弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1被告X3は,原告らに対し,別表5「被告X3認容額」欄の各原告の認容
額欄に記載された金員及びこれに対する平成23年9月10日から支払済み
まで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。
2被告X2は,原告らに対し,別表5「被告X2認容額」欄の各原告の認容
額欄に記載された金員(ただし,この金額の限度で被告X3と連帯して)及
びこれに対する平成23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による
金員をそれぞれ支払え。
3原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
4訴訟費用は,被告X3に生じた費用及び原告らに生じた費用の25分の1
は被告X3の負担とし,被告X2に生じた費用の2分の1及び原告らに生じ
た費用の50分の1は被告X2の負担とし,その余の費用は原告らの負担と
する。
5この判決は,第1及び2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1被告らは,原告aに対し,連帯して,3300万円及びこれに対する平成
23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告らは,原告bに対し,連帯して,1980万円及びこれに対する平成
23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3被告らは,原告cに対し,連帯して,1273万8000円及びこれに
対する平成23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を
支払え。
4被告らは,原告dに対し,連帯して,1518万円及びこれに対する平成
23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5被告らは,原告eに対し,連帯して,462万円及びこれに対する平成2
3年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6被告らは,原告fに対し,連帯して,1056万円及びこれに対する平成
23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7被告らは,原告gに対し,連帯して,3300万円及びこれに対する平成
23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
8被告らは,原告hに対し,連帯して,462万円及びこれに対する平成2
3年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
9被告らは,原告iに対し,連帯して,3300万円及びこれに対する平成
23年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要(略語は,本文中に特に記載したもののほか,別紙略語目録に
よる。)
1本件は,原告らが,Xとの間で,Xが所有又は管理する黒毛和種の繁殖牛
を購入すると同時にその飼養を委託するという黒毛和種牛・飼養委託契約
(牛を購入した顧客を「オーナー」というためこの契約を,以下「オーナー
契約」という。)を締結し,一定期間後にXが原告らから同繁殖牛を再売買
するという合意のもと,購入及び委託代金を支払ったところ,Xが破綻した
ために再売買をして代金の支払を受けることができなかったことにつき,①
オーナー契約は特定商品預託法4条1項及び出資法2条1項に違反して違法
である,又は②Xが原告らに対し,オーナー契約締結時にXが債務超過であ
ることやXが所有又は管理する繁殖牛がオーナー契約頭数を大幅に下回るこ
と等を説明しなかったことが説明義務違反に当たり,①及び②はいずれも不
法行為に該当するところ,被告らには,Xの経営に必要不可欠な関連会社と
して,又はX若しくはその関連会社の役員として,Xの前記不法行為に積極
的に加担し,又は援助助長した点に注意義務違反及び任務懈怠があったとし
て,被告らに対し,共同不法行為(民法719条1項)及び会社法429条
1項に基づき(なお,被告K,被告H及び被告Eについては共同不法行為の
み。),別表1の「原告」欄記載の原告ごとの「請求額合計」欄記載の損害
賠償及びこれに対するXが民事再生手続開始決定を受けた日の翌日である平
成23年9月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害
金の支払を求めた事案である。
2前提事実(当事者間に争いがないか,末尾に掲記する証拠及び弁論の全
趣旨により容易に認定することができる事実)
(1)被告ら
被告A1らは,いずれもX又はその関連会社の役員であったか,現在も
役員である者であり,X又はその関連会社の役員在任期間及びその時の役
員名は,別表2-1及び同2-2の「氏名」「会社名」「役職」「役員在
任期間」欄記載のとおりである。
被告K,被告H及び被告Eは,Xの関連会社であり,その設立年月日,
会社の目的及び業務の概要,現在の状況,出資者,並びに役員構成は,別
表3の「設立年月日」,「会社の目的及び業務の概要」,「現在の状
況」,「出資者」及び「役員構成(抜粋)」欄に記載のとおりである。
(2)X
Xは,別表4の「X」に記載のとおり,昭和56年12月18日に有限
会社X´として設立され,主として,直営牧場及び預託牧場において黒毛
和種牛の畜産を行い,後記(3)のとおりの黒毛和種牛委託オーナー制度
(以下「オーナー制度」という。)を運営し,その他食肉加工品の製造販
売等を営んできた会社であり,平成18年5月1日に特例有限会社となっ
たが,平成21年4月1日には株式会社Xに商号変更して通常の株式会社
に移行した。
Xは,平成23年8月9日に民事再生手続開始申立てを行い,同年9月
6日に東京地方裁判所が民事再生手続開始決定をしたが,同年12月9日
には破産手続開始決定がされ,平成26年3月12日頃には破産手続が終
了している(甲50)。Xの株主及び役員構成の抜粋は,別表4のXにお
ける「株主構成又は出資者」,「役員構成(抜粋)」欄に記載のとおりで
ある。
(3)オーナー制度は,次のとおりのオーナー契約に基づくものである。
ア繁殖牛(子牛を出産させ繁殖させるために飼育している牝牛であり,
子牛を含まない。)を対象とするオーナー契約(以下「繁殖牛コース」
