弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1原判決を次のとおり変更する。
第1審判決を次のとおり変更する。
(1)上告人は,被上告人に対し,110万6134
円及びうち65万円に対する平成17年2月26
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支
払え。
(2)被上告人のその余の請求を棄却する。
2訴訟の総費用は,これを10分し,その1を上告人
の負担とし,その余を被上告人の負担とする。
理由
上告代理人須藤典明ほかの上告受理申立て理由について
1本件は,自動車同士の衝突事故により後遺障害の残った被上告人が,加害車
両の保有者が不明であるため,上告人に対し,自動車損害賠償保障法(以下「自賠
法」という。)72条1項前段に基づき,上記後遺障害による損害のてん補を求め
る事案である。
被上告人は,自賠法72条1項,同法施行令20条,2条1項2号イの定める限
度額(以下「法定限度額」という。)である4000万円から,上告人により既に
てん補された2312万3480円を控除し,更に被上告人が原審の口頭弁論終結
時までに支給を受けた労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)に基
づく障害年金の額である342万5260円を自賠法73条1項に基づき控除し
て,残額1345万1260円及びこれに対するてん補請求の日の翌日である平成
17年2月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金と,
上記の上告人による既てん補額に対する確定遅延損害金45万6134円の支払を
求めている。これに対し,上告人は,自賠法73条1項に基づき控除すべき障害年
金には将来の給付分も含まれるから,被上告人が障害年金の受給権を取得した当時
の年金額が平均余命期間支給されると仮定した場合における支給総額の現在額であ
る1622万6520円を控除すべきであると主張して,被上告人の請求を争って
いる。なお,上記の確定遅延損害金の請求部分については,当審の審理判断の対象
となっていない。
2原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1)被上告人は,平成15年11月1日,通勤途上,愛知県大府市米田町1丁
目474番地先路線上において,普通乗用自動車を運転中,信号を無視して進行し
てきた自動車に衝突され,同自動車は,そのまま走り去り行方不明となった。
被上告人は,上記の衝突事故により,頸椎骨折,頸髄損傷,脊髄損傷,外傷性く
も膜下出血等の傷害を負い,平成16年12月1日,第7頸髄節残存・以下完全四
肢麻痺,膀胱直腸障害,脊柱変形障害等の後遺障害(以下「本件後遺障害」とい
う。)を残して症状が固定した(当時66歳)。本件後遺障害は,自動車損害賠償
保障法施行令別表第1第1級1号に該当する。
被上告人の本件後遺障害による損害額は,法定限度額である4000万円を超え
る。
(2)被上告人は,上記(1)のとおり症状が固定したことにより,労災保険法に基
づく障害年金の受給権を取得し,平成17年1月17日,その支給決定(年額13
0万2080円)を受けた。被上告人が平均余命期間上記支給決定に係る年金額の
支給を受けると仮定した場合における支給総額の現在額は,1622万6520円
である。
(3)被上告人は,平成17年2月25日,上告人に対し,自賠法72条1項前
段に基づく損害のてん補を請求した。
上告人は,本件後遺障害による損害のてん補として,被上告人の本件後遺障害に
よる損害額を3935万円と算定し,同金額から上記1622万6520円を控除
した残額2312万3480円を支払うこととし,同年7月19日,被上告人に対
し,これを支払った。
(4)被上告人は,原審の口頭弁論終結時までに2度,傷病の再発により障害年
金の受給権が一時的に消滅し,傷病年金の支給決定(その年額は当時の障害年金と
同額)を受け,平成17年8月分並びに平成19年4月及び5月分については傷病
年金の支給を受けたが,傷病が治った後に上記(1)と同一の後遺障害が残り,その
都度,障害年金の受給権を取得し,その支給決定を受けた。
3原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,被上告人の請求
