弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を仙台高等裁判所秋田支部に差し戻す。
         理    由
 上告代理人荘司昊の上告理由第二点について
 本件訴訟の経緯は、次のとおりである。すなわち、(一) 上告人は、第一審にお
いて、(1) D興業株式会社(以下「破産会社」という。)は、昭和五四年一一月
末ころ支払停止となり、昭和五五年三月三一日青森地方裁判所において破産宣告を
受け、同日上告人がその破産管財人に選任された、(2) 被上告人は、昭和五四年
一一月ころ、破産会社所有の日野四トントラツク一台(以下「本件トラツク」とい
う。)を搬出してその所有権を失わせた、(3) 仮に被上告人が破産会社に対する
債権との相殺を意図して右搬出行為をしたとしても、上告人は、昭和五七年四月九
日送達の本件訴状により、破産法七二条一、二、四、五号による否認権を行使した、
(4) 本件トラツクの右搬出時における減価償却残存価額は一五六万四九九五円で
ある、と主張して、被上告人に対し、主位的に不法行為に基づく損害賠償、予備的
に否認権行使に基づく価額償還として、右一五六万四九九五円及びこれに対する昭
和五七年四月一〇日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求め
たところ、第一審は、被上告人が口頭弁論期日に出頭しなかつたため、民訴法一四
〇条三項を適用し、上告人の主位的請求を認容した。(二) これに対し、被上告人
が控訴し、被上告人は、破産会社に対する弁済期未到来の売掛金債権三〇八万七五
五〇円のうち一五〇万円の支払に代えて本件トラツクを譲り受けたものであり(以
下「本件代物弁済」という。)、その後昭和五五年四月二六日、訴外F自動車株式
会社から新車を購入した際、本件トラツクを二〇〇万円と評価し下取り車として同
会社に譲渡した旨主張した。(三) そこで、上告人は、原審において、主位的請求
を取り下げ、予備的請求中、破産法七二条一、二、五号に関する主張を撤回し、本
件代物弁済を同条四号により否認したことに基づく価額償還請求のみを維持して、
本件トラツクの価額は前記減価償却残存価額を下らない旨主張したが、審理の対象
は、主として破産会社の支払停止の有無など否認権の発生原因事実に向けられ、証
拠調ことに証人尋問は専らこの点について行われ、被上告人は、前後七回の口頭弁
論期日において、右価額の点につき積極的に争わず、なんらの反証も提出しなかつ
た。(四) しかるに、原審は、かかる価額償還請求における価額算定の基準時は否
認権行使の時点であるとしたうえ、右価額償還請求権の発生そのものは肯認したが、
本件においてはその価額の立証がないとの理由で上告人の請求を棄却した。
 ところで、破産法上の否認権行使の結果、現物の返還が不可能なためこれに代え
てその価額を償還すべき場合には、その償還すべき価額は、破産法七七条の法意に
照らし、否認権行使時の時価をもつて算定すべきものである(最高裁昭和三七年(
オ)第一三二三号同四一年一一月一七日第一小法廷判決・裁判集民事八五号一二七
頁参照)。そして、記録によれば、本件トラツクは、破産会社が本件否認権行使時
から四年八か月余前の昭和五二年八月に四三三万円で取得し、耐用年数を五年とす
る定率減価償却法によつても前記搬出行為時の昭和五四年一一月現在の残存価額は
上告人主張にかかる前記一五六万四九九五円である旨記載のある書証(甲第五号証
の九)及び昭和五五年四月二六日に二〇〇万円で下取りされたとの被上告人の主張
にそう書証(甲第一号証の一、二)も提出されているのであり、本件否認権行使時
である昭和五七年四月九日における本件トラツクの時価(以下「本件時価」という。)
が零であることは到底考えられないところであつて、またその立証も可能であつた
ものというべきである。しかるに、原審の審理において、本件時価が上告人の主た
る立証の対象とはなつていなかつたうえ、この点について被上告人も積極的に争つ
ておらず、なんらの反証も提出していないことは、前述のとおりであるから、かか
る訴訟の経緯に照らすと、原審が、本件価額償還請求権の発生を肯認する判断に達
しながら、上告人に対し否認権行使時の本件時価の立証を促さないまま、その価額
の立証がないとの理由で直ちに上告人の前記請求を排斥したことは、著しく不相当
な措置であるといわざるをえない。したがつて、本件においては、原審として、す
べからく上告人に対して本件時価の立証を促すべきであつたものというべく、この
ような措置に出ることなく、上告人の右請求を排斥したのは、釈明権の行使を怠り、
ひいて審理不尽の違法を犯したものというほかはない。これと同旨の論旨は理由が
あり、原判決はこの点において破棄を免れない。そして、本件時価について更に審
理を尽くさせる必要があるから、本件を原審に差し戻すのが相当である。
 よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、民訴法四〇七条一項に従い、裁判
官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    高   島   益   郎
            裁判官    谷   口   正   孝
            裁判官    角   田   禮 次 郎
            裁判官    大   内   恒   夫

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