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言渡平成25年4月26日
交付平成25年4月26日
裁判所書記官
平成21年(ワ)第26989号損害賠償等請求事件
口頭弁論の終結の日平成25年1月31日
判決
当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり
主文
1被告は,原告Hに対し511万9400円,原告Iに対
し454万7400円,原告Jに対し383万2400円,
原告Kに対し469万0400円,原告Lに対し554万
8400円,原告M,原告N,原告O及び原告Pに対しそ
れぞれ337万2416円,原告Qに対し859万191
6円,原告Rに対し837万7416円並びに上記各金員
に対する平成21年8月26日から支払済みまで年5分
の割合による金員を支払え。
2被告は,別紙書籍目録記載1ないし12の各書籍を出版
し,販売してはならない。
3被告は,その占有する前項記載の各書籍を廃棄せよ。
4原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
5訴訟費用はこれを5分し,その2を原告らの負担とし,
その余を被告の負担とする。
6この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1被告は,原告H,原告I,原告J,原告K及び原告Lに対しそれぞれ171
6万円,原告M,原告N,原告O及び原告Pに対しそれぞれ1191万333
2円,原告Q及び原告Rに対しそれぞれ1906万3332円並びに上記各金
員に対する訴状送達の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告は,別紙書籍目録記載1ないし12の各書籍を出版し,販売してはなら
ない。
3被告は,その占有する前項記載の各書籍を廃棄せよ。
第2事案の概要
本件は,原告らが,被告が原告らを被写体とする写真を掲載した書籍を出版,
販売し,これにより,原告らの肖像等が有する顧客吸引力を排他的に利用する
権利及びみだりに自己の容貌等を撮影されず,また,自己の容貌を撮影された
写真をみだりに公表されない人格的利益が侵害されたと主張して,それぞれ,
被告に対し,不法行為による損害賠償金及びこれに対する不法行為の後である
訴状送達の日から支払済みまで民法所定の年5分の遅延損害金の支払を求め
るとともに,上記侵害のいずれかに基づく書籍の出版及び販売の差止め並びに
その廃棄を求める事案である。
1前提となる事実(当事者間に争いのない事実)
(1)原告H,原告I,原告J,原告K及び原告Lは,株式会社ジャニーズ事務
所(以下「ジャニーズ事務所」という。)に所属するタレントで,アイドルグ
ループ「嵐」のメンバーとして芸能活動を行う者であり,原告M,原告N,
原告O,原告P,原告Q及び原告Rは,ジャニーズ事務所に所属するタレン
トで,アイドルグループ「KAT-TUN」のメンバーとして芸能活動を行
う者である。
被告は,書籍や雑誌の企画,編集,制作,発行及び販売等の事業を目的と
する株式会社である。
(2)被告は,別紙書籍目録の各「発行年月日」欄記載の日に,同目録の各「題
名」欄記載の題名で,原告らを被写体とする写真(以下「本件各写真」とい
う。)を掲載した書籍(甲1ないし12。以下,それぞれを同目録の番号に従
い「本件書籍1」のようにいい,併せて「本件各書籍」という。)を出版し,
これらをいずれも定価1300円(消費税を除く。)で販売した。
(3)原告らは,被告側のカメラマンが本件各写真を撮影したり,被告が本件各
写真を本件各書籍に掲載したりすることを承諾しておらず,本件各写真は,
原告らに無断で撮影され,本件各書籍に掲載された。
2争点
(1)被告が本件各写真を本件各書籍に掲載する行為が,原告らの肖像等が有す
る顧客吸引力を排他的に利用する権利を侵害するか否か。
(2)被告が本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲載する行為が,みだり
に自己の容貌等を撮影されず,また,自己の容貌を撮影された写真をみだり
に公表されない人格的利益を侵害するか否か。
(3)上記(1)の権利の侵害及び上記(2)の利益の侵害により各原告らが受けた
損害の額。
(4)原告らが被告に対し本件各書籍の出版及び販売の差止め並びに廃棄を請
求することができるか否か。
3争点についての当事者の主張
(1)争点1(被告が本件各写真を本件各書籍に掲載する行為が,原告らの肖像
が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利を侵害するか否か)について
ア原告らの主張
(ア)本件各写真は,別紙個別主張一覧表(1)ないし(12)の各「原告らの主
張」欄記載のとおりである(ここで用いた分類及び記号は,別紙「原告
らの主張における分類及び記号についての説明」に記載のとおりであ
る。)。また,上記主張に対する被告の反論に対する原告らの認否は,別
紙個別主張一覧表(1)ないし(12)の各「被告の主張及び原告らの認否」
の「原告ら」欄に記載のとおりである(ここで用いた記号についての説
明は,別紙「被告が提示する各要素と対応する記号の説明」に記載のと
おりである。なお,原告らは,空白の項目については被告の主張を争わ
ず,また,「写真の鮮明度」,「肖像占有度」及び「表情・ポーズ等」に
ついては認否をしない。)。以上から明らかなように,本件各写真は,本
件各書籍の全体にわたって掲載されている。
(イ)パブリシティ権とは,固有の名声,社会的評価,知名度等を獲得し
た著名な芸能人が,その氏名,肖像等の顧客吸引力に係る経済的価値を
独占的,排他的に享受することができる権利であり,原告らは,広く名
声,社会的評価,知名度等を獲得した極めて著名な芸能人であるから,
パブリシティ権を有する。
本件各書籍は,本件各写真を多数の頁に大きくカラーで掲載し,中に
は2頁見開きや1頁全面にわたって掲載しているものも多く存在する
のであり,また,記事が掲載された頁であっても,大半は写真との間に
何らの関連性がないか,単に写真の撮影状況を説明するにとどまる。そ
して,本件各書籍の題名には,原告らの氏名及びグループ名に加え,「お
宝フォトファイル」等写真を集めたことを表す言葉が付されている。し
かも,原告らは,人気のあるアイドルで,特にその容貌に高い評価を受
けているから,一般の読者は,専ら原告らの肖像等を鑑賞することを目
的として本件各書籍を購入するものである。
そうであるから,本件各書籍は,肖像等それ自体を独立して鑑賞の対
象となる商品等として使用し,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を
目的とするものであるから,被告が本件各写真を本件各書籍に掲載する
行為は,原告らのパブリシティ権を侵害する。
イ被告の主張
(ア)本件各写真についての原告らの主張に対する反論は,別紙個別主張
一覧表(1)ないし(12)の各「被告の主張及び原告らの認否」の「被告」
欄に記載のとおりである(なお,ここで用いた要素と記号は,別紙「被
告が提示する各要素と対応する記号の説明」に記載のとおりである。)。
本件各書籍は,原告らに関する様々なエピソードを紹介しつつ,原告ら
の芸能人としての歩みを論ずるものであり,その中心は,原告らに関す
る文章であって,本件各写真は,その容貌やファッション等の変遷や主
たる芸能活動の歴史を視覚的に表現するのに必要な限度で用いられて
いるにすぎない。
(イ)本件各書籍は,原告らに関する様々な情報を読者に伝えることを目
的としているから,写真と文章が同じ頁に印刷されているものが多く,
写真の上に文章が印刷されているものもある上,21㎝×14.8㎝と
いう小さな判を使用しているから,多くはさらに細分化された枠で写真
を掲載しているのであり,また,質の高い紙を使用していない。そして,
別紙個別主張一覧表(1)ないし(12)の各「被告の主張及び原告らの認否」
の「被告」欄記載の各要素を併せ考慮すれば,本件各写真は,それ自体
で独立して鑑賞するに値するものではない。
そうであるから,本件各書籍は,原告らのファンが知りたがっている
情報を伝えることを目的としたものであって,肖像等それ自体を独立し
て鑑賞の対象となる商品等として使用したものではなく,専ら肖像等の
有する顧客吸引力の利用を目的とするものとはいえないから,被告が本
件各写真を本件各書籍に掲載する行為は,原告らのパブリシティ権を侵
害しない。
(2)争点2(被告が本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲載する行為が,
みだりに自己の容貌等を撮影されず,また,自己の容貌を撮影された写真を
みだりに公表されない人格的利益を侵害するか否か)について
ア原告らの主張
(ア)すべての人は,みだりに自己の容貌等を撮影されず,撮影された肖
像写真を使用されない権利としての肖像権を有するから,本人の承諾の
ない写真撮影及び公表は,原則として違法であり,公共の利害に関わり,
専ら公益を図る目的でされ,その方法がその目的に照らして相当である
場合に違法性が阻却される。
(イ)本件各写真は,①コンサート会場や記者会見等の公開の場所にお
ける原告らの姿を撮影したもの(別紙個別主張一覧表(1)ないし(12)の
各「原告らの主張」の「AorB」欄のA)と,②芸能活動を離れた
私生活において,私服姿で路上等を通行している原告らの姿を撮影した
もの(上記「AorB」欄のB)に大別できるが,原告らの私生活にお
ける行動,芸能活動,容貌及びファッション等の情報は,公共の利害に
関する事実ではなく,これらを撮影して写真集として販売する社会的な
必要性もない。そして,本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲載
して出版する目的は,写真集として販売し,利益を追求することにある
から,公益性もない。しかも,本件各写真は,全て原告らに無断で撮影
されたものであって,撮影の態様は不相当である。
そうであるから,被告が本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲
載する行為は,原告らの上記利益を侵害する違法なものである。
イ被告の主張
原告らの容貌,ファッション及び人物像等の情報は,公共の利害に関す
る事実であり,また,本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲載して
出版する目的は,原告らに関する様々なエピソードを紹介しつつ,原告ら
の芸能人としての歩みをファンに伝えることにあるから,専ら公益を図る
目的である。
しかも,本件各書籍に掲載されている原告らの写真のうち,コンサート
会場や記者会見等の公開の場所における原告らの容貌や姿態を撮影したも
の(別紙個別主張一覧表(1)ないし(12)の各「原告らの主張」の「AorB」
欄のA)の中には,一般人の感受性を基準として撮影や掲載を望まないよ
うなものは見当たらない。記者会見等においては,カメラマンが原告らの
肖像写真を撮影し,これを種々のメディアで使用することが包括的に承諾
されているし,コンサート会場での写真は,その写り具合等からみて,主
催者から承諾を得たカメラマンが撮影したものであり,そもそも,記者会
見やコンサート会場等の公開の場所における原告らの容貌や姿態は,公衆
の目に触れることが当然の前提であるから,原告らに無断で写真が撮影さ
れ,撮影された写真が公表されたとしても,原告らの人格的利益の侵害が
社会生活上受忍すべき限度を超えるとはいえない。また,私服姿で路上等
を通行している原告らの姿を撮影した写真(別紙個別主張一覧表(1)ないし
(12)の各「原告らの主張」の「AorB」欄のB)も,ごく普通の行動を
撮影したもので,撮影方法は相当であるし,そのほとんどは,原告らが仕
事のためにスタジオ等に出入りする場面を撮影したものであり,そこでは
ファンに見られ,ファンと交流することが予定されていて,芸能活動を離
れた純然たる私生活の場面ではないから,このような写真が撮影され,撮
影された写真が公表されたとしても,原告らの人格的利益の侵害が社会生
活上受忍すべき限度を超えるとはいえない。
したがって,被告が本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲載する
行為は,原告らの上記利益を侵害するものではない。
(3)争点3(上記(1)の権利の侵害及び上記(2)の利益の侵害により各原告らが
受けた損害の額)について
ア原告らの主張
(ア)被告が原告らの肖像が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利及
びみだりに自己の容貌等を撮影されず,また,自己の容貌を撮影された
写真をみだりに公表されない人格的利益を侵害したことにより,原告ら
は,被告が本件各書籍を出版するについて,その肖像写真,氏名及びグ
ループ名等の使用を許諾した場合に得ることができる利益に相当する
額及び弁護士費用相当損害金の損害を受けた。
原告らがこれまでに出版を許諾した写真集は,所属プロダクションで
あるジャニーズ事務所や同事務所が原告らの肖像の管理等を委託して
いるグループ会社が契約当事者となって発行者との間で出版契約を締
結しているが,その際に発行者から受領する許諾料は,本体価格の1
0%を優に超える。そうであるから,原告らが受けた損害の額は,本件
各書籍の小売価格1300円の10%にそれぞれの発行部数10万部
を乗じた金額とその1割に相当する弁護士費用相当損害金を合算した
金額を下回ることはない。
(イ)そこで,各原告らが受けた損害の額を算定すると,以下のとおりに
なる。
a原告H
原告Hの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍1及び6である
ところ,本件書籍6は嵐のメンバー5名の写真集であるから,原告H
が受けた本件書籍6に係る損害の額は,嵐のメンバー5名が受けた損
害の額の5分の1に相当する額である。
そうすると,原告Hが受けた損害の額は,次の①ないし③を合計し
た1716万円である。
①本件書籍1に係る損害の額1300万円
(1300円×10万部×10%=1300万円)
②本件書籍6に係る損害の額260万円
(1300円×10万部×10%÷5=260万円)
③弁護士費用相当損害金156万円
((1300万円+260万円)×10%=156万円)
b原告I
原告Iの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍2及び6である
ところ,本件書籍6は嵐のメンバー5名の写真集であるから,原告I
が受けた本件書籍6に係る損害の額は,嵐のメンバー5名が受けた損
害の額の5分の1に相当する額である。
そうすると,原告Iが受けた損害の額は,次の①ないし③を合計し
た1716万円である。
①本件書籍2に係る損害額1300万円
(1300円×10万部×10%=1300万円)
②本件書籍6に係る損害額260万円
(1300円×10万部×10%÷5=260万円)
③弁護士費用相当損害金156万円
((1300万円+260万円)×10%=156万円)
c原告J
原告Jの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍3及び6である
ところ,本件書籍6は嵐のメンバー5名の写真集であるから,原告J
が受けた本件書籍6に係る損害の額は,嵐のメンバー5名が受けた損
害の額の5分の1に相当する額である。
そうすると,原告Jが受けた損害の額は,次の①ないし③を合計し
た1716万円である。
①本件書籍3に係る損害額1300万円
(1300円×10万部×10%=1300万円)
②本件書籍6に係る損害額260万円
(1300円×10万部×10%÷5=260万円)
③弁護士費用相当損害金156万円
((1300万円+260万円)×10%=156万円)
d原告K
原告Kの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍4及び6である
ところ,本件書籍6は嵐のメンバー5名の写真集であるから,原告K
が受けた本件書籍6に係る損害の額は,嵐のメンバー5名が受けた損
害の額の5分の1に相当する額である。
そうすると,原告Kが受けた損害の額は,次の①ないし③を合計し
た1716万円である。
①本件書籍4に係る損害額1300万円
(1300円×10万部×10%=1300万円)
②本件書籍6に係る損害額260万円
(1300円×10万部×10%÷5=260万円)
③弁護士費用相当損害金156万円
((1300万円+260万円)×10%=156万円)
e原告L
原告Lの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍5及び6である
ところ,本件書籍6は嵐のメンバー5名の写真集であるから,原告L
が受けた本件書籍6に係る損害の額は,嵐のメンバー5名が受けた損
害の額の5分の1に相当する額である。
そうすると,原告Lが受けた損害の額は,次の①ないし③を合計し
た1716万円である。
①本件書籍5に係る損害額1300万円
(1300円×10万部×10%=1300万円)
②本件書籍6に係る損害額260万円
(1300円×10万部×10%÷5=260万円)
③弁護士費用相当損害金156万円
((1300万円+260万円)×10%=156万円)
f原告M
原告Mの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍7,11及び1
2である。本件書籍7は原告M及び原告N2名の写真集であるから,
原告Mが受けた本件書籍7に係る損害額は,2名が受けた損害の額の
2分の1に相当する額であり,本件書籍11及び12はKAT-TU
Nのメンバー6名の写真集であるから,原告Mが受けた本件書籍11
及び12に係る損害の額は,KAT-TUNのメンバー6名が受けた
損害の額の6分の1に相当する額である。
そうすると,原告Mが受けた損害の額は,次の①ないし④を合計し
た1191万3332円である。
①本件書籍7に係る損害額650万円
(1300円×10万部×10%÷2=650万円)
②本件書籍11に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
③本件書籍12に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
④弁護士費用相当損害金108万円
((650万円+216万6666円×2)×10%≒108万円)
g原告N
原告Nの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍7,11及び1
2である。本件書籍7は原告M及び原告N2名の写真集であるから,
原告Nが受けた本件書籍7に係る損害額は,2名が受けた損害の額の
2分の1に相当する額であり,また,本件書籍11及び12はKAT
-TUNのメンバー6名の写真集であるから,原告Nが受けた本件書
籍11及び12に係る損害の額は,KAT-TUNのメンバー6名が
受けた損害の額の6分の1に相当する額である。
そうすると,原告Nが受けた損害の額は,次の①ないし④を合計し
た1191万3332円である。
①本件書籍7に係る損害額650万円
(1300円×10万部×10%÷2=650万円)
②本件書籍11に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
③本件書籍12に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
④弁護士費用相当損害金108万円
((650万円+216万6666円×2)×10%≒108万円)
h原告O
原告Oの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍8,11及び1
2である。本件書籍8は原告O及び原告P2名の写真集であるから,
原告Oが受けた本件書籍8に係る損害額は,2名が受けた損害の額の
2分の1に相当する額であり,また,本件書籍11及び12はKAT
-TUNのメンバー6名の写真集であるから,原告Oが受けた本件書
籍11及び12に係る損害の額は,KAT-TUNのメンバー6名が
受けた損害の額の6分の1に相当する額である。
そうすると,原告Oが受けた損害の額は,次の①ないし④を合計し
た1191万3332円である。
①本件書籍8に係る損害額650万円
(1300円×10万部×10%÷2=650万円)
②本件書籍11に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
③本件書籍12に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
④弁護士費用相当損害金108万円
((650万円+216万6666円×2)×10%≒108万円)
i原告P
原告Pの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍8,11及び1
2である。本件書籍8は,原告O及び原告P2名の写真集であるから,
原告Pが受けた本件書籍8に係る損害額は,2名が受けた損害の額の
2分の1に相当する額であり,また,本件書籍11及び12はKAT
-TUNのメンバー6名の写真集であるから,原告Pが受けた本件書
籍11及び12に係る損害の額は,KAT-TUNのメンバー6名が
受けた損害の額の6分の1に相当する額である。
そうすると,原告Pが受けた損害の額は,次の①ないし④を合計し
た1191万3332円である。
①本件書籍8に係る損害額650万円
(1300円×10万部×10%÷2=650万円)
②本件書籍11に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