という。)
Xが所有する黒毛和種の繁殖牛(以下契約対象の牛を「オーナー牛」
という。)を客に対し,一定期間経過後の再売買請求権を付して売却す
ると同時にその間の牛の飼育を受託し,契約時に客から牛の購入代金及
び1年間の飼育料の支払を受け,契約期間中には年に1度オーナーに利
益(約定の子牛の買取予定価格(以下「子牛買取予定代金」とい
う。)から翌年分の飼養委託費用を控除した残額(以下「子牛予定売
却利益」という。))を分配し,契約期間満了時には原則としてオー
ナーの購入代金と同額の代金でXがオーナー牛を買い戻すことを内容と
する契約であり,契約期間やオーナー牛の価格,子牛買取予定代金,子
牛予定売却利益はコースによって異なっていた。オーナー制度は主とし
て繁殖牛を対象とするオーナー契約に基づき運営されていた(甲12,
16,21)。
イ肥育牛(繁殖牛から生まれ,肉食用に育てられる牛をいい,雄牛及び
繁殖に適さない牝牛をいう。)を対象とするオーナー契約(以下「肥育
牛コース」という。)
平成23年7月頃に限定的に募集されたオーナー契約である。肥育牛
コースの場合には,Xが所有する出荷半年前の黒毛和種の肥育牛をXが
指定する価格で顧客(オーナー)が買い取り,半年後,Xがオーナーに
対し,当該肥育牛を一定額の売買代金(予め定める売却代金を「予定売
却代金」といい,これから飼養委託費を控除した金額を「予定売買代
金」という。)で買い取ることを予定するが,肥育牛の実際の売却代金
が約定の予定売却代金を下回る場合には,下回った代金相当額の飼養委
託費をXが負担することとした額を支払い,反対に,予定売却代金を上
回る場合には,上回った金額の50パーセント相当額を予定売買代金に
加算して支払うこととされていた(甲15)。
なお,原告らが締結した別表5の契約の中に肥育牛コースはない。
(4)原告らが締結したオーナー契約の概要(甲12ないし16,98)
原告らは,平成15年6月頃から平成23年7月21日頃までの間,
別表5の「コース名」欄記載の各契約を締結し,Xに対し「購入金額」
欄記載の各金額を支払った。
原告らがXとの間で締結したオーナー契約の概要は,次のアないしオ
のとおりである。なお,オーナー契約の契約書には割り当てられたオー
ナー牛の耳標番号が記載されていた。(甲12,56,98)。
ア原告らは,Xから黒毛和種の繁殖牛を購入し,Xに対して購入代金
及び1年分の飼養費用を支払い,約定の契約期間中のオーナー牛の飼
養を委託する。Xは,占有改定により原告らに対して各オーナー牛を
引き渡し,契約期間中の飼養を行う。
イオーナー牛が契約期間中に子牛を出産した場合,年1頭まではオー
ナーがXに子牛を売り渡し,Xはオーナー契約であらかじめ定めた子
牛予定売却利益を毎年約定の支払日にオーナーに支払い,1年に2頭
以上出産した場合には2頭目以降はオーナーがXに子牛を無償譲渡す
る。
ウ契約期間終了前の一定の間に,オーナーはXに対し,オーナー牛の再
売買請求権を行使して再売買代金の支払を受けるか,又はオーナー牛を
引き取るか選択することができるが,オーナーが何らの意思表示をしな
い場合には,再売買請求権を行使したとみなされる。
エ再売買代金額は,原則オーナー牛の購入代金と同額とするが,牛の市
場価格が前年比30パーセント以上下落したとき,又は為替変動等によ
り飼料価格が高騰した時は,協議して決定する。
オXの責めに帰すべき事由によりオーナー牛が死亡,滅失した場合に
は,Xはオーナーに対しこれにより被った損害を賠償するが,その具体
的方法(代替牛の提供等)は両者が協議して定める。
(5)もっとも,オーナーは再売買請求権を行使するのが通常であり,X
は,後記(6)のとおり,創業した昭和56年から民事再生申立てをした平
成23年8月まで,子牛の市場価格や為替変動に関わりなくオーナーに対
して購入代金と同額の再売買代金を支払ってきたし,子牛の出生及び生存
の有無にかかわらず,少なくとも年3ないし4パーセント程度の配当を行
っていた。
(6)Xは,平成23年4月27日付け書面により,平成23年4月に契約
期間満了を迎えるオーナーに対し,福島原子力発電所事故による風評被害
や自粛の影響で牛肉需要が落ち込み価格も下落したことから,再売買代金
の支払時期を4月から5月末日に遅らせてほしいこと,1か月分の利益金
は4月末日までに支払い,再売買代金の遅延損害金として1パーセント相
当額の商品券を5月末に送付すること,5月末には契約期間1年間,契約
金額100万円,子牛予定売却利益6万円とする「切り替え特別コース」
の募集がある旨通知した(甲17)。そして,Xは,同年5月及び6月に
も各月で契約期間満了を迎えるオーナーに対し,同内容の通知を行ったが
(甲18,19),6月末の支払も遅滞した(甲20)。
(7)Xは,平成23年8月9日,東京地方裁判所に民事再生手続開始の申
立てを行った。東京地方裁判所は同年9月6日に民事再生手続開始決定
をしたが,同年11月8日に民事再生手続の廃止を決定し,同年12月
9日に破産手続開始決定を行った(以下「本件破産手続」という。)。
原告らは,本件破産手続において,次表「破産債権額」欄記載のとおり
破産債権の届出を行い,「配当額」欄記載のとおりの配当を受けた(甲5
1ないし52の10)。
氏名破産債権額配当額
原告g2億3020万5000円1157万1833円
原告h732万9480円36万8434円
原告c1987万9000円99万9267円
原告i4568万8740円229万6659円
原告e729万0340円36万6467円
原告f1648万円82万8408円
原告d2397万9430円120万5386円
原告b3141万7060円157万9257円
原告a6295万3600円316万4520円
3争点及びこれに対する当事者の主張
(1)本案前の主張
(被告C1の主張)
本件における原告らの被告C1に対する請求は,法律構成が不明であっ
て,事実的,法律的根拠を欠くものであるのに,被告C1が被告とされた
ことにより,Xの投資家だった者から「詐欺ないしそれと同等の悪性を有
する行為」に加担した者だとのそしりを受けかねず,それらに全国各地か
ら多数の訴訟が提起されるとこれに応訴せざるを得ない。
よって,原告らの被告C1に対する訴えは,訴権を濫用するものとして
不適法である。
(2)Xの違法性
(原告らの主張)
ア特定商品預託法4条1項違反について
Xは,繁殖牛が恒常的に不足し顧客が購入した契約数(以下「オーナ
ー契約頭数」という。)に見合わない繁殖牛しか保有していなかったに
もかかわらず,原告らに対し,各種広告や営業用書類,契約書などにお
いてオーナー契約頭数に見合うだけの繁殖牛を保有しているという虚偽
