弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役八月及び罰金三千円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、五十円を壱日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
         理    由
 弁護人高田完上告趣意第一点について。
 第一審判決は、昭和二三年政令第一六五号違反の罪と古物商取締法違反の罪を、
想像的競合をなす一罪として重い政令違反罪の刑によつて、懲役一年及び罰金三千
円を言渡した。これに対し第二審判決は右二個の罪を併合罪と見て所論のような各
別の刑を併科したのである。しかしながら、第二審の罰金刑の合算額は第一審の罰
金額より五十円だけ多くなつているが、第二審の懲役刑は第一審のそれより二箇月
も軽くなつているのである。それ故、第二審の刑は全体として第一審の刑より重い
と言うことはできない。論旨は採ることを得ない。
 同第二点について。
 原判決は、被告人は古物商であつて、住所氏名の詳らかでない者から物品を買受
けたことを判示しているのであるから、古物商取締法七条違反の罪の判示として十
分である。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 判決裁判所における公判廷の自白は、憲法三八条三項の本人の自白に当らないこ
とは当裁判所判例の示しているところである。論旨は理由がない。
 同第四点について。
 本件の米進駐軍用軍服が連合国占領軍、その将兵の財産であることは、被告人が
原審公判廷で自認している。論旨は原判決の認定事実を非難するに帰し適法な上告
理由と認め難い、
 次に、原判決は、古物商を営んでいた被告人が住所氏名不詳の者から米進駐軍用
軍服を買い受け、以て連合国占領軍の財産を不法に収受し所持していた事実を認定
した。そして、法令の適用においては、昭和二二年政令第一六五号一条一項、三条
一項二項、古物商取締法七条、二〇条、二一条、刑法一八条を適用している。職権
で調査すると、前記法律二一条は、「此法律ヲ犯シタル者ニハ刑法(旧)ノ数罪倶
発ノ例ヲ用イズ」と規定しているが、この規定は現行刑法の下においては併合罪の
規定の適用を排除する意味に解すべきであるから、原判決は、右政令違反の罪と古
物商取締法違反の罪とを併合罪の関係にあるものと認め該法二一条を適用し(すな
わち併合罪に関する刑法の規定の適用を排除し)、その結果主文において右各罪に
つきそれぞれ別に刑を盛りこれを併科している。しかしながら前記法律に違反して
住所氏名不詳の者から物品を買受けた前記行為と前記政令に違反して同人から連合
国軍物資を収受した前記行為とは、同時に物を取得したという点で行為を一にし刑
法五四条一項前段の「一個の行為にして数個の罪名に触れ」る場合に該当し、併合
罪には該当しない(なお前記政令の違反行為である収受と所持とは包括一罪をなす
ものと認める)。それ故原判決が本件において前記法律二一条を適用したのは違法
であつて破棄を免れない。
 そこで旧刑訴四四七条により原判決を破棄し、同法四四八条に従い更に判決をす
るのであるが原判決の確定した事実を法律に照らすと、連合国占領軍用軍服を不法
に収受し所持した所為は昭和二四年政令三八九号附則二項昭和二二年政令第一六五
号一条一項、三条一項に、住所氏名不詳者から右軍服を買い受けた所為は古物営業
法附則二項三項古物商取締法七条二〇条にあたり以上は一個の行為で二個の罪名に
触れるから刑法五四条一項前段一〇条に従つて重い昭和二二年政令一六五号違反の
罪の刑に従い同令三条二項に則り情状により懲役と罰金とを併科するのを相当と認
めその刑期並びに金額の範囲内で被告人を懲役八月及び罰金三千円に処し、刑法一
八条一項により被告人が右罰金を完納することができないときは、五十円を壱日に
換算した期間被告人を労役場に留置すべきものとする。よつて主文のとおり判決す
る。
 此の裁判は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 小幡勇三郎関与
  昭和二五年七月一三日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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