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平成五年(ワ)第二一六六九号特許権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結の日 平成一二年一月二〇日
判 決
原       告     大日本インキ化学工業株式会社
右代表者代表取締役       【A】
右訴訟代理人弁護士       副島文雄
右補佐人弁理士       【B】
被      告       ボブストジャパン株式会社
右代表者代表取締役       【C】
右訴訟代理人弁護士      中村 稔
同               辻居幸一
右訴訟復代理人弁護士      折田忠仁
右補佐人弁理士       【D】
同               【E】
同               【F】
 主 文
一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
  被告は、原告に対し、金二億四〇〇〇万円及びこれに対する平成五年一二月一
四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
 本件は、原告が、被告に対し、後記一1記載の特許権に基づき、被告による別紙
物件目録一、二記載の各製函機(以下、それぞれを「被告製品一」、「被告製品
二」といい、併せて「被告各製品」という。)の製造、販売が原告の右特許権を侵
害するものであるとして、損害賠償金二億四〇〇〇万円及びこれに対する侵害行為
の後である平成五年一二月一四日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による
遅延損害金の支払を求める事案である。
一 争いのない事実
1 原告の特許権
 原告は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、特許請求の範囲第1項記載の
発明を「本件発明」という。)を有していた。
(一) 特許番号     第一一八八九九四号
(二) 発明の名称    カートンブランクの折装置
(三) 登録年月日    昭和五九年二月一三日
(四) 出願年月日    昭和五三年六月七日
(五) 出願番号     特願昭五三ー六七六二五号
(六) 出願公告年月日  昭和五七年八月一〇日
(七) 出願公告番号   特公昭五七ー三七四六〇号
(八) 特許請求の範囲  本判決添付の特許公報(以下「本件公報」という。)
の該当欄第1項記載のとおり
2 構成要件の分説
 本件発明の構成要件は、次のとおりに分説される。
A フィーダーユニット、各種折ユニット、ノリ付ユニット、スタッカーユニット
等からなり、カートンブランクを前記ユニットに連続的に移送する手段としてベル
トを用いた多様の型及びサイズのカートンブランクの折を行う新装置であること
B(1) カートンブランクの型信号及びカートンブランクの特定の少数の寸法を
示す信号が入力されたとき、
(2) 入力された型信号にもとづき各ユニットにおけるアタッチメントの要不要
を判断する選択手段と
(3) 入力された寸法信号にもとづきカートンブランクの全ての寸法信号を演算
するための演算式を内蔵した演算手段を
(4) 具えた制御手段を設けたこと
C 制御手段からの制御信号にもとづき各ユニットにおける折に不要なアタッチメ
ントを折に邪魔とならない位置まで移動させる駆動手段及び位置検出手段からなる
アタッチメント逃し装置を設けたこと
D 同じく制御手段からの制御信号にもとづき折に必要なアタッチメントを所定の
位置まで移動させる駆動手段と位置検出手段からなる位置決め装置を設けたこと
を特徴とするカートンブランクの折装置
3 被告の行為
(一) 被告は、被告各製品を販売した。
(二) 被告各製品は、サイド貼り、ダブルサイド貼り、底貼り(ロックボト
ム)、四隅貼り、六隅貼り等の折りを行う装置であり、多種の型及びサイズのカー
トンブランクの折りを行うことができる。被告各製品の各部は、別紙対比表記載の
とおり、構成要件Aの各ユニットに該当する。また、被告各製品は、カートンブラ
ンクを右各ユニットに連続的に移送する手段として、ベルトを備えている。
 したがって、被告各製品は、いずれも本件発明の構成要件Aを充足するカートン
ブランクの折装置である。
二 争点及び当事者の主張
1 被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか(構成要件B、C、Dの充足
性)。
(一) 原告の主張
 被告各製品のコンピュータ制御装置8は、操作部80から入力された型信号に基
づいて各部のアタッチメントが折りに必要か不要かを判断する選択手段を有し、ま
た、入力されたカートンブランクの特定箇所の寸法信号に基づいてカートンブラン
クのすべての寸法を演算するための演算式を内蔵した演算手段を有しているから、
構成要件Bの「制御手段」に該当する。また、被告各製品は、コンピュータ制御装
置8からの制御信号に基づき、各部における折りに不要なアタッチメントを折りに
邪魔とならない位置まで移動させる駆動手段とその位置を検出する手段を有すると
ともに、右制御信号に基づき、各部における折りに必要なアタッチメントを所定の
