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平成20年12月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成18年(ワ)第24821号業務委託料等請求事件
口頭弁論終結日平成20年8月5日
判決
東京都渋谷区<以下略>
原告株式会社スタジオMC
同訴訟代理人弁護士熊倉禎男
同富岡英次
同飯田圭
同竹内麻子
東京都千代田区<以下略>
被告エピクロス株式会社
同訴訟代理人弁護士吉原政幸
主文
1被告は,原告に対し,金3327万円及びこれに対する平成18年1
1月15日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,これを5分し,その3を原告の負担とし,その余を被告
の負担とする。
4この判決は,1項及び3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1主位的請求
被告は,原告に対し,金7702万9250円並びに内金1530万円に対
する平成18年8月1日から,内金4040万円に対する同年9月1日から及
び内金2132万9250円に対する同年11月15日から,各支払済みまで
年6分の割合による金員を支払え。
2予備的請求
(1)被告は,別紙一覧表の「本件シーンデータG−DEVデータ」及び「カ
ットイン番号カットイン映像」の各列に記載のシーンデータ(ただし,カ
ット#214(RT08D002)を除く。)を複製,改変又は頒布してはならない。
(2)被告は,前項記載のシーンデータを記憶した媒体を廃棄せよ。
第2事案の概要
本件は,原告と被告との間で締結された,回胴式遊技機(いわゆるパチス
ロ)の液晶画面表示用として「機動戦士ガンダム」の劇場版アニメーション映
画の一部の映像を3次元コンピュータグラフィクス(3DCG)によるシーン
データに加工するための開発委託基本契約及び各個別契約について,原告が被
告に対し,主位的に,上記各契約に基づき,納入したシーンデータに対応する
未払の対価の支払とともに,商法512条の報酬請求として,受託業務に該当
しない作業の対価の支払を求め,予備的(シーンデータの納入が契約上の引渡
しに当たらない場合)に,原告に契約上留保された二次的著作物の著作権及び
著作者人格権に基づき,納入したシーンデータの複製等の差止めと廃棄を求め
る事案である。
1争いのない事実
(1)当事者
原告は,映画,アニメーション等の企画制作等を業とする株式会社である。
被告は,コンピュータシステムを利用した娯楽用電子機器の開発,製造等
を業とする株式会社である。
(2)開発業務
平成18年1月,原告と被告との間で,山佐株式会社(本店所在地:岡山
県新見市<以下略>,以下「山佐」という。)が製造,販売を企画し,被告
がそのハードウエアのデザインやソフトウエア等の製作を受託する回胴式遊
技機について,その液晶画面に表示されるシーンデータの制作のための開発
業務案件が持ち上がった。
これは,劇場版アニメーション映画の「機動戦士ガンダム」,「機動戦士
ガンダムⅡ哀・戦士篇」及び「機動戦士ガンダムⅢめぐりあい宇宙篇」の一
部の映像(以下「本件元映像」という。)を3DCG化して,山佐製の回胴
式遊技機に搭載する企画に係る開発業務であり,原告と被告の間では,これ
を「Vプロジェクト」と通称し,このうち,1機種目の回胴式遊技機に搭載
する「機動戦士ガンダム」及び「機動戦士ガンダムⅡ哀・戦士篇」に対応す
る業務作業が「V1」,2機種目の回胴式遊技機に搭載する「機動戦士ガン
ダムⅢめぐりあい宇宙篇」に対応する業務作業が「V2」とそれぞれ呼ばれ
ていた。
(3)基本契約
原告と被告は,平成18年5月23日,被告が原告に委託する回胴式遊技
機に関するVプロジェクトの開発業務に関し,同月1日付け開発委託基本契
約(甲1,以下「本件基本契約」という。)を締結し,その「対象業務」の
内容,仕様,対価,対価の支払方法,「納入物」の納期,納入方法について
は,本件基本契約に定めるもののほか,業務委託の都度締結される「個別契
約」において定めるものとされた(なお,本件基本契約と個別契約とによっ
て特定される対象業務を,以下「本件業務」という。)。
なお,本件基本契約には,次の前文と条項が規定されている。
「エピクロス株式会社(以下「甲」という。)と株式会社スタジオMC(以
下「乙」という。)とは、甲が乙に委託する回胴式遊技機に関する開発業
務「以下「対象業務」という。)に関し、その基本的事項について次の通
り契約を締結する。」
「第1条(定義)
本契約において使用する次の各号に掲げる用語の意味は、当該各号に
定めるところによる。
(1)「納入物」
「対象業務」の成果として乙が甲に納入するものをいい、詳細は
「個別契約」(第3条〔ママ〕に定義される。)に定めるものとする。
(2)「成果物」
「納入物」その他の「対象業務」の過程で生成される全てのものを
いう。
〔省略〕」
「第4条(「個別契約」)
1.「対象業務」の内容、仕様、対価、対価の支払方法、「納入物」、
「納入物」の納期及びその納入方法は、本契約に定めるものの他、業
務委託の都度「個別契約」において定めるものとする。
〔省略〕」
「第7条(作業内容と範囲)
1.乙は、「個別契約」に定める仕様に従って「対象業務」を実施する。
〔省略〕」
「第8条(納期)
〔省略〕
2.乙は、甲に対し、「納入物」の納入遅延につき、債務不履行責任を負
う。但し、納入遅延の原因が甲の責に帰すべき事由による場合はこの
限りでない。この場合、納入期限の延長につき甲乙協議の上決定する。
〔省略〕」
「第9条(検査)
1.甲は、「納入物」の納入を受けた後、仕様その他の甲所定の検査基準
に基づいて「納入物」を検査し、その結果を納期の翌日から起算して
30日後(〔省略〕以下「検査期限」という。)までに書面(FAX、
Eメールを含む。)により乙に通知する。なお、「検査期限」の翌日
から起算して3日(〔省略〕)以内に当該通知が乙に到達しなかった
場合、「納入物」は「検査期限」に検査に合格したものとみなす。
2.「納入物」が前項の検査基準を満たす場合には、「納入物」は前項の
検査に合格したものとする。
3.乙は、「納入物」が第1項の検査に合格しない場合、当該「納入物」
を修補して、甲に対し、甲乙協議の上定めた納期までに無償で納入す
る義務を負う。但し、不合格の原因が乙の責に帰すべき事由によらな
い場合は、修補作業に要する対価は有償とし、甲乙別途協議の上、こ
れを決定する。
〔省略〕
5.全ての「納入物」が検査に合格した日をもって、「対象業務」は完了
したものとみなす。」
「第10条(引渡し及び所有権の移転)
1.乙から甲への「納入物」の引渡しは、「納入物」が前条所定の検査に
合格した時点をもって完了する(以下、当該時点の属する日を「引渡
し完了日」という。)。
2.「納入物」の所有権は、前項に規定の当該「納入物」の引渡しが完了
した時点で乙から甲へ移転する。」
「第13条(保証)
〔省略〕
3.前項の規定に関わらず、当該瑕疵が次の各号の一に起因する場合は、
甲がその解決にあたるものとし、乙は何ら責任を負わないものとする。
(1)甲の乙に対する指図(民法第636条の指図と同義)に起因する
場合
〔省略〕」
「第14条(著作権の帰属)
1.「対象業務」は、甲が丙〔山佐〕から受託した業務の全部又は一部を
乙に対して再委託するものであり、「成果物」の著作者は発注者であ
る丙であり、したがって、「成果物」に関する著作権(〔省略〕)及
び著作者人格権は、丙に帰属する。〔省略〕
2.前項の規定に関わらず、乙又は「再委託者」その他の第三者が「成果
物」の著作者とみなされた場合においても、乙は、「成果物」に関す
る著作権(〔省略〕)が、「引渡し完了日」をもって、乙又は「再委
託者」その他の第三者から甲に全て移転されることを承諾し、「再委
託者」その他の第三者からの当該著作権の移転のために必要な措置を
講じなければならないものとする。〔省略〕」
「第26条(契約解除)
1.甲又は乙が次の各号の一に該当する場合、他の当事者は何らの催告を
要することなく本契約又は「個別契約」の全部又は一部を解除し、係
る当事者に対し損害賠償を請求することができるものとする。
(1)本契約の各項の一にでも又は「個別契約」に違反し、他の当事者
が相当の期間を定めて違反状態の是正を催告しても、当該違反状態
が是正されない場合、又は催告後の履行では本契約又は「個別契
約」の目的が達成できない場合
〔省略〕
(10)乙による「納入物」の品質不良、納入不能又は納入困難(納入遅
延を含む。)となる事態に陥るおそれが生じた場合
(11)その他本契約又は「個別契約」を継続し難いと認められる相当の
事由がある場合
〔省略〕」
「第27条(損害賠償責任)
甲及び乙は、本契約(〔省略〕)又は「個別契約」に違反し、相手方
に損害を与えた場合は、その損害(弁護士報酬等一切の費用を含
む。)の全てにつき責任を負う。」
(4)個別契約その1
原告と被告は,平成18年5月23日,本件基本契約に基づいて,被告が
原告に業務を委託し,原告がこれを受託する旨の同月1日付け個別契約(甲
2,以下「本件個別契約(1)」という。)を締結し,シーンデータ250
カット分(V1の前半分,以下「V1−1」ということがある。)について,
次のとおり定めた。
ア対象業務(1条,契約書別紙1項)
被告が作成した「仕様書」及び原告が承諾した被告の「要望事項」(仕
様書と併せて,以下「本件仕様」という。)に基づく次の業務
被告が山佐から受託した業務の全部又は一部であって,山佐が製造,
販売を企画する回胴式遊技機(山佐のプロジェクトコード:EPX−
H)に使用される液晶表示用ソフトウエアで使用するシーンデータ2
50カット分の制作業務
イ業務実施要項(3条)
被告は,原告に対し「対象業務」に必要な資料,情報を提示し,原告は,
共同作業を前提として被告より提示された被告の資料,情報及び「本件仕
様」に基づき,「対象業務」を実施する。
ウ納入物(5条1項,契約書別紙3項)
次の構成によるデータ一式
(ア)実機用表示データ①(被告が指定する3DソフトウエアMayav
er.7.0上で品質を確認できるもの)
(イ)実機用表示データ②(対象業務に使用される開発用機材G−DEVを
経由して外部ディスプレイに表示することにより品質を確認できるも
の)
(ウ)テクスチャー画像データ(上記の各データを構成し,これらのデータ
を制作する際に作られるPSD〔PhotoshopData〕データ及びTGA
〔TruVision'Targa'〕データ)
エ納期(6条1項,契約書別紙4項)
(ア)納入物のうち被告が指定する100カット分(以下「納入物Ⅰ」とい
う。)につき平成18年5月31日
(イ)納入物のうち被告が指定する150カット分(以下「納入物Ⅱ」とい
う。)につき平成18年6月30日
オ納入方法(5条2項)
CD−R又はDVD−R等に記録して納入
カ対価(7条1項,契約書別紙5項)
5100万円(消費税別)
キ対価の支払方法(7条2項,契約書別紙6項)
(ア)本件個別契約(1)の締結日の属する月の末日に着手金として153
0万円(消費税別)
(イ)納入物Ⅰに係る「引渡し完了日」の翌月末日に1530万円(消費税
別)
(ウ)納入物Ⅱに係る「引渡し完了日」の翌月末日に2040万円(消費税
別)
(5)覚書
原告と被告は,平成18年5月30日,本件個別契約(1)で定めた納期
について,納入物Ⅰを同年5月31日から同年6月30日に,納入物Ⅱを同
年6月30日から同年7月31日にそれぞれ変更する旨を合意し,その覚書
(甲3,以下「本件覚書」という)を取り交わした。
(6)個別契約その2
原告と被告は,平成18年5月末ころ,本件基本契約に基づいて,被告が
原告に業務を委託し,原告がこれを受託する旨の個別契約(甲4参照,以下
「本件個別契約(3)」といい,本件基本契約及び本件個別契約(1)と併
せて「本件各契約」という。)を締結し,シーンデータ100カット分(V
1の後半分である250カット分(以下「V1−2」ということがある。)
の一部)について,次のとおり定めた。
ア対象業務(1条,契約書別紙1項参照)
本件個別契約(1)と同じ,ただし,シーンデータ100カット分
イ業務実施要項(3条参照)
本件個別契約(1)と同じ
ウ納入物(5条1項,契約書別紙3項参照)
本件個別契約(1)と同じ
エ納期
平成18年7月31日(なお,この100カット分の納入物を,以下
「納入物Ⅲ」という。)
オ納入方法(5条2項参照)
本件個別契約(1)と同じ
カ対価及びその支払方法
遅くとも納入物Ⅲに係る「引渡し完了日」の翌月末日に2000万円
(消費税別)
(7)映像製作の作業
Vプロジェクトにおける映像製作の作業を概観すると,次の手順のとおり
である。
①オブジェクト素材の制作(「モデリングデータ」及び「背景データ」
の制作,手付け影作業を含む)
②仮想3D空間にオブジェクト素材のレイアウト
③モーション付け及びエフェクト作成
④コンポジット(モーションとエフェクトの合体)
⑤エクスポート(3DソフトMayaで作成したデータを実機〔開発用
機材G−DEV〕用データに置換する作業)
⑥実機(開発用機材G−DEV)表示後の自動影の設定,調整等の作業
(8)シーンデータの提出
平成18年7月27日までに,原告から被告に対し,本件業務に係るシー
ンデータとして,別紙一覧表の「本件シーンデータG−DEVデータ」及
び「カットイン番号カットイン映像」の各列に記載の350カット(以下,
これらの納入物Ⅰ,納入物Ⅱ及び納入物Ⅲに対応するカットを「本件カッ
ト」といい,そのシーンデータを「本件シーンデータ」という。)のうち,
カット#214(RT08D002)を除いた349カットが提出された。
(9)代金の支払
ア平成18年5月31日,被告から原告に対し,本件個別契約(1)に定
める着手金として,1530万円(消費税別)が支払われた。
イその後,本件個別契約(1)に定める対価の残金合計3570万円(消
費税別)及び本件個別契約(3)に定める対価2000万円(消費税別)
は,被告から原告に対して支払われていない。
(10)通知書
平成18年9月28日ころ,被告は,原告に対し,同日付け「通知書」を
もって,本件各契約上の債務不履行を理由として,本件各契約における未履
行部分を解除するとともに,被告が既履行部分の相当対価と主張する319
3万円(消費税別)から着手金1530万円及び予測損害額706万円を控
除した957万円に消費税相当額を加えた1004万8500円の提供を予
告し,既履行部分の引渡しを求めた。
2当事者の主張の概要
(1)請求原因
ア主位的請求その1−本件各契約に基づく未払対価の支払請求−
(ア)本件個別契約(1)及び(3)で定まった「本件仕様」の骨子は,次
のとおりである。
①仕上がり
本件元映像に「できる限り」似せること
②モデリングデータ
原則として,被告が提供したデータを使用するが,小物データの新
規制作等の負担の少ない作業は原告が行う。人物データのうち,顔
アップ(近景)については,原告が被告から提供されたデータの修
正又はデータの新規作成を行うこと
③背景データ
本件カットのうち,214カット分については,被告の提供した背
景データを使用し,136カット分については,本件シーンデータ
での必要に応じて原告が本件元映像を切り出して制作すること
④影作成作業
人物カットのうち,本件元映像に影がある場合又は本件元映像を制
作したサンライズ株式会社(以下「サンライズ」という。)の影指
示書がある場合,これに従って原告が手付けで影を作成すること
モビルスーツカットは,自動影とすること
⑤開発ツール
被告から提供を受けた「G−DEV」(開発用機材),「エクスポ
ーター」(開発用プログラム)及び「G−DEVツール」(開発用
プログラム)を使用すること
(イ)原告は,本件仕様を充たす本件シーンデータを作成し,被告にこれを
提出したから,本件基本契約所定の引渡しを終えている。
したがって,本件個別契約(1)(ただし,本件覚書による納期の変
更に基づくもの)について,納入物Ⅰの「引渡し完了日」の翌月末日に
あたる平成18年7月31日を支払期とする対価1530万円,納入物
Ⅱの「引渡し完了日」の翌月末日にあたる平成18年8月31日を支払
期とする対価2040万円,本件個別契約(3)について,納入物Ⅲの
「引渡し完了日」の翌月末日にあたる平成18年8月31日を支払期と
する対価2000万円の支払が未了である。
(ウ)よって,原告は,被告に対し,本件各契約に基づき,本件業務に係る
未払の対価として,5570万円並びに内金1530万円に対する支払
期日の翌日である平成18年8月1日から及び内金4040万円に対す
る支払期日の翌日である同年9月1日から各支払済みまで商事法定利率
年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
イ主位的請求その2−本件業務外の追加作業に係る対価の支払請求−
(ア)原告は,本件業務に伴い,被告のため,原告の営業であるアニメーシ
ョン等の企画制作等の範囲内の作業として,本件業務外の後記(イ)の
とおりの追加作業(以下「本件追加作業」という。)を行っており,こ
れらは,原告の「責に帰すべき事由によらない」作業(本件基本契約9
条3項)である。
この結果,原告と被告との間には,本件追加作業について,有償の受
委託契約(以下「本件受委託契約」という。)が成立している(本件基
本契約9条3項,商法512条)。
(イ)本件追加作業の内容
①「影指示書」の作成(32カット分)30万2250円
作業日数:10.075日(平成18年7月初旬∼同月下旬)
人工数:1人工
単価:3万円/人工・日
30000*1*10.075=302250
②被告から提供された「背景データ」の修正(4カット分)
14万7000円
作業日数:4.9日(平成18年6月∼同年7月)
人工数:1人工
単価:3万円/人工・日
30000*1*4.9=147000
③不当なリテイク171万円
作業日数:5.7日(平成18年6月28日∼同年8月28日)
人工数:10人工
単価:3万円/人工・日
30000*10*5.7=1710000
④「G−DEVツール」及び「エクスポーター」の検証等
279万円
作業日数:31日(平成18年4月中旬∼同年8月中旬)
人工数:3人工
単価:3万円/人工・日
30000*3*31=2790000
⑤モデリング(人物カットの新規制作及び被告提供データの修正等)
1254万円
作業日数:20.9日(平成18年6月12日∼同年8月28日)
人工数:20人工
単価:3万円/人工・日
30000*20*20.9=12540000
⑥被告がカットのチェックを依頼したγ01氏への対応
309万円
作業日数:10.3日(平成18年6月8日∼同年8月28日)
人工数:10人工
単価:3万円/人工・日
30000*10*10.3=3090000
⑦原告が当初より制作が困難であるとして受託をいったん断った1カッ
トに係る作業75万円
作業日数:12.5日(平成18年7月5日∼同年8月10日)
人工数:2人工
単価:3万円/人工・日
30000*2*12.5=750000
⑧合計2132万9250円
302250+147000+1710000+2790000+12540000+3090000+750000
=21329250
(ウ)よって,原告は,被告に対し,本件受委託契約に基づき,本件業務外
の本件追加作業に係る対価として,2132万9250円及びこれに対
する訴状送達の日の翌日である平成18年11月15日から支払済みま
で商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
ウ予備的請求−著作権及び著作者人格権に基づく差止請求−
(ア)仮に,原告の被告に対する本件シーンデータの提出が本件基本契約1
0条所定の納入物の「引渡し」に該当しない場合,本件シーンデータは
原告によって作成された二次的著作物であって,その著作権及び著作者
人格権は,いまだ原告に留保されている(本件基本契約14条参照)。
(イ)よって,原告は,被告に対し,著作権法112条に基づき,本件シー
ンデータの複製,改変及び頒布の差止めを求めるとともに,本件シーン
データを記憶した媒体の廃棄を求める。
(2)抗弁
ア一部解除−請求原因アに対して−
(ア)被告は,平成18年9月28日付けをもって,原告に対し,債務不履
行と瑕疵担保を理由として,本件各契約の未履行部分を解除する旨の意
思表示をした。
平成18年9月28日の時点で,既履行部分の出来型は,せいぜい全
体の約45パーセントであって,その相当対価は3193万円にとどま
る。
(イ)したがって,被告に本件各契約に基づく未払対価の支払義務があると
しても,その金額は,3193万円から着手金として支払済みの153
0万円を差し引いた1663万円にすぎない。
イ同時履行−請求原因アに対して−
(ア)本件各契約において,被告が原告に対して本件シーンデータの既履行
部分と未履行部分に相当する対価を支払う義務と原告が被告に対して本
件シーンデータの既履行部分と未履行部分を引き渡す義務とは同時履行
の関係にある。
(イ)したがって,原告が被告に対して本件各契約で定められた本件シーン
データの納入の提供をしない以上,被告が原告に対して既履行部分と未
履行部分に相当する対価を支払う必要がない。
(ウ)なお,被告から原告に対して相当対価の支払がされれば,これと引換
えに,原告から被告に対して本件シーンデータの引渡しがされて,少な
くとも本件各契約上,著作権が原告から被告に確定的に移転することに
なる(本件基本契約10条,14条)から,原告の予備的請求(請求原
因ウ)については,これを判断をする余地がない。
ウ相殺−請求原因ア及び同イに対して−
(ア)被告は,原告による大幅な制作の遅延により,次のとおりの損害を被
った。
①原告に代わる他の業者への発注費用2413万0000円
②納期の延期により生じた経費(1億2056万6394円)
・人件費7890万0406円
・家賃等の人件費以外の経費4166万5988円
合計1億4469万6394円
(イ)したがって,被告は,原告に対して有する(ア)の債権と,被告が原
告に対して負担すべき請求原因ア又は同イによる債務とを,対当額にお
いて相殺する。
3争点
(1)本件各契約の基本的性質(請求原因アの関係)
(2)本件仕様の内容(請求原因ア及びイの関係)
(3)本件仕様と本件シーンデータとの適合性(請求原因アの関係)
(4)本件追加作業の具体的内容(請求原因イの関係)
(5)抗弁関係の成否
第3争点に関する当事者の主張
1争点(1)〔本件各契約の基本的性質〕について
〔原告の主張〕
