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平成23年4月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成22年(行コ)第10005号手続却下処分等取消請求控訴事件(原審・東
京地方裁判所平成21年(行ウ)第540号)
口頭弁論終結日平成23年3月24日
判決
控訴人(原告)インヴィトロジェンダイナル
エーエス
訴訟代理人弁護士井坂光明
補佐人弁理士奥山尚一
有原幸一
松島鉄男
河村英文
深川英里
被控訴人(被告)国
処分・裁決行政庁特許庁長官
訴訟代理人弁護士大西達夫
指定代理人下田一博
市川勉
大江摩弥子
天道正和
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日
と定める。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2特許庁長官が,意願2008−006212について,平成20年8月29
日にした,同年6月9日付け提出の優先権証明書提出書に係る手続に対する却下処
分を取り消す。
3特許庁長官が,上記却下処分に対する平成20年10月31日付け異議申立
てについて,平成21年4月27日にした,異議申立てを棄却する旨の決定を取り
消す。
第2事案の概要
1控訴人(原告)は,「域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)」
(OfficeforHarmonizationintheInternalMarket)出願を基礎とするパリ条約
による優先権主張をして我が国の特許庁に意匠登録出願をしたところ,その優先権
証明書提出書(本件提出書)に係る手続において,意匠法15条1項,特許法43
条2項所定の優先権証明書を提出しなかったとして,意匠法68条2項,特許法1
8条の2第1項の規定により同手続を却下する旨の本件処分を受けた。本件訴訟に
おいて控訴人は,優先権証明書の提出期間内にその一部の写し等を提出しているこ
となどからすれば,補正(原本の追完)が認められるべきであり,補正をすること
ができないものとして同手続を却下した本件処分は意匠法68条2項,特許法18
条の2の規定に反する違法なものであると主張して,その取消しを求めるとともに,
上記処分に対する異議申立てを棄却した本件異議決定についても,その後の手続補
正書(優先権証明書の原本添付)の提出により瑕疵が治癒されたことを考慮しない
違法なものであると主張して,その取消しを求めた。
2原判決は,控訴人が期間内に提出したのは優先権証明書の一部を複写したも
のとその訳文であって,優先権主張のための手続として提出を要求されている優先
権証明書の原本そのものを提出しなかったのであるから,本件出願についての優先
権主張は効力を失い,また,期間経過後に優先権証明書の原本の提出による手続補
正を認めることは,特許法43条2項,4項の規定の趣旨を没却することになるか
ら,本件提出書に係る手続の瑕疵は,重大な要件の瑕疵であり,これを補正するこ
とはできず,したがって,同手続を却下した本件処分に違法はなく,本件異議決定
にも違法はないなどとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。
3争いのない事実及び争点は,原判決2頁22行目以下の「2争いのない事
実」及び4頁19行目以下の「3争点」記載のとおりである。
第3当事者の主張
1原審における主張
原審における当事者の主張は,原判決4頁22行目以下の「4争点に関する当
事者の主張」記載のとおりである。
2当審における主張
(1)控訴人
世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO協定)の附属書1C「知的所有
権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)62条1項は,「加盟国は,
第2部の第2節から第6節までに規定する知的所有権の取得又は維持の条件とし
て,合理的な手続及び方式に従うことを要求することができる。」として,WTO
協定の加盟国が要求することができる手続は,合理的なものであるべきことを要求
している。
優先権証明書の提出に関する手続は,優先権主張自体に関する手続とは異なり,
手続としての重要性が大きくなく,また,パリ条約の加盟国における立法例におい
て補正が許容されている。このような手続について,本件のような場合であっても
補正を認めないことは,補正を一切認めない解釈を行うものであって,合理的とは
いえず,そのような解釈,あるいは,そのような解釈を導く特許法の規定は,TR
IPS協定の上記規定に違反する。
(2)被控訴人
優先権証明書提出の手続について,手続の補正が一切認められないのではなく,
本件提出書に係る手続については,重大な要件の瑕疵があり,手続の本質的部分が
欠落しているものであるから,もはやその補正をすることができないものである。
したがって,補正を一切認めない解釈を行うことは合理的とはいえないとの控訴人
の主張は,前提を欠いている。
また,意匠法15条1項において準用する特許法43条1項,2項及び4項に規
定する手続は,パリ条約4条D(1),(3)及び(4)の規定に基づくものであるから,T
RIPS協定62条1項に規定するWTO協定の加盟国が,知的所有権の取得の条
件としてこれに従うことを要求することができる「合理的な手続」であり,TRI
PS協定に「合致するもの」であることは明らかであって,特許法の上記規定及び
これについての処分行政庁の解釈は,TRIPS協定62条1項の規定に沿うもの
というべきである。
第4当裁判所の判断
当裁判所も,本件提出書に係る手続の瑕疵は,重大な要件の瑕疵であり,補正す
ることはできないから,同手続を却下した本件処分に違法はなく,これに対する異
議申立てを棄却した本件異議決定にも違法はないと判断する。その理由は,原判決
15頁22行目以下の「第3当裁判所の判断」記載のとおりである。
控訴人は,本件において補正を認めない解釈をすることや,そのような解釈をす
る場合の根拠となる特許法の規定は,TRIPS協定に違反すると主張する。しか
し,パリ条約4条D(3),(4)で定められているとおり,優先権証明書の提出に係る
手続については,同盟国が,優先権の喪失を限度として,手続がされなかった場合
の効果を定めることができるのであるから,国内法である特許法43条2項,4項
において,一定期間内に優先権証明書(原本)の提出を求め,これが期間内に提出
されない場合に優先権主張が効力を失うと定めることは,パリ条約の上記規定に沿
うものであり,また,本件のように期間内に優先権証明書の原本が提出されなかっ
た場合には,その時点で優先権を喪失したものとしてその後の補正を認めないとす
る解釈も,上記規定の趣旨に含まれ得る合理的な範囲内というべきであって,この
ような解釈をすることや,その根拠となる特許法の規定がTRIPS協定に反する
とはいえない。
したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
第5結論
以上のとおり,控訴人の請求はいずれも理由がない。よって,これを棄却した原
判決は相当であって,本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし,主文の
とおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
塩月秀平
裁判官
清水節
裁判官
古谷健二郎

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