弁護士法人ITJ法律事務所

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○ 主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
当事者の求めた裁判
請求の趣旨
1 被告が神戸市<地名略>ないし<地名略>の一七〇戸の共同住宅の敷地(右一
七〇戸の共同住宅の所有者一七〇名の共有)に対する昭和五一年度固定資産税及び
都市計画税について、その年税額を金五七万〇、六〇〇円として、昭和五一年五月
一〇日付で「Aホカ一六九ニン」名義あてになした賦課決定を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
(本案前の申立て)
1 原告の訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
(本案につき)
主文同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、昭和五〇年三月二八日、神戸市住宅供給公社から神戸市<地名略>な
いし<地名略>の一七〇戸の共同住宅のうち同団地<地名略>の一戸である一区画
を買受け、以降同団地<地名略>ないし<地名略>の他の区画の区分所有者一六九
名と共に右四棟の共同住宅の敷地(以下「本件土地」という。)を共有しているも
のであるが、被告は、本件土地に対する昭和五一年度固定資産税及び都市計画税に
ついて、その年税額を金五七万〇、六〇〇円として、昭和五一年五月一〇日付で
「Aホカ一六九ニン」名義あてに賦課決定をなし(以下「本件課税処分」とい
う。)、その旨の納税通知書を同月一五日原告住所に送達した。そこで、原告は、
同年七月一四日付で神戸市長に対して審査請求をしたところ、同市長は右審査請求
を棄却する旨の裁決をなし、右裁決書謄本は同年八月二一日原告に送達された。
2 しかし、本件課税処分は次のとおり違法である。
(一) 原告外一六九名の共有者については、被告が共有者各人ごとに課税台帳を
作成していないため、単独で土地を所有する者に固定資産税及び都市計画税を賦課
する場合と比較したとき、次のような不利益な扱いをうける。
(1) 地方税法(以下「法」という。)三五一条所定の免税点に該当するか否か
につき、課税台帳を判断の資料にすることができない。
(2) 法三六五条所定の納期前の納付による報酬金の取得は、共有者全員の一致
が必要なため、ほとんど不可能である。
(3) 法三六九条所定の延滞金の計算上、法二〇条の四の二の端数切捨で不利で
ある。
(4) 法二〇条の一〇による納税証明書の交付を受けることができない。
固定資産税の担税力の外形的標準は、共有物については、その持分と解すべきであ
る。例えば共同住宅の敷地は、ほとんどが共有地であるが、共同住宅の敷地を共同
住宅の所有者に分割し、それぞれ重畳的に地上権を設定することも可能であるが、
これを共同住宅の敷地を共有する場合と比較しても外形的標準に違いのないことか
らも明らかであり、また、同じ地方税である不動産取得税においては、不動産を共
同して取得したものについては、各人の持分ごとに免税点の適用がなされているこ
とからも、持分こそが担税力を反映することが明らかである。
しかるに、被告は持分によらないで本件課税処分をなし、原告ら共有者に対して合
理的な理由のない不利益な取扱いをなしたものであるから、本件課税処分は憲法一
四条に違反する。
(二) 神戸市を含む阪神間の全域においては、共同住宅所有者の共有敷地に対す
る固定資産税及び都市計画税の課税方式として、各共有者の持分に応じて課税す
る、いわゆる分割課税方式をとつている。
ところが、被告は、原告ら共有者に対し、いわゆる分割課税の方式をとらずに本件
課税処分をなしたため、原告ら共有者は、分割課税方式により課税されている共有
者に比べ、前記(一)(1)ないし(4)記載の不利益の他に
(5) 他の一六九名の共有者の固定資産税、都市計画税を納付させられ、その徴
収を強いられ、その任意の支払がないときには自らこれを負担しなければならない
という不利益をうけた。
