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裁判例


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主文
1 被告は,原告らそれぞれに対し,682万2993円及びこれに対する平成14
年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告らの負担とし,その余は被告の負担
とする。
4 この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告らそれぞれに対し,4149万2430円及びこれに対する平成14年
4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,当時12歳のAが被告の設置する踏切を自転車で通行しようとしたとこ
ろ,同所に差し掛かった電車と衝突して死亡した事故に関し,Aの相続人である原
告らが,同踏切には設置,保存上の瑕疵があるとして,被告に対し,民法717条1
項に基づき,損害賠償金(各原告につきそれぞれ4149万2430円)及びこれに対
する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1 争いのない事実
(1) 事故の概要
被告の設置する踏切において,次のとおりの死亡事故が発生した(以下「本
件事故」という。)。
ア 発生日時
平成14年4月3日午後6時10分ころ
イ 発生場所
前橋市江田町字村西350番地4付近の被告の上越線に設置された第二
江田踏切上(以下「本件踏切」という。)
ウ 死亡者
原告らの長男であるA(平成元年4月25日生まれで,本件事故当時12歳
であった。)
エ 本件事故の態様
本件踏切を北西側(C株式会社前橋工場従業員専用駐車場(以下「本件駐
車場」という。)側)から南東側(江田町側)に向けて自転車に乗って通行しよう
としたAが,折から井野駅方面から新前橋駅方向に進行してきた高崎駅発小
山駅行き下り普通電車(4両編成)に接触して,死亡した。
(2) 本件踏切の所有者,位置,概要等
ア 本件踏切は,被告が所有し管理している。
本件踏切は,被告の上越線井野駅と新前橋駅間にあり,新前橋駅まで約1
キロメートルの地点にある。また,本件踏切付近の線路は,南西方向から北
東方向に向かって直線状に敷設されている。
イ 本件踏切の構造は,別紙図面(略)のとおりである。
本件踏切の幅員は約1.8メートル,長さは約12.15メートルである。ま
た,本件踏切上の路面は,レールの両端及びレール間が敷板となっており,
それ以外はアスファルトで舗装されている。
ウ 本件踏切の両端には,本件踏切に入ろうとする通行者に向けて「とまれみ
よ」との記載のある文字板の付された踏切警標が設置され,かつ,黄色と黒
色が斜形に塗装された踏切注意さくが設置されている。
エ 本件踏切の西端には本件踏切に隣接して田がある。この田と線路用地との
間に,公図上の赤道でありあぜ道状になっている幅約1メートルの通路(以下
「本件通路」という。)が,線路に平行して南西方向に約17メートル続いてお
り,その北西側に所在する本件駐車場に接続している。また,本件踏切の西
側には,その南側に設置されている踏切注意さくに続き,本件通路に沿って
本件駐車場付近まで南西方向に約17メートルにわたりコンクリート製の線路
侵入防止さくが設置されている。
なお,本件駐車場は,本件通路に比し約1メートル盛土されて高くなってい
る。また,上記の本件踏切に隣接する田は,その東方から本件踏切を通行し
て出入りする以外には,そこに出入りするための道路はない。
オ 本件踏切の東端は前橋市市道16-009に接続している。この市道は未舗
装の農道状であり,その周辺には田畑が広がり,付近に住宅はない。本件踏
切に最も近い住宅は,本件踏切から直線で南東方向約70メートルの地点に
存在するが,同住宅の住人の生活道路は,その南方約30メートルに位置す
る市道であって,上記の前橋市市道16-009ではない。また,本件踏切の
東端には,二輪車以外の自動車の通行を禁止する標識(ただし,軽自動車,
小型特殊車は規制から除外されている。)が設置され通行規制がなされてい
るが,自転車等の軽車両の通行規制はされておらず,二輪車の通行を妨げる
ようなさくやくいも存在しない。
(3) 本件踏切の種別
ア 踏切には,次のとおり,第1種から第4種までの4種類がある。
(ア) 第1種踏切
自動踏切遮断機を設置(又は,踏切保安係を配置)して,遮断機を閉じ
道路を遮断するものをいう。
(イ) 第2種踏切
1日のうち一定時間だけ踏切保安係が遮断機を操作しているものをい
う。
(ウ) 第3種踏切
遮断機は設置されていないが,警報機が設置されているものをいう。
(エ) 第4種踏切
第1種ないし第3種のいずれにも該当しない踏切をいう。すなわち,遮断
機も警報機も設置されていない踏切である。
イ 本件踏切は第4種踏切であり,本件事故当時,本件踏切には遮断機も警報
機も設置されていなかった。そして,前橋市内においては,被告の上越線上に
ある第4種踏切は,本件踏切を除けば1箇所(前橋市総社町植野1138番地
所在の一本木踏切)しか存在しない。
なお,被告は,本件事故後,本件踏切の両端に通行者が近付くと注意を促
す音声を発するセンサー付音声自動再生機「しゃべっ太郎」を設置した。ただ
し,この装置は,列車の接近を知らせるものではなく,列車が本件踏切に近付
いても音声を発することはない。
(4) 本件踏切における列車の通過状況
ア 本件踏切は,被告の上越線,吾妻線及び両毛線の3路線が共通に使用して
いる複線区間(高崎駅と新前橋駅の区間)にあり,新前橋駅を始発駅又は終
着駅とする列車も通過する。本件踏切は,群馬県内で最も列車の通過の多い
区間にあり,平均すると約4分に1本の割合で列車が通過する。特に朝夕の
通勤,通学のラッシュ時には通過本数が多い。
イ 本件踏切の上記アの状況は,前橋市内の被告の上越線上にある残り1箇所
の第4種踏切(上記(3)イの一本木踏切)とは異なる。一本木踏切については,
上越線及び吾妻線のみが通行し,かつ,新前橋駅を始発駅又は終着駅とす
る列車は通過しない。
(5) 本件踏切の設置目的
本件踏切は,専らその西側に存在する田への出入りを確保するために設置さ
れているものであり,本来,一般の通行者の通行を予定した踏切ではない。
前橋市は,本件事故後の平成14年11月13日ころ,本件踏切の東端に接続
する市道16-009の路端に,「この先,通りぬけません。前橋市」と記載した立
札を設置し,本件踏切を通行して通り抜けることのないように注意を喚起してい
る。
2 争点
(1) 本件踏切に設置,保存上の瑕疵があるか。
【原告らの主張】
次に述べるような市街地付近の踏切に対する一般人の認識,社会の安全意
識の高まり,そのような中での行政の取組,技術的問題の乏しさを踏まえて,安
全性の水準と本件踏切における危険性とを考慮すると,本件踏切における本来
