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裁判例


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平成27年1月22日判決言渡
平成25年(行ウ)第335号新石垣空港完成検査合格処分取消請求事件
主文
1本件各訴えをいずれも却下する。
2訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1請求の趣旨
処分行政庁が平成24年12月11日付けで沖縄県に対してした航空法42
条2項に基づく新石垣空港に係る完成検査合格処分(阪空理第239号,阪空
全第26号)を取り消す。
2請求の趣旨に対する答弁
(1)本案前の答弁
主文1項と同旨
(2)本案の答弁
原告らの請求をいずれも棄却する。
第2事案の概要
本件は,新石垣空港(以下「本件空港」という。)の空港利用者であるなどと
主張する原告らが,処分行政庁が沖縄県に対してした航空法42条2項に基づく
本件空港に係る完成検査合格処分(以下「本件処分」という。)は,十分な検査
をせずにされたものであり,航空法及び航空法施行規則(以下「規則」という。)
の定める基準に適合しない違法なものであるとして,その取消しを求めている事
案である。
1関係法令の定め
本件に関係する航空法及び規則の定めは,別紙3(関係法令の定め)記載の
とおりである。
2前提事実(掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実並びに
顕著な事実)
(1)沖縄県は,平成17年9月12日,国土交通大臣に対し,航空法38条2
項及び規則76条に基づき,本件空港の設置許可に係る申請書(以下「本件
設置許可申請書」という。)を提出し,国土交通大臣は,同年12月19日
付けで,航空法38条1項に基づき設置許可処分をした。本件設置許可申請
書に記載された飛行場の名称等は,次のとおりである。(乙8,9)
ア名称
新石垣空港
イ位置
沖縄県石垣市
ウ標点の位置
沖縄県石垣市α×-104
北緯▲度▲分▲秒
東経▲度▲分▲秒
エ標高
31.00m
(2)沖縄県は,平成24年8月28日,本件空港の工事を完成させ,同月29
日付けで,処分行政庁に対し,航空法42条1項及び規則83条1項に基づ
き,同項各号所定の事項について記載した本件空港の工事完成検査申請書を
提出した。(乙10)
(3)処分行政庁は,平成24年9月10日から同月13日まで及び同年11月
28日から同月30日まで,本件空港において,規則76条1項3号から5
号まで,8号及び13号(以下,併せて「本件各号」という。)所定の各審
査事項について完成検査(以下「本件完成検査」という。)を実施し,その
結果,本件空港の施設が本件設置許可申請書に記載された設置の計画(以下
「本件設置の計画」という。)に適合するものと認め,平成24年12月1
1日付けで,沖縄県に対し,航空法42条2項に基づき,本件処分(阪空理
第239号,阪空全第26号)をした。(乙11,49)
(4)原告らは,平成25年6月7日,本件訴えを提起した。(顕著な事実)
3本件処分の適法性の根拠
本件において被告が主張する本件処分の適法性の根拠は,別紙4の1(被告
の主張する本件処分の適法性の根拠)及び別紙4の1中で引用した別紙4の2
から4まで記載のとおりである(別紙4の1で定義した略語は,別紙5におい
ても用いることとする。)。
4争点
(1)原告適格の有無
(2)本件処分の適法性
5争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(原告適格の有無)について
(被告の主張)
ア(ア)航空法1条の規定文言からすれば,航空法が,「航空機を運航して
営む事業の適正かつ合理的な運営を確保し」,「公共の福祉を増進する
ことを目的と」していることは明らかであり,「輸送の安全を確保する」
とともに「その利用者の利便の増進を図る」ことにより「航空の発達を
図」ることは,その結果として実現されるものであって,上記「公共の
福祉を増進すること」の内容を例示したものと解される。すなわち,航
空法の趣旨及び目的において,不特定多数の空港利用者の利益は,公共
の福祉の増進を図るという公益目的に吸収解消されているものと解され
る。
(イ)空港の完成検査合格処分(本件処分)の根拠規定である航空法42
条2項の文理によれば,同項に基づく合格処分の趣旨及び目的が,「設
置の計画に適合しているか否か」の確認にあることは明らかである。そ
して,同項所定の「設置の計画」とは,航空法38条2項が規定する「構
造等の設置の計画」を意味するものであり,その具体的な内容は,本件
各号に規定され,その設置基準は,規則79条に規定されているところ,
上記空港の完成検査に係る法令上の諸規定は,空港が,航空の安全上極
めて重要な施設であるとともに公共の利益にも深く関わる施設であるこ
とに鑑み,航空法38条2項に基づく設置許可の申請書に記載した設置
の計画に適合しているか否かを,工事書類や測量調査等による確認を経
て検査することを定めているものであって,その審査基準(処分要件)
においても,不特定多数の空港利用者の利益について配慮したと見られ
る規定は見当たらないことからすれば,不特定多数の空港利用者の個別
具体的な利益を保護する趣旨を含むものと解することはできない。
(ウ)以上のとおり,空港の完成検査合格処分に関する法令の規定は,「公
共の福祉を増進する」という法律の目的のため,航空法38条2項に基
づく設置許可の申請書に記載した設置の計画に適合しているか否かを検
査することを定めたものであり,航空法が,不特定多数者である空港利
用者の個々人の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにと
どめず,それが帰属する個々人の個別具体的な利益としてもこれを保護
すべきものとする趣旨を含むものであると解することはできない。
イ(ア)後記(原告らの主張)ア(ア)については,空港の完成検査における
審査は,当該空港の施設が,その設置許可の際に提出された申請書(設
置許可を受けた申請書)記載の設置の計画に適合しているか否かを対象
として行われるものであり,航空法42条1項に規定する空港の完成検
査において,改めて航空法39条1項に規定する各要件を満たすか否か
(設置許可処分自体の適否)が審査されるわけではないのであって,空
港の完成検査において同項2号が適用されることはない。
また,後記(原告らの主張)ア(イ)については,前記ア(ア)のとおり,
航空法1条の規定文言からすれば,航空法の趣旨及び目的において,不
特定多数の空港利用者の利益は,公共の福祉の増進を図るという公益目
的に吸収解消されているものと解すべきである。
さらに,後記(原告らの主張)ア(ウ)については,航空機の着陸や走
行の際に重大な陥没事故が起こった場合,空港の利用者が生命,身体等
に直接的かつ重大な被害を受けるものと想定できたとしても,行政事件
訴訟法9条1項に規定する「法律上の利益を有する者」とは,当該処分
を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に
吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益として
もこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解されることが必要であり,
単に当該利益の内容及び性質のみから原告適格を導き出すことができる
ものではない。
(イ)また,後記(原告らの主張)イ(ア)①から③までの原告らの区分け
は,反射的な利益を有するにすぎない一般の空港利用者の範囲を一部相
対的に限定したものにとどまるのであり,それが帰属する個々人の個別
具体的利益として保護され得る場合を画するものではない。
なお,本件空港の敷地は,平成22年12月15日,土地収用法の定
める手続に基づき,全て沖縄県の所有となっており,本件空港の敷地の
共有持分を有する原告は存在しないのであって,空港敷地の共有持分を
有することをもって原告適格を基礎付けることはできない。
(原告らの主張)
ア空港利用者が安全な空港を利用できることは,単なる公益と解すべきで
はなく,それを超えた空港利用者の権利である。空港利用者は,空港が陥
没して穴が開いたため,航空機が離着陸できず,障害を負ったり死亡した
りする事態が発生することを受忍しているわけではないし,また,ある目
的地に向けて航空機を利用する際に,使用する空港を選択できるわけでは
ない。
そもそも,航空機が安全に離発着できない空港は存在してはならないの
であって,航空法42条2項は,空港利用者が安全な空港を利用できるこ
とを担保する規定として存在しているというべきである。すなわち,次の(ア)
から(ウ)までの各点に照らせば,同項は,航空機の着陸や走行の際に空港
を安全に利用し得るという利益を,一般的公益の中に吸収解消させず,陥
没事故により直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の国民
の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとす
る趣旨を含むものと解される。
(ア)航空法42条2項は,空港の完成検査をする際に,同条1項の検査
結果が申請書記載の設置計画に適合しているか否かを審査すると規定し
ているところ,設置許可申請においては,当該飛行場の設置によって「他
人の利益を著しく害することとならないものであること」が要件とされ
ている(航空法39条1項2号)ことからすれば,航空法42条2項に
