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平成15年(行ケ)第582号 審決取消請求事件
平成16年4月14日口頭弁論終結
     判    決
 原      告     東京エレクトロン株式会社
 訴訟代理人弁理士     大川晃,田邉隆
 被      告     特許庁長官 今井康夫
 指定代理人        江塚尚弘,藤木和雄,藤正明,大橋信彦
     主    文
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 「特許庁が不服2003-5242号事件について平成15年11月5日にした
審決を取り消す。」との判決。
第2 事案の概要
 本件は,原告が,意匠の登録出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これを
不服として審判を請求したが,審判請求は成り立たないとの審決がされたため,同
審決の取消しを求めた事案である。
 1 特許庁における手続の経緯
 原告は,平成13年9月19日,意匠に係る物品を「処理装置用上部天板カバー
部品」とする意匠(本願意匠)につき意匠登録出願(意願2001-27535)
をしたところ,平成15年2月28日に拒絶査定を受けたので,同年3月31日,
拒絶査定に対する審判(不服2003-5242号事件)を請求したが(なお,原
告は,同年5月1日,意匠に係る物品を「プラズマ処理装置の処理室用天板カバ
ー」に補正した。),同年11月5日に「本件審判の請求は,成り立たない。」と
の審決があり,同年12月1日にその謄本が送達された。
 2 審決の理由
 審決の理由は,別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本願意匠は,その
意匠登録出願前に,その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,日本
国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基
づいて容易に意匠の創作をすることができたものであるから,意匠法3条2項の規
定に該当し,意匠登録を受けることができない,というものである。
第3 当事者の主張
 1 原告の主張
  (1) 取消事由1
 審決は,本願意匠の認定を誤り,ひいては,創作容易性の判断を誤ったものであ
るから,違法として取り消されなければならない。
   ア 審決は,本願意匠の全体の基本構成について,「略長方形板状の天板カ
バー部周縁部分にビス留め用円孔部を等間隔に形成し」たと認定したが,誤りであ
る。
 天板カバー部周縁部分とは略長方形板状の天板カバーの四辺の周縁部を指すとこ
ろ,四辺の周縁部分に形成したビス留め用円孔部の配置は複雑で,一律な等間隔で
あるとはいえない。
   イ 審決は,本願意匠のビス留め用円孔部の配置態様について,「左上角部
分に形成した円孔から垂直下方向に円孔を等間隔(縦幅の略1/3程度)に2つ配
設。」と認定したが,誤りである。
 左上角部分に形成した円孔から垂直下方向に配設した2つの円孔の間隔は,1:
1:0.6であって,「縦幅の略1/3程度」というものではない。
  (2) 取消事由2
 仮に本願意匠が審決の認定したとおりのものであるとしても,審決は,創作容易
性の判断を誤ったものであるから,違法として取り消されなければならない。
   ア 審決は,本願意匠の全体の基本構成について,「当該カバー部周縁部分
にビス留め用円孔部を等間隔に形成した態様も,例えば,特開2000-3490
73号(注:本訴甲3)に掲載の【図1】「シリコン電極板」の意匠が既に存在し
ていることから,この種物品において極普通にみられる態様にすぎない。」,「シ
ャワヘッド用円孔部を十字状に配設した態様は,例えば,特開昭61-10093
5号(注:本訴甲4)掲載の第2図「反応ガスの噴出装置」の噴出孔板部分の意匠