位置まで移動させる駆動手段とその位置を検出する手段を有しているから、構成要
件Cの「アタッチメント逃し装置」及び構成要件Dの「位置決め装置」をいずれも
備えている。
 被告製品一の各部ごとに、備えられた各アタッチメントについて、右のような選
択、演算、駆動、位置検出が行われる状況を具体的に説明すると、次のとおりであ
る(被告製品二については、フィーダー部1に関する部分を除き、被告製品一と同
様である。)。
(1) フィーダー部1について
① フィーダー部1におけるアタッチメントは、下部1Bに取り付けられた七本の
無端ベルト11と上部1Aに取り付けられた一対のガイド13及びゲート14であ
る。
② 七本の無端ベルト11は、それぞれ移動フレーム16に巻回されて支持されて
いるところ、コンピュータ制御装置8において、入力された型信号に基づいて移動
させるべき特定の移動フレーム16が選択されるとともに、入力された特定の寸法
信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュータ制御
装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、移動装置18が選択された
移動フレーム16を幅方向に所定の位置まで移動させる。右移動の量は、スクリュ
ー軸18bの回転量として与えられるところ、スクリュー軸18bの先端に取り付
けられたエンコーダ18pにより右移動量が検出されてコンピュータ制御装置8に
入力され、コンピュータ制御装置8において、無端ベルト11の位置が確認され
る。
③ 一対のガイド13及びゲート14については、コンピュータ制御装置8におい
て、いずれの型信号が入力されても常に必要であると判断されるとともに、入力さ
れた特定の寸法信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コ
ンピュータ制御装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、位置決めブ
ロック19fが、一対のガイド13及びゲート14が設けらている昇降枠19を幅
方向に所定の位置まで移動させる。右移動の量は、スクリュー軸19gの回転量と
して与えられるところ、スクリュー軸19gの先端に取り付けられたエンコーダ1
9iにより右移動量が検出されてコンピュータ制御装置8に入力され、コンピュー
タ制御装置8において、一対のガイド13及びゲート14の位置が確認される。
(2) 予備折り部2について
① 予備折り部2は、左手ビーム201、中央ビーム202、右手ビーム203か
ら成るところ、そのアタッチメントは、左手ビームに取り付けられた上部無端ベル
ト22、下部無端ベルト21、折り曲げガイド206、折り曲げ押さえ207及び
押さえローラ208、中央ビーム202に取り付けられた下部無端ベルト21、右
手ビーム203に取り付けられた下部無端ベルト21、折り曲げベルト209、ベ
ルト案内210及び折り戻しガイド211である。
② 右各アタッチメントについては、コンピュータ制御装置8において、いずれの
型信号が入力されても常に必要であると判断されるとともに、入力された特定の寸
法信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュータ制
御装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、回転軸204が、右各ア
タッチメントが設けられている左手ビーム201、中央ビーム202及び右手ビー
ム203を幅方向に所定の位置まで移動させる。右移動の量は、回転軸204の回
転量として与えられるところ、回転軸204の先端に取り付けられたエンコーダ2
05により右移動量が検出されてコンピュータ制御装置8に入力され、コンピュー
タ制御装置8において、右各アタッチメントの位置が確認される。
(3) コンビ折り部10について
① コンビ折り部10におけるアタッチメントは、底折りフック113、ロータリ
ーフック115、上部無端ベルト112及び下部無端ベルト111である。
② 底折りフック113は、型信号を入力すると、空気圧シリンダ99によって上
昇させられる。この上昇の間、最下定位置を離れたときに下限リミットスイッチか
らオフ信号が、最上定位置に達したときに上限リミットスイッチから到達信号が、
それぞれコンピュータ制御装置8に送られる。コンピュータ制御装置8にオフ信号
と到達信号が入力されると、コンピュータ制御装置8は、底折りフック113が折
りに邪魔にならない最上定位置に達したことを確認検出し、底折りフック113を
不要と判断して指令を送ることはなく、底折りフックは最上定位置に保持される。
③ ロータリーフック115については、後端フラップの折りを必要とする型の信
号が入力されると、コンピュータ制御装置8において必要であると判断され、コン
ピュータ制御装置8からの制御信号に基づき、ロータリーフック115には後端フ
ラップを折るための回転軌道が設定される。他方、後端フラップの折りを必要とし
ない型の信号が入力されると、ロータリーフック115は、コンピュータ制御装置
8において、不要であると判断され、コンピュータ制御装置8からの制御信号に基