③本件書籍12に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
④弁護士費用相当損害金108万円
((650万円+216万6666円×2)×10%≒108万円)
j原告Q
原告Qの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍9,11及び1
2である。本件書籍11及び12はKAT-TUNのメンバー6名の
写真集であるから,原告Qが受けた本件書籍11及び12に係る損害
の額は,KAT-TUNのメンバー6名が受けた損害の額の6分の1
に相当する額である。
そうすると,原告Qが受けた損害の額は,次の①ないし④を合計し
た1906万3332円である。
①本件書籍9に係る損害額1300万円
(1300円×10万部×10%=1300万円)
②本件書籍11に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
③本件書籍12に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
④弁護士費用相当損害金173万円
((1300万円+216万6666円×2)×10%≒173万円)
k原告R
原告Rの権利及び利益を侵害する書籍は,本件書籍10,11及び
12である。本件書籍11及び12はKAT-TUNのメンバー6名
の写真集であるから,原告Rが受けた本件書籍11及び12に係る損
害の額は,KAT-TUNのメンバー6名が受けた損害の額の6分の
1に相当する額である。
そうすると,原告Rが受けた損害の額は,次の①ないし④を合計し
た1906万3332円である。
①本件書籍10に係る損害額1300万円
(1300円×10万部×10%=1300万円)
②本件書籍11に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
③本件書籍12に係る損害額216万6666円
(1300円×10万部×10%÷6=216万6666円)
④弁護士費用相当損害金173万円
((1300万円+216万6666円×2)×10%≒173万円)
イ被告の主張
(ア)被告が原告らの肖像が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利及
びみだりに自己の容貌等を撮影されず,また,自己の容貌を撮影された
写真をみだりに公表されない人格的利益を侵害したとしても,原告が受
けた損害の額は,人格的な価値が損なわれたことによる精神的な苦痛を
慰謝するのに必要な限度の金額にとどまる。本件各写真は,公衆の目に
触れた原告らの肖像に係るものであって,原告らの社会的な評価を低下
させるものではなく,その名誉感情を損なうものでもない。そうである
から,原告らが受けた損害の額は,原告らの名誉やプライバシーを侵害
した場合の慰謝料額を大きく下回るべきものである。
(イ)本件各書籍の発行部数がそれぞれ10万部であることは否認する。
仮に原告らが逸失利益の損害を受けることがあるとしても,被告が本件
各書籍を販売したことによって,原告らが正規の写真集を販売して利益
を得る機会を逸したとはいえない。また,原告らの正規の写真集に係る
契約における使用料率等は,原告らに支払われる肖像等の使用料を適正
に反映したものではなく,仮に出版社等からジャニーズ事務所に使用料
等が支払われるとしても,そのうちの一定額は,仲介手数料等としてジ
ャニーズ事務所に徴収されるのであるから,原告らの正規の写真集に係
る契約書の内容は,本件各書籍で原告らの肖像等が使用されたことによ
って原告らが被った損害の額を算定する際の参考にはならない。
(4)争点4(原告らが被告に対し本件各書籍の出版及び販売の差止め並びに廃
棄を請求することができるか否か)について
ア原告らの主張
原告らは,厳格に肖像を管理し,肖像の撮影やその掲載を承諾する際に
は,掲載する媒体,時期,内容,目的,条件,原告らの他の芸能活動に与
える影響等様々な要素を考慮してその可否を判断している。しかし,本件
各書籍は,原告らに無断で発行されたから,原告らは,上記各要素を考慮
することができず,また,本件各写真は,原告らが公開を承諾したもので
はなく,隠し撮りの写真も多く含まれるから,原告らが受けた精神的苦痛
は極めて大きい。そして,本件各書籍が存在し,その出版,販売が継続し
ている間は,原告らの権利又は利益の侵害が継続する。これに対し,本件
各書籍は,公共の利害に関する内容を含まず,国民の知る権利にも寄与し
ないから,表現行為としての重要性が低く,仮に本件各書籍の出版及び販
売の差止めを認めたとしても,被告が被る不利益は小さい。
そうであるから,原告らの権利又は利益の侵害を排除するためには,本
件各書籍の出版及び販売を差し止めて,これを廃棄するほかない。
イ被告の主張
原告らは,その肖像等を自ら商品化しているから,その権利や利益の侵
害があっても,金銭賠償によって事後的に損害を回復することが可能であ
る。原告らは,そもそも自ら積極的にその肖像等を広く公衆に知らしめよ
うとしているのであるから,本件各書籍が出版,販売されることによって,
強い精神的苦痛を負うこともない。これに対し,本件各書籍の出版及び販
売を差し止めると,被告及び本件各書籍の著者の表現の自由を害し,原告
らのファンの知る権利をも害することになる。
そうであるから,本件各書籍の出版及び販売の差止め並びに廃棄は,認
められるべきではない。
第3当裁判所の判断
1争点1(被告が本件各写真を本件各書籍に掲載する行為が,原告らの肖像が
有する顧客吸引力を排他的に利用する権利を侵害するか否か)について,判断
する。
(1)人の氏名,肖像等(以下,併せて「肖像等」という。)は,商品の販売等
を促進する顧客吸引力を有する場合があり,このような顧客吸引力を排他的
に利用する権利(以下,この権利を「パブリシティ権」という。)は,肖像等
それ自体の商業的価値に基づくものであるから,人格権に由来する権利の一
内容を構成するものということができる。他方,肖像等に顧客吸引力を有す
る者は,社会の耳目を集めるなどして,その肖像等を時事報道,論説,創作
物等に使用されることもあるのであって,その使用を正当な表現行為等とし
て受忍すべき場合もあるというべきである。そうすると,肖像等を無断で使
用する行為は,①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等とし
て使用し,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し,③肖
像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力の
利用を目的とするといえる場合に,パブリシティ権を侵害するものとして,
不法行為法上違法となると解するのが相当である(最高裁平成21年(受)
第2056号同24年2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁参照)。
(2)前提となる事実に,証拠(甲1ないし12,16,17,18の1及び2,
19,乙1の1ないし12,2,7ないし10)及び弁論の全趣旨を総合す
れば,原告H,原告I,原告J,原告K及び原告Lは嵐のメンバーであり,
原告M,原告N,原告O,原告P,原告Q及び原告RはKAT-TUNのメ
ンバーであるところ,嵐及びKAT-TUNは,いずれも本件各書籍が出版
されたころから現在に至るまで人気のあるアイドルグループであることが認
められるから,原告らの肖像等は,顧客吸引力有するものと認められる。
(3)そこで,被告が本件各写真を本件各書籍に掲載する行為が,原告らのパブ
リシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となるか否かについて,
検討する。
ア本件書籍1について
(ア)証拠(甲1)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍1は,「嵐Hコンプリートお宝フォトファイルSta
rring」という題名の,A5判サイズで全112頁の書籍である。
本件書籍1には,その表表紙,裏表紙及び表表紙の袖を含めて,原
告Hを被写体とするカラー写真が合計162枚(別紙個別主張一覧表
(1)の写真番号甲1-1ないし162の各写真。以下,個々の写真を
別紙個別主張一覧表(1)ないし(12)の写真番号に従い「写真甲1-1」
のようにいう。)掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複
数の写真が掲載された場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた
原告は,別紙個別主張一覧表(1)の「原告らの主張」の「掲載ページ」
欄,「掲載場所」欄及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,
各写真の大きさは,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真
の大きさ」の「被告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲1-
112は88頁に,写真甲1-114は90頁に,写真甲1-116
は91頁に,写真甲1-150は108頁に掲載されている。また,
写真甲1-23の大きさは「B」,写真甲1-62の大きさは「C」
である。)。
b表表紙には,「ARASHI嵐コンプリートお宝フォトファイル
HStarring」,「秘蔵お宝写真150カットで綴る情熱のメ
モリー」と記載され,写真甲1-1ないし3が掲載されている。また,
本件書籍1の背表紙には,「嵐ARASHIHコンプリートお
宝フォトファイル」と記載されている。そして,表表紙の袖には,写
真甲1-4及び5が掲載されている。
c1頁には,「ARASHI嵐コンプリートお宝フォトファイル
HStarring」と記載され,甲1-6及び7が掲載されてい
る。2頁には,写真甲1-8が掲載されている。
3頁には,「CONTENTSH」との見出しの下に,次のような
目次が記載され,写真甲1-9が掲載されている。
「●Introduction……………………………………4
●PART1情熱の軌跡1999-2004…………14
Column①“キャプテン愛”はどこへ行く!?
……………………………40
●PART2ターニングポイント2005-2006…42
●SPECIALPARTPreciousShots
ofH……56
●PART3StarPerformer
2007-2008…………………………60
Column②Change!Change!
Change!…………97
●PART4H'sJr.days
~Jr.時代~……………………………100
●PROFILE……………………………………………108」
d4ないし13頁は,「Introduction」の章で,5頁には,
上記見出しの下に,原告Hを紹介する前文があり,4ないし13頁に
は,写真甲1-10ないし22が掲載され,7及び13頁には,それ
ぞれの写真の脇に原告Hに関する短い記述がある。
e14ないし41頁は,「PART1情熱の軌跡1999-200
4」の章で,14及び15頁には,上記見出しの下に,原告Hがアイ
ドルとしてかつてない独自の存在感を醸し出していたことなどを記
述する前文があり,14ないし39頁には,写真甲1-23ないし4
7が枚掲載され,15ないし18,21,23,24,26,35,
36,37及び38頁には,それぞれの写真の脇に原告H又は嵐に関
する短い記述がある。
40及び41頁は,「Column①“キャプテン愛”はどこへ行
く!?」との小見出しのコラムで,2頁にわたり,写真甲1-48及
び50を背景に,原告Hの魅力を説明する文章があり,写真甲1-4
9及び51が掲載されている。しかし,コラムの具体的な内容と掲載
された写真との間に格別の関連はない。
f42ないし55頁は,「PART2ターニングポイント2005
-2006」の章で,43頁には,上記見出しの下に,原告Hが20
05年から2006年にかけてターニングポイントを迎えたことな
どを記述する前文があり,42ないし55頁には,写真甲1-52な
いし65が掲載され,43,45,46,48,51及び53頁には,
それぞれの写真の脇に原告H又は嵐に関する短い記述がある。
g56ないし59頁は,「SPECIALPARTPreciou
sShotsofH」の章で,56及び57頁には,上記見出
しの下に,原告Hのファッションを記述する前文があり,56ないし
59頁には,写真甲1-66ないし72が掲載されている。
h60ないし99頁は,「PART3StarPerformer
2007-2008」の章で,60及び61頁には,上記見出しの下
に,嵐が2007年,2008年に開催されたコンサートで活躍した
ことなどを記述する前文があり,60ないし96頁には,写真甲1-
73ないし129が掲載され,61,67,72,81,85及び9
2頁に,それぞれの写真の脇に原告H又は嵐に関する短い記述がある。
97ないし99頁は,「Column②Change!Chan
ge!Change!」との小見出しのコラムで,3頁にわたり,
写真甲1-130及び132を背景に,原告Hがデビュー当時他の嵐
のメンバーより認知度が低かったこと,2008年に個展を開催して
から舞台やドラマの主役を務め活躍していることなどを記述する文
章があり,写真甲1-131,133ないし135が掲載されている。
しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連
はない。
i100ないし107頁は,「PART4H'sJr.days~
Jr.時代~」の章で,100頁には,上記見出しの下に,Jr.時
代の原告Hが,嵐のメンバーの中で唯一,100人を超えるファンに
取り囲まれる状況を経験していないことなどを記述する前文があり,
100ないし107頁には,写真甲1-136ないし149が掲載さ
れ,107頁には,写真の脇に原告Hに関する短い記述がある。
j108ないし110頁には,「ARASHIPROFILE」との
見出しの下に,嵐のCD,ビデオ/DVD,書籍/写真集,ドラマ/
映画,コンサートの題名等の情報が記載され,写真甲1-150ない
し153が掲載されている。
111頁には,「HPROFILE」との見出しの下に,原告Hの
生年月日,出身地等の情報とともに,原告Hが出演したドラマ,舞台,
ソロコンサートの題名等の情報が記載され,写真甲1-154及び1
55が掲載されている。
k112頁には,奥付と編著者の紹介が記載され,写真甲1-156
ないし160が掲載されている。
l裏表紙には,目次が記載され,写真甲1-161及び162が掲載
されている。
(イ)本件書籍1は,その題名を「Hコンプリートお宝フォトファイル」
とし,表表紙に「秘蔵お宝写真150カットで綴る情熱のメモリー」と
の記載があるように,原告Hを主な被写体とする写真を大量に掲載した
写真集である。
すなわち,本件書籍1は,表紙のほか,112頁全てにわたり,主に
原告Hを被写体とするカラー写真162枚を掲載したものであり,しか
も,頁の大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけのも
のである。そして,各章(「Introduction」,「PART1」
ないし「PART4」及び「SPECIALPART」)の冒頭には
見出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真を掲載した各章の
導入としての意義があるというにとどまり,これを超えて,独立した意
義があるということはできない。また,「Column①」及び「Co
lumn②」の各コラムには比較的まとまった文章があるが,その具体
的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はないから,掲載された
写真が,上記コラムの内容を補足するものということはできず,かえっ
て,本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムは,
本件各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍1は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍1に掲載する行為は,原告
Hの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,
専ら原告Hの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものであ
るから,原告Hのパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上
違法となるというべきである。
イ本件書籍2について
(ア)証拠(甲2)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍2は,「嵐Iコンプリートお宝フォトファイルOmn
is」という題名の,A5判サイズで全112頁の書籍である。
本件書籍2には,その表表紙,裏表紙及び表表紙の袖を含めて,主
に原告Iを被写体とするカラー写真が合計181枚(写真甲2-1な
いし181)掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の
写真が掲載された場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告
は,別紙個別主張一覧表(2)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,
「掲載場所」欄及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各
写真の大きさは,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の
大きさ」の「被告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲2-8
は2頁に,写真甲2-43は28頁の中央に,写真甲2-45は29
頁の右下に,写真甲2-56は38頁に,甲2-81は59頁に,甲
2-95は66頁の左下に,甲2-97は67頁の右下に,甲2-1
67は107頁に掲載されている。)。
b表表紙には,「ARASHI嵐コンプリートお宝フォトファイル
IOmnis」,「秘蔵お宝写真170カットで綴る情熱のメモリ
ー」と記載され,写真甲2-1ないし3が掲載されている。また,本
件書籍2の背表紙には,「嵐ARASHIIコンプリートお宝
フォトファイル」と記載されている。そして,本件書籍2の表表紙の
袖には,写真甲2-4及び5が掲載されている。
c1頁には,「ARASHI嵐コンプリートお宝フォトファイル
IOmnis」と記載され,写真甲2-6及び7が掲載されている。
2,3頁には,「CONTENTSI」との見出しの下に,次のよ
うな目次が掲載され,写真甲2-8及び9が掲載されている。
「●Introduction……………………………………4
●PART1フルスロットルの記憶1999-2005
………………………16
Column①“ヘタレ”が人の心を打つとき
………………………………28
●PART2WithaPassion2006-
2007………………………………………52
Column②パブリックイメージをぶっ壊せ!
………………………………66
●PART3I’sJr.days
~Jr.時代~………………………………82
●PART4未知なる領域へ2008…………………90
●SPECIALPARTPreciousShots
ofI……………104
●PROFILE……………………………………………110」
d4ないし15頁は,「Introduction」の章で,5頁に,
上記見出しの下に,原告Iを紹介する前文があり,4ないし15頁に
は,写真甲2-10ないし27が掲載されている。
e16ないし51頁は,「PART11999-2005フルスロ
ットルの記憶」の章で,16頁には,上記見出しの下に,原告Iの個
性などを記述した前文があり,16ないし27,30ないし51頁に
は,写真甲2-28ないし41,46ないし72が掲載され,17,
18,20ないし24,30,31,36,37,39,40,42,
44ないし48及び51頁には,それぞれの写真の脇に原告I又は嵐
に関する短い記述がある。
28及び29頁は,「Column①“ヘタレ”が人の心を打つと
き」との小見出しのコラムで,2頁にわたり,写真甲2-42及び4
4を背景に,原告Iが運動を苦手としながら努力をしたことなどを説
明する文章があり,写真甲2-43及び45が掲載されている。しか
し,コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はな
い。
f52ないし81頁は,「PART22006-2007With
aPassion」の章で,52頁には,上記見出しの下に,20
06,2007年における原告Iの活躍を記述する前文があり,52
ないし65,68ないし81頁には,写真甲2-73ないし93,9
8ないし119写真が掲載され,53,54,56,58,60,6
5,68,70,72ないし74,78ないし81頁には,それぞれ
の写真の脇に原告I又は嵐に関する短い記述がある。
66及び67頁は,「Column②パブリックイメージをぶっ壊
せ!」との小見出しのコラムで,2頁に渡し,写真甲2-94及び9
6を背景に,原告Iに友人が多いことや原告Iの知的なイメージなど
を記述する文章があり,写真甲2-95及び97が掲載されている。
g82ないし89頁は,「PART3I'sJr.days~Jr.