の事実を告げてオーナー契約を締結させた。このことは,特定商品預託
法4条1項及び同法施行令3条4号の禁止する不実告知に該当し,違法
である。
イ出資法2条1項違反について
オーナー契約では当初購入代金での再売買が保証されていたことから
すれば,オーナー契約は,Xが業として不特定多数の者から金銭を受け
入れるものであって,出資法2条1項の禁止する「預り金」に該当し違
法である。そうすると,Xが違法なオーナー契約を募集し,顧客とオー
ナー契約を締結した行為も違法である。
ウ説明義務違反について
Xは,畜産及びオーナー契約について専門的知識を有するのに対し,
顧客は必ずしもそのような知識を持っておらず,オーナー契約のリスク
を十分検討することができないことからすれば,契約締結の際には,顧
客に対し,信義則上,契約のリスクを吟味できるだけの事情を説明すべ
き義務があった。
具体的には,Xは,原告らがオーナー契約を締結するに際し,原告ら
に対し,肥育牛の販売価格が損益分岐点に達しない常況にあり,X及び
関連牧場の畜産事業が赤字続きとなっていたこと,Xとしても債務超過
であったこと,及びそのような状況下で高配当が継続されていたが,こ
れは子牛の売却利益で賄っていたわけではなく,新規オーナーの購入代
金を配当に回していたものであって,オーナー制度自体も自転車操業状
態だったことを説明すべきであったのに,これを怠っており,このこと
は説明義務違反となる。
(被告Mらの主張)
ア特定商品預託法4条1項違反について
否認する。
Xが民事再生手続を申し立てた時点における,Xが所有又は管理する
和牛の数は,総頭数14万5916頭であり,その内訳は,肥育牛5万
1636頭,繁殖牛6万5677頭,種牛40頭,子牛2万8563頭
であった。このうち,肥育牛の中の一部の牝牛と牝の子牛は,オーナー
所有とされていたものの,和牛の絶対数が不足していたわけではない。
また,これらの事実は,Xの経営陣のみが知り得た事情であり,被告M
らは全く知ることができなかった。
イ出資法2条1項違反について
以下のとおり,オーナー契約においてXが顧客から受け取る代金等は
「預り金」には当たらない。
(ア)Xとオーナーとの取引は,売買契約・飼養委託契約に基づくもので
あって,特定商品預託法に則って行われた取引であるから,出資法違反
の問題は生じない。
(イ)オーナーが,Xに対し,オーナー契約に基づき支払うのは,和牛の
購入代金であるし,オーナー契約上,再売買代金額が購入代金額と同額
であることは保証されていないから,「預り金」には該当しない。
ウ説明義務違反について
否認ないし争う。
Xの肥育牛の販売価格が損益分岐点に達しておらず,Xのビジネスモデ
ルが破たん必至であったとか,Xが赤字続きだったとはいえない。オーナ
ーから支払われた金員は,売上(売却代金)及び預託料(育成管理費)と
して会計上適切に処理されており,再売買代金は期限未到来であるから直
ちに負債に計上になければならないものでもないから,Xは常に債務超過
であったとはいえない。
(被告C1の主張)
否認ないし争う。
(被告X1の主張)
否認ないし争う。
(被告C2の主張)
否認ないし争う。
(3)被告らの注意義務違反及び任務懈怠の有無
(原告らの主張)
別表2-1,2-2及び3「原告らの主張」欄記載のとおり。
(被告らの主張)
いずれも否認ないし争う。
(4)損害の有無及び額
(原告らの主張)
原告らは,被告らの上記特定商品預託法違反,出資法違反又は説明義務
違反による共同不法行為若しくは任務懈怠により,別表1「購入金額合
計」欄記載の出資相当額及びそれに応じた弁護士費用の損害を被った。
なお,原告らは,「購入金額合計」記載の損害のうち,「一部請求額」
欄記載の各金額(3000万円を超える損害を被っている場合には300
0万円を,3000万円以下の損害を被っている場合にはその6割の金
額)に「弁護士費用」欄記載の相当な金額を加算した「請求額合計」欄記
載の各金額の損害賠償を求める。
(被告らの主張)
否認ないし争う。
第3当裁判所の判断
1争点(1)(本案前の主張)について
被告C1は,本件における原告らの被告C1に対する請求は,訴権を濫用
するものとして不適法であるから却下されるべき旨の主張をする。
しかし,原告らの被告C1に対する請求は,オーナー制度が違法であるこ
とを前提に,被告C1は,関連会社の代表取締役として,オーナー制度が違
法であることを認識し,又は認識することができたのに取引を継続したこと
が違法であるとして,共同不法行為及び会社法429条1項に基づき損害賠
償を求めるものであると特定されおり,事実的及び法律的根拠が全く欠ける
とまでいうことはできない。
よって,原告らの被告C1に対する請求が訴権を濫用するものとして不適
法であるとはいえない。
2認定事実
前記前提事実に加え,証拠(乙B1,乙C9ないし28,乙D1,乙E
1,乙F1,乙G1,乙H1,被告X1本人,被告Q本人,被告X3本人,
被告X2本人,被告C1本人,被告B1本人,被告A1本人,被告D1本
人,被告R本人,被告S本人,被告N本人,被告E代表者兼被告E1本人,
被告K代表者兼被告K1本人のほか末尾掲記のとおり)及び弁論の全趣旨に
よれば,次の各事実を認めることができる。
(1)Xは,栃木県那須郡●●町内の本店所在地に社長室,オーナー営業
部,まきば営業部,経理部,総務部,食品本部及び畜産部を設置し,畜産
部が全国40か所の直営牧場と約350か所の預託畜産牧場(以下単に
「預託牧場」ということがある。)を統括していた。
A,C及びBは,別表4の「株主構成又は出資者」欄記載のとおり,X
が実質的に全株式を有する関連会社で,同表の「業務内容」欄記載のとお
り,直営農業と同様に現地の牧場地にてXから委託された黒毛和種牛の飼
養を行い,また,被告Eは預託牧場を経営していたものである。
I,O,F及びGは,別表4の「株主構成又は出資者」欄記載のとお
り,XやIが実質的に全株式を有し,被告H及びJとともにXに関わりを
持つ関連会社であり,被告KはIの取引先であった(甲1,2,71,弁
論の全趣旨)。
(2)牛及びオーナー契約の管理体制(甲56)
ア直営牧場又は預託牧場では,Xが所有又は管理する牛から子牛が生ま
れると,アルファベット2文字と4桁の数字からなる独自の耳標番号札
を子牛の耳に装着し,X,直営牧場及び預託牧場は,この耳標番号によ
って牛の個体管理及びオーナー制度の管理を行ってきた(なお,平成1
5年12月1日に牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特
別措置法が施行された後は同法に基づく耳標番号も併用されたが,オー
