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○ 主文
一 本件控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
○ 事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人藤田ビル株式会社に対して、昭和五九年八月八日付けでした
同控訴人の昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業年度の法人税
に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知及び昭和六〇年四月一二
日付けでした同控訴人の右事業年度の法人税の更正処分を取り消す。
3 被控訴人が控訴人Aに対して、昭和六〇年四月一二日付けでした同控訴人の昭
和五七年分の所得税の更正処分を取り消す。
4 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二 事案の概要
次のとおり付加、訂正及び削除するほか、原判決の事実及び理由「第二 事案の概
要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決二枚目裏末行目の「、それぞれ」を削除し、同三枚目表六行目の「メー
トル」の次に「(以下「控訴人A所有土地」という。)」を、同行目の「B」の次
に「(以下「B」という。)」を加え、同七行目の「、これらの土地を」を「「B
所有土地」といい、控訴人A所有土地と合わせて」と、同八行目の「右各」を「控
訴人A所有」と、同枚目裏二行目の「本件土地についての不動産売買契約書」を
「本件売買契約についての不動産売買契約証書」と改め、同五、六行目の「建設協
力金である」を削除し、同六行目の「計七億八二二一万一七八四円」の次に「(以
下「本件敷金・保証金」という。)」を加える。
二 同四枚目表九行目の「提出された」の次に「(控訴人会社代表者の真意に基づ
くものかどうかは後記のとおり争いがある。)」を加え、同枚目裏三行目の「その
内容」を「以上の確定申告、修正申告、更正の請求の内容」と改め、同五枚目表三
行目の「右」の次に「(六)の」を加える。
三 間六枚目裏一行目の「二億九〇〇〇万円」の次に「(以下「本件貸倒金」とい
う。)」を加え、同七枚目表二、三行目の「敷金・保証金」を「本件敷金・保証金
の」と改め、同七行目の「借地権部分」の次に「(以下「本件借地権」とい
う。)」を、同八枚目表五行目冒頭の「一〇〇」の次に「とする。」を加え、同枚
目裏八行目の「四三三二・八五」を「四三二二・八五」と、同一〇枚目表六行目、
八行目及び末行目の「借地権」をいずれも「本件借地権」と改め、同枚目裏二行目
の「修正申告額」の次に「(確定申告の際に益金に算入した一七億三八四七万八二
二五円と修正申告で加算した売却益七億八二二一万一七八四円との合計額)」を加
え、同行目の「二五億二〇九六万〇〇〇九円」を「二五億二〇六九万〇〇〇九円」
と、同八行目の「所有」を「保有」と、同行目の「借地権」を「本件借地権」と改
め、同一一枚目表二行目の「の取得価額」を削除し、同二、三行目の「土地」を
「借地権」と改め、同枚目裏一行目の「土地等の譲渡に係る直接又は間接に要し
た」及び同三行目から同末行目までを削除する。
四 同一二枚目表二行目の「更正処分による」を削除し、同行目の「別紙2」の次
に「更正・賦課決定欄」を、同五行目末尾の「円」の次に「((3)-(4)-
(5)-(6))」を加え、同末行目末尾の「の金額」を「金額の計算について」
と、同枚目裏一行目の「(7)」を「(6)」と、同三行目及び同五行目の「借地
権」をいずれも「本件借地権」と、同九行目の「332.26」を「323.2
6」と、同一〇行目の「により計算」を「から右(一)(4)(5)(6)の取得
費、譲渡費用、特別控除額を控除」と改め、同一三枚目表三行目から同七行目まで
を削除する。
五 同一三枚目表一〇行目の「昭和五七年」から同一一行目冒頭の「までの」まで
を「本件」と改める。
六 同一三枚目裏二行目から同一四枚目裏九行目までを次のとおり改める。
2 控訴人会社の昭和五八年一二月二六日付け法人税の修正申告は、控訴人会社代
表者の真意に基づかないでなされたものであって、無効であるか。
3 控訴人会社に対する更正処分のうち、本件貸倒金を損金不算入としたことの適
法性
4 控訴人会社の「資産の譲渡に係る収益の額」(法人税法二二条二項)又は控訴
人Aの「譲渡所得に係る総収入金額」(所得税法三三条三項)の算定の基礎となる
本件土地建物の譲渡価額はいくらか。
(一) 被控訴人の主張
前記三1(二)(1)で主張したとおり、右譲渡価額は本件売買契約についての不
動産売買契約証書に記載されている売買代金額一八億二六九三万八二一六円(前記
二1(二))及び本件敷金・保証金七億八二二一万一七八四円(前記二1(三)、
(四))の合計二六億〇九一五万円である。
(二) 控訴人らの主張
右譲渡価額は、右不動産売買契約証書に記載されている売買代金額一八億二六九三
万八二一六円であり、本件敷金・保証金の額は売買代金額に加算されない。
仮に、本件敷金・保証金の額が売買代金額に加算されるとしても、ハヤマが負担し
た本件敷金・保証金の返還債務は直ちに履行期が到来するわけではなく、保証金の
返還については概ね一〇年間据置き一一年目より一〇年間に渡り均等分割して返還
すれば足りるのであるから、売買代金額に、複利現価方式により算定した右期間中
の経済的利益の額を控除した残額である二億九〇一三万〇八六七円(甲四七)を加
算した額をもって右譲渡価額とすべきである。
5 本件借地権の価額認定及び土地譲渡利益金額課税の適法性
(一) 本件借地権はB所有土地にも及ぶか。
(二) 本件借地権設定時において、本件借地権に課税すべき経済的価値が存した
か。
(1) 被控訴人の主張
控訴人会社が本件借地権を取得した昭和五二年ないし昭和五三年ころの本件土地の
更地価額は約八億円であった。そこで、当時の本件借地権価額は、右八億円に相続
税財産評価に関する基本通達により大阪国税局長が定めた借地権割合に準じて七〇
パーセントを乗じた約五億六〇〇〇万円と算定できる。一方、控訴人会社は、昭和
五四年六月期の確定申告において開発費として五億一一三三万二五七二円(以下
「本件開発費」という。)を計上している(これは本件土地の更地価額の約六四パ
ーセント相当額であり、右比率は前記大阪国税局長が定めた借地権割合に近似して