(1)本件各契約に基づく本件業務は,原告において,本件元映像(2Dセルア
ニメーション)を3DCGで表現したものを制作する開発業務であり,製造
業務とは異なる「開発」業務としての性質や「本件仕様」との相関関係から
して,このような開発業務は本来的にその成否が不確定であって,その委託
においては,厳密な意味で開発完成義務が観念できず,通常,開発業務遂行
義務,開発完成努力義務,開発成果納入義務等を観念し得るにすぎないもの
である。
(2)したがって,本件各契約は,請負人の仕事完成義務が観念される民法上の
請負契約とは異なる無名契約であり,原告が本件仕様について請負人の負う
ような仕事完成義務そのものを負担することはない。
そして,実際に,原告は,本件仕様を充足するように最大限努力し,対象
業務を誠実に遂行し,その成果を納入物として被告に納入することによって,
本件各契約上の義務を履行したものである。
(3)なお,被告は,本件各契約における個別の規定を挙げて,本件各契約の基
本的な性質が請負である旨を主張する。しかしながら,本件各契約を全体と
してみれば,本件基本契約1条(1)号,4条1項,7条1項,本件個別契
約(1)3条,5条,本件個別契約(3)3条,5条などにより,本件シー
ンデータの制作業務が開発業務であり,本件シーンデータがこのような開発
業務の成果であることは明らかである。
〔被告の主張〕
(1)一般に,システムやプログラム開発に関する契約の性質が請負契約か準委
任契約であるかについては,「仕事の完成」が契約の目的となっていたかど
うかによって決定される。
本件各契約における「対象業務」に関する本件基本契約の契約書前文及び
4条,本件個別契約(1)の契約書別紙1項,本件個別契約(3)の契約書
別紙1項の規定,「納入物」に関する本件基本契約1条,4条,本件個別契
約(1)の契約書別紙3項,本件個別契約(3)の契約書別紙3項の規定に
よれば,原告に求められていた本件業務については,山佐が企画する回胴式
遊技機の実機に搭載され表示するに耐える映像の制作を行い,これを被告に
納入することが予定されていたものであったことが文言からも明らかである。
(2)したがって,本件各契約の基本的な性質は,本件シーンデータの完成義務
を内容とする請負契約にほかならない。
また,このように解する実質的な根拠としては,①本件業務と同様に,2
Dアニメを題材とした3DCGゲームは大量に存在しており,完成可能な業
務であることが明らかであること,②実際に,被告から同種業務を請け負っ
た他の業者は,原告ほどの支援を受けられなかったにもかかわらず,被告の
要求するとおりの水準で仕事を完成させることができたこと,③請負契約で
なく,単なる努力目標にとどまるのであれば,その旨契約に特に明記されて
いるはずであるが,本件各契約にそのような記載がないこと,④原告は,先
行するプロジェクトZのプリプロダクション等を通じて,本件業務の性質を
十分に認識していたこと,⑤単価の見積,決定の段階において,原告は,本
件業務につき一切異議を述べていないことなどを挙げることができる。
2争点(2)〔本件仕様の内容〕について
〔原告の主張〕
(1)本件仕様とは,本件各契約上,本件個別契約(1)及び(3)において,
「対象業務」のなかで定義されているとおり,被告が作成した「仕様書」及
び原告が承諾した被告の「要望事項」のことである。本件業務では,上記の
仕様書が存在しなかったから,本件仕様の内容としては,上記の要望事項が
問題となる。
(2)原告と被告は,平成18年1月ころから,打ち合わせ,ミーティングを重
ねており,原告から被告に提出された平成18年3月20日付け見積書(甲
6)の前後で時期を分けると,そのころまでに形成された原告と被告との間
の共通認識は,次のとおりである。
ア本件元映像(2Dセルアニメーション)のうち,被告が指定する一部を
3DCGで表現したものを原告が制作すること
イ映像の1カット当たりの長さは約4秒であること
ウ原告の作業には,レイアウト・アニメーション等の映像制作は含むが,
映像調整は含まないこと
エ上記映像制作の素材であるモデリングデータは,被告が作成し,原告に
提供すること
オ上記映像制作の素材である背景データは,被告が本件元映像から抜き出
した上で,上記映像制作にそのまま使用できる状態に加工し,原告に提供
すること
カ原告が制作する3DCG映像には影を付けること
キ本件元映像にできる限り似せて3DCG映像を制作すること
ク原告がMayaで制作したデータを実機(G−DEV)でチェックする
ためのソフトウエアを被告が用意すること
ケ原告の作業には,映像制作のためのツールのバグの発見,報告を超えて
そのバグに対処することまでは含まないこと
コ対価は1カット当たり20万円とすること
ただし,原告のバグ発見,報告のために作業遅延が生じること等により
10カットについては10万円を上乗せし,1カット当たり対価を30万
円とすること
これらのうち,アないしケは,コの対価が協議されるにあたって,前提と
されたものであり,後の本件各契約の内容と矛盾しない限り,本件仕様のほ
か,対象業務,納入物の内容についても,重視される。
(3)さらに,その後,本件各契約が締結されるまでに先行してされた開発ツー
ルやデータの授受,開発作業,ミーティング,話合いなどを通じて,前記
(2)アないしコのうち,ア,ウ,エ,オ,カ,クは,次のとおりの内容と
なった。
ア’本件元映像(2Dセルアニメーション)のうち,被告が指定した一部を
3DCGで表現したものを原告が制作すること,特に,本件個別契約
(1)の対象となる納入物Ⅰの100カットは,平成18年5月17日に
被告から受領したV1−1の一部である100カットのFIX版発注シー
ト記載の100カットであり,本件個別契約(1)の対象となる納入物Ⅱ
の150カット及び本件個別契約(3)の対象となる納入物Ⅲの100カ
ットは,同日被告から受領した250カット(V1−1の残りの150カ
ット及びV1−2の一部の100カット)の発注シート記載の250カッ
トであり,計350カットであること
ウ’原告の作業には,レイアウト・アニメーション等の映像制作は含むが,
映像調整は含まないこと,特に,原告が被告に納品するのは「①Maya
データ,②実機出力のできるデータ,③テクスチャー(PSD,TGAの
両方)」であること
エ’上記映像制作の素材であるモデリングデータは,被告が作成し,原告に
提供すること,ただし,小物のデータの新規制作等の負担の少ない作業に
限り,原告が行い,人物データのうち,顔アップ(近景)については,原
告が被告から提供されたデータの修正又はデータの新規作成を行うこと
オ’上記映像制作の素材である背景データは,被告が本件元映像から抜き出
した上で,上記映像制作にそのまま使用できる状態に加工し,原告に提供
すること(もっとも,実際には原告担当の本件カット350カットの背景
データとして使えるものは236カット分しか提供されなかったことが以
後随時判明し,以後随時11カット分は原告で修正しなければならず,ま
た,103カット分は原告で新規作成しなければならなかった。)
カ’原告が制作する3DCG映像には影を付けること,特に,影作成作業に
ついては,①人物カットのうち,本件元映像に影がある場合及びサンライ
ズ影指示書がある場合は,それに従って原告が手付けで影作成作業を行い,
②モビルスーツカットは自動影とすること
ク’原告がMayaで制作したデータを実機(G−DEV)でチェックする
ためのソフトウエアを被告が用意すること,特に,被告から提供を受けた
実機「G−DEV」,開発用ソフトウエア「エクスポータ」,開発用ソフ
トウエア「G−DEVツール」等の開発ツールを使用すること
これらの共通認識を踏まえて,本件各契約が締結されており,その関連規
定における定義は,原告の作業,工程等の内容,範囲等である前記ア’ない
しケの本件仕様と合致するものであって,何ら矛盾しない。
〔被告の主張〕
(1)本件業務における実際の「本件仕様」,「対象業務」は,本件元映像のう
ち,最もクオリティが高い劇場第3作目の画質水準を目指し,影や背景が欠
けているものについては,これを補充し,いわば本件元映像の「理想的な映
像」を作成するものであった。
そして,被告からは,モデリングデータ,背景データ等のうち,基本的な
ものを提供するものの,シーンに合わせた修正や不足分の新規作成等につい
ては,原告が行うこととされていた。また,デバッグ処理等に伴う作業など,
対象業務の性質上,これに付随して生ずる作業についても,当然に原告の義
務に含まれ,さらに,実機における映像調整までも原告の義務に含まれると
されていた。これらの点は,本件基本契約が締結された平成18年5月23
日までに原告と被告の双方において了解されていた。
原告は,本件仕様につきいずれも原告が承諾した被告の要望事項と主張す
るものの,「原告の作業には映像製作のためのツールのバグの発見,報告を
超えてそのバグに対処することまでは含まないこと」,「モデリングデータ
は原則として被告が作成し,原告に提供すること」などの事項は,性質上,
被告に著しく不利益な事項であって,ことさら被告が要望することはあり得
ないから,本件仕様には該当しない。
また,「背景データを被告が加工し原告に提供すること」,「モデリング
データを原則として被告が作成すること」などの事項が本件仕様に該当する
という主張は,そもそも,通常の「仕様」の語義に反するものであり,最終
製品の結果や性能等を示すために必要な事項ではないから,本件仕様に含ま
れるものではない。
(2)原告の指摘する事項について
ア’本件元映像を3DCGで表現したものの作成
3DCGによること,また,カットの特定について,当事者間に争いは
ない。
イ1カット当たりの長さ
約4秒というのは,平均的な長さの目安にすぎず,これを超えるものを
一切含まないという意味ではない。
ウ’作業内容
本来は,シーンデータの作成のみならず,映像調整も含むことが想定さ
れていた。
エ’モデリングデータ
原告は,小物データ,負担の少ない作業,人物の顔アップ(近景)のみ
が対象業務に含まれていたとして,自らの義務を限定しようとする。しか
し,実際には,本件基本契約の締結日の1か月以上前の平成18年4月2
1日の時点で,原告がモデリングデータの追加作成作業を行っている。
オ’背景データ
原告は,もともと,背景データの不足分について,自ら随時制作する義
務を負っていた旨を認めていたところである。
カ’影
被告が「人物には影指示書に従って手付け,モビルスーツには自動影」
などと指示したことはない。あくまで,自然な影を付けるように指示して
いたにすぎない。
キ本件元映像と比較した場合のクオリティ
本件元映像に「そっくりそのまま」似ていると言わしめるような相当高
い水準が要求されており,これが原告と被告の間の了解事項であった。
このことは,①本件元映像の存在,②仕様書となることが再確認された
(甲48)原告自身が作成した「Vコンテ」の存在,③著名なアニメーシ
ョンであってファンの要求水準の高い本件元映像の性質,④先行する別の
プロジェクトで同種作業を行ってきた原告の認識,⑤初期の段階でサンプ
ルカットが交付されていること,⑥原告の親会社は,本件業務のために本
件元映像の著作権者であるサンライズに対して懸命に働きかけたものであ
って,原告としても,サンライズが本件元映像を素材としたゲーム等のク
オリティに厳しいことを十分に認識していたこと,⑦山佐に納入された他
の受託業者による制作データとの対比,から明らかである。
ク’開発ツール
この点について,当事者間に争いはない。
ケ開発ツールに含まれるバグの処理
本件基本契約の締結日よりも前である平成18年5月16日の時点で,
既に解決済みの問題である。そもそも,原告が重視する「お見積書」(甲
6)の記載中に「デバッグ処理」と明記されている事柄である。
コ対価
1カット当たりの平均単価を20万円とし,初期の10カットのみ,
「デバッグ処理」を含む手間がかかることを想定して,特別に1カット当
たり30万円としたことについて,当事者間に争いはない。
(3)もとより,システムやソフトウエア等の開発委託契約において,仕様書の
交付がされたか否か,仕様の指定がされたか否かは,「仕様書」との表題を
有する文書が交付されたか否かによって決められることではない。現に,原
告は,自ら仕様書となる「Vコンテ」を作成し,プリプロダクションも含め
約半年間,制作を行ってきており,何らの指針もなく作業を行っていたとす
ることはあり得ない。
また,平成18年3月20日付けの見積書(甲6)の時点で,本件仕様が
確定していたとすることもできない。実際には,これと前後して,仕様書と
なるVコンテが作成され,プリプロダクションがされ,そこから浮かび上が
った問題点を協議して,上記見積書の提出から2か月を経過してようやく本
件基本契約が締結されたものである。
(4)本件のようなシーンデータの制作にかかる契約においては,「仕様書」と
題する文書が交付されたとしても,受託者の義務が「仕様書」に記載されて
いる内容に限定されるものではない。業務の性質や当事者間の協議,あるい
は,日々発生する問題点を共同して解決する中で,映像表現の制作方針ある
いは映像表示プログラム等の細かな部分の「仕様」が形成されるというケー
スが大半である。
「Vコンテ」と「本件元映像」が「仕様書」と扱われることは,原告と被
告の間で再三確認されていた。遅くとも,本件基本契約が締結された平成1
8年5月23日までに,作業内容,方法など,「本件仕様」,「対象業務」
に該当する様々な事項が原告と被告の双方の間で,議事録その他の形式によ
り確認されていた。
3争点(3)〔本件仕様と本件シーンデータとの適合性〕について
〔原告の主張〕
(1)原告が制作して被告に納入した本件シーンデータは,本件仕様に従ってお
り,本件仕様に基づいた対象業務の成果としての納入物に該当する。なお,
本件カットごとの原告の主張の詳細は,別紙一覧表の該当欄に記載のとおり
である。
ア本件仕様エ’〔映像制作の素材であるモデリングデータは,被告が作成
し,原告に提供すること,ただし,小物のデータの新規制作等の負担の少
ない作業に限り,原告が行い,人物データのうち,顔アップ(近景)につ
いては,原告が被告から提供されたデータの修正又はデータの新規作成を
行うこと〕の該当性
(ア)人物(キャラクター)データのうち,顔アップ(近景)に該当する5
1カット中の50カット(例えば,カット#115(RT07A003),カット#
147(RT07A035))について,原告において,新規にモデルを作成し,
又は,被告から提供されたモデルを修正し,本件元映像にできる限り似
せるためのトレース作業を行っており,本件仕様エ’を充たしている。
(イ)人物(キャラクター)データのうち,上半身(中景)に該当する97
カット中の35カット(例えば,カット#175(RT08A002),カット#22
0(RT09A004))について,原告において,被告から提供されたモデル
を使用して制作し,また,62カット(例えば,カット#2(RE01B005),
カット#14(RE05B009),カット#28(RT05A015),カット#35(RT05A0
25),カット#91(RT06B004),カット#103(RT06B018),カット#173
(RE08E008),カット#255(RT09B012),カット#261(RT09B018),カ
ット#330(RT10B020))について,原告において,新規にモデルを作成
し,又は,被告から提供されたモデルを修正し,本件元映像にできる限
り似せるためのトレース作業を行っており,本件仕様エ’を充たしてい
る。
(ウ)人物(キャラクター)データのうち,全身及び引き(遠景)に該当す
る36カット中の24カット(例えば,カット#252(RT09B009))につ
いて,原告において,被告から提供されたモデルを使用して制作し,ま
た,12カット(例えば,カット#47(RT05B021),カット#254(RT09
B011))について,原告において,新規にモデルを作成し,又は,被告
から提供されたモデルを修正し,本件元映像にできる限り似せるための
トレース作業を行っており,本件仕様エ’を充たしている。
(エ)モビルスーツ,メカ,小物等のカットに該当する166カット中の1
65カット(例えば,カット#45(RT05B012),カット#132(RT07A02
0),カット#159(RT07A047),カット#314(RT10B003),カット#323
(RT10B013),カット#329(RT10B019))について,原告において,被
告から提供されたモデルを使用して制作し,また,1カット(カット#
187(RT08A026))について,原告において,新規にモデルを作成し,
又は,被告から提供されたモデルを修正し,本件元映像にできる限り似
せるためのトレース作業を行っており,本件仕様エ’を充たしている。
イ本件仕様カ’〔原告が制作する3DCG映像には影を付けること,特に,
影作成作業については,①人物カットのうち,本件元映像に影がある場合
及びサンライズ影指示書がある場合は,それに従って原告が手付けで影作
成作業を行い,②モビルスーツカットは自動影とすること〕の該当性
(ア)キャラクターの元映像に影のあるカットに該当する71カット中の7
0カット(例えば,カット#22(RT05A007),カット#324(RT10B01
4))について,原告において,本件元映像に合わせて手付けで影付け
作業を行っており(ただし,カット#24(RT05A009)については,対応
していない。),本件仕様カ’を充たしている。
(イ)キャラクターの元映像に影がなく,サンライズ影指示書のあるカット
に該当する47カット(例えば,カット#93(RT06B006),カット#325
(RT10B015))について,原告において,サンライズ影指示書に合わせ
て手付けで影付け作業を行っており,本件仕様カ’を充たしている。
(ウ)キャラクターの元映像に影がなく,サンライズ影指示書のないカット
に該当する71カット(例えば,カット#74(RT06A032))について,
原告において,影付け作業を行っていない。これは,被告からサンライ
ズ影指示書を提供されなかったためであって,本件仕様カ’を充たして
いる。
(エ)モビルスーツ,メカの元映像に影のあるカットに該当する52カット
(例えば,カット#127(RT07A015),カット#291(RT10A030))につい
て,また,モビルスーツ,メカの元映像に影のないカットに該当する1
10カット(例えば,カット#120(RT07A008),カット#315(RT10B00
4),カット#319(RT10B008))について,原告において,本件元映像
に合わせて自動影で影付け作業を行っており,本件仕様カ’を充たして
いる。
ウ本件仕様オ’〔上記映像制作の素材である背景データは,被告が本件元
映像から抜き出した上で,上記映像制作にそのまま使用できる状態に加工
し,原告に提供すること〕の該当性
(ア)被告から提供された背景を使用して制作したカットに該当する240
カット中の231カット(例えば,カット#183(RT08A018))について,
原告において,この背景を使用して制作し,また,9カット(例えば,
カット#322(RT10B012))について,この背景の修正作業を行っており,
本件仕様オ’を充たしている。
(イ)被告から背景の提供がなかったため,原告において,本件元映像から
抜き出して新規作成又は修正加工した背景を使用して制作したカットに
該当する110カット(例えば,カット#247(RT09B004))についても,
本件仕様オ’を充たしている。
エ原告が制作して被告に納品したシーンデータが,OKとして,本件仕様
を充たしていること
(ア)原告が納品し,いったん被告からOKが出されたカットのうち,後日
NGとされていないカットに該当する22カット(例えば,カット#17
2(RE08B007),カット#277(RT10A004))については,本件仕様をす
べて充たしている。
(イ)また,後日NGとされ,原告において修正対応したカットに該当する
30カット(例えば,カット#117(RT07A005),カット#122(RT07A01
0),カット#245(RT09B002),カット#312(RT10B001),カット#321
(RT10B011))については,本件仕様をすべて充たしている。
(ウ)さらに,後日NGとされ,原告において修正対応をしなかったカット
に該当する8カット(例えば,カット#146(RT07A034))についても,
本件仕様をすべて充たしている。
オ被告から平成18年8月29日に提供された別紙一覧表の「EPXラン
ク」の列に記載のとおりのカットランク表(甲107の4∼6,以下「被
告査定表」という。)のランク①及び②についても,本件仕様をすべて充
たしていること
(ア)被告査定表によって少なくともランク③以上に査定されたカットに該
当する242カットについては,本件仕様をすべて充たしている。
(イ)被告査定表によってランク②に査定されたカットに該当する61カッ
ト,ランク①に査定されたカットに該当する45カットについて,その
うちの多くのカットは本件仕様を充たしている(乙12号証で指摘され
たランク②の4カット,ランク①の9カットは極端な例である。)。
すなわち,被告は,ランク①又は②と査定したカットのデータをその
まま流用し,調整したものを最終データとして山佐に納品している。ま
た,被告からいったんOKが出たのに,後にNGとなり,原告において
修正作業を行ったにもかかわらず,ランク②と査定されたものがある。
そして,被告から山佐に最終納品されたG−DEV映像と本件元映像と
を比較すると,相違点が多く見られるカット(例えば,カット#6(RE0
1F005))もあり,ランク①又は②と査定することも不当である。また,
上記の最終納品のG−DEV映像には,2Dを併用したものが多く見ら
れるにもかかわらず,2Dを併用したことを理由としてランク①又は②
と査定することも不当である。
(2)なお,本件各契約上,納入物は仕様等に基づき検査され,これに合格しな
い場合,原告は,納入物を修補して,被告と協議のうえ合意した納期までに
納入することとされていた(本件基本契約9条1項,3項)から,平成18
年7月27日のDVD納品以降の納入物があれば,これを基準にして,納品
されたシーンデータが本件仕様を充たしているか否かが判断されるべきこと
は当然である。
〔被告の主張〕
(1)原告の主張する本件仕様の内容について,「できるだけ似せる」との項目
が含まれているならば,そのような努力義務を果たしたことが指摘されるべ
きであり,単に,被告提供のモデルを使用するなどして制作しているから本
