弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1原判決を取り消す。
2大阪矯正管区長が控訴人に対して令和元年5月7日付けでした,平成
31年4月4日受付の控訴人からの開示請求に係る保有個人情報を開示し
ない旨の決定(大管発第1号)を取り消す。5
3訴訟費用は,1,2審とも,被控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
主文1,2項と同旨。
第2事案の概要10
本件は,大阪刑務所収容中の控訴人が,行政機関の保有する個人情報の保護
に関する法律13条に基づき,処分行政庁に対し,別紙1の保有個人情報目録
記載の保有個人情報(以下「本件情報」という。)の開示を請求したところ,
処分行政庁から,本件情報は同法45条1項により開示請求の規定の適用が除
外されている情報に該当するとして,その全部を開示しない旨の決定(以下「本15
件決定」という。)を受けたことから,本件決定は同項の解釈を誤ったもので
あるなどと主張して,本件決定の取消しを求めるものである。
原判決は控訴人の請求を棄却したので,控訴人が,不服であるとして,控訴
を提起した。
1関係法令20
⑴平成15年5月30日に制定・公布された個人情報の保護に関する法律(以
下「個人情報保護法」という。)は,その第1章から第3章までの規定(1条
から14条までの規定)が個人情報保護の基本理念等を定めた部分であり,
第4章以下で民間事業者を対象とした個人情報保護に関する規律がされてい
る。個人情報保護法と同時に,独立行政法人等を対象とした独立行政法人等25
の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「独立行政法人個人情報保護
法」という。)及び国の行政機関を対象とした行政機関の保有する個人情報
の保護に関する法律(以下「法」という。以下,本判決において「行政機関」
という場合にはいずれも国の行政機関を指す。)が制定された。
⑵個人情報保護法及び法には別紙2のとおりの規定が置かれている。
法8条,法12条及び法14条と同趣旨の規定が独立行政法人個人情報保5
護法9条,12条及び14条に置かれているが,法45条1項の適用除外規
定は法に特有の規定である(以下,法45条1項所定の保有個人情報を「刑
事関連情報」という。また,逮捕や勾留がされた経歴を「検挙歴」といい,
罰金刑や懲役刑などの刑罰の宣告を受けたり,その執行を受けたりした経歴
を「受刑歴」という。)。10
⑶医療従事者が診療の過程で取得した個人情報(以下「診療情報」という。)
の取扱いを定めた単一の実施法は制定されていない。そのため,民間の医療
機関が保有する診療情報には個人情報保護法が,公立病院(地方公共団体や
地方独立行政法人の医療機関)が保有する診療情報には条例が,国立病院(独
立行政法人国立病院機構法所定の医療機関)が保有する診療情報には独立行15
政法人個人情報保護法が,行政機関が保有する診療情報には法が,それぞれ
適用されることになる。
2前提事実(争いのない事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認め
られる事実)
⑴控訴人(昭和32年▲月▲日生)は,平成25年6月6日,京都地方裁判20
所において,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反並
びに恐喝の各罪により,懲役8年の有罪判決を受けた。その刑は,上訴等を
経て平成27年7月1日に確定した。
⑵控訴人は,保釈中の平成26年7月8日,京都府立医科大学附属病院にお
いて,妹から提供された腎臓を移植する手術を受け,その後,同病院に入通25
院しながら免疫抑制療法(免疫抑制剤の服用)を続けていた。
腎移植とは,腎臓の機能が低下し,体内の余分な水分や尿毒素を体外に排
斥することができなくなって尿毒症という状態になるのを改善するために,
他人から提供を受けた腎臓を移植する手術である。手術後も,拒絶反応を予
防するため免疫抑制療法を継続する必要がある。また,腎移植後の合併症は
非常に多彩であるが,感染症や他の合併症が重症化した場合には,生命に危5
険が及ぶこともある。控訴人の場合,腎移植後にBKウイルス腎症となった。
BKウイルス腎症は,腎臓に腎炎を起こすことで知られており,その発症例
では移植腎生着率は非発症例に比べ明らかに不良であり,約50%の症例が
5年以内に移植腎を喪失するとされている。それを予防するためには,免疫
抑制剤を減量することが有効とされており,その際,どのように免疫抑制剤10
の量を調整するかが診療上の重要な問題である。(甲13,17)
⑶刑確定から1年半以上が経過した平成29年2月14日,検察官の執行指
揮により控訴人に対する刑の執行が開始され,控訴人は,以後,受刑者とし
て大阪刑務所に収容されている。
⑷控訴人は,平成29年8月24日,大阪刑務所の衛生環境の悪さが腎移植15
後の合併症を引き起こす危険が大きいと主張し,控訴人を処遇する上での衛
生環境を改善するよう求める人身保護請求事件(相手方は被控訴人)を大阪
地方裁判所堺支部に申し立てた(同支部平成29年(人)第2号。甲4)。
被控訴人は,上記の人身保護請求事件において,刑務所内診療施設での診
療経過を立証する証拠として,平成30年5月25日,控訴人の診療記録及20
び各種検査結果報告書を同支部に提出した(甲7,16)。証拠提出された
ものは,平成29年9月26日から平成30年2月20日までの間の診療記
録,平成29年9月27日から平成30年2月14日までの間に行われた血
液検査,尿検査及び細胞診検査の検査結果報告書の合計49枚の文書である。
