弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件特別抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 一、抗告代理人清瀬一郎ら六名の抗告状第一点、昭和三三年一一月八日付抗告代
理人清瀬一郎、内山弘の抗告理由訂正並に補充書、同年一一月一七日付抗告代理人
公荘惟和の抗告理由補充申立書、同年一一月一九日付抗告代理人大橋光雄の抗告理
由補充書の各抗告理由について。
 所論は要するに憲法八二条違反をいうものであるが、原審は挙示の疏明資料によ
つて判示事実関係を確定し、これによつて本件裁判官、書記官補に忌避に値する公
正を阻む事情があるものとは認められないと判断しているに止まり、所論のように
公開原則違反の事実を確定しているものでもなければ、公開原則違反を是認する趣
意を判示しているものでもない。所論はひつきよう原判示に即しない独自の解釈を
前提とするものであつて採るを得ない。
 二、抗告代理人清瀬一郎ら六名の抗告状第二点、昭和三三年一一月一七日付抗告
代理人清瀬一郎、内山弘の抗告理由補充並に新抗告理由追加の申立中第二点の補充
の各抗告理由について。
 しかし、原決定は、個々の事実につき裁判の公正を妨ぐべき事情の有無を判定し
たに止まらず、「他に右裁判官及び書記官補につき裁判の公正を妨げる事情のある
ことを認めるに足る資料はない」として、所論綜合的観察の見地からするも裁判の
公正を妨ぐべき事情のないことを判断しているのであり、その判断は首肯できる。
所論はひつきよう、民訴三七条の解釈適用を論難するものにすぎず、違憲の主張は
採用できない。
 三、昭和三三年一一月一七日付抗告代理人清瀬一郎、内山弘の抗告理由補充並に
新抗告理由追加の申立中第三点の抗告理由について。
 しかし、本件忌避申立を理由なしとした原決定の判断は首肯し得るものであり、
所論はひつきよう右判断と異る見解に立脚して違憲をいうものであつて採るを得な
い。
四、昭和三三年一一月一九日付抗告代理人高野弦雄の抗告理由追加書第四点の抗告
理由について。
 しかし原審裁判官が、原決定説示のような理由によつて本件忌避申立を理由がな
いものとしたからといつて、そのこと自体から、その判断を良心に反してなしたも
のとは認め得ないし、その他にことさら良心に反してかかる判断をしたことを認め
得る資料はないから、違憲の主張は採るを得ない。
 よつて本件特別抗告を棄却し(単なる再抗告は許されない)、抗告費用は抗告人
の負担とすべきものとし、裁判官全員の一致で主文のとおり決定する。
  昭和三四年七月二日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    石   坂   修   一

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