弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
原告の訴えを却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
       事   実
第一、申  立
(原告の求める裁判)
 被告が昭和四一年五月一九日付でなした名古屋市藤森南部土地区画整理組合の設
立認可は無効であることを確認する。
 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決。
(被告の求める裁判)
一、本案前の申立
 主文同旨の判決。
二、本案の申立
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決。
第二、主  張
(請求原因)
一、訴外名古屋市藤森南部土地区画整理組合(以下単に「本件組合」と略称す
る。)は、名古屋市<以下略>の全地域及び同所<以下略>、<以下略>、<以下
略>、<以下略>、<以下略>、<以下略>の各一部地域を施行地区とし、昭和四
一年五月一九日被告より設立認可をうけた土地区画整理組合であり、原告および別
紙目録記載の選定者は、本件組合の土地区画整理施行地区内にある土地の所有者で
ある。
二、右設立認可は訴外P15が昭和四一年四月一九日になした設立認可申請に基づ
いてなされたものであるが、右設立認可申請手続には次の如き重大かつ明白な瑕疵
があり、従つて右申請に対応する被告の設立認可は無効である。すなわち
(一) 土地区画整理法第一八条は土地区画整理組合設立に際しては組合員となる
べき者の三分の二の同意を必要としている。
(1) 然るに右同意者には
(イ) 次の如く既に死亡した者、行方不明者、架空者が含まれている。
1、  A  不明
2、  B 死亡
3、  C 不明
4、  D  死亡
5、  E 死亡
6、  F 死亡
7、  G 死亡
8、  H  死亡
9、  I 死亡
10、 L 死亡
11、 K 死亡
12、 L 死亡
13、 M 死亡
14、 N   死亡
15、 O 死亡
16、 P  死亡
17、 Q 死亡
18、 R 死亡
19、 S 死亡
20、 T 架空
21、 U 死亡
22、 V 不明
23、 W 死亡
24、 X 死亡
25、 Y 死亡
26、 Z 死亡
(ロ) 同一人が異なつた住所で二重に同意者となつている。
1、 P1
2、 P2
3、 P3
4、 P4
5、 P5
(ハ) 既に死亡している者を代理して同意者となつている。
G 代理人 P6
ものがある。
(2) また次の如き死亡者架空者を本件組合の組合員として申請している。
1、 P7  死亡
2、 P8 死亡
3、 P9 架空
4、 P10  死亡
5、 P11 死亡
6、 P12  死亡
7、 P13  死亡
8、 P14 死亡
従つて右の者を同意者若しくは組合員から除去すれば、組合員となるべき者の三分
の二の同意を欠くので、本件組合の設立はその手続要件を欠くのである。
(二) 仮に三分の二の同意があることになるとしても、土地区画整理法第一八条
は「第一四条に規定する認可を申請しようとする者は定款及び事業計画について施
行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内
の宅地について借地権を有するすべての者のそれぞれの三分の二以上の同意を得な
ければならない。」と規定している。このことからみるも、土地区画整理組合のた
め、定款および事業計画を決定するに当つては、単に法定の三分の二に当る者の同
意がありさえすれば他の者の同意を求めず、或はその設立手続に関与することを拒
否してよいというものではない。然るところ、本件組合の設立を発起した人々は死
亡者、行方不明者をそのまま組合員となしこれらの者又は相続人らに同意を求める
ことをなさずに設立認可申請の手続をなしたものである。
三、そして原告は本件組合設立認可の無効確認を求める法建上の利益を有する。す
なわち、原告は右設立認可およびそれに続く換地計画の認可、賦課金等の徴収によ
つて、土地所有権その他の財産権を侵害される危険があるのであるから、行政事件
訴訟法第三六条にいう「当該処分……に続く処分により損害をうけるおそれのある
者」に該当する。また原告は無効な設立認可の結果設立された本件組合の存在によ
つて、前記の如き所有権侵害等の不安危険を感じているが、これを根底から除去す
る最も効果的な方法は組合設立認可の無効確認訴訟であつて、組合員たる地位不存
在確認の訴えなど現在の法律関係に関する訴えによつては、その目的を達すること
ができないのである。
四、よつて原告は被告に対し、本件組合の設立認可が無効であることの確認を求め
る。
(被告の本案前の抗弁)
一、本件組合の設立認可無効確認を求める訴えは許されない。すなわち、行政事件
訴訟法第三六条によれば無効確認の訴えは「当該処分又は裁決に続く処分により損
害を受けるおそれのある者」に限り許されるところ、本件においては、設立認可の
後に行われる処分は換地計画の認可であつて、原告はこれらによつて何ら損害を蒙
