分にトイレ及び湯沸器がない。
  部屋の中に1つしか洗面台がなく,水回り施設が設置されていな
い。
  したがって,細分割化された場合はこれに対応すべく追加工事を
行うことが必要となり,その費用がかかる。
(b) いくつかの部屋に区分しようとすると,多数の大きな柱,空調設
備,電気配線,採光等の問題により,区分の仕方が限定される。
(c) 部屋の中に通路を新設せざるを得なくなり,いわゆるレンタブル
化(所有面積に対する賃貸面積の割合)が低くなり,利益面が悪化する。
(d) さらに,現状の天井高でフリーアクセス用の床上げをすると,か
なり圧迫感を感じる。
b 301号室について
 現時点では借主がいるが,退去後は細分割して賃貸せざるを得ず,
202号室と同様の問題がある。
c 302号室について
(a) 上記物件は,引渡を受けてから7年も経過するのに,一向に賃借
人が現れない。
  これは前述したように,大きな区画での需要がないこと,また,
小さな区画に分割する場合にも,もともとそのような設計になっていないので,借
主の希望に沿えないことが多いからである。
(b) また,細分割化については202号室で指摘した点が賃貸借の障
害となる。
d 401号室について
(a) 当初,被告に差し入れていた誓約書(甲2の6)のように1室と
しての賃貸であれば入居者はいなかった。
(b) また,もともと設計されていた外部廊下による5部屋程度の細分
割化(39.76坪~57.79坪。甲3)でも,入居者の希望に対応できず,内
部廊下を新設して,更に細かく分割しなければならなかった。
(c) しかし,構造上必ずしも思っているとおりの細分割ができず,入
居を断られたことも多かった。
(d) また,更なる細分割化のため工事費も余計にかかることとなっ
た。
イ A3棟214号室及び215号室について
(ア) 共通する点について
a これらの部屋が入っている建物の入口や案内表示が非常に分かりに
くい。 
b また,モール側から入口への動線が狭い通り抜け通路を使用してい
るため,貧弱である。入口は会社の「顔」となるべきものであるから,このような
欠陥は賃貸用物件の商品として致命的である。
(イ) 214号室について
 引渡後3年を経過し,全体を3つに区画したが,せいぜい,その一区
画(18.42坪)の半分の面積についての借主しか現われず,入口の分かりにく
さから需要が限定されているといわざるを得ない。
(ウ) 215号室について
a 床面積が55.63坪と広い区画であり,このような広い面積を一
区画として借りたいという需要は皆無である。
b 55.63坪も必要とする企業は大企業かそれに準ずる企業と考え
られるが,そのような企業にとって入口が分かりにくく,貧相であることは問題で
ある。
c また,適当に分割することもできない。
  部屋の入口の状況から中央を南北に区切るしかないが,この場合,
一部分は採光が取れなくなり,事務所としては不適である。
ウ A3棟204号室について
(ア) 入口が分かりにくい。
 a 特に,入口までアプローチする梁が高さ約1.8メートルしかない
ところに設置されており,「頭上注意」という注意書きを大書しなければならない
ほど,通過時に注意を要し,危険である。
b また,駐車場及び駐輪場に隣接する出入口のため,ショッピングモ
ールとの連たん性は失われている。
c 他方の進入路も,ショッピングモールから奥まり,人通りが少ない
ため,一般の来訪者には全く分からないものと思われる。
  そもそも,会社の「顔」であるエントランスとしての外観を有して
いない。
(イ) 店舗用物件であれば,建物の外部からそこに店舗があるということ
が分からなくてはならないが,建物のすぐ外側にファン室の壁が存在し,外部から
204号室が見えず,店舗用物件としては全く商品として価値がない。
(ウ) 現況でも低い天井や,大梁の存在によって圧迫感を感じる上,室内
の床レベルを外部の床レベルに合わせるため,床を上げる等の内装工事をすれば,
より一層圧迫感を受ける。このような物件は特に集客性が重要な飲食店に不向きで
ある。
エ A3棟207号室について
(ア) 駐車場について
 a 公団は,この物件をファミリーレストラン用として企画し,提案し
ているが,立地条件から見て,地域密着型の小商圏内の居住者だけでの事業成立は
考えにくく,広域商圏からの車による通過来訪者への対応が要求されている。
  そして,通過来訪客にとって重要なのは店舗近隣(通常は敷地内)
の駐車場の整備が必須条件である。
  しかるに,207号室には,そのような駐車場が存在しない。
