弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人三木善続の上告趣意は、憲法違反を主張するが、道路交通法七二条一項後
段の規定が憲法三八条一項に違反しないことは、当裁判所の判例(昭和三七年五月
二日大法廷判決、刑集一六巻五号四九五頁)の趣旨とするところであるから、所論
は理由がない。
 なお、原判決の是認した第一審判決は、業務上過失致死の所為につき刑法二一一
条前段(昭和四三年法律第六一号による改正前のもの)、報告義務違反の所為につ
き道路交通法一一九条一項一〇号を適用し、前者の罪につき禁錮刑、後者の罪につ
き懲役刑を選択したうえ、右二個の罪は刑法四五条前段の併合罪であるとして、同
法四七条本文により前者の罪の刑に法定の加重をし、結局禁錮四年六月以下で処断
しているが、右は各罪につき定めた刑の長期の合算額を超える場合であるから、同
条但書を適用し禁錮三年三月以下で処断すべきであつたにかかわらず、第一審判決
がこれを遺脱し、原判決がこれを看過したのは、法令の適用を誤つたものといわな
ければならない。
 しかし、記録にあらわれた一切の事情を総合すると、被告人に対する本件宣告刑
が不当に重いものとはいえないから 原判決を破棄しなければ著しく正義に反する
ものとは認められない。
 よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す
る。
  昭和四四年五月二日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一

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