いる。)が、受贈益等ないし本件借地権の取得価額を計上していない。そして、本
件開発費は、本件土地の立退料等本来本件土地の賃貸人である控訴人Aが本件土地
を控訴人会社に賃貸させるために支払うべきものを控訴人会社が支払ったものとし
て計上したものである。したがって、控訴人会社は本件借地権を本件開発費の額を
もって取得したものというべきであり、本件借地権はその設定時において同額の経
済的価値があった。
(2) 控訴人会社の主張
控訴人会社は、本件借地権の設定に際し、何ら本件借地権取得の対価を支払ってお
らず(本件開発費は本件借地権取得の対価ではない。)、本件借地権を無償で取得
した。さらに、控訴人会社は控訴人Aとの間で本件土地の明渡しに際し何らの対価
も請求できない約束(無償返還の合意、甲五六の七条。
)をしていたから、本件借地権の価格は零円であり、課税すべき経済的価値は存在
しない。
(三) 本件借地権の譲渡に伴う収益の額はいくらか。
(1) 被控訴人の主張
前記三1(二)(二1(三)(四))で主張したとおり、右収益の額は、本件土地
の譲渡価額「二億四二二一万七九四四円に相続税財産評価に関する基本通達により
大阪国税局長が定めた借地権割合に準じて七〇パーセントを乗じた九億三九五五万
二五六一円というべきである。なお、右借地権割合は、控訴人Aと控訴人会社との
間で合意された本件借地権割合でもある。
(2) 控訴人会社の主張
右収益の額は、前記(二)(2)で主張したとおり零円で、課税すべき経済的価値
は存在しないが、そうでないとしても、右通達に基づく更地価額の七〇パーセント
とすることには合理性はなく、適正な鑑定評価額である七億四八〇〇万円と評価す
べきである。
(四) 本件借地権の譲渡原価はいくらか。
(1) 被控訴人の主張
右(二)(1)で主張したとおり、本件開発費の額と同額の五億一一三三万二五七
二円が本件借地権の譲渡原価である。
なお、控訴人会社は本件借地権を控訴人Aから有償で取得しており、かつ「不当に
低い価額」(前記基本通達参照)でないので、控訴人会社につき受贈益等発生の余
地はない。
(2) 控訴人会社の主張
右(二)(2)で主張したとおり、控訴人会社は本件借地権を無償で取得したが、
この場合、控訴人会社には本件借地権相当額が受贈益として発生し、右相当額は本
件借地権の取得の対価となる。すなわち、控訴人会社の昭和五二年七月二一日から
昭和五三年六月三〇日までの事業年度(以下「昭和五三年六月期」という。)にお
いて、被控訴人は控訴人会社の右受贈益である本件借地権の取得につき認定課税を
しなかったから、控訴人会社については本件借地権相当額に対応する納税に関して
いわゆる「時効利益」が発生し、これが借地権取得の対価(譲渡原価)として控除
されるべきである。
したがって、本件借地権の譲渡に伴う収益があったとされた場合、右収益の額と同
額の九億三九五五万二五六一円が本件借地権の譲渡原価となるというべきであり、
そうでないとしても、本件借地権を設定した昭和五二年ないし昭和五三年ころの本
件土地の更地価額八億円に大阪国税局長の定めた前記借地権割合七〇パーセントを
乗じた五億六〇〇〇万円(右額は被控訴人の主張と同額である。)が本件借地権の
譲渡原価というべきである。
6 被控訴人の控訴人会社に対する更正処分等の信義則違反の有無。
控訴人会社は、被控訴人の部下職員は、控訴人会社の修正申告に際し、全日本同和
会のCとの間で、各賃借人に対する本件敷金・保証金の返還債務を本件土地建物の
譲渡価額に含ませるかわりに、本件貸倒金を損金として認容するとの合意を受け
て、控訴人会社が本件修正申告をなしたのに、被控訴人が右合意に反し、本件貸倒
金の損金算入を否認し、本件敷金・保証金の額を本件土地建物の譲渡価額に含ませ
てなした控訴人会社に対する更正処分等は信義則に著しく違反し、違法であると主
張する。
第三 当裁判所の判断
一 争点1について
当裁判所も、控訴人会社の本件事業年度の法人税に係る更正の請求に対する更正す
べき理由がない旨の通知の取消しを求める訴えは、不適法であると判断する。その
理由は、原判決一五枚目表一行目から同枚目裏三行目まで(一 争点1について)
に記載のとおりであるから、これを引用する。
二 争点2について
1 証拠(甲五一、八二、八五、一一一の一、二、乙三、四の一ないし七、当審に
おける控訴人A本人(以下、当審における控訴人A本人に甲五一を加えて「控訴人
Aの供述」として表記する。))及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ
る。
(一) 本件売買契約締結後の、控訴人Aの昭和五七年分の所得税確定申告期間が
迫っていた昭和五八年二月中旬ころ、控訴人Aは、顧問税理士であったDの要望で
D税理士事務所でD税理士の顧問税理士Eに会ったところ、E税理士から、本件売
買契約について、「本件敷金・保証金相当額の七億八〇〇〇万円は利益だから、約
四億円くらい納税すべきだ。」と言われた。そこで、このような多額の納税が発生
することに驚いた控訴人Aは、前に本件売買契約締結の際に紹介を受けていたFに
連絡したところ、FからG(名刺の肩書は全日本同和会大阪府連合会a支部・理事
長・b支所顧問とC(名刺の肩書は全日本同和会大阪府連合会理事・全日本同和会
大阪府連合会a支部支部長)を紹介された。右両名は、控訴人Aに対して「我々の
団体は実情を当局に訴え超法規的ないし政治力で仕事をしている。税法は税法だ
が、具体的なケースによって是々非々で正して行けるものである。」等申し向けた
ため、控訴人Aは同人らに昭和五七年分の所得税確定申告を委任することにし、昭
和五八年三月一一日に右両名の関与で同確定申告がなされた。そして、控訴人Aは
Fら三名に対して、同日及び翌一二日に各五〇〇万円ずつを謝礼として支払った。
(二) 同年八月三〇日に控訴人会社の本件事業年度の法人税確定申告が提出され
た。右確定申告書の税理士署名押印欄には、当初、D税理士の氏名及び電話番号が
スタンプ判で押捺されていたが、これが朱抹され、その横に全日本同和会大阪府連
合会a支部の名称及び住所電話番号がスタンプ判で押捺され、その横にCの印章が
押捺されていた。そして、控訴人Aは、同日にFに対して一〇〇〇万円を支払っ
た。
(三) 同年一〇月ころ、控訴人会社の右確定申告を検討していた被控訴人の部下
職員は、本件売買契約の内容の確認のために、右確定申告書に印章を押印していた
Cに連絡したところ、Cは、同月二六日に被控訴人の部下職員のところへ本件売買
契約の売買契約書等を持参した。そこで、被控訴人の部下職員が右売買契約書を検