b なお,体育館地下駐車場では通過来訪者に分かりにくく,入店機会
を損なう原因となり,有効ではない。
(イ) 店舗の規模について
 a 207号室の店舗は,南側にメインエントランスが1つ,西側に非
常階段が1つ設置されているだけで,1業態1店舗で206.28坪の広大な面積
を有するものが計画されていた。
   したがって,予想される客席も200席近いものとなるが,採算面
において可能なのか十分に検討されたとは到底思えない。
b 207号室はパイプシャフトの位置からも,1つの店舗として計画
されており,自由に細分化できない。
  また,巨大な耐震壁が自由な分割の妨げになっている。
  さらに,分割化には内部に共用廊下を新設する必要が生じ,著しく
レンタブル化(有効面積率)を悪化させる。
c 内部は12角形のデコボコ上の形状になっている。しかも,分厚い
耐震壁を数か所に設けているため,自由な区画設計がなし得ない。
(ウ) その他について
a 207号室の店舗は,上記規模であることから,幅広い年齢層と広
範な大衆を顧客対象とした誘引のための配慮が必要であるにもかかわらず,その位
置は,不動産の角地特性を享受できる幹線道路(長洲線)側南東角の位置になく,
同道路沿いから見ることができず,その存在感をアピールできない。
 また,207号室の店舗の窓の外に外壁が設置されているため,外
から見えない。この点,空調機の室外機を見せるとみっともないので外壁で見せな
いことが必要というが,大規模レストランを企画している以上,店内の状況を長洲
線側に見せることに重点を置くべきであり,空調機の室外機についてはできるだけ
見えないように,あるいは見えてもみっともないと思われないように配慮すること
で足りる。
b そして,207号室の店舗への1階入口は,人通りが少ない南側で
あり,商店にとって重要な「顔」である玄関の意味を全く無視された。
  また,207号室への1階入口部分から,2階店舗玄関部分が見え
ず,1階から中2階に上がり,そして,中2階で折れて,2階の玄関部分に上がる
アプローチになっているため,初めての来訪者の誘引力が弱い。
c 広大な店舗であるにもかかわらず南側階段及び西側非常階段しか設
置されていないし,しかも,これらの階段は,食材,食器等の搬出入に適さない。
d 加えて,都市開発の場合,ゾーニングを考えて,店舗等の配置を考
えるべきである。しかるに,207号室のレストラン用店舗物件の隣に,葬儀相談
所を置く等,配慮を欠いている。
e よって,207号室は,レストラン用店舗としてはもちろんのこ
と,一般の賃貸用物件としてもその商品性を欠くものである。
(被告の主張)
 原告が主張するものは,いずれも「欠陥」といえるものではない。
 原告は,被告から権利変換計画により自己が取得すべき床,配置,構造が
どういうものか十分承知して,権利変換を受けたものであって,権利変換について
不服申立もなく,権利関係は確定している。
 しかも,原告が業務床の取得を特に要望したことで,床面積が広くなって
いるのである。
 原告が,取得した業務床について,どのような職種の営業として使用する
のか施行者と協議したことは事実だが,その床の仕切や内装をどうするのか,施行
者は一定の基準を示しただけで,その基準に合致する限り,具体的に原告側で定め
ることである。
 そして,内装工事の設計,施工は原告が依頼した専門業者によるものであ
って,トイレや湯沸かし器も同業者により設置されたもので,その数の不足など被
告に対してのクレームの対象とはならない。
ア A2棟について
(ア) 来訪者に対する配慮について
a 事務所が来訪者にとって判別できるようにする配慮は,表示上の問
題にすぎない。
b 動線は,JR尼崎駅北側からの人の流れが主体となっており,A2
棟の東側にある道路(長洲線)は,車の流れは多いが,第1地区に来る人の上記道
路からの流れは副次的であるにすぎない。
c エントランスが自転車置場になっているなどというのは,建物管理
上の問題にすぎない。
(イ) 事務所賃貸における配慮について
a 原告は,平成2,3年ころ,権利変換計画について個別折衝をして
いた段階から,大きな事務所にする意図で,公団担当者と交渉していたものであ
り,そのため,A2棟の設計者は,権利者である原告側の上記意向に応じて設計し
たものにすぎない。
b 外部廊下は,原告のみが所有する建物でなく,他の権利者も権利変
換を受けるべき建物であり,そのバランスや建築基準法等の法令に基づく制約上,
設計されたものにすぎない。
c また,区割りは,原告自ら自己の所有物件であるから自由にできる