時代~」の章で,82頁には,上記見出しの下に,ジャニーズJr.
時代の原告Iを記述する前文があり,82ないし89頁には,写真甲
2-120ないし142が掲載され,83,85及び88頁には,そ
れぞれの写真の脇に原告Iに関する短い記述がある。
h90ないし103頁は,「PART42008未知なる領域へ」
の章で,90頁には,上記見出しの下に,2008年における原告I
の活躍を記述する前文があり,90ないし103頁には,写真甲2-
143ないし161が掲載され,90ないし93及び96頁には,そ
れぞれの写真の脇に原告Iに関する短い記述がある。
i104ないし109頁は,「SPECIALPARTPreci
ousShotsofI」の章で,104及び105頁には,
上記見出しの下に,原告Iのファッションを記述する前文があり,1
04ないし109頁には,写真甲2-162ないし171が掲載され,
108頁には,写真の脇に原告Iに関する短い記述がある。
j110頁は,「ARASHIPROFILE」との小見出しのコラ
ムで,嵐のCD,コンサートの題名等の情報が記載され,写真甲2-
172が掲載されている。
111頁には,「IPROFILE」との小見出しの下に,原告I
の生年月日,出身地等の情報とともに,原告Iが出演したドラマ,舞
台,報道番組,ソロコンサート,CMの題名等の情報が記載され,写
真甲2-173及び174が掲載されている。
k112頁には,奥付と同書籍の編著者についての説明が記載され,
写真甲2-175ないし179が掲載されている。
l裏表紙には,目次が記載され,写真甲2-180及び181が掲載
されている。
(イ)本件書籍2は,その題名を「Iコンプリートお宝フォトファイル」
とし,その表表紙に「秘蔵お宝写真170カットで綴る情熱のメモリー」
との記載があるように,原告Iを主な被写体とする写真を大量に掲載し
た写真集である。
すなわち,本件書籍2は,表紙のほか,112頁の全てにわたり,主
に原告Iを被写体とするカラー写真181枚を掲載したものであり,し
かも,その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけの
ものである。そして,各章(「Introduction」,「PART
1」ないし「PART4」及び「SPECIALPART」)の冒頭
には見出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真を掲載した各
章の導入としての意義があるというにとどまり,これを超えて,独立し
た意義があるということはできない。また,「Column①」及び「C
olumn②」の各コラムには比較的まとまった文章があるが,その具
体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はないから,掲載され
た写真が,上記コラムの内容を補足するものということはできず,かえ
って,本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラム
は,本件各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍2は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍2に掲載する行為は,原告
Iの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,
専ら原告Iの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものであ
るから,原告Iのパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上
違法となるというべきである。
ウ本件書籍3について
(ア)証拠(甲3)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍3は,「嵐Jコンプリートお宝フォトファイルAppa
ssionata」という題名の,A5判サイズで全112頁の書籍
である。
本件書籍3には,その表表紙,裏表紙及び表表紙の袖を含めて,原
告Jを被写体とするカラー写真が合計182枚(写真甲3-1ないし
182)掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の写真
が掲載された場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告は,
別紙個別主張一覧表(3)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,「掲
載場所」欄及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各写真
の大きさは,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の大き
さ」の「被告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲3-20に
写っているのは原告J及び原告Kであり,写真甲3-21に写ってい
るのは原告Jのみである。また,写真甲3-50は32頁の左下に,
写真甲3-52は33頁の右下に,写真甲3-83は56頁に,写真
甲3-128は86頁の左下に,写真甲3-130は87頁の中央に,
写真甲3-143は95頁に掲載されている。)。
b表表紙には,「嵐ARASHIコンプリートお宝フォトファイル
JAppassionata」,「秘蔵お宝写真170カットで綴る
情熱のメモリー」と記載され,写真甲3-1ないし3が掲載されてい
る。また,背表紙には,「嵐ARASHIJコンプリートお宝
フォトファイル」と記載されている。そして,表表紙の袖には,写真
甲3-4及び5が掲載されている。
c1頁には,「嵐ARASHIコンプリートお宝フォトファイル
JAppassionata」と記載され,写真甲3-6及び7が
掲載されている。
2頁には,「CONTENTSJ」との見出しの下に,次のような
目次が記載されて,写真甲3-8が掲載され,3頁には,写真甲3-
9が掲載されている。
「●Introduction……………………………………4
●PART1雑草魂の航跡1999-2003………18
Column①怖いものはない,さあ前を向け!
………………………………32
●PART2飛躍のとき2004-2006…………46
●SPECIALPARTPreciousShots
ofJ………64
●PART3目の前に君の時代が!2007-2008
………………………68
Column②嵐の“肝”を握る男………86
●PART4J'sJr.days
~Jr.時代~……………………………102
●PROFILE……………………………………………110」
d4ないし17頁は,「Introduction」の章で,5頁に,
上記見出しの下に,原告Jを紹介する前文があり,4ないし17頁に
は,写真甲3-10ないし29が掲載されている。
e18ないし31頁は,「PART11999-2003雑草魂の
航跡」の章で,18頁には,上記見出しの下に,原告Jの性格などを
記述した前文があり,18ないし31,34ないし45頁には,写真
甲3-30ないし48,53ないし68が掲載され,19ないし24,
27,31,34,36,40,44及び45頁には,それぞれの写
真の脇に原告J又は嵐に関する短い記述がある。
32及び33頁は,「Column①怖いものはない,さあ前を向
け!」との小見出しのコラムで,2頁にわたり,写真甲3-49及び
51を背景に,原告Jが出演したテレビ番組にどのように取り組んで
いたかなどを記述する文章があり,写真甲3-50及び52が掲載さ
れている。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に
格別の関連はない。
f46ないし63頁は,「PART22004-2006飛躍のと
き」の章で,46頁には,上記見出しの下に,原告Jが2004年以
降,出演するテレビ番組をきっかけに単独での仕事を増やしたことな
どを記述する前文があり,46ないし63頁には,写真甲3-69な
いし94が掲載され,46ないし48,50,51,53,57及び
63頁には,それぞれの写真の脇に原告J又は嵐に関する短い記述が
ある。
g64ないし67頁は,「SPECIALPARTPreciou
sShotsofJ」の章で,64及び65頁には,上記見出
しの下に,原告Jのファッションを記述する前文があり,64ないし
67頁には,写真甲3-95ないし100が掲載され,65頁には,
写真の脇に原告Jに関する短い記述がある。
h68ないし101頁は,「PART32007-2008目の前
に君の時代が!」の章で,68頁には,上記見出しの下に,2007,
2008年における原告Jの活動を記述する前文があり,68ないし
85,88ないし101頁には,写真甲3-101ないし126,1
31ないし154が掲載され,69,72,74,78,80,85,
88,89,93,94,97及び101頁には,それぞれの写真の
脇に原告J又は嵐に関する短い記述がある。
86及び87頁は,「Column②嵐の“肝”を握る男」との小
見出しのコラムで,2頁にわたり,写真甲3-127及び129を背
景に,原告Jの人柄やその魅力などを記述する文章があり,写真甲3
-128及び130が掲載されている。しかし,コラムの具体的な内
容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
i102ないし109頁は,「PART4J'sJr.days~
Jr.時代~」の章で,102頁には,上記見出しの下に,ジャニー
ズJr.時代の原告Jを記述する前文があり,102ないし109頁
には,写真甲3-155ないし172が掲載され,102,104及
び108頁には,それぞれの写真の脇に原告Jに関する短い記述があ
る。
j110頁には,「ARASHIPROFILE」との小見出しの下
に,嵐のCDのタイトルやコンサートの題名等の情報が記載され,写
真甲3-173が掲載されている。
111頁には,「JPROFILE」との小見出しの下に,原告J
の生年月日,出身地等の情報とともに,原告Jが出演したドラマ,映
画,舞台,CMの題名等の情報が記載され,写真甲3-174及び1
75が掲載されている。
k112頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲3
-176ないし180が掲載されている。
l裏表紙には,目次が記載され,写真甲3-181及び182が掲載
されている。
(イ)本件書籍3は,その題名を「Jコンプリートお宝フォトファイル」
とし,その表表紙に「秘蔵お宝写真170カットで綴る情熱のメモリー」
との記載があるように,原告Jを被写体とする写真を大量に掲載した写
真集である。
すなわち,本件書籍3は,表紙のほか,112頁全てにわたり,原告
Jを被写体とするカラー写真182枚を掲載したものであり,しかも,
その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけのもので
ある。そして,各章(「Introduction」,「PART1」な
いし「PART4」及び「SPECIALPART」)の冒頭には見
出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真を掲載した各章の導
入としての意義があるというにとどまり,これを超えて,独立した意義
があるということはできない。また,「Column①」及び「Col
umn②」の各コラムには比較的まとまった文章があるが,その具体的
な内容と掲載された写真との間に格別の関連はないから,掲載された写
真が,上記コラムの内容を補足するものということはできず,かえって,
本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムは,本
件各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍3は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍3に掲載する行為は,原告
Jの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,
専ら原告Jの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものであ
るから,原告Jのパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上
違法となるというべきである。
エ本件書籍4について
(ア)証拠(甲4)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍4は,「嵐Kコンプリートお宝フォトファイルInfi
nity」という題名の,A5判サイズで全112頁の書籍である。
本件書籍4には,その表表紙,裏表紙及び表表紙の袖を含めて,主
に原告Kを被写体とするカラー写真が合計180枚(写真甲4-1な
いし180)掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の
写真が掲載された場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告
は,別紙個別主張一覧表(4)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,
「掲載場所」欄及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各
写真の大きさは,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の
大きさ」欄の「被告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲4-
27は16頁に,写真甲4-37は25頁に,写真甲4-49は34
頁の中央に,写真甲4-51は35頁の右下に,写真甲4-58は4
3頁に,写真甲4-83は58,59頁の上に,写真甲4-85は5
9頁の上に,写真甲4-86は59頁の下に,写真甲4-97は66
頁に,写真甲4-99は67頁に,写真甲4-125は84頁の中央
に,写真甲4-127は85頁の右下に掲載されている。また,写真
甲4-120の大きさは「D」である。)。
b表表紙には,「嵐ARASHIコンプリートお宝フォトファイル
KInfinity」,「秘蔵お宝写真160カットで綴る情熱のメ
モリー」と記載され,写真甲4-1ないし3が掲載されている。また,
背表紙には,「嵐ARASHIKコンプリートお宝フォトファ
イル」と記載されている。そして,表表紙の袖には,写真甲4-4及
び5が掲載されている。
c1頁には,「嵐ARASHIコンプリートお宝フォトファイル
KInfinity」と記載され,写真4-6及び7が掲載されて
いる。
2及び3頁には,「CONTENTSK」との見出しの下に,次の
ような目次が掲載され,写真甲4-8及び9が掲載されている。
「●Introduction……………………………………4
●PART1挑戦の軌跡1999-2003…………10
Column①半端モンから一途な男に…34
●PART2UpandComing2004-
2006………………………………………40
●SPECIALPARTPreciousShots
ofK…56
●PART3新境地への飛翔2007-2008……62
Column②コントが見たい!………84
●PART4K'sJr.days
~Jr.時代~……………………………102
●PROFILE……………………………………………110」
d4ないし9頁は,「Introduction」の章で,5頁に,上
記見出しの下に,原告Kを紹介する前文があり,4ないし9頁には,
写真甲4-10ないし21が掲載されている。
e10ないし33頁は,「PART1挑戦の軌跡1999-200
3」の章で,10頁には,上記見出しの下に,デビュー当時の原告K
を記述した前文があり,10ないし33,36ないし39頁には,写
真甲4-22ないし47,52ないし54が掲載され,10,11,
13,14,16ないし19,22ないし24,26ないし28,3
7ないし39頁には,それぞれの写真の脇に原告K又は嵐に関する短
い記述がある。
34及び35頁は,「Column①半端モンから一途な男に」と
の小見出しのコラムで,2頁にわたり,写真甲4-48及び50を背
景に,原告Kの率直な性格などを記述する文章があり,写真甲4-4
9及び51が掲載されている。しかし,コラムの具体的な内容と掲載
された写真との間に格別の関連はない。
f40ないし55頁は,「PART22004-2006Upa
ndComing」の章で,40頁には,上記見出しの下に,原告
Kの問題解決能力の高さなどを記述する前文があり,40ないし55
頁には,写真甲4-55ないし78が掲載され,40,41,43な
いし47,49,50,53及び55頁には,それぞれの写真の脇に
原告K又は嵐に関する短い記述がある。
g56ないし61頁は,「SPECIALPARTPreciou
sShotsofK」の章で,56及び57頁には,上記見出
しの下に,原告Kのファッションを記述する前文があり,56ないし
61頁には,写真甲4-79ないし91が掲載され,59頁には,写
真の脇に原告Kに関する短い記述がある。
h62ないし83頁は,「PART32007-2008新境地へ
の飛翔」の章で,62頁には,上記見出しの下に,2007,200
8年における原告Kの活動を記述する前文があり,62ないし83,
86ないし101頁には,写真甲4-92ないし123,128ない
し149が掲載され,62,66,67,70,78ないし80,8
2,83,86,97及び100頁には,それぞれの写真の脇に原告
K又は嵐に関する短い記述がある。
84及び85頁は,「Column②コントが見たい!」との小見
出しのコラムで,2頁にわたり,写真甲4-124及び126を背景
に,役者としての原告Kのスタイルなどを記述する文章があり,写真
甲4-125及び127が掲載されている。しかし,コラムの具体的
な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
i102ないし109頁は,「PART4~Jr.時代~K'sJ
r.days」の章で,102頁には,上記見出しの下に,ジャニー
ズJr.時代の原告Kを記述する前文があり,102ないし109頁
には,写真甲4-150ないし170が掲載され,103,107,
108頁には,それぞれの写真の脇に原告Kに関する短い記述がある。
j110頁には,「ARASHIPROFILE」との見出しの下に,
嵐のCDのタイトルやコンサートの題名等の情報が記載され,写真甲
4-171が掲載されている。
111頁には,「KPROFILE」との見出しの下に,原告Kの
生年月日,出身地等の情報とともに,原告Kが出演したドラマ,映画,
舞台,CMの題名等の情報が記載され,写真甲4-172及び173
が掲載されている。
k112頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲4
-174ないし178が掲載されている。
l裏表紙には,目次が記載され,写真甲4-179及び180が掲載
されている。
(イ)本件書籍4は,その題名を「Kコンプリートお宝フォトファイル」
とし,その表表紙に「秘蔵お宝写真160カットで綴る情熱のメモリー」
との記載があるように,原告Kを被写体とする写真を大量に掲載した写
真集である。
すなわち,本件書籍4は,表紙のほか,112頁全てにわたり,主に
原告Kを被写体とするカラー写真180枚を掲載したものであり,しか
も,その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけのも
のである。そして,各章(「Introduction」,「PART1」
ないし「PART4」及び「SPECIALPART」)の冒頭には
見出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真を掲載した各章の
導入としての意義があるというにとどまり,これを超えて,独立した意
義があるということはできない。また,「Column①」及び「Co
lumn②」の各コラムには比較的まとまった文章があるが,その具体
的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はないから,掲載された
写真が,上記コラムの内容を補足するものということはできず,かえっ
て,本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムは,
本件各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍4は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍4に掲載する行為は,原告
Kの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し
て,専ら原告Kの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするもので
あるから,原告Kのパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法
上違法となるというべきである。
オ本件書籍5について
(ア)証拠(甲5)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍5は,「嵐Lコンプリートお宝フォトファイルThe
Tops」という題名の,A5判サイズで全112頁の書籍である。
本件書籍5には,その表表紙,裏表紙及び表表紙の袖を含めて,主
に原告Lを被写体とするカラー写真が合計180枚(写真甲5-1な
いし180)掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の
写真が掲載された場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告
は,別紙個別主張一覧表(5)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,
