弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人内藤庸男の上告理由第一点ないし第三点について。
 原判決が認定した事実によれば、本件a町議会議員の一般選挙に対し、a町選挙
管理委員会は補充選挙人名簿(以下補充名簿と略称することがある)を調製するこ
とになりその登録申請期間、調製期日、縦覧期間、異議申立決定期間、確定期日を
それぞれ原判示のとおり定めてその旨告示したのに拘わらず、同委員会は右申請期
間経過後の多数の申請をも異議申立とみなして受理し、そのため、a選挙区に関す
る右補充選挙人名簿(四冊)は幾度か綴りかえられその都度右管理委員会委員長の
奥書を貼付するような始末で、登録申請期間内に申請のあつた分を含めて右補充名
簿各冊は右調製期間内に調製されず、縦覧期間内に一般の縦覧に供されないまま選
挙当日に至つた、というのである。してみれば、本件補充名簿全部は原判示のとお
り無効のものであり、これによつて管理執行のなされた本件選挙は選挙の規定に違
反するものといわなければならない。
 原判決は「本件選挙中a地区における選挙の部分は無効である」旨、また、「無
効と認められた本件選挙の部分はa選挙区のうち補充名簿に関する部分だけであつ
て、その基本選挙人名簿に関する部分は、原審判断の対象外であるから右無効は公
職選挙法二〇五条にいわゆる選挙の一部無効である」旨を判示するけれども、元来
公職選挙は選挙区を単位として行われるものであるから、一般に選挙区の選挙の無
効は全部無効であり、ただ選挙区内における選挙が二以上の開票区(もしくは投票
区)に分れて執行された場合にその区限りの選挙の管理執行の違法があつたような
ときに限りその区に関する選挙部分のみが無効となりうるに過ぎない。原判決の認
定によれば、a選挙区は本件選挙区であり、そのうちのいずれかの区に限り選挙の
管理執行に違法のあつた事実は認定されていないのであるから、原決が本件の場合
を選挙の一部無効の場合と解したのは違法である。また、補充名簿のみが無効で基
本選挙人名簿は有効である場合においても、前者の無効はこれによつて行われた選
挙の全部無効の原因となることはあつても、右補充名簿による部分のみを一部無効
とし、同名簿による選挙のみを再び行い、他の部分の投票と合せて集計するような
ことを行うべきものとすることはできないので、この点に関する原判示も失当のそ
しりを免かれない。しかし、これら原判示の失当は結局判決主文において原裁決を
取り消し本件選挙区の選挙を無効とした原判決には影響を及ぼさない
 そして、原判決認定の事実関係の下で、もし本件補充選挙人名簿が適法に調製さ
れかつ縦覧に供されていたとすれば、同名簿登録選挙人総数、従つて投票総数、各
立候補者得票数等が本件選挙の結果と違つた結果になつたかも知れず、当選落選の
結果を異にしたかも知れないということができるから、右選挙の規定の違反は公職
選挙法二〇五条にいう選挙の結果に異動を及ぼす虞ある場合に当たり本件選挙(全
部)は無効のものといわなければならない。
 してみれば原判決が主文第二項において本件選挙を無効としながら、同第三項に
おいて最高位当選人はその当選を失わない旨を言い渡した点は違法といわなければ
ならないが、しかし、本件において、被上告人(原告)らは本件選挙(全部)を無
効とする判決を求めそして上告していないのに対し、上告人(被告)は選挙の有効
を主張して請求棄却の判決を求めているのであるから、当審で原判決第三項を取り
消すことは上告人の不利益に原判決を変更することとなり許されないので、結局原
判決主文第一項ないし第三項は維持するのほかない。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で、主文のとおり
判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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