を全部認容すべきものとした。
自賠法73条1項にいう「損害のてん補に相当する給付を受けるべき場合」と
は,その「給付を受けるべき場合」という文理と被害者保護という自賠法の趣旨,
目的を併せ考えると,将来の給付分に関しては,これを受けられることが確実な場
合に限られ,給付を受けられるか否かが不確実な場合までは含まれないと解するの
が相当である。本件のような障害年金の場合,将来にわたって給付要件や給付額が
同一であるかどうかには不確実な点があり,また,受給者の受給権が途中で消滅す
ること等もあり得ること,現に被上告人についてみると,2度にわたり傷病が再発
し,その都度,障害年金の受給権が消滅したことに照らすと,被上告人においてい
まだ支給を受けることが確定していない障害年金は,その給付を受けられるか否か
が不確実であるということができ,自賠法73条1項所定の「給付を受けるべき場
合」に当たらないというべきである。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
自賠法73条1項は,被害者が健康保険法,労災保険法その他政令で定める法令
に基づいて自賠法72条1項による損害のてん補に相当する給付(以下「他法令給
付」という。)を受けるべき場合には,政府は,その給付に相当する金額の限度に
おいて,同項による損害のてん補をしない旨を規定している。上記文言から明らか
なとおり,これは,政府が自動車損害賠償保障事業(以下「保障事業」という。)
として自賠法72条1項に基づき行う損害のてん補が,自動車損害賠償責任保険及
び自動車損害賠償責任共済の制度によっても救済することができない交通事故の被
害者に対し,社会保障政策上の見地から救済を与えることを目的として行うもので
あるため,被害者が他法令給付を受けられる場合にはその限度において保障事業に
よる損害のてん補を行わないこととし,保障事業による損害のてん補を,他法令給
付による損害のてん補に対して補完的,補充的なものと位置付けたものである。そ
して,自賠法73条1項の定める他法令給付には,保障事業の創設当時から,将来
にわたる支給が予定される年金給付が含まれていたにもかかわらず,自賠法その他
関係法令には,年金の将来の給付分を控除することなく保障事業による損害のてん
補が先に行われた場合における他法令給付の免責等,年金の将来の給付分が二重に
支給されることを防止するための調整規定が設けられていない。
保障事業による損害のてん補の目的とその位置付けに加え,他法令給付に当たる
年金の将来の給付分に係る上記の調整規定が設けられていないことを考慮すれば,
自賠法73条1項は,被害者が他法令給付に当たる年金の受給権を有する場合に
は,政府は,当該受給権に基づき被害者が支給を受けることになる将来の給付分も
含めて,その給付に相当する金額の限度で保障事業による損害のてん補をしない旨
を定めたものと解するのが相当である。
したがって,被害者が他法令給付に当たる年金の受給権を有する場合において,
政府が自賠法72条1項によりてん補すべき損害額は,支給を受けることが確定し
た年金の額を控除するのではなく,当該受給権に基づき被害者が支給を受けること
になる将来の給付分も含めた年金の額を控除して,これを算定すべきである。
このように解しても,他法令給付に当たる年金の支給は,受給権者に支給すべき
事由がある限りほぼ確実に行われるものであって(労災保険法9条等),その支給
が行われなくなるのは,上記事由が消滅し,補償の必要がなくなる場合や,本件の
ように傷病が再発し,傷病の治療期間中,障害年金額と同額の傷病年金が支給され
ることになる場合などに限られるのであるから,被害者に不当な不利益を与えるも
のとはいえない。
なお,被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権の額を確定するに当たって
は,被害者が不法行為と同一の原因によって債権を取得した場合,当該債権が現実
に履行されたとき又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるとき
に限り,被害者の被った損害が現実に補てんされたものとしてこれとの損益相殺が
認められるが(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判
