弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を高松高等裁判所に差戻す。
         理    由
 弁護人鍜治利一上告趣意は末尾に添附した別紙書面に記載のとおりである。
 上告趣意第一点について。
 按ずるに、食糧管理法施行規則一条の三(昭和二一年八月二四日農林省令第四四
号により改正されたもの)によれば、地方長官は、食糧管理法三条一項の規定によ
り政府に売渡すべき生産米につき、その売渡の時期を定め、これを府県令の公布と
同一の方法によつて公示すべき旨が定められている。従つて食糧管理法三条一項違
反の生産米不供出の罪は、定められた割当数量相当の生産米を前記地方長官により
決定公布された供米期日に供出しなかつたことによつて成立するのである。いゝか
えれば、地方長官の供米期日の決定とその期日の公布がなければ、生産者の供米義
務は具体的に発生しないのである。
 然るに原判決によれば、被告人は昭和二一年度生産米につき、居村々長から本割
当並びに超過割当された一定量の生産米を一定の期日に供出すべき旨の通告を受け
ながら、内若干の数量についてはこれを供出しなかつたと判示するのみで、前記の
如き地方長官の供米期日の決定及びその期日の公布の有無については記録上も全然
これを明かにするを得ないのである。してみれば、原判決をもつてしては、被告人
は具体的に、如何なる生産米供出の義務があつたのか、その義務の内容を明確に知
ることができないわけであつて、原判決は結局罪となるべき事実を明かにしない違
法がある。従つて論旨は理由がある。よつて他の論旨についての判断を省略し、旧
刑訴法四四七条、同四四八条の二により主文のとおり判決する。
 右は裁判官斎藤悠輔の反対意見を除きその他の裁判官全員一致の意見である。
 裁判官斎藤悠輔の反対意見は次のとおりである。
 原判決がその事実理由において「被告人は田六反五畝の自作者で昭和二一年度の
生産米につき居村々長から昭和二二年二月中本割当一石一斗九升を同年三月末日迄
に、同年四月中超過割当三斗を同月末日迄に供出すべき旨の各割当通告を受けなが
ら同年四月頃生産米八斗を供出したのみで残り六斗九升を供出しなかつたものであ
る」旨判示し、食糧管理法第三二条第一項第一号(昭和二二年法律第二四七号によ
る政正前のもの)第三条、同法施行規則第一条、第一条の二を適用処断したこと竝
びに、同法第三条第一項が米穀の生産者は命令の定むるところによりその生産した
米麦にして命令を以て定むるものを政府に売渡すべき旨を規定し米穀生産者の売渡
義務は同条に基く命令によりその内容が定まりこれに違反した場合に第三条第一項
の違反を生じ第三二条第一項第一号の適用あることは所論のとおりである。
 論旨は、原判決は村長が供出の数量及時期を定めて割当通告をすれば供出の時期
が定まり其の時期迄に供出をしないと同法第三条第一項の違反となるというにある
けれども村長は売渡を定める権限を有しないから村長が通知したとしても同法第三
条第一項に基く売渡の期日ではなく第三二条第一項第一号を適用する条件は具備し
ないというのである。従つて、本論旨では、原判決が論旨のいうように村長が売渡
の時期を定める権限を有するものと解し村長の定めた時期迄に供出しないことを食
糧管理法第三条第三二条第一項第一号違反としたものであるか否かが争点であると
いわなければならない。
 しかるに、原判決は冒頭摘録のごとく判示し、処断し、法律適用の部分に特に食
糧管理法施行規則第一条の三を掲げていないのであるから、原判決の趣旨は同規則
第一条、第一条の二に基き村長が米穀の割当数量の通知をしたにかゝわらず、被告
人は割当数量中六斗九升の生産米を供出しなかつたという割当数量の生産米不供出
の事実を違反行為と認定判示したものであつて、論旨の主張するよう、村長が売渡
の時期を定める権限を有するものと解し村長の定めた売渡の時期迄に供出しないと
いう米穀供出時期違反を犯罪行為と認定判示したものでないこと明白である。され
ば論旨は原判示に副わない独自の事実見解に基く非難というべく、採用することが
できない。そして、原判決は、本割当一石一斗九升、超過割当三斗を供出すべき各
割当を受けたにかゝわらず内六斗九升を供出しなかつたと判示しているから、原判
決の判示だけで被告人は具体的に如何なる生産米供出の義務があつたかその義務の
内容を明確に知ることができるのであつて、同規則第一条、第一条の二によつてそ
の内容が定まる食糧管理法第三条第一項違反の罪となるべき事実は極めて明瞭であ
るといわなければならない。しかも、判示本割当一石一斗九升就中超過割当三斗の
割当について地方長官の供米期日の決定とその期日の公布があつたか否か、従つて、
その割当が有効であるか否かのごときは本件において争点となつていないのであり
(さればこそ原判決は特に同規則第一条の三を適用しないのでありまた多数説のい
うがごとく本件記録上も全然これを明らかにするを得ないのである)また、当審に
おける職権調査事項でもないから、原判決の適用しない同規則第一条の三を前提と
する多数説は明らかに原判示並に本論旨に副わない越権であつて賛同するを得ない。
 検察官 柳川真文関与
  昭和二五年七月一二日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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