「掲載場所」欄及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各
写真の大きさは,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の
大きさ」欄の「被告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲5-
47は28頁の中央に,写真甲5-49は29頁の左下に,写真甲5
-106は68頁の左下に,写真甲5-107は68頁の右下に,写
真甲5-108は69頁の下に,写真甲5-138は88頁の左下に,
写真甲5-140は89頁の左下に掲載されている。また,写真甲5
-34の大きさは「B」であり,写真甲5-38の大きさは「B」で
ある。)。
b表表紙には,「ARASHI嵐コンプリートお宝フォトファイル
LTheTops」,「秘蔵お宝写真170カットで綴る情熱のメ
モリー」と記載され,写真甲5-1ないし3が掲載されている。また,
背表紙には,「嵐ARASHILコンプリートお宝フォトファ
イル」と記載されている。そして,表表紙の袖には,写真甲5-4及
び5が掲載されている。
c1頁には,「ARASHI嵐コンプリートお宝フォトファイル
LTheTops」,「秘蔵お宝写真170カットで綴る情熱のメ
モリー」と記載され,写真甲5-6及び7が掲載されている。
2頁には,「CONTENTSL」との見出しの下に,次のような
目次が記載されて,写真甲5-8が掲載され,3頁には,写真甲5-
9が掲載されている。
「●Introduction……………………………………4
●PART1躍動の軌跡1999-2001…………14
Column①生一本……………………28
●PART2トップアイドルの挑戦2002-2006
……………………………………………………42
●PART3L’sJr.days
~Jr.時代~………………………………56
●PART4Dothebest2007-2008
…………………………………………………64
Column②役者の本領………………88
●SPECIALPARTPreciousShots
ofL……………106
●PROFILE……………………………………………110」
d4ないし13頁は,「Introduction」の章で,5頁には,
上記見出しの下に,原告Lを紹介する前文があり,4ないし13頁に
は,写真甲5-10ないし27が掲載されている。
e14ないし41頁は,「PART1躍動の軌跡1999-200
1」の章で,14頁には,上記見出しの下に,嵐がデビュー直後から
破格の扱いだったことなどを記述する前文があり,14ないし27,
30ないし41頁には,写真甲5-28ないし45,50ないし64
が掲載され,14ないし17,19ないし21,23,26,30,
33及び34頁には,それぞれの写真の脇に原告L又は嵐に関する短
い記述がある。
28及び29頁は,「Column①生一本」との小見出しのコラ
ムで,2頁にわたり,写真甲5-46及び48を背景に,原告Lの一
本気な性格などを記述する文章があり,写真甲5-47及び49が掲
載されている。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真との
間に格別の関連はない。
f42ないし55頁は,「PART22002-2006トップア
イドルの挑戦」の章で,42頁には,上記見出しの下に,2002年
以降における原告Lの活躍などを記述する前文があり,42ないし5
5頁には,写真甲5-65ないし86が掲載され,42ないし44,
46ないし48,50,51,53ないし55頁には,それぞれの写
真の脇に原告L又は嵐に関する短い記述がある。
g56ないし63頁は,「PART3L'sJr.days~J
r.時代~」の章で,56頁には,見出しの下,ジャニーズJr.時
代の原告Lを記述する前文があり,56ないし63頁には,写真甲5
-87ないし100が掲載され,57,58及び60頁には,それぞ
れの写真の脇に原告Lに関する短い記述がある。
h64ないし105頁は,「PART4Dothebest2
007-2008」の章で,64頁には,上記見出しの下に,200
7,2008年における嵐の活躍などを記述する前文があり,64な
いし87,90ないし105頁には,写真甲5-101ないし136,
141ないし162が掲載され,65,69,71,77,82,8
3,90,92,95,101,104及び105頁には,それぞれ
の写真の脇に原告Lに関する短い記述がある。
88及び89頁は,「Column②役者の本領」との小見出しの
コラムで,2頁にわたり,写真甲5-137及び139を背景に,役
者としての原告Lの評価などなどを記述する文章があり,写真甲5-
138及び140が掲載されている。しかし,コラムの具体的な内容
と掲載された写真との間に格別の関連はない。
i106ないし109頁は,「SPECIALPARTPreci
ousShotsofL」の章で,106及び107頁には,
上記見出しの下に,原告Lのファッションを記述する前文があり,1
06ないし109頁には,写真甲5-163ないし170が掲載され,
109頁には,写真の脇に原告Lに関する短い記述がある。
j110頁は,「ARASHIPROFILE」との小見出しの下に,
嵐のCDのタイトルやコンサートの題名等の情報が記載され,写真甲
5-171が掲載されている。
111頁には,「LPROFILE」との見出しの下に,原告Lの
生年月日,出身地等の情報とともに,原告Lが出演したドラマ,映画,
舞台,CMの題名等の情報が記載され,写真甲5-172及び173
が掲載されている。
k112頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲5
-174ないし178が掲載されている。
l裏表紙には,目次が記載され,写真甲5-179及び180が掲載
されている。
(イ)本件書籍5は,その題名を「Lコンプリートお宝フォトファイル」
とし,その表表紙に「秘蔵お宝写真170カットで綴る情熱のメモリー」
との記載があるように,原告Lを被写体とする写真を大量に掲載した写
真集である。
すなわち,本件書籍5は,表紙のほか,112頁全てにわたり,原告
Lを被写体とするカラー写真180枚を掲載したものであり,しかも,
その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけのもので
ある。そして,各章(「Introduction」,「PART1」な
いし「PART4」及び「SPECIALPART」)の冒頭には見
出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真を掲載した各章の導
入としての意義があるというにとどまり,これを超えて,独立した意義
があるということはできない。また,「Column①」及び「Col
umn②」の各コラムには比較的まとまった文章があるが,その具体的
な内容と掲載された写真との間に格別の関連はないから,掲載された写
真が,上記コラムの内容を補足するものということはできず,かえって,
本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムは,本
件各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍5は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍5に掲載する行為は,原告
Lの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,
専ら原告Lの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものであ
るから,原告Lのパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上
違法となるというべきである。
カ本件書籍6について
(ア)証拠(甲6)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍6は,「嵐お宝フォトBOOKBIGWAVE」とい
う題名の,A5判サイズで全128頁の書籍である。
本件書籍6には,その表表紙,表表紙の袖,裏表紙及び裏表紙の袖
を含めて,嵐のメンバーである原告H,原告I,原告J,原告K又は
原告Lを被写体とする写真がカラーで227枚,白黒で15枚合計2
42枚(写真甲6-1ないし242。写真甲6-222ないし236
が白黒写真であり,そのほかがカラー写真である。)の写真が掲載さ
れており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の写真が掲載された場
合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告は,別紙個別主張一
覧表(6)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,「掲載場所」欄及び
「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各写真の大きさは,同
表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の大きさ」欄の「被告」
欄に記載のとおりである(ただし,写真甲6-69の大きさは「D」,
写真甲6-157の大きさは「E」,写真甲6-209の大きさは「D」
である。)。
b表表紙には,「嵐ARASHIお宝フォトBOOKBIGW
AVE」,「永久保存版」,「お宝フォト全220カットで綴る“嵐”そ
れぞれの成長の軌跡」と記載され,写真甲6-1ないし5が掲載され
ている。また,背表紙には,「嵐ARASHIお宝フォトBOO
KBIGWAVE」,「永久保存版」と記載されている。そして,
表表紙の袖には,写真甲6-6ないし10が掲載されている。
c1頁には,「嵐ARASHIお宝フォトBOOKBIGWA
VE」,「永久保存版」,「お宝フォト全220カットで綴る“嵐”それ
ぞれの成長の軌跡」と記載され,写真甲6-11ないし15が掲載さ
れている。
2頁には「CONTENTS」との見出しの下に,次のような目次
が記載され,2及び3頁には写真甲6-16が掲載されている。
「●Intoroduction4
●Wave1J12
バラエティの救世主!?
●Wave2K32
アイドルは観察がお好き?
●Wave3L52
世界のファンを魅了しろ!
●Wave4H72
異色のリーダー
●Wave5I88
知性がピカイチ!
●Wave6嵐の軌跡108
★CompleteProfile1994~2007
124」
d4ないし11頁は,「Introduction」の章で,4及び5
頁には,「Introduction2007嵐,ドーム上
陸!!」との見出しの下に,2007年における嵐の東京ドーム公演
を記述する前文があり,4ないし11頁には,写真甲6-17ないし
24が掲載されている。
e12ないし31頁は,「WAVE1J」の章で,12頁には,上記
見出しの下に,生年月日等の情報や原告Jを紹介する前文があり,末
尾に「バラエティの救世主!?」との記載がある。そして,12ない
し31頁には,写真甲25ないし65が掲載され,13ないし17,
23,24及び26頁には,それぞれの写真の脇に原告Jに関する短
い記述がある。
18頁には,「天然ボケのパイオニア」との小見出しのコラムがあり,
原告Jの天然ぼけのキャラクターなどを記述する文章がある。また,
28頁には,「Aの嵐!」との小見出しのコラムがあり,原告Jのテ
レビ番組での活躍などについて述べる文章が掲載されている。しかし,
コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
f32ないし51頁は「WAVE2K」の章で,32頁には,上記
見出しの下に,生年月日等の情報や原告Kを紹介する前文があり,末
尾に「アイドルは観察がお好き?」との記載がある。そして,32な
いし51頁には,写真甲6-66ないし107が掲載され,33,3
4,36ないし39,44ないし47頁には,それぞれの写真の脇に
原告Kに関する短い記述がある。
40頁には,「和製ジェームス・ディーン?」との小見出しのコラム
があり,役者としての原告Kについて記述する文章がある。また,4
9頁には,「時代にフィットした「省エネ主義」」との小見出しのコラ
ムがあり,原告Kの性格などを記述する文章がある。しかし,コラム
の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
g52ないし71頁は,「WAVE3L」の章で,53頁には,上記
見出しの下に,生年月日等の情報や原告Lを紹介する前文があり,末
尾に「世界のファンを魅了しろ!」との記載がある。そして,52な
いし71頁には,写真甲6-108ないし148が掲載され,52,
54,55,57,63,65及び66頁には,それぞれの写真の脇
に原告Lに関する短い記述がある。
58頁には,「スペオキ中のスペオキ」との小見出しのコラムがあり,
役者としての原告Lの成長などを記述する文章がある。また,69頁
には,「嵐の減らず口大王」との小見出しのコラムがあり,原告Lの
性格などを記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と掲
載された写真との間に格別の関連はない。
h72ないし87頁は,「WAVE4H」の章で,72頁には,上記
見出しの下に,生年月日等の情報や原告Hを紹介する前文があり,末
尾に「異色のリーダー」との記載がある。そして,72ないし87頁
には,写真甲6-149ないし181が掲載され,74,75,80
ないし83頁には,それぞれの写真の脇に原告Hに関する短い記述が
ある。
77頁には,「Hといったら……」との小見出しのコラムがあり,原
告Hの描画の才能などを記述する文章がある。また,85頁には,「キ
ャプテンシップを取れ!」との小見出しのコラムがあり,原告Hのリ
ーダーとしての在り方などを記述する文章がある。しかし,コラムの
具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
i88ないし107頁は,「WAVE5I」の章で,88頁には,上
記見出しの下に,生年月日等の情報や原告Iを紹介する前文があり,
末尾に「知性がピカイチ!」との記載がある。そして,88ないし1
07頁には,写真甲6-182ないし221が掲載され,90,91,
93,99ないし103頁には,それぞれの写真の脇に原告Iに関す
る短い記述がある。
94頁には,「果てしなきチャレンジャー」との小見出しのコラムが
あり,原告Iが様々なことに挑戦していることなどを記述する文章が
ある。また,104頁には,「でっかく広がれ,友達の輪!」との小
見出しのコラムがあり,原告Iの友人との関係などを記述する文章が
ある。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別
の関連はない。
j108ないし123頁は,「WAVE6嵐の軌跡」の章で,上記見
出しの下に,109ないし123頁には,嵐のデビューから2007
年までの活躍などを記述する文章があり,108,109,111,
113,115,117,119,121及び122頁には,写真甲
6-222ないし231が掲載されている。しかし,文章の具体的な
内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
k124ないし127頁は,「嵐CompleteProfile
1994~2007」の章で,上記見出しの下に,124及び125
頁には,嵐に関する1999年から2006年までの主な出来事,嵐
のCD,ビデオ,DVD,書籍,写真集のタイトル等や嵐が出演した
ドラマ,映画,コンサートの題名等の情報が記載され,126及び1
27頁には,原告J,原告K,原告L,原告H及び原告Iのそれぞれ
について,生年月日,出身地等の情報のほか,出演したドラマ,映画,
舞台,CM,ソロコンサート等の情報が記載されている。そして,1
24及び127頁には,写真甲6-232及び233が掲載されてい
る。
l128頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲6
-234ないし236が掲載されている。
m裏表紙には,「嵐ARASHIお宝フォトBOOKBIGW
AVE」と記載され,写真甲6-242が掲載されている。そして,
裏表紙の袖には,写真甲6-237ないし241写真が掲載されてい
る。
(イ)本件書籍6は,その題名を「嵐お宝フォトBOOKBIGW
AVE」とし,その表表紙に「お宝フォト全220カットで綴る“嵐”
それぞれの成長の軌跡」との記載があるように,嵐のメンバーである原
告H,原告I,原告J,原告K及び原告Lを被写体とする写真を大量に
掲載した写真集である。
すなわち,本件書籍6は,表紙のほか,全128頁のうち119頁に
わたり,上記原告らを被写体とする写真242枚(そのうち227枚が
カラー写真である。)を掲載したものであり,しかも,その大部分は,
写真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけのものである。そして,
各章(「Introduction」,「WAVE1」ないし「WAVE
5」)の冒頭には見出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真
を掲載した各章,各「Chapter」の導入としての意義があるとい
うにとどまり,これを超えて,独立した意義があるということはできな
い。また,「WAVE1」ないし「WAVE5」の各章には二つずつの
コラムに比較的まとまった文章があり,「WAVE6」の章には15頁
にわたる嵐の活躍などを記述する文章があるが,その具体的な内容と掲
載された写真との間に格別の関連はないから,掲載された写真が,上記
コラムや記事の内容を補足するものということはできず,かえって,本
件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムや記事は,
本件各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍6に掲載する行為は,原告
H,原告I,原告J,原告K及び原告Lの肖像等それ自体を独立して鑑
賞の対象となる商品等として使用し,専ら上記原告らの肖像等の有する
顧客吸引力の利用を目的とするものであるから,上記原告らのパブリシ
ティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となるというべきであ
る。
キ本件書籍7について
(ア)証拠(甲7)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍7は,「KAT-TUNN&Mコンプリートお宝フォト
ファイルBrilliant」という題名の,A5判サイズで全1
12頁の書籍である。
本件書籍7には,その表表紙,裏表紙,表表紙の袖及び裏表紙の袖
を含めて,主に原告N又は原告Mを被写体とするカラー写真が合計1
92枚(写真甲7-1ないし182,185,187,189ないし
196)掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の写真
が掲載された場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告は,
個別主張一覧表(7)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,「掲載場
所」欄及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各写真の大
きさは,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の大きさ」
欄の「被告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲7-169の
大きさは「D」である。)。
b表表紙には,「KAT-TUNN&Mコンプリートお宝フォトフ
ァイルBrilliant」,「永久保存版」,「Jr.時代からメジ
ャーデビューまで,お宝190カットでつづる成長の軌跡」と記載さ
れ,写真甲7-1及び2が掲載されている。また,背表紙には,「K
AT-TUNN&Mコンプリートお宝フォトファイル」と記載さ
れている。そして,本件書籍7の表表紙の袖には,写真甲7-3が掲
載されている。
c1頁には,「KAT-TUNN&Mコンプリートお宝フォトファ
イルBrilliant」,「永久保存版」との記載があり,写真甲
4ないし6が掲載されている。
2頁には,「ContentsN」との見出しの下に,次のような
目次が記載され,写真甲7-7が掲載されている。
「Introduction4
PART1〈軌跡〉オンリー・ワン10
PART2〈オリキ時間〉ナル&ナル28
PART3スクール&フレンズ46
Column1N,変節す17
Column2アドレナリンが止まらない!!33
Column3愛を感じる男…41
Column4ポーカーがめちゃくちゃ強いわけ48
Column5恐怖のアクセ54
N語録①~④19/23/36/44」
3頁には,「ContentsM」との見出しの下に,次のような
目次が記載され,写真甲7-8が掲載されている。
「Introduction56
PART1〈軌跡〉マイ・ウェイ64
CAP&HAT76
PART2〈オリキ時間〉スィート&テンダー86
PART3オフ&フレンズ94
Column1知らぬは本人ばかりなり69
Column2Oとキス79
Column3無常観…って!?90
Column4すばるに「オラオラ」99
Column5オヤジ106
M語録①~④70/82/97/103
KAT-TUNPROFILE110」
d4ないし9頁には,「Introduction」との章で,4及び
5頁には,頁の約半分を占める大きな文字で「N」と記載され,「N
Introduction」との見出しの下に,原告Nを紹介する前
文があり,4ないし9頁には,写真甲7-9ないし13が掲載されて
いる。
e10ないし27頁は,「NNPART1〈軌跡〉オンリー・ワ
ン」の章で,11頁には,上記見出しの下に,原告Nの髪型を記述す
る前文があり,10ないし16,18ないし27頁には,写真甲7-
14ないし46が掲載され,11,12,14ないし16,19,2