ナー制度の管理は専らX独自の耳標番号が使用されたので,以下では
「耳標番号」はX独自の耳標番号を指すこととする。甲77)。
イ直営牧場及び預託牧場は,毎月1回,耳標番号による個体管理データ
に基づき,肥育牛,繁殖牛及び育成牛(繁殖牛や肥育牛に振り分けられ
ていない概ね月齢8か月程度までの子牛をいう。)の頭数,性別,出生
した子牛の数及び性別,肥育牛又は繁殖牛に移行した頭数及び性別,廃
用又は死亡した頭数及び性別等の実地棚卸作業を行い,その結果をXの
畜産部に報告し,また畜産部では,毎月1回全国の実地棚卸の結果を集
計した棚卸表(在庫表)を作成し,牛管理システムにより前記の情報を
管理していた(甲69)。
ウオーナー管理部は,オーナー契約の契約者の氏名,契約番号,契約コ
ース,契約頭数等のオーナー契約情報をオーナー管理システムにより管
理していた部署であり,オーナーに牛を割り当てる作業も担当してい
た。具体的には,毎月1回,オーナー管理部が契約期間満了及び中途解
約により契約が終了した牛の耳標番号のデータを畜産部に送信すると,
畜産部が新たにオーナーに割り当てることができる牛(新たに繁殖牛に
登録された牛,契約が終了した牛のうち繁殖牛として飼育を継続する
牛)の耳標番号のデータを作成してオーナー管理部に送信し,オーナー
管理部は畜産部作成の前記データに基づき新契約のオーナーに牛を割り
当てるという手順である(甲56)。このように,牛管理システムとオ
ーナー管理システムは,管理システムとしては別個のもので,従業員が
介在して初めて連動するものとなっていた。
(3)オーナー契約頭数に占める繁殖牛の頭数の割合及びその推移
Xでは,遅くとも平成7年頃から,繁殖牛の死亡や繁殖に適さないと判
断した繁殖牛を肥育牛としたこと等によりオーナーに割り当てる繁殖牛が
不足していたため,牝の子牛及び肥育牛,近い将来生まれる見込みがある
子牛をオーナーに割り当てることを始めた(甲75)。オーナー契約頭数
は平成8年度以降も右肩上がりで増え続け,平成22年4月の口蹄疫問題
発生後は11万頭前後で推移していた(甲61)。
X5がXの常務取締役となった頃である平成8年3月末,平成9年3月
末の期末決算でも,繁殖牛数はオーナー契約頭数に不足しており,Xは繁
殖牛以外の牝牛をオーナーに割り当て続けていた(甲59,62)。
Xのオーナー管理部は,平成19年11月,オーナー管理システムを変
更し,畜産部から送られてきたオーナーに割り当てることが可能な牛の耳
標番号に「000」又は「002」という下3桁を加えてオーナーに割り
当てることを始めた。このことは,X4,X5,X6,オーナー管理部の
うち牛の割当てを担当する特定の従業員,畜産部の一部の従業員など限ら
れた者にしか知らされていなかった(甲57,58,62,63,74,
77)。平成22年10月以降は,畜産部からオーナー管理部に対し,育
成牛から繁殖牛に新たに登録された牛の耳標番号データが送られてくるこ
ともなくなった(甲56)。
平成19年3月末から平成23年3月末までの間で,オーナー契約頭数
に占めるXが所有又は管理する繁殖牛頭数の割合は,多くて69.5パー
セント,少ないときは55.9パーセントであった(甲27)。
(4)牛の総数
平成14年3月から平成23年3月までの繁殖牛頭数は次表のとおりで
ある(甲28。なお,被告Mらは,有限責任監査法人U作成の調査報告書
(甲28。以下「U報告書」という。)記載の牛の頭数などの正確性を争
うが,U報告書はXの担当者から入手した資料及びヒアリング結果に基づ
き作成されたものであること,X5は農林水産省及び消費者庁に対する報
告書及びオーナーに送付するための事業報告書等の内容は改ざんしたが,
オーナー管理システム及び牛管理システム内のデータは改ざんしていない
旨述べていたこと(後記認定事実(7))からすれば,U報告書に記載され
た牛の頭数は正確なものであると認めることができる。)。
H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23
35,62548,89854,25658,37654,67561,18173,46774,10781,63877,407
(5)増頭計画の概要及び修正
X4は,平成22年頃,平成25年度までに繁殖牛頭数を25万頭にす
る増頭計画を立案したが,平成22年4月にいわゆる口蹄疫問題が発生し
(約1万5000頭を殺処分したが,うち6000頭は繁殖牛であった。
乙C1),同年8月から10月頃には達成時期を平成27年に修正し,ま
た目標頭数も23万頭に修正した(甲65,75)。
(6)オーナー契約書,事業報告書,オーナー制度案内の内容及び再売買に
関するX4の認識等
ア平成7年頃及び平成13年頃のオーナー契約書(和牛(黒毛和種)売
買委託契約書(こすもすコース),和牛(黒毛和種)売買・飼養委託契
約書(夏祭りコース2001))によれば,Xは飼養期間満了後に売却
代金と同額の再売買代金を支払ってオーナー牛を買い受けることとなっ
ていた(甲16,甲98)。
また,Xは,創業から民事再生申立てまで,子牛の市場価格や為替変
動に関わりなくオーナーに対して購入代金と同額の再売買代金を支払っ
てきた上,子牛の出生及び生存の有無にかかわらず,少なくとも年3な
いし4パーセント程度の配当を行っていた。
イXは,オーナーに対し,毎年オーナー向けの事業報告書(以下「事業
報告書」という。)を作成して郵送していたが,そこに記載されたオー
ナー所有頭数は,繁殖牛に加え,繁殖牛ではないXの自社所有牛の一
部,すなわち牝の子牛及び肥育牛,近い将来出生する可能性のある牛が
含まれており,更にX5により,繁殖牛頭数をオーナー契約頭数が上回
らないように改ざんが加えられたものとなっていた(甲10,62)。
その結果,繁殖牛が1年に1回ないし2回子牛を出産し,その子牛を
Xが取得すること,子牛からの肥育牛は約30か月程度肥育されてから
出荷されることを前提とすると,事業報告書に記載されたXの自社所有
頭数(基本的には肥育牛及びその他の子牛の合計を指す。)は,繁殖牛
頭数と比較して自社所有頭数が不自然に少なくなっていた(甲10)。
また,Xにおいて作成されていた平成21年7月末から平成23年7
月末までの間の棚卸表の繁殖牛頭数とその当時のオーナー契約頭数を比
較すると,一貫して,繁殖牛頭数がオーナー牛頭数よりも,およそ3万
9000頭から4万9000頭少ないということを知ることは可能であ
った(甲55)。
ウ平成19年4月以降にXが作成したオーナー制度に関するパンフレッ
ト(甲13)には,「Q.『私の牛』は本当にいるのですか?」「A.