し,共用部分に関して影響があれば,建物の管理組合との交渉をすべきであって,
区割りが不可能というものではない。
d 原告は,自ら広い部屋を要望したのであるから,経済事情が変わっ
たこと(バブルの崩壊や阪神大震災等)で,需要の変化に伴う負担を自らが負うの
は当然である。
(ウ) 各部屋について
a 202号室について
  2区画にはできるし,事務室として使用するのに支障はない。
b 301号室について
  301号室は借主がいるとのことであり,何らの支障はない。
c 302号室について
  302号室の借り手がないというのは,原告の宣伝不足や借り手が
望むような内装工事を施していないからである。
  現在の経済状況からすれば,全体的に賃料を値下げしたり,賃貸用
物件につき借り手市場であることを認識した措置や借り手が望むような内装工事を
自ら施すべきである。
d 401号室について
  401号室は借主があるようであり,むしろ,何ら欠陥といえるも
のがない証左である。
イ A3棟214号室及び215号室について
(ア) 表示上の問題は,管理組合との関係で協議して具体的に決めるべき
もので,被告との関係の問題ではない。
(イ) A3棟214号室及び215号室について,借り手が現にないこと
については,上記のとおり,原告の自己責任である。
ウ A3棟204号室について
(ア) 表示上の問題については,利用の仕方である。賃料を安くすると
か,原告側で特殊業種用に内装するとか,現状の経済事情に合致した方法を取るべ
きである。
(イ) 室内は,天井が若干低いが,これは内装工事により工夫した設計を
すればよいのであり,それが使用上必ずしも欠陥となるようなものではない。
エ A3棟207号室について
(ア) 現在被告が賃借しているが,自ら内装工事をやって内部が広いだけ
に合理的な使い勝手のよい状態となっている。広い部屋の場合には,内装工事によ
って極めて快適な空間が得られる見本である。
(イ) レストランの誘致ができない事情は,単にこの部屋の設計の問題で
はない。平成6年4月以降の時期とその後の我が国の経済状況の変化,JR尼崎駅
前の第2地区のオープンなどに影響されているもので,これに対応すべきは原告自
らであって,施行者ではない。
(3) 損害の有無及び額
(原告の主張)
ア 原告が被告の不法行為により,本件各物件引渡後,平成13年3月31
日までに現実に被った損害と今後13年間にわたって被る逸失利益は,次のとお
り,合計11億5295万3132円以上である。
(内訳)
 (ア) 現実化した原告の損害額 
   別紙「現実化した原告の損害額について」記載のとおり,合計6億2
569万7324円以上である。
 (イ) 今後13年間にわたって被る逸失利益
   上記(2)(原告の主張)のとおり,本件各物件については,その企画,
設計及び建築自体により,根本的な商品としての欠陥があるので,今後も現在の空
室率が続くと考えられるところ,少なくとも,引渡後20年間にわたって,本来,
安定した賃料が入るものとして企画されているべきである。
   よって,今後,13年間にわたる本件各物件の賃料及び共益費の逸失
利益を算定すると,次のとおり,合計5億2725万5808円となる。
a 被告が入居している業務床を除いた部分の逸失利益
  本件各物件の床面積は合計969.08坪であり,そのうち,平成
13年5月1日現在で,被告が入居している業務床を除いた部分の入居している業
務床は482.76坪であるので,本件各物件にかかる空室率は49.82パーセ
ント(482.76坪÷969.08坪=0.4982)となる。
  そして,通常,非稼働床の面積割合は,純利益の目処が一般に1割
とされていることから,1割の空室が認められるとしても,39.82パーセント
(0.4982-0.1=0.3982)の空室状態は.被告の不法行為によるも
のというべきである。
 よって,本来計画されていた賃料及び共益費の合計は,1年間で1
億4989万7292円であるから,今後,13年間の得べかりし利益は,合計5
億8621万2636円となる。
(1億4989万7292円×0.3982×9.8211[13年
間のホフマン係数]=5億8621万2636円)。
b 被告からの賃料収入
 原告は,被告に対し,平成16年4月30日まで175.1坪を月
額賃料及び共益費の合計179万9000円で賃貸しているので,今後3年間で得
べかりし利益は5895万6828円となる。
(179万9000円×12か月×2.7310[3年間のホフマン
係数]=5895万6828円)。