4ないし26頁には,それぞれの写真の脇に原告Nに関する短い記述
がある。
17頁には,「Column1N,変節す」との小見出しの下に,
原告Nがかつてある歌手を意識していたことなどを記述する文章が
ある。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別
の関連はない。
19及び23頁には,「N語録」と題する,原告Nや他のKAT-T
UNのメンバーの発言の体裁をとった短い文章から成る囲み記事が
ある。しかし,記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の
関連はない。
f28ないし45頁は,「NNPART2〈オリキ時間〉ナル&
ナル」の章で,28頁には,上記見出しの下に,原告Nとそのファン
との関係を記述する前文があり,28ないし32,34ないし40,
42ないし45頁には,写真甲7-47ないし74が掲載され,29
ないし32,34,36,38,42及び44頁には,それぞれの写
真の脇に原告Nに関する短い記述がある。
33頁には,「Column2アドレナリンが止まらない!!」と
の小見出しの下に,原告Nがけんか早いことなどを記述する文章があ
り,41頁には,「Column3愛を感じる男…」との小見出し
の下に,原告Nが苦労して高校に通学したことなどを記述する文章が
ある。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別
の関連はない。
36及び44頁には,「N語録」と題する,前述の囲み記事があるが,
記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
g46ないし55頁は,「NNPART3スクール&フレンズ」
の章で,46頁には,上記見出しの下に,原告Nの高校への通学を記
述する前文があり,46,47,49ないし55頁には,写真甲7-
75ないし92が掲載され,52及び53頁には,それぞれの写真の
脇に原告Nに関する短い記述がある。
48頁には,「Column4ポーカーがめちゃくちゃ強いわけ」
との小見出しの下に,原告Nが髪型の変更を繰り返したことなどを記
述する文章があり,54及び55頁には,「Column5恐怖の
アクセ」との小見出しの下に,原告Nのアクセサリー,中でもとげを
基調としたブレスレットとネックレスにまつわるエピソードなどを
記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写
真との間に格別の関連はない。
h56ないし59頁は,「Introduction」の章で,57頁
には,頁の約半分を占める大きな文字で「M」と記載され,「MI
ntroduction」との見出しの下に,原告Mを紹介する前文
があり,56,58ないし63頁には,写真甲7-93ないし99が
掲載されている。
i64ないし85頁は,「MMPART1〈軌跡〉マイ・ウェイ」
の章で,64頁には,上記見出しの下に,原告Mについて記述する前
文があり,64ないし68,70ないし78,80ないし85頁には,
写真甲7-100ないし138が掲載され,65ないし67,70な
いし78,80ないし82及び85頁には,それぞれの写真の脇に原
告Mに関する短い記述がある。
70及び82頁には,「M語録」と題する,原告Mや他のKAT-T
UNのメンバーの発言の体裁をとった短い文章から成る囲み記事が
あるが,記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連は
ない。
76頁には,「CAP&HAT」との小見出しの下に,原告Mの帽子
について記述する前文があり,写真甲7-121ないし128は,帽
子を着用した原告Mを被写体とするものである。
69頁には,「Column1知らぬは本人ばかりなり」との小見
出しの下に,原告Mのギターの腕前などを記述する文章があり,79
頁には,「Column2Oとキス」との小見出しの下に,原告M
と原告Oの仲が良いことなどを記述する文章がある。しかし,コラム
の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
j86ないし93頁は,「MMPART2〈オリキ時間〉スィー
ト&テンダー」の章で,86頁には,上記見出しの下に,原告Mとそ
のファンとの関係を記述する前文があり,86ないし93頁には,写
真甲7-139ないし153が枚掲載され,87,89ないし92頁
には,それぞれの写真の脇に原告Mに関する短い記述がある。
90及び91頁には,「Column3無常観…って!?」との小
見出しの下に,原告Mに詩人のようなところがあることなどを記述す
る文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真との
間に格別の関連はない。
k94ないし109頁は「MMPART3オフ&フレンズ」の
章で,94頁には,上記見出しの下に,原告Mの交友関係を記述する
前文があり,94ないし98,100ないし105,107ないし1
09頁には,写真甲7-154ないし180が掲載され,95ないし
98,100ないし104頁には,それぞれの写真の脇に原告Mに関
する短い記述がある。
97及び103頁には「M語録」と題する,前述の囲み記事がある
が,記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
99頁には,「Column4すばるに「オラオラ」」との小見出
しの下に,原告Mに注意力に欠けるところがあることなどを記述する
文章があり,106頁には,「Column5オヤジ」との小見出
しの下に,原告Mの家族のことなどを記述する文章がある。しかし,
コラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
l110及び111頁には,「KAT-TUNPROFILE19
98-2006」との見出しの下に,KAT-TUNに関する199
8年から2006年までの主な出来事が記載され,写真甲7-181
ないし188が掲載されている。
m112頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲7
-189ないし194が掲載されている。
n裏表紙には,「KAT-TUNN&Mコンプリートお宝フォトフ
ァイルBrilliant」と記載され,写真甲7-196が掲載
されている。また,同裏表紙の袖には,写真甲7-195が掲載され
ている。
(イ)本件書籍7は,その題名を「KAT-TUNN&Mコンプリー
トお宝フォトファイル」とし,その表表紙に「Jr.時代からメジャー
デビューまで,お宝190カットでつづる成長の軌跡」との記載がある
ように,原告N又は原告Mを被写体とする写真を大量に掲載した写真集
である。
すなわち,本件書籍7は,表紙のほか,全112頁のうち103頁に
わたり,原告N又は原告Mを被写体とするカラー写真192枚を掲載し
たものであり,しかも,その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記
述を添えただけのものである。そして,原告N及び原告Mについての各
章(「Introduction」,「PART1」ないし「PART3」)
や原告Mについての「CAP&HAT」の冒頭には見出しとともに前文
があるが,いずれの前文も,写真を掲載した各章等の導入としての意義
があるというにとどまり,これを超えて,独立した意義があるというこ
とはできない。また,原告N及び原告Mそれぞれの「Column1」
ないし「Column5」の各コラムや「N語録」又は「M語録」と題
する囲み記事には比較的まとまった文章があるが,その具体的な内容と
掲載された写真との間に格別の関連はないから,掲載された写真が,上
記コラムや記事の内容を補足するものということはできず,かえって,
本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムや記事
は,本件各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍7は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍7に掲載する行為は,原告
N及び原告Mの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等と
して使用し,専ら上記原告らの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的
とするものであり,上記原告らのパブリシティ権を侵害するものとして,
不法行為法上違法となるというべきである。
ク本件書籍8について
(ア)証拠(甲8)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍8は,「KAT-TUNP&Oコンプリートお宝フォト
ファイルAmazing!」という題名の,A5判サイズで全11
2頁の書籍である。
本件書籍8には,その表表紙,裏表紙,表表紙の袖及び裏表紙の袖
を含めると,主に原告P又は原告Oを被写体とするカラー写真が合計
193枚(写真甲8-1ないし180,183ないし185,188
ないし197)掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数
の写真が掲載された場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原
告は,別紙個別主張一覧表(8)の「原告らの主張」の「掲載ページ」
欄,「掲載場所」欄及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,
各写真の大きさは,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真
の大きさ」欄の「被告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲8
-59の大きさは「D」である。)。
b表表紙には,「KAT-TUNP&Oコンプリートお宝フォトフ
ァイルAmazing!」,「永久保存版」,「Jr.時代からメジャ
ーデビューまで,お宝180カットでつづる成長の軌跡」と記載され,
写真甲8-1及び2が掲載されている。また,背表紙には,「KAT
-TUNP&Oコンプリートお宝フォトファイル」と記載されて
いる。そして,本件書籍8の表表紙の袖には,写真甲8-3が掲載さ
れている。
c1頁には,「KAT-TUNP&Oコンプリートお宝フォトファ
イルAmazing!」,「永久保存版」との記載があり,写真甲8
-4ないし6が掲載されている。
2頁には,「ContentsP」との見出しの下に,次のような
目次が記載され,写真甲8-7が掲載されている。
「Introduction4
PART1〈軌跡〉ホップ&ステップ12
PART2〈オリキ時間〉スマイル&ガッツ28
PART3スクール&フレンズ42
Column1Pのまわりはたいへんだ!16
Column2バナナひと房のこころ23
Column3バランサーとして33
Column4ストレスなんて蹴散らしてしまえ!44
Column5心配のタネは尽きず……53
P語録①~④20/31/36/51」
3頁には,「ContentsO」との見出しの下に,次のような
目次が記載され,写真甲8-8が掲載されている。
「Introduction56
PART1〈軌跡〉チェンジ&チェンジ63
PART2〈オリキ時間〉コワモテ&フレンドリー82
PART3スクール&フレンズ96
Column1よく眠れ!さあ,食べろ!67
Column2本当の自分を隠してたんだ…77
Column3ヴィン・ディーゼルを目指せ!87
Column4うちのが一番!!99
Column5ブルーチーズの魅力?107
O語録①~④70/80/90/100
KAT-TUNPROFILE110」
d4ないし11頁は,「Introduction」の章で,5頁には,
頁の半分以上を占める大きな文字で「P」と記載され,「Intro
ductionP」との見出しの下に,原告Pを紹介する前文があ
り,4,6ないし11頁には,写真甲8-9ないし15が掲載されて
いる。
e12ないし27頁は,「PPPART1〈軌跡〉ホップ&ステ
ップ」の章で,12頁には,上記見出しの下に,原告Pのジャニーズ
Jr.時代のキャリアが短いことなどを記述する前文があり,12な
いし15,17ないし27頁には,写真甲8-16ないし44が掲載
され,13ないし15,17,18,20ないし22,24ないし2
7頁には,それぞれの写真の脇に原告Pに関する短い記述がある。
16頁には,「Column1Pのまわりはたいへんだ!」との小
見出しの下に,原告Pが駄洒落をよく言うことなどを記述する文章が
あり,23頁には,「Column2バナナひと房のこころ」との
小見出しの下に,原告Pが入院したときに原告Oらが見舞いに来たこ
となどを記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と掲載
された写真との間に格別の関連はない。
20頁には,「P語録」と題する,原告Pや他のKAT-TUNのメ
ンバーの発言の体裁をとった短い文章から成る囲み記事があるが,記
事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
f28ないし41頁には,「PPPART2〈オリキ時間〉スマ
イル&ガッツ」の章で,28頁には,上記見出しの下に,原告Pとそ
のファンとの関係を記述する前文があり,28ないし32,34ない
し41頁には,写真甲8-45ないし69が掲載され,29,36,
37,39ないし41頁には,それぞれの写真の脇に原告Pに関する
短い記述がある。
31及び36頁には,「P語録」と題する,前述の囲み記事があるが,
記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
33頁には,「Column3バランサーとして」との小見出しの
下に,原告Pがジャグリングやビバップをコンサートで披露している
ことなどを記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と掲
載された写真との間に格別の関連はない。
g42ないし55頁は,「PPPART3スクール&フレンズ」
の章で,42頁には,上記見出しの下に,原告Pの制服姿を記述する
前文があり,42,43,45ないし52,54,55頁には,写真
甲8-70ないし88が掲載され,43,45,47ないし49頁に
は,それぞれの写真の脇に原告Pに関する短い記述がある。
51頁には,「P語録」と題する,前述の囲み記事があるが,記事の
具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
44頁には,「Column4ストレスなんて蹴散らしてしま
え!」との小見出しの下に,原告Pがゲーム好きであることを記述す
る文章があり,53頁には,「Column5心配のタネは尽きず
……」との小見出しの下に,原告Pのファッションのセンスが200
5年ころから向上したことについて記述する文章がある。しかし,コ
ラムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
h56ないし62頁は,「Introduction」の章で,56頁
には,頁の約半分を占める大きな文字で「O」と記載され,「Int
roductionO」との見出しの下に,原告Oを紹介する前文
があり,57ないし62頁には,写真甲8-89ないし94が掲載さ
れている。
i63ないし81頁は,「OOPART1〈軌跡〉チェンジ&チ
ェンジ」の章で,63頁には,上記見出しの下に,原告Oがイメージ
を大きく変えたことを記述する前文があり,63ないし66,68な
いし76,78ないし81頁には,写真甲8-95ないし135が掲
載され,64ないし66,68ないし70,72,75,76,78,
79,81頁には,それぞれの写真の脇に原告Pに関する短い記述が
ある。
67頁には,「Column1よく眠れ!さあ,食べろ!」との小
見出しの下に,原告Oの睡眠や食事について記述する文章があるが,
その具体的な内容と掲載されている写真との間に格別の関連はない。
また,77頁には,「Column2本当の自分を隠してたんだ…」
との小見出しの下に,原告Oがシューズをたくさん持っていること,
KAT-TUNが結成された2001年からヒップホップのファッ
ションを身にまとうようになったことなど,そのファッションについ
て記述する文章があり,76頁には,「ヒップホップ色をより鮮明に
打ち出し始めた頃」との記載とともに,写真甲8-123が掲載され
ている。
70,80頁には「O語録」と題する,原告Oや他のKAT-TU
Nのメンバーの発言の体裁をとった短い文章から成る囲み記事があ
るが,記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はな
い。
j82ないし95頁は,「OOPART2〈オリキ時間〉コワモ
テ&フレンドリー」の章で,82頁には,上記見出しの下に,原告O
とそのファンとの関係を記述する前文があり,82ないし86,88
ないし95頁には,写真甲8-136ないし164が掲載され,83,
85,86,88,89,93及び95頁に,それぞれの写真の脇に
原告Oに関する短い記述がある。
87頁には,「Column3ヴィン・ディーゼルを目指せ!」と
の小見出しの下に,原告Oが筋力トレーニングに励んでいることを記
述する文章があるが,その具体的な内容と各頁に掲載された写真との
間に格別の関連はない。
90頁には,「O語録」と題する,前述の囲み記事があるが,記事の
具体的な内容と各頁に掲載された写真との間に格別の関連はない。
k96ないし109頁は,「OOPART3スクール&フレン
ズ」の章で,96頁に,上記見出しの下に,原告Oの突飛な行動を記
述する前文があり,96ないし98,100ないし106,108及
び109頁には,写真甲8-165ないし179が掲載され,97,
98,100ないし103頁には,それぞれの写真の脇に原告Pに関
する短い記述がある。
99頁には,「Column4うちのが一番!!」との小見出しの
下に,原告Oが愛犬をかわいがっていることなどを記述する文章があ
るが,その具体的な内容と掲載されている写真との間に格別の関連は
ない。また,107頁には,「Column5ブルーチーズの魅力?」
との小見出しの下に,「こけた頬に金にブリーチした丸刈り頭。」など
と原告Oの強い個性を記述する文章があり,106頁には,ブリーチ
をした丸刈り頭の原告Oを被写体とする写真(写真甲8-178)が
掲載されている。
100頁には「O語録」と題する,前述の囲み記事があるが,これ
らの記事の具体的な内容と各頁に掲載された写真との間に格別の関
連はない。
l110及び111頁には,「KAT-TUNPROFILE19
98-2006」との見出しの下に,KAT-TUNに関する199
8年から2006年までの主な出来事が記載され,写真甲8-180
ないし187が掲載されている。
m112頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲8
-188ないし195が掲載されている。
n裏表紙には,「KAT-TUNP&Oコンプリートお宝フォトフ
ァイルAmazing!」と記載され,写真甲8-197が掲載さ
れている。また,裏表紙の袖には,写真甲8-196が掲載されてい
る。
(イ)本件書籍8は,その題名を「KAT-TUNP&Oコンプリー
トお宝フォトファイル」とし,その表表紙に「Jr.時代からメジャー
デビューまで,お宝180カットでつづる成長の軌跡」との記載がある
ように,原告P又は原告Oを被写体とする写真を大量に掲載した写真集
である。
すなわち,本件書籍8は,表紙のほか,全112頁のうち101頁に
わたり,原告P又は原告Oを被写体とするカラー写真193枚を掲載し
たものであり,しかも,その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記
述を添えただけのものである。そして,原告P及び原告Oそれぞれの各
章(「Introduction」,「PART1」ないし「PART3」)
の冒頭には,見出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真を掲
載した各章の導入としての意義があるというにとどまり,これを超えて,
独立した意義があるは認められない。また,原告P及び原告Oそれぞれ
の「Column1」ないし「Column5」の各コラムや「P語録」
又は「O語録」と題する囲み記事には比較的まとまった文章があり,特
に,原告Oの「Column2」の見開き頁に,「ヒップホップ色をよ
り鮮明に打ち出し始めた頃」との記載とともに,原告Oを被写体とする
写真が掲載され,原告Oの「Column5」の見開き頁に,ブリーチ
をした丸刈り頭の原告Oの被写体とする写真が掲載されているところ,
上記写真がコラムの内容を補足するものであるということができると
しても,その他のコラムや記事の具体的な内容と本件各写真との間に格
別の関連はないから,書籍全体としてみると,本件各写真が,上記コラ
ムや記事の内容を補足するものということはできず,かえって,本件各
写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムや記事は,本
件各写真の添え物であって,独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍8は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍8に掲載する行為は,原告
P又は原告Oの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等と
して使用し,専ら上記原告らの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的
とするものであるから,上記原告らのパブリシティ権を侵害するものと
して,不法行為法上違法となるというべきである。
ケ本件書籍9について
(ア)証拠(甲9)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍9は,「KAT-TUNQコンプリートお宝フォトファ