このように、同じ共同住宅の敷地共有者であるのに、原告ら共有者にいわゆる分割
課税を許さないのは合理的な理由のない差別であつて、憲法一四条に違反するもの
である。
(三) 法一〇条の二は、民法における連帯債務者のように、主観的連帯関係をも
つた者の間において適用されるべきであり、共同住宅所有者のような、相互に面識
もない、主観的連帯関係のない者の間においては適用されるべきではない。しかる
に、これを誤つて適用した本件課税処分は違法である。
3 以上のとおり、本件課税処分は違法であつて、取り消されるべきものである。
二 本案前の主張
本件課税処分は、被告から昭和五一年五月一五日、「Bサマカタ Aホカ一六九ニ
ン殿」と記載された昭和五一年五月一〇日付納税通知書が原告住所に送達されてな
されたものであるが、本件課税処分は、「Aホカ一六九ニン」名義で訴外Aに対し
てなされたものであつて、同訴外人についてのみ成立し、かつ、効力を有するもの
であり、原告を含む「ホカ一六九ニン」に対して課税処分がなされたものではない
し、また、共有者の一人に対する課税処分の通知は、他の共有者に及ぶものではな
いから、原告は本訴に原告適格を有しない。
訴外Aに対する本件課税処分が法一〇条による民法四三四条の準用によつて、原告
を含む外一六九名の本件土地共有者に対しても効力が及ぶとする原告の主張は争
う。
三 本案前の主張に対する認否及び反論
本件課税処分が、被告から昭和五一年五月一五日、「Bサマカタ Aホカ一六九ニ
ン殿」と記載された昭和五一年五月一〇日付納税通知書が原告住所に送達されてな
されたものであることは被告主張のとおりであるが、被告は、原告を含む一七〇名
の共有する本件土地の登記簿上の筆頭名義者が訴外Aであつたが、原告が当時名谷
第二団地の管理組合会計担当理事として本件土地管理の責任者であつたところか
ら、原告に通知する意思で「Bサマカタ Aホカ一六九ニン殿」と記載された本件
納税告知書を原告住所に送達したものであつて、本件課税処分は訴外Aに対してな
されたものではなく、原告に対してなされたものであるから、原告は原告適格を有
する。
仮に本件課税処分が被告主張のように訴外Aに対してなされたものであるとして
も、法一〇条による民法四三四条の準用により原告に対しても右処分の効力が及ぶ
のであるから原告は原告適格を有する。
四 請求原因に対する認否及び被告の主張
1 請求原因1の事実は、裁決書謄本の送達の日時を除き、認める。原告主張の日
に裁決書謄本が原告に送達されたことは知らない。
2 (一)同2(一)の主張は争う。
土地共有者の各人に対し、その持分に応じて固定資産税及び都市計画税を賦課すべ
きであるとの法律上の根拠はない。土地課税台帳は、地方税法施行規則第二四号様
式において定められているとおり、共有物についても一筆毎に作成され、共有者が
多数の場合には共有者氏名表を添付すればよいのである。そして法一〇条の二は、
共有物に対する地方団体の徴収金は納税者が連帯して納付する義務を負う旨明定
し、法一〇条は、民法四三二条の準用により、被告は共有者のうちの一人に対し、
共有物にかかる租税債権の全額の履行を請求できるものであるから、本件処分は法
令に違反するものでなく、また右法令は憲法一四条に違反するものではない。
固定資産税の担税力を推定される客体は、本件の場合一定の外形的標準をもつ土地
であり、個々人の納税義務者の資力ではない。持分に応じた課税がなされるべきで
あるとの主張はあたらない。
(二) 同2(二)の事実中、被告が本件課税処分をなすにつき、原告主張の分割
課税方式をとらなかつたことは認める。原告の分割課税についての主張については
次に述べるとおりであり、その余の原告の主張は争う。
神戸市においては、昭和五〇年度から、高層住宅の底地等で共有者が多数のため、
現に固定資産税、都市計画税の納付について支障をきたしている場合で、かつ共有
者全員から個々に納付できるようその持分に応じた税額の納付書に変更されたい旨
の依頼があつたものに限り、次のとおりの措置をとつている。すなわち、(1)一
般納税通知書と同様の用紙により、共有者各人の持分に応じた課税標準額及び税額
で、各人に対して通知する。(2)免税点の判定は一筆全体の課税標準額による。
