弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件公訴にかかる犯罪事実中占領目的阻害行為処罰令違反、同幇助の罪
につき各被告人を免訴する。
     被告人Aを懲役八月、被告人Bを懲役五月に処する。
     被告人Aに対し第一審における未決勾留日数中二十五日を、被告人Bに
対し第一審における未決勾留日数中八十五日をそれぞれ右本刑に算入する。
     厳原海上保安部司法警察員の押収に係る漁船C丸(登録番号NS’3―
4631)一隻は被告人Aからこれを没収する。
     第一審における訴訟費用中証人D、同E、同F、同G、同H、同I、同
J、鑑定人G、同Hに支給した分を八分して各その一は、被告人両名の負担とし、
証人Kに支給した分は被告人Aの負担とする。
         理    由
 被告人両名の弁護人太田常雄、同小西寛、同蒔田太郎の上告趣意第四点の所論中
原判決の判示した第一審判決判示第三ノ(一)の事実に関する部分については、所
論(五)(六)の証拠は、その内容に照らし、本件判示事実全部に共通するもので
あることは明白であり、これを独自の判断に基き明白でないとして判例違反を主張
する論旨は、その前提を欠き採用することができない。同第五点は、単なる訴訟法
違反、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。その他の所
論は、後述のとおり免訴せられる事案に関するものであるから判断を省略する。
 職権をもつて調査するに本件公訴事実中第一審判決判示第一の(一)第三の(二)
の占領目的阻害行為処罰令違反同幇助の犯罪は、昭和二七年政令一一七号大赦令一
条二三号によつて大赦があつたので刑訴四一一条五号、四一三条但書、四一四条、
四〇四条、三三七条三号により主文第一項、第二項のとおり破棄免訴し、原判決の
確定した被告人両名の犯罪事実中、大赦にかからない部分に法令を適用すると、被
告人両名の判示第一の(二)の所為は、それぞれ外国人登録法附則三項、外国人登
録令一三条四号、九条一項に、被告人Aの判示第三の(一)の所為は関税法(昭和
二五年法律一一七号による改正後の分)七六条一項、刑法六二条一項に、各該当す
るところいずれも所定刑中懲役を選択すべく、被告人Aの判示第三の(一)の従犯
については同法六三条、六八条三号によつて従犯の減軽をなし、且同人の上記各所
為は同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条但書により各罪の刑の長期を合
算した刑期範囲内で懲役八月に処して被告人Bには第一審判決判示の前科があるか
ら同法五六条五七条を適用し、累犯の加重をなし、その刑期の範囲内で懲役五月に
処し、同法二一条によつて、第一審における未決勾留日数中被告人Aに対し二十五
日、被告人Bに対し八十五日を右本刑に算入し、なお厳原海上保安部司法警察員の
押収に係る漁船C丸(登録番号NS’3―4631)一隻は判示関税法違反の犯行
に供した被告人A所有の船舶であるから関税法第八三条一項により同人よりこれを
没収し、第一審における訴訟費用は刑訴一八一条一項を適用し主文末項のとおり被
告人両名に負担せしむべきものとする。
 よつて裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 検察官 安平政吉出席
  昭和二八年二月一九日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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