弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、主文第一項、第二項、並びに、第五項中第一審被告A運輸株
式会社の本件控訴を棄却するとの部分、および、主文第七項を破棄する。
     右破棄部分につき本件(第一審被告A運輸株式会社の第一審原告B合資
会社に対する建物收去、土地明渡の反訴請求、および、第一審被告A運輸株式会社
の敷地賃借権不法侵害を理由とする損害賠償請求)を東京高等裁判所に差し戻す。
     右以外の点に関する本件上告はこれを棄却する。
     前項に関する上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人福原政二郎、同北川豊の上告理由第一点について。
 原判決は、その主文第一項において、原判決(第一審判決)中第一審原告(被上
告人、被控訴人)敗訴の部分を取り消した上、その第二項において、第一審被告(
上告人、控訴人)の第一審原告に対する建物收去、土地明渡の反訴請求を棄却する
旨判示し、その理由として判決理由第四項で、所論摘示のとおり判示したことは、
所論のとおりである。
 しかし、本件建物(横浜市a区b町c丁目d番所在家屋番号e番のf木造亜鉛葺
平家事務所兼宿舎建坪五三坪二合)が第一審原告(被上告人、被控訴人)の所有に
属したにかかわらずこれについて所有権の保存ないし取得の登記をしなかつたこと
は、原判決の適法に確定したところであるから、本件土地上に第一審原告が訴外D
電鉄株式会社宛有していた本件建物の賃借権は第三者に対し対抗要件を具備しなか
つたものであることは建物保護法一条の規定上明白であるといわなければならない。
従つて、原判決が判示したように本件土地がもと訴外D電鉄株式会社の所有にかか
り第一審原告は昭和二一年一月一日同会社から右土地(高架橋拱下を含む)を建物
所有の目的で賃借し、同会社は昭和二三年六月一日訴外E電鉄株式会社に対し本件
土地を譲渡したとしても、第一審原告の本件建物に対する右賃借権は、他に特別の
事情のない限り第三者である訴外E電鉄株式会社に対抗し得ないものといわなけれ
ばならない。しかるに、原判決は、右の法理について何ら言及することなく判示の
ごとき理由のみをもつて右賃借権が右訴外会社に対抗できるがごとく解したのは、
建物保護法一条の解釈、適用を看過したものというべく、かつ、上告人の賃借権を
不法に侵害したことを理由とする損害賠償請求の点についても右法令に違背し、審
理不尽、理由不備の違法あるに帰するものと認めざるを得ない(なお、代位請求を
肯定するに当つては、訴外会社が被上告人に対して自己の請求権を行使して現に明
渡を請求しているか否かについても審判するを要するこというを俟たない)。され
ば、本論旨は、論旨第二点について判断するまでもなく、結局理由あり、原判決は、
以上の点において破棄を免れないものと認める。そして、本件は、以上の点につい
て原審に審理を尽さしめるを相当とするから、民訴四〇七条に従い、主文第一、二
項のとおり判決すべきものとする。
 ところで、上告人は、原判決中上告人敗訴の部分の破棄を求めているが、本件建
物につきなした所有権取得登記の抹消登記手続をなし、かつ、該家屋を明け渡すべ
き敗訴部分、並びに、上告人が被上告人に対し金五三万四、三三一円及びこれに対
する昭和三二年四月一四日から支払ずみまで年五分の金員の支払部分、および、一
八万一、二九〇円の補助工事費の不当利得反訴請求を排斥された部分については、
いずれも、その不服理由を述べていない。従つて、この部分に対する上告は、その
理由なきに帰するものというべきであるから、民訴三九六条、三八四条により主文
第三項のとおり判決すべきものとし、なお、主文第三項についての訴訟費用につい
ては、民訴九五条、八九条、九二条に従い、主文第四項のとおり定むべきものとす
る。
 この判決は、裁判官の全員一致の意見によるものである。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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