弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中上告人敗訴部分を破棄し、右部分につき本件を名古屋高等裁判
所に差し戻す。
     被上告人は上告人に対し金二七〇万九七六六円及びこれに対する昭和五
二年一〇月五日から支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。
     前項に関する裁判の費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人鈴木匡、同大場民男、同山本一道、同鈴木順二、同伊藤好之の上告理
由第一点について。
 本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものである旨の原審の認
定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その
過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判
断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 同第二点について
 原判決は、本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものであるが、
上告人の職員である消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律(以下
「失火責任法」という。)は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署
職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠つた過失がある以上、上告人は被上告
人に対し国家賠償法一条一項により損害を賠償する義務があるとし、被上告人の請
求のうち一部を認容した。
 思うに、国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法四条は、同法一
条一項の規定が適用される場合においても、民法の規定が補充的に適用されること
を明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法七〇九
条の特則を規定したものであるから、国家賠償法四条の「民法」に含まれると解す
るのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあた
る公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を排
除すべき合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火
による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任
法が適用され、当該公務員に重大な過失のあることを必要とするものといわなけれ
ばならない。
 しかるに、本件において、消防署職員の重大な過失の有無を判断することなく、
被上告人の請求の一部を認容した原判決には、法令の解釈を誤り、ひいて審理不尽
の違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点に関
する論旨は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決中上告
人敗訴部分は破棄を免れない。そして更に消防署職員の重大な過失の有無につき審
理を尽くす必要があるので、右部分を原審に差し戻すこととする。
 上告人の民訴法一九八条二項の裁判を求める申立について
 上告人が右申立の理由として主張する事実関係は、被上告人の認めるところであ
る。そして原判決中上告人敗訴部分が破棄を免れないことは前説示のとおりである
から、原判決に付された仮執行宣言がその効力を失うことは、論をまたない。した
がつて、右仮執行宣言に基づいて給付した金員及びこれに対する右支払の日から完
済まで年五分の割合による民法所定の損害金の支払を求める上告人の申立は、これ
を正当として認容しなければならない。
 よつて、民訴法四〇七条、一九八条二項、九五条、八九条に従い、裁判官全員一
致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   本   一   夫
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    本   林       讓

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