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平成一一年(ワ)第一八九四九号 商標権侵害差止等請求事件
(口頭弁論終結日 平成一二年二月二九日)
判     決
原告      有限会社ノーウェア
   右代表者代表取締役【A】
 右訴訟代理人弁護士  安田有三
  被告      株式会社ニューイヤーインターナショナル
 右代表者代表取締役      【B】
   被告      株式会社ノーマンズ
 右代表者代表取締役      【C】
   被告      M&T TARGETこと【D】
   被告ら訴訟代理人弁護士 高 木 壯八郎
     主   文
一 被告株式会社ノーマンズ、被告株式会社ニューイヤーインターナショナルは、
別紙被告標章目録1、2記載の標章を付した衣料品を販売してはならない。
二 被告株式会社ノーマンズ、被告株式会社ニューイヤーインターナショナルは、
別紙被告標章目録1、2記載の標章を付した衣料品を廃棄せよ。
三 被告株式会社ニューイヤーインターナショナルは、原告に対し、金三三万八三
八〇円及びこれに対する平成一一年九月七日から支払済みまで年五分の割合による
金員を支払え。
四 被告株式会社ノーマンズは、原告に対し、金四二万五五七一円及びこれに対す
る平成一一年九月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
五 被告【D】は、原告に対し、金一〇万四五〇〇円及びこれに対する平成一一年
九月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
六 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
七 訴訟費用は、これを二分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告の負担
とする。
八 本判決は、第一項ないし第五項に限り仮に執行することができる。 
  事実及び理由
第一 請求
 一 被告らは、別紙被告標章目録1、2記載の標章を使用して、衣料品を販売し
てはならない。
 二 被告らは、別紙被告標章目録1、2記載の標章を付した衣料品を廃棄せよ。
三 被告らは、別紙被告標章目録1、2記載の標章を付した宣伝広告物、定価
表、取引書類を含む営業用品一切を廃棄せよ。
 四 被告株式会社ニューイヤーインターナショナルは、原告に対し、金三一三二
万円及びこれに対する平成一一年九月七日から支払済みまで年五分の割合による金
員を支払え。
 五 被告株式会社ノーマンズは、原告に対し、金四三二〇万円及びこれに対する
平成一一年九月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
 六 被告【D】は、原告に対し、金三五一万円及びこれに対する平成一一年九月
五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
一 争いのない事実等
1(一) 原告は、洋服の製造販売、卸売、小売及び輸入等を目的とする有限会社で
ある(弁論の全趣旨)。
 (二) 被告株式会社ニューイヤーインターナショナル(以下「被告ニューイヤー
インターナショナル」という。)及び被告株式会社ノーマンズ(以下「被告ノーマ
ンズ」という。)は、衣料品の販売等を営む株式会社である。 被告【D】(以下
「被告【D】」という。)は、衣料品の販売等を営む有限会社エムアンドティーの
代表取締役である(乙一〇)。
2(一) 原告は、次の商標権(以下、この登録商標を「本件第一商標」といい、右
商標に係る商標権を「本件第一商標権」という。)を有している。
登録番号     第四一二五八二八号
出願日      平成八年九月三〇日
登録日      平成一〇年三月二〇日
指定商品     洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、
水泳着、水泳帽、帽子、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引
き手、靴びょう、靴保護金具」を除く。)
登録商標     別紙商標目録一記載のとおり
