弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由第一点について。
 民法一一〇条の規定は、代理人が、その有する代理権限の範囲を越えて、本人を
代理してある行為をしたことを前提として適用さるべきものと解するを相当とする。
すなわち、本条の適用あるがためには、代理権限の踰越があることを要件とし、代
理権限の踰越があるためには、当然そこに基本として、何らかの代理権が存在する
ことを前提要件とする。本人を代理してある行為をした者が、その行為の当時にお
いて、全然代理権を有しない場合は、純然たる無権代理であつて、代理権限を越え
るという問題を理論上生ずる余地がなく、したがつて本条を適用する余地もないと
いわなければならぬ。
 原判決は、上告人が被上告人Bの代理人と称する訴外Dから本件土地・家屋を買
受けた昭和二二年六月一七日当時においては、訴外Dは何等の事項についても被上
告人Bを代理する権限を有しなかつた事実を適法に認定している。それゆえ、原判
決が民法一一〇条の表見代理に関する上告人の主張を採用しなかつたのは正当であ
る。
 所論は、原判決の認定によれば、(一)右売買契約の締結後取引完了前に、前記
Dは所論の事項につき代理権が与えられたのであるから、また(二)前記Dは、被
上告人Bと訴外E間の売買について、買主B側に立つて仲介をしたのであるから、
(仲介は実質的には代理関係と殆んど選ぶところがないから)、さかのぼつて本件
売買契約についても民法一一〇条を類推適用すべきであると主張する。しかし、前
記Dが被上告人Bから所論の事項につき代理権を与えられた後に、その代理権限を
越えてなした代理行為については、第三者たる上告人がその権限ありと信ずべき正
当の理由を有したときは、表見代理に関する民法一一〇条の適用を主張することが
できるとはいえよう。だが、基本となるべき何らの代理権もなく(所論売買の仲介
は代理関係とは認められない)、純然たる無権代理の状態において締結された本件
売買契約そのものにつき、民法一一〇条を類推適用するを妥当とする実質的理由を
認めることはできない。それゆえ、論旨はとることを得ない。
 同第二点について。
 所論は、上告人において、本件売買契約締結の際、前記Dが被上告人Bを代理す
る権限ありと信ずるにつき正当の理由がない、とした原審の判断の違法を主張する。
しかし、すでに第一点において述べたところによつて、本件売買契約につき民法一
一〇条の適用がないことは明らかである。それゆえ、原判決としてはさらに進んで
上告人が前記Dに代理権ありと信ずるにつき正当の理由がない旨を特に判示する必
要はないわけである。この点に関する原判示は、民法一一〇条の表見代理の主張を
排斥する理由としては、いわば蛇足を添えたに過ぎないものである。この点に関し
仮に所論の違法があるとしても、その違法は原判決に影響を及ぼさないから、適法
な上告理由とは認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