備えるべき安全性を確保するためには,本件踏切に遮断機と警報機を設置する
こと,少なくとも警報機を設置することは必須であった。しかるに,本件踏切には
警報機も遮断機も設置されていなかったのであるから,本件踏切は本来備える
べき安全性を欠いており,設置,保存上の瑕疵があるというべきである。
ア 本件踏切の設置された場所的環境
(ア) 本件踏切周辺の市街地化
本件踏切の周辺は,昭和50年代以前には水田が広がる田園地帯であ
ったが,同年代以降市街地化が進んだ。
本件踏切の南東側は宅地化され,本件踏切付近に民家が建ち並んだ。
また,本件踏切の近くを流れる染谷川に新染谷橋が架かるなどしたため,
川向こうに住む住民も,市道を経て本件踏切の南東端に近付くことが容易
にできるようになった。さらに,本件踏切の北西側500メートルほどの地点
には,大規模小売店舗「D」(生鮮食料品,酒類,家電製品,自動車用品の
販売等総合的な店舗である。)や玩具店「E前橋店」が相次いで開店し,の
どかな田園地帯の様相は一変した。
(イ) 本件駐車場の拡張
本件踏切の北西側には以前から本件駐車場があったが,本件踏切に向
かって張り出すように次第に拡張されていった。やがて本件踏切の北西端
直近にまで到達し,さらに,本件駐車場全体が舗装された。本件事故当
時,本件駐車場の南東側の線路沿いにはフェンスが設置されていたが,別
紙図面(略)の自転車進入経路の始点部分にはフェンスが設置されておら
ず,開放されていた。
そのため,本件事故当時,本件踏切の北西側からも,全面舗装された本
件駐車場を経て本件踏切の北西端に近付くことが容易にできるようになっ
ていた。
(ウ) 本件踏切周辺の踏切の統廃合
本件踏切の周辺には,第4種踏切を含めていくつかの踏切が存在してい
たが,本件踏切の井野駅方面側に隣接する踏切での事故等を契機として,
小規模なものが閉鎖され,順次統合されていった。
このため,残存していた本件踏切に通行人が接近する機会が増大した。
イ 本件踏切の利用,接近状況
上記アの本件踏切周辺の場所的環境の変化に伴い,本件踏切に接近する
ことが容易になった。
しかも,本件踏切は,その交通規制(軽自動車,小型特殊自動車,二輪車
を除く自動車の通行規制)からも明らかなように,当初から人や自転車の通行
が可能であった。被告は,本件踏切はその北側にある水田の所有者のため
に設置されたものであるとしているが,そのような主観的な事情は何の制約に
もならず,当然に何人も通行可能であった。このため,前述した本件踏切の周
辺環境の変化に伴い,周辺住民等の自転車や徒歩による利用機会が増大し
た。
また,自動車を運転できない子供や高齢者を中心に,自転車を利用しある
いは徒歩で本件踏切を越え,舗装された本件駐車場を横断し,前記の大型小
売店舗ないし玩具店に向かう人,逆に,本件踏切北西側の本件駐車場から
本件踏切を通過して本件踏切南東側へ通過する人の双方の流れが増加し
た。このことは,このルートが最短距離であることから,当然の結果であった。
被告は,本件駐車場が本件踏切に対して約1メートル高いことや,法面が
崖地状になっていること,本件通路が公図上赤道であることなどを挙げて,本
件駐車場から本件踏切方向への人の利用は予定されていなかった旨の主張
をする。しかし,本件事故後ですら,歩行者だけでなく自転車通行者まで存在
することは,被告側のなした調査結果からも明らかである。同調査結果は,本
件事故後に本件駐車場から本件踏切への進入を妨げるべく本件駐車場のフ
ェンスが延長された後もなお,本件踏切の通行者が絶えないことを示してい
る。
本件事故当時には,はっきりとした踏み跡があり草も生えていない道が,本
件駐車場から原告の主張する法面を経て本件踏切まで存在していた。この事
実を併せれば,本件事故当時,実際に本件駐車場から本件踏切方向への人
の通行が存在していたのであって,その事実を無視して本件踏切の安全性を
論じることはできない。
ウ 不規則かつ頻繁な電車の通過
近時,鉄軌道事業者にとっては大量高速輸送が重点課題とされ,本件踏切
の設置区間でも,通過電車の高速化が進み,通行本数が増加し,電車の運
行間隔が狭まった。その結果,複線区間に設置された本件踏切は,下り電車
と上り電車とが,同時に,連続的にあるいは不定の間隔をあけて,不規則か
つ頻繁に通過することになった。
このような本件踏切の通過電車の状況を踏まえれば,本件踏切を横断する
歩行者や自転車通行者の絶対数が少なかったことのみを強調することは適
切でない。踏切利用者数の僅少さが直ちに当該踏切の本来備えるべき安全
性の水準を低下させるものではないからである。
エ 本件踏切の見通し
本件事故の数年前までには本件駐車場が全面舗装され,本件踏切の北西
地域から歩行者ないし自転車利用者が本件踏切へ接近,進入することが容
易になった。
この方向から本件踏切に進入する場合,別紙図面(略)の自転車進入経路
記載のとおり,通行人は,井野駅方面から新前橋駅方面に進行する電車に対
して背を向ける格好で本件踏切に接近し,本件踏切の北西端に達した時点で
井野駅方面を大きく振り返るよう仰ぎ見ることになる。しかし,この時の見通し
は極めて不良である。その原因は,鉄軌道敷地と水田及び本件駐車場との境
界付近に連なる電柱の列,本件駐車場敷地の境界付近のフェンス及び線路
侵入防止さくの列の存在にある。本件踏切付近の鉄軌道はほぼ直線に近い
状況ではあるが,それがために,狭い間隔で林立している電柱,連続的に設
置されている踏切侵入防止さく及び線路に沿うように設置された本件駐車場
敷地の境界付近のフェンスが,本件踏切の北西端から井野駅方向をかえり見
るときに視野の中で重なり合い,厚みのある壁のように視界を遮るのである。
被告は,本件踏切から井野駅方向の見通しは距離にして約350メートルも
あると主張するが,これは,本件踏切内からの見通しか,あるいは電車の運
転士からの見通しであって,本件踏切を利用する者の視点,特に本件踏切の
北西端から本件踏切に進入する利用者の視点からの見通しではない。
オ 本件踏切の設備状況
(ア) 第4種踏切の利用について危険警告がなされていないこと
本件踏切のような第4種踏切,すなわち遮断機も警報機もない踏切が存
在すること及びそのような踏切の利用に際しての注意等の危険警告をする
ことを被告が積極的に取り組んでいた事実は認められない。
遮断機や警報機のない踏切を横断する際,踏切進入前にいったん停止
して当該踏切に電車が接近していないかどうかを確かめることは,自動車
の運転者にとっては常識であろうが,児童を含めた一般人の常識になって
いたとは思われない。
被告の設置,保有する前橋市内にある踏切のうち,第4種踏切はたった
の2箇所しか存在しない。つまり,現実に市街地ないし市街地隣接地域に
居住している者,特に子供は,ほとんど第4種踏切を利用した経験がない
し,その親も,そのような踏切の存在を前提とした踏切の通過の仕方を子
供に教育する機会がない。
したがって,警報音も鳴っておらず遮断機も下りていないという事実を認