(二) 原告は、次の商標権(以下、この登録商標を「本件第二商標」といい、本件
第一商標とあわせて「本件商標」という。また、本件第二商標に係る商標権を「本
件第二商標権」といい、第一商標権とあわせて「本件商標権」という。)を有して
いる。
登録番号     第四一二五八二九号
出願日      平成八年九月三〇日
登録日      平成一〇年三月二〇日
指定商品     洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、
水泳着、水泳帽、帽子、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引
き手、靴びょう、靴保護金具」を除く。)
登録商標     別紙商標目録二記載のとおり
3 原告は、本件商標の付されたTシャツを製造販売している(以下、原告の製造
販売している本件商標の付されたTシャツを「本件商品」という。)(弁論の全趣
旨)。 
4 本件第一商標と別紙被告標章目録1記載の標章、本件第二商標と別紙被告標章
目録2記載の標章は、それぞれ類似している(以下、右目録1記載の標章を「被告
第一標章」、同目録2記載の標章を「被告第二標章」といい、これらをあわせて
「被告標章」という。)。
二 本件は、本件商標権を有している原告が、被告らに対し、「被告らは、本件
商品の偽造品である、被告標章が付されたTシャツを販売したが、その販売は、本
件商標権の侵害に当たる。」と主張して、被告標章を使用して衣料品を販売するこ
との差止め等を求めるとともに、右侵害行為による損害の賠償を求める事案であ
る。
第三 当事者の主張
 一 原告の主張
   被告ノーマンズ、被告ニューイヤーインターナショナル、被告【D】又は有
限会社エムアンドティーは、本件商品の偽造品である、被告標章が付されたTシャ
ツを販売した。
 本件商品の偽造品の販売数量は、少なくとも被告ノーマンズが四一四枚、被告ニ
ューイヤーインターナショナルが三〇七枚、被告【D】又は有限会社エムアンドテ
ィーが二七枚である。
   本件商品の偽造品一枚につき、被告ノーマンズは二〇〇〇円、被告ニューイ
ヤーインターナショナルは一四五〇円、被告【D】又は有限会社エムアンドティー
は五八五〇円の利益を得た。
   したがって、原告の損害額は、少なくとも被告ノーマンズにつき八二万八〇
〇〇円、被告ニューイヤーインターナショナルにつき四四万五一五〇円、被告
【D】につき一五万七九五〇円となる。
被告らは、右のもの以外にも本件商品の偽造品を大量に販売し、原告は損害を被
っている。
 二 被告らの主張
被告らの本件商品の偽造品の販売数量等は、以下のとおりである。
  1 被告ノーマンズ
     販売数量         三〇七枚
     販売金額     九二万八四〇〇円
     仕入金額     四七万六九八〇円
2 被告ニューイヤーインターナショナル
     販売数量         三〇七枚
     販売金額    一二六万六七八〇円
     仕入金額     九二万八四〇〇円
  3 有限会社エムアンドティー
     販売数量          二〇枚
     販売金額     一九万六〇〇〇円
     仕入金額     一三万七五〇〇円
第四 当裁判所の判断
一 証拠(甲二一ないし二六、乙一ないし五、六(枝番を全て含む)、七(枝番を
全て含む)、八(枝番を全て含む)、九、一〇)及び弁論の全趣旨によると、被告
ノーマンズ、被告ニューイヤーインターナショナル、有限会社エムアンドティー
は、本件商品の偽造品である、被告標章が付されたTシャツを販売したことが認め
られる。被告【D】が個人で販売したことを認めるに足りる証拠はない。
二1 証拠(甲二三、乙一ないし三、六(枝番を全て含む)、七(枝番を全て含
む))及び弁論の全趣旨によると、被告ノーマンズは、本件商品の偽造品を三三七
枚販売して三〇枚返品を受けたこと、返品を受けたものを除く三〇七枚の販売金額
は合計で九二万八四〇〇円、仕入金額は合計で四七万六九八〇円であったこと、以
上の事実が認められる。
右事実によると、右販売金額から右仕入金額を控除した金額は四五万一四二〇
円であると認められる。
 証拠(甲二三、乙一ないし三、七(枝番を全て含む)、九)及び弁論の全趣旨に
よると、被告は、右販売に際して、ケース代、運送賃等として、二万五八四九円
