弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が,原判決別紙物件目録記載の各物件(後記のとおり訂正後のもの)
に関し,平成12年度分の固定資産税を同目録課税金額欄記載の各金額とした平成
12年1月1日付けの控訴人に対する賦課決定を取り消す。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
 事案の概要,争いのない事実等,争点及び当事者双方の主張は,原判決の「事実
及び理由」第2に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決別紙
物件目録6の所在欄の次に「家屋番号 223番3の2」を,同目録10及び11
の構造欄の「木造」をいずれも「鉄骨造」と改め,原判決2頁8行目の「作業所」
の次に「,倉庫」を加え,3頁3行目の冒頭の「ついて」の次に「原則は同一に扱
い,例外的に」を加え,5頁12行目の「外部」を「外気」と改める。
第3 判断
1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないので,これを棄却すべきもの
と判断する。その理由は,次のとおり付加,訂正するほか,原判決の理由説示
(「事実及び理由」第3)のとおりであるから,これを引用する(更正決定を含
む。)。
(1) 原判決6頁24行目の「同法」を「地方税法」と改め,同頁末行の末尾に
改行の上,次のとおり加える。
「なお,控訴人は,農事組合法人は,農業協同組合法第1章第1条の『この法律
は,農民の協同組織の発達を促進し,以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的
地位の向上を図り,併せて国民経済の発展を期することを目的とする。』との同法
の目的をその目的とする団体であって,この点で農業協同組合と何ら異ならず,公
益性の高い組織であるというべきであると主張する。しかしながら,同法72条の
3が,農事組合法人の目的を同法8条の農業協同組合及び農業協同組合連合会に関
する規定と対応する形で規定しているほか,農業協同組合法は,その設立手続及び
管理の点においても,農事組合法人と農業協同組合及び農業協同組合連合会と異な
る規定を設けているのであるから,両者間に公益性の程度に差異がないものとはい
えない。そして,前記のとおり,農業協同組合法が『組合』と総称しているのが農
業協同組合及び農業協同組合連合会のみ(5条)であって,農事組合法人と法文上
明確に区別して表示している以上,農事組合法人は地方税法348条4項における
『農業協同組合法による組合』に該当しないものといわざるを得ない。」
(2) 原判決10頁3行目末尾に,次のとおり加える。
「控訴人は,肉牛の飼育を営んでいる控訴人の畜舎が一定の堅固な構造と一定の規
模を有するのは当然であって,その結果一定の資産価値を有するに至るのも当然で
あるとし,このことをもって一般家屋との権衡から課税客体とすることは論理の飛
躍があり,公益性を有する農事組合法人の存在意義ないし社会的役割を没却する旨
主張する。しかしながら,農事組合法人が公益性を有する団体としても,地方税法
348条により課税の除外がされていない限り,その団体の所有する固定資産が社
会通念上家屋と認められれば,課税されることになる。そして,社会通念上家屋と
認められるか否かは,不動産登記法上の建物とされ,固定資産上課税客体となる家
屋との比較において検討される以上,構造,規模及び資産価値等が勘案されるのは
当然のことであって,控訴人の主張する事情がこれらの要素を勘案すべきでないと
する理由にはならない。」
(3) 原判決10頁14行目末尾に,次のとおり加える。
「控訴人は,肉牛の堆肥舎が相当な構造,規模を有することは当然であって,これ
を一般家屋との権衡から課税客体とするのは社会通念に反する旨主張するが,固定
資産税がその資産を所有する事実に着目して課される以上,控訴人の主張は独自の
見解といえ,採用できない。」
2 よって,原判決は相当であるから,本件控訴を棄却することとし,主文のとお
り判決する。
仙台高等裁判所第二民事部
裁判長裁判官 原田敏章
裁判官 栗栖勲
裁判官 比佐和枝

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