弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人籠原秋二の上告理由について。
 一般的にいつて、履行遅滞にある債務者が、債権者から解除権を行使されるまで
にその債務の履行をするためには、債務額のほか、遅延損害金をもあわせて提供し
なければ、債務の本旨に従つたものということができないことは、原判決説示のと
おりであるが、債務者が現に支払いまたは提供した金額についてきわめてわずかな
不足があるに過ぎないときは、債権者において、その不足に名をかりて債務の本旨
に従つた弁済の提供がないものとしてその受領を拒絶することは信義則に照らし許
されないものと解するのが相当である(大審院判決大正九年(オ)六六三号同年一
二月一八日民録二六輯一九四七頁・同判決昭和八年(オ)一一六一号同九年二月二
六日民集一三巻三六六頁・同判決一三年(オ)一二三号同年六月一一日民集一七巻
一二四九頁各参照)。
 ところで、原判決によれば、原審は上告人と訴外亡D間の東京地方裁判所昭和三
五年(ヨ)六七八六号仮処分申請事件の同年一二月一二日の口頭弁論調書には、「
Dは、上告人に対し本件土地一八坪を賃料月額坪当り三〇円毎月三日かぎり当月分
持参払・賃貸期間同三六年一月一日から二五年間の約定で賃貸する。上告人が賃料
の支払を三回分以上遅滞したときは、Dは催告なしに賃貸借を解除することができ
る。上告人は右の場合、Dに対し右借地上の建物を収去して土地を明け渡さねばな
らない。」との和解が成立した旨の記載があること、Dは、上告人に対し同三六年
五月一七日到達の書面で同年一月ないし三月分の賃料の不払を理由に賃貸借契約を
解除する旨の意思表示をしたこと、上告人がそれより前の同三六年三月二九日D方
に同年一月ないし三月分の賃料一、六二〇円を持参して、これを提供したが、Dに
おいてその受領を拒絶したので同年四月四日右金額を弁済供託をした旨の各事実を
適法に確定したうえ、本件においては、上告人は本来の賃料のほかこれに対する各
月分の弁済期の翌日から提供の日まで法定の年五分の割合による遅延損害金をもあ
わせて提供しなければならないところ,上告人はこの損害金の提供の点についてな
んらの主張立証をしないから、Dは右賃料の受領を拒絶しうるものであり、上告人
のした弁済の提供、供託はその効力を生じないとして、上告人には債務不履行なく、
したがつて本件解除は無効であるとの上告人の主張を排斥していることが明らかで
ある。
 しかし、本件の債務不履行による遅延損害金の額は、上告人がDに対し本件債務
の履行として金一、六二〇円を弁済提供した三六年三月二九日を基準として算出す
るとわずか一二円七〇銭にすぎず(なおかりに弁済供託した三六年四月四日を基準
としてもその額はわずかに一四円である)、弁済提供した前記金額にくらべると、
その不足はきわめてわずかであり、しかも、このような不足額は、債権者において
これを指摘して請求しさえすれば、債務者において直ちに支払いをするのが通常で
あると考えられるから、上告人のした右債務の弁済の提供は、特別の事情(たとえ
ばDにおいて遅延損害金の不足を指摘してその支払を請求したのに対し、上告人に
おいてこれを拒絶したなどのこと)のないかぎり、債務の本旨に従つたものと解す
るのが相当であることは、前に説述したところに照らし明らかである。しかるに、
原審が、右と異なり、特別の事情を示すことなく右弁済の提供を無効と説示したの
は、結局法令の解釈をあやまつた違法があるというべく、論旨は理由がある(もつ
とも原判決は、上告人の解除権の信義則違反の抗弁に対する判断において、本件和
解の成立に至る経過について説示するところがあるけれども、このような事情だけ
をもつて前述の特別の事情に該当するものということはできない。けだし、すでに
和解が成立している以上、その当事者間においては、和解の成立を前提として新た
に信義則の問題を論ずべきであるからである。)。
 よつて、原判決を破棄し、前記の特別の事情の有無について原審をしてさらに審
理させるため、民訴法四〇七条一項に従い、本件を原審に差し戻すこととし、裁判
官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎

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