が示すとおり,この種物品において従来から公然知られたものである」と判断した
が,誤りである。
 ビス留め用円孔部については,4枚組み合わされた場合の外側の短辺と長辺の周
縁に位置する円孔の大きさ及びその各2辺における孔の間隔が一部異なる上,これ
らと対向する内側の周縁とは全く異なるので,特開2000-349073号の
【図1】の記載からは,本願意匠の当該部分の規則性を導き出せる原理は見いだせ
ない。また,シャワヘッド用円孔部については,本願意匠自体に十字状に配設した
態様というものは存在しないし,4枚組み合わされた場合であっても,単純な十字
状を構成するものではないので,特開昭61-100935号の第2図の記載か
ら,本願意匠の当該部分の態様を容易に想到できるとはいえない。
   イ 審決は,本願意匠の天板カバー部の態様について,「周知の形態である
長方形板状の一角を角部処理の周知慣用手段である隅丸状に形成したまでのもので
あって,その縦幅と横幅との寸法比率も含め本願意匠の該部位の態様には特筆すべ
き創意は認められない。」と判断したが,誤りである。
 天板カバーが略長方形板状であることは争わないが,この種物品分野において
は,特色あるビス留め用の2種の円孔とシャワヘッド用小円孔の配置を構成するた
めの1隅を隅丸とする略長方形状は,従来の円形や小型装置の角型天板の1/4に
当たるような単なる略長方形ではないというべきである。
   ウ 審決は,本願意匠のビス留め用円孔部の配置態様について,「長方形板
状体をビス留め固定する際にその角部に円孔を穿設すること及び角部円孔から周縁
に沿って等間隔にビス留め用円孔を周設することは,この種物品分野に限らずあら
ゆる物品分野において周知慣用な常套的手段であり,かつ,板状体の相対する辺縁
部分に円孔を対向して配設する態様も極普通にみられるものにすぎないから,本願
意匠の該部位の配置態様には,特筆すべき創意は認められない。」と判断したが,
誤りである。
 本願意匠を4枚組み合わせた場合,外側の略長方形の隅丸角部にはビス留め用円
孔は穿設されていないし,内側の各周縁には等間隔にビス留め用円孔を穿設せず,
また,外側のそれも不揃いである。そして,外側の各辺縁に対する内側の各辺縁に
は,ビス留め用円孔を対向して配設しているわけではない。
   エ 審決は,シャワヘッド用円孔部の態様について,「カバー部右上角部
分,上辺縁中央部分及び右辺縁中央部分に微小円孔群からなるシャワヘッド用円孔
部を配設することに特筆すべき創意はなく(・・),シャワヘッド用円孔を一列に
配設した態様及び鉤形状に配設した態様も,上記特開2000-349073号に
掲載の微細孔の態様が示すように本願意匠の出願前に公然知られたものであるか
ら,本願意匠の該部位の態様は,当業者であれば容易に想到できる態様にすぎな
い。」と判断したが,誤りである。
 アのとおり,本願意匠を4枚組み合わせた場合,シャワヘッド用円孔部が単純な
十字状を構成するものではないから,本願意匠の当該部分の態様を容易に想到でき
るとはいえないし,特開2000-349073号の【図1】の記載は,ガス噴出
装置の中央付近一杯に微細孔を菱形状に配設したものであるから,これから,本願
意匠の当該部分の態様を容易に想到できるともいえない。
   オ さらに,審決は,「(1)から(4)の態様が相俟って表出する効果を勘案し
た場合でも,意匠の構成要素として特筆すべきものはなく,評価すべき創意も認め
られない。」と判断したが,誤りである。
 本願意匠の構成態様は,複雑で,一見不規則であるが,使用状態を想定すれば,
4枚の接合片の十字の線状に沿って,中心の「米」印状における天板に配設したシ
ャワヘッド用小貫通孔群から四方に十字状を基調とした同小貫通孔を,さらに放射
状に拡散されるポイントとなるよう構成されたもので,独自の特徴を奏しており,
本願意匠は,その1/4の単位体のものであって,物品の使用目的に即した新しい
