弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人徳矢卓史、同徳失典子、同布施裕の上告理由第一点について
 本件記録によれば、当裁判所第一小法廷は、本件の差戻前の原判決につき、民法
二〇〇条二項但書にいう「承継人カ侵奪ノ事実ヲ知リタルトキ」とは、承継人が少
なくともなんらかの形での占有の侵奪があつたことについての認識を有していた場
合をいい、占有の侵奪のあつたことを単に一つの可能性のある事実として認識して
いただけでは足りないものと解すべきであり、同判決が認定した程度の上告人の認
識のみでは、上告人が未だ本件株券が侵奪されたものであるとの事実を知つていた
ということはできないとして、被上告人の本件占有回収の訴えを認容した同判決に
は、右但書の解釈適用を誤つた違法があると判示して、同判決を破棄し、事件を原
審に差し戻したものである。右第一小法廷判決の判断の差戻を受けた原審裁判所に
対する拘束力の範囲は、右の破棄理由、すなわち、民法二〇〇条二項但書にいう「
承継人カ侵奪ノ事実ヲ知リタルトキ」に関する差戻前の原判決の解釈を否定した部
分についてのみ生ずるものと解すべきであり、右第一小法廷判決が、本件を原審に
差し戻すにあたり、本件においては、盗品の被害者の回復請求の主張があり、その
要件の存否についてさらに審理を尽くす必要があると判示していたからといつて、
この点に拘束力が生ずるものではない。所論は、独自の見解に基づくものであつて、
採用することができない。
 同第二点について
 原審は、(一) 被上告人は、D証券株式会社から本件株券の在中していた小荷物
の運送を委託されてその引渡を受けたが、昭和四七年一〇月一九日国鉄a駅構内に
おいて何者かによつてこれを窃取された、(二) 上告人は、Eと称する者から、本
件株券を換金して同人に三〇〇〇万円を融資することを依頼されてこれを承諾した
うえ、本件株式を譲り受けてその交付を受け、現に、本件株券のうち原判決末尾添
付目録(一)記載の株券については訴外F証券株式会社を通じ、同目録(二)記載の株
券については訴外G証券株式会社を通じ、それぞれ代理占有しており、同目録(三)
記載の株券については自己が直接占有している、(三) Eは、本件株券の盗難に接
着して右株券を所持していたものであつて、賍物罪等なんらかの犯罪行為によりこ
れを取得していたとみられ、上告人においてもEが本件株券を不正行為ないしなん
らかの犯罪行為により違法に取得した無権利者であることを知つていたか、又は上
告人においてEが本件株券につき無権利者ないし無権限者ではないかとの疑念を解
消する有効な措置を講じなかつた点に重大な過失があつた、との事実を確定した。
 そして、原審は、(一) 上告人は民法二〇〇条二項但書の悪意の特定承継人に該
当しないから、被上告人の上告人に対する同条の規定に基づく本件株券の返還請求
は理由がない、(二) 商法二二九条、小切手法二一条の規定は、民法一九二条ない
し一九四条の規定に対して特別法の地位に立ち、したがつて、民法の右規定に対し
優先して適用され、かつ、これのみに依拠するのが相当であるから、株券の占有を
失つた者は、その取得について悪意又は重大な過失のある所持人に対し、商法二二
九条、小切手法二一条の規定によりその株券の返還を請求することができるものと
解すべきであるとしたうえ、右各規定に基づく本件株券の返還請求は理由があるも
のとし、(三) 結局、民法二〇〇条の規定に基づく本件株券の返還請求を棄却した
第一審判決を取り消し、商法二二九条、小切手法二一条の規定に基づく本件株券の
返還請求を認容している。
 しかしながら、商法二二九条、小切手法二一条は、株券の所持人がその取得につ
き悪意又は重大な過失がある場合には株券上の権利を取得しえない旨を規定したに
とどまるものであり、誰が当該株券の返還請求権を有するかについては、商法にな
んら定めるところがなく、かつ、格別の商慣習法の存在をも認め難いから、民法に
よつて律すべきところ(商法一条)、民法一九三条によれば、動産に関する盗品の
被害者は、同法一九二条所定の善意取得の要件を具えた占有者に対してその物の回
復を請求することができるとしているから、同法一九三条は、盗品の被害者が右の
要件を具えない占有者に対してその物の返還請求権を有することを当然の前提とし
た規定であるといわなければならない。したがつて、株券の受寄者がその株券を窃
取された場合において、右株券の所持人がその取得につき悪意又は重大な過失があ
るために商法二二九条、小切手法二一条の規定によりこれを善意取得しえないとき
は、当該株券の受寄者は、所持人に対し、民法一九三条の規定の趣旨に基づき、盗
品の被害者として右株券の返還を求めることができるものと解すべきである。そう
すると、原審が確定した前示の事実関係のもとにおいては、上告人は本件株券の取
得につき悪意又は重大な過失があるためにこれを善意取得しえないものである以上、
民法一九三条の規定の趣旨に基づく本件株券の返還請求は理由があるものとしてこ
れを認容すべきことが明らかであるから、本件株券の返還請求を認容した原判決は、
結局、正当に帰する。論旨は、採用することができない。
 同第三点について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ
とができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    宮   崎   梧   一
            裁判官    大   橋       進
            裁判官    牧       圭   次

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