弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1相手方が申立人に対して平成19年2年26日付けでしたαの使用承
認の取消処分の効力を本案事件(当庁平成19年(行ウ)第131号施設
使用許可取消処分取消請求事件)の判決が確定するまで停止する。
2申立費用は相手方の負担とする。
事実及び理由
第1申立て
主文同旨
第2事案の概要
1事案の骨子
本件は,申立人が,相手方から,αの使用承認を受けた後に,上記使
用承認の取消処分がされたため,上記使用承認の取消処分の取消しを求
める当庁平成19年(行ウ)第131号施設使用許可取消処分取消請求事
件(以下「本件本案」という。)を提起した上,上記使用承認の取消処
分により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要がある旨主張して,
行政事件訴訟法25条2項本文に基づき,上記使用承認の取消処分につ
き,効力の停止を求める事案である。
2前提となる事実
一件記録によると,現段階では,以下の事実を一応認めることができ
る。なお,認定の根拠を各末尾に付記した。
(1)申立人は,A中央常任委員会副議長兼同会中央本部同胞生活局長で
ある。(疎甲5)
(2)申立人は,「○○」等をスローガンとする集会を開催し,これに引
き続いてパレードを行うこと(以下,上記集会及びパレードを併せて
「本件集会等」という。)を企画立案し,これを実行するために「B
委員会」(以下「本件委員会」という。)を組織した。申立人は,本
件集会等を開催するため,主催団体を本件委員会,申立人をその代表
者と表示して,東京都知事に対し,平成19年1月25日,東京都千
代田区所在のα(以下「本件α」という。)について,同年3月3日9
時から16時までの使用承認を申請し,相手方は,申立人に対し,同
年1月25日,同使用の承認(以下「本件承認」という。)をし,使
用料31万6800円を徴収した。(疎甲1,2,5,6)
(3)本件委員会事務局は,本件集会等の参加者を5000人程度と見込
んでおり,本件承認を受けて,警視庁に本件α付近及びパレードの警
備を依頼し,平成19年2月2日ころ,同月22日及び同月26日,
警視庁の警備の担当者と打合せを行った。(疎甲5,7)
(4)ところが,相手方は,C総本部から,平成19年2月19日,Dに
おいて,さらに,同月22日,E株式会社本社において,それぞれ本
件集会の開催について強硬な抗議を受けたことなどから,申立人に対
し,同月26日,「集会参加者と集会反対者の間で,さらに一般の公
園利用者との間で大きな混乱が予見され,また警察の警備等によって
もなお混乱が危惧され,公園の管理に支障が生じると認められるた
め。」という理由で,東京都立公園条例(昭和31年東京都条例第1
07号)16条10号,18条1項に基づき,本件承認を取り消す旨
の処分(以下「本件取消処分」という。)をした。(疎甲3,5,疎
乙1,2)
(5)申立人は,平成19年2月27日,本件取消処分の取消しを求める
本件本案に係る訴えを提起した。
3争点
本件の争点は,①本件が「重大な損害を避けるため緊急の必要がある
とき」(行政事件訴訟法25条2項本文)に該当するか,②本件本案に
ついて理由がないとみえるか(同条4項),③本件取消処分の効力停止
が公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるか(同項)である。
4当事者の主張
申立人の主張は,別紙1(使用許可取消処分効力停止申立書写し)及
び別紙2(反論書写し)記載のとおりである。
相手方の主張は,別紙3(意見書写し)及び別紙4(意見書(2)写し)
記載のとおりである。
第3当裁判所の判断
1争点①(本件が「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に
該当するか。)について
(1)行政事件訴訟法25条2項本文は,「処分,処分の執行又は手続の
続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」を
執行停止の積極的要件とし,同条3項において,「裁判所は,前項に
規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては,損害の
回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処
分の内容及び性質をも勘案するものとする。」と規定している。そう
すると,「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」とは,処
分を受けることによって申立人の被る損害が,原状回復若しくは金銭
賠償によるてん補が不能であるか,又は社会通念上,そのような原状
回復,金銭賠償等で損害を回復させるのが容易でなく,若しくは相当
でないとみられる程度に達していて,そのような損害の発生が切迫し
ており,これを避けなければならない緊急の必要性が存在することを
いうと解するのが相当であり,この必要性の有無については,申立人
が処分によって被る損害が,その性質,内容,程度等に照らし,行政
目的を達成する必要性との関連において,やむを得ないものと評価す
ることができず,行政目的の実現を一時的に犠牲にしてもなお申立人
を救済しなければならない緊急の必要性があるか否かという観点から
判断すべきものである。
(2)前記前提となる事実によると,本件取消処分がされたのは本件集会
等の開催予定日の5日前であること,本件集会等の参加者として50