づき、その爪がカートンブランク12に接触しない位置で停止させられる。
④ 上部無端ベルト112及び下部無端ベルト111は、左手ビーム121、中央
ビーム122、右手ビーム123の各上部ビーム片及び下部ビーム片にそれぞれ巻
き付けられている。上部無端ベルト112及び下部無端ベルト111については、
先端又は後端のフラップの折りを必要とする型の信号が入力されると、コンピュー
タ制御装置8において必要であると判断されるとともに、入力された特定の寸法信
号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュータ制御装
置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、上部無端ベルト112及び下
部無端ベルト111が巻き付けられている左手ビーム121、中央ビーム122及
び右手ビーム123が、幅方向に所定の位置まで移動させられる。右移動の量は、
駆動する回転軸の回転量として与えられるところ、エンコーダにより右移動量が検
出されてコンピュータ制御装置8に入力され、コンピュータ制御装置8において、
上部無端ベルト112及び下部無端ベルト111の位置が確認される。
(4) 糊付部3について
① 糊付部3は、上部糊付装置3A、下部糊付装置3Bから成るところ、そのアタ
ッチメントは、上部糊付装置3Aにおける糊付ガン31、下部糊付装置3Bにおけ
る糊付ローラ32、糊ポット33及び上位遊動ローラ39である。
② 糊付ガン31は、ホールディング部4の左手ビーム401及び右手ビーム40
3の各上部ビーム片の上に取り付けられている。糊付ガン31については、ダブル
サイド貼り、四隅貼り、六隅貼りの型信号が入力されると、コンピュータ制御装置
8において、必要であると判断されるとともに、入力された特定の寸法信号に基づ
いてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュータ制御装置8から
の右選択及び演算による制御信号に基づき、糊付ガン31が取り付けられている左
手ビーム401及び右手ビーム403の各上部ビーム片が幅方向に所定の位置まで
移動させられ、さらに、糊付ガン31が各上部ビーム片上を幅方向に所定の位置ま
で移動させられる。他方、サイド貼り、底貼りの型信号が入力されると、糊付ガン
31は、コンピュータ制御装置8において、不要であると判断され、コンピュータ
制御装置8からの制御信号に基づき、折りに邪魔にならない位置まで、左手ビーム
401及び右手ビーム403の各上部ビーム片とともに、又は右各上部ビーム片上
を、幅方向に移動させられる。右各移動の量は、駆動する回転軸の回転量として与
えられるところ、エンコーダにより右回転量が検出されてコンピュータ制御装置8
に入力され、コンピュータ制御装置8において、糊付ガン31の位置が確認され
る。
③ 糊付ローラ32、糊ポット33及び上位遊動ローラ39は、機枠A、Bの間に
差し渡された支持棒に取り付けられている。糊付ローラ32、糊ポット33及び上
位遊動ローラ39については、サイド貼り、底貼りの型信号が入力されると、コン
ピュータ制御装置8において、必要であると判断されるとともに、入力された特定
の寸法信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュー
タ制御装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、糊付ローラ32、糊
ポット33及び上位遊動ローラ39が機枠A、B間の支持棒上を幅方向に所定の位
置まで移動させられる。他方、ダブルサイド貼り、四隅貼り、六隅貼りの型信号が
入力されると、糊付ローラ32、糊ポット33及び上位遊動ローラ39は、コンピ
ュータ制御装置8において、不要であると判断され、コンピュータ制御装置8から
の制御信号に基づき、折りに邪魔にならない位置まで、機枠A、B間の支持棒上
を、幅方向に移動させられる。右移動は、駆動モータによって行われるところ、右
駆動モータに対する制御はコンピュータ制御装置8によって行われ、また、コンピ
ュータ制御装置8においては、右駆動モータによる移動量の検出も行われ、糊付ロ
ーラ32、糊ポット33及び上位遊動ローラ39の位置が確認される。
(5) ホールディング部4について
① ホールディング部4のアタッチメントは、下部無端ベルト41、上部無端ベル
ト42、折り曲げベルト、折り曲げローラ、折り曲げガイド、折り曲げベルト案内
である。
② 右各アタッチメントは、左手ビーム401及び右手ビーム403に取り付けら
れている。右各アタッチメントについては、コンピュータ制御装置8において、い
ずれの型信号が入力されても常に必要であると判断されるとともに、入力された特
定の寸法信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュ
ータ制御装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、右各アタッチメン
トが取り付けられている左手ビーム401及び右手ビーム403が幅方向に所定の
位置まで移動させられる。右移動は、駆動モータによって行われるところ、右駆動
モータに対する制御はコンピュータ制御装置8によって行われ、また、コンピュー
