弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 被告人の弁護人深井龍太郎の上告趣意は末尾に添附のとおりである。
 職権により調査すると、本件記録に徴すれば、被告人には窃盗未遂、窃盗教唆、
賍物寄蔵、賍物牙保の犯罪事実があるとして起訴されたのであるが、第一審判決は
適法に証拠調をした証拠によつて、右起訴にかゝる公訴事実の存在を確定したけれ
ども、A、Bの検察官に対する各供述調書の記載、証人Cの第一審公判廷における
証言、鑑定人D、同Eの被告人の精神状態に関する各鑑定書の記載、右Dの第一審
公判廷における証人としての供述及び第一審公判廷における被告人の供述並びにそ
の態度等によつて、被告人は右犯行当時心神喪失の状態にあつたものとして、即ち
被告人には是非善悪を弁別し、これに基いて行動する能力ありと認めるに足る精神
状態の存在は認められないとして、被告人に対し無罪の言渡をしたところ、検察官
からの、右第一審判決が被告人を心神喪失の状態にあるとしたのは事実を誤認した
ものであるとの控訴趣意に対し、原審は何ら事実の取調もしないで右検察官の控訴
趣意を容れ第一審判決を破棄し、訴訟記録及び第一審裁判所で取り調べた証拠のみ
によつて、被告人に対する犯罪事実を確定し且つ「被告人は、本件犯行当時、窃盗、
賍物牙保等の行為に対する正邪の弁別心はもとより、犯罪発覚の直後、逮捕を免れ
んがため、自分は警察署員である等と詐称するなどの思慮をさえも備えて居たもの
であつたことを認定することができる、そうして見れば、被告人は本件犯行当時、
心神耗弱の状態にあつたと認定するを至当とすべく」と判示し、本件犯行当時被告
人には通常人に比すれば低い程度ではあるが、是非善悪を弁別しこれに基いて行動
する能力があつたと認めるに足る精神状態の存在を認定し被告人に対し有罪の判決
を言い渡したことが明らかである控訴審において、被告人に刑事責任を負わしめる
に足る精神状態の存在は認められないとして無罪を言い渡した第一審判決は、精神
状態についての事実を誤認したものとしてこれを破棄し、自判によつて有罪の判決
を言い渡すには、控訴審は自ら事実の取調を行うことを要し、さもなければ第一審
に差し戻すべきものであること、昭和二六年(あ)第二四三六号同三一年七月一八
日言渡大法廷判決の趣旨に徴し明らかである。してみれば原判決は、刑訴四〇〇条
但書に違反する違法があつて、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認
める。
 よつて、刑訴四一一条一号、四一三条により主文のとおり判決する。
 この裁判は裁判官池田克の意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるもので
ある。 裁判官池田克の意見は次のとおりである。
 わたくしも亦、本件を破棄差戻すべきものとすることにおいて多数意見と結論を
同じくするものであるが、その理由を異にするので、一言意見を表示しておくこと
とする。
 第一審判決は、被告人が本件犯行当時心神喪失の状態にあつたものと認めて、被
告人に対して無罪の言渡をしているのであるが、第一審が右のごとき心証を形成す
るにつき特に重視したものは、判文自体からも窺われるとおり、鑑定人D、同Eの
被告人の精神状態に関する各鑑定書の記載及び右Dの証人としての供述並びに被告
人の公判廷における供述及び態度である。してみると、第二審たる原審においては、
たとい書面審査の結果に徴し、被告人の本件犯行当時の精神状態が心神耗弱の程度
であつたと認めるのを相当とするものと判断することができたとしても、それだけ
では審理をつくしたものといえないのであつて、精神状態の法律評価に誤りなきこ
とを期するため、少くとも被告人の精神状態につき再鑑定を命じて、その結果をも
参照すると共に、公判廷に被告人の出頭を求めて、その供述及び態度を参酌する等、
必要な措置を執らなければならなかつたものといわなければならない。しかるに、
原審は事ここに出でず、たやすく検察官の控訴趣意を容れて第一審判決を破棄した
のは、審理をつくさざるに因る理由不備の違法があるものというべく、刑訴四一一
条一号により破棄を免れない。
 本件公判出席検察官 長部謹吾。
  昭和三一年一二月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
 裁判官 谷村唯一郎は退官につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重

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