討した結果、Cに対して本件売買契約上の買主が引継ぐ本件敷金・保証金約七億八
〇〇〇万円全額が売買価格に含まれることになる旨説明した。そこで、Cは、控訴
人Aに対して、「このままだと大変なことになる。今のうちなら尼崎税務署と話合
いができているので、七億八〇〇〇万円余りを売買代金に計上する代わりに貸倒損
金を作って同時に申告すれば必ず通る。」などと申し向けた。しかし、控訴人A
は、直ちにCの右要請に応じず、税務署の見解を確認するため、同年一二月二〇日
午後にD税理士と共に尼崎税務署を訪れ、その際、被控訴人の部下職員から直接本
件敷金・保証金約七億八〇〇〇万円全額が本件売買契約の売買価格に算入されると
の説明を受けたが、これに対して控訴人Aは、被控訴人の部下職員に対して、控訴
人会社の事業が二〇年間であり、そのうち三年間事業を行ったから二〇分の三の金
額なら納得できる旨を述べた。
さらに、同日の夕方には、F、C、Gが控訴人A宅を訪れ、控訴人Aに対して控訴
人会社につき修正申告の必要があり、そのため、先述のように貸倒損金をひねり出
さねばならないが、自分で相応貸倒損金の書類を作るよう指示したため、控訴人A
は、やもなくCの指示に合わせて控訴人会社が合計四億四〇〇〇万円の貸付をした
旨架空の金銭消費貸借契約証書、借用証書等を作成してこれをCに提出し、翌二一
日、Fらに謝礼三〇〇〇万円を支払った。
(四) その後、Cは、控訴人Aから受領した右借用証書等を被控訴人の部下職員
のところへ持参し、被控訴人の部下職員に本件敷金・保証金を本件売買契約の売買
価格に含める一方、損失として右貸倒損金を加えた修正申告書の書き方を尋ねたた
め、被控訴人の部下職員は、Cの右申出に沿ってこれを代筆した。同月二六日、C
及び控訴人会社の社印及び代表者印を携帯した控訴人Aは、修正申告のために尼崎
税務署に出頭した。そこで、控訴人Aは、老眼のため控訴人会社の捺印を被控訴人
の部下職員に委ねたため、被控訴人の部下職員は、控訴人Aに代わってその目前で
控訴人会社の社印及び代表者印を押捺し、もって控訴人会社の修正申告書が作成さ
れ、被控訴人に提出された。その際、被控訴人の部下職員であるH統括官は、控訴
人Aに対して右修正申告の内容について説明した。
(五) 控訴人Aは、Cらに昭和五九年一月九日、同月一八日に各一〇〇〇万円、
同月二〇日に五〇〇万円を支払った。
2 そこで、判断するに、控訴人Aは、控訴人会社の本件事業年度の法人税修正申
告書は、控訴人Aが尼崎税務署に行った際に既に被控訴人の部下職員によって作成
されていたものであり、その修正申告書への押印も被控訴人の部下職員によって勝
手になされたものであって、右修正申告は控訴人Aの真意に基づかないものである
旨供述するが、右認定のとおり、被控訴人Aは、自己の昭和五七年の所得税確定申
告をする前から、D税理士やE税理士から本件敷金・保証金全額が本件売買契約の
売買価格となる旨の説明を受けていたこと、控訴人AがFやCに税務申告を相談す
ることになったのは、右売買価格が増大し、その分が全額利益になることを何とか
避けようとするためであったこと、そのために控訴人Aは単なる税務相談としては
不相応な多額の金員を謝礼等としてFないしCに支払っており、実際にCらは控訴
人Aないし控訴人会社の税務申告のため有利に行動していること、また、控訴人A
は、昭和五八年一二月二〇日にも尼崎税務署を訪れ、そこで被控訴人の部下職員か
ら直接本件敷金・保証金が本件売買契約の売買価格に算入されるとの説明を受けて
いたこと、本件貸倒金があるようにみせかけるための借用証書等も結局控訴人Aが
作成したものであること、控訴人会社の修正申告書の作成者が被控訴人の部下職員
であることは事実であるが、これはCの持参した本件貸倒金の裏付けとなる借用証
書等に基づき、Cから修正申告書の書き方を尋ねられた被控訴人の部下職員がCの
言い分に沿ってこれを代筆したものであること、控訴人会社の右修正申告書提出の
際にも、控訴人AはCとともに実際に尼崎税務署を訪れ、そこでH統括官から右修
正申告の内容についての説明を受けていること、控訴人会社の代表者印及び社印を
被控訴人の部下職員が押捺したことは事実であるが、それは控訴人Aの依頼によ
り、その目前でされたものであること、以上の諸点を総合すれば、控訴人Aは、控
訴人会社の右修正申告の際に、本件敷金・保証金を本件売買契約の売買価格に加え
る一方、本件貸倒金を損金として計上するものであることを十分認識していたと認
められるから、控訴人会社の右修正申告は控訴人Aの真意によりなされたものとい
うべきである。
三 争点3について
控訴人会社は、本件事業年度の修正申告において、本件貸倒金二億九〇〇〇万円を
減算して所得金額を計算している(原判決添付別紙3参照)が、証拠(乙一、五な
いし八、一一、一八、二三、二四)及び弁論の全趣旨によれば、控訴人会社は、控
訴人会社が設立された昭和五二年七月二一日以降、各事業年度において、貸倒れの
対象となるべき債権を、債権として計上したことはなく、かつ、貸倒れとして損金
処理したことも債務の免除をしたこともなかったことが認められるから、本件貸倒
金を損金として減算して右所得金額を計上することはできない。
したがって、被控訴人が控訴人会社に対する更正処分において本件貸倒金を損金と
して計上しなかったことは、適法な措置であるというべきである。
四 争点4について
争点4に関する当裁判所の認定判断は、次のとおり付加、訂正及び削除するほか、
原判決一六枚目表七行目から同二三枚目表九行目まで(三 争点2の(一)につい
て)に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一六枚目表六行目の「証拠」を「後記各括弧内の証拠及び弁論の全趣
旨」と、同一七枚目表七行目の「一〇年の前後」を「契約日より一〇年の前か後
か」と改め、同一八枚目表三行目の「歩合賃料のみにつき、」を削除し、同行目の
「ともにない」を「の約定はない」と改め、同一〇行目冒頭の「番号」の次に「五
七」を加え、同枚目裏末行目の「次の」を「事業年度の翌」と、同一九枚目表五行
目の「が敷金・保証金」を「を本件敷金・保証金の」と、同六行目の「であり、し
たがって差引」を「と仕訳し、そのうち控訴人らに対する」と、同一〇行目の「返
済」を「返還」と、同末行目の「預託された」を「預託されていた」と、同枚目裏
一行目の「返済」を「返還」と改める。
2 同一九枚目裏三行目の「右の事実によれば」を「そこで検討するに、まず」
と、同行目の「売買契約」を「本件売買契約」と、同六行目の「定められており」
を「定められている(前記第二、二、1、(四)のとおり、当事者間に争いがな
