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平成15年(行ケ)第532号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結の日 平成16年5月20日
            判        決
          原       告   富士ゼロックス株式会社
          同訴訟代理人弁理士   早川明
       被       告   特許庁長官 今井康夫
          同指定代理人      鈴木秀幹
同           小澤和英
          同           番場得造
          同           大野克人
          同           立川 功
          同           涌井幸一
            主        文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
            事実及び理由
第1 請求
 特許庁が、異議2003-70772号事件について、平成15年10月1
7日にした異議の決定を取り消す。
第2 事案の概要
 1 争いのない事実
(1) 原告は、発明の名称を「自動押印装置」とする特許第3326971号
(平成6年6月30日特許出願、特願平6-172012号、平成14年7月12
日設定登録、以下「本件特許」という。)の特許権者である。
  その後、訴外コニカ株式会社から、本件特許の請求項2に係る特許に対
し、特許異議の申立てがなされた。
  特許庁は、上記申立てを異議2003-70772号事件として審理した
上、平成15年10月17日、「特許第3326971号の請求項2に係る特許を
取り消す。」との異議の決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は、同
年11月4日、原告に送達された。
(2) 本件特許の請求項2記載の発明(以下「本件発明」という。)の要旨は、
本件決定に記載された、以下のとおりである。
【請求項2】原稿を読取り、その結果を原稿画像データとして出力する読取
り手段と、ページ単位で供給された印刷画像データを順次用紙に出力する画像デー
タ出力手段と、前記画像データ出力手段に供給された1組の画像データ群毎にセッ
ト番号を付番する付番手段と、前記付番手段によって付番されたセット番号を含む
スタンプ画像データを生成するスタンプ画像データ生成手段と、前記原稿画像デー
タと前記スタンプ画像データとを合成し、この結果を前記印刷画像データとして出
力する画像データ合成手段とを具備することを特徴とする自動押印装置。
(3) 本件決定は、別紙異議の決定書写し記載のとおり、本件発明が、刊行物1
(特開平5-103121号公報、甲3、以下「引用例1」という。)及び刊行物
2(特公平4-30020号公報、甲4、以下「引用例2」という。)に記載され
た各発明(以下「引用発明1」及び「引用発明2」という。)に基づいて、当業者
が容易に発明をすることができたから、特許法29条2項の規定により特許を受け
ることができないとしたものである。
 2 原告主張の本件決定の取消事由の要点
 本件決定は、本件発明と引用発明1との相違点の判断において、引用発明2
の認定を誤ったものである(取消事由)から、違法として取り消されるべきであ
る。
(1) 本件発明と引用発明1との相違点(イ)が、本件決定認定のとおり、「前
者(注、本件発明)における自動押印装置が、画像データ出力手段に供給された1
組の画像データ群毎にセット番号を付番する付番手段を有し、付番手段によって付
番されたセット番号を含むものをスタンプ画像データとしているのに対し、後者
(注、引用発明1)における自動押印装置は、ページ番号を含むものをスタンプ画
像データとしている点」(4頁)であることは認める。
  しかし、本件決定が、上記相違点(イ)の検討において、引用発明2につ
いて、「キー13が押されているときの入力されたコピー枚数のコピーごとにひと
つずつ増加していく一連番号は、1組の画像データ群毎に付番されるセット番号と
いうことができ、また、当該一連番号は、原稿の画像に合成して複写されるもので
あるから、引用刊行物2(注、引用例2)には、前者の相違点(イ)に係る構成が
記載されている」(5頁)と認定したことは、以下のとおり、誤りである。