別紙3(添付省略)は,証拠提出された診療記録の1枚目である。25
⑸控訴人は,大阪刑務所に収容された後も毎日免疫抑制剤を服用しており,
平成29年9月26日以降,刑務所内診療施設において,概ね週1回程度の
頻度で,医師の診察を受けており,診察医は,各診療日ごとに診療内容を所
定の用紙に記録(以下「診療記録」という。)している。また,控訴人は,
同月27日以降,概ね月1回の頻度で血液検査,尿検査及び細胞診検査を受
けている。大阪刑務所医務部は,上記の診療記録並びに血液検査,尿検査及5
び細胞診検査の検査結果報告書を保管している。
控訴人は,診察医から口頭で診療に関する説明を受けているが,文書交付
の方法による説明を受けたことはない(甲13)。
⑹控訴人は,平成31年4月4日,法12条1項に基づき,処分行政庁に対
し,本件情報の開示を請求した(甲8)。控訴人は,免疫抑制療法を継続し10
ているため,自分の健康状態を正確に知る必要があり,そのためには刑務所
内医療施設における診療情報の全てを把握することが是非とも必要であると
考えたことから,本件情報の開示請求をしたものである(甲13)。
⑺処分行政庁は,令和元年5月7日付けで,「開示請求の対象となる保有個
人情報は,刑の執行に係る保有個人情報(当該裁判又は執行を受けた者に係15
るものに限る。)であることから,法第45条第1項の規定に該当し,開示
請求等の規定の適用から除外されているため」との理由で,法18条2項に
基づき,全部を開示しない旨の本件決定をし,控訴人にその旨を書面(甲10)
により通知した。
⑻控訴人は,令和元年10月26日,大阪地方裁判所に本件決定の取消しを20
求めて本件訴訟を提起した。
3争点及び争点に対する当事者の主張
本件の争点は,①憲法13条に自己情報開示請求権が含まれるので,法45条
1項は合憲限定解釈しなければならず,本件情報は刑事関連情報に当たらない
といえるか(争点1),②法45条1項の解釈として,本件情報は刑事関連情25
報に当たらないといえるか(争点2),というものである。
⑴争点1(憲法13条に自己情報開示請求権が含まれるので,法45条1項
は合憲限定解釈しなければならず,本件情報は刑事関連情報に当たらないと
いえるか)について
(控訴人の主張)
ア憲法13条はいわゆる「新しい人権」を導く根拠となる。「新しい人権」5
としてプライバシー権が憲法13条の保障に含まれると理解されているが,
プライバシー権の内実は自己に関する情報をコントロールする権利(自己
情報コントロール権)であり,自己情報コントロール権は憲法13条によ
り保障されている。そして,自己情報コントロール権の中核となるのが自
己情報開示請求権であり,法は憲法13条が定める自己情報コントロール10
権を具体化した法律と位置づけることができる。
イ法45条1項の趣旨は,刑事関連情報が他人に発覚して社会復帰や更生
を妨げる事態を防止するためとされている。すなわち,刑事関連情報を開
示請求権の対象とした場合,例えば雇用主が採用予定者の検挙歴や受刑歴
の有無を確認する目的で採用予定者本人に刑事関連情報の開示請求をする15
よう求めることが想定されるが,そうなった場合,検挙歴や受刑歴が発覚
して就職ができなくなったり,受刑歴の発覚を恐れて就職を断念すること
になったりして,受刑者の社会復帰が妨げられる。法45項1項はそのよ
うな弊害を防止することにあるとされている。
しかし,雇用主が上記のような行為を要求することは違法とされている20
のであって,想定される弊害は抽象的・観念的なものにすぎず,上記のよ
うな事態が生じる可能性は極めて低い。刑事関連情報の全てを一律に開示
請求の対象外とする法45条1項は,その規制目的(社会復帰や更生の助
成)を大きく超え,不必要に開示請求権を制限する不合理な規定であり,
個人情報保護法制における極めて異例の規定であるといわざるを得ない。25
自己情報コントロール権(自己情報開示請求権)を制約する法45条1項
が憲法13条と抵触することを避けるためには,同項の適用を適正な範囲
に制限すること,すなわち,その規制目的を実現するために必要な限度で
刑事関連情報の開示請求を制限するにすぎないものと解釈する合憲限定解
釈を採ることが必要となる。
ウそうすると,刑事関連情報の全てを一律に開示請求の対象外とする法5
45条1項は,その規制目的(社会復帰や更生の助成)を大きく超え,不
必要に開示請求権を制限する不合理な規定であり,同項は限定的に解釈し
なければならず,同項に診療情報は含まれないと解釈することは可能であ
り,これにより違憲となることを回避できるのである。
したがって,診療情報の開示を認めなかった本件決定を是認した原判決10
は取り消されなければならない。
(被控訴人の主張)
ア行政機関が保有する個人情報の開示請求権は,憲法によって直接具体的
権利として保障されたものではなく,立法によって初めて具体的権利とな
るものであり,その外延は法の規定を離れてこれを論じることはできな15
い。
イ刑事関連情報が開示請求の対象外とされているのは,開示請求権それ自
体が,検挙歴・受刑歴のある者の社会復帰や更生の妨げとなることが危惧
されるからであり,例えば,採用予定者の前科の有無を知らない雇用主か
ら「前科のないことの証明」として開示請求結果の提出を求められる場合20
を想定しているのである。そして,このような「ないことの証明」等に用
いられる弊害に対処するため,法45条1項は,刑事関連情報全般につい
て開示請求の対象外としているのである。
ウそうすると,法45条1項の趣旨に照らせば,診療情報についても例外
ではなく,同項の適用除外に該当する。25