タ制御装置8においては、右駆動モータによる移動量の検出も行われ、右各アタッ
チメントの位置が確認される。
(6) プレッシング部5について
① プレッシング部5のアタッチメントは、ユニット51及び52、各ユニットに
設けられた上プレスローラ53及び下プレスローラ54である。
② 右各アタッチメントについては、コンピュータ制御装置8において、いずれの
型信号が入力されても常に必要であると判断されるとともに、入力された特定の寸
法信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュータ制
御装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、ユニット51及び52が
幅方向に所定の位置まで移動させられる。右移動は、駆動手段によって行われると
ころ、右駆動手段に対する制御はコンピュータ制御装置8によって行われ、また、
コンピュータ制御装置8においては、右駆動手段による移動量の検出も行われ、右
各アタッチメントの位置が確認される。
(7) トランスファー部6について
① トランスファー部6のアタッチメントは、左手ビーム601に設けられた上部
アーム604及び下部アーム603、右手ビーム602に設けられた上部アーム6
06及び下部アーム605、上部アーム604及び606にそれぞれ巻き付けられ
た上部無端ベルト61、下部アーム603及び605にそれぞれ巻き付けられた下
部無端ベルト62である。
② 右各アタッチメントについては、コンピュータ制御装置8において、いずれの
型信号が入力されても常に必要であると判断されるとともに、入力された特定の寸
法信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュータ制
御装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、左手ビーム601及び右
手ビーム602が幅方向に所定の位置まで移動させられ、さらに、上部アーム60
4及び下部アーム605の長さが伸縮させられる。左手ビーム601及び右手ビー
ム602の移動並びに上部アーム604及び下部アーム605の長さの伸縮は、駆
動手段によって行われるところ、右駆動手段に対する制御はコンピュータ制御装置
8によって行われ、また、コンピュータ制御装置8においては、右駆動手段による
移動ないし伸縮の量の検出も行われ、右各アタッチメントの位置が確認される。
(8) デリバリー部7について
① デリバリー部7のアタッチメントは、三つの導入ユニット63である。
② 三つの導入ユニット63については、コンピュータ制御装置8において、いず
れの型信号が入力されても常に必要であると判断されるとともに、入力された特定
の寸法信号に基づいてカートンブランクのすべての寸法が演算される。コンピュー
タ制御装置8からの右選択及び演算による制御信号に基づき、三つの導入ユニット
63がそれぞれ幅方向に所定の位置まで移動させられる。右移動は、駆動モータに
よって行われるところ、右駆動モータに対する制御はコンピュータ制御装置8によ
って行われ、また、コンピュータ制御装置8においては、右駆動手段による移動量
の検出も行われ、三つの導入ユニット63の位置が確認される。
(二) 被告の主張
(1) 本件発明における「アタッチメント」の範囲
 本件発明に係る明細書(補正後のもの。以下「本件明細書」という。)の記載、
本件特許出願の際の当初の明細書の記載及び本件発明に最も近いと思われる公知技
術(米国特許第四〇七一八九三号)の内容を参酌すれば、本件発明は、カートンブ
ランクの折装置において、数十点にも及ぶ各種アタッチメントのセッティングを手
作業で行っていた従来技術に対し、そのすべてを自動的に選択し、かつ、型及びサ
イズに応じて自動的にセッティングをすることにより、完全に自動化された装置を
提供するという点に特徴を有する発明というべきであるから、本件発明における
「アタッチメント」とは、あらゆる型のカートンブランクに使用される部品及び型
によって必要となったり不要になったりする部品のすべてを指すものと解すべきで
ある。したがって、これらの部品のすべてについて、自動的に要不要の選択をし、
かつ、自動的にセッティングをするものでなければ、本件発明の構成要件B、C及
びDを充足するカートンブランクの折装置とはいえない。
(2) 以下のとおり、被告各製品には、自動的に要不要の選択が行われなかった
り、自動的にセッティングが行われなかったりするアタッチメントが存在するか
ら、被告各製品は、本件発明の構成要件B、C、Dを充足しない。
① 被告各製品には、カートンブランクの型にかかわらず常に必要とされるアタッ
チメントがあるところ、これらのアタッチメントについて、被告各製品のコンピュ
ータ制御装置8は、その要不要を判断し、選択するということをしない。
② 被告各製品には、付属品として、ダブルサイド貼りのカートンブランクを折る
ときに予備折り部2に設置することが必要なダブルウォール装置、ヴァンビューレ
ン式の箱を折るときにトランスファー部6に設置することが必要なヴァンビューレ
ン装置、サイズの小さな箱を折るときにホールディング部4に設置することが必要