い。)のであるから」と、同七行目の「敷金及び保証金」及び同一〇行目の「保証
金等」をいずれも「本件敷金・保証金」と、同末行目の「本件の譲渡」を「本件売
買契約が締結された事業年度」と、同二〇枚目表五行目の「本件土地建物」から同
七行目末尾までを「本件売買契約の当事者双方において、控訴人会社が各賃借人に
対する返還債務を免れ、ハヤマがその債務を引き継いで負担することなった本件敷
金・保証金七億八二二一万一七八四円は、正当な売買代金額と現実に授受される売
買代金額との差額(債務引受による代償金)であると認識していたものと推認する
ことができる。換言すると、本件売買契約書(乙三)には、本件土地建物の売買代
金額として一八億二六九三万八二一六円と記載されている(前記第二、二、1、
(二)のとおり、当事者間に争いがない。)ところ、右売買代金額及びハヤマに引
き継がれる本件敷金・保証金の返還債務の金額との合計額が丁度二六億〇九一五万
円となるものであることからすれば、右契約当事者間における正当な売買代金額は
右二六億〇九一五万円と認識され、本件売買契約書中に記載された売買代金額は、
これに見合うようわざわざ右合計額に万円未満の端数が生じないように策定された
ものと推認することができる。」と、同末行目の「収益である」を「収益の基礎と
なる」と改め、同枚目裏二行目の「重視」の次に「して算定」を加える。
3 同二〇枚目裏六行目、一〇行目の「敷金・保証金」及び同八行目の「本件の敷
金・保証金」をいずれも「本件敷金・保証金」と、同二一枚目表一行目の「敷金・
保証金」を「本件敷金・保証金の」と、同四行目の「返済」を「返還」と、同一〇
行目の「決定される以上、」を「左右されることは経済取引の通念上周知のところ
であって、今仮に」と、同枚目裏一行目の「額に対して、その都度、課税が行われ
たとしても、それは」を「額を基礎として課税することは、」と、同二行目の「当
然の」を「正当な」と、同行目の「課税ではない」を「ところはない」と改め、同
行目の「このことは」から同四行目末尾までを削除する。
4 同二一枚目裏六行目冒頭の「6」を「6(一)」と、同七行目の「参入」を
「算入」と改め、同九行目冒頭の「(一)」を削除し、同一〇行目の「敷金・保証
金」、同二二枚目表五行目の「敷金及び保証金」をいずれも「本件敷金・保証金」
と、同六行目の「を含む」から同八行目の「認識していた」を「全額の承継を前提
条件としたうえ、二六億〇九一五万円と合意したもの」と、同九行目冒頭の
「(二)」の次に「この点、」を加え、同行目の「敷金・保証金」、同枚目裏六行
目の「本件の敷金・保証金」をいずれも「本件敷金・保証金」と、同七行目の「あ
るとする」を「あるとも主張する」と、同二三枚目表一行目の「共に、」を「は共
に、前記のとおり」と、同二行目、同四行目及び同七行目の「敷金・保証金」をい
ずれも「本件敷金・保証金の」と改める。
五 争点5(一)について
1 証拠(甲五五、一〇一、乙二一、検乙二、当審証人I)及び弁論の全趣旨によ
れば、控訴人Aは、昭和五二年一二月八日にB所有土地につき控訴人Aを賃借人と
する賃借権設定仮登記手続を経由したが、右賃借権の内容は、同年七月二二日設定
契約、賃料一か月一万円、期間二〇年とし、譲渡及び転貸ができる旨の特約が定め
られていたこと、控訴人会社は、昭和五二年一一月八日、近隣住民との間で、地積
三二二平方メートルで一八〇台が収容できる自転車置場の設置を約束しているこ
と、昭和五三年一〇月ころ、BがB所有土地を他人に売却しようとしたところ、控
訴人会社が多額の和解金を支払ってB所有土地を確保したこと、B所有土地は、控
訴人A所有土地の東側に位置し、両土地の間には私道が介在しており、B所有土地
の一部も右私道の道路敷となっているうえ、B所有土地は本件建物の来客専用駐輪
場として使用されており、右駐輪場の設置が本件建物の建築許可条件になっていた
こと、が認められる。
2 乙第五一号証の一、二によれば、控訴人Aは、昭和五七年分の所得税の確定申
告書に添付した資料(以下「A添付資料」という。)において、本件土地建物の売
買価格から本件土地の更地価格を二億九四八六万六六六四円と割り振り、その額か
ら本件建物の借地分として二億〇六四〇万六六六四円を控除して、本件土地の底地
の価格を八八四五万九九九一円としたうえ、これを控訴人A所有土地とB所有土地
との面積比で按分して、それぞれの土地の価格を算出していることが認められる。
3 そこで判断するに、B所有土地は、これに駐輪場を設置することが本件建物の
建築許可条件となるとともに、近隣住民との約束によって本件建物の完成後は来客
専用駐輪場として利用されてきたものであって、その位置からしても本件建物の敷
地部分と一体となっていたものであること、B所有土地は、控訴人Aに賃貸され、
これが控訴人会社に賃借権譲渡ないし転貸されたものと推認できること、さらに、
控訴人Aにおいても本件借地権がB所有土地にも及ぶものと認識していたこと、以
上の諸点からすれば、本件借地権の範囲は、B所有土地を含もものであったと認め
るのが相当である。
六 争点5(二)について
1 (一) 甲第五六号証(控訴人会社と控訴人Aとの昭和五二年七月二一日付け
土地賃貸借契約書、以下「本件賃貸借契約書」という。)及び弁論の全趣旨によれ
ば、控訴人会社は、本件土地の借地に際し賃貸人控訴人A及びBに対して本件借地
権取得の対価としての権利金その他の金員を支払っていないこと、本件賃貸借契約
書七条には、「移転料等の不請求」との標題のもとに、「賃借人(控訴人会社)
は、本件土地の明渡しに際し、賃貸人に対し、移転料その他これに類する金銭上の
請求をしないものとします。」と定められていたこと、控訴人会社が控訴人Aに支
払う賃料は一か月一二六万八五〇〇円(年額一五二二万二〇〇〇円となる。)であ
ったこと、以上の事実が認められる。
(二) 弁論の全趣旨によれば、昭和五五年直法二-一五により新設された法人税
基本通達一三-一-七において、賃貸借の当事者間に借地権の無償返還の合意があ
る場合には、その旨を所轄税務署長に届け出ることができるようになり(経過措置
によりそれ以前の借地権の設定についても同様)、同通達一三-一-一四によれ
ば、右届出をすることによって、借地権を通常収受すべき対価によらずに譲渡又は
返還した場合に課税上の優遇措置が受けられることになったこと、しかし、控訴人
らは右届出をしていなかったことが認められる。
2 控訴人会社は、(1)昭和五三年六月期の確定申告(乙二三)において本件借
地権の取得価額ないし受贈益を計上していないこと、(2)昭和五四年六月期の確