⑵争点2(法45条1項の解釈として,本件情報は刑事関連情報に当たらな
いといえるか)について
(控訴人の主張)
ア法は個人情報を開示することを原則としているが,法45条1項は,同
項の対象となる刑事関連情報について開示請求の仕組みが一切存在せず,
行政情報に関する法制において極めて異例の規定である。5
そうすると,本人の利益保護という法の目的や法45条1項の趣旨から
すると,①現に収容されている者については同項の適用除外は及ばないと
解釈するか,②診療情報については同項の対象に含まれないと解釈すべき
である。
イ①については,法45条1項において,「当該裁判,処分若しくは執行10
を受けた者…に係るものに限る」と規定しているが,ここにいう「執行を
受けた者」とは,「執行を受けたことがある者」を意味し,「現に執行を
受けている者」は含まれないとの解釈をすることができる。この見解を採
用すれば,本件情報には法45条1項の制限が及ばないことになる。
ウ②については,規制目的との関係での論理解釈により,法45条1項に15
いう刑事関連情報の中に診療情報は含まれないと解釈すべきである。すな
わち,社会復帰や更生を助成するためには過去の検挙歴や受刑歴が他人に
知られないようにすることが強く要請されることから法45条1項が立法
されたのであるが,実際には検挙歴・受刑歴秘匿の要請は絶対的なものと
は考えられていない。例えば,刑事施設に収容されていた者が自動車運転20
免許証の更新や児童扶養手当の申請等をする場合など,法令の規定により
身体の自由を拘束されていることを証明する必要があるときは,刑事施設
長の裁量により,個別の申請に応じて在所(在監)証明書が本人に作成・
交付されているのであり,検挙歴・受刑歴秘匿の要請は,本人の便益との
兼ね合いでその重みも変わるものである。25
他方,診療情報は人が生命や健康を維持するために必要な情報であり,
例えば,腎移植を受けた控訴人の場合には,合併症の重症化を防止するた
め日常的に血液検査の結果や診察結果等を知る必要があり,刑務所内診療
施設の診療情報を知ることなしに刑務所外の専門医に意見を聞くことも不
可能となるのであって,診療情報の開示を受けることは生命・健康を維持
するために不可欠である。生命や健康を維持する要請は受刑歴秘匿の要請5
に優越することが明らかである。
もともと,診療情報は刑の執行に関する中核的な情報でもないし,「被
収容者の診療記録の取扱い及び診療情報の提供に関する訓令」(平成19年
2月14日矯医訓816法務大臣訓令。以下「診療情報訓令」という。)
は,原則的には口頭により,事情に応じて文書により,刑務所内診療施設10
の診療情報を本人に提供するものとしているのであるから(乙7),診療
情報まで刑事関連情報であるとして一律に開示請求対象外とすることは,
規制目的との関係で論理的に検討してみても相当ではない。
以上のとおりであって,控訴人の診療情報について開示を受ける利益は
法45条1項による開示しない利益よりも優越することは明らかであって,15
同項は,刑務所内診療施設の診療情報には適用されないと解釈しなければ
ならず,診療情報の開示を認めなかった本件決定を是認した原判決は取り
消されなければならない。
(被控訴人の主張)
ア控訴人は,法45条1項につき,①現に収容されている者については同20
項の適用除外は及ばないと解釈するか,②診療情報については同項の対象
に含まれないと解釈すべきである旨主張する。
イまず,①については,法45条1項の趣旨は,刑事関連情報には本人の
前科や収容歴等の高度のプライバシー情報が含まれており,開示請求の対
象とすると,雇用主が採用予定者の前科の有無等を採用予定者本人に開示25
請求させる場合などが想定され,本人の前科等が本人以外の者に明らかに
なる危険性があり,本人の社会復帰や更生保護を図る上で本人の不利益に
なる可能性があるため,このような弊害を防止することにある。
このような法45条1項の適用除外の趣旨は,開示請求する本人が,過
去に刑の執行を受けたものであるか,あるいは現に刑の執行を受けている
者であるかにかかわらず妥当する。すなわち,現に収容されている受刑者5
については,社会復帰後の雇用主から開示請求結果の提出を求められれば,
収容中に開示請求をすることもあり得ることであり,前科の有無等のチェ
ックに用いられるなどの弊害が想定されることに変わりはない。
また,法45条1項に定める「執行を受けた者」とは,「いまだ執行を
受けていない者」以外の者を意味することは文理上明らかであり,現に収10
容中の受刑者は,刑の全部の執行を受け終わっていないにすぎず,「執行
を受けた者」に該当する。「執行を受けた者」をその文言によりも狭く解
釈しようとする控訴人の主張は失当である。
以上のとおり,現に収容されている者を法45条1項の適用除外の対象
から除外する解釈は,同項の文言及び立法目的に反するから採用すること15
はできない。
ウ次に,②についても,次に述べるとおり理由がない。
まず,控訴人は,刑務所内の診療情報は刑事関連情報に含まれないと解釈
すべきであると主張するが,受刑者に対する健康診断その他の医療上の措置
は,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設20
法」という。)に基づく処遇として行われるものであり,法45条1項の「刑
…の執行…に係る保有個人情報」に該当する。また,在所(在監)証明書は,
刑事施設に収容されていた者が自動車運転免許証の更新,児童扶養手当の申
請,生活保護の申請,国民健康保険料の減免等をする場合など,法令の規定
により身体の自由を拘束されていることを証明する必要があるときは,刑事25