(3)端数計算は持分に応じた課税標準額につき、一、〇〇〇円未満を切り捨て
る。(4)前納報酬金の交付、延滞金の徴収、納税証明は持分による税額について
行うが、固定資産課税台帳は一筆について作成する。
右のとおりの、いわゆる分割課税の方法は、課税権者の権限の範囲内でなしている
ものであつて違法ではないし、一括課税された場合とでは若干の差異は生ずるが、
課税権者に与えられた裁量の範囲内で生ずるものであつて違法とはいえない。
(三) 同2(三)の主張は争う。
原告の主張は法三五二条のような明文の根拠を欠くもので失当である。
第三 証拠(省略)
○ 理由
一 原告は、昭和五〇年三月二八日、神戸市住宅供給公社から神戸市<地名略>な
いし<地名略>の一七〇戸の共同住宅のうち、同団地<地名略>の一戸である一区
画を買受け、以降同団地<地名略>ないし<地名略>の他の区画の区分所有者一六
九名と共に本件土地を共有しているものであるが、被告が本件土地に対する昭和五
一年度固定資産税及び都市計画税について、その年税額を金五七万〇、六〇〇円と
して、昭和五一年五月一〇日付で「Aホカ一六九ニン」名義あてに本件課税処分を
なし、その旨の納税通知書を同月一五日原告住所に送達したこと、原告が同年七月
一四日付で神戸市長に審査請求をなしたところ、同市長が右審査請求を棄却する旨
の裁決をなしたことは当事者間に争いがなく、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣
旨によれば、右審査請求を棄却する旨の裁決書謄本が同年八月二一日原告に送達さ
れたことは明らかである。
二 被告は、本件課税処分が「Aホカ一六九ニン」名義で訴外Aに対してなされた
ものであつて、同訴外人についてのみ成立し、かつ、効力を有するものであり、原
告を含む「ホカ一六九ニン」に対して課税処分がなされたものではないとして、原
告が本訴について原告適格を有しないと主張する。
しかし、被告が原告を含む一七〇名共有の本件土地に対する昭和五一年度固定資産
税および都市計画税について、昭和五一年五月一〇日付で「Aホカ一六九ニン」名
義あてに本件課税処分をなし、その納税通知書を同月一五日原告住所に送達したこ
とは前記のとおりであつて、原告本人尋問の結果によれば、原告は、昭和五一年四
月から<地名略>ないし<地名略>の一七〇戸の共同住宅の区分所有者一七〇名か
らなる管理組合の会計理事を務めていたが、本件土地に対する固定資産税及び都市
計画税を、原告を含む本件土地共有者一七〇名各人に各持分に応じて賦課されたい
旨、垂水区役所課税課担当者と交渉したけれども、これが容れられなかつたところ
から、かねて神戸市においては、土地共有者に対して固産資産税及び都市計画税の
納税通知をするについては、原則として当該土地の登記簿上の筆頭者にのみ通知を
なす取扱いであり、そのため、実際には右管理組合において集金事務処理をせざる
をえないこともあつて、納税通知書を本件土地の登記簿上の筆頭者である訴外Aで
はなく、原告に送達されたい旨右担当者に申し入れて、その了承を得た結果、昭和
五一年五月一五日、原告住所に「Bサマカタ、Aホカ一六九ニン殿」と記載された
本件納税通知書が送達された経緯であることが認められる。したがつて、本件納税
通知書に「Aホカ一六九ニン」とあるのは、「A」のみを名宛人とする趣旨でない
ことは明らかであり、本件土地の共有者の一人である「A」が特に記されているの
は、訴外Aが本件土地の登記簿上の共有者の筆頭者であることによるものにすぎ
ず、「ホカ一六九ニン」と続けて記載されていることからすれば、訴外A以外の共
有者一六九名を名宛人として排除する趣旨ではないことは明らかであつて、むし
ろ、本件納税通知書は本件土地の共有者である「Aホカ一六九ニン」、すなわち、
本件土地の共有者である原告を含む一七〇名全員を名宛人とするものであつて、
「Aホカ一六九ニン」としたのは、単に、これら共有者全員の名を連記する煩を避
けるための便宜の措置と解すべきものであるから、原告が本件土地の共有者の一人
である以上、原告が「ホカ一六九ニン」のうちに含まれるのは疑いの余地がなく、
本件納税通知書に「Bサマカタ」と特に記されていること、さらに原告が本件土地