定申告(乙五)において、開発費として、本件開発費である五億一一三三万二五七
二円を繰延資産として計上したうえ、右事業年度の期間(当期)における本件開発
費の償却額二〇二万九〇九八円を控除した残額である五億〇九三〇万三四七四円を
(次期)開発費として計上しているが、本件借地権の取得価額ないし受贈益は計上
していないこと、(3)昭和五六年七月一日から昭和五七年六月三〇日までの事業
年度(以下「昭和五七年六月期」という。)の確定申告書(乙六)に添付の貸借対
照表の資産の部には、本件建物一〇億三八二七万五四三四円、建物附属設備二一〇
一万六三七二円、当期の減価償却後の(次期)開発費として四億七二七七万九七四
六円を計上していること、(4)本件事業年度の確定申告書(乙八)添付の貸借対
照表には(次期)開発費を計上しておらず、また、同確定申告書の「土地の譲渡に
係る譲渡利益金額に対する税額の計算に関する明細書」及びその付属メモにおい
て、本件建物、什器備品、建物附属設備の各譲渡価額のほか開発費四億七二七七万
九七四六円(昭和五七年六月期における減価償却後の開発費残額)及び借地権二八
三二万五二一八円を譲渡価額に加算して記載し、結局、借地権付建物の譲渡価額を
右の合計一七億三八四七万八二二五円(売買総額一八億二六九三万八二一六円から
控訴人A及びBの本件土地代金分として八八四五万九九九一円を控除した額)と記
載するとともに、これより本件建物の譲渡原価として右開発費四億七二七七万九七
四六円(全額)を含めた一六億六一七八万八五六〇円を控除した残額七六六八万九
六六五円を売却益として計上していること、が認められる。
3 一方、控訴人Aは、前掲A添付資料(乙五一〇二)において、本件土地建物の
譲渡における本件土地の譲渡価額として八八四五万九九九一円を算定するに際し、
本件売買契約の売買代金のうち、本件建物の譲渡価額を一五億三二〇七万一五五二
円とし(この金額は、控訴人会社の前記1の昭和五七年六月期の貸借対照表におけ
る建物一〇億三八二七万五四三四円、建物付属設備二一〇一万六三七二円及び(次
期)開発費四億七二七七万九七四六円の合計額を意味するものと認められる。)、
本件土地(更地)価格をその差額二億九四八六万六六六四円としたうえ、そのう
ち、控訴人会社の借地分を二億〇六四〇万六六六四円へ右価格の七〇パーセント)
とし、これを控除した残額をもって本件土地の譲渡価額としていること、が認めら
れる。
4 以上認定のとおり、控訴人らが法人税基本通達の改正により借地権の無償返還
の合意があった旨を所轄税務署長に対して届け出ることができるようになった後
も、その届出をしていないこと、控訴人会社が昭和五四年六月期において本件借地
権の取得価額ないし受贈益を計上せずに本件開発費を計上していること、一方、控
訴人会社が本件事業年度の法人税確定申告において、自ら本件借地権の譲渡があっ
た旨を申告していること、さらに右確定申告において減価償却後の本件開発費を本
件建物の譲渡価額中に加算計上し、かつ、その譲渡原価として加算計上している
(ただし、繰延資産である開発費を本件建物の譲渡価額及び譲渡原価に含ませるこ
と自体不自然である。)こと、控訴人Aの昭和五七年分の所得税確定申告において
も、控訴人会社が減価償却後の本件開発費を控訴人会社の本件建物の譲渡価額に含
め、かつ、控訴人会社に本件借地権の譲渡があったものとして記載していること、
以上の諸点を総合すれば、控訴人会社は、本件借地権を無償で取得したものではな
く、本件開発費を繰延資産に計上することにより、その全部又は一部を本件借地権
取得の対価であると確定し、その旨の会計処理をしていたものと推認することがで
きる(この推認が妥当なものであるかどうかは更に検討する。)。
なお、弁論の全趣旨によれば、本件賃貸借契約書は、権利金の授受のない場合の市
販の契約書であると認められるところ、このことからすれば、前記本件賃貸借契約
書の七条の定めは、権利金の授受のない場合の一般的な条項として定型的に記載さ
れたものにすぎないというべきであり、前記のとおり、所轄税務署長に対して無償
返還の合意を届け出ていないこと及び控訴人会社の右会計処理の態様からみて、右
七条の定めをもって直ちに本件借地権の無償返還の合意があったものと認めること
はできない。
5 そこで、進んで本件開発費の内訳中に本件借地権取得の対価となるべきものが
存在するかどうか、存在した場合の額はいくらかを検討する。
(一) 当審証人Iの証言によれば、控訴人会社は、昭和五四年六月期の法人税確
定申告において、税理士と相談して、本件建物の建築をする際にそれに関連してか
かった費用と評価できるものを纏めて本件開発費として計上したことが認められ
る。したがって、控訴人会社が右確定申告において本件開発費の内訳として提出し
た甲第八六ないし九〇号証及び第九二ないし一〇七号証(各枝番を含む。)を検討
することにより、控訴人会社が計上した本件開発費及び本件借地権取得の対価の額
と両者の関連を明確にすることができる。
(二) まず、右内訳の個別的な内容を検討する。
(1) 尼崎商店連盟・大型店対策委員会委員長塩崎博に対する支払額二八〇〇万
円(甲八六の一、二)について
右支払は、地元商店街への振興資金であり、控訴人会社の事業運営のための費用
(開発費)と認められ、本件借地権取得の対価とは認められない。被控訴人は、右
振興資金は、交際費に該当する旨主張するが、控訴人会社は、昭和五四年六月期の
法人税確定申告においてこれを交際費として計上していない(乙第五号証によれ
ば、交際接待費として二〇六万円余りが計上されているのみである。)のであるか
ら、控訴人会社がこれを開発費として計上したこと自体は是認できる。
(2) 株式会社日企に対する支払額一億一三五〇万五七五五円(甲八七の二ない
し八、九二ないし九四)について
弁論の全趣旨によれば、株式会社日企は、大規模小売店舗の開発・営業開始に関連
する市場調査・地元調査・企画・対市交渉等を業とする者であることが認められ、
かつ、右支払は株式会社日企の右業務に関するものであると推認でき、そうする
と、右支払は、全て控訴人会社の事業運営のための費用(開発費)と認められ、本
件借地権取得の対価とは認められない。
しかし、甲第八七号証の四の領収証の但書に「園田、PASEO、建設推進一部
金」と、同号証の六の領収証の但書に「園田、藤田ビル建設に伴う企画、設計、統
轄監理の内金」、同号証の七の領収証の但書に「パセオB-工事費」、同号証の八
の但書に「PASEO建設、内金」と記載されており(右合計金額は四四一七万四
