弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人野島達雄、同山本秀師、同打田正俊、同在間正史、同中村弘の上告理
由について
 本件訴えを不適法とした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決
に所論の違法はない。所論は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違背を主張す
るものにすぎず、原判決に法令違背のないことは右に述べたとおりである。論旨は、
採用することができない。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、
裁判官園部逸夫の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。
 裁判官園部逸夫の補足意見は、次のとおりである。
 私は、原判決が、最高裁判所昭和三七年(オ)第一二二号同四一年二月二三日大
法廷判決(民集二〇巻二号二七一頁)に従い、土地区画整理事業計画決定を抗告訴
訟の対象とすることができないとの理由により、本件訴えを不適法とした点につい
ては、異存はなく、したがって、右判断を正当として是認した法廷意見に賛成する
ものであるが、右大法廷判決が、「事業計画の決定ないし公告の段階では、理論上
からいっても、訴訟事件としてとりあげるに足るだけの事件の成熟性を欠くのみな
らず、実際上からいっても、その段階で、訴えの提起を認めることは妥当でなく、
また、その必要もないとしたものと解するのが相当である。」と説示している部分
に、この種の行政計画一般について、処分性を認めないことが、理論上も実際上も
妥当であるという含意があり、また、そのように理解すべきものであるとすれば、
その点については、私は、かねて疑問を抱いているので、補足的に私の見解を述べ
ておきたい。
 事件の成熟性ということは、理論上は、理解しやすいが、具体的にどのような基
準で成熟性を判断するのかは、必ずしも明確とはいえない。また、事業計画の段階
で訴えの提起を認めることは妥当ではなく、また、その必要もないという立論につ
いては、なぜそうなのか、右大法廷判決の多数意見からは、その理由付けを明確に
読み取ることは困難である。私は、右のような理由のみでは、この種の行政計画に
ついて訴えの提起そのものを否定することはできないと考える。
 私は、本件事業計画のような事業の青写真(設計図)たる性格を有する計画であ
っても、立法政策としては、不服申立てや訴えの提起など、救済手続を設けること
によって、その行政処分としての性格を明確にすることは可能であると考える。当
該計画の行政処分性については、理論上はともかく、立法上は、当該計画について
どのような救済手続を設けるのが、国民の権利利益の保護に資するかという観点か
ら、当該計画を位置付けるのが妥当であり、それらの手続規定の存在によって、当
該計画の行政処分性を個々に判断すべきである。
 もっとも、行政計画について、救済手続を計画の段階に置くか、あるいは、更に
後続の行為の段階に譲るかは、計画の段階に置かなければ、救済の実効性を欠くこ
とになるなど特段の事情がない限り、立法政策にゆだねられているものと解する。
 最高裁判所昭和五九年(行ツ)第三一八号同六一年二月一三日第一小法廷判決(
民集四〇巻一号一頁)は、市町村営土地改良事業の施行の認可について行政処分性
を認める前提として、土地改良法に定められている事業計画段階の救済手続の存在
を根拠にして、土地改良事業計画決定の行政処分性を認めている。私も、右の手法
を是とするものであり、土地区画整理事業計画決定の行政処分性については、立法
政策上、事業計画段階に救済手続を置いていないこと、また右救済手続を置いてい
ないことが、利害関係人を救済する機会を全く剥奪するものでないことに着目して、
本件事業計画決定には行政処分性を認めなければならない必要性がないと判断する
のである。
     最高裁判所第三小法廷         裁判長裁判官    佐  
 藤   庄 市 郎
            裁判官    坂   上   壽   夫
            裁判官    貞   家   克   己
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    可   部   恒   雄

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