います。」,「『子牛予定売却利益』ならびに『売買・飼養委託契約金
(委託牛買取り金)』の金額は,制度上あらかじめ保証されたものでは
ありませんのでご注意ください。ただし当社におきましては,本制度の
運用実績において,これらの支払いを減額あるいは遅滞した過去の事例
はありません。」と記載がある。
エX4自身も,オーナー契約は,契約期間満了後にオーナーに対し,オ
ーナーによる牛の購入代金と同額を再売買代金として返還することにな
っていた旨述べていた(甲68)。
(7)決算報告書などの会計書類
Xの会計書類の原案は,畜産部から提供される棚卸表,オーナー管理部
から提供される契約件数,契約頭数,契約金額に関する情報その他必要な
資料に基づき,Xの経理部が作成することとなっていた(甲59)。関連
会社の会計書類もXが作成していた。
Xの会計書類には,契約期間終了前の買戻代金支払債務は負債に計上さ
れていなかった。
X5は,オーナー管理システム及び牛管理システム内のデータは改ざん
していないが,農林水産省及び消費者庁に対する報告書及びオーナーに送
付するための事業報告書等の内容は改ざんした旨述べていた(甲62)。
(8)決算報告書に記載された平成14年度ないし平成23年度期末の資産
合計額及び負債合計は次表のとおりである(甲3の1ないし3,11の1
ないし3)。なお,前記(7)のとおり,この負債合計には将来の再売買代
金支払債務は含まれていないが,Xが民事再生手続を申し立てた平成23
年8月9日時点における再売買予定金額は総計約4200億円であった
(甲1)。
資産合計負債合計
平成14年度期末313億3404万8000円301億4579万円
平成15年度期末318億3362万6000円305億7059万2000円
平成16年度期末413億6602万5000円400億3602万7000円
平成17年度期末384億8575万5000円370億2908万円
平成18年度期末470億2275万3000円452万7757万1000円
平成19年度期末571億9059万9000円551億3931万6000円
平成20年度期末621億2860万7000円596億7658万4000円
平成21年度期末688億8771万2899円662億1352万9838円
平成22年度期末729万2910万6732円699億0467万6629円
平成23年度期末655億1155万9366円619億8705万1514円
(9)X4及びX5は,平成22年9月頃から平成23年7月頃までの間,
オーナー契約を希望する顧客192名に対し,繁殖牛が存在しないにもか
かわらず,購入する繁殖牛が実在する旨記載したオーナー制度案内や,実
在しない繁殖牛の耳標番号(下三桁が002のもの)を記載した契約書用
紙を送付するなどして顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要な特定商
品の保有の状況につき不実の事実を告げたという特定商品預託法違反で起
訴され,有罪判決を受けた(甲96,107)。
3争点(2)(Xの違法性)について
(1)特定商品預託法違反について
原告らは,Xが原告らに対し,オーナー契約締結に際し,各種広告や営
業用書類,契約書などにおいて顧客が購入した契約数に見合うだけの繁殖
牛を保有しているという真実と異なる事実を告げてオーナー契約を締結さ
せたことは,特定商品預託法4条1項及び同法施行令3条4号の禁止する
不実告知に該当して違法である旨主張するところ,被告らはこれを争うの
で以下検討する。
前提事実(3),(4)及び認定事実(3),(4)のとおり,原告らは,Xとの間
で平成15年6月頃から平成23年7月21日頃までの間にオーナー契約
を締結したものであるところ,Xでは平成7年頃からオーナーに割り当て
る繁殖牛が不足していたため繁殖牛以外の牝牛をオーナーに割り当てるよ
うになり,その後も繁殖牛数がオーナー契約頭数に不足した状態が続き,
その間オーナー契約頭数は増え続けたこと,平成19年3月末から平成2
3年3月末までの間,X又は関連牧場が飼養する黒毛和種牛は,多くても
オーナー契約頭数の69.5パーセント,少ないときは55.9パーセン
トしか存在しなかったこと等を考慮すると,原告らがオーナー契約を締結
しようとした際に,オーナーに割り当てるべき繁殖牛数が,オーナー契約
頭数に足りない状態が継続していたものと認めることができる。
そして,前提事実(4)及び認定事実(6)のとおり,X作成のパンフレット
ではオーナー牛が存在すると回答していたり,契約書に耳標番号が表示さ
れたりしていることからして,Xは,原告らがオーナー契約を締結する際
に,原告らに対し,オーナー牛が実在すると説明していたことが認められ
る。
そうすると,Xのパンフレットや契約書の内容は,特定商品預託法4条
1項の不実告知に該当すると認めることができる。
この点,被告Mらは,①Xは子牛及び肥育牛の牝牛をオーナーに割り当
てており,Xの所有又は管理する牛の絶対数が不足していたわけではな
い,②Xが25万頭まで増頭する計画を立案し,実行しようとしていたと
ころ,東日本大震災に起因する風評被害等によりこれが難しくなっただけ
であり,これがなければ増頭計画が達成されていたはずである旨を主張す
る。
しかし,①オーナー契約の対象となるのは繁殖牛であるから,契約時点
で繁殖能力を持っていない子牛や肥育牛がこれに含まれないことは明らか
であり,X4及びX5も繁殖牛に肥育牛や子牛が含まれないことは認めて
いるところである(甲59,75)し,また,②現にXが所有管理する繁
殖牛が,オーナー契約数に大幅に不足する常況にあった以上,契約締結に
際し,オーナー契約頭数を満たす繁殖牛がいると告げることは不実告知に
ほかならず,増頭計画があったことはその認定を妨げる理由にならない。
よって,被告Mらの主張はいずれも採用できない。
以上のとおり,Xのパンフレットや契約書の内容は特定商品預託法4条
1項違反の不実告知に当たるとの原告らの主張は理由がある。
(2)出資法違反について
原告らは,オーナー契約に基づく牛の購入代金等の払込は出資法2条1
項が禁止する「預り金」に該当する旨主張し,被告らはこれを争うので,
以下検討する。
この点,出資法2条1項は「業として預り金をするにつき他の法律に特
別の規定のある者を除く外,何人も業として預り金をしてはならない」と
定め,「預り金」とは,同条2項に列挙されている預金等と同様の経済的
性質を有するものをいうこととされているのであるが,これら預金等は,
いずれも元本額の返還が保証されており,金銭の価額が主として当該金銭
の拠出者の利便のために保管されるという性質を持つ点で共通することに
加え,同条の趣旨が,元本額の返還保証を信頼し,零細な資金を拠出する
一般大衆に不測の損害を被らせることを防ぎ,このような金銭の保管を業
とする者を厳重に規制しようとする点にあることからすれば,「預り金」
は預金等に共通するこのような性質を有するものを指すと解すべきであ
る。
認定事実(6)ア,ウ及びエのとおり,X4は,オーナー契約において
は,飼養期間満了後には購入代金と同額の再売買代金を支払って,オーナ
ー牛を買い受けると認識しており,実際に,Xは,創業から民事再生手続
申立てまでの間,牛の市場価格等に関わりなく購入代金と同額の再売買代
金を支払ってきたという実態を認めることができる。
しかし,証拠(各掲記のとおり)によれば,平成7年頃及び平成13年
頃のオーナー契約書によれば,Xは飼養期間満了後に売却代金と同額の再
売買代金を支払ってオーナー牛を買い受けることとなっていたが(認定事
実(6)ア),原告らが締結したオーナー契約書(満了専用コースAの平成