(2) すなわち、引用例2(甲4)には、「第1図に図示したように、本発明に
よる複写装置は複写機本体4とこれと開閉自在に取り付けられた押え板(圧板とも
いう)2から成っており、原稿台3に原稿を載せて従来の方法に従って複写が行わ
れる。」(3欄)、「通常コピー枚数はキー6を押下することによりテンキー5を
用いて入力することが可能であり、」(同欄)と記載されている。
  したがって、引用発明2では、まず、原稿台3に1枚の原稿を載せ、キー
6を押下することによりテンキー5を用いてコピー枚数を入力し、キー13を押
し、コピーボタンを押すと原稿台3に載せた1枚の原稿に対する、テンキー5によ
り設定した枚数のコピーそれぞれに1つの番号が付けられ、次に、2枚目の原稿を
原稿台3に載せ、コピーボタンを押すと、原稿台3に載せた2枚目の原稿に対す
る、テンキー5を用いて設定した枚数のコピーそれぞれに次の番号が付けられるこ
とになる。
  この点について、本件発明と対比してみるに、本件特許の願書に添付され
た図5(b)(別紙参考図1(以下「参考図1」という。))によれば、本件発明の
実施例において、ナンバリング情報として印刷物のセット番号を選択した場合、原
稿群毎にセット番号が付与されることが開示されている。これに対し、引用発明2
においては、別紙参考図2(以下「参考図2」という。)に示すように、コピー群
毎に番号が付与されるものであり、その付与される番号は、本件発明における「セ
ット番号」とは概念を異にするものである。つまり、本件発明においては、原稿群
毎に一連の番号(セット番号)が自動的に付されるのに対し、引用発明2において
は、コピー群毎に一連の番号が付され、しかも、1つのコピー群の印刷が終了する
毎にコピーボタンを押さなければならないのである。
  このように、引用発明2における、キー13が押されているときの入力さ
れたコピー枚数のコピーごとにひとつずつ増加していく一連番号は、セット番号と
は概念を異にするものである。
(3) 被告は、引用発明2が参考図1に相当する番号の付与の技術思想を開示し
ているとする根拠として、引用例2に「複数枚の原稿を複数部コピーする場合、各
部を識別するための番号を付与したり、」(7欄)との記載があることを挙げてい
る。
  しかし、引用例2の上記記載の意味を解釈するには、引用例2の全体の記
載を考慮しなくてはならない。まず、引用例2の記載(6~7欄)によれば、引用
発明2においては、「複写開始命令の入力毎に一連番号の値を更新する」ことによ
って、「複数枚の原稿を複数部コピーする場合、各部を識別するための番号を付
与」でき、「設定枚数に応じた複数回の複写の各々の複写の実行毎に一連番号の値
を更新する」ことによって、「頁番号を付与することができ」るのである。
  さらに、引用例2の実施例の記載(3~4欄)によれば、上記「複写開始
命令の入力毎に一連番号の値を更新する」との記載と、実施例における「キー13
が押されている時はコピーボタンが押されるごとに即ち、入力されたコピー枚数の
コピーごとに一連番号をひとつずつ増加させる」との記載が対応し、上記「設定枚
数に応じた複数回の複写の各々の複写の実行毎に一連番号の値を更新する」との記
載と、実施例における「キー12が押されると1枚コピーされるごとに一連番号を
ひとつずつ増加させ、」との記載とが対応しているのである。
  したがって、引用発明2は、「キー13が押されている時はコピーボタン
が押されるごとに即ち、入力されたコピー枚数のコピーごとに一連番号をひとつず
つ増加させる」ことによって、「複数枚の原稿を複数部コピーする場合、各部を識
別するための番号を付与」することを開示しているものである。つまり、「複数枚
の原稿を複数部コピーする場合、各部を識別するための番号を付与」するとは、そ
れぞれ1枚毎の原稿をそれぞれ複数部コピーする場合、各コピー毎に識別するため
の番号を付与することをいい、例えば、2枚の原稿があり、3部コピーをする場合
は、1枚の原稿に対する3枚のコピーに1つの番号を付与し、次の1枚の原稿に対
する3枚のコピーに次の番号を付与し、3枚のコピーと次の3枚のコピーとが識別
できるようにしたことを意味し、これはまさに参考図2に示された番号の付与と同
じ内容である。
(4) また、被告は、各部を識別するための番号を付与する場合は、キー13が
押されているときに、コピー1枚毎にコピーボタンを押せば付与する番号が1から
順に更新され、部数分のコピー枚数毎に番号を1に戻し、次の原稿のコピーについ
てこれを繰り返せばよいと主張する。