基づく合格処分は,当該飛行場の設置によって著しく害されることのな
いように「他人の利益」を保護しようとするものというべきである。そ
して,設置しようとする当該飛行場の周辺に居住する者が航空機の騒音
によって障害を受けないという利益が上記「他人の利益」に含まれると
解する余地は,十分にあるというべきである。
(イ)航空法は,航空機が空の飛行という生命,身体に対する潜在的な危
険をはらむ性格に鑑み,航空機の運航の安全の確保を目的としている(1
条)。
(ウ)本件処分に重大な誤りがあれば,航空機の着陸や走行の際に重大な
陥没事故が起こる可能性があるのであって,この場合,空港利用者は生
命,身体等に直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される。すなわ
ち,本件空港の滑走路直下の洞窟等が崩壊することによって滑走路が陥
没すれば重大な航空機事故が発生するおそれがあることからすれば,本
件処分において考慮されるべき利益とは,原告ら空港利用者(航空機の
乗客)の生命,身体等であり,かつ,その利益の侵害の態様及び程度も
重大かつ不可逆的であるのであって,本件処分により害されることとな
り得る原告らの利益が,公益目的に吸収解消されるべきものであるとい
うことはできない。
イ(ア)原告らは,空港の利用頻度を推定させる類型ごとに,次のとおり区
分することができ,不特定多数の空港利用者というわけではない。
①石垣島に住所がある者
原告P1,原告P2,原告P3,原告P4
②石垣島に不動産を所有している者
原告P5,原告P6及び原告P7を除く原告ら
③①,②に該当しないが,今後も石垣島を訪れる蓋然性が高い者
原告P5,原告P6及び原告P7
(イ)上記(ア)①の類型の者については,石垣島の島外に出る場合又は帰
島する場合に本件空港を利用しない自由を持たず,日々の生活を送るに
当たって本件空港の利用を強制されることからすれば,陥没事故により
直接的かつ重大な被害を受けることが想定される。
また,上記(ア)②の類型の者については,石垣島に自己所有地がある
以上,今後も石垣島を訪れる可能性が高く,その際には本件空港の利用
を強制されることからすれば,陥没事故により直接的かつ重大な被害を
受けることが想定される(なお,原告P3,原告P4を除く上記(ア)②
の原告らは,収用裁決がされる前に本件空港の敷地の共有持分を有して
いた者であり,現在,収用裁決の取消しの訴えを提起してこれを争って
いるものであって,本件空港の敷地の共有持分を完全に喪失した状態に
あるわけではないことからしても,原告適格を有するものというべきで
ある。)。
さらに,上記(ア)③の類型の者も,石垣島を訪問し,その自然の豊か
さ等に魅せられたものであり,今後も石垣島を訪れる可能性が高く,そ
の際には本件空港の利用を強制されることからすれば,陥没事故により
直接的かつ重大な被害を受けることが想定される。
(2)争点(2)(本件処分の適法性)について
争点(2)に関する当事者の主張は,別紙5(争点(2)に関する当事者の主張)
記載のとおりである。
第3当裁判所の判断
1争点(1)(原告適格の有無)について
(1)ア行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条
1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」
とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害さ
れ,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を
定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸
収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこ
れを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利
益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵
害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消しの訴
えにおける原告適格を有するものというべきである。そして,当該処分の
相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに
当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,
当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内
容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮
するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはそ
の趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっ
ては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されるこ
ととなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案
すべきものである(同条2項。以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第
114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参
照)。
イ本件において,原告らは,空港利用者として航空機の着陸や走行の際に
空港を安全に利用し得る利益を有しているなどとして,本件処分の取消し
を求めるにつき法律上の利益を有する者であると主張するところ,以下で
は,上記アで説示した判断の枠組みに従い,本件処分の相手方以外の者で
ある原告らが本件処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者で
あるといえるか否かを検討する。
(2)ア航空法は,航空保安施設の設置者は,同施設の設置の許可に係る施設の
工事が完成したときは,遅滞なく,国土交通大臣の検査を受けなければな
らず,国土交通大臣は,検査の結果当該施設が申請書に記載した設置の計
画に適合していると認めるときは,これを合格としなければならないと定
めている(42条1項,2項。なお,同項に基づく空港の完成検査合格処
分に係る国土交通大臣の権限は,地方航空局長に委任されている〔航空法
137条1項,規則240条1項12号〕。)。
そして,空港等の設置許可申請に係る申請書には,当該施設について,
位置,構造等の設置の計画,管理の計画,工事完成の予定期日その他国土
交通省令(規則76条1項各号)所定の事項及び公共の用に供するかどう
かの別を記載することとされている(航空法38条2項)ところ,規則7
6条1項各号の規定内容からすれば,空港の完成検査の対象となる「設置
の計画」は,具体的には本件各号に定められている内容から成るものであ
ると解される。
そうすると,航空法42条2項の規定による空港の完成検査合格処分は,
当該施設が本件各号所定の事項から成る設置許可申請に係る申請書に記載
されている設置の計画に適合していることを要件とするものということが
できるところ,空港の完成検査の審査事項である本件各号の内容に鑑みる
と,空港の完成検査合格処分は,当該完成した空港がその設置の計画に適
合するものであることを確認することによって,航空機の航行の安全及び
航空機の航行に起因する障害の防止を図るものである(航空法1条参照)
ということができ,その処分をするに当たり,空港利用者の個々人の個別
的利益についてまで考慮すべきであるとの趣旨を含むものとは解すること
ができない。
そうである以上,空港の完成検査合格処分の根拠となる法令の規定にお
いて,原告らの主張するような空港利用者の利益が,それが帰属する個々
人の個別的利益として法律上保護されるべきものとされているということ
はできない。
イまた,航空法は,航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害
の防止を図るための方法を定めること並びに航空機を運航して営む事業の
適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保するとともにその利用
者の利便の増進を図ることにより,航空の発達を図り,もって公共の福祉
を増進することを目的とするものである旨を定めているところ(1条),
同条の定める航空法の目的からしても,航空法42条2項の規定による空
港の完成検査合格処分が,空港利用者の個別的利益を保護する趣旨を当然
に含むものとは直ちに解することができない。
そして,航空法及びその関係法令を通覧しても,同項の規定による空港
の完成検査合格処分について空港利用者の利益を個々人の個別的利益とし
て保護する趣旨の規定は見当たらない。
ウそうすると,航空法は,航空法42条2項の規定による空港の完成検査
合格処分について,航空の発達を図り,もって公共の福祉を増進すること
を目的として,当該空港が航空法38条2項に基づく設置許可の申請書に
記載した設置の計画に適合しているか否かを検査するものと定めているも
のであり,空港利用者という不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益
の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益と