c したがって,今後13年間にわたる原告の逸失利益は,上記aの金
員から上記bの金員を除いた5億2725万5808円となる。
(5億8621万2636円-5895万6828円=5億2725
万5808円)
イ 弁護士費用                5000万円
ウ 以上のとおり,原告は,被告の不法行為により,上記ア及びイの損害を
被ったところ,被告に対し,そのうち,上記アの金員の一部である7億円及び上記
イの弁護士費用5000万円の合計7億5000万円の支払いを求める。
(被告の主張)
原告の上記主張はいずれも否認ないし争う。
(4) 消滅時効の成否(被告の抗弁)
(被告の主張)
 仮に被告が何らかの不法行為責任を負う余地があるとしても,原告は,公
団から本件各物件が入った建物躯体部分の引渡を受けて,現場確認した上,平成6
年1月28日にそれらの内装工事に着手し,その後,同年2月中にほとんど内装工
事を行い,A3棟207号室についてのみ,同年3月18日までに内装工事を行っ
たこととなっている。
 そうすると,原告主張のような欠陥があったとしても,原告側では遅くと
も平成6年2月末にはそのことが分かっていたものというべきであって,同時点か
ら3年余を経過した平成9年3月17日の本訴提起時には,損害賠償請求権の消滅
時効が完成しているので,これを援用する。
(原告の主張)
 原告が本件各物件の賃貸用物件としての適格性の欠缺ないし欠陥があるこ
と,また,それが被告側の設計,施工の過誤に起因することを知ったのは,本件権
利変換物件の引渡しを受け,自らテナントを募る等してから後のことである。
 よって,損害賠償請求権の消滅時効の起算点は,早くとも平成6年3月1
8日の本件各物件の引渡以前に遡るべきではない。
 したがって,本訴提起時には,未だ損害賠償請求権の消滅時効は完成して
いない。
第3 争点に対する判断
1争点(1)(権利変換についての,施行者の注意義務の内容・程度)について
  (1) 都市再開発法上の,施行者の義務
ア 都市再開発事業においては,市街地の空間の有効な利用,建築物相互間
の開放性の確保及び建築物の利用者の利便を考慮して,当該地区にふさわしい容
積,建築面積,高さ,配列及び用途構成を備えた健全な高度利用形態となるような
建築物が計画設計されなければならない(都市再開発法〈以下,単に「法」とい
う。〉4条2項3号参照)。
イ このように,市街地再開発事業は,都市機能の再編成のため,既存の建
築物を除去した後,その跡地に施設建築物,公共施設等を一体的に整備することを
目的とするものであるから,その事業の性質上,事業の遂行に伴い,既存の建築物
に関する従前の権利者その他の関係者の財産権を侵害するおそれを内包していると
いうことができる。
ウ したがって,再開発事業の施行者においては,この再開発事業を遂行す
るに当たって,従前の権利者その他の関係者に著しく不合理な不測の損害を被らせ
ることのないようにするとともに,法律に則った適正な手続を主宰すべき義務があ
ると解せられる。
エ 公団は,本件再開発事業においてその施行者として,都市計画の決定,
施行規定及び事業計画についての作成,認可,権利変換計画の作成,認可,権利変
換の実施,土地明渡の請求,建物の移転除去,再開発ビル・公共施設の建設工事と
その完了,更には清算に至るまでの本件再開発事業手続全般を主宰したことは明ら
かである(弁論の全趣旨)。
オ ところで,権利変換計画においては,施設建築物及び施設建築敷地の合
理的利用と関係権利者の利害の衡平に十分な考慮を払うことが求められている(法
74条)。
  さらに,公団は,権利者に与えられる施設の一部等はそれらの者が権利
を有する施行地区内の土地又は建築物の位置,地積又は床面積,環境及び利用状況
とそれらの者に与えられる施設建築物の一部の位置,床面積及び環境とを総合的に
勘案して,それらの者の相互間に不均衡が生じないように,かつ,その価額と従前
の価額との間に著しい差額が生じないように留意しなければならない義務を負って
いる(法77条2項前段)。
カ 公団は,上記趣旨を踏まえて,「権利変換基準」を制定している(前記
第2の1〈前提事実〉(2)エ)。
キ そして,施行者である公団においては,第一地区が日常生活に必要な商
品を生活密着で提供するというコンセプト(生活密着型)を理念としつつ計画され
た区域であること(前記第2の1〈前提事実〉(2)ア(イ))から,権利変換手続を実
施するに当たり,そのことを十分に考慮すべきであるといえる。
  (2) 不法行為法(国家賠償法)上の注意義務
ア ところで,前項で触れた諸基準は極めて概括的なものであって,行政行