15年7月23付けオーナー契約書,カントリーメイトコースの平成16
年4月8日付けオーナー契約書,新まきばD2006コースの平成18年
8月21日付けオーナー契約書等)には,オーナーが再売買請求をした場
合,Xは,原則として,売却代金と同額の再売買代金を支払ってオーナー
牛を買い受けるが,牛の市場価格が30パーセント以上下落したとき,又
は為替変動等により飼料価格が高騰したときには,オーナーとXが協議し
て再売買代金額を定める旨の記載になっていること(前提事実エ),平成
19年4月以降にXが作成したパンフレットにも「『子牛予定売却利益』
ならびに『売買・飼養委託契約金(委託牛買取り金)』の金額は制度上あ
らかじめ保証されたもの」ではない旨の注意書きがあること(前記認定事
実(6)ウ)を認めることができる。他方,平成15年以降のオーナー契約
において,購入代金等と同額の再売買代金を支払う旨記載された契約があ
ると認めるに足りる証拠はない。これらの事実によれば,Xは,遅くとも
平成15年以降のオーナー契約においては,購入代金と同額で再売買を行
うことを合意していたとは認めることはできない。そして,原告らが主張
する損害の前提となるオーナー契約がいずれも平成15年以降のものであ
ることからすれば,原告らの主張するオーナー契約について,Xが元本保
証をしていたとはいえず,預金等と共通する性質を有すると認めることは
できない。
従って,オーナー契約に基づく牛の購入代金等の払込は出資法2条1項
が禁止する「預り金」に該当するとは認められないから,この点に関する
原告らの主張は理由がない。
(3)説明義務違反について
ア原告らは,本件では,将来の再売買代金支払債務を負債として会計書
類に計上しなければならないことを前提に,Xが債務超過の常況となっ
ていたとして,Xは,債務超過の常況にあったことを説明すべきだった
旨主張している。
しかし,XはT税務会計事務所に税務申告事務を依頼していること,
同会計事務所において,オーナーが支払った牛の購入代金を売上と計上
し,再売買代金支払債務を負債に計上していない点について特段指摘は
されていないこと,日本公認会計士協会作成の平成21年7月9日付け
「我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)」は,収益認識に関
しこれまでの実現主義の解釈のもとで認められてきた会計処理から本研
究報告に記載された会計処理への変更が強制されることはないし,同一
の取引及び事象について特定の会計処理の採用を強制するものでもない
としていること(乙C2)からすれば,再売買代金支払債務を負債に計
上しなければならなかったとまではいえない。そして,再売買代金支払
債務を負債総額に計上しなければ,決算報告書上,Xは債務超過の常況
にはない(認定事実(8))。
以上によれば,Xが債務超過の常況にあったという事実について説明
義務があったと認めることはできない。
イもっとも,原告らは,肥育牛の販売価格が損益分岐点に達しない常況
にあること,関連会社が赤字であること,及び利益配当は子牛の売却代
金で賄われていたわけではなく,他のオーナーが支払った購入代金が充
てられており,オーナー制度自体も自転車操業状態だったことを説明す
べきであったとも主張しており,これを合理的に解釈すれば,再売買代
金額が返還されないリスクを判断するに足りる事情を説明すべきであっ
たという主張を含むものと解される。
本件では,Xは,飼養期間満了後,原則として購入代金と同額の再売
買代金でオーナー牛を買い受けることとされていたと認められるが,仮
にXが支払不能となった場合であっても,契約上は,オーナー牛はオー
ナーの所有となっているから,少なくともオーナー牛の売却代金から費
用を控除した部分を回収することが保証される仕組みになっている。し
かしながら,実際には,原告らがオーナー契約を締結した時点では,繁
殖牛ではない牛が割り振られたり,オーナー所有牛が二重に割り振られ
たりしており,自分に割り振られた牛が死亡したとしても,新たに繁殖
牛を割り当てることが困難な状況になっていたのであり,原告らがオー
ナー契約を締結する前にXが所有又は管理する繁殖牛頭数及び既存のオ
ーナー契約頭数について正確な情報が説明されていれば,原告らはオー
ナー契約を締結しなかったものと考えられる。
そうすると,Xは,原告らとオーナー契約を締結するに際し,再売買
代金額が返還されないリスクを判断するに足りる事情として,Xが所有
又は管理する繁殖牛頭数及び既存のオーナー契約頭数の正確な情報を説
明すべき義務があったのに,これを怠り,水増しした繁殖牛頭数及び実
際より少ないオーナー契約頭数を説明していた点に説明義務違反があっ
たと認めることができる。
この点,被告Mらは,X4らが,平成27年までに繁殖牛数を25万
頭に増頭する契約を立案していたなどと主張するが,認定事実(5)のと
おり増頭計画は何度か修正されていること,原告らが主張する契約時点
において繁殖牛数がオーナー契約頭数に満たないことは前記3(1)で説
示したとおりであることからすれば,被告Mらのこの点の主張は失当で
ある。
4争点(3)(被告らの注意義務違反及び任務懈怠の有無)について
(1)被告X1について
ア証拠(甲30の3,乙D1,被告X1)及び弁論の全趣旨によれば,
被告X1は,平成6年2月Xの総務部部長として入社し,平成7年8月
1日から平成11年4月15日までの間,Xの取締役を務めていたが,
平成9年5月から平成10年10月まではDに出向し,平成11年3月
からは被告Hの代表取締役として平成14年6月に退職するまで勤務し
たこと,Xの取締役会に参加したことはなく,平成9年頃まで,年に2
回直営牧場の場長が本社に集まる会議(以下「場長会議」という。)に
は出席し,飼育牛の現状報告や増頭計画の検討には参加していたことを
認めることができる。
イ前記3(1)で認定したとおり,平成7年頃からXでは所有又は管理す
る繁殖牛頭数がオーナー契約頭数を下回る事態になっていたことが認め
られ,前記アのとおり,Xの総務部部長及び取締役であり,場長会議に
参加して繁殖牛の頭数を把握していた被告X1としては,オーナー契約
による契約頭数を把握すれば,オーナー契約頭数が繁殖牛を上回ってい
たことを認識できた可能性は否定できない。
しかしながら,被告X1は平成9年5月にはDに出向となっているこ
と,平成13年にはいわゆるBSE感染牛問題が発生し,平成14年に
は企業による食肉偽装事件が発覚,平成19年には和牛預託商法に警視
庁の家宅捜索が入るなど,被告X1がXの取締役を退任した後にオーナ
ー制度の持続可能性に影響しうる出来事が発生していること,被告X1
がXの取締役を退任した平成11年4月15日までに繁殖牛の頭数不足
がどの程度であったかは明らかではなく,これを解消する可能性がなく
なっていたとまで認めるに足る証拠はないこと,被告X1がXの取締役
を退任してから原告らがオーナー契約を締結するまで4年(原告b,同
i)から12年余りが経過していることからすれば,仮に被告X1にお
いて原告らが主張するような注意義務違反又は任務懈怠があったとして
も,これと原告らの損害との間に相当因果関係があると認めることはで
きない。
ウよって,原告らの被告X1に対する請求は理由がない。
(2)被告X2について
ア被告X2は,平成15年頃から税理士業務を行い,平成21年9月5
日からXの監査役を務めたものである(前提事実(1))。また,Xは,
監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社であり,監査役の監査
の範囲は会計に関するものに限定されていたが(会社法の施行に伴う関