創意に富んだ産業上の造形物に係る構成態様であるということができる。
 2 被告の主張
  (1) 取消事由1に対して
   ア 審決は,本願意匠の全体の基本構成として,円孔の配置を概括的に述べ
たのであり,左辺縁部,下辺縁部にそれぞれ左上角及び右下角の円孔から等間隔に
円孔を2個形成し,その2個目の円孔から相対する辺の対向する位置に円孔を1個
形成し,また,右上角部にも円孔を1個形成したものであって,全部で円孔を9個
形成しただけで,その配置は格別複雑ではない。そして,左辺縁部及び下辺縁部の
造作が多く施されている部分(円孔が目立つ部分)の方がそうでない部分よりも目
を惹きやすいから,本願意匠の全体の概括的態様として,「ビス留め用円孔部を等
間隔に形成し」たと認定しても,誤りではない。
   イ 左上角部分に形成した円孔から垂直下方向に配設した2つの円孔の間隔
は,縦幅の略1/3程度であるから,審決の認定に誤りはない。
  (2) 取消事由2に対して
   ア ビス留め用円孔の大きさ及び配置の差異に特段の特徴はなく,また,4
枚1組で構成したために,主として技術的な目的で形成されるシャワヘッド用円孔
が連結した板の中心部に短い十字状で表れたにすぎず,また,上下左右に配置され
た円孔群も単に列状のものを2つ並設したにすぎないので,格段の特徴はない。本
願意匠は,ビス留め用円孔を周縁に配した板体の表面に,プラズマ噴出用のシャワ
ヘッド用円孔を規則的に配設したという程度の単純なものであるから,審決の判断
に誤りはない。
   イ 板全体を矩形状とすることや強度等のために角部を隅丸に処理すること
は,この種物品で既に行われていることであって,任意の角部のみを隅丸形状にす
ることも周知の方法であるから,1隅を隅丸状に形成した略長方形板状体を周知形
状であると認定しても,誤りではない。
   ウ 長方形板体の角部にビス留め用円孔を穿設しないことに特段の特徴はな
く,また,(1),アのとおり,本願意匠の全体の概括的態様は,「ビス留め用円孔部
を等間隔に形成し」たということができるから,ビス留め用円孔部の配置態様に特
段の特徴はない。
   エ アのとおり,シャワヘッド用円孔部の態様に特段の特徴はなく,また,
単位体4枚を組み合わせて1枚の天板カバーに構成する手法も,あらゆる物品分野
において通常行われているところであり,シャワヘッド用円孔部を十字状に配置し
た天板カバーを4等分割すれば,カバー部右上角部分,上辺縁中央部分及び右片縁
中央部分に微小円孔群からなるシャワヘッド用円孔が表れるのは当然であって,シ
ャワヘッド用円孔を一列に配設した態様及び鉤形状に配設した態様も,周知のもの
であるから,当業者であれば容易に想到できたものである。
   オ 天板カバー周縁部に形成された円孔,特にシャワヘッド用円孔は,板全
体から見て小さく,視覚的に目立たないものであり,その配置も,天板カバーの固
定方法及びプラズマガス等の均一噴出方法等に基づいて機能的に決定される事項に
すぎず,また,本願意匠に係る物品が使用される場所は,プラズマ用処理装置の通
常目につくとはいい難い内部空間上面部分であるから,審決の判断に誤りはない。
第4 当裁判所の判断
 1 取消事由1について
  (1) 取消事由1,ア(全体の基本構成)について
 審決は,ビス留め用円孔部の配置態様について,「天板カバー部の平面視右上角
部やや内側寄りに円孔を一つ形成し,左上角部分に形成した円孔から垂直下方向に
円孔を等間隔(縦幅の略1/3程度)に2つ配設。そして,右辺縁部分の当該下側
の円孔と対向する位置に円孔を一つ形成。また,右下角部分に形成した円孔から水
平左方向に円孔を等間隔(縦幅の略1/3程度)に2つ配設し,上辺縁部分の当該
左側の円孔と対向する位置に円孔を一つ形成。」とも認定しているのであり,審決
の「略長方形板状の天板カバー部周縁部分にビス留め用円孔部を等間隔に形成し」
たとの認定は,本願意匠の全体の基本構成を概括的に述べたものと解されるのであ