施設長の裁量により,個別の申請に応じて作成・交付されているにすぎない
のであり,このことを診療情報に対する開示請求権の根拠とすることは困難
である。
さらに,法が定める開示請求書の記載事項が形式なものにとどまり,本人
確認書類以外の書類の提示も求められておらず(法13条),法は保有個人
情報の開示を求める理由すらこれを明らかにすることを求めていない。すな5
わち,法は,保有個人情報の開示請求がどのような動機あるいは必要に基づ
くものであるのか行政機関側が審査することは予定していないから,開示請
求がされた刑事関連情報について,これを開示することによって得られる利
益と受刑歴秘匿の要請を比較し,法45条1項の適用の可否を個別具体的に
審査することを予定していない。10
以上のとおり,診療情報を刑事関連情報から除外することは法の仕組みと
相容れないものであり,法45条1項を限定的に解釈すべきとする控訴人の
主張は採用することはできない。
第3当裁判所の判断
1争点1(憲法13条に自己情報開示請求権が含まれるので,法45条1項は15
合憲限定解釈しなければならず,本件情報は刑事関連情報に当たらないといえ
るか)について,検討する。
控訴人は,本件情報につき,法45条1項を根拠として不開示とすることは,
憲法13条が保障する「自己情報コントロール権」(その中に自己情報開示請
求権が含まれる。)を不当に侵害するものであるから,少なくとも診療情報は20
法45条1項の制限に含まれないと解釈しなければ,同項は違憲無効となる旨
主張する。
しかし,「自己情報コントロール権」は,情報化の進展した社会において,
個人情報の保護を十分なものとするため,従来消極的な権利とされてきたプラ
イバシー権を,より能動的,積極的に理解しようとするためのものであるが,25
その権利利益の内容,対象範囲等は明らかではなく,確立した権利として憲法
上保障されているとまではいえない。また,法は,法制定に当たり,「自己情
報コントロール権」は論者によって様々な考え方がみられることから,「自己
情報コントロール権」という文言を用いずに,あくまで個人情報の取扱いに伴
い生ずるおそれのある個人の人格的,財産的な権利利益に対する侵害を未然に
防止することを目的として,個人情報の取扱いに関する規律と本人関与の仕組5
みを具体的に規定したものであること(総務省行政管理局監修『行政機関等個
人情報保護法の解説(増補版)』9頁)からしても,「自己情報コントロール
権」が明確な権利として確立しているとはいえないものである。
そうすると,自己情報コントロール権が憲法13条によって保障されている
ことを前提とする控訴人の主張は,採用できない。10
2争点2(法45条1項の解釈として,本件情報は刑事関連情報に当たらない
といえるか)について,検討する。
⑴法は第4章において保有個人情報の開示請求権(法12条)などを規定し,
法45条1項は別紙2の該当部分のとおり規定している。
控訴人は,①法45条1項において「当該裁判,処分若しくは執行を受け15
た者…に係るものに限る」とされており,「執行を受けたことがある者」を
意味し,「現に執行を受けている者」は含まれないと解釈すべきである,②
診療記録は,同項の対象となる刑事関連情報には該当しないとの解釈をすべ
きであると主張する。
⑵まず,①「現に執行を受けている者」の処遇に関する情報には法45条1項20
の適用除外は及ばないとの主張について検討する。
受刑者に対する健康診断,診療その他の医療上の措置は,刑事収容施設法
に基づく被収容者の処遇として行われるものである(刑事収容施設法第2編
第2章第6節参照)から,このような受刑者の個人情報は,法45条1項の
「刑…の執行…に係る保有個人情報」に当たると解される。25
この点につき,控訴人は,法45条1項において「当該裁判,処分若しく
は執行を受けた者…に係るものに限る」とされており,「執行を受けたこと
がある者」を意味し,「現に執行を受けている者」は含まれないと解釈すべ
きである旨主張する。
しかし,法45条1項において「執行を受けた者…に係るものに限る」と
規定しているのは,刑の執行等に係る保有個人情報の中に,刑の執行等を受5
けた者以外の「第三者」の個人情報が含まれることもあり得るが,その場合
を同項の適用除外としない趣旨であると考えられる。例えば,刑事施設収容
中の受刑者に弁護士が面会をした場合には,弁護士が面会した事実も当該刑
事施設が保有する個人情報に含まれることになるが,弁護士が自己を本人と
して受刑者と面会したことの開示請求をしたときは,同項の適用除外の規定10
は適用されず,開示請求の対象となるものである。このように,同項の「執
行を受けた者」とは,第三者を除外する趣旨であって,現に収容されている
者を除外する趣旨ではないと考えられる。
さらにいえば,法45条1項に定める「執行を受けた者」とは,被控訴人
が述べるとおり,「いまだ執行を受けていない者」以外の者を意味すること15
は文理上明らかであり,現に収容中の受刑者は,刑の全部の執行を受け終わ
っていないにすぎず,「執行を受けた者」に該当する。
したがって,控訴人の「現に執行を受けている者」は法45条1項の適用
がない旨の主張は,採用できない。
⑶次に,②診療情報は法45条1項の対象となる刑事関連情報には該当しな20
いとの解釈を採るべきである,という点について検討する。
ア診療情報は生命と健康に直結する個人情報であり,次に述べるとおり,
近時,我が国の医療現場においては,診療情報を患者に提供する(開示
する)ことの必要性や重要性が強く意識されるようになった。
まず,証拠(甲18)によれば,厚生労働省は,「診療情報の提供等25
に関する指針」を策定し,平成15年9月12日付け通知書により,こ
