弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人尾崎陞、同鍜治利秀、同内藤雅義、同渡辺春己の上告理由第一点につ
いて
 支払銀行に対し手形の不渡異議申立手続を委託した手形債務者から異議申立提供
金に見合う資金として支払銀行に交付された異議申立預託金及び右申立提供金が、
特定の手形債権の支払を担保してその信用を維持する目的のもとに提供されるもの
でなく、支払拒絶事由の不存在が確定したときに手形債権者に対する支払に充てら
れるべきものとする趣旨を当然に含めて預託されるものでもないこと、したがつて、
手形債権者は、右提供金ないし預託金又はこれらの返還請求権について、自己の債
権の優先弁済に充てられるべきことを主張しうる地位を当然に有するものではない
から、支払銀行の手形債務者に対する預託金返還債務を手形債権者との関係で他の
一般債務と区別し、支払銀行が手形債務者に対して有する反対債権をもつて右預託
金返還債務と相殺することが、手形債権者との関係から制限されるものと解すべき
理由がないことは、当裁判所の累次の判例とするところである(最高裁昭和四三年
(オ)第七七八号同四五年六月一八日第一小法廷判決・民集二四巻六号五二七頁、
同昭和四五年(オ)第一二五号同四五年一〇月二三日第二小法廷判決・裁判集一〇
一号一五五頁等)。してみれば、原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上
告人は、本件預託金返還請求権の転付を受けた上告人からの支払請求に対し、被上
告人の訴外D株式会社に対して有する準消費貸借上の債権を自働債権とする相殺を
もつて対抗することができるものと解すべきであり、右相殺が所論の理由によつて
許されず、無効であるとか又は相殺権の濫用であるなどと解することはできないも
のといわなければならず(上告人が上告理由第二点において主張するところについ
ては後記の判断に譲る。)、これと同旨の原判決に所論の違法はない。また、右違
法のあることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、採用する
ことができない。
 同第二点について
 民訴法第七四八条、六〇九条に基づき第三債務者が執行機関としての仮差押裁判
所に対してする陳述が事実の報告たる性質を有するにすぎないものであり、右陳述
において、第三債務者が被差押債権の存在を認めて支払の意思を表明し、将来にお
いて相殺する意思がある旨を表明しなかつたとしても、これによつて債務の承認あ
るいは抗弁権の喪失というような実体上の効果を生ずることがなく、その後、第三
債務者において当該債権につき、これを受働債権として相殺に供すること又は時効
により消滅したこと等を主張することを妨げるものではないとの原審の判断は、正
当として是認することができる。したがつて、原審の確定した事実関係のもとにお
いて、被上告人がした相殺の意思表示が仮差押債権者である上告人との関係におい
て禁反言の法理により許されない旨の上告人の主張を排斥した原審の判断は正当で
あり、また、被上告人が右仮差押後直ちに債務者である訴外D株式会社に対する期
限の利益喪失約款に基づく権利行使をせず、自働債権として相殺に供した手形債権
にかかる手形について書換えをしたことが所論の相殺期待権を放棄したものという
ことはできないとした原審の判断もまた相当として是認することができ、原判決に
所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、
採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   本   重   頼
            裁判官    栗   本   一   夫
            裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    宮   崎   梧   一

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