弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人吉川五男の上告理由について
 農事組合法人の出資組合員の責任は、農業協同組合法に別段の定めがある場合の
ほか、その出資額を限度とすることは、同法七三条一項、一三条四項の規定すると
ころであり、右のいわゆる組合員有限責任の原則により、組合員に出資額を超えて
責任を課することは、たとえ組合員全員の同意があつても、許されないといわなけ
ればならない。しかし、具体的に確定した組合債務につき、組合員総会における組
合員全員一致の決議に基づき、組合が出資額を超えて組合員に義務を課することは、
組合員有限責任の原則に触れるものではないというべきである。これと異なる見解
に立つて原審の判断を論難する所論は採用することができない。その他、所論の点
に関する原審の判断は、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、いずれも採用する
ことができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    本   林       讓
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    栗   本   一   夫

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