弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人稲垣規一の上告趣意について。
 新刑訴四一一条の規定は、所論のように上告申立の理由を定めたものではなく、
上告裁判所が職権を以つて原判決を破棄し得る場合を規定したに過ぎないものであ
ること、竝びに、量刑不当その他の事由を上告理由とするか否かは、憲法八一条の
場合を除き諸般の事情を勘案して適宜決定せらるべき立法政策の問題であつて、法
律に一任されているものであることは夙に当法廷の判例とするところである。そし
て、刑訴応急措置法一三条二項及び刑訴施行法二条の規定は、人種、信条、性別、
社会的身分又は門地の如何を問わず何人に対しても等しく適用されるものであるか
ら、憲法一四条に違反するところは毫も存しない。されば、新刑訴施行前に公訴提
起のあつた本件について新刑訴四一一条の適用があり、刑の量定の不当が上告の理
由となることを前提とする所論は、前記刑訴施行法二条及び刑訴応急措置法一三条
二項の規定により適法な上告理由となし難い。
 被告人Bの上告趣意について。
 所論は、衷心より後悔し、御寛大なる裁判を求めるというのである。それ故、当
法律審適法の上訴理由ではない。
 被告人Bの弁護人樫田忠美の上告趣意について。
 量刑不当等を上告理由とするか否かは、憲法八一条の場合を除き、立法政策の問
題であつて、憲法の保障する基本的人権の問題でないこと、竝びに、憲法三七条に
いわゆる公平な裁判所の裁判とは、裁判所の組織、構成が公平で偏頗の恐れがない
裁判所の裁判を指し、裁判所の組織、構成の公平を保障せんとするに過ぎないもの
であることは当法廷の判例の趣旨とするところである。されば、刑訴施行法二条が
「新法施行前に公訴の提起があつた事件については、新法施行後も、なお旧法及び
応急措置法による」と規定して、同措置法一三条二項により旧刑訴四一二条に基く
量刑不当を上告理由とすることを許さないものとしても、憲法三七条その他同法の
保障する基本的人権を害するものとすることはできない。また、刑訴四一一条は上
告申立事由を定めたものではなく、職権をもつて原判決を破棄し得る場合を規定し
たに過ぎないものであることも当法廷の判例とするところであり且つ同条は、本件
のような旧法事件に適用がないことは前記刑訴施行法二条により明らかであるから、
所論量刑不当の主張は、本件では、上告適法の理由でないばかりでなく、職権発動
を求める主張としても許容し難い。
 被告人Bの弁護人草野豹一郎の上告趣意第一点について。
 刑訴応急措置法一三条二項の規定は、同法一六条の規定と相俟つて、上告審をし
て純然たる法律審とする趣旨であると解するを相当とするから、たゞに量刑不当乃
至事実誤認等を上告理由とすることを許さないばかりでなく、上告審をして旧刑訴
四三四条三項に基ずく職権調査の手続をも省かしめる立法趣旨であることも明白で
あるといわなければならない。されば、かゝる職権調査の権能あることを前提とす
る所論には賛同することができない。しかのみならず、仮りに量刑不当乃至事実誤
認等につき職権調査の権能を上告裁判所に認めながら、これを上告理由とすること
を許さないものとしても、何等被告人の防禦権を制限するといえない。されば、前
記措置法一三条二項の規定を以つて被告人の防禦権を制限する違憲の法律で無効で
あるとの所論は、是認することができない。
 同第二点について。
 所論量刑不当の主張は、前示措置法一三条二項の規定により適法な上告理由と認
め難い。
 同第三点について。
 その理由のないことは、相弁護人の上告趣意に対する説明により了解すべきであ
る。
 よつて旧刑訴四四六条に則り主文のとおり判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二五年一一月二九日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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