してもこれを保護すべきものとする趣旨を含むとは解することができない。
(3)アこれに対し,原告らは,①空港の完成検査合格処分は,当該飛行場の
設置によって「他人の利益」が著しく害されることのないようにこれを保
護しようとするものであること(航空法39条1項2号),②航空法は,
航空機の運航の安全の確保を目的としていること,③本件処分に重大な
誤りがあれば,航空機の着陸や走行の際に重大な陥没事故が起こる可能性
があるのであって,この場合,利用者は,生命,身体等に直接的かつ重大
な被害を受けるものと想定されることを挙げ,航空機が安全に離発着でき
ない空港は存在してはならないのであって,航空法42条2項は,空港利
用者が安全な空港を利用できることを担保する規定として存在するものと
いうべきである旨主張する。
しかし,上記①の点については,航空法39条1項2号は,空港の設置
許可申請について,当該空港の設置によって「他人の利益」を著しく害す
ることとならないものであるかどうかを審査すべきことを定めるものにす
ぎず,航空法42条1項の規定による空港の完成検査における審査事項を
定めるものではないのであって,同号を根拠として,空港の完成検査にお
いて,当該空港が「他人の利益」を著しく害しないものであるかどうかを
考慮すべきことにはならないというべきである。
また,上記②の点については,航空法は,その目的について定める1条
において,輸送の安全を確保することなどにより,航空の発達を図り,もっ
て公共の福祉の増進を図ることを目的とする旨を定めていることからすれ
ば,空港利用者という不特定多数者の具体的利益を個々人の個別的利益と
して保護する趣旨の規定が他に置かれていないにもかかわらず,同条の定
めを根拠として,空港の完成検査が空港利用者の利益を保護すべき趣旨を
含むものとは解することができない。
さらに,上記③の点については,航空機の着陸や走行の際に重大な陥没
事故が起きた場合に,空港利用者がその生命,身体等に直接的かつ重大な
被害を受ける可能性があることは否定できないとしても,そもそも,前記
(2)で検討したとおり,航空法及びその関係法令において,空港の完成検査
合格処分について空港利用者の利益を個々人の個別的利益として保護する
趣旨の規定が見当たらない以上,原告らの主張する利益の内容及び性質を
もって,原告らが空港の完成検査合格処分の取消しを求める法律上の利益
を有するということはできない(なお,原告らは,本件空港の設置許可処
分の取消しの訴えについてされた東京地方裁判所平成18年(行ウ)第2
85号同23年6月9日判決〔乙4〕において,本件合格検査において滑
走路直下の洞窟等の崩壊のおそれの有無を審査すべきであるとされたこと
も指摘するが,前記検討したとおり,航空法及びその関係法令において,
空港の完成検査合格処分について空港利用者の利益を個々人の個別的利益
として保護する趣旨の規定が見当たらない以上,同判決の説示が本件にお
ける原告らの原告適格の有無を左右するものとは認められない。)。
そうすると,原告らの指摘する上記①から③までの点を検討しても,航
空法42条2項が,空港利用者が安全な空港を利用できるという利益につ
いて,それが帰属する個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むもの
とは解することができず,原告らの上記主張を採用することはできない。
イまた,原告らは,空港の利用頻度を推定させる類型ごとに,原告らを①
石垣島に住所がある者,②石垣島に不動産を所有している者,③①,
②に該当しないが,今後も石垣島を訪れる蓋然性が高い者に区分すること
ができ,不特定多数の空港利用者というわけではなく,上記①から③まで
のいずれの者も,空港の陥没事故により直接的かつ重大な被害を受けるこ
とが想定される旨主張する。
しかし,原告らの主張は,原告らが空港利用者にすぎないことを前提と
した上で,便宜上,想定される空港の利用頻度を相対的に区分したものに
すぎず,それが原告適格の範囲を画する区分となるとは認め難い。また,
そもそも,前述したとおり,航空法が,空港の完成検査合格処分において,
空港利用者という不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収
解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれ
を保護すべきものとする趣旨を含むものとは解することができない以上,
原告らの主張は,原告らに原告適格があることの根拠とはなり得ないもの
というべきである。
なお,原告らは,原告P3,原告P4を除く上記②の類型に該当する原
告らは,収用裁決がされる前に本件空港の敷地の共有持分を有していた者
であり,現在,収用裁決の取消しを求める訴えを提起してこれを争ってい
るものであって,本件空港の敷地の共有持分を完全に喪失した状態にある
わけではないことからしても,原告適格を有するものというべきである旨
主張する。しかし,前記検討したところによれば,そもそも,航空法及び
その関係法令上,本件空港の敷地の共有持分を有する者が,本件処分の取
消しを求めるにつき法律上の利益を有することの手掛かりとなるような規
定があるとは認められない。また,この点をおくとしても,証拠(乙3)
及び弁論の全趣旨によれば,本件空港の敷地は,平成22年12月15日,
土地収用法の定める手続に基づき,沖縄県がその所有権を取得し,平成2
3年1月11日に沖縄県に対し共有者全員の持分全部移転登記がされたこ
とが認められ,これによれば,現在,本件空港の敷地の共有持分を有する
原告は存在せず,原告らが上記収用裁決の取消しの訴えを提起しているか
らといって,同収用裁決を取り消す判決がされたわけではない以上,原告
らが本件空港の敷地の共有持分を有していないことに変わりはない。以上
によれば,本件空港の敷地の共有持分について原告らの上記主張するとこ
ろによっても,上記の原告らが本件処分の取消しを求めるにつき法律上の
利益を有するということもできない。
(4)以上のとおり,本件処分について,航空法の規定上,不特定多数者の具体
的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する
個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むとは解
することができない以上,本件空港の利用者にすぎない原告らが,本件処分
の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たるということはでき
ない。
2まとめ
上記1で検討したところによれば,原告らは,本件各訴えの原告適格をいず
れも欠くものというべきである。
なお,弁論の全趣旨によれば,本件空港は既に供用が開始されたことが認め
られるところ,航空法42条2項に基づく完成検査合格処分の法的効果を考え
れば,本件空港の供用が開始された後には,本件処分の取消しを求める訴えの
利益は失われているものと解される。
第4結論
よって,本件各訴えはいずれも不適法であるからこれらを却下することとし,
主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官増田稔
裁判官村田一広
裁判官不破大輔
(別紙3)
関係法令の定め
1航空法
(1)1条(この法律の目的)
この法律は,国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択され
た標準,方式及び手続に準拠して,航空機の航行の安全及び航空機の航行に起
因する障害の防止を図るための方法を定め,並びに航空機を運航して営む事業
の適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保するとともにその利用者
の利便の増進を図ることにより,航空の発達を図り,もって公共の福祉を増進
することを目的とする。
(2)38条(空港等又は航空保安施設の設置)
ア1項
国土交通大臣以外の者は,空港等又は政令で定める航空保安施設を設置し
ようとするときは,国土交通大臣の許可を受けなければならない。
イ2項
前項の許可の申請をしようとする者は,当該施設について,位置,構造等
の設置の計画,管理の計画,工事完成の予定期日その他国土交通省令で定め
る事項及び空港等にあっては公共の用に供するかどうかの別を記載した申請
書を提出しなければならない。
ウ3,4項〔略〕
(3)39条(申請の審査)
ア1項
国土交通大臣は,前条1項の許可の申請があったときは,その申請が次の
各号のいずれにも適合しているかどうかを審査しなければならない。
(ア)1号〔略〕
(イ)2号
当該空港等又は航空保安施設の設置によって,他人の利益を著しく害す
ることとならないものであること。
(ウ)3ないし5号〔略〕
イ2項〔略〕
(4)42条(完成検査)
ア1項
空港等の設置者又は38条1項の規定による航空保安施設の設置の許可を
受けた者(〔括弧内略〕)は,当該許可に係る施設の工事が完成したときは,
遅滞なく,国土交通大臣の検査を受けなければならない。
イ2項
国土交通大臣は,前項の検査の結果当該施設が申請書に記載した設置の計
画に適合していると認めるときは,これを合格としなければならない。
ウ3項
空港等の設置者又は航空保安施設の設置者は,1項の検査の合格があった
ときは,遅滞なく,供用開始の期日を定めて,これを国土交通大臣に届け出
なければならない。
エ4項
空港等の設置者又は航空保安施設の設置者は,前項の規定により届け出た
供用開始の期日以後でなければ,当該施設を供用してはならない。
2規則
(1)76条(設置の許可申請)
ア1項
