弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の
上告理由にあたらない。
 同被告人の弁護人高橋亘の上告趣意第一、同第二は、違憲(憲法一三条、一四条、
三六条違反)をいうが、死刑が憲法一三条、一四条、三六条に違反するものでない
ことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判
決・刑集二巻三号一九一頁。なお、昭和四四年(あ)第六八九号同年一二月一二日
第二小法廷判決・裁判集刑事一七四号五九三頁参照)とするところであるから、所
論は理由がなく、同第三は、判例違反をいうが、その実質は被告人Aを死刑に処し
たことを論難する量刑不当の主張にすぎず、同第四は、憲法一三条違反をいう点を
も含め、実質において事実誤認、単なる法令違反の主張であり、同第五は、事実誤
認、量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
 被告人Bの弁護人原則雄の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、同
法四〇五条の上告理由にあたらない。
 なお、記録を精査しても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない(本
件は、被告人Bが被害者C一家に対する憎悪と復讐の念から被告人Aを誘い入れ、
右両名が共謀のうえ、あらかじめ兇器を用意して白昼被害者方に押し入り、翌早朝
に至るまで被害者方居宅内にとどまり、その間に家人四名をすべて殺害したほか訪
問客一名をも殺害し、同人らから金品を強取した、という事案であつて、犯行の動
機、態様、ことに殺害の手段方法が執拗かつ残忍であること、結果が極めて重大で
あること、さらに被害者の遺族らの被害感情、犯行が社会に及ぼした影響など、記
録にあらわれている諸般の情状に照らすと、被告人両名の刑責はまことに重いもの
があるといわなければならない。被告人Aは犯行に際し必ずしも主導的役割を果た
したというのではないが、同被告人の加功をまつて本件犯行が遂行し得たものであ
ることに徴すると、同被告人が現に真摯な反省を重ねていることなど、所論の同被
告人に有利な情状を考慮しても、その刑責を特に軽く考えることはできない。被告
人両名を共に死刑に処した第一審判決を維持した原判断は相当である。)。
 よつて、同法四一四条、三九六条、一八一条但書により、裁判官全員一致の意見
で、主文のとおり判決する。
 検察官平田胤明 公判出席
  昭和五四年一二月二五日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    環       昌   一
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    横   井   大   三

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