決・民集47巻4号207頁参照),自賠法73条1項は,被害者が加害者に対し
て有する損害賠償請求権を前提として,保障事業による損害のてん補と他法令給付
による損害のてん補との調整を定めるものであるから,損益相殺の問題ではなく,
上記と同列に論ずることはできない。
5以上と異なる原審の判断には,自賠法73条1項の解釈適用を誤った違法が
あり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。論旨は理由がある。
そして,本件後遺障害が残ったことにより取得した障害年金の受給権に基づき被
上告人が支給を受けることになる将来の給付分を含めた障害年金の額は,上記受給
権を取得した当時の年金額が平均余命期間支給されると仮定した場合の支給総額の
現在額をもって算定するのが相当であるところ,前記事実関係によれば,上記の現
在額は,上記受給権について支給決定がされた年金額に基づき計算すると1622
万6520円であるというのであるから,上告人が本件後遺障害に関しててん補す
べき損害額を算出するに当たっては,自賠法73条1項に基づき,上記1622万
6520円を控除すべきである。そうすると,被上告人の請求は,法定限度額であ
る4000万円から,上告人により既にてん補された2312万3480円を控除
し,更に上記1622万6520円を控除した残額である65万円及びこれに対す
るてん補請求の日の翌日である平成17年2月26日から支払済みまで民法所定の
年5分の割合による遅延損害金並びに前記1の確定遅延損害金45万6134円の
支払を求める限度でこれを認容し,その余は棄却すべきである。原判決は,上記と
異なる限度で破棄を免れず,原判決を主文第1項のとおり変更することとする。
よって,裁判官宮川光治の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文
のとおり判決する。
裁判官宮川光治の反対意見は,次のとおりである。
1私は,政府保障事業による損害のてん補額を定めるに当たって,労災保険法
による障害年金給付の将来分(具体的には障害年金給付が被上告人の平均余命年数
の間支給されると仮定した場合の支給総額の現在額)を控除すべきでないとした原
審の判断は,相当であると考える。本件は,自賠法73条1項の解釈が問われてい
るのであるが,広く,自賠法に定める政府保障事業による被害者救済の在り方をど
のように考えるべきか,という問題を提起している。
2昭和30年に制定された自賠法は,第1章総則1条において,「自動車の運
行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確
立することにより,被害者の保護を図」るという法律の目的を示し,第2章自動車
損害賠償責任3条において,運行供用者責任法理を創設した。そして,損害てん補
を確実ならしめるために,第3章において自動車損害賠償責任保険及び自動車損害
賠償責任共済(以下,併せて「自賠責保険」という。)の制度を定め,これらの契
約を強制し,第4章において自動車の保有者が明らかでない場合や保有者が保険に
加入していない場合等における政府保障事業の制度を設けた。こうした構造を有す
る自賠法は,自動車事故被害者全体を等しく救済することを目指したものであると
みることができる。被害者は,加害車両を選択することはできないのであって,ひ
き逃げ事故等に遭遇した被害者に対する政府保障事業による損害のてん補は,それ
が社会保障政策上の見地からの制度であるとしても,3条の規定による損害賠償請
求権を前提としているのであり,第3章における自賠責保険による損害てん補と,
本来,別異に考えるべきではない。自賠責保険は政令で定める保険金額を限度とす
る最低保障(基本保障)を形成するものにすぎず,その上積みは任意加入の自動車
保険がカバーするのであるから,最低保障(基本保障)としては同一であるべきで
ある。自賠法自体に別段の定めがない限り,そう考えることが自動車事故被害者の
保護を図るという自賠法の理念に沿うものである。
3政府保障事業の財源は,①保険会社及び責任共済事業を行う組合が納付する
賦課金(自賠法78条),②自賠責適用除外車についての賦課金相当額の国の会計
からの繰入金(同法82条1項),③国の一般会計からの繰入金(同法82条2