航空法38条2項の規定により,空港等の設置の許可を申請しようとする
者は,次に掲げる事項を記載した空港等設置許可申請書3通を国土交通大臣
に提出するものとする。
(ア)1号
設置の目的(公共の用に供するかどうかの別を附記すること。)
(イ)2号
氏名及び住所
(ウ)3号
空港等の名称及び位置並びに標点の位置(標高を含む。以下同じ。)
(エ)4号
空港等予定地又は予定水面並びにそれらの所有者の氏名及び住所
(オ)5号
空港等の種類,着陸帯の等級及び滑走路(陸上空港等及び陸上ヘリポー
トにあっては,基礎地盤を含む。)の強度又は着陸帯の深さ
(カ)6号
計器着陸又は夜間着陸の用に供する空港等にあっては,その旨
(キ)7号
空港等の利用を予定する航空機の種類及び型式
(ク)7号の2
国土交通大臣の指定を受けようとする進入区域の長さ,進入表面の勾配,
水平表面の半径の長さ又は転移表面の勾配
(ケ)8号
空港等の施設の概要
(コ)9号
設置予定の航空保安施設の概要
(サ)10号
設置に要する費用
(シ)11号
工事の着手及び完成の予定期日
(ス)12号
管理の計画(管理に要する費用を附記すること。)
(セ)13号
予定する空港等の進入表面,転移表面若しくは水平表面の上に出る高さ
の物件又はこれらの表面に著しく近接した物件がある場合には,次に掲げ
る事項
aイ
当該物件の位置及び種類
bロ
当該物件の進入表面,転移表面若しくは水平表面の上に出る高さ又は
これらの表面への近接の程度
cハ
当該物件の所有者その他の権原を有する者の氏名及び住所
dニ
当該物件を除去するかどうかの別
eホ
当該物件の除去に要する費用
fヘ
当該物件の除去に係る工事の着手及び完了の予定期日
イ2項〔略〕
(2)83条(工事完成検査の申請)
ア1項
航空法42条1項の規定により,空港等の工事の完成検査を受けようとす
る者は,次に掲げる事項を記載した空港等工事完成検査申請書を国土交通大
臣に提出するものとする。
(ア)1号
氏名及び住所
(イ)2号
空港等の名称及び位置
(ウ)3号
工事完成の年月日
イ2項〔略〕
以上
(別紙4の1)
被告の主張する本件処分の適法性の根拠
1本件処分の手続的適法性の根拠
本文中第2の2(1)から(3)までのとおり,本件処分は,空港の完成検査に関
する法令上の手続を全て履行した上でされたものであり,手続的に適法なもの
である。
2本件処分の実体的適法性の根拠
(1)完成検査の審査事項
空港の完成検査における審査事項は,空港の設置許可について定めた規則
76条1項各号のうち本件各号所定の事項であり,具体的には,以下のとお
りである。
ア規則76条1項3号所定の審査事項
規則76条1項3号の「標点の位置」に関する設置許可を受けた申請書
の記載が,航空法42条2項所定の「設置の計画」となり,空港の施設が
これと適合しているか否かが,同号所定の審査の対象(以下「3号審査事
項」という。)となる。
イ規則76条1項4号所定の審査事項
規則76条1項4号の「空港等予定地又は予定水面」に関する設置許可
を受けた申請書の記載が,航空法42条2項所定の「設置の計画」となり,
空港の施設がこれと適合しているか否かが,同号所定の審査の対象(以下
「4号審査事項」という。)となる。
ウ規則76条1項5号所定の審査事項
規則76条1項5号の「空港等の種類,着陸帯の等級及び滑走路(〔括
弧内略〕)の強度又は着陸帯の深さ」に関する設置許可を受けた申請書の
記載が,航空法42条2項所定の「設置の計画」となり,空港の施設がこ
れと適合しているか否かが,同号所定の審査の対象(以下「5号審査事項」
という。)となる。
エ規則76条1項8号所定の審査事項
規則76条1項8号の「空港等の施設の概要」に関する設置許可を受け
た申請書の記載が,航空法42条2項所定の「設置の計画」となり,空港
の施設がこれと適合しているか否かが,同号所定の審査の対象(以下「8
号審査事項」という。)となる。
オ規則76条1項13号所定の審査事項
規則76条1項13号のイからヘまでに関する設置許可を受けた申請書
の記載が,航空法42条2項所定の「設置の計画」となり,当該物件につ
いて設置許可を受けた申請書の記載どおりの除去の措置がされているかど
うかが,同号所定の審査の対象(以下「13号審査事項」という。)とな
る。
(2)本件空港の施設は,以下のとおり,本件設置の計画に適合しており,本件
処分は,実体的にも適法なものである。
ア3号審査事項について
3号審査事項(標点の位置)に関して,本件設置許可申請書には「北緯
▲度▲分▲秒東経▲度▲分▲秒標高31.00m」と記載されている
ところ,本件検査において,処分行政庁の検査担当職員(以下「本件検査
職員」という。)が,沖縄県が提出した設置許可申請時の測量成果と沖縄
県が施設完成後に測量した成果を照査し,また,平成24年9月10日か
ら同月13日にかけて実施した完成検査において,標点の位置を示したマー
キング位置を確認し,その結果,本件空港の施設の標点の位置が,「北緯
▲度▲分▲秒東経▲度▲分▲秒標高31.00m」であることが確認
された。
以上のとおり,本件空港の施設は,3号審査事項に係る本件設置の計画
に適合する。
イ4号審査事項について
4号審査事項(本件空港は,陸上空港であるため,「空港の予定地」が
4号審査事項となる。)に関して,本件設置許可申請書には沖縄県石垣市
内の地名が記載されているところ,本件検査において,本件検査職員が,
沖縄県が提出した設置許可申請時の平面図及び用地図と施設完成後の平面
図及び用地図を照査し,また,平成24年9月10日から同月13日にか
けて沖縄県が実施した測量成果に基づき現地踏査して検査し,その結果,
本件施設の空港の施設が沖縄県石垣市内に所在していることが確認された。
以上のとおり,本件空港の施設は,4号審査事項に係る本件設置の計画
に適合する。
ウ5号審査事項について
本件空港は,陸上空港であるため,空港等の種類,着陸帯の等級及び基
礎地盤を含んだ滑走路の強度が5号審査事項となる(規則76条1項5号
括弧書き参照)。
(ア)空港等の種類について
5号審査事項のうち「空港等の種類」に関して,本件設置許可申請書
には「陸上飛行場」(平成20年法律第75号による改正後の「陸上空
港等」に該当する。)と記載されているところ,本件検査において,本
件検査職員が平成24年9月10日から同月13日にかけて現地におい
て検査を実施した結果,本件空港が陸上に位置する空港であることが確
認された。
以上のとおり,本件空港の施設は,5号審査事項のうち「空港等の種
類」に係る本件設置の計画(陸上空港等)に適合する。
(イ)着陸帯の等級について
5号審査事項のうち「着陸帯の等級」に関して,本件設置許可申請書
には「C級」(陸上空港等については滑走路の長さが1800m以上2
150m未満の場合をいう。規則75条2項)と記載されているところ,
本件完成検査において,本件検査職員が,沖縄県が施設完成後に実施し
た測量成果に基づき書面審査を行い,また,平成24年9月10日から
同月13日にかけて現地において検査を実施した結果,本件空港の滑走
路の長さが2000mであることを確認し,滑走路の長さが1800m
以上2150m未満であること(規則75条2項)が確認された。
以上のとおり,本件空港の施設は,5号審査事項のうち「着陸帯の等
級」に係る本件設置の計画(C級)に適合する。
(ウ)滑走路の強度(基礎地盤を含む。)について
a審査事項
5号審査事項のうち「滑走路の強度(基礎地盤を含む。)」に関し
て,本件設置許可申請書には「LA-12」(滑走路の強度を示す設
計荷重区分の一つであり,具体的には,中型ジェット機クラスの航空
機の運航に耐えるために必要な設計荷重区分のこと)と記載されてお
り,5号審査事項のうち「滑走路の強度(基礎地盤を含む。)」に係
る本件設置の計画は,本件空港の施設が「LA-12」であることと
いうことになる。
b滑走路の強度の審査方法
(a)一般に,基礎地盤を含む滑走路の強度の審査は,当該滑走路に関
する舗装構造実施設計が「空港舗装設計要領及び設計例」(乙16。
以下「舗装要領」という。)に従って適正に行われているかどうか,
及び当該空港の施設である滑走路が当該設計どおりに現に施工され
ているかどうかによって判断することとなる。これは,滑走路の強
度を示す設計荷重区分(本件設置の計画では「LA-12」)とい
う概念そのものが舗装要領に規定されたことにより生み出されたも
のであるため,舗装要領の当該設計荷重の区分に係る規定に従って
設計され,現にこの設計どおりに施工されていれば,当該滑走路が
舗装要領に定められた設計荷重区分の強度を有することとなるから
である。
本件完成検査においても,本件空港の滑走路(以下「本件滑走路」
という。)の舗装構造実施設計である「平成20年度H20新石垣空
港舗装実施設計業務委託報告書」(乙17。以下「本件舗装設計」
という。)が舗装要領に従って適正に行われているか否か,及び現
に本件滑走路が本件舗装設計に従って施工されているか否かについ
て審査がされたものである。
(b)また,本件空港においては,滑走路の舗装構造実施設計の時点に
おいて,既に滑走路の地下に空洞が存在することが判明しており,
当該空洞を保護しながら本件滑走路の強度を本件設置の計画である
「LA-12」に保たせるため,本件滑走路の地下に構造物(以下
「本件地下構造物」という。)が設置されることとなったことから,
5号審査事項のうち「滑走路の強度(基礎地盤を含む。)」につい
ては,本件地下構造物の強度それ自体も審査の対象となる。
そして,本件地下構造物の強度の審査に当たっては,その構造実
施設計が「道路橋示方書・同解説」(乙22の1及び2。以下「示
方書」という。)に従って適正に行われているかどうか,及び審査
対象となる本件地下構造物が当該設計どおりに施工されているかど