件仕様を充たしているとの指摘は,それ自体失当である。
(2)本件仕様カ’について,本件元映像における影の有無,サンライズの影指
示書の有無にかかわらず,3次元映像であるから,立体的に見えるように全
カットに影を付けることが当然の前提となっており,原告が自分で影指示書
を作成することができているように,被告が影指示書を用意しなくとも,本
件元映像を3D化するという仕事の内容自体からして,原告において,自然
な影を付けることは可能であった。
また,被告において管理上OKとしたカットは,納入と認めて正規にOK
としたものではなく,背景や影の修正,エフェクトの追加などの条件付きの
ものであったことは,その都度原告に伝えてあったとおりである。
なお,被告は,本件元映像自体に問題がある場合(角度がおかしい,不足
がある,遠近感が狂っている,不完全であるなど)のみに限っては,版元の
承諾を得て,本件元映像の趣旨の範囲内で映像を修正加工し,山佐に納入し
ている。原告が元請けの被告に納入する映像と被告が発注者の山佐に納入す
る映像とが同一であることを求められる理由はない。
(3)本件シーンデータの完成度については,被告において,その出来型を評価
した被告査定表のとおりである。なお,これは,当時,話合いによる解決を
前提に作成したものであって,原告に有利な内容の評価である。
もとより,「本件仕様」,「対象業務」等の文言の解釈について当事者間
に争いがあるものの,本件シーンデータがVコンテや本件元映像と似ていな
いことは素人目にも明らかであり,被告の解釈に従えば,本件シーンデータ
が本件仕様に適合しないというほかない。
原告は,平成18年7月27日,被告に対し,同時点における本件シーン
データが記録されたDVD−Rを交付しており,これに収録されたテキスト
データには,自ら「α版」と明記し(乙20の16,乙21),未完成品で
あることを自認していた。そして,原告と被告は,納期までに完成すること
ができないことが明らかとなったことから,被告査定表を作成し,これを踏
まえて相当対価の算定につき協議を行っていたものである。
4争点(4)〔本件追加作業の具体的内容〕について
〔原告の主張〕
(1)原告が本件業務に伴って被告のために行った本件追加作業の具体的な内容
は,以下のとおりである。なお,本件カットごとの原告の主張の詳細は,別
紙一覧表の該当欄に記載のとおりである。
ア「影指示書」の作成
原告が制作を担当した本件カット350カットのうち,本件元映像に影
が付いていたものは123カット,本件元映像に影がない又は一部しかな
いカットは227カットであり,そのうち,原告が手付けで影制作作業を
した人物カットは合計112カットもあった。この112カット中,影指
示書は,47カットにしかなく,残りの65カットにはなかった。
原告は,キャラクターの元映像に影がなく,サンライズ指示書のないカ
ットに該当する65カット(例えば,カット#74(RT06A032))について,
影付け作業は行っていないものの,作業を進めるための影指示書32カッ
トを作成しており,追加費用が発生した。
イ被告から提供された「背景データ」の修正
平成18年8月1日及び2日,被告から原告に対し,先行の100カッ
ト分(V1−1の一部に相当)のうち77カットについて,リテイクの指
示がされた。このうち,被告の提供した背景データを使用したにもかかわ
らず,NGの理由の全部又は一部が背景に関するものであったカットが4
2カットであり,原告は,このうちの9カットについて,追加で修正作業
をした。
本来であれば,被告の提供した背景データを使用することにより本件仕
様を充たしているはずの245カット中の9カット(例えば,カット#32
2(RT10B012))について,原告において,追加で修正作業を余儀なくさ
れたものであり,追加費用が発生している。
ウ不当なリテイク
原告が納品して被告がいったんOKを出しながらこれを後に取り消した
カットについて,原告としては,被告からリテイクの指示を受け,追加作
業に該当するものであっても,指示に従い,修正作業を行った。
このようなカットに該当する30カット(例えば,カット#117(RT07A
005),カット#122(RT07A010),カット#245(RT09B002),カット#312
(RT10B001),カット#321(RT10B011))については,追加費用が発生し
ている。
エ「G−DEVツール」及び「エクスポーター」の検証等
本件各契約上の「本件仕様」,「対象業務」及び「納入物」の内容とし
て,原告の作業には,映像制作のためのツールのバグの発見,報告を超え
て,そのバグに対処することまでは含まれていない。
ところが,実際には,開発ツールにバグが続発し,本件業務の遅延の一
つの大きな原因となったため,原告自身が対処せざるを得なかった。すな
わち,原告のスタッフから開発ツールの不具合の報告を受けると,原告の
担当者において,それが原告側の不手際かバグによるものかを検証し,バ
グであると判断したものについて,被告の担当者とやりとりを行い,問題
の解決方法を教示してもらって,原告のスタッフに伝えた。被告からバグ
の解決方法の教示がない場合や,被告の方法では別の問題が生じる場合に
は,原告のスタッフは被告の担当者とやりとりを行い,作業手順を変える
などしながら,制作業務を続けたから,追加費用が発生している。
オモデリング(人物カットの新規制作及び被告提供データの修正等)
原告は,被告からの強い要請を受けて,本件各契約上の「本件仕様」,
「対象業務」及び「納入物」の内容にかかわらず,人物の「上半身」(中
景)及び「全身及び引き」(遠景)のカットについても,人物のモデリン
グデータの新規制作,修正の追加作業をせざるを得なかった。また,メカ
についても,小物以外,例えばトレーラー等の大きなメカのモデリングデ
ータの新規制作,修正の追加作業の実施を強いられた。
(ア)人物データ(キャラクター)のうち,上半身(中景)に該当する97
カット中の47カット(例えば,カット#2(RE01B005),カット#14
(RE05B009),カット#28(RT05A015),カット#35(RT05A025),カッ
ト#91(RT06B004),カット#103(RT06B018),カット#173(RE08E00
8),カット#255(RT09B012),カット#261(RT09B018),カット#330
(RT10B020))について,原告において,新規にモデルを制作し,又は,
被告から提供されたモデルを修正し,本件元映像にできる限り似せるた
めのトレース作業を行っており,追加費用が発生した。
(イ)人物データ(キャラクター)のうち,全身及び引き(遠景)に該当す
る36カット中の11カット(例えば,カット#47(RT05B021),カッ
ト#254(RT09B011))について,原告において,新規にモデルを制作し,
又は,被告から提供されたモデルを修正し,本件元映像にできる限り似
せるためのトレース作業を行っており,追加費用が発生した。
(ウ)モビルスーツ,メカ,小物等のカットに該当する166カット中1カ
ット(カット#187(RT08A026))について,被告から提供されたモデル
がなかったため,原告において,新規にモデルを制作し,本件元映像に
できる限り似せるためのトレース作業を行っており,追加費用が発生し
た。
カ被告がカットのチェックを依頼したγ01氏への対応
γ01氏は,平成18年6月29日ころから同年7月10日ころまで,
原告の制作したカットのうち合計125カットをチェックし,そのうち1
02カットに対して修正を指示した。しかし,γ01氏の指示は,本件各
契約上の本件仕様に合致せず,これと矛盾したり,これを超えていたりし
たものであり,γ01氏の指示に対する被告の対応は二転三転した。
γ01氏からリテイク(修正)指示のあったカットに該当するカット1
25カット中の27カット(例えば,カット#34(RT05A024),カット#2
33(RT09A019))については,γ01氏の指示内容が被告のクオリティチ
ェックでOKがもらえる内容かどうかについて,被告からの正式な回答が
なかったため,追加費用が発生している。他方,γ01氏からリテイク指
示のあったカットに該当するカット125カット中の98カット(例えば,
カット#157(RT07A045))については,具体的な作業内容が本件仕様に合
致せず,矛盾したり,超過したりするものであったため,原告は修正をし
ていない。
キ原告が当初より制作が困難であるとして受託をいったん断った1カット
に係る作業
カット#5(RE01D001)(フラウ・ボウのカット)及びカット#214(RT0
8D002)(マ・クベのカット)の2カットは,納期に間に合わせて本件仕
様の「本件元映像にできる限り似せる」ことが技術的に極めて困難であり,
原告から被告に対して相談し,納期変更の提案をしたにもかかわらず,被
告は,3DCGで制作することにこだわり,結果として,原告に対し,前
者のカットにつき制作作業を強い,追加費用が発生した。
このカットが制作困難であった理由は,被告の提供したアムロとフラウ
のモデリングデータが全く似ておらず,人物の動きが激しい上,映像尺が
約20秒と長いということである。このカットは,被告でも制作すること
ができず,最終的に山佐に未納品となっている。
(2)これらの本件追加作業は,いずれも,原告の「責に帰すべき事由によらな
い」作業であり,この結果,原告と被告との間において,本件受委託契約が
成立しているものである(本件基本契約9条3項,商法512条)。
〔被告の主張〕
(1)原告の主張する本件追加作業は,いずれも本件各契約上の本来の受託業務
の範囲内のものである。
被告から提供された「背景データ」の修正については,他の業者において,
背景のみの制作を新たに発注する際の金額は1カット当たり3000円であ
り,難なく仕上げられている。
不当なリテイクとの主張については,そもそも何をもって「不当な」リテ
イクとしているのか不明である。
「G−DEVツール」及び「エクスポーター」の検証等については,本件
各契約の締結の前後で解決済み,あるいは,被告の支援により簡単に収束し
ている事項ばかりである。
被告がカットのチェックを依頼したγ01氏への対応については,γ01
氏は,本件元映像の著作権者であるサンライズから進行管理の役割を担い,
本件元映像に関するビジネスに精通した人物として業界内でよく知られてい
る。γ01氏は,平成18年6月29日ころ及び同年7月10日ころ,原告
の制作が遅れていることを懸念し,制作現場の視察に訪れ,その際,いくつ
か気付いた点を原告の担当者に対して指摘した。しかし,被告は,原告に対
し,これらの指摘のうち,ささいなものについては修正指示を出さず,品質
が劣っていることを指摘されたものにつき修正を命じたにすぎない。したが
って,本来の受託業務の範囲を超える追加作業は存しない。
原告は,本件シーンデータの制作が本件元映像という著名なアニメーショ
ンを素材としている以上,著作権者から承認を得られる品質に仕上げなけれ
ばならないことは,当初より承知しているはずである。
(2)なお,原告が本件追加作業に係る対価の支払請求の根拠とする本件基本契
約9条3項は,不合格の原因が原告の責に帰すべき事由によらない場合に,
対価につき「協議」の上で「決定」がされて生ずるものである。本件におい
ては,不合格となったことにつき原告に帰責事由があり,被告と原告との間
の協議も決定もないことから,当該条項に基づく請求はできない。また,本
件基本契約9条3項の「修補作業」が本来の当初の「対象業務」の範囲内の
ものであることは,「修補」の用語や不合格の場合の規定の趣旨から明らか
であり,このような場合には,商法512条の適用はない。
5争点(5)〔抗弁関係の成否〕について
〔被告の主張〕
(1)一部解除の抗弁
ア原告は,本件各契約に基づき,「納入物」である本件シーンデータを作
成し,被告に対して,本件基本契約上の手順に従って,これを納入する義
務を負っていた。
納入物はあくまでも本件カット350カットであり,そのうちのカット
#5(RE01D001)(フラウ・ボウのカット)及びカット#214(RT08D002)
(マ・クベのカット)の2カットについて,原告と被告の間で,これを対
象から除外する合意がされた事実はない。
原告は,平成18年7月27日,被告に対し,同時点における本件シー
ンデータが記録されたDVD−Rを交付しているものの,これは未完成カ
ットの相当対価を査定するために行われたにすぎず,これに収録されたテ
キストデータには,原告自ら「α版」と明記し,未完成品であることを自
認していたから,本件各契約上の「納入」に該当しない。なお,原告は,
被告のイントラネット上のフォルダに制作した本件シーンデータを複写し
ている。しかし,これは速やかな被告による査定をするため,便宜行われ
たものにすぎず,被告において,これを納入方法として認めたことはない。
そして,本件シーンデータが納入された後,検査に合格しない限り,対
象業務は終了せず,原告の債務が履行されたことにはならない(本件基本
契約9条)。
イ原告と被告の間で,納期は最終的に次のとおり合意された。
納入物Ⅰ(100カット)平成18年6月30日
納入物Ⅱ(150カット)平成18年7月31日
納入物Ⅲ(100カット)平成18年7月31日
ウ原告と被告は,無催告解除を合意していた(本件基本契約26条1項)。
エ原告は,納期までに,債務を履行しなかった。遅くとも,平成18年7
月27日の時点において,納期までに債務の履行が不能となっていたこと
が明らかであり,同月31日の時点になっても,債務の履行はされなかっ
た。
すなわち,本件シーンデータの制作を完成できず,CD−R,DVD−
R等の媒体に記録して「納入」を行うこともなく,「検査」を受けるに至
らず,「合格」となることもなかったものである(なお,原告は,被告に
対し,いまだ出来型部分についても,納入,引渡しを行っていない。)。
上記の事実は,本件基本契約26条1項1号,10号,11号の解除事
由に該当する。
オ被告は,原告に対し,相当対価の支払を準備してその旨を通知しており,
弁済の提供をしている。なお,原告は,増額を要求し,その対価の受領を
拒んだ。
被告は,原告に対し,平成18年9月28日付けの通知書をもって,そ
のころ,本件各契約のうちの未履行部分を解除した。
カなお,本件各契約の解除について,原告の帰責事由は必要とされないが,
原告に帰責事由の存在することも明らかである。
原告の制作スタッフは,その多くの者が被告の本社内で作業を行ってお
り,常に,被告のスタッフから,作業内容につき助言を受けられる環境に
あった。被告は,原告のスタッフとの間で,週に数回の頻度で会議を開き,
不明な点がある場合には,その都度,問題を明らかにし,改善策を講じて
きた。その内容は,被告の社内で作業をしているか否かにかかわらず,全
スタッフに告知されるように配慮してきた。
しかし,原告は,十分な能力を備えたスタッフを用意することができな
かったため,制作に適した組織を形成することができず,制作方法の情報
の伝達,周知も不十分であった。そして,被告から,1人のスタッフが個
々のカットを最初から完成まで責任をもって制作する「一括請負方式」に
するように指摘されたにもかかわらず,複数のスタッフで素材の制作,レ
イアウト,モーション付け等の個々の作業を分担する「流れ作業方式」に
最後までこだわり,非効率な作業を繰り返したため,結局,本件業務の完
成をみることができなかったものである。
(2)同時履行の抗弁
本件各契約は,双務契約であるから,一部解除の可否にかかわらず,既履
行部分の引渡しとその対価の支払及び未履行部分の引渡しとその対価の支払
がそれぞれ同時履行の関係に立つものである。
(3)相殺の抗弁
被告は,原告の債務不履行により,本件基本契約27条に基づく損害賠償
として,次のとおり,合計1億4469万6394円の支払請求権を有して
いるから,これを反対債権として,対当額において,原告の請求債権と相殺
する。
ア原告に代わる他の業者への発注費用
原告は,急遽,原告に代わる他の業者に対し,制作を外注することを余
儀なくされた。この費用は,次のとおり,2413万円である。
(ア)平成18年9月1日から同年10月16日までの間の外注費用
・ベック800万円
内訳カット数/64カットカット単価12万5000円
・ディアフィールド673万円
内訳カット数/54カットカット単価12万4600円
・ザックス・エンターテインメント500万円
内訳カット数/40カットカット単価12万5000円
・小計1973万円
(イ)平成18年10月17日から同月31日までの間の追加外注費用
・ベック180万円
内訳カット数/9カットカット単価20万円
・ディアフィールド260万円
内訳カット数/13カットカット単価20万円
・小計440万円
(ウ)合計2413万円
イ納期の延期により生じた経費
原告は,本来,平成18年10月末日までに,「V1」に係る作業を完
結させる予定であったにもかかわらず,作業が完結せず,納期が延期され
た。このため,被告は,平成18年12月末日まで2ヶ月の期間につき予
定外の費用をかけることを余儀なくされた。この費用は,次のとおり,1
億2056万6394円である。
(ア)平成18年11月の社内経費
・人件費4010万3683円
・人件費以外の経費(家賃等)2087万3465円
・小計6097万7148円
(イ)平成18年12月の社内経費
・人件費3879万6723円
・人件費以外の経費(家賃等)2079万2523円
・小計5958万9246円
(ウ)合計1億2056万6394円
〔原告の主張〕
(1)一部解除の抗弁について
ア本件カット350カットのうち,カット#5(RE01D001)(フラウ・ボウ
のカット)及びカット#214(RT08D002)(マ・クベのカット)の2カット
について,原告と被告の間で,これを対象から除外する合意がされた事実
は,電子メール等によって明らかである。
また,平成18年7月27日に交付したDVD−Rには,本件シーンデ
ータの「一式」,すなわち,「納入物」としての「実機用表示データ①」,
「実機用表示データ②」及び「テクスチャー用画像データ」が収録されて
いたのであるから,単なる査定用でないことが明らかである。このDVD
−Rのテキストデータに「α版」と記載されていたのは,本件各契約上の
「検査」を受けて「合格」をする前であったことから,自然なものという
べきである。
なお,被告において,出来型部分についても,納入,引渡しを否定する
のは,単に同時履行の抗弁を提出するためにする主張であって,事実に基
づくものではない。実際に,被告は,本件シーンデータのうち,被告査定
表でランク①及び②と査定したカットも含めて,ほとんどすべてを流用し
て山佐に納品を行っている。
イ被告が実際に原告に支払を提案した金額は,本件個別契約(1)及び
(3)の残代金5570万円と比較して,わずか1004万8500円に
すぎず,到底,相当対価の支払とは認められないものであり,本件シーン
データを不当に買い叩こうとした事実を示すものである。
また,本件各契約のうちの未履行部分の解除については,本件各契約上,
本件シーンデータごとの本件仕様の不充足部分につき一部の解除が許され
るかについては,何ら規定がないというべきであるし,本件基本契約26
条の解除の解釈としても,本来可分なシーンデータごとに許容されるにと
どまるものと解される。
ウ被告は,本件各契約の解除につき原告の帰責事由は必要とされないとも
主張する。しかしながら,本件各契約は,被告による任意の解除を許容す
るものではなく,失当である。
すなわち,本件基本契約26条1項1号,10号,8条2項の文言から
して,原告が納入遅延となったときでも,被告の帰責事由による場合には
原告が債務不履行責任を負わないと規定しており,解除は許されないので
あり,また,本件基本契約9条3項の納入物が検査に合格しない場合でも,
原告の帰責事由によらないときには,やはり解除は許されない。さらに,
本件契約26条1項11号の「相当の事由」についても,原告と被告の帰
責事由を含めた諸般の事情によって,判断されるべきものである。
(2)同時履行の抗弁について
被告は,既履行部分について,引渡しを受ける権利を主張するものの,何
ら事実に基づくものではなく,単に同時履行の抗弁を提出するためにする主
張にすぎない。
(3)相殺の抗弁について
被告の主張のうち,外注費用については,仮に,本件シーンデータの一部
が本件仕様を充足しなかった場合には,その部分についてのみ損害賠償請求
権を有するにとどまるのであって,本件仕様を充足した本件シーデータの残
部に対する追加作業分は含まれないものである。被告は,被告査定表のラン
ク①及び②の合計数の106カットより多い180カットについて,被告が
原告に支払を提案した1004万8500円の2倍強にあたる2413万円
を損害賠償金としており,それ自体失当である。
また,平成18年11月及び同年12月の社内経費については,本件シー
ンデータの一部における本件仕様の充足の有無にかかわらず,被告において
負担されるべきものである。
第4当裁判所の判断
1前記第2の1争いのない事実に,証拠(甲1,2,3,5∼7,12∼18,
20,22,23,24の1・2,甲26,29,30,35,37の1・2,
甲38の1∼甲39,43∼45,48,56の1・2,甲107の1∼甲1
08の3,甲110,乙1,4の1・2,乙5の1∼7,乙6の2・4∼7・
12・13・15・18,乙9の1・2,乙10,11の1・2・4・8・9
・11∼15,乙13の1∼乙14の2,乙16,18,19,20の1・3
・8∼11・14・16・17・19)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の
事実が認められる。
(1)本件各契約締結までの経過
ア平成17年12月,原告と被告との間では,アニメ「宇宙戦艦ヤマト」
の映像を素材とした山佐製の回胴式遊技機を開発する「プロジェクトZ」
が進行しており,原告において,被告からの委託を受けて,回胴式遊技機
に用いるシーンデータの試作作業(「プリプロダクション」又は略称して
「プリプロ」)を行っていた。
なお,その後,このプロジェクトZは,平成18年3月末,本制作の作
業に移行することなく,試作作業の完了をもって終了した。
イ原告と被告との間で,プロジェクトZの作業がされたことが契機となっ
て,平成18年1月,Vプロジェクトの案件が持ち上がり,同月下旬から,
関係者のミーティングが開始され,まず,被告から原告に対し,本件シー
ンデータの制作に先立って,映像制作の指針となる「Vコンテ」(ビデオ
