弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、本件を仙台高等裁判所へ差戻す。
         理    由
 上告理由は、末尾に添えた別紙記載のとおりである。
 上告代理人阿保浅次郎および中野道の上告理由第一点および第二点並びに上告代
理人葛西千代治の上告理由第一項および第二項について。
 原判決は、(1)被上告人が訴外亡Dとの売買契約により本件建物の所有権を取
得しその登記を経ないうち、上告人においてEの相続人Fから右建物を譲り受けて
登記を経由した事実、(2)上告人がFに対し、同人の相続によつて承継した被上
告人に対する売買契約上の債務の履行を引き受けた事実、および(3)上告人がそ
の後右建物をGに売却しその登記を経由した事実をそれぞれ認定した上、上告人の
以上の行為は被上告人をして本件建物の所有権移転登記を受けその所有権取得をも
つて右Gに対抗することをえざらしめ、被上告人の権利を故意に侵害したもである
とし、被上告人に対し不法行為の責任を負うべき旨判示したのである。右認定によ
れば、上告人は不動産のいわゆる二重売買における第二の買主であつて、しかも第
一の売買の事実を知りながら(悪意で)買い受けたものに外ならないけれども、一
般に不動産の二重売買における第二の買主は、たとい悪意であつても、登記をなす
ときは完全に所有権を取得し、第一の買主はその所有権取得をもつて第二の買主に
対抗することができないものと解すべきであるから、本件建物の第二の買主で登記
を経た上告人は、たとい悪意ではあつても、完全に右建物の所有権を取得し、第一
の買主たる被上告人はその所有権取得をもつて上告人および同人から更に所有権の
移転を受けその登記を経たGに対抗することができないことは、当然の筋合という
べきである。したがつて、上告人が悪意で本件建物を買い受けその登記を経由しこ
れを更にGに売り渡してその登記をなしたというだけでは、たといこれがため被上
告人がその所有権取得をGに対抗することができなくなつたにしても、いまだもつ
て上告人に不法行為の責任を認めるには足らないものといわなければならない。思
うに、原判決が前記(2)の事実すなわち上告人はFに対し同人の被上告人に対す
る本件建物の売買契約(第一の売買)上の債務の履行を引き受けたとの事実を認定
し、この事実を一の資料として上告人に不法行為責任を認めたのは、かかる事実の
加わることによつて始めて上告人の前記一連の行為が違法性を帯び不法行為を構成
するとの見解に出でたもののように推測されないことはないけれども、判文簡略に
すぎてその意をつくさないうらみがあるばかりでなく、仮に右の如き趣旨とすれば、
前記(2)の事実は本件不法行為の成否を決するにつき極めて重大な関係ある事実
というべきところ、本件当事者が原審においてかかる事実を主張した事跡は記録上
全くこれをうかがうことはできないから、原判決は当事者の主張しない事実を認定
しこれにもとずいて請求の当否を判断した違法があるに帰する。またもし原判決の
趣旨が右と異り、他の理由によつて不法行為の成立を認めるにあるものならば、原
判決はその理由をつくさない違法があるものとなさざるをえない。以上いずれにし
ても論旨は結局理由があり、原判決はすでにこの点において破棄を免れないもので
ある。
 よつてその他の論旨に対する判断を省略し、民訴四〇七条一項により主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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