うかによって判断することとなり,本件完成検査においても,本件
地下構造物の構造実施設計である「新石垣空港空洞対策実施設計業
務」(乙19の1から3まで。以下「本件構造設計」といい,本件
舗装設計と併せて「本件実施設計」という。)が示方書に従って適
正に行われているか否か,及び本件地下構造物が現に本件構造設計
どおりに施工されているか否かについて審査がされたものである。
もっとも,本件地下構造物のうち,本件構造設計から修正設計(乙
51の1から4まで。以下「本件構造修正設計」という。)を経て
施工されたものについては,本件構造修正設計が示方書に従って適
正に行われているか否か,及び当該地下構造物が本件構造修正設計
どおりに施工されているか否かについて審査がされたものである。
(c)本件地下構造物は,本件滑走路の地下に存在するA1洞及びE洞
の上部に設置されており,その種類には,地下アーチ構造物(地下
にある空洞に,滑走路や航空機等の荷重が直接載荷しないようにす
るため,空洞の上部にコンクリート製のアーチ状の橋を架けること
によって空洞を保護する形式のコンクリート構造物)と地下スラブ
構造物(地下にある空洞に,滑走路や航空機等の荷重が直接載荷し
ないようにするため,空洞の上部にプレストレストコンクリート〔鉄
筋コンクリートの一種〕製の箱桁〔スラブ〕を架けることによって
空洞を保護する橋梁形式のコンクリート橋)がある。
そして,A1洞上部には地下アーチ構造物であるA1洞2ないし
5ブロックが,E洞上部には地下アーチ構造物であるE洞1ないし
17ブロック及び地下スラブ構造物であるE洞AないしF橋がそれ
ぞれ設置されているが,このうち,①A1洞2ブロック自体(端
部に褄壁を設置する点を除く。),A1洞3ないし5ブロック,E
洞1ないし4ブロック,8ないし17ブロックは,いずれも,本件
構造設計から修正されることなく施工され(以下,これらを「修正
設計なし地下アーチ構造物」という。),②E洞5ないし7ブロッ
クは,いずれも,本件構造修正設計により施工され(以下,これら
を「修正設計あり地下アーチ構造物」という。),③E洞A橋,
B橋,D橋,E橋及びF橋は,いずれも本件構造設計から修正され
ることなく施工され(以下,これらを「修正設計なし地下スラブ構
造物」という。),④E洞C橋は,本件構造修正設計により施工
されたものである(以下,これを「修正設計あり地下スラブ構造物」
という。)。
なお,本件構造修正設計は,本件構造設計に基づく工事の現場施
工時に,A1洞1ブロック,E洞5ないし7ブロックの地下アーチ
構造物及びE洞C橋の地下スラブ構造物を支持するための地盤支持
力がないことが判明したことから,A1洞1ブロックを設置する工
事を取り止め,A1洞1ブロックに設置を予定していた褄壁(構造
物の端部を閉塞するための壁)をA1洞2ブロックに設置し,E洞
5ないし7ブロックの地下アーチ構造物及びE洞C橋の地下スラブ
構造物を支持するための基礎形式を変更し,E洞7ブロックの地下
アーチ構造物の基礎の水平変位(基礎の位置が水平方向に移動・変
化する量)を抑制するためにストラット(地下アーチ構造物の両側
に設置した基礎を連結する部材)の材質を変更したものである。
c本件実施設計が適正であること
(a)修正設計なし地下アーチ構造物に係る本件構造設計が適正である
こと
本件構造設計は,示方書「Ⅳ下部構造編」「3章設計の基本」
「3.1設計一般」の規定に基づき,㋐設計計算に用いる荷重
の組合せによる構造物の安全性の照査,㋑地震の影響の照査,㋒
耐久性の検討の手順で設計を行うこととなる。
そして,A1洞2ブロックに係る本件構造設計が適正であること
については,以下①から③までで検討するとおりであるし,それ以
外の修正設計なし地下アーチ構造物についても,これと同様の審査
を行い,本件構造設計が適正であることが確認された。
①本件構造設計において,㋐設計計算に用いる荷重の組合せに
よる構造物の安全性の照査に関しては,自重,土被り及び土圧に
よる荷重,大型ジェット機クラスの航空機の運航に耐えるための
LA-1(400t)及びLA-1(300t)の航空機荷重,
滑走路建設時に使用する作業機械の施工時荷重に基づき荷重の組
合せを行い,部材に発生する応力度が許容応力度以下であること
を照査し,基礎の転倒,滑動,地盤反力,地盤の許容支持力の照
査がされている。
この設計計算に用いる荷重の組合せに関して,示方書において
は,荷重の組合せのうち,最も不利となる条件を考慮して行うも
のとされ,構造物の安全性等を確保するために強度,変形及び安
定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下であること
を照査しなければならないとされ,さらに,基礎は常時,暴風時
及びレベル1地震動に対し(ただし,本件地下構造物は,風の影
響を受けない土中にあるため,暴風時は除く。),支持,転倒及
び滑動に対して安定であることとされている。
この点に関し,本件構造設計は,最も不利となる条件を含め想
定される全ての荷重による荷重の組合せを行い,部材の強度,変
形及び安定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下で
あることを照査し,常時及びレベル1地震動における基礎の転倒,
滑動,地盤反力,地盤の許容支持力の照査により基礎の安定につ
いて照査していることが確認され,したがって,示方書に従って
適正に設計されていることが確認された。
②本件構造設計において,㋑地震の影響の照査に関しては,レ
ベル1地震動,レベル2地震動,地盤条件等の耐震性能等照査に
必要な条件を設定し,2次元FEM動的解析による照査を行い,
レベル1地震動及びレベル2地震動に対する耐震性能を有してい
る旨の結果が得られている。
この地震の影響の照査に関して,示方書においては,耐震性能
の照査は,設計地震動によって生ずる各部材の状態が,設定した
各部材の限界状態を超えないことを規定された耐震性能の照査方
法により照査を行うものとされ,耐震性能の照査方法は,設計地
震動,橋の構造形式とその限界状態に応じて,適切な方法に基づ
いて行うものとし,地震時の挙動が複雑ではない橋は静的照査方
法による照査を行い,地震時の挙動が複雑な橋は動的照査方法に
よる照査を行えばよいとされている。
この点に関し,本件構造設計は,レベル1地震動及びレベル2
地震動の設計地震動を設定し,動的照査方法の2次元FEM動的
解析による照査によってレベル1地震動及びレベル2地震動の耐
震性能を確保していることが確認され,したがって,示方書に従っ
て適正に設計されていることが確認された。
③本件構造設計において,㋒耐久性の検討に関しては,本件地
下構造物が土中にあることを考慮し,鉄筋コンクリートの鉄筋の
かぶりを70㎜以上と設定している。
この耐久性に関し,示方書においては,水中又は土中の場合の
鉄筋コンクリート部材の鉄筋のかぶりは70㎜以上とするとされ
ている。
この点に関し,本件構造設計は,鉄筋コンクリートの鉄筋のか
ぶりは70㎜以上を確保していることが確認され,したがって,
示方書に従って適正に設計されていることが確認された。
(b)修正設計あり地下アーチ構造物に係る本件構造修正設計が適正
であること
本件構造修正設計は,示方書「Ⅳ下部構造編」「3章設計の
基本」「3.1設計一般」の規定に基づき,㋐設計計算に用い
る荷重の組合せによる構造物の安全性の照査,㋑地震の影響の照
査,㋒耐久性の検討の手順で設計を行うこととなる。
そして,E洞7ブロックに係る本件構造修正設計が適正であるこ
とについては,以下①から③までで検討するとおりであるし,それ
以外の修正設計あり地下アーチ構造物についても,これと同様の審
査を行い,本件構造修正設計が適正であることが確認された。
①本件構造修正設計において,㋐設計計算に用いる荷重の組合
せによる構造物の安全性の照査に関しては,自重,土被り及び土
圧による荷重,大型ジェット機クラスの航空機の運航に耐えるた
めのLA-1(400t)及びLA-1(300t)の航空機荷
重,滑走路建設時に使用する作業機械の施工時荷重に基づき荷重
の組合せを行い,部材に発生する応力度が許容応力度以下である
ことを照査し,杭基礎の支持力,水平変位の照査がされている。
この設計計算に用いる荷重の組合せに関して,示方書において
は,荷重の組合せのうち,最も不利となる条件を考慮して行うも
のとされ,構造物の安全性等を確保するために強度,変形及び安
定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下であること
を照査しなければならないとされ,さらに,基礎は常時,暴風時
及びレベル1地震動に対し(ただし,地下アーチ構造物は,風の
影響を受けない土中にあるため,暴風時は除く。),支持に対し
て安定であるとともに,基礎の変位は許容変位以下とされている。
この点に関し,本件構造修正設計は,最も不利となる条件を含
め想定される全ての荷重による荷重の組合せを行い,部材の強度,
変形及び安定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下
であることを照査し,常時及びレベル1地震動における杭基礎の
支持力の照査により基礎の安定を照査し,基礎の水平変位が許容
変位以下であることを照査していることが確認され,したがって,
示方書に従って適正に設計されていることが確認された。
②本件構造修正設計において,㋑地震の影響の照査に関しては,
レベル1地震動,レベル2地震動,地盤条件等の耐震性能の照査
に必要な条件を設定し,2次元FEM動的解析により地下アーチ
構造物の照査を行い,レベル1地震動及びレベル2地震動に対す
る耐震性能を有している旨の結果が得られ,さらに,地震時保有