コンテ,乙19)の制作が発注された。
Vコンテの発注は,平成18年2月と同年3月の2回に分けて行われ,
第1回発注分は,同年2月13日付けの開発委託契約書(乙4の1,なお,
同月3日付け見積書(乙13の1)と同月20日付け見積書(乙13の
2))によって同月28日に納品され,修正作業を経て,同年4月7日に
検査合格通知(乙14の1)がされ,第2回発注分は,同年3月1日付け
の開発委託契約書(乙4の2,なお,同月9日付け見積書(乙13の3)
と同月20日付け見積書(乙13の4))によって同月31日に納品され,
修正作業を経て,同年4月21日に検査合格通知(乙14の2)がされた。
ウこの間,平成18年3月から,原告と被告との間では,Vプロジェクト
の本制作についての具体的な協議が進行し,原告の被告に対する同月14
日付け見積書(甲5)及び同月20日付け見積書(甲6)の提示などを経
て,同月20日ころ,1カット当たりの平均単価を20万円とし,最初の
契約分の該当する10カット(本件個別契約(1)の250カットのうち
の10カット)については,「研究開発」と位置付けて,10万円を上乗
せした30万円とすることで合意をみた。
そして,契約の締結に向けた協議と並行して,同年4月にかけて,プリ
プロダクション作業(RT07関係,「迫撃!トリプルドム」の一部)が開始
され,その後,被告は,原告に対し,平成18年5月1日ころ,第1回分
としてプリプロダクション分を含む100カット(甲24の1・2,甲2
9,37の1・2,甲38の1・2)を発注(以下「4月分」(10カッ
ト)及び「5月分」(90カット)又は全体を単に「5月分」として言及
することがある。)し,同年5月17日,第2回分として250カット
(甲29,38の1・3)を発注(以下「6月分」として言及することが
ある。)した。
エこうして,発注後の作業と並行しながら契約条項が協議された結果,原
告と被告との間において,平成18年5月23日に本件基本契約(同月1
日付け,甲1)と本件個別契約(1)(同月1日付け,甲2)が締結され,
同月末ころに本件個別契約(3)(ただし,調印は未了,甲3)が締結さ
れた。なお,本件個別契約(1)の対象カットは,4月分10カット,5
月分のうちの50カット及び6月分のうちの190カットであり,本件個
別契約(3)の対象カットは,5月分のうちの残り40カット及び6月分
のうちの残り60カットである。
(2)本件業務の作業
ア本件業務の内容は,劇場用映画DVDの2Dセルアニメーションの名場
面(本件元映像)をパチスロ用の動画データ(本件シーンデータ)に再現
するというものである。
本件シーンデータの制作は,本件元映像のリアルタイム3DCG化(よ
り正確には,簡略された3次元画像となるいわゆる「2.5D」の技術を
用いたもの)であり,本件元画像をトレースして,人物(アムロ,カイ,
ハヤト,セイラ,ブライト,フラウ,ミライ,リュウ,マチルダ,レビル,
シャア,ガルマ,ランバ・ラル,ハモン,ミハル等),モビルスーツ(ガ
ンダム,ガンキャノン,ザク,グフ,ドム,ズゴック等)やメカなどの立
体的なモデリングデータを適切な位置に配置し,動きを与え,光の向きに
合った影を付け,また,背景を加えることによって行われる。
モデリングデータは,人物やメカなどの3次元(3D)の対象物につい
て,形,サイズ,位置,色,質感等をポリゴン(多角形)によってコンピ
ュータ上で表現するデータであり,シーンの制作にあたって素材となるも
のである。ところが,2次元映像を3次元のモデリングデータで表現する
場合,そのままモデリングデータを用いても,人物のキャラクターの表情
などが2次元映像と同じに見えないことがある。これは,もともとの2次
元映像が作画者の手書きで描かれており,正確なモデリングデータと不一
致を生ずるためである。
そこで,モデリングデータを用いた映像を元の2次元の映像に似せるた
めには,単に素材となるモデリングデータを配置するだけでは足りず,シ
ーンごとに表情や形状に合わせて,モデリングデータを変形させる作業が
必要となる。特に,本件元映像のように著名なアニメーションの場合,も
との2次元映像と異なる見え方をすることは避けなければならず,モデリ
ングデータの変形作業は重要であった。
イ本件業務にあたって,被告から原告に対し,開発用機材として,「G−
DEV」のほか,開発用プログラムとして,「G−DEVツール」と「エ
クスポーター」が提供された。
そして,実際の作業では,本件元映像を前提に,Vコンテ説明書(①各
カットにおけるパチスロ上での役割を記載した一覧表,②パチスロ演出上
の流れを記載したフロー,③フローで記載された演出の流れを絵や文字で
詳しく説明した字コンテ)とVコンテ(元の映像を利用して,Vコンテ説
明書を基に,カットのつながりやカットの長さ等を調整し,指定されたカ
ット番号をつないだ一連の映像)を利用して,3DCG化の作業が行われ
た。
その工程は,カット単位でみると,おおよそ次のとおりである。
①モデリング(提供されたモデリングデータとMayaを用いて人
物,モビルスーツ,メカ,その他のオブジェクトを作成すること)
②マテリアル・質感設定(顔や物などのオブジェクトにテクスチャ
ーなどを貼ること)
③ボーン設定(元の映像に似せるため,ジョイントを動かしてオブ
ジェクトを変形させること)
④〔①∼③と並行して〕背景切出し(元の映像をコンピュータに取り
込み,主に人物やモビルスーツを画面から消し,背景のみの画像に
修正すること)
⑤レイアウト(尺(時間)の長さを決めて,仮のカメラを配置して,
背景,キャラクターを仮に配置すること)
⑥アニメーション(人物,モビルスーツ,メカなどに元の映像をト
レースした動きをつけること)
⑦〔⑥と並行して〕エフェクト(水,爆発,炎,布などの映像上の効
果を与えること)
⑧コンポジット(カメラデータ,背景データ,オブジェクトデータ,
マテリアルデータ,エフェクトデータを取りまとめて1つのシーン
にすること)
⑨エクスポート(3Dで制作されたデータを実機(G−DEV)に
表示できるデータに変換すること)
⑩実機(G−DEV)表示(3Dデータを計算して,これを液晶表
示するG−DEV(ハードウエア)で表示すること)
⑪マスター調整(映像調整)(パチスロ機(商用機)のメモリ上に
G−DEV用のデータを一時的に保存して,カットの繋がりに関し
て問題がないかを確認した上で,調整すること)
ウ原告においては,代表者取締役のα01氏の下に,α02プロデューサ
ーとα03ディレクターが配置され,α03氏の下に,テクニカルディレ
クター,アニメーションディレクター,エフェクトディレクター等が置か
れ,さらに配下の実働部員がそれぞれ配置される組織体制を敷き,本件業
務の作業にあたった。また,実働部員の一部については,原告の再委託に
よる外注先として,「しいたけデジタル」,「CGR」,「アスペクト」
等が原告の指揮により,作業を担当した。
本件シーンデータの作成においては,出来上がったカットごとに,原告
が被告のディレクションを受け,NGとなったカットは,リテイクの後,
再提出をして,再度のディレクションを受ける形で作業が進められた。
(3)本件シーンデータ作成の進捗状況
ア原告作成の進捗状況一覧表(乙11の4,8,9,11∼15)の記載
(ア)4月分10カットと5月分90カット
a平成18年5月24日時点の集計(乙11の4)
・提出カット/30カット
NGカット/12カット
判定未了カット/18カット
・リテイク1の提出カット/8カット
NGカット/3カット
判定未了カット/5カット
・未提出カット/70カット
b平成18年6月21日時点の集計(乙11の8,追加関連カット1
カットを含む計101カット,以下同様)
・提出カット/89カット
OKカット/5カット
内訳:カット#124(RT07A012),カット#138(RT07A026),カット#
142(RT07A030),カット#247(RT09B004),カット#258(RT09B0
15)
NGカット/79カット
判定未了カット/5カット
・リテイク1の提出カット/49カット
OKカット/4カット
内訳:カット#121(RT07A009),カット#141(RT07A029),カット#
147(RT07A035),カット#151(RT07A039)
NGカット/13カット
判定未了カット/32カット
・リテイク2の提出カット/4カット
判定未了カット/4カット
・未提出カット/12カット
c平成18年6月28日時点の集計(乙11の9)
・提出カット/95カット
OKカット/5カット
内訳:平成18年6月21日時点に同じ
NGカット/79カット
判定未了カット/11カット
・リテイク1の提出カット/68カット
OKカット/4カット
内訳:平成18年6月21日時点に同じ
NGカット/15カット
判定未了カット/49カット
・リテイク2の提出カット/10カット
判定未了カット/10カット
・未提出カット/6カット
d平成18年7月5日時点の集計(乙11の11)
・提出カット/96カット
OKカット/10カット
内訳:〔平成18年6月28日時点後の追加分〕カット#135(RT07A
023),カット#245(RT09B002),カット#246(RT09B003),カッ
ト#249(RT09B006),カット#326(RT10B016)
NGカット/85カット
判定未了カット/1カット
・リテイク1の提出カット/78カット
OKカット/28カット(3カットNGに判定変え)
内訳:〔平成18年6月28日時点後の追加分〕:カット#115(RT0
7A003),カット#117(RT07A005),カット#128(RT07A016),カ
ット#132(RT07A020),カット#133(RT07A021),カット#134(R
T07A022),カット#146(RT07A034),カット#248(RT09B005),
カット#251(RT09B008),カット#254(RT09B011),カット#256
(RT09B013),カット#257(RT09B014),カット#259(RT09B016),
カット#260(RT09B017),カット#312(RT10B001),カット#313
(RT10B002),カット#314(RT10B003),カット#315(RT10B004),
カット#316(RT10B005),カット#317(RT10B006),カット#321
(RT10B011),カット#324(RT10B014),カット#327(RT10B017),
カット#329(RT10B019),カット#330(RT10B020),カット#333
(RT10B023),〔平成18年6月28日時点後の判定変更分〕:カ
ット#122(RT07A010),カット#141(RT07A029)(なお,前記b参
照),カット#147(RT07A035)
NGカット/39カット
判定未了カット/11カット
・リテイク2の提出カット/15カット
OKカット/7カット
内訳:カット#120(RT07A008),カット#126(RT07A014),カット#
130(RT07A018),カット#148(RT07A036),カット#153(RT07A0
41),カット#155(RT07A043),カット#161(RT07A049)
判定未了カット/8カット
・未提出カット/5カット
e平成18年7月12日時点の集計(乙11の12)
・提出カット/96カット
OKカット/10カット
内訳:平成18年7月5日時点に同じ
NGカット/85カット
判定未了カット/1カット
・リテイク1の提出カット/78カット
OKカット/28カット
内訳:平成18年7月5日時点に同じ
NGカット/39カット
判定未了カット/11カット
・リテイク2の提出カット/15カット
OKカット/7カット
内訳:平成18年7月5日時点に同じ
NGカット/3カット
判定未了カット/5カット
・未提出カット/5カット
f平成18年7月19日時点の集計(乙11の13)
・提出カット/99カット
OKカット/10カット
内訳:平成18年7月12日時点に同じ
NGカット/85カット
判定未了カット/4カット
・リテイク1の提出カット/78カット
OKカット/28カット
内訳:平成18年7月12日時点に同じ
NGカット/39カット
判定未了カット/11カット
・リテイク2の提出カット/15カット
OKカット/7カット
内訳:平成18年7月12日時点に同じ
NGカット/3カット
判定未了カット/5カット
・未提出カット/2カット
g平成18年7月26日時点の集計(乙11の14)
・提出カット/100カット
OKカット/10カット
内訳:平成18年7月19日時点に同じ
NGカット/85カット
判定未了カット/5カット
・リテイク1の提出カット/78カット
OKカット/28カット
内訳:平成18年7月19日時点に同じ
NGカット/39カット
判定未了カット/11カット
・リテイク2の提出カット/17カット
OKカット/7カット
内訳:平成18年7月19日時点に同じ
NGカット/3カット
判定未了カット/7カット
・未提出カット/1カット
h平成18年8月2日時点の集計(乙11の15)
・提出カット/101カット
OKカット/10カット
内訳:平成18年7月26日時点に同じ
NGカット/85カット
判定未了カット/6カット
・リテイク1の提出カット/80カット
OKカット/28カット
内訳:平成18年7月26日時点に同じ
NGカット/39カット
判定未了カット/13カット
・リテイク2の提出カット/20カット
OKカット/7カット
内訳:平成18年7月26日時点に同じ
NGカット/3カット
判定未了カット/10カット
・リテイク3の提出カット/2カット
判定未了カット/2カット
・未提出カット/0カット
(イ)6月分250カット
a平成18年6月21日時点の集計(乙11の8)
・提出カット/17カット
NGカット/12カット
判定未了カット/5カット
・リテイク1の提出カット/10カット
判定未了カット/10カット
・未提出カット/233カット
b平成18年6月28日時点の集計(乙11の9)
・提出カット/27カット
NGカット/13カット
判定未了カット/14カット
・リテイク1の提出カット/11カット
NGカット/1カット
判定未了カット/10カット
・未提出カット/223カット
c平成18年7月5日時点の集計(乙11の11)
・提出カット/45カット
OKカット/6カット
内訳:カット#7(RE01F006),カット#27(RT05A013),カット#81
(RT06A045),カット#83(RT06A047),カット#241(RT09A027),
カット#278(RT10A010)
NGカット/21カット
判定未了カット/18カット
・リテイク1の提出カット/12カット
OKカット/5カット
内訳:カット#172(RE08E007),カット#163(RT07B017),カット#
196(RT08B002),カット#277(RT10A004),カット#308(RT10A0
51)
NGカット/6カット
判定未了カット/1カット
・未提出カット/205カット
d平成18年7月12日時点の集計(乙11の12)
・提出カット/58カット
OKカット/6カット
内訳:平成18年7月5日時点に同じ
NGカット/21カット
判定未了カット/31カット
・リテイク1の提出カット/12カット
OKカット/5カット
内訳:平成18年7月5日時点に同じ
NGカット/6カット
判定未了カット/1カット
・未提出カット/192カット
e平成18年7月19日時点の集計(乙11の13)
・提出カット/109カット
OKカット/6カット
内訳:平成18年7月12日時点に同じ
NGカット/21カット
判定未了カット/82カット
・リテイク1の提出カット/12カット
OKカット/5カット
内訳:平成18年7月12日時点に同じ
NGカット/6カット
判定未了カット/1カット
・未提出カット/141カット
f平成18年7月26日時点の集計(乙11の14)
・提出カット/136カット
OKカット/6カット
内訳:平成18年7月19日時点に同じ
NGカット/24カット
判定未了カット/106カット
・リテイク1の提出カット/15カット
OKカット/5カット
内訳:平成18年7月19日時点に同じ
NGカット/6カット
判定未了カット/4カット
・未提出カット/114カット
g平成18年8月2日時点の集計(乙11の15)
・提出カット/222カット
OKカット/6カット
内訳:平成18年7月26日時点に同じ
NGカット/24カット
判定未了カット/192カット
・リテイク1の提出カット/20カット
OKカット/5カット
内訳:平成18年7月26日時点に同じ
NGカット/6カット
判定未了カット/9カット
・未提出カット/28カット(仮提出カット/27カット)
内訳:カット#3(RE01B008),カット#5(RE01D001),カット#166
(RE08C003),カット#169(RE08C006),カット#16(RT05A001),
カット#18(RT05A003),カット#31(RT05A020),カット#58(RT
06A002),カット#62(RT06A014),カット#63(RT06A015),カッ
ト#64(RT06A016),カット#75(RT06A036),カット#86(RT06A0
51),カット#98(RT06B011),カット#99(RT06B013),カット#
180(RT08A012),カット#214(RT08D002),カット#215(RT08D0
03),カット#216(RT08D004),カット#217(RT09A001),カット
#218(RT09A002),カット#224(RT09A009),カット#225(RT09A
010),カット#226(RT09A011),カット#235(RT09A021),カッ
ト#242(RT09A028),カット#243(RT09A029),カット#348(RT1
0E009)(ただし,カット#214(RT08D002)を除く27カットにつ
き仮提出あり)
イ被告作成(平成19年5月時点)の進捗状況一覧表(乙10)の記載
(ア)4月分10カットと5月分90カット
・提出カット/100カット
OKカット/25カット
内訳:カット#121(RT07A009),カット#132(RT07A020),カット#13
9(RT07A027),カット#140(RT07A028),カット#146(RT07A034),
カット#147(RT07A035),カット#157(RT07A045),カット#245(R
T09B002),カット#247(RT09B004),カット#254(RT09B011),カ
ット#255(RT09B012),カット#257(RT09B014),カット#258(RT0
9B015),カット#259(RT09B016),カット#260(RT09B017),カッ
ト#261(RT09B018),カット#315(RT10B004),カット#317(RT10B
006),カット#320(RT10B010),カット#322(RT10B012),カット
#324(RT10B014),カット#325(RT10B015),カット#326(RT10B01
6),カット#329(RT10B019),カット#330(RT10B020)
NGカット/75カット
・未提出カット/0カット
(イ)6月分250カット
・提出カット/199カット
OKカット/22カット
内訳:カット#7(RE01F006),カット#173(RE08E008),カット#174
(RE08E009),カット#23(RT05A008),カット#27(RT05A013),カ
ット#29(RT05A017),カット#34(RT05A024),カット#36(RT05A0
28),カット#50(RT05C002),カット#52(RT05E002),カット#81
(RT06A045),カット#83(RT06A047),カット#163(RT07B017),
カット#204(RT08B017),カット#211(RT08B028),カット#263(R
T09B020),カット#275(RT09E008),カット#276(RT10A001),カ
ット#278(RT10A010),カット#308(RT10A051),カット#348(RT1
0E009),カット#349(RT10E010)
NGカット/211カット
・仮提出カット/50カット
NGカット/34カット
判定未了カット/16カット
内訳:カット#3(RE01B008),カット#5(RE01D001),カット#166(R
E08C003),カット#169(RE08C006),カット#18(RT05A003),カッ
ト#62(RT06A014),カット#63(RT06A015),カット#64(RT06A01
6),カット#86(RT06A051),カット#98(RT06B011),カット#180
(RT08A012),カット#215(RT08D003),カット#216(RT08D004),
カット#218(RT09A002),カット#242(RT09A028),カット#243(R
T09A029)
・未提出カット/1カット
内訳:カット#214(RT08D002)
(4)ミーティング報告書等の記載
平成18年1月から同年8月までの間,原告側の担当者と被告側の担当者
との間でされた各種ミーティングの報告書又は議事録の主要な記載内容は,
次のとおりである。
ア平成18年1月27日「Vキックオフミーティング」(出席者/原告:
α01,α02,α03,α04,α05,α06,α07,被告:β0
1,β02,β03,β04,β05,β06,β07,報告者/α03,
甲12)
「■プロジェクト概要
・実機筐体:5号機パチスロ機。2機種、V1(Ⅰ・Ⅱ中心)・V2
(Ⅲ中心)
・コンテンツ:機動戦士ガンダム劇場版Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(ベースはLD、台
詞はDVD)
・実機筐体:2種、V1(Ⅰ・Ⅱ中心)・V2(Ⅲ中心)〔ママ〕
・プロジェクトアップ:2006年10月アップ(映像のアップ8月
末)
・映像表現:2.5D(3DCGを使用してセルアニメ表現)
・SMC作業範囲:RT部分の演出及び映像制作
■プロジェクトスタッフ
・プロジェクトリーダー:β02氏
・企画:β01氏
・RT部チーフ:β05氏
・映像技術チーフ:β04氏
・プログラム:β08氏
・進行管理:β09氏
・サウンド:β10氏
・管理:β06氏
・他
〔省略〕」
イ平成18年1月31日「Vキックオフミーティング」(出席者/原告:
α01,α02,α03,α04,被告:β01,β02,β03,β0
