弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 被告人本人並びに弁護人鍛治利一の各上告趣意は末尾添付別紙記載のとおりであ
る。
 弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。
 所論は、原判決が被告人を食糧管理法違反として処罰したのは、憲法二二条に違
反するというのである。しかし、原判決は「原審において取調べた証拠によれば被
告人が食糧管理法施行規則第四十七条第一項第三号所定の旅行者として本件精米を
携行したものでないことは明白である。」と判示しているから、所論違憲論は原審
の認定に副わない主張であつて、其の前提を欠いている。なお原判決が仮定に立脚
して判断したことを違憲なりとする主張は昭和二六年(あ)第三九六九号、同二八
年五月八日第二小法廷判決に徴し採用に値しない。また、食糧管理法施行規則四七
条一項三号、食糧管理法九条、三一条も憲法二二条に違反した無効の法規であると
の主張は昭和二五年(あ)第一九号、同年一一月二二日大法廷判決(判例集四巻一
一号二三八九頁)の趣旨に徴し採るを得ない。
 同第二点について。
 所論は、原判決は憲法三七条三項に違反するというが、その実質は単なる訴訟法
違反の主張にすぎないから、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(昭和二五年(
あ)第二一五三号 同二八年四月一日大法廷判決、判例集七巻四号七一三頁参照)。
 被告人本人の上告趣意(上告申立書を含む)について。
 所論はいずれも刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。(上告趣意一は単な
る量刑不当の主張であり、同二、三、四はいずれも原審で主張も判断もされなかつ
た事項を主張するものであるのみならず、被告人は第一審の公判において最終に陳
述する機会を与えられており、被告人は右公判において被告人の司法警察員に対し
なした供述か任意になされたものであることを認めている。同五は被告人が原審に
おいて国選弁護人を附されているから、その立論の前提たる事実を欠くものである。
なお、弁護人の上告趣意第二点に対する説明参照)。また、記録を精査しても本件
につき刑訴四一一条を適用すべきものと認められない。
 よつて刑訴四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決
する。
  昭和二九年七月一三日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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