なミニマムフォルダー等があるところ(別紙物件目録一及び二の各13「その他の
付属品」)、これらの付属品はすべて、これら独特の折りの際に手作業で、取り付
け及び位置決めがされ、他の折りを行う際には手作業で取り外されるものである。
したがって、これらのアタッチメントについては、コンピュータ制御装置8により
自動的に要不要の選択が行われることも、また、自動的にセッティングが行われる
こともない。
③ 乙第一号証の八頁には、「サイド貼箱用の部品」と「四隅貼箱用の部品」が示
されているところ、右「サイド貼箱用の部品」は、被告各製品において、サイド貼
りに必要であって、他の型の折りには不要な部品であり、また、右「四隅貼箱用の
部品」は、被告各製品において、四隅貼り及び六隅貼りに必要であって、他の型の
折りには不要な部品である。そして、右「サイド貼箱用の部品」及び「四隅貼箱用
の部品」はいずれも、それが必要とされる型の折りを行う際に、手作業で取り付け
及び位置決めがされ、他の折りを行う際には手作業で取り外されるものである。し
たがって、これらのアタッチメントについては、コンピュータ制御装置8により自
動的に要不要の選択が行われることも、また、自動的にセッティングが行われるこ
ともない。
④ さらに、被告各製品において、取り外されることのない部品の中にも、手動に
より位置決めされるものがある。例えば、被告各製品のコンビ折り部10におけ
る、底折りフック113及び折りガイド120の幅方向及び高さ方向の位置決め、
ロータリーフック115の幅方向の位置決めは、いずれも手動により行われる。し
たがって、これらのアタッチメントについては、コンピュータ制御装置8により自
動的に要不要の選択が行われることも、また、自動的にセッティングが行われるこ
ともない。
 なお、別紙表一は、被告各製品における種々のアタッチメントが折られる型の種
類によって必要となったり、不要となったりすることを具体的に示したものであ
り、また、別紙表二は、被告各装置において、サイド貼り、底貼り、ダブルサイド
貼り、四隅貼り、六隅貼り、サイド貼りの順に折りの型を移行した場合に、どのよ
うな手作業の操作を必要とするかを示したものである。
(三) 被告の主張に対する原告の反論
(1) 本件発明における「アタッチメント」の範囲について
 本件発明における「アタッチメント」は、制御手段により要不要が判断され、不
要と判断された場合には折りに邪魔とならない位置まで移動させられ、他方、必要
と判断された場合には所定位置まで移動させられて位置決めされるというものであ
るから、「折装置に取り付けられているものであって、型替えや寸法替えのとき
に、取り外すことなく取り付けられているままで駆動手段によりセッティングされ
て位置決めされるもの」を指すと解すべきであり、特定の折りのため、その都度手
作業で取り付けられたり、取り外されたりするものは含まれないというべきであ
る。
(2) 被告が主張する前記(二)(2)②及び③の部品は、いずれも、特定の折
りのため、その都度手作業で取り付けられたり、取り外されたりするものであり、
本件発明における「アタッチメント」には含まれないから、これらの部品につい
て、自動的に要不要の選択がされたり、自動的にセッティングがされたりすること
がないとしても、それによって、被告各製品が本件発明の構成要件B、C、Dを充
足しないことにはならない。
(3) 被告が主張する「カートンブランクの型にかかわらず常に必要とされるア
タッチメント」(前記(二)(2)①)については、被告各製品のコンピュータ制
御装置8において、いずれの型信号が入力されたときも必要であると判断されてい
るものであり、選択手段の対象となっているというべきである。
(4) 被告が主張する被告各製品のコンビ折り部10における、底折りフック1
13、ロータリーフック115及び折りガイド120については、以下に述べると
おり、コンピュータ制御装置8により、要不要が判断され、かつ、セッティングが
制御されているといえる。
① 底折りフック113について
 底折りフック113によるカートンブランクの先端フラップの底折りは、上部無
端ベルト112及び下部無端ベルト111が、先端フラップを挾む二つの縦罫線に
沿ってカートンブランクを挾んで保持している状態で行われるところ、右上部無端
ベルト112及び下部無端ベルト111については、前記(一)(3)④記載のと
おり、コンピュータ制御装置8により、要不要の判断がなされるとともに、必要と
判断された場合には、入力された特定の寸法信号に基づいてカートンブランクのす
べての寸法信号が演算され、右選択及び演算による制御信号に基づいて、駆動手段
により幅方向に移動させられて、前記二つの縦罫線に沿って位置決めがされること
になる。
 他方、底折りフック113は、セッティングに当たっての昇降及び幅移動に手動
操作が介在することになる。しかしながら、昇降については、昇降により到達する
底折りフック113の上下限位置は、リミットスイッチにより検出され、下限リミ
ットスイッチからのオフ信号及び上限リミットスイッチからの到達信号がコンピュ
ータ制御装置8に送られ、コンピュータ制御装置8によって自動的に上下限位置が
セッティングされる。また、幅移動により到達する底折りフック113の位置は、
前記二組のベルト群によって挾まれる区域であり、各ベルト群の位置は、前記のと