水平耐力法により杭基礎の照査を行い,レベル1地震動及びレベ
ル2地震動に対する耐震性能を有している旨の結果が得られてい
る。
この地震の影響の照査に関して,示方書においては,耐震性能
の照査は,設計地震動によって生ずる各部材の状態が,設定した
各部材の限界状態を超えないことを規定された耐震性能の照査方
法により照査を行うものとされ,耐震性能の照査方法は,設計地
震動,橋の構造形式とその限界状態に応じて,適切な方法に基づ
いて行うものとし,地震時の挙動が複雑ではない橋は静的照査方
法による照査を行い,地震時の挙動が複雑な橋は動的照査方法に
よる照査を行えばよいとされている。
この点に関し,本件構造修正設計は,レベル1地震動及びレベ
ル2地震動の設計地震動を設定し,地下アーチ構造物については,
動的照査方法の2次元FEM動的解析による照査によってレベル
1地震動及びレベル2地震動の耐震性能を確保していることが確
認され,さらに,杭基礎については,静的照査方法の地震時保有
水平耐力法によってレベル1地震動及びレベル2地震動の耐震性
能を確保していることが確認され,したがって,示方書に従って
適正に設計されていることが確認された。
③本件構造修正設計において,㋒耐久性の検討に関しては,本
件地下構造物が土中にあることを考慮し,鉄筋コンクリートの鉄
筋のかぶりを70㎜以上と設定している。
この耐久性に関し,示方書においては,水中又は土中の場合の
鉄筋コンクリート部材の鉄筋のかぶりは70㎜以上とするとされ
ている。
この点に関し,本件構造修正設計は,鉄筋コンクリートの鉄筋
のかぶりは70㎜以上を確保していることが確認され,したがっ
て,示方書に従って適正に設計されていることが確認された。
(c)修正設計あり地下スラブ構造物に係る本件構造修正設計が適正で
あること
地下スラブ構造物は,上部工の箱桁(スラブ)と下部工の基礎に
よって構成され,本件構造修正設計の地下スラブ構造物の上部工に
係る設計は,示方書「Ⅲコンクリート橋編」「2章設計の基本」
「2.1設計一般」に基づき,㋐設計計算に用いる荷重の組合
せによる構造物の安全性の照査,㋑地震の影響の照査,㋒耐久
性の検討の手順で設計を行い,また,下部工に係る設計は,示方書
「Ⅳ下部構造編」「3章設計の基本」「3.1設計一般」の
規定に基づき,㋐設計計算に用いる荷重の組合せによる構造物の
安全性の照査,㋑地震の影響の照査,㋒耐久性の検討の手順で
設計を行うこととなる。なお,㋑地震の影響の照査については,
上部工と下部工を分割して設計するものではないことから,一体的
に設計を行うこととなる。
そして,E洞C橋に係る本件構造修正設計が適正であることにつ
いては,以下①から⑥までで検討するとおりである。
①本件構造修正設計において,地下スラブ構造物の上部工の㋐設
計計算に用いる荷重の組合せによる構造物の安全性の照査に関し
ては,自重,土被り及び土圧による荷重,大型ジェット機クラス
の航空機の運航に耐えるためのLA-1(400t)及びLA-
1(300t)の航空機荷重に基づき設計荷重作用時の荷重の組
合せを行い,部材に発生する応力度が許容応力度以下であること
を照査し,自重,土被り及び土圧による荷重並びに航空機荷重に
プレストレストコンクリートの不静定構造物におけるプレストレ
ス力及びコンクリートのクリープや乾燥収縮により生ずる不静定
力を加えた終局荷重作用時の荷重の組合せを行い,部材に発生す
る断面力が耐力以下であることが照査されている。
この設計計算に用いる荷重の組合せに関して,示方書において
は,設計荷重作用時の組合せは,荷重の組合せのうち,最も不利
となる条件を考慮して行うものとされ,構造物の安全性等を確保
するために強度,変形及び安定を照査し,設計荷重作用時に部材
に発生する応力度が許容応力度以下であることを照査しなければ
ならないとされ,また,終局荷重作用時の荷重の組合せは,地震
の影響による荷重を除き,プレストレストコンクリートの不静定
構造においては,プレストレス力及びコンクリートのクリープや
乾燥収縮による不静定力を加え,終局荷重作用時における荷重に
乗ずる係数を用いた荷重の組合せを行い,構造物の安全性等を確
保するために強度,変形及び安定を照査し,終局荷重作用時に部
材に発生する断面力が耐力以下であることを照査しなければなら
ないとされている。
この点に関し,本件構造修正設計は,最も不利となる条件を含
め想定される全ての荷重による荷重の組合せを行い,設計荷重作
用時に部材に生ずる応力度が許容応力度以下であることを照査し,
自重,土被り及び土圧による荷重並びに航空機荷重にプレストレ
ストコンクリートの不静定構造物に生ずる不静定力を加えた荷重
の組合せを行い,終局荷重作用時に部材に発生する断面力が断面
耐力以下であることを照査していることが確認され,したがって,
示方書に従って適正に設計されていることが確認された。
②本件構造修正設計において,地下スラブ構造物の下部工・直接
基礎(北側の橋台・A2橋台)の㋐設計計算に用いる荷重の組
合せによる構造物の安全性の照査に関しては,自重,土被り及び
土圧による荷重,大型ジェット機クラスの航空機の運航に耐える
ためのLA-1(400t)及びLA-1(300t)の航空機
荷重に基づき荷重の組合せを行い,部材に発生する応力度が許容
応力度以下であることを照査し,基礎の転倒,滑動,地盤反力,
地盤の許容支持力の照査がされている。
この設計計算に用いる荷重の組合せに関して,示方書において
は,荷重の組合せのうち,最も不利となる条件を考慮して行うも
のとされ,構造物の安全性等を確保するために強度,変形及び安
定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下であること
を照査しなければならないとされ,さらに,基礎は常時,暴風時
及びレベル1地震動に対し(ただし,地下スラブ構造物は,風の
影響を受けない土中にあるため,暴風時は除く。),支持,転倒
及び滑動に対して安定であることとされている。
この点に関し,本件構造修正設計は,最も不利となる条件を含
め想定される全ての荷重による荷重の組合せを行い,部材の強度,
変形及び安定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下
であることを照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下で
あることを照査し,常時及びレベル1地震動における基礎の転倒,
滑動,地盤反力,地盤の許容支持力の照査により基礎の安定につ
いて照査していることが確認され,したがって,示方書に従って
適正に設計されていることが確認された。
③本件構造修正設計において,地下スラブ構造物の下部工・杭基
礎(南側の橋台・A1橋台)の㋐設計計算に用いる荷重の組合
せによる構造物の安全性の照査に関しては,自重,土被り及び土
圧による荷重,大型ジェット機クラスの航空機の運航に耐えるた
めのLA-1(400t)及びLA-1(300t)の航空機荷
重に基づき荷重の組合せを行い,部材に発生する応力度が許容応
力度以下であることを照査し,杭基礎の支持力,水平変位の照査
がされている。
この設計計算に用いる荷重の組合せに関して,示方書において
は,荷重の組合せのうち,最も不利となる条件を考慮して行うも
のとされ,構造物の安全性等を確保するために強度,変形及び安
定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下であること
を照査しなければならないとされ,さらに,基礎は常時,暴風時
及びレベル1地震動に対し(ただし,地下スラブ構造物は,風の
影響を受けない土中にあるため,暴風時は除く。),支持に対し
て安定であるとともに,基礎の変位は許容変位以下とされている。
この点に関し,本件構造修正設計は,最も不利となる条件を含
め想定される全ての荷重による荷重の組合せを行い,部材の強度,
変形及び安定を照査し,部材に発生する応力度が許容応力度以下
であることを照査し,常時及びレベル1地震動における杭基礎の
支持力の照査により基礎の安定を照査し,基礎の水平変位が許容
変位以下であることを照査していることが確認され,したがって,
示方書に従って適正に設計されていることが確認された。
④本件構造修正設計において,㋑地震の影響の照査に関しては,
レベル1地震動,レベル2地震動,地盤条件等の耐震性能の照査
に必要な条件を設定し,2次元FEM動的解析により地下スラブ
構造物の上部工及び杭基礎を除く下部工の照査を行い,レベル1
地震動及びレベル2地震動に対する耐震性能を有している旨の結
果が得られ,また,地震時保有水平耐力法により杭基礎の照査を
行い,レベル1地震動及びレベル2地震動に対する耐震性能を有
している旨の結果が得られている。
この地震の影響の照査に関して,示方書においては,耐震性能
の照査は,設計地震動によって生ずる各部材の状態が,設定した
各部材の限界状態を超えないことを規定された耐震性能の照査方
法により照査を行うものとされ,耐震性能の照査方法は,設計地
震動,橋の構造形式とその限界状態に応じて,適切な方法に基づ
いて行うものとし,地震時の挙動が複雑ではない橋は静的照査方
法による照査を行い,地震時の挙動が複雑な橋は動的照査方法に
よる照査を行えばよいとされている。
この点に関し,本件構造修正設計は,レベル1地震動及びレベ
ル2地震動の設計地震動を設定し,地震時の挙動が複雑な地下ス
ラブ構造物の上部工及び下部工(杭基礎を除く。)については,
動的照査方法の2次元FEM動的解析による照査によってレベル
1地震動及びレベル2地震動の耐震性能を確保していることが確
認され,また,地震時の挙動が複雑ではない杭基礎については,
