弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決中被告人A及び被告人Bに関する有罪の部分を破
棄する。
     第一審判決事実摘示第二の罪につき被告人Aを免訴する。
     被告人Aを懲役一年に処する。
     第一審判決事実摘示第三の(三)の罪につき被告人Bを免訴する。
     被告人Bを懲役一年及び罰金一万円に処する。
     被告人Bにおいて、右罰金を完納することができない場合には金二百円
を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
     当審に於ける訴訟費用は被告人等の負担とする。
         理    由
 被告人A及び同被告人の弁護人平岡義雄の各上告趣意は、いずれも刑訴四〇五条
の上告理由にあたらない。
 被告人Bの弁護人小倉金吾の上告趣意第一点及び第三点は、刑訴四〇五条の上告
理由にあたらない(なお、犯行の用に供するため器具類を貸与して窃盗を幇助した
者がその盗賍を寄蔵した場合においては、正犯者間における賍物の分配寄蔵と異な
り、窃盗幇助と賍物寄蔵の二罪が成立するものと解するのを相当とする)。
 同第二点及び第四点は後記の如く免訴すべき罪に関するものであるから、これに
対しては判断を示さない。
 職権を以つて調査すると、第一審判決がそれぞれ併合罪をなすものとして確定し
た本件公訴事実中、被告人Aに対する第一審判決事実摘示第二の罪及び被告人Bに
対する同第三の(三)の罪は、昭和二七年政令第一一七号大赦令一条八七号及び八
八号によりいずれも赦免されているから、右被告人両名に対する第一審判決中の有
罪部分及びこれを是認した原判決は刑訴四一一条五号によりいずれも破棄するを相
当とする。しかも、同四一三条但書に従い、直ちに判決することができると認めら
れるから、同法四一四条四〇四条三三七条三号により前記大赦にかゝる罪につき被
告人両名を各免訴し大赦にかからない罪については第一審判決の確定した事実に次
のとおり法律を適用し被告人両名をそれぞれ主文の刑に処する。
 被告人Aの第一審判決事実摘示第一の所為は刑法二三五条六〇条に該当する。被
告人Bの同第三の(一)の所為は刑法二三五条六二条に、同第三の(二)の所為は
刑法二五六条二項罰金等臨時措置法二条三条に、同第三の(四)の所為は刑法一九
八条(一九七条)罰金等臨時措置法二条三条刑法六二条に各該当するから、右(一)
及び(四)の罪につきそれぞれ刑法六三条六八条三号に従い法定の軽減をなし、か
つ(四)の罪につき所定刑中罰金刑を選択すべく、以上は刑法四五条前段の併合罪
であるから同法四七条四八条一〇条を適用する。なお被告人Bにおいて右罰金を完
納することができない場合につき刑法一八条を、また、被告人両名の当審における
訴訟費用につき刑訴一八一条を各適用する。
 よつて裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。
 この公判期日には検察官浜田龍信が出席した。
  昭和二八年三月六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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