5,β06,β09,β11,β12,報告者/α03,甲13)
「〔省略〕
■スケジュール、作業内容・工程を確認・検討
・SMCよりの全体スケジュール案を元に検討。
・全体スケジュールでピーク時にはおよそ300人月。
・大規模なプロジェクトとなるため、進行その他、管理体制の強化。
・SMC、RT部分の担当、その他はEPX。
・レイアウト・アニメーション作業はMaya←→中間ファイル←→X
SI←→ジーレブ〔G−DEVのこと〕が確立できてから。3月中旬
を予定。
・SMCでのモデリング作業無し。
・BGは2D。コックピット内等のキャラが操作する部分は3D。
・カメラはほぼ固定。
・作業工程フロー:別ファイル“V作業工程”を参照。
〔省略〕」
ウ平成18年2月6日「Vミーティング」(出席者/原告:α01,α0
2,α03,α04,α05,被告:β01,β02,β05,β09,
β04,報告者/α03,甲14)
「1)RT演出部、内容説明・作業量・作業工程・見積もり確認検討
・1/3は全演出を見れずに当り
・1/4が全編を見られての当り
・1カット4.1秒程度を78程度つなげたものが1ストーリー
・内部を10ステップに区切り、ステップの最後はループ
・SMCにて3本程度の演出たたき台ムービーの作成(アフターエフェ
クトでの尺出し)
ガンダム大地に立つ、ジオンの脅威、ランバ・ラル特攻
(明朝α03の席にて打ち合わせ)
〔省略〕」
エ平成18年2月28日「Vミーティング」(出席者/原告:α03,α
07,α05,α08,α06,被告:β13,β14,報告者/α03,
甲15)
「■RT演出・Vコンテ仕様変更内容確認
・EPXさんから字コンテ受け取り後、SMCにて絵コンテ、承認後V
コンテ作成という流れを、絵コンテ部分削除の方向に変更(1工程削
減)
・ストーリーを追うのは無理があるため、ダイジェスト版、予告編等の
イメージ
・明日18:00目標で連続演出部分字コンテがEPXさんより提出予

・EPXさんより作業工程の確認があり、その中でSMC側とEPXさ
ん側での認識が異なりそれぞれ持ち帰り、契約内容の確認を行う
(EPX:Vコンテ→レイアウト→アニメーション→実機へのエクス
ポートSMC:Vコンテ→レイアウト→アニメーション)
〔省略〕」
オ平成18年3月16日「V定例ミーティング」(出席者/原告:α03,
α04,α07,α06,α09,α05,α08,α10,被告:β0
2,β14,β13,β09,β15,β05,β06,報告者/α10,
甲16)
「1)Vコンテ制作スケジュールドラフトについて
EPXさん作成のスケジュールでは、V1の全て、10カットを23
(木)アップ、連続演出部分は29(水)アップ予定
連続演出部の字コンテを現状2本分しか受け取っていないので、早急に
頂けるよう要請
V2の字コンテが出てくるのが、4月中旬予定とのことで、早めてもら
うように要請(3/29∼4/15まで字コンテ作業休止となるため)
〔省略〕
3)Vコンテ、プリプロ製作についての質疑応答
プリプロ制作用、素材についてやイメージの相違などを確認
mtg.後、プリプロ用オブジェクトデータ資料をEPXβ09氏より
受け取る(プリプロテスト用RT演出“トリプルドム”用に受け取った
モデリングデータに既に足りないオブジェクトが見受けられるため)
〔省略〕」
カ平成18年3月23日「V定例ミーティング」(出席者/原告:α03,
α04,α06,α09,α05,α08,α10,被告:β02,β1
4,β13,β16,β09,β15,β17,β06,報告者/α10,
甲17)
「〔省略〕
2)Vコンテ(V1)について
担当者によるバラつきを統一できるようにする。細かい点の修正はWi
ki〔イントラネット上の電子掲示板のようなもの〕でやりとりして解
決していく。
3)制作について
足りないオブジェクトの制作について、契約内容を確認。
何のオブジェクトかにもよる為難しいが、まだ渡されていないオブジェ
クトがあったので頂く。
〔省略〕」
キ平成18年4月7日午後5時「V仕様ミーティング」(出席者/原告:
α01,α03,α10,被告:β12,β02,β09,β06,報告
者/α10,甲18)
「1)RT
・連続部分の制作はシリコンスタジオにFIX
・まとめて1000カットの契約は、出来るか不安があり結びたくない
旨を伝える。V1を6末FIX、V2を8末FIXという方向で話を
進める。そのためにも4月の成果物はV1RT07の50カットをF
IXさせることをepx側は希望。エフェクトにどれだけの日数が必
要かまだ測れないため、次回のミーティングまでにRT07のカット
数と人員が測れる表を作成しepx側へ提示することになった。
・契約を結ぶ上でepx側としてはアサインがわからないと詳細が決め
られないので、10(月)の午前中までにアサイン表を作成し提示す
ることになった。
・外注先が更に外へ発注する場合、NDA〔秘密保持合意のこと〕はe
pxと結ぶ必要はないとのこと
・前回紹介頂いた3社と、12(水)13(木)の17:00以降に時
間を設けて話をすることになった→α01とβ09氏で日程を決める。
・どこのカットを作業するかは、来週いっぱいには決定できるとのこと。
早く決定すれば、早い段階で外注へ指示できて助かる旨伝える。
〔省略〕」
ク平成18年4月21日午後3時「V仕様ミーティング」(出席者/原告
:α02,α03,α07,α05,α10,被告:β12,β02,β
09,β06,報告者/α10,甲20)
「①Vコンテ契約書受け渡し
完了
②全体のロードマップ
③制作上の問題点について
②③まとめると、現状予想以上のモデリングの量と実機上での不具合が
生じ作業が難航している。smc側では当初予想していたモデルを弄る
量をはるかに超えているのだが、β09氏は始めからその作業量を見込
んで話を進めていた。実機上の問題も、仕様書通りに設定すれば実機に
あがることにはなっているので表示されないのはこちらがどこか間違っ
た設定になっていると基本的には考える。
不具合はその場その場で解決し、先々効率良く作業が進む方法を見つけ
ることを優先する為、当初予定していた19カットを無理にあげるので
はなく中身のあるカットをあげ今後につなげていく。smc側ではもう
一度作業量を見直しアサインを組みなおす。
→アサイン表は遅くとも月曜日には提出する
smcからepxへは上記のような問題を懸念し再度契約の完了を強く
求めた。
④委託先について
上記のような問題もあり、作業始めは稼働率が30∼40%だというこ
とを委託先へ必ず伝えること
その他
RT契約について
現在の状態6月末で500カット納品は現実的ではないのでsmcから
は再度6末250カット、7末250カット、8末500カット契約を
要望。しかしepxではスロットの調整期間の問題もありV1を6末u
pさせたいため6末500カット希望。次回へ持ち越すことになる。
RT制作カットについて
25(火)には決定しシートが完成する予定。当日打合せの場を設ける。
時間は未定。
サンライズへのアプローバルについて
随時行う予定である
以上」
ケ平成18年4月25日午後4時「Vグラフィックミーティング」(出席
者/原告:α03,α10,被告:β09,β05,β18,報告者/α
10,甲22)
「1)実機のどこまでのデータを作成して納品すれば良いのか?
・Mayaデータ
・実機出力できるデータ
・テクスチャー(psd、tga両方)
2)モビルスーツは自動影にするのか?
・モビルスーツはほぼ自動影でおこなう(描かなければいけないところ
も少しはある)
→<β09氏>影のないものもあるが、今からサンライズに発注するこ
とは現状難しいため、出来れば自動影でいきたいとのこと。
→<β05氏>ドムも実際自動影だが、いけないこともない
3)アニメーションのループ機能の追加を提案
・できるだけもう実機にデータを追加したくない為、ソフト上で出来る
方法があるためそれを使うことでまとまる
〔省略〕
6)プログラムの対応日数を明確にいただけないでしょうか
・レベルに応じているため明確には言えない。優先的には見ている。
〔省略〕」
コ平成18年4月26日午後4時「V定例進捗ミーティング」(出席者/
原告:α03,α10,被告:β02,β17,β06,β09,報告者
/α10,甲23)
「1)進捗状況確認、現状遅れの改善について
現状の進捗状況、並びに遅れている原因(※“ProjectVR
T作業の遅延原因報告書”参照)を説明する。明日(4/26〔「2
7」の誤り〕木)の契約mtgで問題点、解決策を提出することを伝え
る。
アサイン表通り人がいれば出来るかというと現実的にはそうではなく、
慣れるまでにかかる時間の問題、各パート同士のヤリトリの時間などの
問題もある。β09氏、β02氏ともに、一人の人が各パート出来るよ
うにならないと1000カットは難しいと考えている。内部でも1日設
定してレクチャーを行う方向で話が進んでいる事を伝える。
β06氏から、今後現場レベルで1000カットが現実的ではないとい
うのが見えてきたら早めに伝えてほしいと求められる。
2)その他の確認事項
①チェック体制
epxのチェックは完全にエフェクトまでついた状態でおこなうこと
をβ09氏に確認。
②4月の成果物について
契約上決まりはない為、出来たところまでを5/1(月)の朝β09
氏にチェックしていただくことに決定する。
〔省略〕
※お互いリカバリープランを立てなければいけないことを判断するのが遅
かったことを反省。明日(4/26〔「27」の誤り〕木)の契約mt
gの場で話しあい対策を考えることになる。
以上」
サ平成18年4月28日午後5時「V仕様ミーティング」(出席者/原告
:α02,α03,α01,α11,α10,被告:β12,β02,β
09,β06,β17,報告者/α10,乙20の1)
「1)進捗状況、問題点について
現状作業が遅れていることに対して、α03から原因を説明。
(ProjectVRT作業の遅延原因報告書参照)
・全体の半分のカットが一人、1日でできる簡単なカットの為、そこで
時間をかせいでほしい
・エフェクトも簡単なものであれば1パターン1時間で終わる(epx
様では自動でポリゴン化してくれる機能を使用している)
上記の内容をβ09氏から言われ、手を抜くところは抜いて、人数かけ
ている分カット数こなしてほしいと言われる。
SMCは真面目にやりすぎている。例えばキャラクターでもまゆげにダ
〔ママ〕ボーンを入れてそこだけ動かして、要は劇画と似ていれば良いの
である。
・その際に作業点で確認したこと
①5月から作業する制作カットはRT09大西洋とRT10ジャブローの連続
部分に決定。RT07と合わせて合計100カットになる。5/19
(金)納品予定。5月後半残りでリテイクをおこなう。
②液晶の持ち出しはやはり出来ない為、外注会社の6階立ち入りを許
可することになった(epx様とNDAを結ぶ)
③ファイル名変更、シーンナンバーとステップの間にアルファベット
が入る。
「RT07001→RT07A001(Aがステップ∼、Bが連続部分)」
2)契約について
SMCが示したアウトプット表
4月5月6月7月8月合計
v1−011050190250
v1−024060150250
v2−01100150250
v2−0250200250
制作カット1090250300350
(月別)
契約カット6末350カット8末650カット
現場目標6末400カット8末600カット
Epx様は6末にV1を終了させたいため(早く調整にまわしたい為)
6末500カット、8末500カットを希望されている。上記の表にあ
る〔赤色〕の150カットは7/14納品希望である。
外注様との交渉について
現状どこの会社もsmc−epx間よりも高い金額を見積もり出してき
ていることを伝える。Smcとしては修正期間や管理費などを考え3割
はsmcの取り分としたい旨を伝え理解を得られた。
ベックに10万と提示したのは、あくまで営業的な交渉であり、本当に
10万でやってもらおうとは思っていないと伝えた。そしてベックの提
示した金額が想定外の金額であり、出来高制を希望されているため、今
回契約はしないことをβ09氏へ伝え了解を得た。
万が一1000カット契約の話が変わる場合
通常2ヶ月前には報告があるもの。そのため5月末までに連絡をする約
束にしたい旨を伝える。その約束については後日β06氏からα02へ
どうするか連絡があることになった。
以上」
シ平成18年5月2日午後4時「Vグラフィックミーティング」(出席者
/原告:α03,α05,α01,α07,α09,α12,α10,被
告:β09,β05,β18,β12,報告者/α10,甲26)
「1)修正の説明
β05氏よりシートを見ながら支持〔ママ〕がある
今後のサンライズの修正などのポイントとして・・
動きを詰めてくれと言われる可能性が高い(厳しく言ってくるところで
ある)、それをはじめからふまえておいてほしいとのことである。
“ためる感じをだす”つまり、アニメーションカーブ上でスタートフレ
ームからエンドフレームの間をなめらかなカーブを描く動きではなく、
始めの何フレかは動かさず、途中から直線的なカーブを描くような動き
にする。これを頭に入れてほしいとのこ〔ママ〕である。
影の設定について
・劇中にも支持〔ママ〕にもない影は、基本的には1つ影。
・サンライズに指示されることなので、epxで一概にはっきりと言え
ない。なので、影もその後2段つけなければいけない指示がくること
もある。
※今後サンライズから、モーション、影、色を見る人がそれぞれ週
一でディレクションに来る予定。そこで確認できるようになるだろ
う。
※あやしいカットはリスト化して提出(その予定であったがリスト
化するよりも他のシーンを参考にして作業をすすめたほうが1カッ
トでも多くあがるのでリスト化はおこなわないことにした、α05
よりβ09氏へ連絡済)
今後、ガンダムのあごの色が違っていた為、テクスチャーが差し替えにな
る予定である
〔省略〕
その他の質問
①キャラクターアップも、モデルを実機に上げてキャプチャーして調節し
てはだめか?
→このプロジェクトの根本が‘3Dで作る’ということなので、それでは
意味がない。安全ではないのでやめた方が良い。また、そうなるともっと
クオリティを求められてくる。そして作り方の定性は整えていきたい。動
かないところのボーンを取ることは構わない。モデル以外は他で調節して
も良いので、モデルだけは3Dでおこなうこと。
→セットアップを見直してみる
〔省略〕」
ス平成18年5月9日午後6時「Vグラフィックミーティング」(出席者
/原告:α03,α05,α01,α02,α09,α07,α10,被
告:β09,β05,β18,β17,報告者/α10,乙6の2)
「進捗状況確認
smcから現状報告
・5月に入ってから手をつけているカットは外注含めて合計34カットに
なる。実機にはまだあげていない。渋谷のメンバー増員を報告。
β09氏より出来上がり次第あげていってほしいと伝えられる。
〔省略〕」
セ平成18年5月10日午後4時「V定例進捗ミーティング」(出席者/
原告:α01,α02,α03,α10,被告:β02,β17,β09,
報告者/α10,乙20の3)
「1)進捗状況報告
現状は週報を提出。それとアニメーションを割り振ったスケジュールを
提出し、5/19までに90カットの納品は出来ないがスケジュールの
通り5月末で100カットをあげる。(060510Vスケジュール.xls参
照)了承頂く。
しかし、β02氏はカット数もだがクオリティも心配。β09氏もクオ
リティがあがらないとディレクションする人数が多くないので、今月の
100カットまでのリテイクで吸収ししてほし〔ママ〕とのことである。
SMCでは回転が良くなるのは6月中旬くらいを見込んでいる
19日で50カットあがりそうか早い段階で判断し報告する。
随時遅れそうな時は連絡を入れてほしいとの要望
〔省略〕
その他
・β09氏に紹介頂いた外注さんを使わない方向になった。その為断り
の方法をβ12氏に確認中であることを報告
〔省略〕」
ソ平成18年5月16日午後5時15分「V臨時会議」(出席者/原告:
α01,α03,α02,α10,被告:β02,β09,β17,β1
2,β06,報告者/β06,乙1)
「1)『VRT作業遅延原因報告書.doc』の記述内容の再確認
(確認内容)
・『VRT作業遅延原因報告書.doc』の内容にある遅延原因(=問題
点)については下記の理由により現状では問題はない。
・『VRT作業遅延原因報告書.doc』については変な誤解を生む可能
性があるため、SMCの方で資料の提示を取り下げることとなった。
(理由)
・4月のプリプロ初期の問題点のため、その後にSMC、EPXの両
者が共同で問題解決に取り組んだため、現在ではほとんど解決され
ているものである。
・5/16現在において解決していない問題点についてはグラフィッ
ク会議でSMC、EPXの両者で認識しており、対応中である。
今後の予定
・EPX社内で『VRT作業遅延原因報告書.doc』の内容を確認した
メンバーに対しては、本会議内容をフィードバックし、認識を改める
調整を行う。
以上」
タ平成18年5月16日午後6時「Vグラフィックミーティング」(出席
者/原告:α03,α04,α01,α02,α07,α06,α10,
被告:β09,β05,β18,β06,報告者/α10,乙6の4)
「進捗状況確認
SMCから現状報告
・SMCで作業を進めているものが30カット、外注協力会社で進めて
いるものが20カットの計50カット。
・本日中に実機出しを予定しているものがSMC3カット、外注協力会
社が9カット。
・レイアウト、アニメーションが80%以上出来ているものが21カッ
ト(エフェクト待ちが多い)。
〔省略〕」
チ平成18年5月17日午後4時「V進捗報告ミーティング」(出席者/
原告:α01,α03,α02,α10,被告:β02,β09,β17,
β12,β06,報告者/β06,α10,乙20の19)
「1)進捗報告
5/19(金)予定の48カットの全体的な進捗は50%
・アニメーション(80%)
・レイアウト(80%)
・エフェクト(50%)
・美術(70%)
・実機にあげられていない現状から進捗状況は50%となる
今後の予定
・5/19(金)の時点で実機表示可能なカットは20カットの予定。
(20カットの中には外部発注分のリテイク後カットも含む)
・5月末に100カット(4月分:10カット、5月分:90カット)
を完了させることに変更はない。但し、提出して頂くクオリティに関
してはα03さんの判断基準でOKであると判断されたものとする。
・6月分の発注内容については、EPX側で制作の優先順位を付けてい
くことを確認した。連続部分(B)からを優先すること。
その他決定事項
・まとめてカット提出→確認ではなく、毎週金曜日にカット提出→確認
を行うことをグラフィック会議で決定した。
・今後の物量を踏まえると、今後SMCさんで質の高いディレクション
を行って頂く必要があるが、EPXが細かいチェック可能なのは5月
分の100カットになるため、映像の品質基準やノウハウなどは今月
中に対応して頂く。6月以降はSMCさんのディレクションの質を高
めて頂いて、EPXのチェックとしては細に入り過ぎない程度でチェ
ックを行っていく予定である。
・制作上、迷っているときや疑問があるときにはβ09もしくはβ05
に随時で構わないので確認する。
・テクニカルな部分など不明な点があるときはグラフィック会議や随時
EPX側担当者に問い合わせて頂く。
・カットチェックは10カット程度まとまった段階で随時EPXへ提出
して頂く。
・来週5/22にサンライズによるカットのラッシュチェックを開始さ
せるため、γ02さんとγ01さんが来社される予定。アニメーショ
ンの方向性などの指針やカットチェックのタイミングなどを調整して
いく予定。
・その際はSMCさんからα01さん、α03さんを始め美術担当メン
バーなど、必要メンバーの方はご参加頂く予定。
・サンライズのチェック体制としては、γ02さんとγ01さんは演出
チェック、γ03さんはキャラクターチェック、γ04さんは色彩チ
ェックの予定。アニメーションに関しては全員が監修する予定。
・液晶の貸し出しは不可であることを再確認した。
・進捗報告会における資料としては、今後は工程ベースではなく、カッ
トベースで把握できるものにしていく。
2)GC上での映像確認
・実機にあがっているカット(まだ納品レベルではないもの)RT07A00
6、007、029、035、036、037、038、039、040、041、042、043、044、
RT07B021、合計14カットを確認させて頂いた。
以上」
ツ平成18年5月23日午後3時30分「V契約交渉会議」(出席者/原
告:α01,α03,α02,α10,被告:β02,β06,報告者/
β06,甲35)
「1)契約書の締結手続きについて
・下記の3つの契約書についてEPXから調印済みの契約書をSMCへ
手渡し、契約手続きが完了したことを確認した
>>基本契約書
>>個別契約書(1)
>>個別契約書(2)
〔省略〕
2)個別契約書(3)V1−2の契約内容について
・6∼7月の2ヶ月間で計250カットを制作する
・納品時期は6月末:100カット(中間納品)、7月末:150カッ
ト(最終納品)とする
・EPXから契約書のドラフトを作成し、SMCへ提示する
・契約書上の制作期間は7月末までであるが、リテイク作業が発生した
場合は検査合格通知書が発行されるまでSMCで対応することを確認
した
・なお、最終の支払についてはリテイク作業終了後、検査合格通知書が
発行されるまではEPXは手続きできないことを確認した
3)今後のV2の見通しについて
・契約手続きについては、5月分の100カットの制作実績を踏まえ、
6月第1週目にEPX、SMCの両社で協議し決定していくことを確
認した
・SMCのアサイン予定では8月末までとなっているが、7∼8月の2
ヶ月間で計500カットを制作する予定である
・納品時期は7月末に中間納品、8月末に最終納品とする
〔省略〕
4)今後のSMC作業内容の再確認について
・今後の作業内容にはクオリティアップの修正だけでなくリダクション、
ループ作成などの調整も入ることを確認した
・新規カットについては、サンライズにコンテ作成して頂き、そのコン
テをベースに仮レイアウトをCG上で作成し制作を進めていく
・新規背景については、CG上で作成したレイアウトを基に、サンライ
ズで背景制作を行い、仮あて背景で制作しているカットに差し込む
5)カットNo.RT07B021の取り扱いについて
・対象となるカット(RT07B021)の取り扱いについては個別契約書
(1)のカットには含まないことを確認した
・明確な過失がどちらにあるかではなく、EPXとSMCの双方に注意
