弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、被告人の弁護人遊田多聞提出の控訴趣意書に記載されている
とおりであるから、ここにこれを引用する。
 控訴趣意第一について
 しかしながら、原判決挙示の証拠を総合すれば、原判示事実はその証明ありとす
るに十分で、所論に徴し記録を精査しても、原判決には判決に影響を及ぼすことの
明らかな事実の誤認が存在するものとは考えられない。所論は、原判決が証人A
(司法巡査)の原審公判廷における供述を罪証の用に供し、よつて犯罪事実を認定
したことを攻撃し、右証言は信憑性がないから、これを罪証の用に供した原判決は
採証の法則に違反していると主張するのであるが、同証言の内容を原審において取
調べられた他の証拠と比較検討してみても、所論の如く信憑性がなく罪証の用に供
し得べからざるものであることはこれを認めるに足りない。却つて原審第三回公判
調書の記載によれば、被告人は検察官に取調べられたとき「どうして停止しなかつ
たか」と尋ねられ「安全だから」と答えた旨供述している位であつて、なお、原審
において検察官から刑事訴訟法第三百二十八条に基き被告人の公判廷における供述
の証明力を争う趣旨て提出された被告人の司法警察員に対する供述調書及び右A作
成の犯罪事実現認報告書の記載によつても、被告人が警察官に対し同様の供述をし
ていたことが窺われるのであるから、右証人Aの原審公判廷における「被告人は本
件踏切通過に際し一時停車をしなかつた旨」の証言は信憑に値するものというべき
であつて、ひつきよう、被告人が本件踏切を通過しようとするに際しては一時停止
の義務を怠つたというのが事実であつたと認めるのが相当であり、右Aの証言の信
憑性を云為する所論は理由がないものといわなければならない。これを要するに、
原判決には所論のような採証法則の違反ないし事実の誤認は存在しない。論旨は理
由がない。
 控訴趣意第二について
 所論は、本件は道路交通取締法第十五条但書にいわゆる「その他の事由により安
全であることを確認したとき」に該るから一時停車は必要ではなかつた旨主張し、
その理由として(1)、本件踏切には以前から踏切番屋が設置され踏切警手が常時
勤務し、且つ(2)、遮断機が設置され何らの故障なく操作されており、又
(3)、踏切内の通行人が僅少であり、更に(4)、踏切直前において左右の軌道
内を見通し得る場合であり、遮断機は上げられており、通行人及び車馬の通行を自
由に許している状態であつたから、この状態自体が「進め」を表示していたもので
ある等の事由を挙げている。
 <要旨>しかしながら、軌道の踏切に番小屋が設置され、踏切警手が勤務している
だけで、踏切警手が何らの交通上の指示をもしていないと認められる本件に
おいては、一時停車の義務が免除されるとは考えられないし、また、踏切に遮断機
が設置されており、それが開放されていたとしても、それだけでは信号機の表示又
は信号人の指示により安全であることを確認した場合に該らないのはもちろん、そ
の他の事由により安全であることを確認したというに足りないと解する外はない。
けだし、踏切警手の役目は、専ら当該軌道上を走る電車等の通過の安全を看守する
ことを第一義とするものであるから、遮断機の操作もおのずから電車等の通過の安
全を当面の目的とし踏切の横断をはかる車馬及び通行人の通過安全をはかるのは第
二義であるのに過ぎず、遮断機の開放という一事だけで法に定められた信号機の表
示又は信号人の指示と同程度の安全度が確認され得るものと認むべきではないか
ら、この見地からして遮断機の開放を踏切警手による踏切横断の車馬等に対する特
別の交通上の指示であると解することはできないものといわなければならないので
ある。のみならず、原審検証調書の記載によると、被告人が一時停車したと指示し
た地点から左右の軌道路線を見分した結果は、左方においては路線北西側家屋、右
方においては北東B駅ホームに遮断されて路線の直線的視野はきかない旨記載され
ていて、軌道上の見通しは良好ではないことが認められるから、被告人が自動車を
運転して本件踏切を通過するに際しては、一時停車を怠ることなく細心の注意をも
つて自他の危険防止をはからなくてはならなかつたものといわざるを得ない。その
他、踏切内において通行人が僅かであつたか否かの如きは車馬の一時停車義務の有
無とは直接関係かあるとは認められないところであり、これを要するに、以上の説
明と結論を同じくする原判決の判断は相当であつて、原判決には何ら法令の解釈、
適用の誤りは存在しない。論旨は理由がない。
 よって刑事訴訟法第三百九十六条に則り本件控訴を棄却すべきでのとし、主文の
とおり判決する。
 (裁判長判事 三宅富士郎 判事 東亮明判事 井波七郎)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