00人程度が見込まれていること,本件αは東京都心部に位置するβ
公園内に在ることが認められ,そうすると,現時点において,申立人
において本件集会等の開催予定日までに他に適切な代替会場を確保し
て開催場所を変更することは,事実上不可能であると考えられる。
また,前記前提となる事実のとおり,本件集会等が「○○」等をス
ローガンとする集会を開催し,これに引き続いてパレードを行うとい
うものであることからすると,本件集会等の中止による不利益は,そ
の性質上金銭賠償等によって事後にこれを回復することが困難なもの
であると認められる。
そうすると,本件取消処分によって申立人が被る損害は,行政事件
訴訟法25条2項本文にいう「重大な損害」に当たるということがで
きる。
そして,現時点では,本件集会等の開催予定日までわずか3日しか
ないのであるから,緊急の必要性があることも認められる。
(3)以上によれば,本件申立てについては,「重大な損害を避けるため
緊急の必要があるとき」に該当すると認めることができる。
2争点②(本件本案について理由がないとみえるか。)について
(1)本件本案は,本件承認を取り消す旨の本件取消処分の取消しを求め
る訴えであるところ,前記前提となる事実のとおり,相手方は,「集
会参加者と集会反対者の間で,さらに一般の公園利用者との間で大き
な混乱が予見され,また警察の警備等によってもなお混乱が危惧され,
公園の管理に支障が生じると認められる」こと(以下,これを「本件
取消処分の理由に係る事情」という。)を理由に,本件取消処分をし
ている。
(2)本件αは,地方自治法244条にいう公の施設に当たるから,相手
方は,正当な理由のない限り,住民がこれを利用することを拒むこと
はできず(同条2項),また,その利用について不当な差別的取扱い
をしてはならない(同条3項)。
そして,同法244条に定める普通地方公共団体の公の施設として,
本件αのような集会の用に供する施設が設けられている場合,住民等
は,その施設の設置目的に反しない限り,その利用を原則的に認めら
れることになるので,管理者が正当な理由もないのにその利用を拒否
するときは,憲法の保障する集会の自由の不当な制限につながるおそ
れがある。したがって,集会の用に供される公の施設の管理者は,当
該公の施設の種類に応じ,また,その規模,構造,設備等を勘案し,
公の施設としての使命を十分に達成せしめるよう適正にその管理権を
行使すべきである。
以上のような観点からすると,相手方が本件取消処分の理由に係る
事情を理由に本件承認を取り消すことができるのは,本件取消処分の
理由に係る事情が,相手方の主観により予測されるだけでなく,客観
的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に限られるもの
と解するのが相当である(最高裁平成5年(オ)第1285号同8年3
月15日第二小法廷判決・民集50巻3号549頁参照)。
(3)疎明資料(疎甲5,疎乙1,2)だけでは,本件取消処分の理由に
係る事情が,許可権者である相手方の主観により予測されるだけでな
く,客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されることを認め
ることはできず,他にこれを認めるに足りる疎明はない。
そうすると,本件本案の審理を尽くしていない現段階において,本
件申立てが「本案について理由がないとみえるとき」に該当するとま
でいうことはできない。
3争点③(本件取消処分の効力停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼす
おそれがあるか。)について
前記前提となる事実のとおり,相手方は,本件取消処分の理由に係る
事情,すなわち,「集会参加者と集会反対者の間で,さらに一般の公園
利用者との間で大きな混乱が予見され,また警察の警備等によってもな
お混乱が危惧され,公園の管理に支障が生じると認められる」ことを理
由に,本件取消処分をしている。
しかし,主催者が集会を平穏に行おうとしているのに,その集会の目
的や主催者の思想,信条等に反対する者らが,これを実力で阻止し,妨
害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用
を拒むことができるのは,公の施設の利用関係の性質に照らせば,警察
の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情
がある場合に限られるものというべきである(前掲最高裁平成8年3月
15日第二小法廷判決参照)ところ,疎明資料(疎甲5,疎乙1,2)
だけでは,上記の特別な事情があると認めることはできず,他にこれを
認めるに足りる疎明はない。したがって,本件取消処分の理由に係る事
情が予測されることを理由に,本件取消処分の効力の停止が公共の福祉
に重大な影響を及ぼすおそれがあるということはできない。
そのほか,本件取消処分の効力の停止が公共の福祉に重大な影響を及
ぼすおそれがあることをうかがわせる疎明資料は見当たらない。
第4結論
以上によれば,本件申立ては,理由があるからこれを認容し,申立費
用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,
主文のとおり決定する。
平成19年2月28日
東京地方裁判所民事第38部
杉原則彦裁判長裁判官
鈴木正紀裁判官
松下貴彦裁判官

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