が不足していたことを確認した
・今後はプロデュースサイドと制作サイドで共通認識をもって間違いが
ないように進めていくことを確認した
・発注シートはプロデューサーが必ず書面でやり取りを行い、現場のデ
ィレクター同士でやり取りが行われた場合も必ず双方のプロデューサ
ーに報告し、データを渡すこととする
〔省略〕」
テ平成18年5月23日午後5時「Vグラフィックミーティング」(出席
者/原告:α03,α04,α07,α06,α01,α02,α09,
α10,被告:β05,β18,(途中参加)β09,報告者/α10,
乙6の5)
「①リテイク内容について下記の内容を言われた
・動きについて、カクカクしているのが多い。以前に説明のあったタメ
の動きをするようにしてほしい
・動きを止めてみるとポリゴンが変形するカットがある(サンライズ様
が動きを止めてみる可能性があるので修正した方が良い)
・セイラの髪の動き
・爆発とモビルスーツのシーンに関しては、動きをモビルスーツに合わ
せてほしい
・背景が違うものがあった→新しい背景を頂いていなかったので後ほど
頂く
本日よりリテイク指示が順にあがる予定である
〔省略〕」
ト平成18年5月24日午後4時「V進捗報告ミーティング」(出席者/
原告:α01,α03,α02,α10,被告:β02,β17,β06,
報告者/β06,甲39)
「1)進捗報告
・本日アップされたものは8カット、4月からトータルで30カットア
ップ済み
・今後の納品予定については下記の通り
>>5/26・・・25カット
>>5/30・・・20カット
>>5/31・・・26カット(内、3カットは保留となったカット
の代替カット)
合計で101カット納品予定(アップ済み30カット+上記71カ
ット)
・リテイクは必ずあるが、その対応は6月中に行う予定
・進捗0%のカットは来週(5/29週)アップ予定のものであり,1
週間に1カットあがる予定なので問題はない
2)今後の制作体制
・100カットを制作していく中でエフェクトに時間がかかることが判
明したため、アニメーターとして考えていたリソースをエフェクトに
回すことで効率的にカット制作を進める予定
・チェックするEPX側もリテイク作業を行うSMC側も月末に一括で
対応となると苦しくなるため、今後は10カット程度のまとまった数
でEPXに随時アップしていく予定
・Vにアサイン予定のメンバーの合流が延びているなど不確定要素があ
るが、必要に応じた新規アサインなどでカバーしていく予定
・SMCから特殊カットと新規作成カットについては別スケジュールで
進めていきたいとの要望があったが、進め方について具体的な提案を
頂いた後にEPXで検討し、決定していく予定
3)制作上の確認事項
・現状の仕様でループが確定しているカットがあれば事前にSMCへ連
絡する
→但し、今後の調整でループとなるカットが新規発生する可能性があ
ることは誤解がないように再確認した
・再委託先への発注分に関する調整についてはSMCで対応する予定
・ROM上、メモリ上の問題でリダクション作業が発生する可能性があ
るが、その調整作業がSMCで発生することを再確認した
・クオリティの底上げについてはフィードバック結果をもとに修正作業
を行い、今後のカット制作に活かしていく予定
・SMCでは組織上、チーフ(ディレクション担当)がいるので、チー
フがクオリティレベルを把握し、また制作を進めていく上で得たノウ
ハウも吸収しているため、新しいメンバーがアサインされても問題は
ない
4)今後の検討事項
・(前回の会議内容の再確認)今後SMCで質の高いディレクションを
行うため、今回の100カットに関してはEPXが細かいチェックを
行い、映像の品質基準やノウハウなどをSMCへディレクションする
が、6月以降についてはSMCがEPX基準の品質でディレクション
して頂く
・その際、品質に関する最終的な責任者はα03さんになる
・今回の100カットに関しては6FにEPXのディレクションメンバ
ーが来て、画面を見ながらやりとりをするといった対応も考えられる
が、必要があればSMCからEPXへ連絡することとする
〔省略〕」
ナ平成18年5月29日午後8時「V進捗報告ミーティング」(出席者/
原告:α03,α10,被告:β17,β06,報告者/β06,乙6の
6)
「1)5月分に関する進捗報告と今後の見通し
・5/26(金)提出25カット予定であったが、29日の朝時点で新
規17カットの提出であった
・残りの8カットについては本日中に終了させ、合計で25カットあげ
る予定
・5/30(火)は20カット、5/31(水)は26カットの予定に
変更はない
・5月分に関しては5/30(火)は20カットを下回ることになりそ
うだが、その分を5/31(水)に上乗せする予定
2)6月以降に関する今後の見通し
・6月分に関しては19日で180程度を提出し、25日に残りカット
を提出し、残りの期日にリテイクの修正作業を行う予定(期日設定は
するが、その日に一括で提出ということではなく、あくまでその日ま
でにその数が揃っているということ)
・5/30(火)15:00からSMCとの打合せがあるが、そのとき
にα02氏から詳細説明を行う予定
・5月分の提出に対するリテイク率は半分以上になる可能性があるとの
ことだが、6月以降のNGテイクは10%に留めるようにする
〔省略〕」
ニ平成18年5月30日午後3時「今後の体制について」(出席者/原告
:α02,α03,被告:β12,β06,報告者/β06,甲43)
「1)6月以降のスケジュール及び体制について
・現時点では不確定な部分(リソースのアサイン等)があるが、6月末
納品を実現するスケジュールに今後も調整を進めていく
・なお、再委託先のしいたけデジタル、CGR、アスペクトのスケジュ
ールも提示頂いた
・なお、現時点での全体スケジュール、再委託先スケジュール(×3)、
アサイン表についてはSMCよりEPXへ送付頂く
・新たな再委託先の検討については進展があり次第ご連絡を頂く
2)V1−2の契約について
・SMCより見積書を提示頂き、状況説明をして頂いた
・単価については大きく変えることは確実にできないことをSMCに伝
えたが、今後の検討課題として、次回の交渉の場で検討することとす

・上記単価が変更できない場合、カット制作(リテイク含む)以外に作
業が予想される調整作業(ループ他)について別途費用が発生する旨
をSMCより伝え、次回MTGまでにEPXにて検討する
・次回の交渉は6/1(木)17:00∼18:00とする
3)V2について
・V2については制作する方向となり、V1とあわせ1、000カット
にてFIX。
以上」
ヌ平成18年5月30日午後4時「Vグラフィックミーティング」(出席
者/原告:α03,α04,α07,α06,α01,α02,α09,
α10,被告:β09,β05,β18,報告者/α10,甲44)
「制作難カットについて(RT09B018∼RT09B020)
β18氏より、来週に作り方がまとまるとのことである
その他の制作方法の質問
・マントの動きに合わせた影の作成について
→現状マントの動きを決めてからテクスチャーで作成するしかない
※マントの動きに関しての制作方法は未決定
・カイのカットインについて
→2Dの元絵を作成し、テクスチャー名をカットインだとわかるよう
にしておく「それでテクスチャー名が9文字になってしまっても問
題はない」
・オーバーラップのシーンについて
→基本的に透明に出来るのはひとつだけのため、ミハルだけを3Dに
して周囲にキャプチャーしたものを2枚用意しミハルをはさんで中
で動かす。そして前面の絵を透明にする。
→カイの座っているシーン(回想シーン)については本当に必要なカ
ットかどうかβ09氏から企画担当に確認して頂くことになった。
下記の2点をβ05氏より確認された
・モビルスーツの影についてはサンライズ様もうるさいだろう
・サンライズ様からのカラーチャートに合わせていても修正を依頼され
ることがあるだろうが,それは致し方ないことである
以上」
ネ平成18年6月1日午後4時30分「V進捗報告ミーティング」(出席
者/原告:α03,α01,α02,α10,被告:β02,β06,β
09,β17,報告者/α10,乙6の7)
「1)5月提出カットについて
・6月発注のカットを先にあげていってしまったため、5月発注の中で
未提出の14カットを最優先カットとし作業をおこなう。EPXも確
認作業を行えず困るため。(特にドムとアムロのカットを優先とす
る)
・RT09B018、RT09B019、RT09B022のオーバーラップを使用する3カット
については5月中の提出分ではなく、6月分として捉えることとする
・上記3カットの代替としてはアムロとドムのカットを優先して検討す
ることとし、SMCの方で決定した3カットをEPXへ連絡する
・作業途中と見受けられるカットがいくつかあったとのことで、SMC
側でどのカットか検討〔ママ〕がつかないためβ09氏に確認していた
だくこととなる
・5月提出カットのリテイクは6/16までにEPXがOKと判断した
カットを提出する(ミハルの回想シーンの3カットは6/19までか
かることを報告)
2)6月提出カットについて
・毎週月曜に、先週提出カット数と今週提出予定カット数をα10から
EPXへ報告することとする
・6月分の250カットについてはSMCのディレクションでOK率を
90%に持っていくこととする
〔省略〕」
ノ平成18年6月1日午後5時30分「V契約交渉会議」(出席者/原告
:α01,α03,α02,α10,被告:β09,β17,β06,報
告者/β06,甲45)
「1)パチスロを制作する上での映像調整(ループ対応など)の取り扱いに
ついて
・EPXとしては交渉を進めていく中でパチスロとしての映像調整は必
ずあるという説明をSMCにしてきたが、SMCとの認識に差異があ
り、説明はなかったとの認識で双方に差異がある
・SMCでは3月の見積りの時点では映像調整は考慮に入れていないと
の認識とのことだが、3月に契約交渉を開始してから5月末に契約締
結するまでの間に何度も映像調整の話はしており、3月時点での認識
は理由にならないことを伝えた
・議事録作成を開始してからでは5/23(火)に開催した契約交渉の
場でも映像調整の件はEPX、SMCで確認を行っているが、その場
ではSMCに認識がなかったため、SMCで確認後に改めてEPXへ
連絡することとなった
・EPXからは4月、5月のあまり効率的ではない時期の実績値をベー
スとして今後の予定を考えるのではなく、今後の生産性の向上を踏ま
えて今後の予定を検討して欲しい旨を伝えた(トータルでは1,00
0カットという大きなボリュームの発注になるため、ノウハウや経験
を活かして効率的に捌いていくことで対応して欲しい旨を伝えた)
・SMCとしてはSMCで修正対応が可能な範囲を超えてしまう場合は
今回の個別契約とは別のものとして考えたい
・SMCでは修正対応が可能な範囲は1,000カットの10%の10
0カット程度で考えている(制作期間の最後の方に準備している修正
要員で対応できる範囲内であれば問題ないが、それを超えるようだと
対応は難しい)
・パチスロを制作する上での映像調整(ループ対応など)は修正に必要
な工数とSMCで対応可能な範囲との見合いになる
・映像調整に関する取り扱い方針については、お互いが持ち帰っての検
討課題となった
【補足事項】
・パチスロとしての映像修正については実機にのせてから明確になる部
分もあるため、ある程度の映像修正は後に発生することになる
【確認事項】
・EPXはループ対応が必要となるカット数については概算で算出する
・SMCは5/23(火)の契約交渉の議事録を確認し、改めてEPX
へ連絡する
2)今後の検討課題について
・映像制作と映像調整を別の契約として明確にすることを検討する
・映像制作の単価設定を変更し、例えば現状の単価20万円の内、映像
制作の単価を18万円、修正分の単価を2万円といった形で分割して
別契約とする案も考えられる
〔省略〕」
ハ平成18年6月6日午後4時「V契約交渉会議」(出席者/原告:α0
1,α02,被告:β12,β06,報告者/β06,甲48)
「1)パチスロ用映像としての調整作業の契約上の取り扱いについて
・現在SMCが制作しているのはパチスロ用映像であることは間違いな
く、それに準じたものがVコンテであり、OLも制作して頂いた経緯
も踏まえ、パチスロ用映像としての調整作業には協力頂きたい
・現状の契約内容にパチスロ用映像の調整作業が含まれることは共通の
認識であることを確認した
・個別契約書の表記は現状のままであるが、パチスロ用映像としての調
整作業については別途、確認書(あるいは覚書)で確認を行う(V1
−1、V1−2)
2)パチスロ用映像としての調整作業について
・Vコンテが映像制作の仕様書となることを再確認した
・ループ対応箇所についてはVコンテの制作依頼時にシーン説明書にて
説明しており、現時点では映像制作の仕様書となるVコンテとシーン
説明書に準じた形でループ対応があるということを再確認した
・ループ箇所については最大で250カット程度になるが、EPX社内
においてループ作成の指針を確定させるべく検証作業に取り掛かって
いる
・ループ対応箇所だけでなく、どのようにループさせるかといったルー
プ作成の指針が確定次第、工数の見積りを行っていく
・SMCでは吸収できる範囲内では対応するが、無尽蔵に調整するのは
難しいので、対応する作業については要相談とする
・また、映像のクオリティアップを追求する工数とループ対応の工数の
バランスを取りながら作業内容を協議する必要がある
3)その他
【V1−2について】
・当初は着手金の支払は6月であったが、上記のパチスロ用映像の修正
作業についての認識を合わせてからの契約締結となるため、6月中で
の経理処理は困難であるため7月中の支払とさせて頂きたい
→SMCの方で持ち帰り、経理に相談した上で返答を頂く
【5月分の提出について】
・5月分の100カットについては、先に確認している6/16(金)
を期限としてEPXチェックでOKとなったカットを期日通り提出す
ることを再確認した
【6月分の提出について】
・6月分の250カットについては、先に確認している6/23(金)
を期限としてEPXチェックでOKとなったカットを期日通り提出す
ることを再確認した
・但し、6/5(月)、6(火)にOK率を90%とするためにリスケ
ジューリングしているため、6/7(水)のSMC進捗会議にて改め
てSMCより説明を頂き、EPX、SMCが協議の上、今後のスケジ
ュールを決定していくこととする
以上」
ヒ平成18年6月7日午後4時「V進捗報告ミーティング」(出席者/原
告:α01,α03,α10,被告:β09,β12,β17,β06,
報告者/β06,乙20の8)
「1)6月提出カットについて
・SMC社内での内部リテイクの期間を考慮したスケジュールで進行す
ることによって、EPXへ提出するカットはOK率90%を確保する
・6/12(月)までに提出して頂く予定の31カットについては、早
い段階でOK率の確認を行い、今後の見通しが適切かどうかの判断を
行うこととする
・クオリティレベルについては、EPXとしてもサンライズのOK基準
を探っている段階であるが、SMCからのクオリティレベル(EPX
のOK基準)の要望はEPXへ伝達済みである
・現状はEPXのOK基準で対応して頂き、今後予定しているサンライ
ズチェックにおいてOK基準を明確にしていくこととする
・6月の懸念事項としては手間のかかるキャラクターカットが多いこと
であるが、今回は少し長めに制作期間を設定することでOK率90%
確保を目指している
・今回提示して頂いたスケジュールでは6月最終週に110カットの提
出するようにみえるため、実際の制作スケジュールに合わせて各週に
提出カットをおしなべて表記し、リスケジューリングしたものを改め
てEPXへ提出して頂く
・提出カットのおおまかな目安としては6/16(金)までに100カ
ット、6/23(金)の週に100カット、最終週である6/30
(金)の週に50カットの予定で制作していく予定
2)5月提出カットについて
・リテイク作業中のカット、新規カット(13カット)を含め5月発注
分100カットについてはEPXチェックでOKとなったカットを6
/16(金)までに提出することを再確認した
・修正が完了したカットについては10カット程度のまとまりで随時に
EPXへ提出した〔ママ〕頂き、回転よく捌いていくこととする
2)〔ママ〕その他確認事項について
【納品について】
・納品フォルダに指定した形式で納めて頂いた時点で納品とする
・PSDデータなどは今後の色味調整等も考えられるので、Work用
としてデータは保存しておくこととする
〔省略〕」
フ平成18年6月13日【第1部】午後3時,【第2部】午後4時「V契
約交渉会議」(出席者/【第1部】原告:α11,α01,α02,α0
3,被告:β02,β01,β09,β12,β17,β06,【第2
部】原告:α01,α02,α03,被告:β12,β06,報告者/β
06,乙20の9)
「【第1部】
1)現状の進捗状況と今後の打開策について
・6月分の新規制作カットについては、5〔「6」の誤り〕/12
(月)10:00に提出予定であった31カットは5〔「6」の誤
り〕/13(火)の時点では提出されていない
→先週の時点ではSMCには5月分のリテイクカットと6月分の新規
制作カットを両立させるためのスケジュールを引いて頂いたが、E
PXβ19社長との討議を行った結果、5月分のリテイクカットを
最優先することにしたため、今週6/16(金)までの作業はリテ
イクカットの修正作業に集中することを確認した
・5月分91カット(9カットはOK)のうち、85カットについては
6/16(金)の午前中までに提出する予定だが、残り6カットはク
オリティが達しない可能性があり、見通しは不明である
→現在の制作方針で問題がなければ6/16(金)に提出する
・SMC内部リソースが今週中に作業を予定していた新規制作カットに
ついては、リテイクカットに注力することによって対応できなくなる
が、その押し出された新規制作カットについては再委託先に依頼をす
る予定である
・渋谷SMCの視察結果と提出カットの実績を踏まえ、EPX、SMC
の両者で制作方針や今後の見通しについて討議した結果、現状のまま
では納期を落とす可能性が非常に高いことを確認した
→6/14(水)の進捗会議の場でSMCより打開策(制作体制やス
ケジュールなど)とそれを裏付ける根拠(裏づけ、エビデンス)を
提示して頂く
→その際に6/16(金)の午前中までに提出する5月分のリテイク
カットについては日ベースのスケジュールを提出して頂く
・制作の基本方針としえ〔ママ〕は7月末までにV1−1、V1−2合わ
せて500カットを達成することに変わりはない
2)V1−1の納期遅延の対処について
・中間納品、最終納品共に納期を1ヶ月ずらすこととする
→中間納品:5月分100カット(旧)5/31→(新)6/30
→最終納品:6月分150カット(旧)6/30→(新)7/31
※会議中では最終納品の納期は6月末のまま変更はしないとの結論に
至ったが、その後にEPXβ12−SMCα02の間で再調整を行
い、上記結論に至った
・納期遅延の覚書については早急に対応することを確認した
・V1−1の6月分150カットについては、先にEPXからSMCへ
提出している発注内容の250カットの内、EPXが指定している優
先順位通りに制作して頂く
・但し、SMCからの要望についてはEPXとの事前に協議を行うこと
で調整は行っていくこととする
・RT09B018、RT09B019、RT09B022のオーバーラップを使用する3カット
については、V1−1ではなく、V1−2の取り扱いとできるかをE
PXで検討することとする
【第2部】
3)V1−1、V1−2に係る業務内容の確認書について
・確認書のドラフトをEPXよりSMCへ提示することとする
4)V1−2の納期設定について
・現状の予定からは変更なく、7月末までに映像素材を500カット提
出、8月中にパチスロ用映像としての調整作業を完了させる予定とす

・但し、V1−1の大幅な遅延状況もあり、慎重に対処する必要がある
ため、契約上の納期はバッファをもった期間で設定することとする
・納期変更により支払サイトも当初の予定からは変更される
5)V1−2の着手金について
・前回の契約交渉にて確認をお願いしているV1−2に係る着手金(6
月末払い)を7月末に延期する件については、交渉を締結できていな
いこともあり、SMCには了解して頂いた
6)V2の制作スケジュールについて
・V1を最優先させる必要があること、V1−1が大幅に遅延している
状況、V1−2での制作状況等を踏まえ、当初予定していた7∼8月
という制作期間ではV2の制作は困難であるため、制作開始を延期す
ることを確認した
・V2をSMCにお願いする際には2ヶ月前程度をメドに交渉を開始す
ることとする
〔省略〕」
ヘ平成18年6月14日午後4時「V進捗報告ミーティング」(原告:α
01,α02,α03,α10,被告:β01,β09,β06,報告者
/β06,乙20の10)
「1)6/13(火)に提出して頂いている10カットについて
・6/13(火)提出の10カットについては、リテイク分8カットの
内4カットがOK、新規分2カットの内1カットがOKとなっており、
リテイクカットも新規カットもOK率は50%となっている
【SMCのクオリティ判断の基準について】
・6/13(火)に提出して頂いた10カットのOK率が50%である
ことを考えると、SMCのクオリティ判断の基準はEPXがOKとす
る基準には達していないと考えられる
・ディレクションする上で判断に迷うときなど何かあれば、随時で構わ
ないのでEPXへ相談することを確認した
2)5月分のリテイクカットについて
・5月分のリテイクカットは6/15(木)中(もしくは16(金)の
午前中)に提出する予定となっているが、EPXとしては難しいので
はないかと考えている
→SMCとしては64カットを提出する予定であるが、現状のOK率
上記の50%と仮定すると32カット程度になる見通しである
【アウトラインが入っていないリテイクカットの対応について】
・アウトラインが入っていないリテイクが多いが、SMC社内で対応策
を検討し、テクニカル担当にチェック機能を設定するなどして対応す
ることでOK率を向上させていくことを確認した
3)今後の制作について
・V1に関して6∼7月の制作期間でサンライズチェックに出せるクオ
リティのカット数をSMCの現場として現実的な数字としてご連絡頂

→現実的に500カット全てを制作することが不可能なのであればE
PX側で対応策を講じることが可能となるため、努力目標ではなく、