為の適法性を判断する際の一定の基準ないし考慮要素とはなり得るが,上記基準等
はそれのみでは直ちに過失判断の内容となるべき注意義務の根拠になるものではな
く,したがって,これらに違背したからといって私法上も即違法となるものと解す
べきではなく,不法行為(国家賠償法)上の違法性は,これとは別個の見地から,
単に行政法規に対する適合性のみならず,侵害行為の性質・態様(行為の相手方か
らの事情聴取の有無などを含む。),被侵害利益の種類・内容,被害の回避可能
性,行政法規上の専門的・技術的裁量判断の許容範囲等さまざまな要素を相関的に
考慮した上判断されるべきである。
イ 本件において,公団は原告が第一地区において広大な貸地を所有してい
るということ及び本件各物件が賃貸用物件として供されるものであるということを
認識していたこと,並びに,原告への権利変換処分は,相手方の事実上の同意とい
う行政手法を先行させつつ行われているということ(前記第2の1〈前提事実〉(2)
オ)を勘案すると,本件各物件がおよそ第三者に対して賃貸することが不可能若し
くは著しく困難であってほぼこれと同視しうるということが明らかであるといえる
ような場合には,当該権利変換処分及びこれに付随する企画,設計,施工などの事
実上の行為が不法行為法(国家賠償法)上違法となる余地があるといわなければな
らない。
  (3) 原告の主張について
ア この点,原告は,公団は,本件再開発事業手続全般の主宰者であり,ま
た,再開発事業を目的のひとつとして設立された公法人であるから,本件再開発事
業遂行に当たり,従前の権利者等に損害を被らせないようにすべき高度の注意義務
があると主張する。
  しかしながら,原告が主張するような根拠をもって直ちに公団に通常以
上の高度な注意義務が要求されるとはいい難いし,そもそも,住宅・都市整備公団
法,同法施行規則,都市再開発法,同法施行令,同施行規則等の関連法令に照らし
ても,公団についてかかる特別の注意義務が課されていると解することは難しいと
いうべきである。
イ また,原告は,高度な注意義務の具体的内容として,公団には本件再開
発事業のコンセプト,地域性,立地条件等を十分調査し,賃貸用物件を取得する原
告に施設建築物の引渡後,相当な期間内には賃貸できるように配慮すべき高度の注
意義務があるとして,コンセプトや賃借需要に合致しない規模の建物を計画設計の
上,建築したこと,そのような区画を原告に複数割り当てたこと,大規模店舗・事
務所用の物件に見合う構造や機能を持たせた設計が配慮されていないこと,小規模
に区割りをして賃貸し得るような構造にしなかったことは,同注意義務に違反する
ものであると主張する。
  しかしながら,上記したところと同様,原告主張のような高度の注意義
務が被告に課されているとする根拠は見出し難いのみならず,原告が主張するよう
な積極的な義務については,これを肯定すべき特段の事情が認められる場合はとも
かくとして,一般的義務としてこれを肯定すべき根拠を見出すことはできない(原
告が指摘する上記各事項の個別的・具体的検討については,後記2参照。)。
  (4) 権利変換の内容に対する原告の認識の機会,程度
ア 都市再開発事業の施行者が,事業を円滑に進めるためには,また,関係
権利者の既存の権利を不当に侵害しないためには,個々の関係権利者から事前に意
見や要望をできるだけ聴取し,それを可能な限り事業遂行に反映させるなどの配慮
が事実上必要となると考えられるところ,前記第2の1(前提事実)(2)キ(ア)及び
証拠(甲11,19ないし22〈21については枝番を含む。〉,乙4,5の1,
2,乙6ないし10,16,17,18の1,2,証人S,同T,原告本人)並び
に弁論の全趣旨によれば,公団は次のとおり原告との間で折衝を行いあるいは権利
変換の内容についてこれを周知させるための措置を講じたことが認められる。
昭和62年9月 第一地区事業促進協議会が結成されて,原告はこれに
参加し,どのような施設建築物が作られるのか施行者側と協議している。
        このころ,原告には日本長期信用銀行所属の専門家が
コンサルタントとしてつき,原告を補佐していた。
平成元年9月  公団は権利者に対する全体説明会を開催した。
平成2年8月~同3年7月 
        再開発審査会が5回にわたり開催され,原告もこれに
出席している。
        原告は,この間に,権利変換についての個別折衝を3
回にわたり受けている。
平成3年7月  原告は安田信託銀行,株式会社さんようにテナント探
しや内装工事の設計,施工を依頼した。