  確かに、引用発明2において、被告主張の操作が技術的に可能であること
は認めるが、引用例2の上記記載からみて、キー13に関しては、そもそもコピー
1枚毎にコピーボタンを押すようなことは想定されていない。また、引用発明2に
おいて、部数分のコピー枚数毎に番号を1に戻さなければならないような使い方は
想定しておらず、行ったとしてもコピーボタンを何回押したかを記憶しておく必要
があったり、いちいち番号を1に戻したりする必要がある。
  したがって、被告の上記例示は、引用発明2では想定外の使い方であり、
本件発明を理解することによって初めて想定されるものであって、いわば後知恵に
すぎないものである。
(5) 次に、本件決定が、「本件発明の作用効果は、引用発明及び引用刊行物2
(注、引用例2)に記載された発明から予測し得る範囲のものにすぎないものであ
る。」(5~6頁)と認定判断したことも、誤りである。
  すなわち、引用発明1及び2においては、セット番号を自動的に付与する
という本件発明の技術的思想は見られず、引用発明2に関する誤った前記のような
認定判断に基づいて、本件発明の作用効果を予測できるとしたものである。
(6) さらに、本件決定が、「特許権者(注、本訴原告)は、・・・特許異議意
見書において、「しかしながら、刊行物C(注、引用例2)に記載された発明にお
いて、このようなことを実現するには、原稿を1枚複写するごとに人間がキー12
~16を複雑に操作し、いちいちコピーボタンを押さなければならない。なる程、
このような複雑な操作をすればセット番号を付与することは可能であろうが、セッ
ト番号を自動的に付与するという本件発明の技術思想は刊行物Cには開示されてい
ない。」と主張しているが、番号を自動的に付与することは引用発明(注、引用発
明1)に記載されている事項であるから、上記特許権者の主張は採用できない。」
(6頁)と判断したことも、誤りである。
  すなわち、引用発明2は、セット番号を付与するという本件発明の技術的
思想を開示しておらず、上記特許異議意見書においては、引用発明2においてセッ
ト番号を付与しようとした場合、原稿を1枚複写するごとに人間がキー12~16
を複雑に操作し、いちいちコピーボタンを押さなければならないと述べたのであ
り、上記特許異議意見書の主張は正しいものである。
 3 被告の反論の要点
  本件決定の認定・判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
(1) 原告の主張は要するに、引用発明2では参考図2のように頁番号が付与で
きるだけであって、参考図1のように部数を表す番号を付与できないというもので
ある。
  しかし、引用例2には、原稿を複数部コピーする場合、各部を識別するた
めの番号を付与することが明確に記載されているのである(2欄7~10行、6欄
31行~7欄5行)。各部を識別するための番号とは、参考図1に相当するもので
あることが明らかであって、原告が主張するような、参考図2のように頁を表す番
号ではあり得ない。すなわち、引用発明2の「複数枚の原稿を複数部コピーする場
合、各部を識別するための番号を付与」することは、「セット番号を付与」するこ
とにほかならない。
(2) 本件決定の「キー13が押されているときの入力されたコピー枚数のコピ
ーごとにひとつずつ増加していく一連番号は、1組の画像データ群毎に付番される
セット番号ということができ」(5頁)という記載の趣旨を補足すると、各部を識
別するための番号を付与する場合には、例えば、キー13が押されているときに、
コピー1枚毎にコピーボタンを押せば付与する番号が1から順に更新され、部数分
のコピー枚数毎に番号を1に戻し、次の原稿のコピーについてこれを繰り返せばよ
いのである。
  また、例えば、キー12を使用して各部を識別するための番号を付与する
場合には、付与する番号を1にセットして必要部数分のコピー枚数を入力してコピ
ーボタンを押せば付与する番号が1から順に更新され、1枚の原稿について必要部
数分のコピーが終了する毎に番号を1に戻し、次の原稿のコピーについてこれを繰
り返せばよいのである。
(3) 原告は、本件決定における上記のような引用発明2の認定判断には誤りが
あるから、本件決定が本願発明の作用効果を予測できるとしたこともまた誤りであ
ると主張するが、上記のとおり、本件決定における引用発明2の認定に、誤りはな
い。
(4) また、原告は、本件決定中の特許異議意見書について言及した個所につい