項),④無保険車の賠償責任者などから回収した代位求償金(同法76条),⑤無
保険車を運行の用に供した者から徴収される過怠金(同法79条),⑥附属雑収入
などである(特別会計に関する法律213条1項1号)。①②⑤でほとんどを占
め,③の一般会計からの繰入れは行われていない(自賠法附則2項)。①の賦課金
は純自賠責保険料に対する一定割合等により算出された金額で自賠責保険料に含め
て徴収される(自動車損害賠償保障事業賦課金等の金額を定める政令1条)。自賠
責保険への加入は車検とのリンクの強化が図られ,四輪車については皆保険に近い
状態であり,ひき逃げ事故も無保険車である場合は僅少であると思われる。このよ
うに,政府保障事業を含め,自賠法の制度全体は,車の保有者等が支払った自賠責
保険料を主な財源として運営されているのであり,自動車という危険物を保有する
者の共同責任の制度であると理解できる。政府は保障事業の運営を単に担当してい
るにすぎないのであって,制度論としても,近年,政府から損害料率算出機構や独
立行政法人への移管等の提案が見られるのも理由があることである。政府保障事業
の運用に関しては,国土交通省「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇
談会」報告書(平成18年6月30日)が,政府保障事業の運用のうち自賠責保険
と異なるものは,「可能な限り自賠責保険に近い損害てん補が行われるよう速やか
に運用を変更する」ことを提言しており,最大の問題点であった過失相殺の適用に
関する運用も平成19年4月1日以降の事故については自賠責保険と同じとなっ
た。今後,運用面ではさらに同質化が進んでいくものとみられる。
以上は,自賠法73条1項の解釈に当たっても,自賠法の理念に沿って,自賠責
保険への請求の場合と同一に解釈すべきことを基礎付ける事情というべきである。
4最高裁昭和50年(オ)第431号同52年5月27日第三小法廷判決・民
集31巻3号427頁は,第三者の行為による災害につき,厚生年金保険法又は労
災保険法に基づく将来の給付に関し,「いまだ現実の給付がない以上,たとえ将来
にわたり継続して給付されることが確定していても,受給権者は第三者に対し損害
賠償の請求をするにあたり,このような将来の給付額を損害賠償額から控除するこ
とを要しない」とし,非控除説を採用することを明らかにした。
第三者行為による災害における損害賠償と労災保険給付との調整は,労災保険法
12条の4第2項の調整規定に従って行われるが,昭和41年6月17日基発第6
10号労働省労働基準局長通達により,災害発生後3年以内に支給すべき年金につ
いてのみ,支給のつど第三者に求償を行い,第三者からの賠償がなされた場合は,
災害発生後3年以内に支給すべき年金についてのみ支給を停止するという処理がな
されている。労災保険給付の主たる財源となる労災保険料は,労働保険の保険料の
徴収等に関する法律の定めにより賃金総額に労災保険率を乗じて算出されるが,事
業者から徴収されることとなっているといっても,その実質は労働者の労働が生み
出したものとみることもできるのであって,労災保険給付が一定の範囲で重複する
ことがあっても,必ずしも不合理であるとはいえないと考えられる。また,加害者
と被害者間において損害を公平に分配するという損害賠償法によってはカバーされ
ない損害は広く存在するのであり,過失相殺の適用により十分に損害が回復されな
いということもある。労災保険給付については被災者の生活保障という側面がある
ことを考えると,重複てん補を一定範囲で許容する運用は是認できるというべきで
ある。
その後,最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・
民集47巻4号207頁(以下「平成5年大法廷判決」という。)は,地方公務員
等共済組合法の規定する遺族年金の給付事案において,「損益相殺的な調整を図る
ことが許されるのは,当該債権が現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度
にその存続及び履行が確実であるということができる場合に限られる」として,給
付された額及び支給を受けることが確定した額の限度で損害賠償額から控除し,い
まだ確定していない将来の年金額は控除しないと判断した。平成5年大法廷判決が