平成3年10月 施設建築物着工。
平成4年12月 公団は,権利者側に対して,A(躯体)工事,C(内
装)工事,B(A変更工事,防災)工事の区別を説明するため,設計説明会を開催
した。
平成5年12月17日
        原告と妻は,安田信託銀行及び株式会社さんようの各
担当者とともに,権利変換を受けた床を実際に見た。
同日      株式会社さんようの内装設計者選任届が公団に提出さ
れ,同会社の担当者と公団の担当者との間で,Aー2棟の2ないし4階の便所の位
置を決めるについての調整がなされた。
平成6年1月28日
        原告は,C工事施工業者を株式会社さんようから株式
会社金山工務店に変更し,同社から,同年3月18日までに工事を終えるという内
容の工程表が公団に提出された。
イ 前項認定のとおり,原告は施設建築物の建築が進行し,その完成,引渡
(平成6年3月18日。前記第2の1〈前提事実〉(2)ク(ア))前に建築等の専門家
に依頼して,テナント付けや内装関係について相談していたが,公団に対して本件
各物件につき区画割りなどの申出をしておらず,工事が完了して引渡を受けた後も
瑕疵補修の申入れを行ったことはなかった。
ウ ところで,証拠(証人S,同A)によれば,平成5年12月17日に原
告が本件権利変換物件を見聞した際に,床の区割りのための壁を設置する旨の要望
を有し,その申入れを公団に対してしていたならば,公団はこれに応じることも可
能であったものと認められる。
エ なお,上記ア認定の具体的経緯に照らすならば,原告が前記(3)イにおい
て主張しているような,賃貸可能物件を引き渡すための前提としての調査義務等の
積極的注意義務を公団に課することを相当とすべき特段の事情は認められないとい
うべきである。
  (5) そのほかの考慮要素
 権利変換処分及びこれに付随する企画,設計,施工などの事実上の行為の
注意義務違背ないし違法性を判断するに当たっては,次のような諸事情も斟酌され
るべきである。
ア 公団は,施設建築物の建築中,原告の要望に沿って,A3棟207号室
のファミリーレストランに出入りする客のためのエレベーターを設置するために床
に工事をするなど,原告から要望があれば,可能な限り,それに沿うような配慮を
していたことがうかがわれる(証人S)。
イ 原告は,権利変換処分について何ら不服申立手続(法128条)をして
いない。
ウ 法は,権利変換を受けるか,これを受けず補償金を取得して,地区外に
出るかについて,権利者の意思によるものとしている(法71条1項)ところ,原
告は権利変換を希望し,しかも,清算金額圧縮の,強い要望を有していた(乙1
7,証人T)。
エ 元来,建築物の構造,設備は設計思想や意匠的な価値判断と密接な関連
があり,賃貸用物件としての適正判断においても,主観的な判断を全面的に排除す
ることはできず,客観的にみて不適正と判断できる場合は極めて限定されざるを得
ないところ,原告が構造上の欠陥として指摘する(甲17参照)ところの,かなり
の事項についても上記判断の特殊性を排除することができないものと考えられる。
2 争点(2)(本件各物件の賃貸用物件としての商品性〈賃貸用物件としての「欠
陥」の有無〉)について
(1) 公団に注意義務違背があるか否かの判断をするに当たっては,当該判断そ
のものを本件各物件の瑕疵該当性を検討することと離れて行うことはできないの
で,次に,本件各物件に関する構造上の問題点等につき,原告の指摘に即して,順
次検討することとする。
ア A2棟(本件各物件のうち別紙物件目録1ないし4記載の建物を専有部
分として含む建築物)について
(ア) 確かに,同棟内の事務所用部分に来訪する者にとっては,その入口
が何らかの表示上の工夫をしないと分かりにくい構造となっていること,その東側
道路(長洲線)側には非常階段しか設置されていないこと,同棟内の事務所の構造
についても,本件各物件のうち別紙物件目録1ないし4記載の建物を含め,比較的
面積が広い区画に仕切られ,各区画とも,細分化を見越した構造になっていないこ
と,以上の各事実が認められる(甲15,17,39,検甲1ないし84)。
(イ) しかしながら,入口がどこにあるかは案内板を分かりやすい位置に
設置したり分かりやすい表示内容を工夫するなどすれば改善が可能であること(乙
12),A2棟の玄関口は,JR尼崎駅からの動線を考慮して設置されていること
(甲31),本件再開発事業における権利変換計画上,原告は,被告から上記各区
画につき内装工事前の状態で引渡を受け,その後,原告又は原告が賃貸した賃借人