おりコンピュータ制御装置8によって自動的に決められる。したがって、底折りフ
ック113の昇降や幅移動が手動操作によって行われるといっても、昇降及び幅移
動により達する位置はコンピュータ制御装置8によって制御されているから、結局
のところ、底折りフック113は、コンピュータ制御装置8により、セッティング
が制御されているものといえる。
② ロータリーフック115について
 ロータリーフック115の幅方向の移動は、手動によって行われるが、ロータリ
ーフック115による後端フラップの折りは回転によって行われ、しかも回転によ
る折りは幅方向に長い後端フラップの一部に接触すれば達成できるのであるから、
回転についての制御ができていれば、自動化の目的が達成できることは当業者の常
識である。そして、ロータリーフック115については、前記(一)(3)③記載
のとおり、その回転がコンピュータ制御装置8により自動的に制御されているので
あるから、コンピュータ制御装置8により、セッティングが制御されているといえ
る。
③ 折りガイド120について
 折りガイド120は、底折りフック113やロータリーフック115によるフラ
ップの折りの際に、ダイヤゴナルフラップを形成するために使用されるものである
から、折りガイド120の幅方向及び高さ方向の移動が手動により行われるとして
も、その移動は底折りフック113やロータリーフック115の位置を基準として
行われるのであり、他方、底折りフック113及びロータリーフック115のセッ
ティング位置決めは前記のとおりコンピュータ制御装置8によって制御されている
のであるから、結局のところ、折りガイド120のセッティングも、コンピュータ
制御装置8により制御されているものといえる。
2 原告の損害の額
(一) 原告の主張
 被告は、本件特許権の登録日(昭和五九年二月一三日)以降、少なくとも合計一
〇台の被告各製品を製造販売し、八億円を売り上げ、二億四〇〇〇万円の利益を得
た。
 被告が得た右利益の額は、原告が受けた損害の額と推定される(特許法一〇二条
二項)。
(二) 被告の主張
 原告の主張は争う。
第三 争点に対する判断
一 争点1(被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか)について
1 本件発明における「アタッチメント」の範囲
(一) 本件明細書の「発明の詳細な説明」の記載によれば、従来のカートンブラ
ンクの折装置においては、カートンブランクの型又はサイズの異なる作業をする場
合、その都度、折りに必要な各アタッチメントをそのカートンブランクに合った所
定の位置へ手動によりセットすることを要し、右アタッチメントの調整作業は、作
業者にとって長い時間を要する困難な作業であったところ(本件公報第二欄三〇行
目ないし第三欄一三行目)、本件発明は、右のような従来装置における作業能率上
の問題点を解決することを目的とし、「折りの本作業に先だって行う各種アタッチ
メントのセッティングが完全に自動化されること」、「カートンブランクの型に従
って、必要なアタッチメントと不必要なアタッチメントを区別することが出来、又
カートンブランクのサイズに従って、アタッチメントのセッティングに必要な数値
を電気的な信号として記憶させておき、必要なとき随時出力させてアタッチメント
を所望する位置にセッティング出来ること」及び「各アタッチメントのセッティン
グに必要な数値を記憶させるに際し、全てのアタッチメントについて必要な数値を
夫々個々に測定し記憶させるのではなく、多くの必要な数値の中から特定の数個の
数値のみを制御手段に入力させることにより他の必要な全ての数値を自動的に電気
的信号として演算させ記憶させ、かつ出力させることが出来ること」に特徴がある
ものとされ(本件公報第三欄一四行目ないし三四行目)、さらに、そのための構成
として、「カートンの折に必要なアタッチメントと不必要なアタッチメントを制御
手段により識別し」(構成要件B(2)の「選択手段」)、「不必要なアタッチメ
ントを折作業を行うとき邪魔にならない位置に退避させるか、或いは該位置に留め
おく為のアタッチメント逃し機構及び駆動手段を使用し」(構成要件Cの「アタッ
チメント逃し装置」)、「カートンブランクの進行方向と平行な任意の一つの線、
或いはカートンブランクの進行方向と一つの罫線又は縁を折の全行程を通じて適用
される基準線として選び、該基準線から他の特定されたカートンブランクの進行方
向と平行な少数の罫線又はカートンの縁までの距離に応じた基準となる電気信号を
入力したとき、各工程における前記基準線と折に必要なアタッチメントの所定位置
との距離に応じた電気信号を演算し記憶し出力するアタッチメント制御手段、例え
ばマイクロコンピューターを組込んだ入力回路、選択回路、カウンター回路、演算
回路、記憶回路、呼び出し回路、比較回路、出力回路、操作回路等を有する制御手
段を使用して、必要に応じて前記記憶回路に必要なデータを記憶しておき、かつ該
記憶回路からデータとしての電気信号を出力させ」(構成要件B(3)の「演算手
段」)、「該出力電気信号に基づいて制御される前記アタッチメント逃し機構の駆
動手段を含めたアタッチメント駆動手段、例えば・・・を駆動して、各種型及びサ