識した利用者(特に子供)は,常時利用する第1種踏切の場合の経験則に
基づき,警報音が鳴っておらず遮断機も下りていない以上,その踏切に電
車が接近していることはないと判断して,そのまま当該踏切内に進入する
危険性が大きいのである。
(イ) 本件踏切には遮断機及び警報機がないこと
複線区間にある踏切では,単線区間の踏切に比べて,人や自転車が踏
切に進入してから通過するまでの距離が長く,当然通過所要時間も長くな
る。通過所要時間が長くなれば,それだけ踏切を通過する電車との接触の
危険性が高まることは容易に想定されるところである。
本件踏切は,複線区間にあり,かつ,不規則かつ頻繁に電車が通過して
いたのであるから,本件事故当時,通過電車と通行人との事故発生の危険
性は高い状況であった。そして,本件踏切北西端から本件踏切内へ進入す
るに際しての見通しが悪いこと及び被告による第4種踏切利用についての
危険警告がなされていないことから,本件踏切については,事故発生の危
険性が更に高まる状況であった。このような状況にもかかわらず,本件踏
切には,遮断機はおろか警報機すら設置されていなかった。
被告は,本件踏切について,踏切改善促進会議の場で再三廃止を要望
してきたと主張する。しかしながら,被告が本件踏切の廃止を希望していた
からといって,本件踏切について本来備えるべき安全性の水準が低下した
ままで放置しておいてよいということはないから,本件踏切に遮断機や警報
機を設置しなかったことを正当化することはできない。
カ 事故発生の蓋然性の高さ
本件踏切の周囲の環境が市街地化され,住民,特に子供や高齢者による
本件踏切への接近,利用が増大し,井野駅方向の見通しが不良な本件踏切
北西端から進入して本件踏切を通過する利用状況が現実に存在した。一方,
本件踏切を通過する列車の高速化,運行本数の増加,運行間隔の過密化,
通過時間の不規則化等が進んでいた。
これらの事実にかんがみると,本件事故当時,本件踏切は極めて事故発
生の蓋然性の高い状態であった。
キ 市街地ないし市街地隣接地域に設置された踏切に対する概念
本件事故当時,被告の保有する前橋市内にある踏切のうち,第4種踏切
は,本件踏切と群馬総社駅近くの一本木踏切の2箇所だけであった。つまり,
他の踏切はすべて警報機及び遮断機が設置されていたのである。
上記状況から導かれる本件事故当時の市街地ないし市街地隣接地域所
在の踏切に対する社会通念は,「踏切には遮断機と警報機があり,電車が当
該踏切に接近すれば,まず警報機が鳴り,続いて遮断機が下りて踏切横断
ができないようになって,利用者に対して警告がなされる。」というものである。
踏切の設置場所が,山間部の人口過疎地域や林間地域ではなく,市街地
ないし市街地隣接地域であれば,警報機及び遮断機がないなどということは
通常人にはおよそ想定できない。
ク 社会の安全性に対する意識が厳格化したこと
(ア) 製造物責任法の制定
製造物責任法は,製造物の欠陥につき,製造者等に無過失責任を認め
た特別な不法行為責任を定めている。
同法の欠陥(民法717条1項の「瑕疵」に対応する概念といえる。)に
は,製造上の欠陥や設計上の欠陥だけでなく,指示,警告上の欠陥も含ま
れている。つまり,性状瑕疵だけでなく,利用者の利用目的に沿って利用す
ることに関連する危険につき警告を行っていない場合には責任を問われる
のである。その警告内容には,例えば,電子レンジでゆで卵を作ると破裂し
てやけど等をする危険があるといった,一般的に想定される誤使用に対す
る警告が含まれる。
このような法律が制定されたのは,一般人の安全に対する意識が極め
て厳しくなっている立法事実があるためである。
(イ) 高度な安全意識
昭和年代から平成年代に移行し,さらに21世紀へと時代は移り変わっ
ている。昭和40年代の裁判とは社会的背景が異なっているといわざるを得
ない。時代の移り変わりとともに社会の安全に対する意識は厳格になり,
安全性に対する社会の期待は非常に高度になってきており,危険警告の
重要性も高まってきている。こうした社会意識の変化は裁判上でも健全に
反映されなければならない。
ケ 行政による第4種踏切の廃止への取組
(ア) 交通安全基本計画
交通安全対策基本法22条に基づき中央交通安全対策会議が作成した
「交通安全基本計画」第1部第3章第2節「2 踏切保安設備の整備及び交
通規制の実施」によれば,「踏切遮断機の整備された踏切道は事故発生率
が最も低いことから,踏切道の利用状況,踏切道の幅員,交通規制の実施
状況等を勘案し,着実に踏切遮断機の整備を行う。」と明記されている。
(イ) 第7次踏切事故防止総合対策
内閣府政策統括官付交通安全対策担当参事官室作成の平成13年4月
19日「踏切事故防止総合対策について」と題する書面によれば,内閣官房
長官を本部長とする交通対策本部が,同日,平成13年度を初年度とする
「第7次踏切事故防止総合対策について」を決定した。同決定では,踏切保
安設備の整備の促進がうたわれ,踏切遮断機(踏切遮断機の設置が技術
的に困難であれば踏切警報機の設置)整備事業が盛り込まれている。
(ウ) 国土交通省鉄道局による施策
国土交通省鉄道局の公表する鉄道安全対策の中に,踏切道の改良に
関する施策が掲げられているが,それによれば,平成12年度末で6000
箇所に上っている第3種踏切及び第4種踏切を,平成17年度末までに約2
割削減することが盛り込まれている。
(エ) 第4種踏切の廃止に向けた行政の積極性
社会の交通安全意識の高まりを踏まえて,安全性の観点から警報機及
び遮断機の設置を行って第4種踏切を減らすべく,行政としての積極的な
種々の施策が施されていた。
コ 技術的問題の乏しさ
被告は,その管理,所有する踏切のほとんどにつき,警報機及び遮断機を
設置している。したがって,本件事故当時,一般的に,警報機及び遮断機を設
置するために必要な設計,設置技術,管理技術には何の問題もなかった。
そして,本件踏切は傾斜地にあるわけでもなく,本件踏切の周囲には遮断
機や警報機を設置するために十分な空間もあり,本件踏切の幅員等も特殊で
はない。したがって,本件事故当時,本件踏切に警報機及び遮断機を設置す
ることについても,被告には格別技術的に困難な問題は存在しなかった。
サ 被告による利用者の誤使用を前提とした危険警告の実態
(ア) 駅構内における電車待機時の危険警告
近時,鉄道駅では,電車通過時や電車接近時に,安全のために,ホーム
上に設けられた白線ないし黄色線より内側に立つようにわざわざ警告する
ことが機械的に行われている。利用者としては,電車接近時にはホームの
際から離れているべきことは当然であるが,誤って電車通過時にホーム際
に立つなどして事故が発生することを予防するための危険警告である。
(イ) 電車乗車時の危険警告
駆け込み乗車を予防するため,人間の心理的効果をねらって電車発車
合図音をけたたましいベル音ではなく清涼な音楽に変えることも行われて
いる。駆け込み乗車をしないことは常識であるが,それでもなお,誤って駆