れを都道府県知事に通知したことが認められる。この指針は,「医療従
事者等が診療情報を積極的に提供することにより,患者等が疾病と診療
内容を十分理解し,医療従事者と患者等が共同して疾病を克服するなど,
医療従事者等と患者等とのより良い信頼関係を構築することを目的」と
するものであり(指針1項),診療情報の提供に関する一般原則として5
「医療従事者等は,患者等にとって理解を得やすいように,懇切丁寧に
診療情報を提供するよう努めなければならない」と定め(指針3項),
診療記録の開示に関し「医療従事者等は,患者等が患者の診療記録の開
示を求めた場合には,原則としてこれに応じなければならない」(指針
7項⑴)と定めていることが認められる。この指針は,疾病の克服は患10
者と医療従事者とが共同して行うものであること,そのためには診療情
報の積極的な提供が必要であることを明らかにするものである。
次に,現在まで,診療情報に関する個別のガイドライン(個人情報保
護法8条の指針)は定められていないが,証拠(甲11,12)及び弁
論の全趣旨によると,国は,診療情報の取扱いに関する手引きとして,15
平成16年12月に「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な
取扱いのためのガイダンス」を公表し,その後改正が行われ,最終改正
が平成29年4月14日であることが認められる。この手引きは,民間
の医療機関が保有する診療情報の取扱いに関するものであり,患者本人
から医療情報の開示請求を受けた場合には,個人情報保護法28条1項20
の規定に従い,患者本人に対し遅滞なく保有診療情報を開示すべきであ
るとし,個人情報保護法28条2項1号の不開示要件に該当する場合と
して,①患者の状況について,家族や関係者が医療従事者に情報提供を
行っている場合に,情報提供者の同意を得ずに患者に当該情報を提供す
ることにより,患者と家族や関係者との人間関係が悪化するなど,情報25
提供者の利益を害するおそれがある場合,②病状や予後,治療経過等に
ついて患者に十分な説明をしたとしても,患者に重大な心理的影響を与
え,その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合を例示している。この手
引きは,国公立病院や行政機関が保有する診療情報に適用されるもので
はないが(個人情報保護法2条5項),「医療・介護分野における個人
情報保護の精神や考え方は設立主体を問わず同一であることから」,国5
立病院及び公立病院の設置者も「本ガイダンスに十分配慮することが望
ましい」としている。
さらに,刑事収容施設法56条は,刑事施設では「社会一般の保健衛
生及び医療の水準に照らし」適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ず
るとするところ,証拠(乙7)によれば,医療上の措置のうち診療情報10
の提供に関しては診療情報訓令が発出されていることが認められる。診
療情報訓令は,刑事施設内医療施設の医療従事者が患者である被収容者
に対し,現在の症状及び診断傷病名,処置及び治療の方針,処方する薬
剤に関する情報,手術や侵襲的な検査を行う場合にはその情報を提供す
るよう求めていること(14条1項),診療情報の提供は原則として口15
頭によるが,診療情報の内容の難易度と患者の理解力を勘案して特に必
要と認めるときは文書に記載して交付するものとしていること(15条)
が認められている。
イこのようにみると,個人情報保護法が施行された後の我が国の医療現場
においては,診療情報を患者本人に開示することの必要性及び重要性の認20
識は浸透しているものと考えられる。そして,前提事実⑵及び⑸の事実に
照らせば,本件情報は,控訴人の健康状態に関する客観的情報であって,
腎移植後の合併症の予防に腐心しなければならない控訴人にとって極めて
有用な情報であるということができる。
また,刑事施設においては必ずしも自己の症状に合う専門医の診察を受25
けることが保障されているわけではないから,控訴人のような特別な健康
状態にある被収容者にとって,適宜の時期に外部の専門医の意見を尋ねる
ことも必要であり,そのためには診療記録及び各種検査結果の報告書の写
しの交付を受ける形で刑事施設内診療施設における診療情報の開示を受け
る必要がある。なぜなら,医師が患者に対し別紙3(添付省略)のような
診療記録の内容を正確に口頭で伝えることなど事実上不可能であり,不十5
分な医療情報の口頭伝授を受けただけでは,被収容者が外部の専門医の意
見を尋ねることは困難だからである。
しかしながら,控訴人は,法45条1項所定の刑の「執行を受けた者」
に該当するのであり,かつ,本件情報は,控訴人に対する懲役刑の執行の
過程で行政機関が得た診療情報であるから,法45条1項の「刑…の執行10
…に係る保有個人情報」として,刑事関連情報に該当する。
したがって,法45条1項を形式的に適用する限り,本件情報のように,
刑事施設の被収容者にとって有用であり必要でもある診療情報は,そもそ
も開示請求の対象とならず,一切を開示することができないという結果と
なる。15
この結果がやむを得ないものかどうかを検討するため,法45条1項の
規制目的が何か,その規制目的との関係で規制手段が合理的なものかにつ
いて検討する。
ウ法45条1項が立法されたのは,刑事関連情報を開示請求の対象とする
こと自体が,検挙歴や受刑歴がある者の社会復帰や更生の妨げとなる可能20
性があるため,そのような弊害を避けるためであった。例えば,雇用主が,
採用予定者の検挙歴や受刑歴の有無を確認する目的で,採用予定者に刑事