て、引用発明2にはセット番号を付与するという技術思想が開示されていないから
誤りであると主張するが、引用発明2にセット番号を付与する技術思想が開示され
ていることは、上記のとおりである。
第3 当裁判所の判断
1 本件発明と引用発明1との相違点(イ)が、本件決定の認定のとおり、「前
者(注、本件発明)における自動押印装置が、画像データ出力手段に供給された1
組の画像データ群毎にセット番号を付番する付番手段を有し、付番手段によって付
番されたセット番号を含むものをスタンプ画像データとしているのに対し、後者
(注、引用発明1)における自動押印装置は、ページ番号を含むものをスタンプ画
像データとしている点」(4頁)であることは、当事者間に争いがない。
2 原告は、本件決定が、上記相違点(イ)の検討において、引用発明2に関
し、「キー13が押されているときの入力されたコピー枚数のコピーごとにひとつ
ずつ増加していく一連番号は、1組の画像データ群毎に付番されるセット番号とい
うことができ、また、当該一連番号は、原稿の画像に合成して複写されるものであ
るから、引用刊行物2(注、引用例2)には、前者の相違点(イ)に係る構成が記
載されている」(5頁)と認定したことが誤りであると主張するので、以下検討す
る。
(1) 引用例2(甲4)には、「原稿の画像に一連番号を合成して複写でき、さ
らに必要に応じて一連番号の更新方法を選択、変更できる複写装置を提供すること
を目的とする。」(2欄)、「キー13が押されている時はコピーボタンが押され
るごとに即ち、入力されたコピー枚数のコピーごとに一連番号をひとつずつ増加さ
せることができる」(3~4欄)、「このように本発明の実施例によれば、・・・
また一連番号が入つているためコピーの整理や順番のチェックを短時間に行なうこ
とができるなど種々の利点が得られる。以上のように、本発明の複写装置によれ
ば、原稿の画像に一連番号を合成して複写でき、しかも一連番号の値の更新方法に
ついて、複写開始指令の入力毎に一連番号の値を更新するか、設定枚数に応じた複
数回の複写の各々の複写の実行毎に一連番号の値を更新するかを選択できる。即
ち、使用者の必要に応じて一連番号の更新方法を選択、変更でき、複数枚の原稿を
複数部コピーする場合、各部を識別するための番号を付与したり、頁番号を付与す
ることができ、複写物の管理が容易になるという優れた効果が得られる。」(6~
7欄)と記載されている。
  上記記載、とりわけ「複数枚の原稿を複数部コピーする場合、各部を識別
するための番号を付与したり、頁番号を付与することができ」との記載によれば、
引用発明2においては、複写物の整理のために、複数枚、すなわち複数頁を有する
まとまりのある原稿を、複数部コピーしようとする場合、その頁番号を付与するの
みならず、複数部の各々を識別するための一連の番号を付与することも可能とされ
ていることが明らかであり、そのための実施例の1つとして、キー13が押されて
いるときに、コピー1枚毎にコピーボタンを押せば、付与する番号が1から順に更
新され、複写しようとする部数分のコピーが終了した後に番号を1に戻し、次の原
稿のコピーについてこれを繰り返すことにより、各部を識別するための番号をそれ
ぞれの複写されたコピーに付与することが開示されているものと認められる。
  他方、例えば、引用例1(甲3)に、【産業上の利用分野】として「本発
明は、デジタル式複写機に係り、例えば電子写真方式のデジタル式複写機に関す
る。」(【0001】)と、【従来の技術】として「近年、複写機のデジタル化に
伴い、複写機においては原稿画像を編集、加工処理が行われるようになってきてい
る。」(【0002】)と記載されているように、原稿の画像データに基づきコピ
ーを形成するデジタル式複写機も、本件特許の出願当時周知であったといえる。
  そして、上記周知技術を認識している当業者が、上記引用発明2に接すれ
ば、まとまりのある複数頁の原稿からなる画像データ群の各々を識別するために、
該原稿の画像データ群毎に一連の番号を付与することを、容易に理解できるものと
いわなければならない。
  したがって、当業者は、引用発明2に、まとまりのある複数頁の原稿から
なる画像データ群の各々を識別するために、一連の番号、すなわち、「セット番
号」を原稿群毎に付与するという、上記相違点(イ)に係る構成が開示されている
ものと容易に認識するものと認められ、これに反する原告の前記主張は、採用する
ことができない。
(2) 原告は、引用発明2においては、参考図2に示すように、コピー群毎に番