け込み乗車をしようとした乗客が電車開閉扉に挟まれるなどの事故が発生
することを防止するための危険警告である。
(ウ) 第1種踏切の利用についての危険警告
さらに,駅構内の張り紙広告,電車内の中づり広告,テレビやラジオでの
宣伝活動等を通じて,警報機が鳴り遮断機が下り始めた場合に無理な踏
切横断を行わないよう広報活動が展開されている。警報機が鳴っているこ
とは当該踏切に電車が接近している事実を示し,遮断機が下り始めたこと
は当該踏切に電車が迫っている事実を示しているから,それでもなお当該
踏切を横断することなど常識では考えられないところであるが,なおも踏切
内に進入して事故が発生することがないようにするための危険警告であ
る。
シ 第4種踏切の利用についての危険警告がないこと
上記サの危険警告については被告において積極的に行っているところであ
るが,他方,第4種踏切,すなわち遮断機も警報機もない踏切が存在すること
及びそのような踏切の利用に際しての注意等の危険警告を被告が積極的に
取り組んでいた事実は全く認められない。
遮断機も警報機のない踏切を横断する際,その利用者が踏切進入前にい
ったん停止して当該踏切に電車が接近していないかどうかを確かめることは,
本当に常識であったか。警報音も鳴っておらず遮断機も下りていないという事
実を認識した利用者が,第1種踏切を利用するときと同様に,警報音が鳴って
おらず遮断機が下りていないために電車が接近していないと誤信してそのま
ま当該踏切内に進入する可能性は容易に想定できる。皮肉にも,被告が上記
サ(ウ)の第1種踏切についての危険警告をすればするほど,第4種踏切に関
する誤信の可能性は高まるのである。
第4種踏切についても警報機や遮断機が作動していないことから安全であ
ると誤信してしまうことは,市街地ないし市街地隣接地域にある第4種踏切を
利用する上での一般的な誤使用の範ちゅうなのである。それにもかかわら
ず,上記誤使用に関しての危険警告は全く行われていなかった。被告は,A
の誤使用を主張しているが,被告の主張する内容は第4種踏切を利用する際
に当然想定される一般的誤使用の範ちゅうに包摂されている。第4種踏切の
誤使用を想定した危険性を警告してこなかった自らの怠慢を棚上げして,被
告が本件事故の発生についてAの一方的不注意によって引き起こされたと主
張することは到底許されない。
【被告の主張】
本件踏切には,設置,保存上の瑕疵は存在しない。その理由は次のとおりで
ある。
ア 本件踏切付近の状況
(ア) 本件踏切は,前橋市郊外の田園地帯に存在し,その東側は田畑が広が
り,他方,その西側は数枚の田がある外,その南側に本件駐車場用地が
連なっており,付近に住宅等はない。
(イ) 本件踏切付近の鉄道線路は,ほぼ南北方向に延びた直線の複線区間
であり,本件踏切の西側からの見通しは,井野駅方向(南方)で350メート
ル以上,新前橋駅方向(北方)で500メートル以上あって極めて良好で,見
通しを妨げるものは存在しない。
(ウ) 本件踏切は,幅員約1.8メートル,長さ約12メートルで,線路と踏切道
との交差角度はおおむね直角であり,アスファルトで舗装されている。
(エ) 本件踏切は,東西方向に通ずる一般の通行の用に供される道路上に存
在するものではなく,本件踏切の東側には,前橋市市道16-009線があ
り,本件踏切の西側には,本件踏切に対し直角に線路の存する鉄道用地
に沿って,南北方向に長さ約26メートルのあぜ道状の農道である本件通
路がある。本件通路は,その両端が行き止まりで公道に接続していないの
で,一般通行人の通行を予定していない。
(オ) 本件踏切の西側に所在する数枚の田は,鉄道線路と他人の所有地に
囲まれたいわば袋地状となっており,本件踏切は,この数枚の田の農耕従
事者及びそれらの者が使用する農耕機械の出入りのために残されている。
ちなみに,被告は,毎年開催される踏切改善促進会議(群馬県,警察
署,市町村,鉄道事業者が参加している。)において,従前から本件踏切の
廃止を要望していたが,上記数枚の田への出入りのための代替道路が確
保されないために,廃止が保留となっていた。
(カ) 本件踏切から約18メートル先の本件通路の南方端は本件駐車場用地
となっており,本件駐車場用地は,本件通路より約1メートル高く,本件通路
との間は崖地状となっている。
(キ) 本件踏切は,車両(軽・小特を除く。)の通行が禁止されている。
(ク) 本件踏切の両端には,踏切警標及び踏切注意さくが設置され,本件踏
切の西側には,踏切注意さくに続き,本件通路と線路の境界に沿って南方
へ約17メートルにわたり白色のコンクリート製の線路侵入防止さくが設置さ
れている。これらは,通行者に対し,線路や本件踏切の存在を明示してい
るものである。
(ケ) 本件踏切の交通量は極端に少ない。ちなみに,被告側のなした本件踏
切の交通量調査の結果,平成15年4月1日が歩行者4名(いずれも大
人),自転車2名(いずれも中高生),同月2日が歩行者,自転車ともなしで
あった(なお,4月2日午後2時から3時の間に子供2名が本件踏切を通っ
たが,この子供2名は線路脇の花等を手向けてある場所にジュース缶を手
向けたので,それが目的と思われる。)。
(コ) 本件踏切では,過去に事故が発生したことはない。
イ 本件踏切の瑕疵の不存在
(ア) 本件踏切は,次のとおり,踏切道改良促進法3条1項に基づく踏切道の
立体交差化,構造の改良及び保安設備の整備に関する省令に定める遮断
機又は警報機の設置の指定基準に照らし,遮断機又は警報機を設置すべ
き踏切に該当しない。
a 同省令4条1項1号は,自動車が通行できるものであって,道路交通法4
条1項の規定により自動車の通行が禁止されているもの以外のものを指
定している。
しかし,本件踏切は,自動車の通行が禁止されているので,この指定
基準に該当しない。
b 同省令4条1項2号は,平成13年4月1日以後の日を含む3年間におい
て3回以上又は平成13年4月1日以後の日を含む1年間において2回
以上の事故が発生し,かつ,遮断機又は警報機の設置によって事故の
防止に効果があると認められるものを指定している。
しかし,本件踏切においては,上記期間内はもとより過去に1度も事
故が発生していないのであるから,この指定基準に該当しない。
c 同省令4条1項3号は,複線以上の区間にあるもので,遮断機又は警報
機の設置によって事故の防止に効果があると認められるものを指定して
いる。
しかし,本件踏切は,田園地帯にあって踏切通行者にとって列車に対
する見通しが極めて良好であり,車両(軽,小特を除く。)の通行が禁止
され,踏切の通行量も1日にあるかないか程度である上,過去に事故発
生が全くないことに照らすと,遮断機又は警報機の設置によって事故の
防止に効果があると認められるほど特に危険な踏切とはいえないので,
この指定基準に該当しない。
d 同省令4条1項4号は,付近に幼稚園又は小学校があることその他の特
別の事情により危険性が大きいと認められるものを指定している。
しかし,本件踏切付近には幼稚園も小学校もなく,また,危険性が特