イルShine」という題名の,A5判サイズで全112頁の書籍
である。
本件書籍9には,その表表紙,裏表紙,表表紙の袖及び裏表紙の袖
を含めて,主に原告Qを被写体とするカラー写真が合計164枚(写
真甲9-1ないし155,157,159,163ないし169)掲
載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の写真が掲載され
た場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告は,別紙個別主
張一覧表(9)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,「掲載場所」欄
及び「被撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各写真の大きさは,
同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の大きさ」欄の「被
告」欄に記載のとおりである(ただし,写真甲9-9の大きさは「B」,
写真甲9-13の大きさは「C」,写真甲9-15の大きさは「C」,
写真甲9-16の大きさは「C」,写真甲9-24の大きさは「E」,
写真甲9-26の大きさは「C」,写真甲9-102の大きさは「D」,
写真甲9-103の大きさは「B」である。)。
b表表紙には,「KAT-TUNQコンプリートお宝フォトファイ
ルShine」,「永久保存版」,「Jr.時代から,CDデビューま
で,お宝150カットでつづる栄光のブレイク・ロード」と記載され,
写真甲9-1が掲載されている。また,背表紙には,「KAT-TU
NQコンプリートお宝フォトファイル」との題名が記載されてい
る。そして,表表紙の袖には,写真甲9-2が掲載されている。
c1頁には,「KAT-TUNQコンプリートお宝フォトファイル
Shine」,「永久保存版」と記載され,写真甲9-3及び4が掲載
されている。
2頁には「ContentsKAT-TUNQコンプリート
お宝フォトファイルShine」との見出しの下に,次のような目
次が記載され,3ないし13頁には,写真甲9-5ないし12が掲載
され,5,8,11頁には,それぞれの写真の脇に原告Qに関する短
い記述がある。
「IntroductionQ
2006疾走……………………………………………………3
PART1QONSTAGE~2005………14
PART2Q素顔の変遷……………………………38
PART3Qクンの《お蔵出し写真館》…………………58
Column1『LOVEorLIKE』…………20
2さらに研ぎ澄ませ!………………………31
3天賦の才……………………………………65
4Qの辞書に“負け”の文字はない?……88
5友情のかたち……………………………101
Q語録①~⑫…18/25/37/45/50/60/66/
75/85/93/99/109
KAT-TUNPROFILE…………………………110」
d14ないし37頁は,「PART1QONSTAGE~200
5」の章で,15頁には,上記見出しの下に,原告Qを紹介する前文
があり,14ないし19,21ないし30,32ないし37頁には,
写真甲9-13ないし39が掲載され,14ないし19,21,22,
26,27,30,33,34,36及び37頁には,それぞれの写
真の脇に原告Qに関する短い記述がある。
18,25及び37頁には,「Q語録」と題する,原告Qや他のKA
T-TUNのメンバーの発言の体裁をとった短い文章から成る囲み
記事があるが,記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の
関連はない。
20頁には,「Column1『LOVEorLIKE』「寝て
いるときと,歌っているときが一番幸せ!」」との小見出しの下に,
原告Qが歌が好きで歌唱力があることなどを記述する文章があり,3
1頁には,「Column2さらに研ぎ澄ませ!」」との小見出しの
下に,原告Qの特別な個性などを記述する文章がある。しかし,コラ
ムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
e38ないし57頁は,「PART2Q素顔の変遷」の章で,39
頁には,上記見出しの下に,原告Qの容貌などを記述する前文があり,
38ないし57頁には,写真甲9-40ないし67が掲載され,38
ないし45,47ないし49,51ないし57頁には,それぞれの写
真の脇に原告Qに関する短い記述がある。
45,50頁には,「Q語録」と題する,前述の囲み記事があるが,
記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
f58ないし109頁は,「PART3Qクンの「お蔵出し写真館」」
の章で,58頁には,上記見出しの下に,原告Qを知る上で欠かせな
い要素を記述する前文がある。
59頁には,「ChapterⅠCap&Hat」との見出しの
下に,原告Qの帽子を記述する前文があり,58ないし64,66な
いし71頁には,写真甲9-68ないし88が掲載され,58ないし
64,67,69ないし71頁には,それぞれの写真の脇に原告Qに
関する短い記述がある。
72頁には,「ChapterⅡInHarajuku」との
見出しの下に,原告Qの公衆の面前での振る舞いなどを記述する前文
があり,72ないし75頁には,写真甲9-89ないし96が掲載さ
れている。
76頁には,「ChapterⅢAfter22:00」との
見出しの下に,原告Qが良く訪れたラーメン店などを記述する前文が
あり,76ないし79頁には,写真甲9-97ないし103が掲載さ
れ,78及び79頁には,それぞれの写真の脇に原告Qに関する短い
記述がある。
80頁には,「ChapterⅢWithORIKI」との見
出しの下に,ファンが原告Qに手紙を渡すことなどを記述する前文が
あり,80ないし87,89ないし95頁には,写真甲9-104な
いし131が掲載され,80,82,83,85ないし87,89,
91,92,94及び95頁には,それぞれの写真の脇に原告Qに関
する短い記述がある。
96頁には,「ChapterⅤKEITAI」との見出しの下
に,原告Qと携帯電話のメールについて記述する前文があり,96な
いし100頁には,写真甲9-132ないし139が掲載され,97
ないし100頁には,それぞれの写真の脇に原告Qに関する短い記述
がある。
102頁には,「ChapterⅥWithFriends」
との見出しの下に,原告Qの人間関係などを記述する前文があり,1
02ないし109頁には,写真甲9-140ないし154が掲載され,
103ないし109頁には,それぞれの写真の脇に原告Qに関する短
い記述がある。
60,66,75,85,93,99及び109頁には「Q語録」
と題する,前述の囲み記事があるが,記事の具体的な内容と掲載され
た写真との間に格別の関連はない。
65頁には,「Column3天賦の才」との小見出しの下に,原
告Qの性格などを記述する文章があり,88頁には,「Column
4Qの辞書に“負け”の文字はない?」との小見出しの下に,原告
Qが負けず嫌いであることなどを記述する文章があり,101頁には,
「Column5友情のかたち」との小見出しの下に,原告Qの友
達付き合いを記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と
掲載された写真との間に格別の関連はない。
g110及び111頁には,「KAT-TUNPROFILE19
98-2006」との小見出しの下に,KAT-TUNに関する19
98年から2006年までの主な出来事が記載され,写真甲9-15
5ないし162が掲載されている。
h112頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲9
-163ないし167が掲載されている。
i裏表紙には,「KAT-TUNQコンプリートお宝フォトファイ
ルShine」と記載され,写真甲9-169が掲載されている。
また,裏表紙の袖には,写真甲9-168が掲載されている。
(イ)本件書籍9は,その題名を「KAT-TUNQコンプリートお
宝フォトファイル」とし,その表表紙に「Jr.時代から,CDデビュ
ーまで,お宝150カットでつづる栄光のブレイク・ロード」との記載
があるように,原告Qを被写体とする写真を大量に掲載した写真集であ
る。
すなわち,本件書籍9は,表紙のほか,全112頁のうち106頁に
わたり,原告Qを被写体とするカラー写真164枚を掲載したものであ
り,しかも,その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記述を添えた
だけのものである。そして,各章(「PART1」ないし「PART3」)
や「PART3」の各「Chapter」の冒頭には見出しとともに前
文があるが,いずれの前文も,写真を掲載した各章や各「Chapte
r」の導入としての意義があるというにとどまり,これを超えて,独立
した意義があるということはできない。また,「Column1」ない
し「Column5」のコラムや「Q語録」と題する囲み記事には比較
的まとまった文章があるが,その具体的な内容と掲載された写真との間
に格別の関連はないから,掲載された写真が,上記コラムや記事の内容
を補足するものということはできず,かえって,本件各写真の枚数やそ
の取り扱われ方等に照らすと,上記コラムや記事は,本件各写真の添え
物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍9は,本件各写真を鑑賞の対象と
することを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍9に掲載する行為は,原告
Qの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,
専ら原告Qの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものであ
るから,原告Qのパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上
違法となるというべきである。
コ本件書籍10について
(ア)証拠(甲10)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍10は,「KAT-TUNRコンプリートお宝フォトフ
ァイルWinning」という題名の,A5判サイズで全112頁
の書籍である。
本件書籍10には,その表表紙,裏表紙,表表紙の袖及び裏表紙の
袖を含めて,主に原告Rを被写体とするカラー写真が合計155枚
(写真甲10-1ないし151,157ないし160)掲載されてお
り,各写真が掲載された頁,各頁に複数の写真が掲載された場合の各
写真の位置,各写真の被写体とされた原告は,別紙個別主張一覧表
(10)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,「掲載場所」欄及び「被
撮影者」欄に記載のとおりであり,また,各写真の大きさは,同表の
「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の大きさ」欄の「被告」欄
に記載のとおりである(ただし,写真甲10-151は110及び1
11頁の背景に使用され,写真甲10-152ないし154は110
頁に,写真甲10-155ないし157は111頁に掲載されている。
また,写真甲10-9の大きさは「D」,写真甲10-102の大き
さは「C」である。)。
b表表紙には,「KAT-TUNRコンプリートお宝フォトファイ
ルWinning」,「永久保存版」,「お宝写真150カットでよみ
がえるRの“青春譜”」と記載され,写真甲10-1が掲載されてい
る。また,背表紙には,「KAT-TUNRコンプリートお宝フ
ォトファイル」との題名が記載されている。そして,表表紙の袖には,
写真甲10-2が掲載されている。
c1頁には,「KAT-TUNRコンプリートお宝フォトファイル
Winning」,「永久保存版」と記載され,写真甲10-3及び4
が掲載されている。
2頁には「Contents」との見出しの下に,次のような目次
が記載され,2ないし5頁には,写真甲10-5および6が掲載され
ている。
「PART1…………………………………………………………6
PLAYBACKR
あの“瞬間”をふたたび…
PART2………………………………………………………36
“お宝”PHOTOPROFILER
素顔の少年。オーラの源泉
PART3………………………………………………………62
SPECIALSCENER
とっておきのお宝シーン“お蔵だし”
inHarajukuもう原宿では会えない
atnightアフター22時?
withORIKIいつもいっしょだった
inschooluniform鍛錬の日々…
Cap&Hatセンスはいかほど…?
KEITAI肌身はなさず
withfriends根っこにあるもの
Column1受け継がれる心……………………………11
2人材不足!?………………………………21
3ジャニーズ・マニア!……………………31
4「やだやだ,やだー」……………………82
5最大のライバル…………………………103
R語録①~⑩…39/41/45/47/49/54/67/
74/90
KAT-TUNPROFILE…………………………110」
d6ないし35頁は,「PART1PLAYBACKRあの
“瞬間”をふたたび…」の章で,7頁には,上記見出しの下に,KA
T-TUNのメジャーデビューを記述する前文があり,6ないし35
頁には,写真甲10-7ないし49が掲載され,8,15,18,2
3,29及び33頁には,それぞれの写真の脇に原告Rに関する短い
記述がある。
11頁には,「Column1受け継がれる心」との小見出しの下
に,原告Rがジャニーズ事務所の先輩アイドルから学んだことなどを
記述する文章があり,21頁には,「Column2人材不足!?」
との小見出しの下に,原告RがどうしてKAT-TUNのリーダーに
なったのかを記述する文章があり,31頁には,「Column3ジ
ャニーズ・マニア!」との小見出しの下に,原告Rがジャニーズ事務
所のアイドルに詳しいことなどを記述する文章がある。しかし,コラ
ムの具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
e36ないし61頁は,「PART2お宝PHOTOPROFIL
ER素顔の少年。オーラの源泉」の章で,37頁には,上記の見
出しの下に,原告Rの変貌を記述する前文があり,36ないし61頁
には,写真甲10-50ないし83が掲載され,36,38,40,
42,44,46,48,50,52,54,56,58及び61頁
には,それぞれの写真の脇に原告Rに関する短い記述がある。
39,41,45,47,49及び54頁には,「R語録」と題する,
原告Rや他のKAT-TUNのメンバーの発言の体裁をとった短い
文章から成る囲み記事がある。記事の具体的な内容と掲載された写真
との間に格別の関連はない。
f62ないし109頁は,「PART3SPECIALSCENE
Rとっておきのお宝シーンお蔵出し」の章で,63頁には,上記
見出しが記載されている。
62頁には,「inHarajukuもう原宿では会えない」と
の小見出しの下に,かつて原告Rの姿を原宿駅やその周辺で目撃する
ことができたことを記述する前文があり,62ないし67頁には,写
真甲10-84ないし93が掲載され,62,64頁に,それぞれの
写真の脇に原告Rに関する短い記述がある。
68頁には,「atnightアフター22時?」との小見出し
の下に,原告Rが番組の収録後にラーメン店などに現れたことなどを
記述する前文があり,68ないし71頁には,写真甲10-94ない
し100が掲載され,71頁には,写真の脇に原告Rに関する短い記
述がある。
72頁には,「withORIKIいつもいっしょだった」との
小見出しの下に,原告Rを追いかけるファンについて記述する前文が
あり,72ないし80頁には,写真甲10-101ないし113が掲
載され,77及び79頁には,それぞれの写真の脇に原告Rに関する
短い記述がある。
81頁には,「inschooluniform鍛錬の日々
…」との小見出しの下に,原告Rの学生服姿が貴重であることを記述
する前文があり,81ないし85頁には,写真甲10-114ないし
120が掲載されている
86頁には,「Cap&Hatセンスはいかほど…?」との小
見出しの下に,原告Rが身につける帽子について記述する前文があり,
86ないし93頁には,写真甲10-121ないし136が掲載され,
88及び92頁には,それぞれの写真の脇に原告Rに関する短い記述
がある。
95頁には,「KEITAI肌身はなさず」との小見出しの下に,
原告Rと携帯電話について記述する前文があり,94ないし97頁に
は,写真甲10-137ないし142が掲載され,95及び96頁に,
それぞれの写真の脇に原告Rに関する短い記述がある。
98頁には,「withfriends根っこにあるもの」との
小見出しの下に,原告Rとジャニーズ事務所の先輩アイドルや友人と
の人間関係を記述する前文があり,98ないし109頁には,写真甲
10-143ないし150が掲載され,99,101,106及び1
08頁に,それぞれの写真の脇に原告Rに関する短い記述がある。
67,74及び90頁には「R語録」と題する,前述の囲み記事が
あるが,記事の具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連は
ない。
82頁には,「Column4「やだやだ,やだー」」との小見出
しの下に,原告Rがジェットコースターを苦手としていることなどを
記述する文章があり,103頁には,「Column5最大のライ
バル……」との小見出しの下に,原告Rが原告Nに関心を持っている
ことなどを記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と掲
載された写真との間に格別の関連はない。
g110及び111頁には,写真甲10-151を背景に,「KAT-
TUNPROFILE1998-2006」との見出しの下に,
KAT-TUNに関する1998年から2006年までの主な出来
事が記載され,写真甲10-152ないし157が掲載されている。
h112頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲1
0-158が掲載されている。
i裏表紙には,「KAT-TUNRコンプリートお宝フォトファイ
ルWinning」と記載され,写真甲10-160が掲載されて
いる。また,同裏表紙の袖には,写真甲10-159が掲載されてい
る。
(イ)本件書籍10は,その題名を「KAT-TUNRコンプリート
お宝フォトファイル」とし,その表表紙に「お宝写真150カットでよ
みがえるRの“青春譜”」との記載があるように,原告Rを被写体とす
る写真を大量に掲載した写真集である。
すなわち,本件書籍10は,表紙のほか,112頁の全てわたり,原
告Rを被写体とするカラー写真155枚を掲載したものであり,しかも,
その大部分は,写真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけのもので
ある。そして,各章(PART1,PART2)及び「PART3」の
中にある「inHarajuku」をはじめとする7つのパートの冒
頭には見出しとともに前文があるが,いずれの前文も,写真を掲載した
各章,各パートの導入としての意義があるというにとどまり,これを超
えて,独立した意義があるということはできない。また,「Colum
n1」ないし「Column5」の各コラムや「R語録」と題する囲み
記事には比較的まとまった文章があるが,その具体的な内容と掲載され
た写真との間に格別の関連はないから,掲載された写真が,上記コラム
や記事の内容を補足するものということはできず,かえって,本件各写
真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,上記コラムや記事は,本件
各写真の添え物であって独立した意義があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍10は,本件各写真を鑑賞の対象
とすることを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍10に掲載する行為は,原
告Rの肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用
し,専ら原告Rの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするもので
あるから,原告Rのパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法
上違法となるというべきである。
サ本件書籍11について
(ア)証拠(甲11)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍11は,「KAT-TUNお宝フォトBOOKBOM
B!」という題名の,A5判サイズで全128頁の書籍である。本件
書籍11には,その表表紙,表表紙の袖及び裏表紙を含めて,原告M,
原告N,原告O,原告P,原告Q又は原告Rを被写体とするカラー写
真が合計235枚(写真甲11-1ないし235)掲載されており,
各写真が掲載された頁,各頁に複数の写真が掲載された場合の各写真
の位置,各写真の被写体とされた原告は,別紙個別主張一覧表(11)の
「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,「掲載場所」欄及び「被撮影
者」欄に記載のとおりであり,また,各写真の大きさは,同表の「被
告の主張及び原告らの認否」の「写真の大きさ」欄の「被告」欄に記
載のとおりである(ただし,写真甲11-21は2,3頁の見開きで
中央に掲載され,写真甲11-22,23は2頁に,写真甲11-2
4ないし29は3頁に掲載されている。また,写真甲11-4の大き
さは「E」,写真甲11-5の大きさは「E」,写真甲11-210の
大きさは「E」である。)。
b表表紙には,「KAT-TUNお宝フォトBOOKBOMB!」,
「永久保存版」,「250カットで綴るKAT-TUN,それぞれの軌
跡」と記載され,写真甲11-1ないし7が掲載されている。また,
背表紙には,「永久保存版KAT-TUNお宝フォトBOOK」
