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判決 平成14年1月11日  神戸地方裁判所 平成13年(わ)第881号暴
力行為等処罰に関する法律違反被告事件
           主       文
    被告人を懲役2年に処する。
    未決勾留日数中50日をその刑に算入する。
           理       由
(罪となるべき事実)
 被告人は,常習として,平成13年8月19日午後9時25分ころ,神戸市a区
b町c番d号A1階所在の飲食店「B」において,同店の経営者らがビールを注い
でくれないことに腹を立て,大声で怒鳴りつけて文句を言ったところ,同店に居合
わせた客のC(当時61歳)がもう許してやるように口を添えたことに立腹し,同
人に対し,「われ,何どえ。なめとったらあかんど。」と怒号しながら,カウンタ
ー上にあったビール瓶の上部を右手で持ち水平に構え同人に殴りかかる気勢を示し
て脅迫するとともに,左手で同人の襟首を掴んで引っ張る暴行を加えたものであ
る。
(証拠の標目)
(省略)
(補足説明)
 弁護人は,被告人が,被害者に対し,判示のような脅迫や暴行を加えたことを認
定するに足る証拠は存しない旨主張する。
 しかしながら,前掲各証拠,とりわけ,証人C及び同Dの当公判廷における各供
述,Cの検察官調書(甲5‐不同意部分を除く。)及び警察官調書(甲3,4‐各
不同意部分を除く。)並びにD(甲6‐不同意部分を除く。)及びE(甲7‐不同
意部分を除く。)の各検察官調書を総合すれば,被告人が,Cに対し,「われ,何
どえ。なめとったらあかんど。」と怒号しながら,カウンター上にあったビール瓶
の上部を右手で持ち水平に構えて殴りかかる気勢を示して脅迫するとともに,左手
でCの襟首を掴んで引っ張る暴行を加えたことは間違いがないと認められる。
 被告人の公判供述は,ビール瓶はたばこと間違えて持ったものであり,それを右
手に持ってぶら下げていただけであるし,左手でCの左肩を掴んで表に出るように
言ったことはあるが引っ張ったことはないなどというのであるが,そもそもたばこ
と間違えてビール瓶を持つなどということは考え難いこと,被告人は,Cに向かっ
ていく直前,同伴していた女性に対し,怪我があったらあかんから店の外に出るよ
うに言ったことを自認しているところ,それは,被告人がCとの間で店内で喧嘩に
なりうることを予想し,その女性を予め避難させたものにほかならないと考えられ
ること,Eは,Cとは同じグループの客ではなかったが,被告人のCに対する言動
を見聞きして,被告人を取り押さえ,警察を呼ぶように言っており,それは,被告
人がCに上記のような脅迫や暴行を加えたため,それ以上の暴行を加えさせないよ
うにしたものとみるのが最も合理的であることなどを考え併せると,被告人の前記
の公判供述は,信用性に乏しく,上記認定に合理的な疑いを容れるに足るものでは
ない。
 以上のとおりであって,判示の事実はこれを間違いがないと認めることができ
る。
(累犯前科)
 被告人は,(1)平成6年12月27日神戸地方裁判所で恐喝,暴力行為等処罰に関
する法律違反罪により懲役2年10月に処せられ,平成9年8月29日その刑の執
行を受け終わり,(2)その後犯した暴力行為等処罰に関する法律違反罪により,平成
10年8月13日同裁判所で懲役2年6月に処せられ,平成13年1月3日その刑
の執行を受け終わったものであって,これらの各事実は,検察事務官作成の前科調
書(乙7)及び上記裁判の各判決書謄本(乙12,14)によって認められる。
(法令の適用)
罰条          包括して暴力行為等処罰に関する法律1条の3(刑法2
22条,208条)
累犯加重        刑法59条,56条1項,57条(3犯の加重)
宣告刑         懲役2年
未決勾留日数の算入   刑法21条(50日)
訴訟費用の不負担    刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,飲食店に客として居合わせた被害者に対し,常習として,脅
迫・暴行を加えたという事案であるが,被告人は,飲食店の経営者らにささいなこ
とで大声で怒鳴りつけて文句を言い,もう許してやるよう口添えした被害者に対し
て,判示の脅迫・暴行を加えたものであって,犯行に至る経緯にあまり酌むべき点
がないこと,被告人は,被害者に対し,いきなりビール瓶で殴りかかる気勢を示す
などして脅迫するとともに,襟首を掴んで引っ張る暴行を加えたものであって,犯
行の態様もよろしくないこと,そのため被害者にビール瓶で頭を殴られるのではな
いかとの恐怖感を抱かせるなど,その結果も決して軽微なものではないこと,被告
人には,判示の累犯前科を含め,多数の同種犯行による前科があって,被告人の粗
暴で反社会的な性格傾向は顕著であること,被告人は,本件犯行の態様について,
不自然あるいは不合理な弁解をして,真摯な反省悔悟の情に乏しいことなどを考え
併せると,被告人の刑事責任は重いというべきである。
 してみると,居合わせた別の客に被告人が取り押さえられるなどしたことによ
り,本件脅迫・暴行の程度自体はそれほど高いものに至っておらず,もちろん被害
者に傷害を負わせてもいないこと,被告人が取り押さえられるときに,頚部捻挫等
の傷害を負っていること,被告人がもう60歳を超えており,健康状態もよくない
ことなどの,被告人のために酌むべき事情を考慮しても,主文の刑はやむを得ない
ところである。
(検察官の科刑意見 懲役2年6月)
 よって,主文のとおり判決する。
  平成14年1月11日
    神戸地方裁判所第12刑事係甲
             裁 判 官  森   岡   安   廣・

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