あくまで確実に約束できる現実的なカット数をSMC内で検討して
頂き、EPXへ連絡して頂く
→EPXとしては残りの期間と現在までのSMCの実績を踏まえ、S
MCが担当するカット数を減らして他の会社へ依頼するなど、現実
的なリスクヘッジプランを検討せざるを得ない状況にある
→リスクヘッジプランを検討する上では今週提出予定の5月分のリテ
イクカットの提出状況、クオリティ状況と6/20(火)にSMC
から提出される現実的なスケジュールを確認した上で判断していく
※上記スケジュールは7月末までに映像素材の制作を完了し、8月は
ループ対応などのパチスロ用映像としての調整期間に充てることを
前提条件とした現実的なスケジュールとする
4)その他確認事項について
【月別の提出カット数の変更について】
・現在予定している月別の提出カット数を下記のように変更することは
可能かEPXで検討を行うこととする
6月7月
(変更前)250カット150カット
↓−50↓+50
(変更後)200カット200カット
〔省略〕」
ホ平成18年6月21日午後4時「V進捗報告ミーティング」(原告:α
02,α03,α10,被告:β02,β09,β12,β17,β06,
報告者/β06,乙20の11)
「1)5月分の100カットについて
・5月分100カット(1カットは中間生成物レベル)の提出は6月中
に終了することを確認した
・OKとなる基準では7月に納期が遅れてしまうカット(RT07A002)に
ついては、アニメーションしてある程度流れが分かる程度のレベルの
ものを6月中に提出する方向で調整することとする
→SMC内部で検討し、検討結果を早急にご連絡頂くこととする
・SMCから提出されたカットに対してEPXからの連絡がないカット
が8カット程度あるが、早急にEPX内で確認し、SMCへ連絡する
・5月分100カットに対するEPXのディレクションについて、今後
のEPXからSMCへの修正指示については、今までの詳細な対応
(修正要望をエクセルファイルに記述したもの等)は難しいため、5
For6Fで実際の実機上の映像を見ながらの口頭でのディレクション
とすることをEPX、SMCで両者で問題がないことを確認した
2)6月分250カットについて
・6月中に対応するカットは6/21時点では80カットの予定。
・全く手をつけていないカットについては継続して制作するか、制作が
困難な場合は全く手をつけていないカットは引き揚げ、代替案として
112ある新作カットの方を対応して頂く可能性があることを確認。
→来週頭までに検討を行い、SMCへ連絡することとする
・手をつけていないカットについては本日中にSMCよりご回答を頂く
こととする
以上」
マ平成18年7月3日午後3時「V1カット制作に関するSMCとの打合
せ」(原告:α11,α01,α02,被告:β02,β09,β12,
β06,作成者/β06,乙6の12)
「【決定事項】
トレースカット350カットについて
1.SMCで350カットの制作を行う
2.但し、329カットについては7月中にコンプリートさせ、残りの2
1カットについては7月中に実機で表示できるレベルで提出、8月中
にコンプリートさせる
3.上記350カットの制作スケジュールを7/4中に完成させ、夕方ま
でに完成するようであれば7/4の夜に改めて制作方針確認の打合せ
を行う
4.なお、350カットの制作を進めていく中で、実現度を高めるための
施策として下記の2点をカット単位で検討する
レ長尺カットは使用する部分(Vコンテの尺)+αを制作対象とす

→省エネの制作とし、無駄なカロリーはかけないようにする
レスプライト対応が可能なカットを検討する
→コンセプトに反するが、許容範囲内で省エネ(制作期間の短
縮)できないか検討する
5.4月からの継続的にEPXからSMCへ言い続けてきていることの再
確認になるが、問題となるカットがあれば随時、制作方針についてE
PXへ提案もしくは相談をすることとする
新作カット72カットについて
6.新作カットについては全体的にγ02氏と作画打合せを行う中で制作
工数が軽減できるような方向で調整する必要がある
〔省略〕
9.制作の見通しが立っていない『アムロやられ』の4カット(アニメ
ーションするアムロを似せる作業が困難であり、SMCには対応でき
るリソースがいない)については、EPX、SMCで制作方針を早々
に決定させる必要がある
【EPXの見解、今後の対応】
新作カット72カットについて
10.γ02氏との作画打合せの場を早急に設定し、新作カットの制作方
針(なるべく省エネなカット制作とする)を早急に決定させる必要が
ある
11.現状を考えると7月中にコンプリートさせることはほぼ不可能なた
め、最悪でも7、8月中に実機で表示できるレベル(クオリティアッ
プ後に差し替えが可能な状態)で提出、8∼9月に中にクオリティア
ップを行い、コンプリートさせていくプランが可能かどうか検討する
必要がある
【確認事項】
ディアフィールド及びベックへの単価提示(@10万円)について
12.ディアフィールド及びベックへのSMCからの単価提示(@10万
円)はα02さんの判断により、契約交渉のテクニックとして想定よ
り低めの金額から交渉をスタートさせたとのこと
(補足)
→EPXからの紹介会社については中間マージンをとらないようにS
MCへはEPXから要請していたが、必要情報を全て与えた上で先
方が納得するのであれば15万円程度に落ち着かせることは問題な
いことを契約交渉の場で伝えている
ベックがロイヤリティを要求してきた件について
13.ベックからの見積もりを根拠として、α02さんの判断により、ベ
ックがロイヤリティを要求してきたとしている
→実際にベックからSMCに提示された見積りをデータで頂いたが、
ベックがロイヤリティを要求していると解釈するのは明らかに誤解
である(別紙参照)
以上」
ミ平成18年7月12日午後4時「V進捗報告ミーティング」(原告:α
02,α03,α10,被告:β02,β09,β12,β17,β06,
報告者/β06,乙6の13)
「1)5月発注分100カットについて
・RT10B030については中間成果物として今週中に一度提出して頂き、来
週月曜をメドに正式に提出して頂く
・リテイク修正中のカットは約25カット程度ある
2)6月発注分250カットについて
・今週中に新規提出するカット数は最大で70カットであるが、再委託
先からのカットのOK率によって提出できるカット数は変動する
・SMC判断で70%∼80%の完成度のカットは上記の正式に提出し
て頂くカットとは別に実機出力データを提出して頂く
3)制作上の問題点について
・中景カットの映像制作方針については、上記の70%の完成度で提出
して頂いたカットをEPXで確認し、改めてSMCへ連絡する
・陽炎カットの映像制作方針については、まずはSMCで試作映像を制
作して頂き、その後にEPXで確認を行う
以上」
ム平成18年7月21日午後4時30分「無題」(原告:α01,α03,
被告:β09,β12,β06,作成者/β06,乙20の14)
「【決定事項】
新作カットについて
・7/21(金)の午前中までのSMCの制作実績を踏まえ、EPXで
は新作カットの委託先をSMC以外とすることを決定した
【補足】:7/21(金)午前中までの制作実績
→β版:55カット
→α版:165カット
→仮:76カット
→未提出:54カット
・但し、アニメーション担当(2名)、エフェクト担当(2名)であれ
ばSMCからの人工貸しも可能とのことなので、状況に応じて検討す
ることとする
【補足】:SMCからのアサインについて
→モーション担当についてはキャラ似せも行っていたので、能力は高
いとのこと
→キャラモデリング&モーション:α05、α13
→メカモーション:ARON
→エフェクト:α06、α14、α15、α16
350カットについて
・α版は7月中に確実に提出することを確認した
・β版は8月中に確実に提出することを確認した
G−DEVの返却について
・新作カットをSMC以外の委託先で制作することになったため、SM
CからG−DEVを2台返却して頂くこととなった
・まずは1台を来週7/25(火)にEPXへ返却して頂く
・もう1台は7/31(月)週、8/4(金)までにEPXへ返却して
頂く
以上」
メ平成18年7月27日午後零時30分「映像制作に係る契約交渉」(原
告:α11,α01,α02,被告:β12,β06,作成者/β06,
乙6の15)
「V1−1(4月発注分250カット)の納期遅延の覚書について
・覚書は7/26版で確定とし、以降、製本作業に入ることとする
・調整作業に関する協議については,作業範囲はSMCに確認の上,必
要に応じて制作方法等の検討を行い、決定していくものとする
・但し、最終的な決定権限はEPXが持つこととする
・プロジェクトVを成功させるためにSMC、EPXお互いが最大限の
協力をもって制作にあたることとする
・EPXからの調整依頼の時期によるSMCの調整キャパシティをパタ
ーン別にEPXへ連絡して頂くこととする
7月上旬にEPXで引き揚げた3カットの制作について
・EPXがいったん引き揚げた下記3カットについてはSMCで制作し
て頂くこととなった
→RT08D002
→RT08D003
→RT08D004
・但し、制作再開時期を考慮し、納期に関してはEPXで配慮すること
とする
以上」
モ平成18年7月31日午後零時「映像制作に係る確認」(原告:α11,
α01,α02,被告:β09,β12,β06,作成者/β06,乙2
0の16)
「350カットのα版納品について
(SMCからのコメント)
・SMCとして『実機表示できる』、『尺があっている』の2点をα版
の定義と考え、7/27付けのDVDにてα版350カットを納品と
したい
→EPXとしてはα版の定義は別紙にあるとおり、一定のレベルを超
えたものをα版としている
(EPXからのコメント)
・7/27の夕方にDVDを頂いて以降、24時前程度にα版ではなく
仮で提出して頂いているカットがあるが、それはどう説明されるか
→SMCが判断する見通しとしては本日7/31終了時点で10カッ
ト程度は仮として残る予定
→例えば、マントの処理とフラウボウの長尺については提出までには
至らない予定
(結論)
・7/27付けのDVDではα版350カットの納品とはならない
・7月は本日7/31までであるため、本日中にアップされるデータを
明日8/1に再度確認し、実績値をもって判断することとする
・但し、『RT08D002(マ・クベ)』のカットについては制作再開の経緯
を踏まえ、納期の調整を行うこととする
5月分100カットのβ版納品について
・SMCとEPXでは認識に差異があるため、早急に5月分100カッ
トのα版、β版、修正指示内容についての認識を共通化させる必要が
ある
・混乱を避ける意味でEPXは対象となるカット全てについて修正指示
内容を洗い出し、早ければ本日7/31中、明日8/1、2までにS
MCへ連絡することとする
→(本会議の後に決定した事項として)8/1(火)14:30より
5月分100カットについてのフィードバック会議を行うこととす

以上」
ヤ平成18年8月2日午前10時30分「契約会議」(原告:α11,α
17,α01,α02,被告:β12,β06,作成者/β06,乙20
の17)
「1.V1−1について
(1)α版250カットの納品について
→α版250カットは条件を満たしているため、納品とする
(2)β版100カットの納品について
→カット数が100に達していないため納品としては認められない
(3)覚書の対価変更について
→α版250カットの納品に対して対価を設定していたが、SMCで
支払サイトに問題ないことを確認し、対価設定の変更は了承して頂
いた
2.V1−2について
(1)α版100カットの納品について
→カット数が100に達していないため納品としては認められない
(2)契約書のドラフトについて
→EPXからドラフトを提示し、SMCに簡単な口頭説明を行った
→契約書ドラフトをSMC社内で検討して頂き、確認した後にEPX
へご連絡頂く
3.β版制作について
(1)β版制作の進め方について
→SMCにはα版、β版の定義については、昨日8/1の5月分10
0カットのフィードバック会で理解して頂いた
→但し、MS系、キャラ系(近景)については実機上での確認を踏ま
えながらクオリティレベルを確認できたが、キャラ系(中景、遠
景)についてはサンプルデータを実機上で確認しながら認識をもう
少し高める必要がある
→キャラ系(中景、遠景)に関してはSMCの方でサンプルを3カッ
ト+フラウ・ボウ長尺シーンの1カットを用意して頂き、実機上で
確認しながら検討を行う
(2)β版制作に向けた作業内容について
(β版基準項目)
→キャラ系(中景、遠景)の検討
→MS系の影調整
→背景調整
(M版基準項目)
→色味
〔省略〕」
ユ平成18年8月2日午後4時「SMC進捗会議」(原告:α11,α1
7,α01,α02,α10,被告:β02,β09,β06,作成者/
β06,乙6の18)
「350カットの進捗について
・提出:322カット
・仮提出:27カット
・(追)未提出:1カット
今後の見通しについて
・α版未達の2カットについては来週になる見通し
・追加分未提出の1カット(マ・クベのカット)について、納期はα版
:8/10、β版:8/末とする
→SMCで再検討後、明日のお昼までにEPXへ連絡する
中景カットについて
・RE01D001(フラウ・ボウ)は制作が難しく、EPXで中景カットのサ
ンプルデータがあれば参考にもらえないかという打診があった
→EPXの方でも確認し、後でSMCに連絡をする
以上」
なお,平成18年4月25日に行われた原告担当者と当時の外注先候補社
とのミーティング報告書の主要な記載内容は,次のとおりである。
ア同日午前11時「Vディアフィールド契約打合せ仕様説明」(出席者
/ディアフィールド:γ11,γ12,原告:α02,α05,α12,
α10,報告者/α10,乙9の1)
「実際のデータを見ながらα05から説明、下記の内容を伝える
→マテリアルが4文字との制限があるが、4文字以上のデータもあり、そ
れを変更する作業は必要ない。
→エフェクトは全てを実写通りにするのではなく、モヤッとした感じを上
手く出せたほうが良いという指示があることを伝える。仕様を伝える。
→キャラクターのアップなどはモデルをいじって調節が必要な事を伝える。
足りないものを自分達で作らなければいけない事も伝える。γ11氏了
解済み。
ディアフィールド様から下記の質問があがった
・爆発以外のエフェクトも全てポリゴンでやるのか?
→テクスチャーの量を減らしたい為、多分そうなるであろう
・epxからの仕様書が見たい
→後日渡す
・劇場版を見て、後半につれてクオリティーが上がっていっているがど
れでも1カット4日で仕上げたのか?
→後半(V2)にはまだ取り掛かっていないが、V2に取り掛かるの
は8月の慣れて作業のスピードも上がっていることを想定している。
・影表現のテクスチャーは?
→仕様はあるが、まだ確立していない。実機で影がつけられる新機能
があることを説明。しかしすべての影をその機能でやるのではなく
テクスチャーで表現するところもあることも了承済み。
〔省略〕」
イ同日午後2時「Vベック契約打合せ仕様説明」(出席者/ベック:γ
13,γ14,原告:α02,α05,α12,α10,報告者/α10,
乙9の2)
「Vの概要を説明。先にこちらから下記の要望を伝える
→100カット∼200カット協力要請
→1人月6カットで1カットいくらの契約を結びたい
→例えば、6末40カット、8末60カット納品といったような形を取
るのは
α05から実際の制作カットを見て一通りの説説明〔ママ〕を行う。
エフェクトの制作方法の説明、影設定の説明、フラミンゴのモデルがある
のか心配されていたので画面で確認。モデルについては既存のものを使用
するが、多少のモデリングは必要になる旨を伝える。
ベック様からはキャラクターよりも得意なメカが多いカットを希望
→なるべく希望にそうようには考える旨を伝える。
〔省略〕」
(5)遅延原因報告書の記載
平成18年4月26日ころに原告によって作成された「Project
VRT作業の遅延原因報告書」(甲7)の記載内容の要旨は,次のとおり
である。
「各担当ディレクターからあがったものを列挙しました。最後に全体的なま
とめを追記しました。
■美術
・テクスチャーの形状仕様についてなかなか決定が出なかった問題。
〔省略〕
・テクスチャーのラッピングの問題
〔省略〕
・テクスチャーのαマップ使用方法
〔省略〕
・カラーチャートが最近になってから届いたための修正作業発生
・カラーチャートの見方がわからない(仕様書の不在)
・素材モデルがなかなか届かなかった事
・素材モデルのデータのバグ
・素材モデルのどれが「色味OKデータ」か把握不可能(基本的にOK
なのはなかったようです)
・素材モデルのマテリアル分けの未完成さ
〔省略〕
・準主役級の素材モデルの欠落
・テクスチャーの色味修正をしたくてもレイヤー分けしたデータがなか
った(先週あたりに受取る)
・全カット、使用するキャラは基本的にモデリングから作業が発生。
〔省略〕
・全体的なMayaでの作業手順に関してのマニュアル不在。
〔省略〕
■アニメーション
・慣れていない。
FBIKの扱いや、ボーン構成など、実機表示のための約束事に、こ
ちらが慣れていない。
・仕様の再確認
示された仕様も、外注からの質問などに備えるため等の理由で、一つ
ひとつ検証する必要があった。
・細かい仕様が明確でない。
説明されていなかった、または、双方で認識していなかった仕様が、
存在した。
・の〔ママ〕作業中にも実機表示されない事態が発生し、エピクロスさん
に確認していただいて、仕様が確定するということが幾度か起きた。
〔省略〕
・エクスポーターのバグ。
Mayaシーン作成中も、エクスポーターのバグが発覚した。
〔省略〕
■エフェクト
・作業を進める上で基本的な仕様が決まっていない
〔省略〕
・3Dの作業において必要最低限の機能を盛り込めていない
・GDEVの操作方法、
マニュアルがなかったこともあり、操作を理解するのに時間がかか
ったり、仕様の変更が入ったりと、作業工程の確立が困難だったこ
と。
・Mayaデーターの確認、
〔省略〕
・プログラム
Mayaでシーンを作成、GDEVで表示する時、Mayaで使用
できない機能が分からずそのつど修正。
OLで出来た機能も対応できていない状況でプログラマーに修正依
頼。(ライセンス切れで新たにライセンス取得まで修正待ち)
・Maya検証
エフェクト(爆発)の検証、確立できるシーンを作成するためには
時間が掛かる。
・両者の認識の違い
エピクロスさんスダジオMC
プログラム出来ている最低限の機能しか使えな
い。
本来当然あるべきと考えて
いる機能がない。
仮にあがったプログラムを
デバックもしくは検証作業
を行っている感覚で、完成
したプログラムとは考えに
くい
3Dデータメインのキャラクターメインのキャラクターは出
は出来ているが多少の来ているがシーンとして作
修正は必要。存在しな成することはできない。
い小物オブジェクトは修正に関しても、こちらの
作成する。認識は多少ではなく、全て
に関して大幅な修正という
認識
※最低限必要なものとして各担当者からあがったものをまとめたもので
す。(一部上記内容と重複しています。)
・GDEVのマニュアル
・Mayaのマニュアル
・モデルリスト
・自動影ONにするためのNのチェックウィンドウ(Mayaでのマ
ニュアルに重複)
・Transparency(透過)の対応がない→対応の確約は頂いたがスケジ
ュールは未定
・ビジブル→4/24対応、検証開始
※まとめ
遅れた原因として、全般的に言えることとしては、EPXさんから
頂くはずのデータ等がなかなかあがってこなかったこと。またあがっ
てくるデータやプログラムがこちらが期待していた内容とことなって
いて、予定していなかった作業が大量に発生したこと、未決定の仕様
が多々あり、その検証作業に大半の時間が費やされていて、今も尚作
業中であることなどが考えられます。
また、SMCサイドも従来行っている作業工程にそぐわない工程で
の作業が発生したこと(従来分業化してきたモデリング作業・レイア
ウト・アニメーションを一貫して一人で行う作業)。またそのスキ
ルを持ったスタッフの人材不足、エフェクト要員の不足、また、ボリ
ュームをこなすため大量の外注発注の指示の効率化を図るため、社内
だけの作業時に準備するものよりも完成度の高い制作マニュアルが必
要となり、その制作等もその原因として考えられます。
さらに今後新たに遅れの原因として出てきそうな問題として、外注
さんとのやり取りに仲〔ママ〕で、現状のシステムではGDEVを介し
て最終のアウトプット形態である液晶画面を一緒に観た上での共通の
認識を持てる場がないことがあげられます。
※解決策として考えられること
プログラム・エクスポーター・それぞれの仕様等の不確定要素を一
つずつ潰してゆき、明確な作業工程の確立を行うこと。つまり、プリ
プロです、実制作の日程をさらに侵すことになりますが、現時点でそ
の作業を怠り、見切り発車を行うと益々その後の作業日程が読めなく
なる危険性があります。現在現場であがっている要望としては後半月
程度のプリプロ期間の延長です。それによりなんとか諸問題の解決を
謀り、キチンとした作業工程・日程が組めるのではと算段しています。
また、今後新たに遅れの原因になると考えられる外注さんとの認識
の共有化問題の解決策として、もっとも簡便で有効な手段としては、
SMC担当と外注さんとが同席して液晶画面上のデータを視ながらチ
ェックを行える場を設けることだと考えられます。液晶そのものが最
重要機密事項ということで現在許可が出ていませんが、要望として渋
谷SMCに一台置かせていただきたいこと、社外に持ち出すことが、
叶わないのであれば外注さんにEPX社内のSMCブースへの立ち入
りの許可をいただけないかという内容でEPXさんに申請中です。」
(6)被告の査定等と顛末
ア被告は,平成18年8月22日,本件シーンデータについて,7段階の
基準を決めて完成度をランク付けした(甲56の1・2)。
被告の設定したランク,単価及び基準は,次のとおりである。
ランク①/単価1万円/全体の完成度が10%以下でα版の条件を満
たしていないもの
ランク②/単価8万円/トレース(キャラクターやメカなどのモデル
の形状や動きを元の映像に似せる作業)の完成度が50%程度(α
版)のもの
ランク③/単価12万円/トレースのみ完成しており,背景と影がと
もにできていないもの
ランク④/単価12万5000円/影の製作,調整ができていないが,
トレースと背景の製作,調整ができているもの
ランク⑤/単価17万5000円/背景の制作,調整ができていない