係法律の整備等に関する法律24条),平成21年4月1日に,商号の
変更により株式会社となったもの(同法45条)であり(前提事実
(2)),証拠(乙C28)によれば,商号変更により通常の株式会社に
移行した後も,Xの定款では,監査役の監査の範囲は会計に関するもの
に限定されていたこと,Xと被告X2との間では監査の範囲は会計監査
に限定することが前提とされていたことを認めることができる。
しかし,認定事実(8)のとおりXは,平成14年度期末から負債合計
は300億円を超えており,平成21年度期末以降は655億円を超え
る負債額となっていることからすれば,通常の株式会社に移行した後
は,会社法上の大会社にあたる株式会社として会計監査人設置会社(会
社法2条6号,同条24号,同法328条,同法2条11号)に当たる
ので,定款の規定によっても監査役の監査の範囲を会計監査に限定する
ことはできなくなくなったものと解され,そうすると,平成21年4月
1日以降のXの監査役は,会計監査のみならず業務監査まで行う任務が
あったといえる(会社法389条1項)。
そして,被告X2は,平成22年4月から5月頃にXの税務申告を担
当したT会計事務所と決算の打ち合わせをした際,Xが会計監査を導入
しなければならないと気付いたと述べていることからすれば(乙C2
8),その頃には,Xの監査役の監査の範囲が会計監査に限られないこ
とを認識し,又は少なくとも認識することができたものと認めることが
できる。
イ以上を前提として,被告X2について注意義務違反及び重過失による
任務懈怠があったかを検討する。
(ア)原告らは,被告X2が,再売買代金支払債務を貸借対照表上に負
債として計上すべきことを認識しながら,その旨を取締役に報告しな
かったことが注意義務違反及び任務懈怠にあたる旨主張するが,前記
3(3)アのとおり,再売買代金債務を貸借対照表上に負債として計上
しなければならなかったとまで認めることはできないから,この点に
関する原告らの主張は採用できない。
(イ)原告らは,被告X2が適切な業務監査を行っていれば,Xが巨額
の負債を抱えており,近い将来に破綻必至であったことや,オーナー
契約頭数よりも繁殖牛が不足することが常態化していたことをXが秘
匿してオーナーを募集していることを認識し又は,極めて容易に認識
することができたにもかかわらず,新規オーナーの募集を取りやめる
よう進言する等して取締役による新規募集を止める注意義務及び任務
があったのにこれを怠り,漫然と取締役らに新規オーナーの募集を続
けさせた点に注意義務違反及び任務懈怠がある旨主張する。
本件では,平成22年4月又は5月頃の時点においてXが所有する
牛の数がオーナー契約頭数を大幅に下回る常況になっていたこと,平
成14年度期末から平成22年度期末の決算を比較すると,資産合計
及び負債合計ともに倍増していること(認定事実(8)),被告X2は
決算の負債総額に将来の再売買代金支払債務が含まれていないことを
認識していたこと,被告X2はXがオーナー制度を行っており,その
業務がXにおいて大きな割合を占めていることを認識していたこと,
被告X2が平成21年度決算の会計監査を行っていることからすれ
ば,将来の再売買代金支払債務を考慮した場合にXが大幅な債務超過
の常況にあり,関連会社への未払金,貸付金も多額に上ることを認識
することは可能であったのであり,そうである以上,被告X2は,監
査役として,取締役が株主総会に提出しようとする議案,計算書類
(貸借対照表,損益計算等)及び事業報告書並びにこれらの附属明細
書を調査し,その結果を必要に応じて株主総会に報告しなければなら
ず(会社法384条,438条),計算書類及事業報告書並びにこれ
らの附属明細書の記載内容,会計帳簿を調査するときには会計監査の
場合より厳密な調査を行うべき注意義務及び任務があったといえる。
そして,Xでは,X5は,平成21年6月末頃まではXの税務及び会
計を担当するものとして,農林水産省及び消費者庁に対する報告書及
びオーナーに送付するための事業報告書等の内容は改ざんしたが,オ
ーナー管理システム及び牛管理システム内のデータは改ざんしていな
い旨述べていたこと(認定事実(7)),Xは平成19年11月以降オ
ーナー管理システムを変更して繁殖牛を二重に割り当て始めているこ
と(認定事実(3)),Xの会計書類の原案は,畜産部から提供される
棚卸表,オーナー管理部から提供される契約件数,契約頭数,契約金
額に関する情報その他必要な資料に基づき,Xの経理部が作成してい
たことからすれば(認定事実(7)),被告X2が計算書類の原資料に
遡って調査を行っていた場合には,オーナー契約頭数よりも繁殖牛が
不足することが常態化しているのに,Xがこれを秘匿してオーナーを
募集していることを認識し又は認識することができ,その際に取締役
に新たなオーナーの募集を止めるよう進言するなどしていたとすれ
ば,遅くとも平成22年6月以降新たなオーナー契約が締結されるこ
とを防ぐことができた可能性があると認められるところ,被告X2は
これを怠り,何ら業務監査を行っていない点に注意義務及び任務懈怠
があったといえる。
ウ従って,被告X2が遅くとも平成22年6月以降に締結されたオーナ
ー契約に関する限りで,原告らの被告X2に対する共同不法行為及び会
社法429条1項に基づく損害賠償請求は理由がある。
(3)被告X3について
被告X3は,別表2-2のとおり,平成13年4月2日から平成15年
5月15日までの間Xの取締役を務めたものであり,平成17年7月1日
以降は執行役員(会社法上の執行役ではなく,事実上の執行役員であると
認められる。)を務め,その間も役員会に出席していたものである。そし
て,平成8年頃にはXが所有又は管理する繁殖牛頭数がオーナー契約頭数
を下回る事態になっていたこと(認定事実(3)),平成14年2月から同
年12月末まではオーナー営業本部統括として売上管理に携わっているこ
と,継続的に事業報告書を目にしていること(被告X3本人),事業報告
書のオーナー所有頭数とXが所有する頭数の比率が不自然であること(認
定事実(6)イ),取締役会において増頭計画が議題に上っていたという事
情が認められることからすれば,Xがオーナーに対し繁殖牛以外の牛を割
り当てている可能性を認識すべきであったといえる。そうすると,被告X
3は,Xの取締役及び役員会に出席した執行役員として,取締役に就任し
た平成13年4月2日以降,繁殖牛頭数及び契約頭数に関する調査を行
い,その結果,繁殖牛頭数がオーナー契約頭数に不足することが判明した
場合,新たなオーナー契約の募集を差し控えるよう代表取締役に申し入れ
るなどの措置を講じるべき注意義務があったといえ,被告X3はこれを行
った点に注意義務違反があったと認めることができる。そして,取締役在
任期間については,重過失による任務懈怠があったと認めることができ
る。
従って,原告らの被告X3に対する共同不法行為及び会社法429条1
項に基づく損害賠償請求には理由がある。
(4)被告A1ら,被告K,被告E及び被告Hについて
原告らは,①被告A1らが関連会社の役員に就任していた期間,Xの代
表取締役及び取締役を務めていたX4,X5,X6又はX7が関連会社の
役員にも就任していたこと,②被告M,被告N,被告L,被告E1,被告
E2,被告E3,及び被告K1はXの役員の親族であり,被告Nについて
はX4と同居していたこと,③別表4のとおり,Xから関連会社に対し多
額の貸付金,未収金があること,④Xと関連会社は客観的に見て一体とな
ってオーナー制度を運営していることからすれば,被告A1らは,役員就
任時において,実際にXが所有又は管理するする繁殖牛頭数がオーナー契