の共有者一七〇名からなる管理組合の会計理事という地位にあつたこと、その他原
告と垂水区役所課税課担当者との交渉の経緯など前認定の事実に照らせば、「Aホ
カ一六九ニン」名義あての本件納税通知書が原告の住所に送達されてなされた本件
課税処分は、本件土地の共有者である原告を含む一七〇名全員を名宛人とするもの
であり本件納税通知書が本件土地の共有者の一人である原告の住所に送達されたも
のである以上、本件課税処分が原告について成立し、かつ、効力を有するものであ
ることは明らかである。
原告が本訴について原告適格を有しないとの被告の本案前の抗弁は採用できない。
三 そこで以下、本件課税処分の当否について検討する。
1 原告は、被告が原告ら一七〇名の本件土地の共有者に対して持分によらないで
本件課税処分をしたのは、単独所有者に固定資産税および都市計画税を賦課した場
合と比較して、不利益な取扱いを受けると主張し、(1)ないし(4)の事実を指
摘して、憲法一四条に違反するというのである。
しかし、固定資産税および都市計画税は、不動産を所有する事実を課税要件とし、
その資産価値自体に着目して課せられる財産税の一種であつて、共有物については
共有者全員が納税義務者となり、かつ、連帯して納税義務を負い、各自独立して共
有物全体にかかる固定資産税および都市計画税の納税義務を負うものであるから共
有土地に対する固定資産税及び都市計画税の課税処分は、当該土地共有者の各持分
に応じて、またはこれに対してなされるものでない(法三四二条、一〇条の二、一
〇条、民法四三二条参照)。したがつて、被告が原告ら一七〇名の本件土地の共有
者に対して持分によらないで本件課税処分をしたことに、なんら違法はなく、単独
所有者に固定資産税および都市計画税を賦課した場合と比較して、原告主張(1)
ないし(4)の取扱いの差異があつたとしても共有は、単独所有とは、その所有の
形態において異る以上、これを合理的な理由のない差別があるということはできな
い。土地共有者全員が各自独立して当該土地全体にかかる固定資産税および都市計
画税の納税義務を負うものであるから、これについて免税点、期限前納付の判断等
をなすことは当然であつて、土地の単独所有の場合と比較するに土地の共有持分を
もつてして、本件課税処分により不平等な取扱いをうけたとして憲法一四条に違反
するということはできない。
2 原告は、また、神戸市においては、共同住宅所有者の共有敷地に対する固定資
産税および都市計画税の課税方式として、各共有者の持分に応じて課税する、いわ
ゆる分割課税方式をとつているのにかかわらず、被告が原告ら一七〇名の本件土地
の共有者に対して持分によらないで、いわゆる一括課税方式により本件課税処分を
したのは、いわゆる分割課税方式をとつた場合と比較して不利益な取扱いを受ける
と主張し、(1)ないし(5)の事実を指摘して、憲法一四条に違反するというの
である。
しかし、共有土地については、共有者全員が各自独立して共有土地全体にかかる固
定資産税および都市計画税の納税義務を負うものであるから、いわゆる一括課税方
式によるべきものであり、各共有者の持分に応じて課税する、いわゆる分割課税方
式は、法が共有物全体について共有者全員に連帯納税義務を認めた法の趣旨に反す
るものであつて、法の予想するところでなく、適法であるとはいいがたい(法一〇
条の二参照)。もつとも、成立に争いのない甲第四、五号証、第六号証の一ないし
三、乙第一、二号証の各一、二、第三号証、証人Cの証言及び弁論の全趣旨によれ
ば、高層分譲住宅の敷地等で建物区分所有者が共有する土地に対して課する固定資
産税および都市計画税について、共有者全員に連帯納税義務を課する、いわゆる一
括課税方式では、納税者の納税意識になじみにくく、そのため、徴税手続も、とか
く円滑を欠くきらいがあるところから、全国の大都市圏の市町村において、各共有
者の持分に応じて課税する、いわゆる分割課税方式をとるところがあり、また、阪
神間においても、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市の七
市が、昭和四五年七月二一日、いわゆる分割課税方式によつて処理することを協議