(乙九記載の金額から販売の事実が認められない平成一〇年八月二一日分を除いた
金額)の経費を要したものと認められる。
 被告ノーマンズが右販売について右認定のもの以外に経費を要したことを認める
に足りる証拠はない。
 したがって、被告ノーマンズが右販売により得た利益額は四二万五五七一円であ
ると認められる。
なお、原告は、被告ノーマンズが販売した本件商品の偽造品の数量は四一四枚で
あると主張するが、同被告が右認定の枚数を超えて販売したことを認めるに足りる
証拠はない。また、同被告は、同被告が返品を受けた商品の仕入代金三万一八〇〇
円を損害額から差し引くべきであると主張するが、これは、右利益額算定の基礎と
なった三〇七枚には含まれていないから、これを差し引くことはできない。
2 証拠(甲二一、二三、乙一ないし四、七(枝番を全て含む)、八(枝番を全て
含む))及び弁論の全趣旨によると、被告ニューイヤーインターナショナルは、本
件商品の偽造品を三〇七枚販売し、その販売金額は合計で一二六万六七八〇円、仕
入金額は合計で九二万八四〇〇円であったことが認められる。
右事実によると、右販売金額から右仕入金額を控除した金額は三三万八三八〇
円であると認められる。
 被告ニューイヤーインターナショナルが右販売について右仕入金額以外に経費を
要したことを認めるに足りる証拠はないから、同被告が右販売により得た利益額
は、三三万八三八〇円であると認められる。
3 証拠(甲二一、乙四、五、乙八の一、乙八の三、乙八の一六)及び弁論の全趣
旨によると、有限会社エムアンドティーは、本件商品の偽造品を二七枚販売し、そ
の販売金額は合計で一九万六〇〇〇円、仕入金額は合計で九万一五〇〇円であった
ことが認められる。
  右事実によると、右販売金額から右仕入金額を控除した金額は、一〇万四五〇
〇円であると認められる。
 有限会社エムアンドティーが右販売について右仕入金額以外に経費を要したこと
を認めるに足りる証拠はないから、同社が右販売により得た利益額は、一〇万四五
〇〇円であると認められる。
 三 被告ノーマンズ、被告ニューイヤーインターナショナル及び有限会社エムア
ンドティーの右販売行為は、本件商標権を侵害する行為である。
 被告ノーマンズ、被告ニューイヤーインターナショナルは、右商標権侵害行為に
より、原告に対して損害賠償責任があるところ、原告の損害額は、これらの被告の
右の各利益額であると推定される。
 被告【D】は、有限会社エムアンドティーの代表者であるから、同社の右商標権
侵害行為について、原告に対して損害賠償責任があるところ、原告の損害額は、同
社の右の利益額であると推定される。
 右一、二掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によると、右商標権侵害行為は、本訴提
起日(平成一一年八月二六日)以前にされたものと認められる。
 したがって、本件請求のうち損害賠償請求及びこれに対する遅延損害金の請求
は、主文掲記の限度で理由がある。
 四 右一認定の事実によると、被告ノーマンズ及び被告ニューイヤーインターナ
ショナルは、将来において本件商品の偽造品を販売するおそれがあるものと認めら
れるから、請求の趣旨第一項の請求のうち同被告らに対して被告標章を付した衣料
品の販売の差止めを求める部分及び同被告らに対する請求の趣旨第二項の請求は理
由がある。
   しかし、被告【D】が個人として本件商品の偽造品を販売するおそれがある
とまでは認められない。また、被告らが、被告標章を付した宣伝広告物、定価表、
取引書類等の営業用品を使用するなど、本件商品の偽造品の販売以外の態様で被告
標章を使用したことを認めるに足りる証拠はない。したがって、被告ノーマンズ及
び被告ニューイヤーインターナショナルに対する請求の趣旨第一項の請求のうち被
告標章を付した衣料品の販売の差止めを求める以外の部分、被告【D】に対する請
求の趣旨第一項及び第二項の請求並びに被告らに対する請求の趣旨第三項の請求は
理由がない。
 五 以上の次第で、主文のとおり判決する。
  東京地方裁判所民事第四七部
裁判長裁判官  森 義之
裁判官  榎戸道也
裁判官岡口基一

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