理由中において変更するとした最高裁判例及びそれらにおいて引用されている判例
をみると,その射程距離は労災保険法による将来の保険給付のすべてに及ぶものと
考えられる。平成5年大法廷判決は,控除範囲を現実の給付に限定した前記昭和5
2年最高裁判決を修正したが,非控除説を基本的に維持したとみることができる。
そして,平成5年大法廷判決は,「給付義務を負う者が共済組合であることに照ら
せば,遺族年金については,その履行の不確実性を問題とすべき余地はないという
ことができる。しかし,法の規定によれば,退職年金の受給者の相続人が遺族年金
の受給権を取得した場合においても,その者の婚姻あるいは死亡などによって遺族
年金の受給権の喪失が予定されているのであるから(地方公務員等共済組合法〔昭
和60年法律第108号による改正前のもの〕96条),既に支給を受けることが
確定した遺族年金については,現実に履行された場合と同視し得る程度にその存続
が確実であるということができるけれども,支給を受けることがいまだ確定してい
ない遺族年金については,右の程度にその存続が確実であるということはできな
い。」として,原審の口頭弁論終結時までに支給を受けることが確定していた月分
までを控除すべきであるとし,現実に支給を受けた額に限って損害額から控除すれ
ば足りるとした原判決を変更したのである。このように,平成5年大法廷判決は,
「現実に履行された場合と同視し得る程度にその存続が確実であるということがで
きる」場合についての判断基準を具体的に示している。
5自賠法73条1項は,「前条第1項の規定による損害のてん補に相当する給
付を受けるべき場合には,政府は,その給付に相当する金額の限度において,同項
の規定による損害のてん補をしない。」と定めているところ,原判決は,「『給付
を受けるべき場合』という文理と被害者保護という自賠法の趣旨・目的を併せ考え
ると,他法令給付による給付が現実に履行され,損害が現実にてん補された場合に
限定されるものではないものの,将来の給付分については,これを受けられること
が確実なものに限定され,給付を受けられるか否かが不確実なものまでは含まれな
いものと解するのが相当である。」としている。自賠法73条1項の文理は,原判
決のような解釈を拒み多数意見のように解釈しなければならないというほど明確で
はない。原判決の解釈は,文理解釈として可能である。また,原判決の判断は,平
成5年大法廷判決が損害賠償法の分野で示した判断に従っているものとみることが
できるのであり,前記のとおり,政府保障事業における損害のてん補と自賠責保険
による損害のてん補は基本的に別異に考えないことが相当であるので,是認できる
というべきである。多数意見は,同条項は「保障事業による損害のてん補を,他法
令給付による損害のてん補に対して補完的,補充的なものとして位置付けたもので
ある。」と述べ,その根拠として,同条項の文理解釈に加え,自賠法その他関係法
令には,保障事業による損害のてん補が先に行われた場合における他法令給付の免
責等,二重に支給されることを防止するための調整規定が設けられていないことを
挙げている。法の欠缺があることはそのとおりであるが,だからといって,被害者
救済機能を後退させてよいということではないであろう。この点に関して,原判決
は,「政府の損害てん補は,加害者が行う損害賠償に代わるもので,被害者の損害
てん補を目的とするものなのであるから,政府の損害てん補と労災給付との重複の
場面でも,労災保険法12条の4第2項を類推適用して,調整する余地がある」と
の解釈を示している。解釈論として成立し得る考えである。
6多数意見のように控除を肯定すると,被害者は,労災保険法の適用がなけれ
ば政府保障事業によるてん補金を法定限度額まで一括して受領できるにもかかわら
ず,適用がある場合は一括で受領したいと願っても定期金給付としての分割弁済を
強制されるということとなる。また,労災保険法の将来給付に関する,昭和41年
以来の前記の運用を考慮すると,ひき逃げ事故等に遭遇した被害者の救済とそうで
ない被害者の救済との間には相当な較差が生ずることとなる。そのような結果は,
不合理というべきである。
(裁判長裁判官櫻井龍子裁判官甲斐中辰夫裁判官宮川光治裁判官
金築誠志)

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