弁護士法人ITJ法律事務所

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主文
原判決を破棄する。
被上告人の控訴を棄却する。
控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。
理由
上告代理人藤井俊彦、同大島崇志、同野崎彌純、同古谷和彦、同上野至、同高須要子、同
後藤博司、同福田泰三、同星野忠吉、同鈴木夏生、同伊藤繁の上告理由について
一原審の適法に確定したところによれば、被上告人は、昭和四七年四月一七日、名称を
「除草組成物」とする発明につき、特許出願をし(昭和四七年特許願第三八五六七号、昭和)
五四年一〇月一三日、本件出願について出願審査の請求をしたが、上告人は、本件出願審査
の請求が特許法四八条の三第一項所定の期間経過後にされたものであることを理由として不
受理処分にした、というのである。
被上告人は、特許法四八条の三第一項所定の期間の不遵守により将来発生すべき特許権
を得ることができなくなるという重大な損失を受けるから、右期間の不遵守について民訴法
一五九条一項を類推適用すべきであり、本件において被上告人に同項所定の責に帰すべから
ざる事由があると主張し、上告人に対し、本件不受理処分の取消を求めたところ、第一審は、
特許法四八条の三第一項所定の期間を遵守しなかつた場合について、民訴法一五九条一項を
類推適用する余地はないとし、本件出願は、右期間内に出願審査の請求がされていないから、
特許法四八条の三第四項の規定により取り下げられたものとみなされ、したがつて、本件訴
えは、本件不受理処分の取消を求めるにつき法律上の利益を欠くとして、これを却下した。
これに対し、原審は、特許法四八条の三第一項所定の期間も民訴法所定の不変期間と同
視して、これに民訴法一五九条一項の規定を準用すべきであるから、被上告人が右期間を遵
守することができなかつたことについて、その責に帰すべからざる事由があつたかどうかを
審理すべきであるとして、第一審判決を取り消したうえ、本件を第一審に差し戻した。
二しかしながら、原審の右判断は、到底是認することができない。その理由は、次のと
おりである。
特許法は、同法二四条、一四六条、一四七条三項、一五一条、一六九条二項、四項、一
七一条二項、一九〇条のように特別に規定する場合にのみ民訴法の規定を準用することにし
ている。また、特許法は、拒絶査定に対する審判の請求期間(一二一条一項、補正の却下決)
定に対する審判の請求期間(一二二条一項、再審の請求期間(一七三条)について、右各期)
間の不遵守の場合についての救済規定(右各条各二項)を設けているが、いずれの場合も、
特許に関する行政行為の効力をできるだけ早期に確定させて法律関係の安定を図るため、民
訴法一五九条一項の規定とは異なり、期間不遵守の理由がなくなつた日から一四日以内で、
かつ、その期間の経過後六月以内に限り当該請求をすることができることとし、それ以後は
事由の如何を問わず当該請求をすることができないものとしている。ところが、特許法四八
条の三第一項所定の期間については、特許法に民訴法一五九条一項の準用規定が設けられて
いないし、特許法に右期間の不遵守の場合についての救済規定もない。
また、民訴法一五九条一項にいう不変期間とは、法律により特に不変期間と定められた
ものをいうのであつて、民訴法一五九条一項により追完を許されるのは、右のような不変期
間に限ると解すべきである(最高裁昭和三二年(オ)第一二三六号同三三年一〇月一七日第
二小法廷判決・民集一二巻一四号三一六一頁。そして、特許法は、審決等に対する訴えの提)
起期間(一七八条四項)のように、不変期間とする場合を明文の規定をもつて定めていると
ころ、特許法四八条の三第一項所定の期間については、これを不変期間とする明文の規定を
設けていない。
そうすると、特許法の趣旨は、同法四八条の三第一項所定の期間の不遵守が出願人の責
に帰すべき事由によると否とを問わず、右期間経過後は出願の取下げを擬制することにより
(同条の三第四項、以後の手続を明確化し、特許法律関係の安定化を図るところにあると解)
すべきである。
特許法四八条の三第一項所定の期間を遵守しなかつた場以上みてきたところによれば、
合について、民訴法一五九条一項の規定を準用ないし類推適用する余地はないものというべ
これと異なる見解を採る原判決には、法令の解釈適用を誤つた違法があるものときである。
いうべきであり、その違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理
由があり、原判決は破棄を免れない。そして、被上告人は、本件出願につき、特許法四八条
の三第一項所定の期間内に出願審査の請求をしなかつたものであるから、本件出願は、同条
の三第四項の規定により取り下げられたものとみなされる。したがつて、本件訴えは、本件
不受理処分の取消を求めるにつき法律上の利益を欠くから、却下を免れない。これと結論を
同じくする第一審判決は正当であり、被上告人の控訴は、これを棄却すべきである。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条
に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官藤島昭
裁判官大橋進
裁判官牧圭次
裁判官島谷六郎
裁判官香川保一

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