って,本願意匠においては,円孔が多く形成された左辺縁部及び下辺縁部の方が右
辺縁部及び上辺縁部に比して観察されやすい部分であると考えられるから,本願意
匠の全体の基本構成としては,「略長方形板状の天板カバー部周縁部分にビス留め
用円孔部を等間隔に形成し」たとみても差し支えないというべきである。したがっ
て,審決の認定が誤りであるということはできない。
  (2) 取消事由1,イ(ビス留め用円孔部の配置態様)について
 甲2(本願意匠の意匠登録願)によれば,本願意匠の左辺縁部のビス留め用円孔
部の配置態様は,左上角の円孔から垂直下方向円孔を2個形成したものであって,
左上角の円孔と1個目の円孔との間隔,1個目の円孔と2個目の円孔との間隔は等
しく,左辺縁部の縦幅の略1/3程度であることが認められる。したがって,審決
の認定に誤りはない。
 2 取消事由2について
  (1) 取消事由2,ア(全体の基本構成)について
 甲3(特開2000-349073号公報)によれば,シリコン電極板の周辺部
にプラズマエッチング装置に取り付けるための取付穴s8個を等間隔に穿設したも
のが示されている。そして,甲2(本願意匠の意匠登録願)によれば,本願意匠に
係る物品は,高周波電力を印加してプラズマを発生させ半導体ウェハなどをエッチ
ングする誘導結合プラズマエッチング(ICP)装置などの処理装置の処理空間に
面した上部天板カバーを4分割したものであって,これを4個組み合わせることに
より,1個の上部天板カバーが構成され,上部天板カバーは,例えば金属金具など
の固定手段により処理空間に面して固定されて,処理装置に設置されること,本願
意匠を4個組み合わせた上部天板カバーの周縁部は,ビス留め用円孔がほぼ等間隔
で形成されていることが認められ,また,上記1,(1)に判示したように,本願意匠
の全体の基本構成としては,「略長方形板状の天板カバー部周縁部分にビス留め用
円孔部を等間隔に形成し」たとみて差し支えないから,審決が,甲3(特開200
0-349073号公報)を例示して,「当該カバー部周縁部分にビス留め用円孔
部を等間隔に形成した態様も,・・・この種物品において極普通にみられる態様に
すぎない。」と判断したことに誤りはないというべきである。原告は,4個組み合
わされた場合の外側の短辺と長辺の周縁に位置する円孔の大きさ及びその間隔が異
なる上,これらと対向する内側の周縁とは全く異なるので,特開2000-349
073号の【図1】の記載からは,本願意匠の当該部分の規則性を導き出せる原理
は見いだせないと主張するが,上記のとおり,本願意匠を4個組み合わせた上部天
板カバーの周縁部は,ビス留め用円孔がほぼ等間隔で形成されているところ,外側
の短辺と長辺の周縁に位置する円孔の大きさ及びその配置に格別の特徴があるとは
認め難い上,外側の周縁とこれに対向する内側の周縁とが異なるとしても,等間隔
形成とするについて格別の意義があるということもできないから,原告の主張は,
採用することができない。
 また,甲4(特開昭61-100935号公報)によれば,イオンエッチング装
置の反応ガスの噴射装置13に4個の噴出孔27及び28を十字状に配置したもの
が示されている。そして,甲2(本願意匠の意匠登録願)によれば,本願意匠のシ
ャワヘッド用円孔部(小貫通孔群)の態様は,天板カバー部の上辺縁中央部分及び
右辺縁部分に円孔(小貫通孔)を7個1列に配設し,右上隅角部分に円孔(小貫通
孔)を7個鉤形状に配設したものであって,これを4個組み合わせた上部天板カバ
ーのシャワヘッド用円孔部(小貫通孔群)は,十字状に配設されていることが認め
られるから,審決が,甲4(特開昭61-100935号公報)を例示して,「シ
ャワヘッド用円孔部を十字状に配設した態様は,・・・当業者であれば容易に想到
できる態様であると認められる。」と判断したことに誤りはない。原告は,本願意
匠自体に十字状に配設した態様というものは存在しないし,4枚組み合わされた場
合であっても,単純な十字状を構成するものではないので,特開昭61-1009