関連情報の開示請求をさせることが想定され,そうなった場合,検挙歴や
受刑歴が発覚して就職できなくなったり,受刑歴の発覚を恐れて就職を断
念することになったりして,その者の社会復帰や更生が妨げられる可能性25
があり,法45条1項は,そのような弊害を防止することを目的として立
法されたのである。
しかしながら,情報通信が高度に発達した現代社会においては,インタ
ーネットを通じて検挙歴や受刑歴といった個人情報が大量に伝播流通して
おり,しかも,それらは公共の利害に関する情報でもあることから,それ
らの情報がインターネット上で伝播流通することは一定の限度でやむを得5
ないこととして法的に容認されている(最高裁判所平成29年1月31日
決定・民集71巻1号63頁参照)。そうすると,刑事関連情報の開示請
求権を否定したところで,社会復帰や更生が妨げとなりかねない個人情報
の伝播流通がなくなるわけではなく,したがって法45条1項の目的が実
現されるというわけではない。10
そうすると,法45条1項は,権利の制限が目指した目的が必ずしも実
現できないにもかかわらず,有用かつ必要な個人情報であっても刑事関連
情報である限りは一切の開示が認められないという不合理な事態を発生さ
せることになる。
また,法45条1項を形式的に適用することは,かえって,社会復帰15
や更生の妨げとなる場合がある。例えば,刑事施設から出所した者が自動
車運転免許証の更新,生活保護の申請,国民健康保険料の減免等の申請を
する場合があるが,法45条1項を形式的に適用するとその証明ができ
ず,その者が社会生活を送る上での障害が発生し,社会復帰や更生が妨
げられることになる。20
さらに,刑事関連情報の中には,検挙歴や受刑歴のみならず,医療情報
その他の様々な個人情報が含まれるが,法45条1項は,情報の種別や内
容にかかわりなく,刑事関連情報一切をおよそ開示請求の対象外とする。
そのため,医療情報に関しては,刑事施設の被収容者(あるいは被収容者
であった者)は,一般の医療施設で診療を受けた者ならば当該診療に係る25
診療情報の開示を受けられるのと異なり,刑事施設内医療施設で診療を受
けざるを得ないがゆえに,当該診療の診療情報の開示を一切受けることが
できないという不利益を受けることになる。
以上のとおり,刑事関連情報全てを一律に開示請求の対象から除外しよ
うとする法45条1項は,刑事施設に収容されていた者にとって社会復帰
や更生に寄与するのかが明らかでないばかりか,有用かつ必要な個人情報5
の提供を受けることを阻害する可能性がある。すなわち,法45条1項の
規制目的は理解できるとしても,その目的を達成するため刑事関連情報全
てを一律に開示請求の対象から除外することは,規制目的と規制手段との
合理的な均衡を欠いているといわざるを得ない。
なお,弁論の全趣旨によれば,上記の不都合を解消するため,国(刑10
事施設長)は,刑事施設から出所した者からの求めに応じて被収容歴を開
示する在所(在監)証明書の交付をする取扱いをしていることが認められ
る。この取扱いの法的根拠は明らかではないが,法8条2項1号に基づく
取扱いであるならば,権利として在所(在監)証明書の交付を受けること
ができない(交付の可否は刑事施設長の裁量に委ねられる)ということに15
なるから,不都合解消手段として不完全であり,法12条1項に基づく取
扱いであるならば,国(刑事施設長)は,個人の権利利益を保護する観点
から法45条1項の適用範囲を一定範囲で制限していることになる。いず
れにせよ,上記取扱いは,法45条1項の一律除外措置が,規制目的との
関係で合理的な均衡を欠くことを示すものであることは否定し難い。20
また,被控訴人は,法45条1項の適用の可否を個別具体的に審査する
ことは,法の予定していないところである旨主張する。しかし,問題にな
っているのは,診療情報が法45条1項の適用除外となるかというもので
あり,その情報自体から診療情報とその他の情報とを区別することは可能
であって,診療情報を法45条1項の適用の対象外とする解釈を採っても,25
法45条1項の適用に支障が生じるとは考えられない。
エ診療情報は,前述のとおり,生命と健康に直結する個人情報である。生
命と健康の維持は最も重要な人格的利益であるから,「個人の人格尊重」
という個人情報保護法制の基本理念(個人情報保護法3条)に照らせば,
診療情報を得る利益は合理的な理由なしに制限を受けるべきではない。ま
た,法45条1項を刑事関連情報中の診療情報にも無制限に適用すると,5
刑事施設の被収容者(あるいは被収容者であった者)と
一般国民との間において,合理的に説明しにくい不平等が生じることになる。
したがって,法45条1項を無制限に適用することは,医療情報の取扱い
に関して,規制目的との関係で合理的な均衡を欠く事態を招来し,個人情報
保護法制の基本理念と整合しないということができるから,法45条1項は10
診療情報には適用されないと解釈すべきである。すなわち,刑事施設におい
て保有する診療情報は法12条1項による開示請求の対象となるから,刑事
施設の被収容者(又は被収容者であった者)からその開示請求がされた場合,
当該診療情報の全部又は一部に法14条所定の不開示情報があるかを検討し
た上でその開示の可否が検討されなければならない。15
第4結論
以上のとおりであって,本件情報が開示請求の対象外であることを理由とし
てされた本件決定は,法45条1項の解釈適用を誤った違法があるから取消し
を免れない。
よって,これを適法として控訴人の請求を棄却した原判決は相当ではないか20
ら,原判決を取り消し,控訴人の請求を認容することとし,主文のとおり判決
する。