の費用負担により,上記各区画につき,内装工事をすることが予定されていたもの
であり(前記第2の1〈前提事実〉(2)キ(イ)及びク(ア)参照),上記各区画をどの
ように利用するかは,原告にゆだねられ,かつ,その内部を区分して,賃貸するこ
とも可能であり,また,その内部を区分することにより,賃貸する部分が著しく減
少し,その物件の価値自体が権利変換に際して,評価した価値からして均衡を失す
る程度に減少するとまではいえないこと(甲7,31,32,乙3)からすると,
上記(ア)によっても,本件各物件のうち別紙物件目録1ないし4記載の建物につ
き,第三者に対して賃貸することが不可能若しくは著しく困難であってほぼこれと
同視しうるということが明らかな程度の構造上の問題点があるとはいい
難い。
(ウ) なお,A2棟に関する,原告のその余の主張については,いずれ
も,上記各区画程度の広さの事務所の賃貸を容易にするためには,配慮が必要な事
柄であるとはいえるが,そうであるからといって,被告がそのような配慮を当然に
なすべき根拠は認められず,上記(イ)の認定を左右するには足りない。
イ A3棟214号室及び215号室について
(ア) 原告は,同各号室につき,賃借需要がないことをとらえ,構造上の
問題がある旨主張するが,同需要がないことの理由が,原告の主張するような入口
の分かりにくさ,区画の広さ及びその分割の困難さのみによるものであることを認
めるに足りる証拠はない。
(イ) そうすると,上記アで認定したのと同様に,原告の各主張は,いず
れも,相応の広さの事務所を第三者へ賃貸することを容易にするためには,配慮が
必要な事柄であるとはいえるが,そうであるからといって,第三者に対して賃貸す
ることが不可能若しくは著しく困難であってほぼこれと同視しうるということが明
らかな程度の構造上の問題点があるとは認め難い。
ウ A3棟204号室について
(ア) 確かに,同号室については,前記第2の3(2)(原告の主張)ウで原
告が指摘するようにいびつな形状であり,かつ,入口が分かりにくいという特徴が
認められ(甲15,17,39,45,検甲88ないし93),飲食店としての賃
借需要という面からみても相当程度限定される物件であるということができる。
(イ) しかしながら,内装工事を施すことにより飲食店として利用する価
値を高めることは全く不可能ではなく,案内板や広告等により周知性を高めること
も可能であることからすると,原告が指摘するような事柄のみをもって,第三者に
対して賃貸することが不可能若しくは著しく困難であってほぼこれと同視しうると
いうことが明らかな程度の構造上の問題点があるということはできず,ほかにこれ
を認めるに足りる証拠はない。
(ウ) なお,204号室は上記のとおり賃貸用物件としての商品性が著し
く劣るものであるといえるが,もともと,都市再開発事業が多数の関係権利者との
利害の衡平を確保しつつ集団的,総体的な判断の下に施行されなければならない性
格の,複合的な一連の手続であることからすると,同室のみを単体で取り上げて,
権利変換物件が著しく多数であるところの原告について,その権利変換手続の違法
性の有無を確定することはできないというべきである。
エ A3棟207号室について
(ア) 確かに,同号室は,被告から原告に対し,ファミリーレストラン用
として利用できる旨の説明がなされていたこと(甲12の2,22,25,原告本
人),しかしながら,その集客を容易にする重要な要素となる入口の形状及び配置
につき,原告が指摘する配慮を欠く点があること及び来客者用の専用駐車場がない
こと,これに加えて,店舗内部の構造についても,パイプシャフトや耐震壁によ
り,細分化に当たり,一定の制約があること,以上の各事実が認められる(甲1
5,17,25,33,39,検甲100ないし129)。
(イ) しかしながら,同号室の構造及び形状については,もともと,地上
14階,地下1階の鉄筋コンクリート造のA3棟の全体構造上の制約が加わること
はやむを得ないものであり,かつ,同号室をファミリーレストラン用として利用す
るための方策が原告と被告との間で話し合われ,いったんはエレベーターによる入
口の設置を検討しながら,原告自身がこの計画を取り止めるなどした結果,現在の
形状になったものであること(乙16,17,18の1,証人S,原告本人),ま
た,同号室は,ファミリーレストラン用以外に利用する価値がないものではなく,
かえって,一時期は,そのほぼすべてにつき賃貸がなされていたこと(前記第2の
1〈前提事実〉(3)カ)からすると,上記アの各事情のみで,同号室につき,第三者