に大きいという特別の事情もないので,本件踏切は,この指定基準に該
当しない。
(イ) 本件踏切は,その存する線路が直線で,かつ,田園地帯にあるので,踏
切通行者にとって列車に対する見通しは極めて良好であり,本件踏切の西
側から東側に自転車で横断しようとする場合,本件踏切の西端でいったん
停止して安全を確認すれば,南方約350メートル以上を見通すことができ
る。そして,本件踏切は,車両(軽・小特を除く。)の通行が禁止され,交通
量も極めて少ないのであるから,本件踏切に遮断機や警報機が設置され
ていないからといって,踏切設備に瑕疵があるとはいえない。
(ウ) 本件踏切における通行量は,上記ア(ケ)のとおり,ほとんどないといえる
ほど極端に少なく,また,本件踏切付近には,幼稚園や小学校は存在しな
い。
本件踏切の状況は,上記アのとおりであるから,本件踏切を通行しようと
する者は,鉄道線路及び本件踏切の存在を熟知した上,他人の土地であ
る本件駐車場を無断で横断し,それも本件駐車場は自動車駐車場である
から自動車の行き交う危険のある中を縦断し,さらに,崖地を下りようという
のであるから,この状況を熟知した者のみに限られている。
(エ) 本件踏切には踏切警標及び踏切注意さくが設置され,通行人に対して
本件踏切の存在を明示している上,本件駐車場用地を縦断して本件通路
に下りようとする者は,本件駐車場が本件通路よりも約1メートル高く,か
つ,本件通路沿いに白色のコンクリート製の線路侵入防止さくが設置され
ているので,本件通路に接近してくる間に,鉄道線路及び本件踏切の存在
を容易に認識することができる。
したがって,本件踏切を通行しようとする者が,踏切の手前でいったん停
止して左右の安全を確認した後に横断するという踏切横断に際しての最も
初歩的かつ基本的な注意を払いさえすれば,列車との接触事故を防止す
ることができるのであり,本件踏切及びその周辺には,上記アのとおり,そ
の注意を払うのを妨げ,困難にし,又はおろそかにさせるような状況は全く
ない。
(オ) 本件踏切では,本件事故以前に人と列車との接触事故は起きておら
ず,このことは本件踏切が特に危険であるとはいえないことを示している。
(カ) 上記の各事実に照らすと,本件踏切は,当該場所における列車通行の
確保と道路交通の安全との調整を図るという機能を十分果たし得る状況に
あったのであるから,遮断機や警報機を設置していないからといって,事故
防止に必要な通常備えるべき設備を欠いていたとはいえず,土地の工作物
たる鉄道施設としての設置ないし保存に瑕疵があったとはいえない。
(2) 原告らの損害額
【原告らの主張】
原告らは,次のとおり,被告に対し,それぞれ4149万2430円の損害賠償請
求権を有する。したがって,原告らは,被告に対し,民法717条1項に基づき,
損害賠償金(各原告につきそれぞれ4149万2430円)及びこれに対する本件
事故当日である平成14年4月3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合
による遅延損害金の支払を求める。
ア 本件事故によりAに生じた損害       6598万4860円
(ア) 治療費                     5万9055円
(イ) 葬儀関係費用                290万6492円
原告らは,本件事故によるAの死亡に伴い,葬儀を執り行い,次のとおり
費用を支出した。
a 式場,会場,霊柩車使用料         1万9350円
b 葬儀,引き出物,供物費用       136万8840円
c 参列者等への食物等接待費        36万9202円
d 仏壇等仏具一式購入費          68万2500円
e 読経料(告別式,新盆,四十九日法要)  25万0000円
f 四十九日の法事に関する接待費用等    21万6600円
(ウ) 文書料                     1万6800円
原告らは,本件事故によるAの死亡に伴い,死亡届等の必要な手続をと
るために,死亡診断書をF病院から取得した。その際,1万6800円を支出
した。
(エ) 逸失利益                 3800万2513円
Aの死亡時の年齢は12歳であった。
逸失利益を算定するに当たって,その基礎年収額を,賃金センサス平成
12年男性労働者学歴計に基づき,560万6000円とする。
そして,Aが死亡したことにより支出することのなくなった生活費相当部
分についての控除割合は50パーセントとする。
さらに,中間利息の控除については,ライプニッツ係数を用い,就労可能
年齢を18歳から67歳までとすることを前提とし,12歳から67歳(就労可
能限界年齢)までの期間に相当するライプニッツ係数から,12歳から18歳
(就労開始可能年齢)までの期間に相当するライプニッツ係数を減じたもの
とする。
そうすると,Aの逸失利益は,次の計算式のとおり,3800万2513円と
なる。
(計算式)
560万6000円×0.5×(18.6334-5.0756)
=3800万2513円
(オ) 死亡に伴う慰謝料                 2500万円
Aが死亡したことにより被った肉体的,精神的損害はこの上なく大きく,
金銭に換算することは困難であるが,少なくともAの死亡に伴う慰謝料額は
2500万円を下らない。
イ 相続
原告らは,いずれもAの相続人であり,その法定相続分は各2分の1であ
る。
よって,原告らは,法定相続分に従って,それぞれ3299万2430円につき
損害賠償請求権を相続した。
ウ 原告ら固有の損害                  1000万円
原告らは,中学校に入る直前の息子であるAを本件事故により突然失い,
多大な精神的苦痛を被った。これを金銭に換算すれば,それぞれ500万円は
下回らない。
エ 弁護士費用                      700万円
原告らは,本件事故の発生に伴い,本件訴訟を提起せざるを得なくなった
が,事件の性質上,原告らによる本人訴訟は極めて困難であり,弁護士に訴
訟追行を委任せざるを得なかった。したがって,原告らそれぞれの弁護士費
用350万円(合計700万円)は,本件事故と相当因果関係のある損害であ
る。
オ 損害の合計
以上により,原告らは,一人につき,4149万2430円,2名合計8298万
4860円の損害を被った。
【被告の主張】
ア 原告らによる損害の主張については,いずれも争う。
なお,補足して特に個別に認否する点は,次のとおりである。
(ア) 【原告らの主張】ア(イ)の葬儀関係費用のうち,b,c,fは,参列者への引
き出物や接待費用であるから,損害には該当しない。
(イ) 【原告らの主張】ア(オ)の死亡に伴う慰謝料額は,過大である。
(ウ) 【原告らの主張】ウの原告ら固有の慰謝料については,同ア(オ)の慰謝
料に包含されるものであり,格別に計上すべき理由はない。
イ 過失相殺(仮定的主張)
被告は,仮定的に過失相殺を主張する。
すなわち,本件事故は,次に述べるとおり,Aの一方的かつ重大な過失に