静的照査方法の地震時保有水平耐力法によってレベル1地震動及
びレベル2地震動の耐震性能を確保していることが確認され,し
たがって,示方書に従って適正に設計されていることが確認され
た。
⑤本件構造修正設計において,地下スラブ構造物の上部工の㋒耐
久性の検討に関しては,塩害の影響を受けない土中に設置する現
場制作のプレストレストコンクリート構造の箱桁であることを考
慮し,コンクリート中の鋼材のうち最も外側に配置する鉄筋の最
小かぶりを35㎜以上と設定している。
この耐久性に関し,示方書においては,塩害の影響を受けない
場合の工場で製作されるプレストレストコンクリート構造以外の
桁の鋼材の最小かぶりは35㎜以上とするとされている。
この点に関し,本件構造修正設計は,鋼材の最小かぶりは35
㎜以上を確保していることが確認され,したがって,示方書に従っ
て適正に設計されていることが確認された。
⑥本件構造修正設計において,地下スラブ構造物の下部工の㋒耐
久性の検討に関しては,本件地下構造物が土中にあることを考慮
し,鉄筋コンクリートの鉄筋のかぶりを70㎜以上と設定してい
る。
この耐久性に関し,示方書においては,水中又は土中の場合の
鉄筋コンクリート部材の鉄筋のかぶりは70㎜以上とするとされ
ている。
この点に関し,本件構造修正設計は,鉄筋コンクリートの鉄筋
のかぶりは70㎜以上を確保していることが確認され,したがっ
て,示方書に従って適正に設計されていることが確認された。
(d)修正設計なし地下スラブ構造物に係る本件構造設計が適正である
こと
上記(c)のとおり,修正設計あり地下スラブ構造物であるE洞C橋
に係る本件構造修正設計は適正であるところ,これ以外の修正設計
なし地下スラブ構造物についても,本件構造設計について同様の審
査を行い,本件構造設計が適正であることが確認された。
(e)本件舗装設計が適正であること
本件舗装設計は,経験的設計法によるアスファルト舗装の構造設
計が用いられている。
ここで経験的設計法とは,我が国の空港舗装における経験上,滑
走路の所要の性能,強度を満たすことができると認められた舗装構
造の設計手法のことをいい,舗装要領においても採用されており,
具体的には,舗装要領付録において記載されている。
経験的設計法によるアスファルト舗装の構造設計は,㋐設計条
件の設定(設計荷重区分,設計反復作用回数の区分,路床支持力),
㋑基準舗装厚の算定,㋒舗装構成の設定,㋓舗装構造の決定
の手順で設計を行う。
①本件舗装設計において,㋐設計条件の設定のうち,設計荷重
区分に関しては,本件空港の利用を予定する航空機である○型旅
客機等が属する設計荷重区分の「LA-12」と設定されている。
この点に関して,舗装要領においては,「就航している(あるい
は就航予定の)航空機の中で最も厚い舗装厚を必要とするであろ
うと推定される航空機が属する区分を選ぶのが一般的であり,付
表-5.1を参照して設定する」ものとされ,○型旅客機は,設
計荷重区分の「LA-12」の機種欄に記載されている。このよ
うに,この点に関する本件舗装設計は,舗装要領に従って適正に
設計されていることが確認された。
また,本件舗装設計において,㋐設計条件の設定のうち,設
計反復作用回数の区分に関しては,「表4-8設計交通量(滑
走路)」により機種別の交通量を設定し,「表4-11設計反
復作用回数の計算表」により機種別,離着陸別の交通量から設計
荷重に換算した反復作用回数を滑走路(盛土部)が2万1545
回及び滑走路(切土部)が2万2068回と計算し,計算から求
めた反復作用回数に基づき舗装要領の「付表-5.3計算から
求める設計反復作用回数」を用いて設計反復作用回数を2万回の
c区分と設定されている。この点に関して,舗装要領においては,
設計供用期間にわたって対象舗装上を走行する交通量を機種別,
離着陸別に集計し,それぞれの航空機の交通量を設計荷重に換算
して計算し,「計算から求めた反復作用回数より付表-5.3を
用いて設計反復作用回数を設定する」とされている。このように,
この点に関する本件舗装設計は,舗装要領に従って適正に設計さ
れていることが確認された。
さらに,本件舗装設計において,㋐設計条件の設定のうち,
路床支持力に関しては,路床支持力の評価を行うための現場CB
R試験について,載荷重を150ニュートンとし,「JISA
1222」に準じて実施し,その試験データのばらつきを判定す
る棄却判定を行い,試験データの最大値及び最小値を棄却する必
要がないことを確認して路床支持力である路床設計CBRを盛土
部が9%及び切土部が10%とそれぞれ設定されている。この点
に関して,舗装要領には,現場CBR試験は「JISA12
22」に準じて行い,試験の載荷重は「付表-2.2CBR試
験の載荷重の大きさ」の値を用いるとして設計荷重の区分が「L
A-12」の場合は150ニュートンとするとされ,「付録-3
試験値の棄却判定の方法」に基づき試験値の棄却判定を行うとさ
れている。このように,この点に関する本件舗装設計は,舗装要
領に従って適正に設計されていることが確認された。
②本件舗装設計において,㋑基準舗装厚の算定に関しては,米
国陸軍工兵隊の研究による単車輪荷重による基準舗装厚算定式と
反復作用回数による補正式を用いて,基準舗装厚の算定フローに
基づく繰返し計算により路床設計CBRが9%の基準舗装厚を8
9㎝及び路床設計CBRが10%の基準舗装厚を82㎝とそれぞ
れ設定されている。この点に関して,舗装要領においては,アス
ファルト舗装の基準舗装厚は,米国陸軍工兵隊の研究による単車
輪荷重による基準舗装厚算定式と反復作用回数による補正式を用
いて,「付図-7・1基準舗装厚の算定フロー」に基づく繰返
し計算により算定するとされている。このように,この点に関す
る本件舗装設計は,舗装要領に従って適正に設計されていること
が確認された。
③本件舗装設計において,㋒舗装構成の設定に関しては,「表
4-15基準舗装の表層・基層の最小合計厚」の値について1
4㎝,「表4-16上層路盤の標準厚」の値について設計CB
Rが9%の場合を30㎝,設計CBRが9%で基準舗装厚を減厚
する場合を25㎝,設計CBRが10%の場合を25㎝,設計C
BRが10%で基準舗装厚を減厚する場合を20㎝とそれぞれ設
定されている。この点に関して,舗装要領においては,表・基層
にはアスファルト混合物を用いることを標準とし,それらの合計
厚は,設計荷重の区分及び設計反復作用回数の区分に応じて「付
表-7.1」のとおりとし,上層路盤厚は,設計荷重区分及び路
床設計CBRに応じて「付表-7.2」のとおりとするとされて
いる。このように,この点に関する本件舗装設計は,「表4-1
5基準舗装の表層・基層の最小合計厚」の値について舗装要領
の付表-7.1の値に沿っており,また,「表4-16上層路
盤の標準厚」の値について舗装要領の付表-7.2の値に沿って
いることが確認され,舗装要領に従って適正に設計されているこ
とが確認された。
④本件舗装設計において,㋓舗装構造の決定に関しては,表層
は密粒度アスコン,基層は粗粒度アスコン,上層路盤は安定処理
材であるアスファルト安定処理,下層路盤は再生材(ゆいくる材)
の材料が設定されている。この点に関して,舗装要領においては,
舗装構造の決定は,設計荷重区分がLA-12以上の上層路盤に
は安定処理材を使用することを原則とし,舗装構造全体の耐久性,
経済性,環境への配慮を考慮して,路盤材料を選定した上で舗装
構造を決定するとされている。このように,この点に関する本件
舗装設計は,舗装要領に従って適正に設計されていることが確認
された。
d本件空港の施設が本件実施設計どおりに施工されていること
一般に,空港の完成検査において,空港等の施設が実施設計どおり
に施工されているかどうかについては,法令上それが空港の完成後の
申請に基づき行われるものであることから,現実には工事期間中に行
われた工事の施工管理の品質管理及び出来形管理が適正に実施されて
いるかが審査,確認されることとなる。
本件完成検査においても,本件空港の設置者である沖縄県が発注し
た本件空港に係る工事の施工管理の結果が適正にされているか否かを
審査,確認することとなるところ,本件検査職員が,沖縄県が実施し
た施工管理の結果に基づく品質管理総括表の工種である空洞対策工の
試験項目,出来形管理総括表の工種である空洞対策工の試験項目,品
質管理総括表の工種である基本施設舗装工の試験項目,出来形管理総
括表の工種である基本施設舗装の試験項目の結果及び沖縄県が施工管
理として立会,確認した結果を記録した空洞対策工事に関する確認・
立会願,滑走路工事に関する確認・立会願の結果を書面により審査し
たところ,適正な施工管理により工事が行われていることが確認され,
本件滑走路が,本件構造設計及び本件舗装設計(本件実施設計)どお
りに施工されている(修正設計なし地下アーチ構造物及び修正設計な
し地下スラブ構造物については本件構造設計どおりに施工され,修正
設計あり地下アーチ構造物及び修正設計あり地下スラブ構造物につい
ては本件構造修正設計どおりに施工されている)ことが確認された。
e小括
以上のとおり,本件構造設計及び本件舗装設計(本件実施設計)は,
いずれもそれぞれ示方書及び舗装要領に従って適正にされたものであ
り,さらに,本件空港は,本件実施設計どおりに施工されていたこと
から,本件施設の基礎地盤を含めた滑走路の強度が「LA-12」で
あることが確認された。
したがって,本件空港の施設は,5号審査事項のうち滑走路の強度
(基礎地盤を含む。)に係る本件設置の計画(LA-12)に適合す
る。
(エ)まとめ
以上のとおり,本件空港の施設は,5号審査事項に係る本件設置の計
画にいずれも適合する。
エ8号審査事項について
