弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人色川幸太郎、同中山晴久、同夏住要一郎の上告理由について
 都市再開発法五一条一項、五四条一項は、市町村が、第二種市街地再開発事業を
施行しようとするときは、設計の概要について都道府県知事の認可を受けて事業計
画(以下「再開発事業計画」という。)を決定し、これを公告しなければならない
ものとしている。そして、第二種市街地再開発事業については、土地収用法三条各
号の一に規定する事業に該当するものとみなして同法の規定を適用するものとし(
都市再開発法六条一項、都市計画法六九条)、都道府県知事がする設計の概要の認
可をもって土地収用法二〇条の規定による事業の認定に代えるものとするとともに、
再開発事業計画の決定の公告をもって同法二六条一項の規定による事業の認定の告
示とみなすものとしている(都市再開発法六条四項、同法施行令一条の六、都市計
画法七〇条一項)。したがって、再開発事業計画の決定は、その公告の日から、土
地収用法上の事業の認定と同一の法律効果を生ずるものであるから(同法二六条四
項)、市町村は、右決定の公告により、同法に基づく収用権限を取得するとともに、
その結果として、施行地区内の土地の所有者等は、特段の事情のない限り、自己の
所有地等が収用されるべき地位に立たされることとなる。しかも、この場合、都市
再開発法上、施行地区内の宅地の所有者等は、契約又は収用により施行者(市町村)
に取得される当該宅地等につき、公告があった日から起算して三〇日以内に、その
対償の払渡しを受けることとするか又はこれに代えて建築施設の部分の譲受け希望
の申出をするかの選択を余儀なくされるのである(同法一一八条の二第一項一号)。
 そうであるとすると、公告された再開発事業計画の決定は、施行地区内の土地の
所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであって、抗告訴訟の対象となる
行政処分に当たると解するのが相当である。
 右と同旨の見解に立ち、上告人のした本件事業計画の決定の取消しを求める訴え
を適法なものとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所
論の違法はなく、所論引用の最高裁昭和三七年(オ)第一二二号同四一年二月二三
日大法廷判決(民集二〇巻二号二七一頁)は、事案を異にし、本件に適切でない。
論旨は採用することができない。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷         裁判長裁判官    小  
 野   幹   雄
            裁判官    大   堀   誠   一
            裁判官    橋   元   四 郎 平
            裁判官    味   村       治
            裁判官    三   好       達

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