弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人恩藤誠一の上告趣意第一点について。
 原判決の引用した第一審判決は、その判示によれば、本件犯罪の主観的要件に属
する行使の目的並びにその客観的要件たる本件約束手形作成の事実を包含した犯罪
事実の全体を、被告人の司法警察員に対する第一回供述調書中の行使の目的につい
ての自白のほか、証第一号乃至第四号の各約束手形、証第五号、第六号の各ゴム角
印その他の証拠を綜合して認定したものである。そして、右各約束手形には判示約
束手形の内容と同一の記載並びに押印のほか収入印紙の貼用及び消印が存し、また、
右角印は右押印及び消印に相当するから、これ等の手形及び角印の存在は、被告人
の当該公判廷外の行使の目的についての自白を補強するに足りる証拠と解するに充
分である。されば、所論違憲の主張は、その前提を欠き、採るを得ない。
 同第二点について。
 所論は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張を出でないものであつて、刑訴四〇
五条の上告理由に当らない。
 被告人の上告趣意について。
 論旨第一点乃至第三点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、同第四点、
第五点は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、いずれも、刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。
 元来、手形のような流通性を持つ有価証券の偽造は、その証券が、一般取引の信
頼を害する危険性に鑑み、いやしくも、行使の目的を以て外形上一般人をして真正
に成立した有価証券と誤信せしめるに足りる程度に作成されていれば、たとえ、そ
の名義人が実在しない仮空の者であり、また、その記載事項の一部が真実に合致し
ないものであつても、その偽造罪の成立を妨げないものと解するを相当とする。そ
して、本件約束手形が原判決の引用した第一審判決の認定したような外観、形式を
具備している以上(但し同判決は、手形の振出日については判示していないが、証
第一号乃至第四号によれば、いずれも、昭和二七年八月二七日であること明らかで
あり、且つ、該手形には前述のように印紙の貼用、消印がある。)原判決の説示し
ているようにこれを以て一般人をして真正に成立した約束手形と誤信せしめるに足
りる危険のおそれあるものと認めることができる。されば、右手形上の振出人であ
る「A会」「会長 B」が、所論のごとく実在しない名義人であり、また、振出人
の肩書住所地a町が、所論のように手形面の静岡県田方郡に存在せず、若しくは、
手形面の振出地に記載されている沼津市C銀行本店又はC銀行D支店が、所論のよ
うに振出当時すでに解散になつている銀行名であるとしても、本件手形偽造罪の成
立を妨げないものといわなければならない。それ故、本件については、所論の法令
違反も認め難く、その他記録を調べても、刑訴四一一条を適用すべきものとは認め
られない。
 よつて、同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三〇年五月二五日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    池   田       克

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