8号審査事項に関して,本件設置許可申請書には別紙4の2「項目」欄
記載の各項目につき同「設置の計画」欄のとおり記載されているところ,
本件検査職員が,別紙4の3「項目」欄記載の各項目につき検査を行った
結果,本件空港の施設が,同「審査の結果」欄記載のとおり完成している
ことが確認された。
以上のとおり,本件空港の施設は,別紙4の4記載のとおり,8号審査
事項に係る本件設置の計画にいずれも適合する(なお,別紙4の4「設置
の計画」欄記載の本件設置の計画と同「審査の結果」欄記載の本件完成検
査の結果とは,厳密には数値等が一致しない部分もあるが,同「検証」欄
記載のとおり,いずれも測量における誤差等として許容範囲内のものであ
り,上記本件空港の施設が8号審査事項に係る本件設置の計画に適合する
との本件完成検査の結果を左右するものではない。)。
オ13号審査事項について
13号審査事項に関して,本件設置許可申請書には,本件空港の進入表
面,転移表面若しくは水平表面(以下,併せて「制限表面」という。)の
上に出る物件又はこれに著しく近接した物件として,アンテナ,電柱,樹
木,地形等が存在することが記載され,これらの物件のうち,進入表面を
超過する物件及び転移表面を超過する物件について,本件空港の工事完成
予定期日までに除去する旨記載されているところ,本件検査職員は,施設
完成後の障害物の状況について,沖縄県から平成24年11月28日に提
出された「制限表面に関する物件一覧表(座標入り)」に基づき,現地に
おいて測量を行うとともに,目視による物件の制限表面への抵触状況の確
認を行い,その結果,本件空港の進入表面及び転移表面を超過する物件に
ついて本件設置許可申請書記載のとおり除去の措置が取られ,その他制限
表面に関し,本件空港の周辺に航空機の離陸又は着陸に支障があると認め
る物件が存在しないことが確認された。
以上のとおり,本件空港の施設は,13号審査事項に係る本件設置の計
画に合致する。
以上
(別紙5)
争点(2)に関する当事者の主張
(原告らの主張)
ア(ア)本件完成検査においては,本件空港の滑走路,着陸帯,誘導路等下
の基礎地盤の強度について,アーチ状構造物の構築が終わった後の平成
23年に実施された載荷試験について沖縄県新石垣空港課が同年12月
27日付けで作成した「新石垣空港滑走路強度確認調査の結果について」
と題する文書の内容が確認されたにすぎない。
しかし,本件空港の滑走路等は,洞窟と地下川の直上に位置するもの
であるところ,地盤の状況は流入水がある限り常に変動し続けるもので
あることに加え,同年当時はアスファルト舗装もされておらず,本件空
港の完成時とは異なる状態のものであったことからすれば,上記載荷試
験による滑走路の安全性の担保は,それが実施された同年時点の安全性
を担保するものにすぎない。
(イ)また,本件完成検査に係る報告書(以下「本件報告書」という。)
には,滑走路直下の洞窟を保護するために建設されたアーチ状の構造物
の保守管理について全く触れられておらず,また,本件完成検査におい
ては津波に対する安全性の検査もされておらず,本件報告書にはこの点
の記載もない。
イ本件空港の滑走路の地下の構造物(本件地下構造物)については,現場
施工時に,現地盤付近で支持層を確認できない箇所が判明したため,当初
の本件構造設計が修正されることとなり,新たな修正設計(本件構造修正
設計)がまとめられた。
したがって,本件完成検査においては,本件構造修正設計が示方書に従っ
て適正に設計されているか否かを審査し,また,本件地下構造物が実際に
本件構造修正設計どおりに施工されているか否かについても審査がされる
必要があったにもかかわらず,これらの審査が一切されていない。
ウ本件空港は,背後の山から流入水が集まってくる模式的な後背地型カル
ストに設置されているところ,上記カルストには5本の地下川(地下水系)
が存在し,その地下川によって大きな洞窟が形成されているほか,多数の
支流や以前の地下川の流れによってできた未知の洞窟,空洞が多数あるも
のと推測されている。このように,本件空港は,特殊な地域に建設された
ものであり,航空機の安全性を考慮すれば,本来空港を設置すべき場所で
はないし,このような見地からすれば,基礎地盤を含む滑走路の強度の審
査について,当該滑走路に関する舗装構造実施設計(本件舗装設計)が舗
装要領に従って適正に行われているかどうかによって判断すべき一般的な
場所であるということもできない。実際にも,日本国内及び世界各地にお
いて,近年,地下水が豊富な石灰岩層において,空洞とはいえないほどの
隙間から土砂が流出し,同時に石灰岩層を溶食しながら隙間を拡大し,最
終的に大規模な地盤陥没事故が起こったり,盛土をした箇所であっても地
下水脈や排水溝により土砂の流出が生じ,地盤陥没事故につながったりし
ている例がある。
エ被告は,空港の完成検査に係る審査事項について,別の訴訟においては,
滑走路,滑走路ショルダー,過走帯,誘導路,誘導路ショルダー,エプロ
ンに係る強度の審査がされるものである旨記載された国土交通省航空局航
空ネットワーク企画課担当官作成の報告書を提出する一方で,本件訴訟に
おいては,滑走路のみを検査すればよい旨を主張しており,見解に齟齬を
来している。
この点について,規則は,滑走路以外の誘導路やエプロンの強度につい
ても,基礎地盤や地下の構造物を含めて滑走路と同じように明確に規定す
る(79条1項4号)とともに,着陸帯についても,自重,土圧,地震動
等による損傷等の影響が及ばないように相当の強度を求めている(同項7
号)ものである。
オ以上の各点に照らすと,本件合格処分は,違法であるというべきである。
(被告の主張)
上記(原告らの主張)アからエまでに対する反論は,それぞれ次のアから
エまでのとおりである。
ア(ア)空港の完成検査において審査の対象となるのは,飽くまで基礎地盤
を含めた「滑走路の強度」であり(5号審査事項),滑走路,着陸帯,
誘導路等下の「基礎地盤の強度」そのものは,審査の対象とはならない。
また,原告らのいう載荷試験が,平成23年2月24日から同年9月
21日に沖縄県が行った新石垣滑走路強度確認調査を指すものと解した
としても,同調査は,飽くまで本件空港の路床の状態一般を検査するた
めに行われたものであり,基礎地盤の強度それのみを検査するために行
われた調査ではない。そして,5号審査事項のうち本件滑走路の強度(基
礎地盤を含む。)については,そもそも法令上,載荷試験による安全性
の確認の審査をすることなど予定されていないことからすれば,原告ら
の主張は,その前提を欠くものである。
(イ)空港の供用後の保守管理は,完成検査とは別に定める空港保安管理
規程に関する事項として定められているものであり,空港の完成検査の
審査の対象となるものではなく,本件報告書に記載されるべき事項でも
ない。また,津波についても,法令上,空港の完成検査における審査の
対象となるものではなく,完成検査において,改めて設置許可を受けた
申請書に係る設置の計画の安全性そのものを判断するものでもないから,
本件報告書にこの点に関する記載がないのも当然である。
イ本文中第2の3(別紙4の1から4まで)記載のとおり,処分行政庁は,
本件完成検査において,本件地下構造物に係る本件構造設計及び本件構造
修正設計の審査を実施し,これが適正であると確認しており,本件地下構
造物が本件構造設計及び本件構造修正設計どおりに施工されているとの確
認もしているのであって,本件地下構造物に係る本件構造修正設計の審査
を実施していないということはない。
ウ滑走路の強度を確認する調査方法を検討する際,滑走路の基礎地盤に琉
球石灰岩層(カルスト)が存在する範囲については,琉球石灰岩層に未知
の空隙等が存在する可能性があることを前提に,滑走路下の琉球石灰岩層
が航空機荷重に対して十分な強度を有しているか否かを確認する手法につ
いての検討を行い,その結果,滑走路の強度を示す設計荷重区分「L-1
2」に相当する以上の荷重を載荷した原型走行荷重車等を走行させる調査
方法を選択した上で,その調査を実施し,本件滑走路下に存在する可能性
のある空隙等の影響による沈下や陥没が舗装面(下層路盤の上面)で発生
していないことが確認された。
以上のとおり,本件滑走路下に存在する可能性のある空隙等は,本件滑
走路の強度に影響を及ぼすものではないことが確認されたものである。
エそもそも,8号審査事項には,滑走路のショルダー,過走帯及び誘導路
のショルダー(以下,併せて「滑走路のショルダー等」という。)の概要
及び強度の審査は含まれない。ただし,本件完成検査においては,滑走路
のショルダー等が,滑走路及び誘導路の補助的な機能を有するものである
ため,8号審査事項である滑走路,着陸帯及び誘導路の審査と併せてその
概要の審査を実施し,また,滑走路のショルダー等や誘導路及びエプロン
の強度の審査は,5号審査事項である滑走路の強度(基礎地盤を含む。)
の審査と併せて実施し,所要の強度を有することを確認している。
また,規則79条1項は,空港の設置許可申請に係る航空法39条1項
を受けて,空港等の設置基準を定めたものであって,航空法42条1項に
規定する完成検査の審査事項を定めるものではない。ただし,本件完成検
査においては,規則79条1項7号の審査事項について,5号審査事項及
び8号審査事項の審査と併せて審査を実施しており,本件空港の滑走路,
着陸帯,誘導路及びエプロンが規則79条1項7号(1)及び(2)の規定にい
ずれも適合していることを確認し,また,上記のとおり,同項4号につい
ては,5号審査事項である滑走路の強度の審査とこれに併せて実施した誘
導路及びエプロンの強度の審査において確認している。
以上

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