して、以後、いわゆる分割課税方式により処理されるようになり、神戸市において
も、昭和五〇年度から、共有土地の固定資産税および都市計画税の課税処分をなす
について、一律に、登記簿上の共有者の筆頭者にのみ、「○○(筆頭者)ホカ○ニ
ン」を名義人とする当該共有土地全体について全額賦課する納税通知書を送付して
行う、いわゆる一括課税方式により課税処分をなす取扱いを改め、昭和五〇年度か
ら昭和五三年度までは、高層分譲住宅の底地等で共有者が多数のため、現に右各税
の納付に支障を来たし、かつ当該共有者全員から、それぞれの持分に応じた納付額
による課税に変更してもらいたい旨の依頼があつた場合に限つて、(1)納税告知
は、一般の納税通知書と同様の用紙により、各人の持分に応じた課税標準額、税額
を共有者各人に通知する。(2)免税点の判定は、一筆全体の課税標準額による。
(3)端数計算は、各持分についての課税標準額の一、〇〇〇円未満を切り捨て
る。(4)前納報奨金の交付、延滞金の徴収、納税証明は、持分による税額につい
てなす。という、いわゆる分割課税方式により課税処分がなされたが、昭和五四年
度からは、ふたたび、いわゆる一括課税方式により課税処分をなす取扱いに改め、
ただ徴収手続についてのみ、各共有者に持分に応じた税額を納付する、いわゆる分
割納付を認めているものであり、昭和五一年度の神戸市の約二万件に及ぶ共有土地
に対する固定資産税および都市計画税の取扱事例についてみると、そのうち約四〇
〇件が、右のいわゆる分割課税方式による取扱いがなされた事例であることが認め
られる。したがつて、高層分譲住宅の敷地等で建物区分所有者が共有する土地に対
して課する固定資産税および都市計画税について、全国の大都市圏の市町村におい
て、各共有者の持分に応じて課税する、いわゆる分割課税方式をとるところがあ
り、阪神間においても、尼崎市などの七市が、いわゆる分割課税方式をとつてお
り、また、神戸市においても、昭和五〇年度から昭和五三年度まで例外的な処理と
して、一部、いわゆる分割課税方式によつて処理していることが認められるのであ
るが、右のような、いわゆる分割課税方式は、法が共有物について連帯納税義務を
認めた趣旨に照らせば(法一〇条の二参照)、法に適合したものとはいえず、違法
な課税方式というべきであつて、このことは既に説示したとおりであるから、他の
市町村が、また、神戸市においても、一定期間例外的に、かかる違法な、いわゆる
分割課税方式により課税処分がなされているからといつて、そして、いわゆる一括
課税方式を、いわゆる分割課税方式と比較した場合、納税者が原告主張(1)ない
し(5)の事実について不利益を受けるからといつて、被告が法に適合した、いわ
ゆる一括課税方式によりなした本件課税処分が課税平等原則に反して違法であると
はいえないし、憲法一四条が要請する平等原則に反して違法であるとはいえない。
けだし、課税庁は、法律の規定に従つて厳格に課税処分をしなければならないので
あつて、特定の納税者の納税意識になじまないとか、徴税手続に円滑を欠くきらい
があるという理由で、課税庁の恣意的な判断によつて、法の解釈適用をすることは
許されないし、自由裁量の容れる余地のないものであるからである。
3 原告は、また、高層住宅の敷地等で建物区分所有者が共有する土地について
は、共有者間に主観的連帯関係がないから、法一〇条の二を適用すべきでないと主
張するが、法一〇条の二を、共有者内部の関係如何によつて、その適用範囲を異に
するものと解することはできず、原告の右主張は採用できない。
四 以上のとおりであつて、本件課税処分は適法であつて、なんらの違法もないの
であるから、本件課税処分の取消しを求める原告の本訴請求は理由がないものとし
て、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴
訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 阪井 朗 森脇 勝 高野 伸)

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