弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人高橋正蔵、同村本勝の上告理由について。
 所論は、要するに、本件保証契約の趣旨に関する原審の判断には、法令又は経験
則に反した違法があるというにある。
 売買契約の解除のように遡及効を生ずる場合には、その契約の解除による原状回
復義務は本来の債務が契約解除によつて消滅した結果生ずる別個独立の債務であつ
て、本来の債務に従たるものでもないから、右契約当事者のための保証人は、特約
のないかぎり、これが履行の責に任ずべきではないとする判例(大審院大正六年(
オ)第七八九号、同年一〇月二七日判決、民録二三輯一八六七頁、なお、同明治三
六年(オ)第一七〇号、同年四月二三日判決、民録九輯四八四頁等参照)があるこ
とは、原判決の引用する第一審判決の示すとおりである。しかしながら、特定物の
売買における売主のための保証においては、通常、その契約から直接に生ずる売主
の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ、売主の債務不
履行に基因して売主が買主に対し負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨
でなされるものと解するのが相当であるから、保証人は、債務不履行により売主が
買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のない
かぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務につ
いても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする。したがつて、前示判例は、
右の趣旨においてこれを変更すべきものと認める。
 原審の確定するところによれば、上告人は昭和三一年七月二日Dからその住宅内
に存在する本件畳建具を買いうけて代金一五万円を同人に交付し、被上告人はDの
上告人に対する右債務につき保証したところ、右契約はDの債務不履行を理由に解
除されたというのである。前段説示したところに照せば、被上告人は、前記保証に
際し、右売買契約の解除による原状回復義務については保証しない旨の特約がなさ
れた事実が明らかにされないかぎり、Dの上告人に対する右代金返還の義務につき
保証の責に任ずべきものと認むべきところ、原審が、右特約の有無に考慮を払うこ
となく、前示判例の趣旨にしたがい被上告人に保証の責なしと速断したことは、本
件保証契約の趣旨に関しその判断を誤つた結果審理不尽に陥つた違法があるばかり
でなく、記録によれば、被上告人は原審において右Dの債務は和解契約により既に
消滅し、したがつて被上告人の債務も消滅した旨抗弁していることが明らかである
から、この点についても更に審理を尽させるため、本件を原裁判所に差し戻すのを
相当と認める。
 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