より引き起こされたものであることは明白であり,Aの過失割合は,100パー
セントにも達すべきものである。
(ア) Aは,本件事故当時,本件踏切を自転車で横断しようとしたのであるか
ら,本件踏切の手前で自転車をいったん停止し,かつ,安全であることを確
認した後に横断すべき注意義務を負っていた(道路交通法33条1項)のに
もかかわらず,本件踏切の手前で停止しなかったばかりか,安全を確認し
ようともしないでそのまま本件踏切に進入したもので,それは通常予測し得
ない異常な通行方法であり,本件事故はその結果発生したものである。A
は,踏切を横断する際の初歩的かつ基本的な注意義務を怠ったと断ぜざ
るを得ない。
(イ) Aは,本件事故以前に本件踏切を何回か通行したことがあるので,従前
から本件踏切の存在を熟知し,かつ,本件事故当日も本件駐車場用地を
鉄道線路に向かって縦断してきたのであるから,鉄道線路や本件踏切の存
在を十分熟知し,本件踏切には遮断機や警報機が設置されていないことも
十分熟知していた上で,本件踏切の直前でいったん停止せず,かつ,安全
確認もしないまま本件踏切に進入したものであって,Aの過失は一方的か
つ極めて重大である。
(ウ) Aは,平成元年4月25日生まれで,本件事故当時12歳の中学1年生で
あり,体力,運動能力及び正常かつ堅実な判断能力を有していたのである
から,道路の横断,踏切の通行等交通の安全に対する知識を十分有し,か
つ,交通の安全を十分確保しつつ自転車を運転する能力を有していた。
現に,Aは,本件事故当日も,自転車に乗って自宅を出発し,自宅から釣
り場まで片道6キロメートル以上にわたり,国道,県市道,交差点,踏切等
を通行していたのであるから,上記能力を有していたことは明らかである。
(エ) Aは,本件駐車場用地が道路ではなく一般の通行の用に供されているも
のではないことを熟知し,かつ,本件踏切の南方約250メートルの至近距
離に鳥羽踏切があることを熟知しながら,あえて鳥羽踏切に通ずる道路を
通行しないで,道路ではない本件駐車場用地を無断で縦断し,さらに,約1
メートルの崖地を下って田の耕作者用の本件通路に進入して本件踏切を
通行しようとした。
(オ) Aは,本件事故当日,遠出をして夕暮れ時となり,しかも雨が降り始め遠
くで雷が鳴っていたので,本件踏切が存在し,かつ,踏切の直前ではいった
ん停止し安全を確認すべきことを承知していたにもかかわらず,帰宅を急ぐ
あまり,本件踏切の直前でいったん停止せず(道路交通法33条1項違
反),かつ,安全を確認しないまま(同条項違反),本件通路からそのまま本
件踏切に進入してしまったものと考えられる。
(カ) 上記の各事実に照らすと,Aは,道路を通行せずに,無断で本件駐車場
用地を縦断して本件踏切を通行しようとし,しかも,本件踏切直前でいった
ん停止し安全を確認するという極めて初歩的かつ基本的な注意義務を怠っ
たのであるから,本件事故は,Aの一方的かつ重大な過失により発生した
ものというべきである。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(本件踏切に設置,保存上の瑕疵があるか。)について
(1)ア 甲6,15の2,甲16,19の1,20の1,甲21,27,29ないし31,35,37,
38の1,39の1,乙1ないし7及び弁論の全趣旨によれば,前記争いのない
事実のほかに,次の事実が認められる。
(ア) 被告の上越線高崎支社管内に存在する第4種踏切においては,本件事
故後にも,群馬県利根郡水上町所在の第一水上踏切で,平成14年10月
7日,当時80歳の男性が回送電車にはねられて死亡する事故が発生し
た。また,同じ被告の上越線高崎支社管内の第4種踏切である清水踏切
(群馬県沼田市硯田町所在)でも,平成7年8月24日,バイクを運転して同
踏切を通行しようとした高校生が貨物列車にはねられて死亡する事故が発
生した。
(イ) 本件踏切に井野駅寄りに隣接して存在した第4種踏切において,昭和5
1年6月3日,幼稚園から帰宅途中の園児と付添いの保母が電車にひかれ
て死亡する事故が発生した。
その後,上記踏切は廃止された。
(ウ) 本件踏切の周辺は,昭和50年代よりも前は水田が広がる田園地帯で
あったが,同年代以降次第に市街地化が進んだ。そして,本件踏切の近く
を流れる染谷川に新染谷橋が架かるなどしたため,染谷川以東に居住す
る住人が染谷川以西の本件踏切付近の地域に接近することが容易な状況
になった。また,本件踏切の北西側500メートルほどの地点に,大規模小
売店「D」や大規模玩具店「E前橋店」が相次いで開店するなどしたため,本
件踏切周辺の市街地化に拍車が掛かった。
このような事情を背景として,本件事故当時,小中学生を中心に,上記
の大規模小売店や大規模玩具店に行くなどの際の近道として,本件踏切を
徒歩又は自転車で通行することがよく行われていた。
(エ) 本件踏切のある地点では,本件事故当時,1日当たりの電車の通過本
数が上下線合わせて228本あり(ただし,貨物電車,回送電車及び保線用
電車を除く。),特に,本件事故が発生した時間帯でありラッシュ時である午
後5時から午後6時59分の時間帯には電車の通過本数が多く,上下線合
わせて1時間当たり平均14本もの電車が本件踏切のある地点を通過して
いた。
(オ) 本件駐車場には,本件事故当時,本件通路への進入を防止するための
フェンスは設置されておらず,通行者は,徒歩又は自転車によって,坂道状
になっている本件駐車場と本件通路との境界付近を通って本件駐車場から
約1メートル低い本件通路に下り,さらに,本件通路を通って本件踏切に進
入することが自由にできる状態であった(なお,上記フェンスは,本件事故
後平成14年5月18日までの間に設置された。)。
本件通路は,本件駐車場と本件踏切との間にあり,その間の距離は約1
7メートルで,線路と平行して存在している。本件駐車場側から本件踏切を
通行する通行者は,本件通路を通り,本件踏切付近で直角に右折して本件
踏切の西端から本件踏切に進入することになるが,本件通路が線路と平行
になっているため,本件通路を通行する際には,井野駅方面から新前橋駅
方面に進行する電車に対して背を向ける格好で通行することになる。
また,本件踏切の両端の進入口の幅員は約2メートルあり,そこには自
転車の通行を妨げるようなさく状のものはないため,自転車に乗って本件
踏切を通行しようとする者は,さほど速度を落とすことなく本件踏切に進入
することができる。
(カ) 本件踏切付近の線路は直線上に延びてはいるが,同線路沿いに電柱が
並んで設置されているため,本件踏切西端からの井野駅方向の見通しは,
同電柱群,取り分け本件通路と線路との間に設置された電柱に視界を遮ら
れて良好とはいえない。
イ 被告は,本件事故当時の本件踏切の通行量は極端に少なかったと主張し,
その根拠として,被告側のなした本件踏切の交通量調査(乙12)によれば,
平成15年4月1日における本件踏切の通行者は,歩行者4名(いずれも大