に対して賃貸することが不可能若しくは著しく困難であってほぼこれと同視しうる
ということが明らかな程度の構造上の問題点があるということはできないし,葬儀
相談所が同号室の入口に続く1階階段付近に隣接しているというゾーニングの問題
についても,地元協議会(原告も出席している。)の意向を踏まえつつ,商業店舗
の配置が決定されたという経緯(乙16)に照らすと,これをもって欠陥の有無
の,重要な判断要素とすることは適当でないし,また,初めての来訪者に対する誘
引力が弱い場所であるということ及び専用駐車場がないということのみでは,賃貸
用物件として致命的な欠陥があるとまではいえない。
(2) 広い区画の物件が原告に権利変換されたことについて,都市再開発の目的
との整合性(地域適応性)等との関係で,若干付言しておくこととする。
ア 本件再開発事業において,第一地区のコンセプトは生活密着型であり
(前記第2の1〈前提事実〉(2)ア(イ)),他方,本件各物件のうち,A2棟202
号室(床面積292.05㎡),同棟301号室(同311.99㎡),同棟30
2号室(同427.95㎡),同棟401号室(同836.31㎡),A3棟20
7号室(同681.93㎡),同棟215号室(同183.90㎡)はいずれも大
きな区画であることから,そのままでは,借主はどちらかというと比較的大規模な
営業を予定する業者に限定されること,本件再開発事業は中小企業が比較的多く存
在する区域を施行の対象としていることが認められる。
イ しかしながら,上記各物件の区画が大きいということのみで,上記コン
セプトに直ちに反するものとはいえず,本件各物件につき個別的に前記したとお
り,内装工事等を施すことにより小区画に区切り,第三者に対して賃貸することも
不可能ではないと思料されるところである(実際にも,原告はA2棟401号室
や,A3棟207号室,同棟214号室を小区画に分割して賃貸している。)。
ウ また,事務所ないし店舗用物件を借りようとする者が有するニーズは多
種多様であり,その建物の大きさや間取り等の物件の構造のみならず,営業内容や
店舗の種類等の賃貸目的,家賃の高低,交通機関とのアクセスの良否,環境,内装
の良否等,様々な要素を考慮するから,原告が指摘するような本件各物件の構造上
の問題のみを取り上げてそれが借り手が付かないことの原因であるとまでは確定し
難い(なお,一般に賃貸需要の予測は必ずしも容易ではなく,本件再開発事業が計
画され,上記権利変換計画に基づく着工がなされた平成3年10月の時点(前記第
2の1〈前提事実〉(2)キ(ア))において,その後の景気後退や不況の長期化を予想
することはできなかったものと考えられる。)。
エ 原告は,間仕切りのためには莫大な費用を要するとか,同工事を施工す
ることによっていわゆるレンタブル化(所有面積に対する賃貸面積の割合)が低く
なるとも主張する。確かに,原告主張のとおりの現実問題が発生することは否めな
いであろうが,もともと,本件各物件に欠陥があるか否かの判断は,それらの従後
概算額の適否及び権利床の床面積の過不足を離れては判断し得ないと考えられると
ころ,原告はこの点につき何ら指摘していない。言い換えれば,本件においては,
従後概算額の算定に当たっては,当然,広い区画のスケルトン渡しを前提とした積
算が行われていると考えられるところ,原告の主張においては,本件各物件がその
ままの状態で賃貸可能な物件としての評価がなされているにもかかわらず,実際の
仕様はそのようなものでないということの指摘は何もなされていないし,その立証
もない。
3 まとめ
  以上のとおりであって,争点(1),(2)について前記説示したところによる
と,本件において,権利変換処分及びこれに付随する企画,設計,施工などの事実
上の行為につき少なくとも違法性があるとは認められず,原告の被告に対する,民
法709条に基づく請求(権利変換処分等,公権力の行使に係る行為については国
家賠償法1条1項に基づく請求)はその余の点につき判断するまでもなく理由がな
いというべきであるから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴
法61条を適用して,主文のとおり判決する。
 神戸地方裁判所尼崎支部第2民事部
     裁判長裁判官高 山 浩 平
     裁判官坂 上 文 一
     裁判官右 田晃 一

  
      物 件 目 録略
           
 

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