と記載されている。そして,表表紙の袖には,写真甲11-8ないし
13が掲載されている。
c1頁には,「KAT-TUNお宝フォトBOOKBOMB!」,
「永久保存版」と記載され,写真甲11-14ないし20が掲載され
ている。
2頁には「KAT-TUN」と記載され,「Contents」との
見出しの下に,次のような目次が記載され,2,3頁には,写真甲1
1-21ないし29が掲載されている。
「軌跡PART1
1998-1999……………………………………………4
2000-2001……………………………………………6
2002-2003……………………………………………8
2004-2005…………………………………………10
RR……………12
“野球くん”のハートの奥底に……………………………18
節操はある…,それとも,ない?…………………………22
噂・ウワサ・うわさ…………………………………………28
KAT-TUNイチ押しのロマンチスト…………………32
QQ…………………………38
平成の“杉良”も最初はつまづいた………………………40
天然さで,独走中……………………………………………46
「しょっぱい車」……………………………………………52
本当は“お子ちゃま”かも!?……………………………58
OO……………………………64
やんちゃな“時限爆弾”!?………………………………68
熱い男は慕われる……………………………………………74
PP………80
抜群の微笑みのバックグラウンド…………………………82
そのセンス,マジヤバ!?…………………………………88
NN………………………94
一筋の光をたよりに,指先に集中すれば…………………98
ビッグなやつって…???………………………………104
MM……………108
キミは「M宇宙論」を聞いたか?……………………110
影の支配者は“遅刻魔”でダッシュ好き………………118
軌跡PART2
03.5.12&03.8.10…………………122
03.8.20&04.1.31…………………124
04.8.10&05.1.5……………………126」
d4ないし11頁は,「KAT-TUN軌跡PART1」の章で,
5頁に1998年から1999年まで,7頁に2000年から200
1年まで,8頁に2003年,9頁に2002年,10頁に2004
年,11頁に2005年のKAT-TUNに関わる主な出来事が記載
され,4ないし11頁には,写真甲11-30ないし53が掲載され
ている。
e12ないし37頁は,「KAT-TUNRR」の章で,12頁に
は,上記見出しが記載され,13頁には,「RProfile」と
して,生年月日,血液型など原告Rに関する11項目の情報が小さな
囲み記事で記載され,12ないし17,19ないし22,24ないし
28,30,31,33ないし37頁には,写真甲11-54ないし
90が掲載されている。
18及び19頁には,「“野球くん”のハートの奥底に…」との小見
出しの下に,原告Rが野球を得意とすることなどを記述する文章があ
り,22及び23頁には,「節操はある…,それとも,ない?」との
小見出しの下に,原告Rが様々なスポーツに取り組んできたことを記
述する文章があり,28及び29頁には,「噂・ウワサ・うわさ…」
との小見出しの下に,原告Rと様々な女性タレントとのうわさ話など
を記述する文章があり,32及び33頁には,「KAT-TUNイチ
押しのロマンチスト」との小見出しの下に,原告Rの恋愛観などを記
述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容と掲載された写真
との間に格別の関連はない。
f38ないし63頁は,「KAT-TUNQQ」の章で,38頁に
は,上記見出しが記載され,39頁には,「QProfile」と
して,生年月日,血液型など原告Qに関する11項目の情報が小さな
囲み記事で記載され,38,39,41ないし51,53ないし63
頁には,写真甲11-91ないし129が掲載されている。
40及び41頁には,「平成の“杉良”も最初はつまづいた」との小
見出しの下に,原告Qが選考されたオーディションについて記述する
文章があり,46及び47頁には,「天然さで,独走中」との小見出
しの下に,原告Qのキャラクターについて記述する文章があり,52
及び53頁には,「しょっぱい車」との小見出しの下に,原告Qの自
動車の運転について記述する文章があり,58及び59頁には,「本
当は“お子ちゃま”かも!?」との小見出しの下に,原告Qの無邪気
な人柄について記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な内容
と掲載された写真との間に格別の関連はない。
g64ないし79頁には,「KAT-TUNOO」の章で,64頁
には,上記見出しが記載され,65頁には,「OProfile」
として,生年月日,血液型など原告Oに関する11項目の情報が小さ
な囲み記事で記載され,64ないし67,69ないし74,76ない
し79頁には,写真甲11-130ないし155が掲載されている。
68及び69頁には,「やんちゃな“時限爆弾”!?」との小見出し
の下に,原告Oの問題とされた行動を記述する文章があり,74及び
75頁には,「熱い男は慕われる」との小見出しの下に,原告Oの友
人らを大切にする人柄を記述する文章がある。しかし,コラムの具体
的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
h80ないし93頁は,「KAT-TUNPP」の章で,80頁に
は,上記見出しが記載され,81頁には,「PProfile」と
して,生年月日,血液型など原告Pに関する11項目の情報が小さな
囲み記事で記載され,80,81,83ないし88,90ないし93
頁には,写真甲11-156ないし176が掲載されている。
82及び83頁には,「抜群の微笑みのバックグラウンド」との小見
出しの下に,原告Pの笑顔や駄洒落などについて記述する文章がある
が,その具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
また,88及び89頁には,「そのセンス,マジヤバ!?」との小見
出しの下に,原告Pが最近プライベートでジーンズとTシャツを身に
つけるのが定番となったことなど,原告Pのファッションセンスにつ
いて記述する文章があり,88頁には,ジーンズとシャツを身につけ
た原告Pを被写体とする写真(写真甲11-169)が掲載されてい
る。
i94ないし107頁は,「KAT-TUNNN」の章で,94頁
には,上記見出しが記載され,95頁には,「NProfile」
として,生年月日,血液型など原告Nに関する11項目の情報が小さ
な囲み記事で記載され,94ないし97,99ないし103,105
ないし107頁には,写真甲11-177ないし194が掲載されて
いる。
98及び99頁には,「一筋の光をたよりに,指先に集中すれば…」
との小見出しの下に,原告Nの不思議な発言などについて記述する文
章があるが,その具体的な内容と掲載された写真との間に格別の関連
はない。また,104及び105頁には,「ビッグなやつって…???」
との小見出しの下に,あるミュージシャンに影響された原告Nのファ
ッションについて記述する文章があり,105頁には,そのファッシ
ョンを身にまとった原告Nを被写体とする写真(写真甲11-19
2)が掲載されている。
j108ないし121頁は,「KAT-TUNMM」の章で,10
8頁には,上記見出しが記載され,109頁には,「MProfi
le」として,生年月日,血液型など原告Mに関する11項目の情報
が小さな囲み記事で記載され,108,109,111ないし117,
119ないし121頁には,写真甲11-195ないし215が掲載
されている。
110及び111頁には,「キミは「M宇宙論」を聞いたか?」との
小見出しの下に,原告Mが宇宙に深い興味を持っていることについて
記述する文章があり,118及び119頁には,「影の支配者は“遅
刻魔”でダッシュ好き」との小見出しの下に,原告Mが遅刻を繰り返
すことなどについて記述する文章がある。しかし,コラムの具体的な
内容と掲載された写真との間に格別の関連はない。
k122ないし127頁は,「KAT-TUN軌跡PART2」の
章で,122頁に「2003.5.12」,123頁に「2003.
8.10」,124頁に「2004.1.31」,125頁に「200
3.8.20」,126頁には「2004.8.10」,127頁には
「2005.1.5」との各小見出しの下に,それぞれの日に行われ
たコンサート等のイベント説明する文章があり,これと並んで,写真
甲11-216ないし221が掲載されている。
l128頁には,奥付と同書籍の編著者の紹介が記載され,写真甲1
1-222ないし234が掲載されている。
m裏表紙には,「KAT-TUNお宝フォトBOOK」と記載され,
写真甲11-235が掲載されている。
(イ)本件書籍11は,その題名を「KAT-TUNお宝フォトBOO
K」とし,その表表紙に「250カットで綴るKAT-TUN,それぞ
れの軌跡」との記載があるように,KAT-TUNのメンバーである原
告M,原告N,原告O,原告P,原告Q又は原告Rを被写体とする写真
を大量に掲載した写真集である。
すなわち,本件書籍11は,表紙のほか,128頁のうち114頁に
わたり,原告M,原告N,原告O,原告P,原告Q又は原告Rを被写体
とするカラー写真235枚したものであり,しかも,その大部分は,写
真だけか,写真の脇に短い記述を添えただけのものである。そして,原
告M,原告N,原告O,原告P,原告Q又は原告Rについての各コラム
には比較的まとまった文章があり,特に,原告Pについての「そのセン
ス,マジヤバ!?」との小見出しのコラムが掲載された頁には,ジーン
ズとシャツを身につけた原告Pを被写体とする写真(写真甲11-16
9)が掲載され,原告Nについての「ビッグなやつって…???」との
小見出しのコラムが掲載された頁には,コラムの記載に沿うようなファ
ッションを身にまとった原告Nを被写体とする写真(写真甲11-19
2)が掲載されているところ,上記写真がコラムの内容を補足するもの
であるということができるとしても,その他のコラムや記事の具体的な
内容と本件各写真との間に格別の関連はないから,書籍全体としてみる
と,本件各写真が,上記コラムや記事の内容を補足するものということ
はできず,かえって,本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らす
と,上記コラムや記事は,本件各写真の添え物であって,独立した意義
があるとは認められない。
これらの事情に照らすと,本件書籍11は,本件各写真を鑑賞の対象
とすることを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍11に掲載する行為は,原
告M,原告N,原告O,原告P,原告Q又は原告Rの肖像等それ自体を
独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,専ら上記原告らの肖像
等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものであるから,上記原告ら
のパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となるとい
うべきである。
シ本件書籍12について
(ア)証拠(甲12)によれば,次の事実が認められる。
a本件書籍12は,「KAT-TUNPhoto&Episode
ToughGuys」という題名の,A5判サイズで全112頁の
書籍である。
本件書籍12には,表表紙,表表紙の袖,裏表紙及び裏表紙の袖を
含めて,KAT-TUNのメンバーである原告M,原告N,原告O,
原告P,原告Q又は原告Rを被写体とするカラー写真が142枚,白
黒写真が34枚合計176枚(写真甲12-1ないし177。なお,
写真甲12-54と甲12-55は一枚の写真である。写真甲12-
7ないし10,16,17,24,27,33,36,47,53,
56,69,73,76,86,93,99,104,117,11
8,121,126,136,142,152,159,167ない
し172の写真が白黒写真であり,そのほかがカラー写真である。)
掲載されており,各写真が掲載された頁,各頁に複数の写真が掲載さ
れた場合の各写真の位置,各写真の被写体とされた原告は,別紙個別
主張一覧表(12)の「原告らの主張」の「掲載ページ」欄,「掲載場所」
欄及び「被撮影者」欄記載のとおりであり,また,各写真の大きさに
ついては,同表の「被告の主張及び原告らの認否」の「写真の大きさ」
の「被告」欄記載のとおりである(ただし,写真甲12-95の大き
さは「D」,写真甲12-96の大きさは「D」である。)。
b表表紙には,「KAT-TUNPhoto&EpisodeTo
ughGuys」,「全160カットお宝プライベートフォト&ライ
ブ写真満載!」と記載され,写真甲12-1ないし4が掲載されてい
る。また,背表紙には,「KAT-TUNPhoto&Episo
deToughGuys」,「お宝フォト満載」と記載されている。
そして,表表紙の袖には,写真甲12-5及び6が掲載されている。
c1頁には,「KAT-TUNPhoto&EpisodeTou
ghGuys」,「全160カットお宝プライベートフォト&ライブ
写真満載!」と記載され,写真甲12-7ないし10が掲載されてい
る。
2頁には「Contents」との見出しの下に,次のような目次
が記載され,2及び3頁には,写真甲12-11が掲載されている。
「はじめに4
序章一心同体の輝きを放つとき8
第1章Qヤンチャ印は永遠に不滅です30
第2章R男だからこそ貫く想い44
第3章O反逆児アイドル,かく戦う58
第4章Pずっこけ魂でつき抜けろ76
第5章N新しい息吹は歌とともに90
第6章Mどっこいサイエンスを極めよう100
KAT-TUNお宝ショット館
①Q34/②R46/③O60/④P78/
⑤N92/⑥M102
KAT-TUNSpecialProfile
1998~2008110」
d4及び5頁は,「はじめに」の章で,2頁にわたり,KAT-TUN
の現状などを記述する前文があり,6及び7頁には,写真甲12-1
2及び13が掲載され,それぞれの写真の脇に各原告に関する短い記
述がある。
e8ないし29頁は,「序章一心同体の輝きを放つとき」の章で,8,
9,12,13,16,18,22,23,26及び27頁に,KA
T-TUNが個性の強い6人の集まりであること,今後の活躍が期待
されることなどを記述する前文があり,12,13,19,23及び
26には,写真甲12-16,17,24,27及び33が掲載され
ているが,各写真についての説明はない。
10,11,14,15,17,20,21,24,25,28及
び29頁には,写真甲12-14,18ないし23,25,26,2
8ないし32,34および35が掲載され,10,11,14,15,
20,21,24,28及び29頁には,それぞれの写真の脇に各原
告に関する短い記述があるが,その内容とそれぞれの写真との間に格
別の関連はない。
f30ないし43頁は,「第1章QQヤンチャ印は永遠に不滅で
す」の章で,30,31,33,36,37及び41頁に,原告Qに
ついて,様々な女性との交際が報じられたこと,仕事よりもプライベ
ートを優先する考えを持っていることなどなどを記述する文章があ
り,31,37頁及び40頁には,写真甲12-36,47及び53
が掲載されているが,各写真についての説明はない。
32,38,39,42及び43頁には,写真甲12-37,48
ないし52,54及び55が7枚掲載され,32,39及び43頁に
は,それぞれの写真の脇に各原告に関する短い記述があるが,その内
容とそれぞれの写真との間に格別の関連はない。
34及び35頁には,「KAT-TUNお宝ショット館①Q」との
小見出しの下に,写真甲12-38ないし46が掲載され,4か所に
原告Qに関する短い記述がある。
g44ないし57頁は,「第2章RR男だからこそ貫く想い」の
章で,44,45,48,50,54及び55頁に,原告Rについて,
主演したドラマの視聴率が振るわなかったこと,ある女優との交際が
終了した理由などを記述する文章があり,45,51及び54頁には,
写真甲12-56,69および73が掲載されているが,各写真につ
いての説明はない。
49,52,53,56及び57頁には,写真甲12-66ないし
68,70ないし72,74および75が掲載され,49,52,5
3,56及び57頁には,それぞれの写真の脇に各原告に関する短い
記述があるが,その内容とそれぞれの写真との間に格別の関連はない。
46及び47頁には,「KAT-TUNお宝ショット館②R」との
小見出しの下に,写真甲12-57ないし65が掲載され,3か所に
原告Rに関する短い記述がある。
h58ないし75頁は,「第3章OO反逆児アイドル,かく戦う」
の章で,58,59,62,63,65,68,69,72及び73
頁に,原告Oについて,初めてドラマの主演を務め大きなプレッシャ
ーを受けたこと,ラップに傾倒していることなどを記述する文章があ
り,59,63,69及び72頁には,写真甲12-76,86,9
3及び99が掲載されているが,各写真についての説明はない。
64,66,67,70,71,74及び75頁には,写真甲12
-87ないし92,94ないし98,100ないし103が掲載され,
66,67,71及び75頁には,それぞれの写真の脇に各原告に関
する短い記述があるが,その内容とそれぞれの写真との間に格別の関
連はない。
60及び61頁には,「KAT-TUNお宝ショット館③O」との
小見出しの下に,写真甲12-77ないし85が掲載され,3か所に
原告Oに関する短い記述がある。
i76ないし89頁は,「第4章PPずっこけ魂でつき抜けろ」
の章で,76,77,80,82,83,86及び87頁に,原告P
について,ファッションや駄洒落を披露することなどを記述する文章
があり,77,82,83及び86頁には,写真甲12-104,1
17,118及び121が掲載されているが,各写真についての説明
はない。
81,84,85,88及び89頁には,写真甲12-114ない
し116,119,120,122ないし125が掲載され,これら
には,それぞれの写真の脇に各原告に関する短い記述があるが,その
内容とそれぞれの写真との間に格別の関連はない。
78及び79頁には,「KAT-TUNお宝ショット館④P」との
小見出しの下に,写真甲12-105ないし113が掲載され,3か
所に原告Pに関する短い記述がある。
j90ないし99頁は,「第5章NN新しい息吹は歌とともに」
の章で,90,91,94,95及び97頁に,原告Nについて,自
分を見つめ直して自分らしさを取り戻したこと,ソロコンサートが予
定されていることなどを記述する文章があり,91及び95頁には,
写真甲12-126および136が掲載されているが,各写真につい
ての説明はない。
96,98及び99頁には,写真甲12-137ないし141が掲
載され,これらには,それぞれの写真の脇に各原告に関する短い記述
があるが,その内容とそれぞれの写真との間に格別の関連はない。
92及び93頁には,「KAT-TUNお宝ショット館⑤N」との
小見出しの下に,写真甲12-127ないし135が掲載され,3か
所に原告Nに関する短い記述がある。
k100ないし111頁は,「第6章MMどっこいサイエンスを
極めよう」の章で,100,101,104,105,108及び1
09頁に,原告Mについて,努力家であり,冷静な目を持っているこ
と,単独での舞台が予定されていることなどを記述する文章があり,
101,105及び108頁には,写真甲12-142,152及び
159が掲載されているが,各写真についての説明はない。
106及び107頁には,写真甲12-153ないし158が掲載
され,これらには,それぞれの写真の脇に各原告に関する短い記述が
あるが,その内容とそれぞれの写真との間に格別の関連はない。
102及び103頁には,「KAT-TUNお宝ショット館⑥M」
との小見出しの下に,写真甲12-143ないし151が掲載され,
2か所に原告Mに関する短い記述がある。
l110及び111頁には,「KAT-TUNSpecialPr
ofile1998~2008」との小見出しの下に,KAT-T
UNに関する1998年から2008年までの主な出来事が記載さ
れ,写真甲12-160ないし166が掲載されている。
m112頁には,奥付と編著者の紹介が記載され,写真甲12-16
7ないし172が掲載されている。
n裏表紙には,目次とともに,「KAT-TUNPhoto&Epi
sodeToughGuys」,「KAT-TUNお宝ショット
館」と記載され,写真甲12-177が掲載されている。そして,裏
表紙の袖には,写真甲12-173ないし176が掲載されている。
(イ)本件書籍12は,その題名を「KAT-TUNPhoto&Ep
isodeToughGuys」とし,表表紙に「全160カット
お宝プライベートフォト&ライブ写真満載!」,背表紙に「お宝フォト
満載」及び裏表紙に「KAT-TUNお宝ショット館」との記載がある
ように,KAT-TUNのメンバーである原告M,原告N,原告O,原
告P,原告Q又は原告Rを被写体とする写真を大量に掲載した写真集で
ある。
すなわち,本件書籍12は,全112頁のうち83頁にわたり,上記
原告らを被写体とする写真176枚(そのうち142枚がカラー写真で
ある。)を掲載したものであり,しかも,その大部分は,写真だけか,
写真の脇に短い記述を添えただけのものである。そして,序章及び第1
章ないし第6章の各章には,それぞれKAT-TUNやそのメンバーで
ある各原告に関する記述があり,そのページ数は,序章から順次10頁,
6頁,6頁,9頁,7頁,5頁,6頁になるが,これらの記述の内容と
本件各写真の枚数やその取り扱われ方等に照らすと,いずれの記述も,
本件各写真の添え物として,写真を掲載した各章の導入としての意義が
あるというにとどまり,これを超えて,独立した意義があるということ
はできない。
これらの事情に照らすと,本件書籍12は,本件各写真を鑑賞の対象
とすることを目的とするものというべきである。
そうすると,被告が本件各写真を本件書籍12に掲載する行為は,原
告M,原告N,原告O,原告P,原告Q又は原告Rの肖像等それ自体を
独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,専ら上記原告らの肖像