大阪高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官大島眞一25
裁判官橋詰均
裁判官佐藤克則は転勤のため署名押印できない。
裁判官大島眞一
(別紙1)
保有個人情報目録
1大阪刑務所において控訴人が受けた血液検査等の検査結果が記載された書面
2大阪刑務所において控訴人が受けた血液検査の採血の日時及び時刻が記録さ
れた書面5
3大阪刑務所において控訴人に処方された薬,並びに,投薬の日時及び時刻が
記載された書面
4大阪刑務所に収容されてから現在までの控訴人の診療録
以上
(別紙2)
1個人情報の保護に関する法律
(目的)
第1条この法律は,高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大
していることに鑑み,個人情報の適正な取扱いに関し,基本理念及び政府によ5
る基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定
め,国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに,個人情報を取り扱
う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより,個人情報の適正かつ効果的
な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現
に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利10
利益を保護することを目的とする。
(基本理念)
第3条個人情報は,個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもので
あることにかんがみ,その適正な取扱いが図られなければならない。
(国の責務)15
第4条国は,この法律の趣旨にのっとり,個人情報の適正な取扱いを確保するた
めに必要な施策を総合的に策定し,及びこれを実施する責務を有する。
(法制上の措置等)
第6条政府は,個人情報の性質及び利用方法に鑑み,個人の権利利益の一層の保
護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情20
報について,保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置そ
の他の措置を講ずるとともに,国際機関その他の国際的な枠組みへの協力を通
じて,各国政府と共同して国際的に整合のとれた個人情報に係る制度を構築す
るために必要な措置を講ずるものとする。
第7条政府は,個人情報の保護に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るた25
め,個人情報の保護に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めな
ければならない。≪2項ないし4項は省略≫
(地方公共団体等への支援)
第8条国は,地方公共団体が策定し,又は実施する個人情報の保護に関する施策
及び国民又は事業者等が個人情報の適正な取扱いの確保に関して行う活動を支
援するため,情報の提供,事業者等が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図5
るための指針の策定その他の必要な措置を講ずるものとする。
(開示)
第28条本人は,個人情報取扱事業者に対し,当該本人が識別される保有個人デ
ータの開示を請求することができる。
2個人情報取扱事業者は,前項の規定による請求を受けたときは,本人に対し,10
政令で定める方法により,遅滞なく,当該保有個人データを開示しなければな
らない。ただし,開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は,
その全部又は一部を開示しないことができる。
一本人又は第三者の生命,身体,財産その他の権利利益を害するおそれがあ
る場合15
二当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれ
がある場合
三他の法令に違反することとなる場合≪3項及び4項は省略≫
2行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の定め20
(目的)
第1条この法律は,行政機関において個人情報の利用が拡大していることに鑑み,
行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項及び行政機関非識別加
工情報(行政機関非識別加工情報ファイルを構成するものに限る。)の提供に
関する事項を定めることにより,行政の適正かつ円滑な運営を図り,並びに個25
人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及
び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に
配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。
(利用及び提供の制限)
第8条行政機関の長は,法令に基づく場合を除き,利用目的以外の目的のために
保有個人情報を自ら利用し,又は提供してはならない。5
2前項の規定にかかわらず,行政機関の長は,次の各号のいずれかに該当する
と認めるときは,利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し,又
は提供することができる。ただし,保有個人情報を利用目的以外の目的のため