35号の第2図の記載から,本願意匠の当該部分の態様を容易に想到できるとはい
えないと主張するが,上記のとおり,本願意匠を4個組み合わせた上部天板カバー
のシャワヘッド用円孔部は,十字状に配設されているのであって,かつ,その態様
に格別の特徴があるとは認め難いから,原告の主張は,採用の限りでない。
  (2) 取消事由2,イ(天板カバー部の態様)について
 原告は,本願意匠が特色あるビス留め用の2種の円孔とシャワーヘッド用小円孔
の配置を構成するための1隅を隅丸とする略長方形状は単なる略長方形ではないと
主張するが,原告は本願意匠の形状が略長方形板状であることを争っていないし,
板全体を矩形状とすることや角部を隅丸に処理することに格別の特徴があるとは認
め難いから,原告の主張は,採用の限りでない。
  (3) 取消事由2,ウ(ビス留め用円孔部の配置態様)について
 確かに,甲2(本願意匠の意匠登録願)によれば,原告が主張するように,本願
意匠を4個組み合わせることにより構成される上部天板カバーの隅丸角部にはビス
留め用円孔は穿設されていないこと,本願意匠の外側の各辺縁に対する内側の各辺
縁には,ビス留め用円孔を対向して配設していないことが認められるが,上部天板
カバーの隅丸角部にビス留め用円孔を穿設しないことに格別の特徴があるとは認め
られないし,上記のとおり,本願意匠においては,円孔が多く形成された左辺縁部
及び下辺縁部の方が右辺縁部及び上辺縁部に比して観察されやすい部分であると考
えられるのであって,本願意匠の外側の各辺縁に対する内側の各辺縁にビス留め用
円孔を対向して配設していないとしても,このことに格別の特徴があると認めるこ
とはできない。そして,上記1,(1)に判示したように,本願意匠の全体の基本構成
としては,「略長方形板状の天板カバー部周縁部分にビス留め用円孔部を等間隔に
形成し」たとみて差し支えないところ,このようなビス留め用円孔部の配置態様に
格別の特徴があるとも認められない。したがって,審決の上記判断に誤りがあると
いうことはできない。
  (4) 取消事由2,エ(シャワヘッド用円孔部の態様)について
 (1)に判示したように,本願意匠を4個組み合わせた上部天板カバーのシャワヘッ
ド用円孔部(小貫通孔群)は,十字状に配設されているところ,その4分の1に当
たる本願意匠において,シャワヘッド用円孔部(小貫通孔群)が,右上角部分,上
辺縁中央部分及び右辺縁中央部分に形成されるのは当然であるし,また,甲3(特
開2000-349073号公報)によれば,シリコン電極板の中央部にガスを噴
出させるための多数の微小孔aを列状や鉤形状に穿設したものが示されているか
ら,本願意匠のシャワヘッド用円孔部(小貫通孔群)の態様に格別の特徴があると
いうことはできない。したがって,審決の上記判断に誤りはない。
  (5) 取消事由2,オ(本願意匠の各態様が相俟って表出する効果)について
 本願意匠における,全体の基本構成,天板カバー部の態様,ビス留め用円孔部の
配置態様及びシャワヘッド用円孔部の態様は,既に判示したように,いずれも格別
の特徴があるとは認め難く,これらを組み合わせることは当業者ならば容易である
といわざるを得ないから,本願意匠に意匠としての特段の創作性があると認めるこ
とはできないというべきである。したがって,審決の上記判断に誤りはない。
 3 結論
 以上のとおりであって,原告主張の取消事由は理由がなく,審決の認定判断に誤
りはないから,原告の請求は棄却されるべきである。
 よって,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所知的財産第4部
         裁判長裁判官 塚   原   朋   一
            裁判官 塩   月   秀   平
裁判官髙   野   輝   久

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