等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものであるから,上記原告ら
のパブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となるとい
うべきである。
2次いで,争点3のうち,パブリシティ権の侵害により原告らが受けた損害の
額について,判断する。
(1)被告が本件各写真を本件各書籍に掲載する行為は,原告らのパブリシティ
権を侵害するものであるところ,パブリシティ権は,先に判示したように,
肖像等が有する商品の販売等を促進する顧客吸引力を排他的に利用する権利
であるから,原告らは,それぞれ,被告の行為により,本件各書籍の出版に
当たり,それぞれを被写体とする写真の使用を許諾する場合に通常受領すべ
き金銭に相当する額の損害を受けたものと認められる。
(2)そこで,原告らが,本件各書籍の出版に当たり,それぞれを被写体とする
写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額についてみる。
ア証拠(甲13ないし17,18の1及び2,19,乙7ないし10)及
び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア)●(省略)●は,原告H,原告I,原告J,原告K及び原告Lから
それぞれの肖像に関する権利等の管理の委託を受けて,平成14年5月
10日,株式会社マガジンハウスとの間で,●(省略)●が株式会社マ
ガジンハウスに対し,嵐のメンバーの肖像写真により構成する「嵐1
st写真集inarush!」という題名の写真集の製作,発行
を許諾し,株式会社マガジンハウスが●(省略)●に対し,次の計算式
による出演料を支払うことを合意した。
●(省略)●
(イ)●(省略)●は,平成19年1月1日,原告H,原告I,原告J,
原告K及び原告Lの肖像に関する権利等を管理する●(省略)●に対し,
嵐のメンバーの肖像写真により構成する「ARASHIAROUND
ASIA」という題名の写真集について,印税として●(省略)●を支
払うことを約した。
(ウ)株式会社集英社は,平成20年9月3日に「ARASHIISA
LIVE!」という題名の写真集を発行するに当たり,●(省略)●に
対し,次の計算式●(省略)●による許諾料を支払うことを約した。
●(省略)●
(エ)●(省略)●は,原告M,原告N,原告O,原告P,原告Q及び原
告Rからそれぞれの肖像に関する権利等の管理の委託を受けて,平成1
5年12月25日,株式会社ワニブックス(以下「ワニブックス」とい
う。)との間で,●(省略)●がワニブックスに対し,KAT-TUN
のメンバーの肖像写真により構成する「KAT-TUN1st.in
NEWYORK」という題名の写真集の出版権を設定し,ワニブック
スが●(省略)●に対し,●(省略)●
(オ)●(省略)●は,平成21年8月3日,●(省略)●との間で,●
(省略)●が●(省略)●に対し,KAT-TUNのメンバーの肖像写
真により構成する「KAT-TUNLIVEDOCUMENTP
HOTOBOOK“BREAKtheRECORDS”」という
題名の写真集の制作,発行及び販売を許諾し,●(省略)●が●(省略)
●に対し,次の計算式による権利使用料を支払うことを合意した。
●(省略)●
イ上記ア認定の事実によれば,●(省略)●は,原告らの肖像写真により
構成する写真集の出版等を許諾した場合に,出版社から,●(省略)●を
受領しているから,本件各書籍の出版に当たり,原告らがそれぞれを被写
体とする写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件各
書籍の本体価格の10%に相当する額に発行部数を乗じた金額を下らない
ものと認められる。
ウ証拠(乙1の1ないし12)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認
められる。
(ア)被告は,本件書籍1の印刷,製本を城南グラビヤ株式会社(以下「城
南グラビヤ」という。)に依頼し,城南グラビヤは,平成20年9月1
7日から平成21年2月3日までに本件書籍1を合計2万8000部
印刷,製本して,被告に納品し,被告は,平成20年10月1日ころに
本件書籍1の販売を開始して,少なくとも2万7294部販売した。
(イ)被告は,本件書籍2の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成20年10月27日から平成21年8月7日までに本件
書籍2を合計2万4000部印刷,製本して,被告に納品し,被告は,
平成20年11月5日ころに本件書籍2の販売を開始して,少なくとも
2万1555部販売した。
(ウ)被告は,本件書籍3の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成20年10月27日から平成21年1月21日までに,
本件書籍3を合計1万9000部印刷,製本して,被告に納品し,被告
は,平成20年11月5日ころに本件書籍3の販売を開始して,少なく
とも1万7064部販売した。
(エ)被告は,本件書籍4の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成20年10月9日から平成21年2月23日までに本件
書籍4を合計2万5000部印刷,製本して,被告に納品し,被告は,
平成20年10月25日ころ,本件書籍4の販売を開始して,現在に至
るまで,少なくとも2万2837部販売した。
(オ)被告は,本件書籍5の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成20年9月17日から平成21年1月21日までに本件
書籍5を合計3万1000部印刷,製本して,被告に納品し,被告は,
平成20年10月1日ころに本件書籍5の販売を開始して,少なくとも
2万9985部販売した。
(カ)被告は,本件書籍6の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成19年9月25日から平成21年8月17日までに本件
書籍6を合計3万9000部印刷,製本して,被告に納品し,被告は,
平成19年9月28日ころに本件書籍6の販売を開始して,少なくとも
3万6386部販売した。
(キ)被告は,本件書籍7の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成18年8月30日に本件書籍7を2万部印刷,製本して,
被告に納品し,被告は,平成18年9月5日ころに本件書籍7の販売を
開始して,少なくとも7663部販売した。
(ク)被告は,本件書籍8の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成18年8月30日に本件書籍8を2万部印刷,製本して,
被告に納品し,被告は,平成18年9月5日ころに本件書籍8の販売を
開始して,少なくとも5798部販売した。
(ケ)被告は,本件書籍9の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南グ
ラビヤは,平成18年4月28日から平成21年5月20日までに本件
書籍9を合計4万6500部印刷,製本して,被告に納品し,被告は,
平成18年5月15日ころに本件書籍9の販売を開始して,少なくとも
4万4829部販売した。
(コ)被告は,本件書籍10の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南
グラビヤは,平成18年3月2日から平成18年6月21日までに本件
書籍10を合計4万5000部印刷,製本して,被告に納品し,被告は,
平成18年3月15日ころに本件書籍10の販売を開始して,少なくと
も4万2218部販売した。
(サ)被告は,本件書籍11の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南
グラビヤは,平成17年8月24日から平成18年8月7日までに本件
書籍11を合計6万9000部印刷,製本して,被告に納品し,被告は,
平成17年8月30日ころに本件書籍11の販売を開始して,少なくと
も6万6670部販売した。
(シ)被告は,本件書籍12の印刷,製本を城南グラビヤに依頼し,城南
グラビヤは,平成20年7月25日から平成20年10月2日までに本
件書籍12を合計1万2500部印刷,製本して,被告に納品し,被告
は,平成20年8月11日ころに本件書籍12の販売を開始して,少な
くとも1万1007部販売した。
エ本件各書籍の本体価格は,いずれも定価1300円であるところ,上記
ウ認定の事実によれば,本件各書籍の発行部数は,本件書籍1が2万80
00部,本件書籍2が2万4000部,本件書籍3が1万9000部,本
件書籍4が2万5000部,本件書籍5が3万1000部,本件書籍6が
3万9000部,本件書籍7が2万部,本件書籍8が2万部,本件書籍9
が4万6500部,本件書籍10が4万5000部,本件書籍11が6万
9000部,本件書籍12が1万2500部であるから,原告らがそれぞ
れを被写体とする写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額,
すなわち,本件各書籍の本体価格の10%に相当する額に発行部数を乗じ
た金額は,次のとおりである。
(ア)本件書籍1364万円(1300円×10%×2万8000部)
(イ)本件書籍2312万円(1300円×10%×2万4000部)
(ウ)本件書籍3247万円(1300円×10%×1万9000部)
(エ)本件書籍4325万円(1300円×10%×2万5000部)
(オ)本件書籍5403万円(1300円×10%×3万1000部)
(カ)本件書籍6507万円(1300円×10%×3万9000部)
(キ)本件書籍7260万円(1300円×10%×2万部)
(ク)本件書籍8260万円(1300円×10%×2万部)
(ケ)本件書籍9604万5000円
(1300円×10%×4万6500部)
(コ)本件書籍10585万円(1300円×10%×4万5000部)
(サ)本件書籍11897万円(1300円×10%×6万9000部)
(シ)本件書籍12162万5000円
(1300円×10%×1万2500部)
(3)以上に基づき,各原告らが受けた損害の額を算定する。
ア原告Hについて
(ア)原告Hは,本件各写真を本件書籍1及び6に掲載する行為により,
パブリシティ権を侵害されたところ,原告Hが自己を被写体とする写真
の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍1につい
ては全額の364万円,本件書籍6については5分の1の101万40
00円であるから,原告Hは,これらを合算した465万4000円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,4
6万5400円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Hが受けた損害の額は,合計511万9400円
になる。
イ原告Iについて
(ア)原告Iは,本件各写真を本件書籍2及び6に掲載する行為により,
パブリシティ権を侵害されたところ,原告Iが自己を被写体とする写真
の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍2につい
ては全額の312万円,本件書籍6については5分の1の101万40
00円であるから,原告Iは,これらを合算した413万4000円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,4
1万3400円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Iが受けた損害の額は,合計454万7400円
になる。
ウ原告Jについて
(ア)原告Jは,本件各写真を本件書籍3及び6に掲載する行為により,
パブリシティ権を侵害されたところ,原告Jが自己を被写体とする写真
の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍3につい
ては全額の247万円,本件書籍6については5分の1の101万40
00円であるから,原告Jは,これらを合算した348万4000円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,3
4万8400円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Jが受けた損害の額は,合計383万2400円
になる。
エ原告Kについて
(ア)原告Kは,本件各写真を本件書籍4及び6に掲載する行為により,
パブリシティ権を侵害されたところ,原告Kが自己を被写体とする写真
の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍4につい
ては全額の325万円,本件書籍6については5分の1の101万40
00円であるから,原告Kは,これらを合算した426万4000円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,4
2万6400円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Kが受けた損害の額は,合計469万0400円
になる。
オ原告Lについて
(ア)原告Lは,本件各写真を本件書籍5及び6に掲載する行為により,
パブリシティ権を侵害されたところ,原告Lが自己を被写体とする写真
の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍5につい
ては全額の403万円,本件書籍6については5分の1の101万40
00円であるから,原告Lは,これらを合算した504万4000円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,5
0万4400円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Lが受けた損害の額は,合計554万8400円
になる。
カ原告Mについて
(ア)原告Mは,本件各写真を本件書籍7,11及び12に掲載する行為
により,パブリシティ権を侵害されたところ,原告Mが自己を被写体と
する写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍
7については2分の1の130万円,本件書籍11については6分の1
の149万5000円,本件書籍12については6分の1の27万08
33円(円未満切捨て。以下同じ。)であるから,原告Mは,これらを
合算した306万5833円の損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,3
0万6583円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Mが受けた損害の額は,合計337万2416円
になる。
キ原告Nについて
(ア)原告Nは,本件各写真を本件書籍7,11及び12に掲載する行為
により,パブリシティ権を侵害されたところ,原告Nが自己を被写体と
する写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍
7については2分の1の130万円,本件書籍11については6分の1
の149万5000円,本件書籍12については6分の1の27万08
33円であるから,原告Nは,これらを合算した306万5833円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,3
0万6583円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Nが受けた損害の額は,合計337万2416円
になる。
ク原告Oについて
(ア)原告Oは,本件各写真を本件書籍8,11及び12に掲載する行為
により,パブリシティ権を侵害されたところ,原告Oが自己を被写体と
する写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍
8については2分の1の130万円,本件書籍11については6分の1
の149万5000円,本件書籍12については6分の1の27万08
33円であるから,原告Oは,これらを合算した306万5833円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,3
0万6583円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Oが受けた損害の額は,合計337万2416円
になる。
ケ原告Pについて
(ア)原告Pは,本件各写真を本件書籍8,11及び12に掲載する行為
により,パブリシティ権を侵害されたところ,原告Pが自己を被写体と
する写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍
8については2分の1の130万円,本件書籍11については6分の1
の149万5000円,本件書籍12については6分の1の27万08
33円であるから,原告Pは,これらを合算した306万5833円の
損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,3
0万6583円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Pが受けた損害の額は,合計337万2416円
になる。
コ原告Qについて
(ア)原告Qは,本件各写真を本件書籍9,11及び12に掲載する行為
により,パブリシティ権を侵害されたところ,原告Qが自己を被写体と
する写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍
9については全額の604万5000円,本件書籍11については6分
の1の149万5000円,本件書籍12については6分の1の27万
0833円であるから,原告Qは,これらを合算した781万0833
円の損害を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,7
8万1083円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Qが受けた損害の額は,合計859万1916円
になる。
サ原告Rについて
(ア)原告Rは,本件各写真を本件書籍10ないし12に掲載する行為に
より,パブリシティ権を侵害されたところ,原告Rが自己を被写体とす
る写真の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額は,本件書籍1
0については全額の585万円,本件書籍11については6分の1の1
49万5000円,本件書籍12については6分の1の27万0833
円であるから,原告Rは,これらを合算した761万5833円の損害
を受けたものと認められる。
(イ)本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告
の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,7
6万1583円と認めるのが相当である。
(ウ)そうすると,原告Rが受けた損害の額は,合計837万7416円
になる。
(4)したがって,被告は,原告Hに対し511万9400円,原告Iに対し4
54万7400円,原告Jに対し383万2400円,原告Kに対し469
万0400円,原告Lに対し554万8400円,原告M,原告N,原告O
及び原告Pに対しそれぞれ337万2416円,原告Qに対し859万19
16円,原告Rに対し837万7416円並びに上記各金員に対する不法行
為の後の日である平成21年8月26日(訴状送達の日)から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
3そこで,争点2(被告が本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲載する
行為が,みだりに自己の容貌等を撮影されず,また,自己の容貌を撮影された
写真をみだりに公表されない人格的利益を侵害するか否か)について,判断す
る。
原告らは,被告の行為により,上記利益を侵害され,その結果,被告が本件
各書籍を出版するについて,その肖像写真,氏名及びグループ名等の使用を許
諾した場合に得ることができる利益に相当する額及び弁護士費用相当損害金
の損害を受けたと主張する。
ところで,仮に被告が本件各写真を撮影し,これを本件各書籍に掲載する行
為が原告らの上記利益を侵害するものであるとしても,このことから,直ちに,
原告が写真等の使用を許諾した場合に得ることができる利益に相当する額及
び弁護士費用相当損害金の損害を受けることにはならず,本件において,原告
らが上記のような損害を受けたことを認めるに足りる証拠もない。
したがって,原告らの上記利益の侵害を理由とする損害賠償請求は,その余
の点について判断するまでもなく,理由がない。
4争点4(原告らが被告に対し本件各書籍の出版及び販売の差止め並びに廃棄
を請求することができるか否か)について,判断する。
弁論の全趣旨によれば,被告は,本件各書籍の販売を継続していることが認
められ,また,被告は,本件各書籍を出版,販売することが原告らのパブリシ
ティ権を侵害するものではないと主張しているから,これらの事情によれば,
被告は,今後,本件各書籍を出版してこれを販売し,又は占有する本件各書籍
を販売するおそれがあるものと認められる。
そして,パブリシティ権が人格権に由来する権利の一内容を構成するものあ
ることに鑑みれば,原告らは,被告に対し,原告らのパブリシティ権の侵害の
停止又は予防のために,本件各書籍の出版及び販売の差止め並びに被告が占有
する本件各書籍の廃棄を求めることができるというべきである。
第4結論
以上のとおりであって,原告らの請求は,主文第1ないし第3項に記載の限
度で理由があるが,その余は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官高野輝久
裁判官三井大有
裁判官小川卓逸は,転補につき署名押印することができない。
裁判長裁判官高野輝久

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