人)及び自転車2名(いずれも中高生)であり,同月2日における本件踏切の
通行者は,歩行者,自転車ともなかったことを挙げる。
しかし,上記調査が実施されたのは,本件駐車場に本件通路への進入を
防止するためのフェンスが設置された後のことであり,上記調査の時点にお
ける本件踏切の通行量は,本件事故当時に比べて減少していたことが推認さ
れるから,上記の調査結果をもって,本件事故当時の本件踏切の通行量が
極端に少なかったものと直ちにいうことはできない。
かえって,上記フェンスが設置された後の上記調査の時点においてもな
お,歩行者のみならず自転車に乗って本件踏切を通行する者が存在したこ
と,本件事故当時,踏み分けられて草の生えていない道状の部分が本件駐
車場から本件通路を経て本件踏切まで続いていたこと(甲15の2,甲27)に
照らすと,本件事故当時,相当数の通行者が本件踏切を徒歩又は自転車で
通行していたことが推認できる。
(2) 本件踏切の設置,保存上の瑕疵の有無について
ア 前記争いのない事実及び上記(1)の認定事実に基づき,本件踏切の設置,
保存上の瑕疵の有無について,当裁判所は次のとおり判断する。
(ア) 列車運行のための専用軌道と道路との交差するところに設けられる踏
切道は,本来列車運行の確保と道路交通の安全とを調整するために存す
るものであるから,必要な保安のための施設が設けられて初めて踏切道の
機能を果たすことができるものというべく,したがって,土地の工作物たる踏
切道の軌道施設は,保安設備と併せ一体としてこれを考察すべきであり,
もしあるべき保安設備を欠く場合には,土地の工作物たる軌道施設の設置
に瑕疵があるものとして,民法717条1項所定の帰責原因となるものとい
わなければならない。そして,踏切道における軌道施設に保安設備を欠くこ
とをもって,工作物としての軌道施設の設置に瑕疵があるというべきか否か
は,当該踏切道における見通しの良否,交通量,列車回数等の具体的状
況を基礎として,上記のような踏切道設置の趣旨を充たすに足りる状況に
あるかどうかという観点から,定められなければならない。そして,保安設
備を欠くことにより,その踏切道における列車運行の確保と道路交通の安
全との調整が全うされず,列車と横断しようとする人車との接触による事故
を生ずる危険が少なくない状況にあるとすれば,踏切道における軌道施設
として本来備えるべき設備を欠き,踏切道としての機能が果たされていない
ものというべきであるから,かかる軌道設備には,設置上の瑕疵があるも
のといわなければならない(最高裁昭和40年(オ)第536号同46年4月23
日第二小法廷判決・民集25巻3号351頁参照)。
(イ) これを本件について見るに,前記争いのない事実及び上記(1)で認定し
た諸事実,特に,本件踏切西端からの井野駅方向の見通しが,線路沿い
に設置された電柱群,取り分け本件通路と線路との間に設置された電柱に
視界を遮られて良好とはいえないため,このことに,本件駐車場側から本
件踏切を通行する者は,本件通路を通行する際に,井野駅方面から新前
橋駅方面に進行する電車に対して背を向ける格好で通行することになるこ
と,本件踏切の進入口は,自転車に乗って本件踏切を通行しようとする者
がさほど速度を落とすことなく本件踏切に進入することができる状態にある
ことも併せ考慮すると,徒歩又は自転車で本件踏切を通行しようとする者
が電車の接近に気付かずに本件踏切内に入り電車と接触する危険は大き
く,現に本件事故までにも,本件踏切に井野駅寄りに隣接して存在した第4
種踏切(その後廃止された。)において死亡事故が発生していたこと,本件
踏切の周辺では,昭和50年代以降次第に市街地化が進み,本件踏切の
北西側に大規模小売店等が相次いで開店するなどしたため,本件事故当
時,小中学生を中心に本件踏切を徒歩又は自転車で通行することがよく行
われていたこと,本件踏切のある地点では,本件事故当時,1日当たりの
電車の通過本数が上下線合わせて200本を超え,取り分け本件事故が発
生した時間帯でありラッシュ時である午後5時から午後6時59分の時間帯
には,平均して約4分に1本もの割合で電車が通過していたことに徴する
と,本件踏切の通行は決して安全なものということはできず,本件踏切は,
本件事故当時,少なくとも電車が踏切に接近すると警報音を鳴らして電車
の接近を警告する警報機を設置するのでなければ,踏切道としての本来の
機能を全うし得る状況にはなかったものと認められる。
そうすると,たとえ,本件踏切の両端に,本件踏切に入ろうとする通行者
に向けて「とまれみよ」との記載のある文字板の付された踏切警標が設置
され,かつ,黄色と黒色が斜形に塗装された踏切注意さくが設置されている
こと,本件通路に沿って本件駐車場付近までコンクリート製の線路侵入防
止さくが設置されていること,本件踏切の東端に,二輪車以外の自動車の
通行を禁止する標識が設置されていること(なお,この点について考察する
に,道路を通行するのは二輪車以外の自動車だけではなく,歩行者や二輪
車(自転車も含まれる。)も道路を通行するのであるから,道路と交差する
踏切において二輪車以外の自動車を前提とした安全性を備えていてもそれ
だけでは不十分であって,本件踏切が道路と交差する踏切である以上は,
歩行者や二輪車も考慮に入れた安全性を備えていなければならないことは
いうまでもない。)を考慮に入れても,警報機の保安設備を欠いていた被告
所有の土地の工作物である本件踏切には,本件事故当時,設置上の瑕疵
があったものというべきである。
イ(ア) 被告は,本件踏切では,本件事故以前に人と列車との接触事故は起き
ておらず,このことは本件踏切が特に危険であるとはいえないことを示して
いると主張する。
しかし,前記(1)ア(イ)のとおり,本件踏切に井野駅寄りに隣接して存在し
た第4種踏切において,昭和51年6月3日,幼稚園から帰宅途中の園児と
付添いの保母が電車にひかれて死亡する事故が発生しているところ,同死
亡事故の発生した当時は,本件事故当時よりも周囲の市街地化が進行し
ていなかったことに照らすと,仮に被告の主張するように本件踏切で本件
事故以前に人と列車との接触事故が起きていないとしても,そのことから,
本件事故当時,本件踏切が危険でなかったということはできない。
(イ) また,被告は,毎年開催される踏切改善促進会議(群馬県,警察署,市
町村,鉄道事業者が参加している。)において,従前から本件踏切の廃止
を要望していたと主張する。
しかし,たとえ,本件踏切の廃止を被告が要望していたとしても,あるべ
き保安設備を欠いた危険な状態で廃止されないまま現実に存在する本件
踏切をそのまま放置しておいてよいということにはならない。また,平成13
年10月15日に開催された踏切改善促進会議において,被告が同じ第4種
踏切である一本木踏切と本件踏切をともに廃止することを要望したところ,
一本木踏切については廃止が決定されたが,本件踏切については廃止決
定がされずに「今後要検討」とされたにとどまったこと(甲24の2)に照らす
