弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 一、 本件抗告の趣旨及び理由
 別紙記載のとおり。
 二、 当裁判所の判断
 <要旨第一>本案裁判所の行なう証拠の採否(証拠の必要性)に関する不服は、原
則として本案と共に上訴によつて争うべきで、本案と切離して別個に抗
告をもつて争うことはできないが、検証の採否(検証の要否)と異なりその前提と
なる検証物提示命令については民訴法三三五条、三一五条に従い独立して抗告によ
り争い得る。
 本件の如く裁判所が訴訟当事者の占有する建物あるいは場所(本件においては、
東成警察署留置場一一号室(保護室))を対象とし、これに臨場して検証を行う旨
の決定をした場合は、証拠採用の決定と同時に、検証物を占有する当事者に対し、
当該検証物を提示すべき旨の命令も亦これに併せてなされているものと解するのが
相当である。
 <要旨第二>したがつて、本件抗告は右の検証物提示命令に対するものとして適法
であるから、その当否を判断するに、検証物の提示、検証受忍の義務
は、証人義務などと同様にわが国の裁判権に服する者が国家に対して負う一般的な
公法上の義務であり、証言拒絶などの理由(民訴法二八〇条、二八一条、二九一
条)に準じて正当な事由がない限りこれを拒むことができないものといわねばなら
ない。
 そこで、抗告人が本件検証物の提示または検証受忍の命令を拒むべき正当の事由
があるかについて検討するに、抗告人提出の疎乙第一号証によれば、本件検証が予
定どおり実施される場合、東成警察署における留置場管理、被収容者の処遇あるい
は捜査の遂行等において若干の支障を生ずるであろうことが推認されなくもないけ
れども、抗告人主張の如き、警察運営、警察権行使等の公務の遂行を著しく困難に
するとか、公務上の秘密の保持その他公共の利益を害することが甚だしいとか、あ
るいは被収容者個人の名誉その他の利益を害すること等についてはこれを疎明する
に足る的確な証拠がない。そうすると、抗告人は、本件検証物の提示または検証受
忍の命令については、これを拒むべき正当な事由があるとは認め難い。
 よつて、原決定は相当であつて、本件抗告は理由がないからこれを棄却し、抗告
費用は抗告人に負担させることとして、主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 廣木重喜 裁判官 諸富吉嗣 裁判官 吉川義春)
別 紙
<記載内容は末尾1添付>
<記載内容は末尾1添付>
別 紙
<記載内容は末尾2添付>
<記載内容は末尾2添付>
<記載内容は末尾2添付>
<記載内容は末尾2添付>
別 紙
<記載内容は末尾3添付>
<記載内容は末尾3添付>

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