弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 弁護人伊藤武一の控訴趣意は、別紙の通りである。
 その第一点について。
 小切手で金員の融通を受ける場合に、小切手を相手方に譲渡し、その対価として
金員を取得する方法と小切手を担保又は保証に提供して、金員を借用するとか、或
は金員を借用してその返済方法又は返済に代えて小切手を交付する等の諸場合があ
つて、これは、執れも私法上の解釈問題の前提として確定しなければならない事実
に属するけれども詐欺罪の成否については、借用名下に金員を取得しようと小切手
を譲渡しその対価として金員を得ようとその間に差異は認められないのである。而
して本件においては、原判決は被告人が、本件小切手を、不渡小切手であるのに、
そうでないかの如く装い被害者Aを欺罔し、同人から右小切手の額面金額に相等し
い金一万三千円の交付を受けたことを認定し、右小切手の交付が借用金の返済方法
か又は返済に代えて交付されたものか私法上如何なる性質を帯びているかについて
は明確にされていないけれども、これは、詐欺罪の成否には、関係がないので、犯
罪事実の説明としては不備もくいちがいもない。又被告人は、本件犯罪事実を自認
又は自白していないけれども証人A、同Bの原審における供述と被告人の原審にお
ける供述により、被告人が被害者Aを原判示のように欺岡する故意のあつたことが
十分に認められる。論旨は、独自の見解で、原判決を非難攻撃するもので理由がな
い。
 第二点について。
 <要旨>わが刑事訴訟法においては、証人尋問について、誘導尋問を禁止する規定
はないが、誘導尋問が正当でないことは、勿論であるが、誘導尋問が為され
たことによつて直ちに証拠能力を喪失するものと解することはできない。英米法の
ように誘導尋問も場合によつては、認めねばならないこともあるし、若し誘導尋問
が正当でないときは、裁判長の訴訟指揮権によつて、これを制限することもできる
し、当事者においても、異議を申立てることもできるのである。わが刑事訴訟法は
陪審制度をとるものでなく、熟練した裁判官が証拠の価値判断をするのであるか
ら、たとへ不当に誘導尋問がなされたときでも、証拠能力があるかないかの問題は
起らず、証拠の証明力があるかないかの問題が生ずるだけである。而して証拠の証
明力は、裁判所の自由心証によつて決せられるのである。従つて証人Aが論旨のよ
うに検察官により誘導尋問されたからと言つても、これを証拠とすることに違法は
ない。論旨は理由がない。
 その第三点について。
 本件詐欺の手段方法、被害金額、被害者との関係や被告人に累犯の事由となる前
科があること並にその経歴、家庭の事情等の諸般の情状を綜合するときは、原判決
の量刑は、相当で、論旨は、理由がない。
 よつて刑事訴訟法第三百九十六条により、本件控訴を棄却する。
 (裁判長判事 堀田齊 判事 鈴木正路 判事 赤間鎭雄)

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