が,トレースと影の制作,調整ができているもの
ランク⑥/単価18万円/トレース,影,背景の制作,調整ができて
いるもの
ランク⑦/単価20万円/色調整,データ調整ができていて,そのま
ま製品として実機に入れられる(マスター版)もの
イ被告は,平成18年8月29日,原告に対し,上記の基準に基づき査定
した評価額を通知した(甲107の1∼7)。
本件シーンデータごとのランク付けは,被告査定表に記載のとおりであ
り,評価額は,次のとおりである。
100カット分
ランク⑦/0カット/0円
ランク⑥/2カット/36万0000円
ランク⑤/5カット/87万5000円
ランク④/5カット/62万5000円
ランク③/8カット/96万0000円
ランク②/33カット/264万0000円
ランク①/45カット/45万0000円
対象外/2カット/0円
計100カット591万0000円
250カット分
ランク⑦/0カット/0円
ランク⑥/54カット/972万0000円
ランク⑤/93カット/1627万5000円
ランク④/26カット/325万0000円
ランク③/49カット/588万0000円
ランク②/28カット/224万0000円
ランク①/0カット/0円
計250カット3736万5000円
合計350カット4327万5000円
ウこれに対し,原告は,社内で見解をまとめて算定を行い,平成18年8
月30日,被告に対し,上記100カットにつき2505万3000円,
上記250カットにつき6864万円の合計9369万3000円である
などとする通知をした(甲108の1∼3)。
その後,原告と被告との間で,事態の収拾に向けた交渉が決裂し,原告
は,平成18年11月7日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。
2争点(1)〔本件各契約の基本的性質(請求原因アの関係)〕について
(1)本件基本契約(甲1)は,その前文(「エピクロス株式会社(以下「甲」
という。)と株式会社スタジオMC(以下「乙」という。)とは、甲が乙に
委託する回胴式遊技機に関する開発業務(以下「対象業務」という。)に関
し、その基本的事項について次の通り契約を締結する。」)にあるとおり,
被告が原告に対して一定の業務を委託(準委任)するものであるものの,本
件各契約の目的がいわゆるパチスロに使われる映像の制作(本件業務)であ
ることからすると,基本的には,被告が原告に発注して原告がこれを請けた
「請負」の業務の範疇にあるものとして理解されるべきである。
もっとも,その具体的な内容については,本件個別契約(1)及び(3)
による合意を含め,詳細に取り決められており,本件基本契約の条項を概観
すると,9条(検査)において,被告の実施する検査に「合格」しない限り,
原告においてさらなる納入の義務を負い,対象業務が完了しない規定が置か
れている。この規定は,本件業務の委託者(発注者)である被告自身の行う
検査が原告の債務の履行の有無を決めるものであることから,本件業務のい
わば到達点について,その検査に先行して,被告の明確な指示のもとに,原
告と被告の間で共通の認識ができていることを前提としたものと解すること
ができる。
(2)実際に,前記1の本件各契約の締結に至るまでの経過に照らしてみると,
契約締結に先行して,原告と被告の間において,本件業務に関する作業が先
行し,かつ,数多くのミーティングが開かれていることが認められる。そう
すると,本件各契約とその履行過程を検討するには,当事者間における契約
の書面によって条項化されていない事実上の了解事項や折衝状況などを吟味
することが欠かせないものというべきである。
本件各契約の基本的な性質については,それ自体を抽象的に論ずることに
あまり意味はないものの,請負的な性格を有する業務の委託契約であって,
しかもその完成に至るまでに,原告の作業や修正作業などに対する被告の的
確な指示(ディレクション)が必要であり,このような原告と被告のいわば
共同の作業によって契約の履行が完遂されるものと理解できる。
(3)以下においては,このように本件各契約を理解する観点から,判断するも
のとする。
3争点(2)〔本件仕様の内容(請求原因ア及びイの関係)〕について
(1)前記1にあらわれた事実経過によると,原告と被告の間において,本件各
契約の締結に至る前,本件業務と類似したプロジェクトZの作業が先行して,
その業務が終了していること,平成18年1月27日のキックオフミーティ
ングから本件基本契約が締結された同年5月23日までに,少なくとも17
回のミーティングが開催されたこと,契約の締結に向けた協議と並行して,
同年4月にかけて,Vコンテの制作のほか,RT07関係の「迫撃!トリプルド
ム」の一部につきプリプロダクション作業が開始していることがそれぞれ認
められる。
そして,証拠(乙11の4)及び弁論の全趣旨によれば,上記プリプロダ
クションについて,平成18年4月28日にカット#113(RT07A001),カッ
ト#118(RT07A006),カット#119(RT07A007),カット#120(RT07A008),
カット#121(RT07A009),カット#126(RT07A014),カット#130(RT07A01
8),カット#145(RT07A033),カット#147(RT07A035)及びカット#161
(RT07A049)の10カットが提出され,同年5月2日にいずれもNGの判定
を受け,リテイクの後,同月20日にカット#118(RT07A006),カット#11
9(RT07A007),カット#120(RT07A008),カット#121(RT07A009),カッ
ト#126(RT07A014),カット#130(RT07A018),カット#147(RT07A035)及
びカット#161(RT07A049)の8カットが提出され,同月22日にはカット#
118(RT07A006),カット#119(RT07A007)及びカット#120(RT07A008)の
3カットが再びNGになっていることが認められる。
そうすると,平成18年5月23日に締結された本件基本契約の前に,既
に当事者間において,少なくとも,双方の十分な協議を経て行われたプリプ
ロダクションの実施を通じて,本件各契約で予定する本件業務の内容は,体
験的に確認できており,これを前提として,本件各契約の締結に至ったもの
と認めるのが相当である。
(2)そこで,本件各契約における本件業務の履行の状況を検討するには,本件
シーンデータの個々の制作作業がどの程度に仕上がれば,個別にみた本件業
務の完成に至るといえるかを確定する必要があり,その意味において,「本
件仕様」の内容が問題となる。
この点,原告は,ア’)本件元映像のうち,被告が指定した一部を3DC
Gで表現したものを原告が制作すること,イ)映像の1カット当たりの長さ
が約4秒であること,ウ’)原告の作業には,レイアウト・アニメーション
等の映像制作は含むものの,映像調整は含まないこと,エ’)上記映像制作
の素材であるモデリングデータは,被告が作成し,原告に提供する(ただし,
小物のデータの新規制作等の負担の少ない作業に限り,原告が行い,人物デ
ータのうち顔アップ(近景)については,原告が被告から提供されたデータ
の修正又はデータの新規作成を行う)こと,オ’)上記映像制作の素材であ
る背景データは,被告が本件元映像から抜き出した上で,上記映像制作にそ
のまま使用できる状態に加工し,原告に提供すること,カ’)原告が制作す
る3DCG映像に影を付ける(影作成作業については,人物カットのうち,
本件元映像に影がある場合及びサンライズ影指示書がある場合には,それに
従って原告が手付けで影作成作業を行い,モビルスーツカットは自動影とす
る)こと,キ)本件元映像にできる限り似せて3DCG映像を制作すること,
ク’)原告がMayaで制作したデータを実機(G−DEV)でチェックす
るためのソフトウエアを被告が用意する(被告から提供を受けた実機「G−
DEV」,開発用ソフトウエア「エクスポータ」,開発用ソフトウエア「G
−DEVツール」等の開発ツールを使用する)ことが「本件仕様」である旨
主張する。
しかしながら,これらのうち,キ)本件元映像にできる限り似せること以
外の事項については,上記の本件業務の完成度を計ることとは関連性が薄い
ものといわざるを得ない。おそらく,原告の上記主張は,本件基本契約7条
の文言や本件個別契約(1)及び(2)の各1条の文言のとおり,対象業務
としての本件業務の実施にあたって,「仕様」に従っている限り,原告とし
ての責を果たしたことになるとの理解によるものと思われる。しかしながら,
本件基本契約9条の検査を前提としてみれば,本件シーンデータごとの被告
による具体的な指示(ディレクション)がされることの反面として,原告に
おいて,それに応じた水準の作業や修正作業がされることが求められるもの
というべきである。
他方,被告は,上記キ)に関して,さらに,本件元映像に「そっくりその
まま」似ていると言わしめるような相当高い水準が要求されて,これが原告
と被告の間の了解事項である旨主張する。
しかしながら,本件元映像自体,2Dの手書きを基本とした画像であって,
3DCGで制作される画像と対比して,正確さに欠ける画像を含むものであ
ることは否めないところであるから,正確にトレースし,場合によってモデ
ルを変形させることなどが求められるとしても,それが「そっくりそのま
ま」似ているといえるかどうかは,程度の問題というべきであり,このよう
な基準が「本件仕様」として合意されていたとまで認めることはできない。
そうすると,本件業務における完成度を計るための「仕様」を表現すると
すれば,被告の具体的な指示を前提として,原告において,本件元映像にで
きる限り似せることである,としかいいようのないものである。
(3)なお,原告が主張する上記のキ)以外の事項については,原告における本
件各契約の本旨に従った履行の有無を検討する上での判断の要素となり得る
とはいえるものの,上記の完成度の程度と比して,従属的な要素にとどまる
ものというべきである。
4争点(3)〔本件仕様と本件シーンデータとの適合性(請求原因アの関
係)〕について
(1)原告は,エ’)上記映像制作の素材であるモデリングデータは,被告が作
成し,原告に提供する(ただし,小物のデータの新規制作等の負担の少ない
作業に限り,原告が行い,人物データのうち顔アップ(近景)については,
原告が被告から提供されたデータの修正又はデータの新規作成を行う)こと,
カ’)原告が制作する3DCG映像に影を付ける(影作成作業については,
人物カットのうち,本件元映像に影がある場合及びサンライズ影指示書があ
る場合には,それに従って原告が手付けで影作成作業を行い,モビルスーツ
カットは自動影とする)こと,オ’)上記映像制作の素材である背景データ
は,被告が本件元映像から抜き出した上で,上記映像制作にそのまま使用で
きる状態に加工し,原告に提供すること,を充たしているから,本件カット
のうちの別紙一覧表のそれぞれの該当欄に該当するカットの本件シーンデー
タが本件仕様に適合する旨を主張する。
しかしながら,これらに該当するカットが上記の事項を充たしていること
と,原告において,各シーンデータを本件元映像にできる限り似せるに至っ
たか否かとが別論であることは,前記3で述べたところから明らかであり,
被告の提供した素材を使用したことなどから,直ちに本件業務に関する原告
の責務が果たされたことにはならないというべきである。
(2)前記3で説示したところによれば,本件シーンデータの本件業務としての
完成の度合いについては,本件カットの個々のカットごとに,被告に提出さ
れた各シーンデータの画像に従って,個別に判断するしかない。
もっとも,前記1の本件シーンデータの作成状況に照らすと,OKカット,
NGカットと判定されたカットのほか,最後まで,仮提出にとどまったカッ
トがある一方で,カットによっては,時期により,判定が留保されていたカ
ットがあること,いったんOKカットとされながら,その後NGカットとさ
れたカットがあること,また,前記1のミーティング報告書等の記載に照ら
すと,被告としても,サンライズのOK基準を把握できず,原告に対する指
示が必ずしも明確でない状況のあったこともそれぞれ考慮すべきである。
また,本件カットの被告査定表によるランク付けは,本件シーンデータを
原告が仕上げるにあたってその指示(ディレクション)を行った被告自身に
よって評価,作成されたものである点で,一応の基準となり得るものである。
他方,被告査定表が作成された平成18年8月29日時点を考慮すれば,よ
り慎重にその評価の公平性,中立性を吟味する必要がある。
なお,原告は,被告査定表によってランク③以上に査定されたカットのほ
か,ランク①及び②に査定されたカットについても,一律に本件仕様をすべ
て充たしている旨主張する。しかしながら,仮提出にとどまったカットにつ
いては,おのずとその完成度が低いとされてもやむを得ないところがある。
もっとも,前記1の本件シーンデータの作成状況のなかで,被告の管理記
録においてOKとされたカットについては,当時の被告の指示に従って原告
が作業を行い,それに基づいて被告の行った判定であると認められる以上,
後になってこれを覆すことは許されないものというべきである。
(3)ところで,甲第121号証の1のG−DEV用のデータには,平成18年
8月9日になってから作成交付されたものが含まれている(甲121の2の
一覧表参照)ものの,被告に提出されたデータである以上,本件基本契約9
条3項の趣旨から,提出扱いとされるデータが同年7月27日時点のものに
限定されることはないと解される。
また,被告は,平成18年7月27日に原告から提出された乙第21号証
のDVD−Rに収録されたテキストデータに「α版」と明記されている(乙
20の16,乙21)として,このDVD−Rに収録された本件シーンデー
タが未完成品であることを自認していたと主張する。しかしながら,同月3
1日の当時,原告としては,このDVD−Rをもって納品の扱いとすること
を被告と協議していたことが明らかであって(前記1(4)ミーティング報
告書等の記載モ),「α版」との記載が未完成品の自認を意味するものとは
認め難いところである。
そこで,以上の観点から,被告に提出された本件シーンデータとして,甲
第121号証の1,乙第21号証のデータを総合的に考慮して判定すると,
別紙一覧表の「裁判所評価」の列に記載のとおりであるものと判断する。な
お,被告査定表に示された7段階のランク付けについては,そのランク区分
自体を尊重しつつも,ランク③とランク④,ランク⑤とランク⑥とをそれぞ
れ合体し,改めて,全体を5段階に分けた上で,ランクE/1万円,ランク
D/8万円,ランクC/12万円,ランクB/18万円,ランクA/20万
円として評価するのが相当である。
したがって,被告に提出された本件シーンデータは,その出来型の金銭的
な評価として,全体で合計4857万円となり,既払金1530万円を差し
引くと,未払相当金は3327万円であるものと認められる。
(4)なお,原告から被告に提出された本件シーンデータの上記評価額は,本来
予定されていた未払の対価5570万円と対比しても,その相当額に達する
ものであり,後記6(1)のとおり,本件各契約関係の未履行部分(出来型
以外の部分)が既に契約解除により解消されているものと認められることか
らすれば,結果的に,本件基本契約10条にいう「引渡し」がされたものと
認めることができる。
したがって,原告の被告に対する著作権及び著作者人格権に基づく差止請
求としての予備的請求は,その余の点を検討するまでもなく,理由がない。
5争点(4)〔本件追加作業の具体的内容(請求原因イの関係)〕について
(1)原告は,本件業務に伴い,被告のため,原告の営業であるアニメーション
等の企画制作等の範囲内の作業として,本件追加作業を行っており,これが
原告の責に帰すべき事由によらない作業であることから,本件基本契約9条
3項,商法512条により,原告と被告との間に本件受委託契約が成立して
いると主張する。
しかしながら,本件追加作業は,現に本件各契約が成立している当事者間
において,本件業務を遂行するに際し,これに伴って行われた作業であり,
このような作業が本件各契約とは別個の合意によって,その対価が根拠付け
られるとすることは,当事者の基本的な意思解釈としても,通常,考え難い
ところである。そして,本件基本契約9条3項の文言上も,所定の検査を経
て不合格となり,その不合格の原因につき原告に帰責事由のない場合,双方
が協議をして決定すると定めており,本件追加作業は,いずれも検査の不合
格を経たといえるものか明らかではない。
そして,他に本件受委託契約が成立したことを認めるに足りる証拠はなく,
原告の被告に対する本件追加作業に係る対価請求としての主位的請求その2
は,その余の点を検討するまでもなく,理由がない。
(2)なお,念のため,モデリング(人物カットの新規制作及び被告提供データ
の修正等)につき言及するに,前記1(4)のミーティング報告書等の記載
に照らせば,平成18年1月下旬の当初のキックオフミーティングの時点で,
本件業務にあたって,原告のモデリング作業がないことが確認されているも
のの,同年4月下旬の原告による外注先候補社とのミーティングでは,原告
自身がモデルの調節や足りないものを作成する必要のあることを説明してお
り,同年4月にかけてのプリプロダクション等を通じて,同年5月23日の
契約締結前に,原告において,モデリングデータの作業の必要性を知悉して
いたものと認められる。
また,被告がカットのチェックを依頼したγ01氏への対応については,
確かに,本来的に本件業務の作業としては,疑問の余地のある指示がされた
とも窺えるところである。しかしながら,γ01氏がサンライズ側の人物で
あり,本件元映像を扱う本件業務の性質上,被告としても,γ01氏の意見
に一定の配慮をもって対応せざるを得なかったことも止むを得ないと考えら
れることからして,なお,γ01氏の意見に基づく被告の指示が本件各契約
の作業範囲を超えるものであったとまでは認め難いというべきである。
6争点(5)〔抗弁関係の成否〕について
(1)一部解除の抗弁について
原告による被告に対する本件シーンデータの提出は,その出来型の評価額
からも,本件各契約上の「納入」に該当するものと認められる(本件個別契
約(1)及び(3)の納入物としてのデータ一式がイントラネット上のフォ
ルダに格納されれば,カット数を問題としていた当時の当事者間の理解(前
記1(4)ミーティング報告書等の記載ヤ)として,本件各契約上の「納
入」に該当するものと認められる。)。そして,本件基本契約9条によれば,
検査が不合格となった場合には,なお修補作業が必要となり,本件各契約の
性質上,本件シーンデータの修補作業にあたっては,被告による指示が不可
欠であるものと考えられる。
ところが,被告から平成18年9月28日ころにされた原告に対する通知
書によって,未履行部分を解除する意思が通知されたことから(少なくとも,
前記1(6)にあらわれた平成18年8月末ころ以降の当事者間の状況を踏
まえると,当時,本件各契約を継続し難いと認められる相当な事由があった
ということができる。),そのような原告による作業がもはや不能であるこ
とが明らかである。
したがって,上記の通知により,本件シーンデータの出来型として割合的
に完成したものと評価できる部分以外については,本件各契約の未履行部分
として,本件基本契約26条1項11号に基づき,原告の帰責事由の有無に
かかわらず,解除されたものと認められる。
なお,被告において,あくまでも,本件各契約上の納入がないことを前提
に,未履行部分を解除するのであれば,上記のとおり,納入があったと認め
られるから,失当である。
また,被告の指摘する原告の帰責事由については,むしろ,被告において,
本件各契約の締結に至る前に,十分に把握できたはずの原告側の事情という
べきものであって,実際に本件各契約の締結に至った事実自体からして,専
ら原告側に原因を求めることはできない。前記1(4)のミーティング報告
書等の記載に照らせば,被告は,平成18年6月13日の時点でV2の制作
は延期したものの,同年7月3日の時点において,新作カット72カットを
原告に担当させる方針であり,この方針が覆ったのは,同月21日の時点で
あって,少なくとも,同月半ばすぎころまでは,被告においても,原告に対
する一定の評価がされていたはずである。本件業務の遂行上の実情について
は,前記1(5)で言及された原告の指摘する事由についても,謙虚に受け
止める必要がある。
(2)同時履行の抗弁について
前記(1)のとおり,原告から被告に対し,本件シーンデータの出来型が
本件各契約の債務の履行として引き渡され,被告によって,未履行部分が解
除されているから,被告の対価支払債務と牽連関係に立つ原告の引渡債務は
存在しないことになる。
したがって,被告の同時履行の抗弁の主張は,失当である。
(3)相殺の抗弁について
被告は,原告による本件各契約の債務不履行により,原告に代わる業者に
外注したことによる発注費用と社内経費について,損害賠償請求権がある旨
主張する。しかしながら,原告の帰責性については,前記(1)のとおり,
被告の帰責性といわば競合するものとみるのが相当であって,原告において,
債務不履行責任を生ずるような帰責事由があるものと認めることはできない
というべきである。
なお,上記の社内経費については,原因行為と損害発生との間の因果関係
自体を認めることができず,失当である。
したがって,被告の相殺の抗弁の主張は,失当である。
7結論
以上のとおりであるから,原告の被告に対する本件各契約に基づく未払対価
請求としての主位的請求その1は,金3327万円及びこれに対する平成18
年11月15日から支払済みまで6分の割合による遅延損害金の支払を求める
限度で理由があり(なお,遅延損害金については,本件シーンデータが出来型
としての引渡しであり,少なくとも,「納入物Ⅰ」,「納入物Ⅱ」又は「納入
物Ⅲ」として「引渡し完了日」までに引き渡されたとはいえないことから,請
求の意思が明らかな訴状送達の日の翌日から起算することが相当である。),
原告の被告に対するその余の主位的請求その1,本件追加作業に係る対価請求
としての主位的請求その2及び著作権及び著作者人格権に基づく差止請求とし
ての予備的請求は,いずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官阿部正幸
裁判官平田直人
裁判官瀬田浩久

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