〇〇〇円)、株式会社日企の請け負った仕事が単に右掲記の業務だけではなかった
と推測されること及び本件建物の建築を請け負った清水建設株式会社は、同工事代
金として控訴人会社に対して一一億四一五六万五〇〇〇円を請求し(甲九〇の
一)、このうち控訴人会社は九八〇〇万円を後記のとおり本件開発費として計上し
ているから、その残額一〇億四三五六万五〇〇〇円が本件建物の取得価額になるべ
きところ、控訴人会社の昭和五四年六月期の法人税確定申告中の「定率法による減
価償却資産の償却額の計算に関する明細書」(乙四八)において、本件建物の取得
価額として一〇億八六一六万七四五三円を計上していることからすると、控訴人会
社が株式会社日企に支払った金額のうち、清水建設株式会社の請求額に基づく本件
建物の取得価額と控訴人会社の計上した本件建物の取得価額の差額である四二六〇
万二四五三円は、本件建物の取得価額として計上されたものと推認でき、同額は、
本件開発費として計上した額の一部とは認められない。
また、甲第九二ない第九四号証は、昭和五五年四月四日付け一一九八万四三〇〇円
(甲九二)、同月八日付け五〇〇万円(甲九三)、同月一九日付け二五〇〇万円
(甲九四)の各領収証であるが、その支払時期からして右合計四一九八万四三〇〇
円は本件開発費として計上した額の一部とは認められない。
したがって、株式会社日企に対する支払のうち、本件開発費として否認される右合
計八四五八万六七五三円を控除した残額である二八九一万九〇〇二円が控訴人会社
の計上し得る本件開発費であると認められる。
(3) 株式会社高木建設に対する支払額一億七四七二万一一九四円(甲八八の一
ないし九)について
右甲号各証及び乙第二九号証並びに弁論の全趣旨によれば、右支払は、株式会社高
木建設が控訴人Aから請け負った本件土地上に存在する控訴人A所有の旧建物の取
り壊し費用、本件土地の前面道路予定地を所有する地主との交渉費用及び右地主に
対する立ち退きの承諾料並びに本件道路予定地内にある建物を取り壊し費用及びそ
の代替建物の建築費用であることが認められる。このうち、控訴人A所有の旧建物
の取り壊し費用は本件土地の賃貸人控訴人Aが負担すべきものであることは明らか
である。また、本件土地の前面道路予定地は、本件建物の建築確認を受ける際に建
築基準法四二条一項二号の道路となるべきものであったもの(乙四七、当審証人
I)であり、本件土地の賃貸人である控訴人A及びBは、控訴人会社が本件土地を
使用収益できるようにする債務を負担しているものであるから、右道路予定地を整
備して本件土地上に控訴人会社が本件建物を建築することができるようにすること
は、控訴人Aらが本件土地の賃貸人として負担すべき義務であって、本件前面道路
予定地の確保のための費用は、控訴人Aらの負担すべき費用であるというべきであ
る。したがって、控訴人会社の右支払は、控訴人Aらに代わってなしたものであ
り、その分、控訴人Aが利益を得たものであって、控訴人会社が本件開発費として
計上した右金額全額が控訴人会社の本件借地権取得の対価になるというべきもので
ある。
(4) 清水建設株式会社に対する支払額九八〇〇万円(甲八九、九〇の一、三)
について
甲第八九号証及び弁論の全趣旨によれば、右支払は、清水建設株式会社が控訴人A
から請け負った本件土地の前面道路予定地の道路工事、排水工事、水路改修工事、
公園工事と控訴人会社が設置する自転車置場工事及びこれに伴う仮設工事の各工事
代金並びに諸経費であることが認められる。前記のとおり、本件土地の前面道路予
定地の整備は、本件土地を有効利用できるため必要なものであるから、右道路工
事、排水工事、水路改修工事、公園工事に相当する費用は、本件土地の賃貸人であ
る控訴人Aらが負担すべきものというべきである。そして、右四種類の工事の費用
相当額は、全工事代金九八一一万一六五〇円から端数調整及び値引額を控除した請
求額九八〇〇万円を基本とし、右端数調整及び値引額合計一一万一六五〇円を全工
事に按分して控除し、更に仮設工事費二四一万七二四七円及び諸経費六四一万二六
九一円の合計八八二万九九三八円を全工事に按分すると、別表のとおり、右四種類
の工事の合計額は九五六〇万五二〇七円となる。よって、控訴人会社の右金額の支
払は、控訴人Aらに代わってなしたものであり、その分、控訴人Aが利益を得たも
のであって、控訴人会社が本件開発費として計上したもののうち右九五六〇万五二
〇七円が控訴人会社の本件借地権取得の対価となり、したがって、清水建設株式会
社に対する支払のうち、右金額を控除した残額(すなわち自転車置場工事費)の二
三九万四七九三円が本件開発費として是認できる金額である。
(5) 株式会社浩輝に対する支払額三〇〇〇万円(甲九五、九六)について
右支払の内訳は不明であるが、右甲号各証によれば、右支払は、昭和五四年五月二
二日と同月三一日に各一五〇〇万円宛なされており、その支払時期及び弁論の全趣
旨によれば、控訴人会社が本件建物での営業をするために要した費用(開発費)で
あると推認でき、本件借地権取得の対価とは認められない。
(6) 株式会社日展エージェンシーに対する支払額二四五一万一二一八円(甲九
七ないし一〇〇)について
右甲号各証によれば、右支払は、本件建物のオープンに際しての新聞広告、粗品、
各種イベントに対する費用であると認められるから、控訴人会社の事業運営のため
の費用(開発費)であり、本件借地権取得の対価とは認められない。被控訴人は、
これら費用は広告宣伝費であると主張するが、控訴人会社が昭和五四年六月期の法
人税確定申告に際して右費用を広告宣伝費として計上していない(乙第五号証によ
れば、広告宣伝費は二万五二二〇円のみ計上している。)から、これ開発費として
計上したこと自体は是認できる。
(7) 付近住民に対する支払額四〇〇万円(甲一〇三ないし一〇七)について
右甲号各証及び甲第一〇一、第一〇二号証によれば、右支払は、本件建物建築に伴
う騒音等による付近住民に対する補償金であると認められるから、控訴人会社の負
担すべき費用(開発費)と認められ、本件借地権取得の対価とは認められない。
(8) 控訴人会社は、隣接地の地上建物の解体費四九〇万円、東方の商業者六名
に支払った補償費四〇〇万円、パセオの西北の住民に対する迷惑料六〇万円、電波
障害補償費約七〇〇万円が本件開発費の内訳であると主張するが、いずれもこれを
確認できる立証がない。
(三) 以上のとおり、控訴人会社が本件開発費の内訳であると主張する四億八九
二三万八一六七円のうち、開発費として是認できる額は一億一七八二万五〇一三円
であり、また、本件借地権取得の対価と認められる額は、二億七〇三二万六四〇一