るものではないから、予防訴訟の利益はない。
 また原告は現在の法律関係に関する訴えによつて-例えば組合を相手方として組
合設立無効確認の訴え、又は組合員たる地位不存在確認の訴えによつてその目的を
達しうるのであるからこの点からも本件組合の設立認可無効確認の訴えは許されな
いものといわねばならない。
二、原告は本件組合設立認可後に贈与により名古屋市<以下略>の土地の持分一〇
分の四を取得したにすぎない。しかして右設立認可の無効確認を求めうる者は、右
認可申請時に土地所有者(又は借地権者)たりし者に限ると解すべきであるから
(その者のみが設立認可無効確認の訴につき即時確定の利益を有する)、原告は本
訴につき原告適格を有しない。また原告を選定した別紙目録記載の選定者の中には
右と同一の理由により原告適格を有しないものがいる。従つて原告は本訴につき正
当な選定当事者となりえない。
(本案に対する答弁および主張)
一、請求原因第一項記載の事実は認める。同第二項記載の事実のうち本件組合の設
立認可が訴外P15のなした設立認可申請に基づいてなされたこと(但しその日は
昭和四一年四月一一日である)右申請の同意者の中に原告主張の(イ)のQを除く
二五名の死亡者、行方不明者、架空者が含まれていること、(ロ)のP1が二重に
同意者となつていること、土地区画整理法に原告主張の如き規定があることは認め
るが、その余の事実は争う。
二、本件組合の設立については何ら手続違背はない。
 本件組合設立認可申請書によると
(1) 施行地区内の宅地の総面積八七二、九五八・五〇平方米(二六四、〇六八
坪七六)
(2) 組合員総数四七八名(所有権者のみ。借地権者なし。)
(3) 組合設立同意者が施行区域内に有する宅地の面積六四〇、三四七・五七平
方米(一九三、七〇二坪五七)
(4) 同意者数三六七名
であつて、(1)と(3)の比率は七三・三五パーセント、(2)と(4)の比率
は七六・七八パーセントで、土地区画整理法第一八条の要件を充たしていた。
 ところが組合員の中には原告主張の如く一七名が重複していたのでこれを前記総
組合員数より控除すると、総組合員数は四六一名となる。重複していても施行区域
内の宅地の総面積は変わらない。
 また同意者の中には原告主張の如く死亡者、行方不明者、架空者等が含まれてい
たので、原告主張の(イ)のQを除く二五名と同(ロ)のP1、および同(2)の
P11、P13の三名を除くと同意者の総数は三三九名となり、その所有宅地の面
積は一九二、二五一坪六九となる。しかして施行地区内の宅地の総面積と同意者の
所有宅地の面積の比は七二・〇八パーセントであり、総組合員数と同意者数の比は
七三・五三パーセントになるから、いずれも土地区画整理法第一八条所定の要件を
充たしているのであつて、何ら手続違背はない。
第三、証拠(省略)
       理   由
 本件組合が原告主張の区域を施行地区とする組合であること、被告が昭和四一年
五月一九日本件組合の設立認可をなしたこと、原告および別紙目録記載の選定者が
右地区内の土地の所有者であることは、いずれも当事者間に争いがない。
 ところで土地区画整理組合が土地区画整理事業を施行するには定款、事業計画を
定め、組合設立について都道府県知事(指定都市の場合は市長、土地区画整理法第
一三六条の二)の認可を受けなければならない(同法第一四条)とされている。そ
して右認可により組合が成立すると(同法第二一条四項)、右組合の土地区画整理
施行地区内の土地所有者(或いは借地権者)は当然に組合員となり(同法第二五
条)、その後の土地区画整理事業手続の進展に伴つて仮換地の指定、賦課金の徴収
等がなされ、これらによつて具体的な権利義務の変動を受けることになる。しかし
組合の設立認可は、組合を成立せしめるだけであつて、組合員の具体的な権利義務
に変動を生ぜしめるものではない。又右設立認可の際審査される事業計画も、土地
区画整理事業の基礎的事項(同法第六条、第一六条、同法施行規則第六条乃至第九
条)について一般的、抽象的に定められたものであつて、いわば建築工事における
青写真的な役割を果すものであり、個々の組合員の地区内の土地の所有権等に直接
具体的な変動を生ずる効果があるものではない。(最高裁判所大法廷昭和四一年二
月二三日判決。民集二〇巻二号二七一頁参照)個々の組合員の具体的な権利義務は
組合の総会の決議(同法第三一条)に基づいて、仮換地の指定、賦課金の徴収等個
々の行為がなされることによつて始めて生ずるものである。してみれば、本件組合
の設立認可があつただけでは原告は未だ具体的な権利義務の変動を受けていないか
ら、右設立認可の無効確認を求める法律上の利益を有しないものというべきであ
る。
 よつて本件訴えはその余の争点について判断するまでもなく不適法であるからこ
れを却下することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して、
主文のとおり判決する。
(裁判官 松本重美 上野精 将積良子)

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