約頭数に不足すること,Xが債務超過の常況にあったこと等を認識し,又
は認識し得た旨主張するものと解される。
しかしながら,認定事実(2)のとおり,Xにおいては,オーナー契約頭
数はオーナー管理部が一括管理しており,Xが所有又は管理する繁殖牛頭
数がオーナー契約頭数に不足することは,X4,X5,X6及びオーナー
管理部と畜産部の一部の従業員しか把握していなかったことからすれば,
被告A1ら,被告K,被告E及び被告Hにおいて実際にX所有又は管理す
る繁殖牛頭数がオーナー契約頭数に不足することを認識し,又は認識し得
たと認めることはできない。このことは,被告M,被告N,被告L,被告
E1,被告E2,被告E3,及び被告K1らXの役員の親族についても同
様であり,これらの者の本人尋問によっても,親族であることにより,上
記事情を認識し,又は認識し得たことを認めるに足りる証拠はない。
原告らは,Xのビジネスモデルが破綻必至であることは畜産業者であれ
ば容易に認識することができた,平成8年に和牛預託商法が社会問題化し
たことがあったことからして,Xのオーナー制度の違法性も認識すること
ができたはずである旨主張する。しかし,オーナー制度の利益率は,肥育
牛の市場価格,オーナーに対する利益分配の割合,肥育牛と繁殖牛の比率
等により変わりうるものであり,U報告書も,検討した期間の範囲内であ
っても,「オーナー制度を採用せず配当負担がなければ,…理論上では黒
字化を達成することは不可能ではない」旨留保を設けていることからすれ
ば,Xのオーナー制度が本来的に破綻必至であるとも,被告らがXのオー
ナー制度が破綻必至であることを容易に認識することができたとも認める
に足りる証拠はない。
また,平成8年に問題となった和牛預託商法は牛が全く実在しないもの
であったという点で,Xのオーナー制度とは大きく異なることからして,
このような事実があるからといって,被告A1ら,被告K,被告E及び被
告HがXの違法性を認識することができたはずであると認めることもでき
ない。なお,被告A1らが役員を務めていた関連会社がXに対し多額の借
入金や未払金があることが認められるが(甲1),牧場を有する関連会社
については牧場を建設するための資金や飼育費等をXが負担したものが相
応の金額になるとみられるし(被告C1,被告B1),関連会社全体につ
いて,これらの資金の流れはもっぱらXの意向によって行われたものであ
り,関連会社が関与したとまで認めることができないことからすると,多
額の借入金や未払金があるからといって,被告A1らがXの違法性を認識
することができたと認めることはできないし,これによりXの資金が違法
に関連会社に移転したと認めることもできない。
以上によれば,被告A1らが前記3について認定したXの違法性を予見
することが可能であったと認めることはできないから,原告らが主張する
ような注意義務違反及び任務懈怠があったと認めることはできず,原告ら
の被告A1らに対する共同不法行為及び会社法429条1項に基づく損害
賠償請求は理由がない。
また,被告K,被告E及び被告Hが,被告A1らが前記3について認定
したXの違法性を予見することが可能であったと認めることはできないか
ら,原告らの被告K,被告E及び被告Hに対する共同不法行為責任に基づ
く損害賠償請求も理由はない。
4争点(3)(損害の有無及び額)について
被告X3については別表5「被告X3認容額」,被告X2については同表
「被告X2認容額」のとおりである。なお,平成22年6月より前に締結さ
れたオーナー契約については,被告X2の責任とはいえないから,平成22
年6月以後に締結されたオーナー契約についてのみ損害と認める。
5結論
以上によれば,原告らの請求は,共同不法行為に基づくものとして,被告
X3に対し別表5「被告X3認容額」欄記載の各原告の認容額欄記載の金額
及びこれに対する平成23年9月10日から支払済みまで民法所定年5分の
割合による遅延損害金の支払を求める限度で,被告X2に対し別表5「被告
X2認容額」欄の各原告の認容額欄記載の金額(この金額の限度で被告X3
と連帯して)及びこれらに対するいずれの不法行為よりも後の日である平成
23年9月10日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金
の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余の請求は理由がないか
らこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第18民事部
裁判官池田聡介
裁判官中井裕美
裁判長裁判官佐藤哲治は転補のため署名押印することができない。
裁判官池田聡介
別表1
請求額一覧表
原告購入金額合計一部請求額弁護士費用請求額合計
原告a6050万円3000万円300万円3300万円
原告b3000万円1800万円180万円1980万円
原告c1930万円1158万円115万8000円1273万8000円
原告d2300万円1380万円138万円1518万円
原告e700万円420万円42万円462万円
原告f1600万円960万円96万円1056万円
原告g2億2300万円3000万円300万円3300万円
原告h700万円420万円42万円462万円
原告i4400万円3000万円300万円3300万円
別紙
略語目録
番号略語意味
1原告ら原告9名全員
2被告ら被告25名全員
3被告A1ら
被告A1,被告A2,被告A3,被告B1,被告B
2,被告B3,被告C1,被告C2,被告C3,被告
D1,被告D2,被告D3,被告E1,被告E2,被
告E3,被告L,被告M,被告N,被告K1
4被告Mら
被告C1,被告X1及び被告C2を除く,その余の被告
22名
5X株式会社X(旧商号・有限会社X´)
6X4X4
7X5X5
8X6X6
9X7X7
10X8X8
11J株式会社J
12A有限会社A
13B有限会社B(旧商号・有限会社B´)
14C有限会社C(旧商号・有限会社C´)
15C´牧場地としてのC´
16D有限会社D
17I有限会社I
18O株式会社O
19F株式会社F(旧商号・F´株式会社)
20G株式会社G(旧商号・株式会社G´)
21関連会社
被告K,被告E,被告H,J,A,B,C,D,I,O,F及
びGの12社全部またはその一部
22特定商品預託法特定商品等の預託等取引契約に関する法律
23出資法出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律

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採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

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〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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71期修習生 72期修習生 求人
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職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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シフトは週40時間以上
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