弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士高橋岩男の上告理由は別紙記載のとおりである。上告理由第一
点について。
 論旨は、自作農創設特別措置法は昭和二二年一二月二六日法律二四一号をもつて
一部改正されなけれども、元来同法は同二元年一〇月二一日制定公布されたもので
あるから、同法による行政処分の取消又は変更を求める訴については、行政事件訴
訟特例法附則三項によつて同法五条五項の適用はなく、従つて右改正にかかる自作
農創設特別措置法四七条の二の適用もないというのである。しかしながら、右特例
法附則三項は、「昭和二十二年三月一日前に制定された法律は、第五条第五項の規
定の適用については、これを同条同項の他の法律でないものとみなす」と規定して
いるのであつて、同日以後に制定された法律はたとえそれが従前の法律の改正規定
であつても、その適用をみない趣旨であることは、文理上当然である。前記昭和二
二年一二月法律二四一号施行当時には右特例法は未だ施行されていなかつたけれど
も、当時行政処分の取消変更を求める訴について出訴期間を定めていた民訴応急措
置法八条は右特例法条附則三項と同趣旨の規定をしており、自作農創設特別措置法
四七条の二は、民訴応急措置法八条の規定する出訴期間と違つた期間を定める必要
に基き制定されたものである以上、これを同条にいう「特別の定」と解すべきは勿
論、右特例施行後においては同法附則三項は適用されることなく、同法五条五項に
いう「特別の定」に該当すること明白である。論旨は上告代理人独自の見解であつ
て採るを得ない。
 同第二点について。
 自作農創設特別措置法による行政処分の取消変更を求める訴について、同法四七
条ノ二がその出訴期間を従来に比し短く定めたことを以て憲法に違反するものとす
べきでないことは既に当裁判所の判例の示すところである(昭和二三年(オ)第一
三七号、同二四年五月一八日大法廷判決参照)。所論の理由ないことは右判例の趣
旨に徴しおのずから明らかである。それ故論旨は理由がない。
 以上説明のとおり、本件上告は理由がないから、これを棄却することとし、民訴
四〇一条、九五条、八九条に従つて主文のとおり判決する。右は裁判官全員一致の
意見である。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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