に自ら利用し,又は提供することによって,本人又は第三者の権利利益を不当
に侵害するおそれがあると認められるときは,この限りでない。10
一本人の同意があるとき,又は本人に提供するとき。
二行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内
部で利用する場合であって,当該保有個人情報を利用することについて相当
な理由のあるとき。
三他の行政機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人に保15
有個人情報を提供する場合において,保有個人情報の提供を受ける者が,法
令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し,
かつ,当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。
四前三号に掲げる場合のほか,専ら統計の作成又は学術研究の目的のために
保有個人情報を提供するとき,本人以外の者に提供することが明らかに本人20
の利益になるとき,その他保有個人情報を提供することについて特別の理由
のあるとき。≪3項及び4項は省略≫
(開示請求権)
第12条何人も,この法律の定めるところにより,行政機関の長に対し,当該行
政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができ25
る。≪2項は省略≫
(保有個人情報の開示義務)
第14条行政機関の長は,開示請求があったときは,開示請求に係る保有個人情
報に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが含ま
れている場合を除き,開示請求者に対し,当該保有個人情報を開示しなければ
ならない。5
一開示請求者…の生命,健康,生活又は財産を害するおそれがある情報
二開示請求者以外の個人に関する情報…であって,当該情報に含まれる氏名,
生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別すること
ができるもの…若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の
特定の個人を識別することはできないが,開示することにより,なお開示請10
求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる
情報を除く。≪イないしハは省略≫
三法人その他の団体(国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政
法人を除く。以下この号において「法人等」という。)に関する情報又は開
示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,次に掲げ15
るもの。ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,開示する
ことが必要であると認められる情報を除く。≪イ及びロは省略≫
四開示することにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関
との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利
益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある20
情報
五開示することにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行
その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の
長が認めることにつき相当の理由がある情報
六国の機関,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又25
は相互間における審議,検討又は協議に関する情報であって,開示すること
により,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるお
それ,不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益
を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
七国の機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事
務又は事業に関する情報であって,開示することにより,次に掲げるおそれ5
その他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を
及ぼすおそれがあるもの≪イないしホは省略≫
(適用除外等)
第45条第四章の規定は,刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判,検察官,
検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分,刑若しくは保護処分の執行,更10
生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報(当該裁判,処分若しくは執行を受け
た者,更生緊急保護の申出をした者又は恩赦の上申があった者に係るものに限
る。)については,適用しない。≪2項は省略≫
以上

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