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         主    文
1 原判決を次のとおり変更する。
第1審判決を次のとおり変更する。
(1) 松山地方裁判所宇和島支部が同庁平成10年(リ)第154号配当事件に
ついて,平成10年10月20日作成した配当表の「配当金」の欄のうち,被上告
人B1協会の配当額1460万6236円を1251万6721円に,同株式会社
B2銀行の配当額847万7835円を0円に,上告人の配当額342万6760
円を1399万4110円に変更する。
(2) 上告人の被上告人B1協会に対するその余の請求を棄却する。
2 訴訟の総費用は,被上告人らの負担とする。
        理    由
 上告代理人東俊一,同中川創太の上告受理申立て理由について
 1 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
 (1) 上告人は,訴外D(以下「D」という。)外2名との間の執行力ある和
解調書の正本に基づき,平成10年3月17日,松山地方裁判所宇和島支部におい
て,Dの訴外愛媛県に対する用地買収契約に基づく土地残代金342万9263円
(以下「甲債権」という。)の全額及び第1審判決別紙物件目録記載の建物(以下
「本件建物」という。)の補償残金3044万2003円(以下「乙債権」という。)
のうち1057万0737円について差押命令を得,同命令は,同月19日第三債
務者である愛媛県に,同月23日Dに,それぞれ送達され,同年4月17日確定し
た。
 次いで,上告人は,同年5月6日,差押えに係る甲債権の全額及び乙債権のうち
1057万0737円について転付命令を得,同命令は,同月7日愛媛県及びDに
それぞれ送達され,同月20日確定した。
 (2) 上告人が本件転付命令を取得した当時,本件建物には,訴外E株式会社
(以下「E」という。),被上告人B1協会(以下「被上告人B1協会」という。)
及び同株式会社B2銀行(以下「被上告人B2銀行」という。)が,この順位によ
る抵当権又は根抵当権を有し,その旨の登記を経ていた。
 Eは乙債権のうち735万7932円について,被上告人B1協会は乙債権のう
ち1460万6236円について,同B2銀行は乙債権のうち847万7835円
について,それぞれ抵当権ないし根抵当権に基づく物上代位権の行使として,平成
10年5月13日,松山地方裁判所宇和島支部において,差押命令を得,同命令は
いずれも,同月14日愛媛県に送達された。
(3) その後,愛媛県は,甲債権及び乙債権の全額3387万1266円を供託
した。
 (4) 松山地方裁判所宇和島支部は,本件供託金の配当を実施するため,同年
10月20日の配当期日に,第1審判決別紙配当表(一)の内容の配当表を作成し
たところ,上告人は,被上告人B1協会への配当のうち209万5405円,同B
2銀行への配当の全額847万7835円に対して,それぞれ異議の申出をした。
 2 本件は,上告人が,被上告人らに対し,本件転付命令が被上告人ら及びEの
した抵当権ないし根抵当権に基づく物上代位に優先すると主張して,上記配当表の
「配当金」欄のうち,上告人への配当額342万6760円を1400万円に,被
上告人B1協会への配当額1460万6236円を1251万0831円に,同B
2銀行への配当額847万7835円を0円にそれぞれ変更することを求める配当
異議の訴えである。
原審は,前記事実関係の下で,賃料債権の譲渡につき第三者に対する対抗要件が備
えられた後において,当該賃料債権に対して抵当権に基づく物上代位による差押え
を認めた当審の判決(最高裁平成9年(オ)第419号同10年1月30日第二小
法廷判決・民集52巻1号1頁)を引用して,被上告人ら及びEの抵当権ないし根
抵当権に基づく物上代位がこれに先立つ本件転付命令に優先すると判示し,上告人
の本件請求を棄却すべきものとした。
3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次の
とおりである。
(1) 【要旨】転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が抵当
権の物上代位の目的となり得る場合においても,転付命令が第三債務者に送達され
る時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは,転付命令の効力を
妨げることはできず,差押命令及び転付命令が確定したときには,転付命令が第三
債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当
されたものとみなされ,抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張するこ
とはできないものと解すべきである。けだし,転付命令は,金銭債権の実現のため
に差し押さえられた債権を換価するための一方法として,被転付債権を差押債権者
に移転させるという法形式を採用したものであって,転付命令が第三債務者に送達
された時に他の債権者が民事執行法159条3項に規定する差押等をしていないこ
とを条件として,差押債権者に独占的満足を与えるものであり(民事執行法159
条3項,160条),他方,抵当権者が物上代位により被転付債権に対し抵当権の
効力を及ぼすためには,自ら被転付債権を差し押さえることを要し(最高裁平成1
3年(受)第91号同年10月25日第一小法廷判決・民集55巻6号975頁)
,この差押えは債権執行における差押えと同様の規律に服すべきものであり(同法
193条1項後段,2項,194条),同法159条3項に規定する差押えに物上
代位による差押えが含まれることは文理上明らかであることに照らせば,抵当権の
物上代位としての差押えについて強制執行における差押えと異なる取扱いをすべき
理由はなく,これを反対に解するときは,転付命令を規定した趣旨に反することに
なるからである。なお,原判決に引用された当審判決は,本件とは事案を異にし,
適切ではない。
 (2) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,被上告人らの抵当
権又は根抵当権の物上代位としての差押えは,上告人の得た転付命令の効力を妨げ
ることはできず,乙債権中本件転付命令に係る部分は上告人の独占的満足に供され
るべきであって,これについて被上告人らの抵当権又は根抵当権の効力を主張する
ことはできない。
これと異なる見解に基づき,上告人の本件請求を理由がないとした原審の判断には
,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,この点をいう論旨は理由
がある。
 4 したがって,甲債権342万9263円及び乙債権中の本件転付命令に係る
1057万0737円の合計1400万円は上告人に対して交付し,本件供託金か
らこれらの金額を控除した1987万4653円をE及び被上告人らにその順位に
従って配当すべきであり,この計算によれば,上告人に対してはその手続費用58
90円及び債権の内金1399万4110円を交付すべきであり,被上告人B2銀
行への配当金については,同被上告人に配当すべきものとされた847万7835
円を0円とし,被上告人B1協会への配当金については,同被上告人に配当すべき
ものとされた1460万6236円を1251万6721円に減額すべきこととな
る。
 そうすると,本件請求は,上記のとおり配当表の変更を求める限度で理由がある
から認容し,その余は棄却すべきである。原判決及び第1審判決は,主文第1項の
とおり変更すべきである。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
    最高裁判所第三小法廷
(裁判長裁判官 金谷利廣 裁判官 千種秀夫 裁判官 奥田昌道 裁判官 濱田
邦夫)

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