イズのカートンブランクに応じて折に必要な全てのアタッチメントを所望する位置
へ自動的に移動させる」(構成要件Dの「位置決め装置」)という構成を採用する
ものとされている。
(二) 以上のような本件発明の目的、特徴及び構成に関する本件明細書の「発明
の詳細な説明」の記載を総合すれば、本件発明においては、各種の型及びサイズの
カートンブランクの折りを行う装置において、従来手動で行われていた、折りに使
用されるアタッチメントのセッティングが、構成要件B、C及びDの各手段又は装
置の働きによって「完全に自動化」されること、すなわち、折りに使用されるすべ
ての部材について、制御手段によりその要不要が判断され、不要と判断されたすべ
ての部材が、制御手段からの制御信号に基づいて自動的にアタッチメント逃し装置
により折りに邪魔とならない位置に移動又は保持され、他方、必要と判断されたす
べての部材が、制御手段からの制御信号に基づいて自動的に位置決め装置により所
定の位置に移動させられることが必要とされるものであることは、明らかである。
 してみると、本件発明の構成要件B、C及びDにおける「アタッチメント」と
は、構成要件Aのカートンブランクの折装置において、カートンブランクの折りに
使用されるすべての部材を指すものというべきであり、したがって、各種の型及び
サイズのカートンブランクの折装置において、折りに使用される部材の中に、制御
手段による要不要の判断が行われなかったり、制御手段からの制御信号に基づいて
自動的にアタッチメント逃し装置や位置決め装置による位置決めが行われないもの
が含まれている装置は、本件発明の構成要件B、C及びDを充足するものとはいえ
ないことになる。
2 被告各製品における本件発明の構成要件B、C、Dの充足性
(一) 被告各製品において折りに使用される部材の中には、次のとおり、制御手
段による要不要の判断が行われなかったり、制御手段からの制御信号に基づいて自
動的にアタッチメント逃し装置や位置決め装置による位置決めが行われないものが
含まれている。
(1) ロータリーフック115について(当事者間に争いのない別紙物件目録
一、二の記載及び弁論の全趣旨)
 被告各製品のコンビ折り部10にあるロータリーフック115は、四隅貼り及び
六隅貼りの際に、カートンブランクの進行方向後端のフラップを折るために使用さ
れる部材であり、本件発明における「アタッチメント」に当たることは明らかであ
る(本件発明における「アタッチメント」の範囲について、原告の主張(前記第
二、二1(三)(1))を前提にしても同様である。)。
 ロータリーフック115は、コンピュータ制御装置8に後端フラップの折りを必
要とする型の信号が入力されると、コンピュータ制御装置8において必要であると
判断され、コンピュータ制御装置8からの制御信号に基づいて、ロータリーフック
115の駆動手段に折りに必要な一定の回転軌道が設定されることになるが、幅方
向の位置決めは、オペレーターの手動操作によって行われる。他方、コンピュータ
制御装置8に後端フラップの折りを必要としない型の信号が入力されると、コンピ
ュータ制御装置8において不要であると判断され、コンピュータ制御装置8からの
制御信号に基づいて、ロータリーフック115は、カートンブランク12に接触し
ない位置に保持される。
 右によれば、被告各製品のロータリーフック115については、コンピュータ制
御装置8において、入力された型信号に基づいてその要不要が判断されているこ
と、不要と判断された場合には、コンピュータ制御装置8からの制御信号に基づい
て自動的に、折りに邪魔とならない位置への位置決めがなされていることが認めら
れるが、他方、必要と判断された場合の位置決めについては、回転軌道の設定に関
する限りコンピュータ制御装置8からの制御信号に基づいて自動的に行われている
ことが認められるものの、幅方向の位置決めは、コンピュータ制御装置8からの制
御信号とは無関係に、オペレーターの手動操作によって行われるのであるから、結
局のところ、最終的な位置決めがコンピュータ制御装置8からの制御信号に基づい
て自動的に行われているといえないことは、明らかである。
 原告は、ロータリーフック115の作用からみて、回転についての自動制御がで
きていれば、自動化の目的が達成できるから、幅方向の移動が手動によって行われ
るとしても、ロータリーフック115は、コンピュータ制御装置8によりセッティ
ングが制御されているといえる旨主張するが、前記のとおり、本件発明の特徴が
「アタッチメントのセッティングが完全に自動化されること」にある以上、一部に
手動操作を伴う位置決めが行われることが、本件発明の右のような特徴と相容れな
いことは明らかであるから、原告の右主張は採用できない。
(2) 底折りフック113及び折りガイド120について(当事者間に争いのな
い別紙物件目録一、二の記載及び弁論の全趣旨)
 被告各製品のコンビ折り部10にある、底折りフック113及び折りガイド12
0は、底貼り、四隅貼り及び六隅貼りの際に、カートンブラの進行方向前端のフラ
ップを折るために使用される部材であり、いずれも本件発明における「アタッチメ
ント」に当たることは明らかである(本件発明における「アタッチメント」の範囲
について、原告の主張(前記第二、二1(三)(1))を前提にしても同様であ
る。)。