円である。したがって、右検討の段階では、本件開発費に計上された五億一一三三
万二五七二円のうち右両者を控除した残額一億二三一八万一一五八円は、不明金と
なる。
(四) そこで、更に右不明金の内訳について検討する。
(1) 証拠(甲六二ないし七七、七九、八〇、乙二七、四九、当審証人I)及び
弁論の全趣旨によれば、控訴人Aは、かねて控訴人A所有土地においてアパート等
を築造して不動産賃貸業を営んでいたが、アパートが老朽化し始めていた昭和五一
年ころ、株式会社日企の杉山某から阪急園田駅前においてショッピングビルの建築
計画を持ちかけられたため、同計画の検討を開始したこと、控訴人Aは、昭和五一
年から昭和五三年にかけて、アパートの賃借人に対する立退料を支払い、また、借
地人からその所有建物を買い受けるなどして、控訴人A所有土地上で本件建物を建
築する準備を整えたこと、控訴人Aが立退料として出損した右金額(ただし、その
一部は控訴人会社が出損した可能性もある。)は合計八一九五万円余りであったこ
と、が認められる。
(2) 証拠(乙四四、四五)によれば、控訴人会社の預金口座から控訴人Aの預
金口座に、昭和五三年一月三〇日に四〇〇万円、同年二月二一日に三〇〇万円、同
年三月三一日に三〇〇万円、同年四月四日に一〇〇〇万円、同年六月五日に三五〇
万円、同月三〇日に一〇〇〇万円の合計三三五〇万円が入金されていることが認め
られる。
(3) そこで、判断するに、前記2ないし4で認定判断した事実及び右(1)、
(2)で認定の事実によれば、控訴人会社が本件開発費の内訳であると主張した金
額のうち右(三)で認定した不明金は、控訴人Aが出捐すべき本件土地の立退料等
を控訴人会社が負担することにして、控訴人会社が控訴人Aないし借家人若しくは
借地人に支払った額及び本件借地権評価の相当額と推認すべく、本件借地権取得の
対価と認めるが相当である。
(五) そうすると、本件借地権取得の対価は、前記(二)、(三)で認定した二
億七〇三二万六四〇一円に右(四)の一億二三一八万一一五八円を加えた合計三億
九三五〇万七五五九円であったと認められる。
したがって、本件借地権は、その設定時において有償で控訴人会社が取得したもの
であり、課税すべき経済的価値があったものというべきである。
七 争点5(三)、(四)について
1 本件土地建物の譲渡価額の按分について
前記のとおり、本件土地建物の正当な譲渡価額は二六億〇九一五万円であるとこ
ろ、控訴人らは、本件土地建物の譲渡価額を一八億二六九三万八二一六円であると
して、これを前提として物件毎、売主毎に右譲渡価額を割り振ってそれぞれの確定
申告をしたため、右正当な譲渡価額に基づく物件毎、売主毎の割り振りはない。そ
こで、被控訴人は、控訴人らに対する更正処分に際し、前記(原判決「事実及び理
由」第二の三1(二)の(2)ないし(5))のとおり、本件土地及び本件建物の
譲渡時における客観的な価額を求め、その割合を実際の本件土地建物の右譲渡価額
に按分して本件土地及び本件建物に付すべき譲渡価額を算定したが、右算定方法に
は合理性があると認められるところ、乙第一、第一七号証によれば、右算定方法に
よる本件土地(更地)の譲渡価額は一三億四二二一万七九四四円、本件建物の譲渡
価額は一二億六六九三万二〇五六円となることが認められる(なお、甲第一一〇号
証によっても右価額の算定が是認できる。)。
2 本件借地権の譲渡価額について
(一) 本件借地権設定時において、本件土地の更地価格が約八億円(弁論の全趣
旨)であって、前記のとおり、控訴人会社が取得した本件借地権の対価が三億九三
五〇万七五五九円であり、本件土地の賃貸借契約時の賃料が一か月一二六万八五〇
〇円であったこと、一方、本件売買契約締結時において、被控訴人の算定した本件
土地の客観的な更地価額が一三億一一三七万一一三〇円(原判決「事実及び理由」
第二の三1(二)の(2)参照)であり、本件土地の賃料が右賃貸借契約時と同じ
一か月一二六万八五〇〇円(弁論の全趣旨)であったこと並びに弁論の全趣旨によ
れば、本件借地権設定時においては相当の地代(法人税法施行令一三七条)が収受
されていたものが、その後地代の改訂がなされなかったために本件土地の地価の上
昇に伴い底地の収益力(地代の対地価比率)が著しく低下していたものであり、そ
の結果、控訴人会社は、本件借地権譲渡時において、本件借地権をその本来(十
全)の価値をもって保有していたものと認められるから、本件借地権の譲渡価額
は、本件売買契約締結時の通常の本件借地権価格と同一であると認められる。
(二) ところで、一般に、借地権価格は、土地の更地価格に借地権割合を乗じて
算出すべきものであるが、右借地権割合は、当該土地の存在する地域、当該土地賃
貸借契約の態様、一般取引慣行として熟成している借地権割合等により変動するも
のであり、一走比率に固定されたものではない。そこで、右借地権割合の算定に当
たっては、当該土地の存在する地域において一般的に是認されている借地権割合を
基準とし、具体的には当該土地の賃貸人・賃借人の合意によって定められるべきも
のである。
そこで、これを本件についてみるに、前記のとおり、控訴人Aは、控訴人会社の本
件事業年度の法人税確定申告より前に、既に、本件土地の借地権割合を七〇パーセ
ントとして所得税の確定申告している(A添付資料)。一方、本件土地の存在する
地域について、相続税財産評価に関する基本通達により大阪国税局長が定めた借地
権割合は七〇パーセントである。これに、控訴人Aが控訴人会社の代表取締役であ
ったこと、控訴人Aが申告した本件土地の借地権割合が右大阪国税局長が定めた本
件土地の借地権割合に合致することをも勘案すると、控訴人Aの右確定申告までの
間に、控訴人Aと控訴人会社とは本件土地の借地権割合を七〇パーセントとするこ
とに合意したものと推認できる。これに対して控訴人会社は、前記のとおり、本件
事業年度の法人税確定申告では本件土地の借地権価格をわずか二八三二万五二一八
円と申告しているが、右価格は、本件土地の価格に照らして極めて低額であり、全
く恣意的で、根拠のないものというべきであって、前記推認を覆すに足りるもので
はない。したがって、本件土地の譲渡時における本件土地の借地権割合は、右合意
に基づく七〇パーセントと認めるのが相当である。
そうすると、前記本件土地(更地)の譲渡価額に右七〇パーセントを乗じた九億三
九五五万二五六一円が本件借地権の譲渡価額と認められ、同金額が本件借地権の収
益の額となる。
(三) ところで、控訴人会社は、まず、本件借地権価格は零円であり、課税され