号が付与されるものであり、その付与される番号は、本件発明のような「セット番
号」とは概念を異にするものであると主張する。
  原告のこの点の主張は、引用例2に記載された「複数枚の原稿を複数部コ
ピーする場合、各部を識別するための番号を付与したり、頁番号を付与」すること
とは、複数枚の原稿の各1枚毎をそれぞれ複数部コピーする場合において、各コピ
ー群毎にこれを識別するための番号を付与することを意味するとの解釈に基づくも
のである。しかしながら、このような解釈は、引用例2の記載を正解しないもので
あって、採用することができない。
また、原告は、引用例2の前記「キー13が押されている時はコピーボタ
ンが押されるごとに即ち、入力されたコピー枚数のコピーごとに一連番号をひとつ
ずつ増加させることができる」との記載に関して、前記(1)認定のような実施例の操
作が技術的に可能であることは認めるものの、引用発明2では、キー13に関して
コピー1枚毎にコピーボタンを押すようなことは想定されておらず、同様に、部数
分のコピー枚数の終了毎に番号を1に戻さなければならないような使い方も想定さ
れておらず、仮に行ったとしても、コピーボタンを何回押したかを記憶しておく必
要があったり、番号を1に戻したりする必要があるから、いずれにしても、引用発
明2では想定外の使い方である旨主張する。
しかしながら、引用発明2において、上記のように技術的に可能な操作方
法が想定外であるとの主張は、明細書の記載等の客観的根拠に基づかない原告の独
断にすぎず、かえって、上記の操作方法は、引用発明2自体が、前示のとおり、複
写物の整理のために、複数頁の原稿を複数部コピーしようとする場合、複数部の各
々を識別するための一連の番号を付与することを可能としていることとも合致する
ものであるから、原告の上記主張は、到底、採用することができない。
3(1) 原告は、本件決定が、「本件発明の作用効果は、引用発明及び引用刊行物
2(注、引用例2)に記載された発明から予測し得る範囲のものにすぎないもので
ある。」(5~6頁)と認定判断したことについて、引用発明2に関する誤った前
記の認定判断に基づいて、本件発明の作用効果を予測できるとしたものであって、
誤りである旨主張する。
   しかしながら、引用発明2に関する認定判断に誤りがないことは、前示の
とおりであり、原告の主張は、前記同様に、採用することができない。
 (2) また、原告は、本件決定が、「特許権者(注、本訴原告)は、・・・特許
異議意見書において、「しかしながら、刊行物C(注、引用例2)に記載された発
明において、このようなことを実現するには、原稿を1枚複写するごとに人間がキ
ー12~16を複雑に操作し、いちいちコピーボタンを押さなければならない。な
る程、このような複雑な操作をすればセット番号を付与することは可能であろう
が、セット番号を自動的に付与するという本件発明の技術思想は刊行物Cには開示
されていない。」と主張しているが、番号を自動的に付与することは引用発明
(注、引用発明1)に記載されている事項であるから、上記特許権者の主張は採用
できない。」(6頁)と判断したことに関しても、引用発明2が、セット番号を付
与するという本件発明の技術的思想を開示しておらず、しかも、引用発明2におい
てセット番号を付与しようとした場合、原稿を1枚複写するごとに人間がキー12
~16を複雑に操作し、いちいちコピーボタンを押さなければならないから、上記
特許異議意見書の主張は正しいと主張する。
   しかしながら、引用発明2に、セット番号を付与するという本件発明の技
術的思想が開示されていることは、前示のとおりであるから、原告の上記主張も採
用することができない。
4 結論
 以上のとおり、本件発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けるこ
とができないものであるから、これと同旨の本件決定には誤りがなく、その他本件
決定に取り消すべき瑕疵は見当たらない。
 よって、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文の
とおり判決する。
   東京高等裁判所知的財産第1部
          裁判長裁判官   青  柳     馨
             裁判官   清  水     節
             裁判官   上  田  卓  哉
(別紙)
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