 底折りフック113及び折りガイド120は、コンピュータ制御装置8に型信号
が入力されると空気圧シリンダ99によって上昇し、最上定位置に達して停止す
る。底折りフック113及び折りガイド120が折りに必要な場合には、オペレー
ターが、操作スイッチ84を手動操作することにより、底折りフック113及び折
りガイド120を最下定位置まで下降させ、さらに、手動により、底折りフック1
13及び折りガイド120の上下方向及び幅方向の位置を調節して、位置決めがな
される。
 右によれば、被告各製品の底折りフック113及び折りガイド120について
は、コンピュータ制御装置8に何らかの型信号が入力されると折りに必要か否かに
関わりなく常に最上定位置まで移動させられ、その後、折りに必要な場合には、オ
ペレーターの判断により手動操作で最下定位置まで下降させられた上で、さらに、
オペレーターの手動操作により上下方向及び幅方向の位置が調節され、他方、折り
に不要な場合には、オペレーターの判断により右下降操作を行わないことによって
折りに邪魔とならない最上定位置に保持されるものであるから、コンピュータ制御
装置8において、入力された型信号に基づいてその要不要が判断されるとはいえ
ず、また、コンピュータ制御装置8からの制御信号に基づいて自動的に必要な位置
決めが行われるともいえないことは、明らかである。
 原告は、底折りフック113に関し、上下方向の位置決めについては、昇降によ
り到達する底折りフック113の上下限位置がリミットスイッチにより検出され、
下限リミットスイッチからのオフ信号及び上限リミットスイッチからの到達信号が
コンピュータ制御装置8に送られて、コンピュータ制御装置8によって自動的に上
下限位置がセッティングされること、また、幅方向の位置決めについては、幅移動
により到達する底折りフック113の位置が、コンピュータ制御装置8によって自
動的にセッティングされる二組の上部無端ベルト112及び下部無端ベルト111
によって挾まれる区域に限られることからすれば、底折りフック113の位置もコ
ンピュータ制御装置8により制御されているものといえる旨主張する。しかしなが
ら、原告の右主張は、位置決めに当たって、底折りフック113が移動し得る範囲
がコンピュータ制御装置8によって制御されることになることを指摘するものにす
ぎず、右範囲内での具体的な位置決めは、前記のとおりコンピュータ制御装置8か
らの制御信号とは無関係に、オペレーターの手動操作によって行われるのであるか
ら、被告各装置における底折りフック113の位置決めが、「アタッチメントのセ
ッティングが完全に自動化される」という本件発明の特徴と相容れないことは明ら
かであり、原告の右主張は採用できない。
 なお、原告は、折りガイド120についても、コンピュータ制御装置8によって
制御される底折りフック113やロータリーフック115の位置を基準として位置
決めが行われるから、これらと同様に、その位置決めがコンピュータ制御装置8に
より制御されているものといえる旨主張するが、前記のとおり、底折りフック11
3及びロータリーフック115の位置がコンピュータ制御装置8によって制御され
ているとの前提において誤りがあるというべきであるから、原告の右主張も採用で
きない。
(二) 以上を総合すると、被告各製品においては、折りに使用される各部材のう
ち、少なくとも底折りフック113及び折りガイド120につき、入力された型信
号に基づきその要不要を判断することが行われず、また、制御手段からの制御信号
に基づき自動的にこれらを折りに邪魔とならない位置まで移動させることも行われ
ないから、被告各製品は、折りに使用されるすべての部材についてその要不要を判
断する選択手段を具えた制御手段を有しておらず、また、制御手段からの制御信号
に基づき折りに不要なすべての部材を折りに邪魔とならない位置まで移動させる駆
動手段及び位置検出手段からなるアタッチメント逃し装置も有しないものであり、
本件発明の構成要件B及びCをいずれも充足しない。
 また、被告各製品においては、折りに使用される各部材のうち、少なくともロー
タリーフック115、底折りフック113及び折りガイド120につき、制御手段
からの制御信号に基づき自動的にこれらを折りに必要な所定の位置まで移動させる
ことが行われないから、被告各製品は、制御手段からの制御信号に基づき折りに必
要なすべての部材を所定の位置まで移動させる駆動手段及び位置検出手段からなる
位置決め装置を有しないものであり、本件発明の構成要件Dを充足しない。
二 結論
 よって、原告の本訴請求は、その余の点につき判断するまでもなく理由がないか
ら、主文のとおり判決する。
東京方裁判所民事第四六部
     裁判長裁判官 三   村   量   一
     裁判官 長 谷 川   浩   二
     裁判官 大   西   勝   滋
(別紙) 物件目録一(89362-001~011)
    物件目録二(89362-012~019,087。087は目録二の31頁部分)     
    対比表(89362-020)
    
    表1(89362-021)
    表2(89362-022)
  

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