るべき経済価値はないと主張するが(前記第二の六5(三)(2)、((二)
(2))参照)、前記のとおり右主張の前提となる事実を認めることができないか
ら、右主張は失当である。
次に、控訴人会社は、甲第一一〇号証(不動産鑑定評価書)に基づき、本件借地権
の譲渡価額は借地権割合を六四パーセントとし、かつ借家権を勘案して七億四八〇
〇万円と評価すべきであると主張する。しかし、右譲渡価額の算定について、本件
土地の借地権割合を六四パーセントと認定することは、前記認定の控訴人らの本件
土地の借地権割合の合意(この合意は本件土地周辺の借地権割合に照らして著しく
不合理なものとはいえない。)及びこれを前提とする控訴人Aの前記所得税確定申
告に反するものであって、到底採用することはできず、また、本件建物の借家権を
もって本件借地権価格の減額要素とする点については、前判示から明らかな如く、
本件売買契約は、本件建物の各賃借人において借家権があることを前提としてその
代金額が設定されたものである(すなわち各賃借人の借家人として享受すべき利益
はハヤマにおいて負担することになり、その分、控訴人会社は実質的売買代金の減
額を受けていることになる。)から、右各賃借人の借家権の価格を本件借地権の価
格から減額するのは相当ではない。よって、控訴人会社の右主張も採用できない。
3 本件借地権の譲渡原価(争点5(四))について
前記六5(五)認定の本件借地権取得の対価三億九三五〇万七五五九円が本件借地
権の譲渡原価となる。これに反する控訴人会社の主張は、前記のとおりその主張の
前提となる事実を認めることができず、採用できない。
八 争点6(信義則違反)について
控訴人Aが控訴人会社の修正申告をした経緯については、前記二1で認定のとおり
であるところ、控訴人Aの供述中には、Cと被控訴人の部下職員が本件敷金・保証
金の額を本件売買契約の売買価格に算入するかわりに、本件貸倒金を損金に算入す
ると合意したことにより、控訴人会社の修正申告がなされたものである旨の供述が
あるが、右供述は推測の域を出るものではなく、他に右合意があったことを認める
に足りる確証はない。もっとも、Cが昭和五八年一〇月ころに控訴人Aに「税務署
と話合いができている。」と言ったことが事実であるとしても、右発言は抽象的で
この一事をもって直ちに具体的な右合意があったことを推認することは困難であ
り、むしろ控訴人A自身、直ちにCの右発言に応じた行動をとることなく、最後ま
で本件敷金・保証金が本件売買契約の売買価格に算入されることに合点がいかず、
本件貸倒金の裏付けとなる借用証書等も直ぐには作成しなかったことに照らせば、
控訴人Aが、Cと被控訴人の部下職員との間に右合意があったものと信じていたこ
と自体疑問があるといわざるを得ない。
よって、右合意があったことを前提とする控訴人会社の信義則違反の主張は採用で
きない。
九 控訴人らに対する更正処分の内容の適法性
1 控訴人会社関係(原判決「事実及び理由」第二の三1(一)の(1)ないし
(8))について
(一) (1)について
(1) の修正申告所得金額が控訴人会社の修正申告書に記載された金額であるこ
とは当事者間に争いがない
(控訴人会社の修正申告は前記のとおり有効である。)。
(二) (2)の貸倒金損金不算入については前記認定判断のとおり認められる。
(三) (3)について
控訴人会社は、確定申告において本件建物及び本件借地権の譲渡について益金とし
て一七億三八四七万八二二五円を算入し(乙八)、修正申告において更に「売却
益」の額として七億八二二一万一七八四円を加算し(原判決添付別紙3「申告内容
等一覧表」参照)たので、その譲渡価額は二五億二〇六九万〇〇〇九円であると申
告したことになるところ、前記のとおり、本件建物及び本件借地権の譲渡価額は二
二億〇六四八万四六一七円であるから、その差額の三億一四二〇万五三九二円は、
譲渡益の過大申告となる。
(四) 右(1)ないし(3)により、(4)の所得金額及び(5)の所得金額に
対する法人税額が算出され、これらに違算はない。
(五) 右(6)について
前記のとおり、本件借地権譲渡による収益の額は九億三九五五万二五六一円であ
り、本件借地権の取得価額は三億九三五〇万七五五九円であるところ、措置法施行
令三八条の四第六項一号、二号に基づき土地等の譲渡に係る経費の額(負債の利子
額一億二一九八万七三四三円、販売費及び一般管理費の額八一三二万四八九五円)
を控除すると、課税土地譲渡利益金額は三億四二七三万二七六四円となる。
(六) 右(6)により算出される課税土地譲渡利益金額に対する法人税額が
(7)の額を超えるものであることは明らかである。
(七) よって、控訴人会社の本件事業年度の法人税額は(8)の法人税額を超え
るものであることが明らかである。
2 控訴人A関係(原判決「事実及び理由」第二の三2(一)の(1)ないし
(7))について
(一) (1)については当事者間に争いがない(原判決添付別紙2参照)。
(二) (3)について
本件土地(更地)の譲渡価額一三億四二二一万七九九四円から本件借地権価額九億
三九五五万二五六一円を控除した四億〇二六六万五三八三円が本件土地の譲渡価額
となるところ、これを控訴人A所有土地とB所有土地の土地の面積の割合によって
按分する(A添付資料によっても同様の按分を行っており、右按分方法は合理的で
ある。)と、控訴人Aの譲渡収入金額は三億七二五五万四三一九円(計算式は原判
決一二枚目裏九行目のとおり。)となる。
(三) (4)、(5)は、確定申告のとおり、控訴人Aにおいて明らかに争わな
いので、これを自白したものとみなし、(6)は昭和六二年法律第九六号による改
正前の租税特別措置法三一条三項により認められ、(3)ないし(6)により、
(2)の分離長期譲渡所得金額及び(7)の同所得金額に対する所得税額が算出さ
れ、これらに違算はない。
3 よって、被控訴人の控訴人らに対する更正処分はいずれも適法である。
第四 結論
以上のとおり、本件訴えのうち、控訴人会社に対する本件事業年度の法人税に係る
更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知の取消しを求める部分は不適法
であるからこれを却下し、その余の部分に関する控訴人らの本訴請求はいずれも理
由がないからこれらを棄却すべきところ、右と同旨の原判決は相当であるから、本
件控訴をいずれも棄却し、控訴費用は控訴人らの負担とし、主文のとおり判決す
る。
(裁判官 砂山一郎 下方元子 塚本伊平)

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