弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告及び附帯上告をいずれも棄却する。
     上告費用は上告人らの、附帯上告費用は附帯上告人の各負担とする。
         理    由
 上告代理人兼上告補助参加人代理人吉永多賀誠の上告理由第一点及び第二点につ
いて
 届出された夫婦養子縁組において、養子夫婦の一方が養親夫婦の一方より年長で
あることを理由に、民法七九三条、八〇五条の規定によつて養子縁組全部の取消し
の請求がされた場合には、年長の養子と年少の養親との間の縁組だけを取り消せば
足りるものと解するのが相当である。その理由とするところは、次のとおりである。
本来、養子縁組は、個人間の法律行為であつて、夫婦が共同して他の夫婦と養子縁
組をする場合にも、夫婦各自について各々別個の縁組行為があり、各当事者ごとに
それぞれ相手方との間に親子関係が成立するのである(最高裁昭和四七年(オ)第
二〇九号同四八年四月一二日第一小法廷判決・民集二七巻三号五〇〇頁参照)。と
ころで、民法七九五条本文は、配偶者のある者は、その配偶者とともにしなければ、
縁組をすることができないと定めているが、右のように縁組は本来夫婦各自につき
別個の法律行為であるのに、右規定が夫婦共同の縁組を要求しているのは、縁組に
より他人との間に新たな身分関係を創設することは夫婦相互の利益に影響を及ぼす
ものであるから、縁組にあたり夫婦の意思の一致を要求することが相当であるばか
りでなく、夫婦の共同生活ないし夫婦を含む家庭の平和を維持し、更には、養親、
養子となるべき者の福祉・利益を図るためにも、夫婦の双方についてひとしく相手
方との間に親子関係を成立させることが適当であるとの配慮に基づくものであり(
前記第一小法廷判決参照)、したがつて、夫婦の一方に縁組をする意思がなかつた
場合は、その縁組は、縁組の意思のある他方の配偶者についても原則として無効と
しなければならない。そして
、民法七九三条が年長者を養子とすることができないと定めるのは、身分上の秩序
を尊重する趣旨に出たものであり、養子夫婦の一方が養親夫婦の一方より年長であ
るような夫婦共同縁組がされた場合には、年長の養子と年少の養親との間の縁組だ
けを取り消し年長の関係にない養子と養親との間のその余の縁組はその存続を認め
たとしても、民法七九五条本文の規定の趣旨に反しないものと思われるからである。
このような場合に養子縁組全部を取り消すべきであるとした大審院の判例(大正一
一年(オ)第一一四六号同一二年七月七日民事連合部判決・民集二巻九号四三八頁、
法律新聞二一六三号六頁)は、これを変更すべきものである。
 本件において、原審が適法に確定したところによれば、D(明治一八年八月一四
日生まれ、昭和三〇年一二月二七日死亡)及びその妻E(明治二八年六月一日生ま
れ、昭和四九年三月一二日死亡)と被上告人B1(明治二四年一〇月一二日生まれ)
及びその妻同B2(明治三三年四月一日生まれ)とは、昭和一五年三月一九日、双
方合意の上、縁組をし、その届出が受理されたが、養子である被上告人博は、養母
であるEよりも年長であつたというのである。右事実関係のもとでは、Eの甥に当
たる上告人らが右養子縁組全部の取消しを求める請求につき、年長の養子である被
上告人博と年少の養親であるEとの縁組だけを取り消し、年長の関係にない養子と
養親との間のその余の縁組を有効としてその存続を認めた原審の判断は正当として
是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができな
い。
 同第三点について
 本件訴訟の経過に照らすと、原審が上告人らの申出にかかる証人の取調べをしな
かつたとしても、違法を来すものではなく、原判決に所論の違法はない。論旨は、
採用することができない。
 附帯上告代理人右本益一の附帯上告理由について
 原判決に所論の違法はなく、右違法を前提とする所論違憲の主張は、前提を欠く。
論旨は、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   本   一   夫
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    本   林       讓

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