と,本件踏切については,上記時点で近い将来廃止されるか否かは不明で
あったといわざるを得ないから,被告が近い将来本件踏切が廃止されるこ
とを期待して本件踏切に遮断機や警報機を設置することを差し控えていた
としても,そのことを正当化することはできない。
(3) 小括
したがって,被告所有の土地の工作物である本件踏切には,本件事故当時,
設置上の瑕疵があったものといえるから,被告は,民法717条1項により,原告
らの損害を賠償する義務がある。
2 争点(2)(原告らの損害額)について
(1) 本件事故によりAに生じた損害について
ア 治療費                      5万9055円
甲8及び弁論の全趣旨によれば,Aは,本件事故後,F病院において外来
診療を受け,その治療費が5万9055円掛かったことが認められる。かかる治
療費は,本件事故と相当因果関係のある損害として賠償を求め得るものとい
うべきである。
イ 葬儀関係費用                     150万円
甲9の1ないし3,10の1ないし4,11の1ないし7,甲12,13の1,2及び
弁論の全趣旨によれば,本件事故によって死亡したAの葬儀関係費用につい
て,式場,会場,霊柩車使用料として1万9350円,葬儀,引き出物,供物費
用として136万8840円,参列者等への食物等接待費として36万9202円,
仏壇等仏具一式購入費として68万2500円,四十九日の法事に関する接待
費用等として21万6600円,それぞれ掛かったことが認められる(なお,原告
らは,ほかに,読経料として25万円を支出したと主張するが,かかる事実を
認めるに足りる証拠はない。)。
そして,Aの死亡時の年齢等の諸事情を考慮すると,本件事故と相当因果
関係のある損害として賠償を求め得る葬儀関係費用は,上記金額のうち150
万円とするのが相当である。
ウ 文書料                      1万6800円
甲14の1ないし3及び弁論の全趣旨によれば,本件事故によるAの死亡に
伴い,死亡届等の必要な手続きをとるため,F病院からのAの死亡診断書の
取得費として1万6800円掛かったことが認められる。かかる文書料は,本件
事故と相当因果関係のある損害として賠償を求め得るものというべきである。
エ 死亡による逸失利益             3765万4077円
前記争いのない事実(1)ウのとおり,Aは,本件事故によって死亡した当時1
2歳の男子であったところ,甲28によれば,同人は極めて健康な状態であっ
たと認められ,本件事故に遭遇しなければ,18歳から67歳までの49年間就
労することが可能であったと認めることができる。そして,Aの死亡による逸失
利益は,平成14年度の全男子労働者の平均年収額から,同人の生活費とし
て収入の50パーセントを控除して算定するのが相当であると解されるところ,
平成14年度の企業規模計,学歴計男子労働者の全年齢平均給与額が年5
55万4600円であることは公知の事実であるから,ライプニッツ方式(年5分
の中間利息控除)により同人の逸失利益を算定すると,次の計算式のとおり,
3765万4077円となる。
(計算式)
555万4600円×0.5×(18.6334-5.0756)
=3765万4077円
オ 死亡による慰謝料                  1800万円
本件事故の態様及び結果,Aの死亡時の年齢,同人の家族構成その他本
件に現れた諸般の事情を総合考慮すると,同人の死亡による慰謝料額は,1
800万円が相当である。
(2) 相続
前記争いのない事実(1)ウのとおり,原告らは,Aの両親であるから,それぞれ
その法定相続分に応じ,上記(1)の合計金額5722万9932円の2分の1に当た
る2861万4966円の損害賠償請求権を相続により取得したことになる。
(3) 原告ら固有の慰謝料                  各200万円
本件事故の態様及び結果,Aの死亡時の年齢,原告らの家族構成その他本
件に現れた諸般の事情を総合考慮すると,Aの死亡によりその両親である原告
らが被った精神的苦痛に対する慰謝料額は,それぞれ200万円が相当である。
(4) 過失相殺
ア 甲16,28,原告B本人及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められ
る。
(ア) Aは,本件事故当日,友人2名とともに自転車に乗って釣りに行った帰路
に,本件踏切を西側から東側に通行して帰宅しようとし,友人らの先頭に立
ち,自転車に乗って本件駐車場を通って本件通路に下り,本件踏切の西端
に差し掛かったが,本件踏切手前で一時停止することもなく,井野駅方向を
確認することもないまま,本件踏切に進入したところ,電車の前部に接触し
てはね飛ばされた。
(イ) Aは,本件事故に遭う以前にも,本件踏切を複数回通行したことがあり,
本件踏切に警報機も遮断機も設置されていないことを知悉していた。また,
Aは,本件事故当時,一般的に,踏切は危険な箇所であり,踏切を渡る際
には電車が通過してこないかどうか確認する必要があることについて,十
分な理解力を備えていた。
イ 上記アで認定した本件事故発生の態様やAの本件踏切についての認識状
況等に加え,前記のとおり,本件踏切の両端には踏切警標及び踏切注意さく
が設置されていることにかんがみると,本件事故の発生については,Aに,井
野駅方向の安全を確認することなく本件踏切に進入した過失があったものと
認められる。そして,前記のとおりの本件踏切の設置上の瑕疵の態様,本件
事故の態様その他諸般の事情を斟酌すると,原告らの損害額の算定につき,
過失相殺として8割を減ずるのが相当である。
そうすると,前認定の原告らそれぞれについての損害額(上記(2)及び(3)の
合計金額である各3061万4966円)から上記8割を減じた額は,それぞれ6
12万2993円となる。
(5) 弁護士費用                       各70万円
本件事案の内容,審理の経過,請求認容額等に照らすと,本件事故と相当因
果関係のある弁護士費用の額は,原告らにつきそれぞれ70万円とするのが相
当である。
第4 結論
以上によれば,原告らの請求は,原告らそれぞれに対し682万2993円及びこ
れに対する本件事故発生日である平成14年4月3日から支払済みまで民法所定
の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこの限度
で認容することとし,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文の
とおり判決する。
前橋地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官    東條 宏
裁判官    高橋正幸
裁判官原克也は,転補につき,署名押印することができない。
裁判長裁判官    東條 宏

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